目次第1 「司法修習生の規律等について」という通知の位置づけ第2 「第6 外国旅行」の記載第3 外国旅行の自由という憲法上の位置づけ1 帆足計事件が示した合憲的制限の枠組み2 司法修習生の内部規律とは法的根拠が異なる第4 「本邦と外交関係のある国」の現状1 現在,日本と外交関係のない国は台湾・北朝鮮・パレスチナの三か国2 台湾・パレスチナの旅券の取扱い第5 関連記事出典・参考資料1 法令2 裁判例3 公的資料4 文献
第1 「司法修習生の規律等について」という通知の位置づけ
「司法修習生の規律等について」は,平成29年11月1日付け司研企二第1018号により,司法研修所長が地方裁判所長・家庭裁判所長・地方検察庁検事正・弁護士会会長にあてて発した通知である。司法修習生に関する規則及び司法修習生の修習資金の貸与等に関する規則の一部を改正する規則(平成29年最高裁判所規則第4号)による改正後の司法修習生に関する規則(昭和23年最高裁判所規則第15号)第11条第1項の規定に基づき定められたもので,同日から実施されている。この通知は,平成18年4月17日付け司研企第001011号司法研修所長通知「司法修習生の規律等について」による従前の取扱いを廃止する一方,当時既に修習中であった平成28年度採用(第70期)司法修習生については,なお従前の例による経過措置を置いている。
通知は,定義(配属庁会・修習単位・出席・休日等・自由研究日・自宅起案日),宣誓,身分証明書,身上等に関する届出,欠席,外国旅行,兼職等の許可申請,届出等の様式という構成になっており,このうち「第6 外国旅行」が,二回試験終了後を含む修習期間中の海外旅行の承認手続を定めている。
第2 「第6 外国旅行」の記載
(司法研修所長又は配属庁会の長の承認)
1 司法修習生は,外国旅行をしようとするときは,あらかじめ,司法研修所長(旅行期間が配属庁会における実務修習中に当たるときは,当該配属庁会の長)の承認を受けなければならない。
(申請方法)
2 司法修習生は,1の承認を受けようとするときは,司法研修所長又は配属庁会の長に対し,当該旅行の出発日の3週間前までに書面により申請しなければならない。旅行期間が二つの修習単位にかかるときの申請先は,先の修習単位を基準とする。
(外国旅行の承認基準)
3 司法修習生の外国旅行は,次に掲げる各要件を備えていなければならない。(1) 次のいずれかに該当する場合であること。ア 休日等を利用する場合。イ 修習のため指導担当者等に同行する場合。ウ 欠席を伴うときは,欠席を承認することができる場合(ただし,出発の日又は帰着の日が自由研究日であるときは,その日は欠席としない。)。(2) 旅行先が,本邦と外交関係のある国又はこれに準ずる地域であること。(3) 旅行の期間が9日以内であること。(4) 私費又はこれに準ずるものを渡航費用とするものであること。
4 司法修習生は,3に定める基準を満たす場合であっても,不測の事態等により修習に支障が生じないように旅程を計画しなければならない。
5 司法研修所長又は配属庁会の長は,次に掲げる事由があるときは,外国旅行の申請を承認しないことができる。(1) 2に定める期限を徒過して申請があったとき。(2) 申請者の修習状況等に照らし,相当でないと認めるとき。
(決定及び通知)
6 司法研修所長又は配属庁会の長は,2に定める申請があった場合,承認するかどうかを決定し,申請者に対し,適宜の方法で結果を通知するものとする。
7 旅行期間が,二つの修習単位にかかるものであるときは,申請を受けた司法研修所長又は配属庁会の長は,次の修習単位の修習を実施する司法研修所長又は配属庁会の長の意見を聴取した上で,承認するかどうかを判断する。
(事後措置等)
8 配属庁会の長は,欠席を伴う外国旅行を承認したときは,司法研修所長に対し,第5の12による報告の書面に,その承認した外国旅行の旅行先,目的及び期間を記載するものとする。
9 配属庁会の長は,外国旅行における不測の事態等により,司法修習生が欠席をしたときは,その旨を速やかに司法研修所長に報告するものとする。
以上のとおり,司法修習生の外国旅行は,二回試験終了後であっても,修習期間中である限りは承認制の対象から外れない。休日等の利用,指導担当者等への同行,欠席が承認され得る場合のいずれかに該当し,かつ,渡航先が本邦と外交関係のある国又はこれに準ずる地域であり,期間が9日以内で,私費又はこれに準ずる費用によるものであることが要件となる。
第3 外国旅行の自由という憲法上の位置づけ
1 帆足計事件が示した合憲的制限の枠組み
一般国民の外国旅行の自由についても,無制限に保障されているわけではない。最高裁判所大法廷は,モスクワでの国際経済会議へ渡航しようとした上告人らに対する外務大臣の旅券発給拒否処分が争われた事件で,憲法第22条第2項の外国に移住する自由には外国へ一時旅行する自由を含むと解した上で,旅券法第13条第1項第5号(当時。現行は同項第7号)は,外国旅行の自由に対し,公共の福祉のため合理的な制限を定めたものであって,憲法に違反しないと判示した。この判断枠組みは,外国旅行の自由が憲法上保障される権利でありながら,一般的な制約に服し得ることを示す代表的な先例として,今日も引用されている。
2 司法修習生の内部規律とは法的根拠が異なる
もっとも,前記1の判例が扱ったのは,一般国民を対象とする旅券法上の発給制限の合憲性であり,第2の司法修習生の外国旅行承認制とは,制限の法的根拠を異にする。司法修習生は,司法修習生に関する規則第2条により最高裁判所の許可を受けなければ他の職業に就くこと等ができないなど,修習に専念すべき特別な地位に置かれており,外国旅行の承認制も,同規則第11条第1項に基づく司法研修所長の定めとして,修習の実施に支障が生じないようにするという修習制度に固有の目的から設けられたものである。一般国民向けの旅券法上の制限と,司法修習生という特別な地位における内部規律とを同一の法的根拠によるものと理解すべきではない。
第4 「本邦と外交関係のある国」の現状
(続きを読む...)二回試験終了後の海外旅行に関する,「司法修習生の規律等について」の記載(AIリライト)