目次
第1 60期以降の二回試験の不合格者数及び不合格率
第2 59期二回試験の不合格者数に関する国会答弁
第3 関連記事その他
第1 60期以降の二回試験の不合格者数及び不合格率
1 64期以降の原資料は64期以降の二回試験に関する,合格者及び不合格者の決定に関する議事録に掲載しています。以下では,再受験者を除く初回受験者について,人数及び不合格率の計算方法を示します。前年の不合格者数又は配属現員表から応試者数を推計した率は,原資料に記載された数値とは区別する必要があります。
不合格後に後の期の考試を受ける「再受験」と,欠席した科目について別途実施が決定される「再試験」は別のものです。再試験対象者を除いて合格率・不合格率を計算する場合は,分母と分子の集計時点及び対象者をそろえる必要があります。
令和8年8月31日現在,本記事では74期から78期までの初回受験者の応試者数及び合格率・不合格率を確定できていません。再受験者を含む全体の結果は64期以降の二回試験に関する,合格者及び不合格者の決定に関する議事録,応試者数の推定方法は二回試験の推定応試者数を参照してください。
○73期
・ 令和2年12月15日の議事録では,全体の応試者1479人について,合格者1465人,不合格者10人とし,別に4人の再試験を実施すると決定しています。
→ 前年の不合格者8人全員が再受験したこと及び再受験者の不合格者数が0人であることを,確認した議事録及び配布資料の公開部分からは確定できません。このため,初回受験者だけの応試者数,不合格者数及び不合格率は未確認です。
○72期
・ 参考値:7人÷1479人×100=0.47%
→ 分母の1479人は,72期二回試験の全体の応試者1495人から,71期二回試験の初回受験の不合格者15人及び2回目受験の不合格者1人を控除した計算値です(令和元年11月27日現在の司法修習生配属現員表には「配属無し」の記載がないです。)。
分子の7人は,全体の不合格者数8人から,二回目受験の不合格者数1人を控除した数です。前年の不合格者16人全員が再受験し,再受験者の不合格者がこの1人だけであったことを前提とする参考計算であり,初回受験者の人数・率を直接確認した数値ではありません。
○71期
・ 推計応試者1517人を分母とする参考値:15人÷1517人×100=0.99%
→ 推計応試者数は,71期二回試験の全体の応試者1533人から,70期二回試験の初回受験の不合格者15人及び2回目受験の不合格者1人を控除することで計算しています。この分母は,前年の不合格者16人全員が再受験したとの仮定によるものです(平成30年11月27日現在の司法修習生配属現員表には「配属無し」の記載がないです。)。
不合格者数は,全体の不合格者数16人から,二回目受験の不合格者数1人を控除することで計算できます。3回目受験者1人は合格しています。なお,全体の不合格者16人には,不可の科目があった14人だけでなく,考試の全部又は一部を欠席した2人が含まれています。
○70期
・ 推計応試者1527人を分母とする参考値:15人÷1527人×100=0.98%
→ 推計応試者数1527人は,70期二回試験の全体の応試者1579人から,配属現員表の「配属無し」52人を控除した数です(平成29年11月27日現在の司法修習生配属現員表の「配属無し」は52人です。この52人を再受験者数とみなす参考計算であり,同表だけから実際の再受験者数や再受験しなかった者の人数を確定することはできません。)。
不合格者数は,全体の不合格者数16人から,二回目受験の不合格者数1人を控除することで計算できます。3回目受験者1人は合格しています。
○69期
・ 推計応試者1784人を分母とする参考値:52人÷1784人×100=2.91%
→ 推計応試者数1784人は,69期二回試験の全体の応試者1816人から,配属現員表の「配属無し」32人を控除した数です(平成28年11月27日現在の司法修習生配属現員表の「配属無し」は32人です。この32人を再受験者数とみなす参考計算であり,同表だけから実際の再受験者数を確定することはできません。)
不合格者数は,全体の不合格者数54人から,2回目受験の不合格者1人及び3回目受験の不合格者1人を控除することで計算できます。
○68期
・ 応試者1758人のうち,不合格者数は 30人だから,不合格率は1.71%
○67期
・ 応試者1972人のうち,不合格者数は 38人だから,不合格率は1.93%
○66期
・ 応試者2031人のうち,不合格者数は 39人だから,不合格率は1.92%
○現行65期
・ 応試者 74人のうち,不合格者数は 5人だから,不合格率は6.76%
○新 65期
・ 応試者1995人のうち,不合格者数は 38人だから,不合格率は1.90%
○現行64期
・ 応試者 102人のうち,不合格者数は 10人だから,不合格率は9.80%
○新 64期
・ 応試者2024人のうち,不合格者数は 56人だから,不合格率は2.77%
○現行63期
・ 応試者 148人のうち,不合格者数は 12人だから,不合格率は8.11%
○新 63期
・ 応試者2016人のうち,不同格者数は 85人だから,不合格率は4.22%
○現行62期
・ 応試者 263人のうち,不合格者数は 9人だから,不合格率は3.42%
○新 62期
・ 応試者2044人のうち,不合格者数は 70人だから,不合格率は3.42%
○現行61期
・ 応試者 569人のうち,不合格者数は 20人だから,不合格率は3.51%
○新 61期
・ 応試者1811人のうち,不合格者数は101人だから,不合格率は5.58%
○現行60期
・ 応試者1453人のうち,不合格者数は 67人だから,不合格率は4.61%
○新 60期
・ 応試者 986人のうち,不合格者数は 59人だから,不合格率は5.98%
2 2回目受験の不合格者数は,二回試験に関する議事録の「今回の考試不合格によって,次回の考試が3回目の受験となる応試者が○人いる旨を報告」という記載によってわかります。
第2 59期二回試験の不合格者数に関する国会答弁
・ 29期の大谷直人最高裁判所人事局長は,平成19年3月20日の参議院法務委員会において以下の答弁をしています(ナンバリングを追加しています。)。
① 今、これまでの不合格者、あるいは先生のお話しになりました合格留保者についての御指摘がありましたので、少しその点を、全体状況をもう少しまず御説明したいと思いますが、近年の二回試験のまず不合格者、これは最終的な不合格者、不合格になった者ですが、この動向を申し上げますと、昭和六十二年度三十九期から、平成十二年度五十二期、五十三期までは不合格者数はゼロということで、平成十三年度五十四期以降は、ゼロ人であった平成十五年度五十六期を除きまして一けた台前半で推移しておりましたが、平成十八年は十六人ということになりました。
また、合格留保者数でございますが、この動向といたしましては、平成十一年度五十一期まではせいぜい一けたでありまして、ゼロという年も多かったわけでありますが、平成十二年十月の五十三期以降はコンスタントに二けたになり、平成十六年度五十七期が四十三人、平成十七年度五十八期が三十人、そして平成十八年度五十九期が九十七人ということになっております。
② 今、委員の御指摘の修習期間が一年六か月に短縮された平成十二年度五十三期は、合否の留保者数こそ十九人と前年度の三人から増加したものの、不合格者数は前年度同様ゼロ人でございました。
また、司法修習生の数が八百人から約千人に増加したのがこれは平成十三年度五十四期でございますが、その年は不合格者が出たものの、合否留保者数は十六人ということでありまして、前年と比べてその割合は減少しております。
③ したがいまして、修習期間の短縮とかあるいは司法修習生の増加といったものが司法修習生考試の不合格者数や合否留保者数との相関関係があるとは断定しにくい状況にあるのではないかと、このように考えております。
第3 関連記事その他
1 二回目受験の不合格者は,司法修習生考試委員会議事録において,「今回の考試不合格によって,次回の考試が3回目の受験となる応試者」と記載されています。
2 昭和23年12月1日の前澤忠成司法研修所長の訓示(司法研修所報2号7頁)には以下の記載があります。
(山中注:司法修習生考試について)いかなる方法が執られるにしろ、結局諸君が一人前の法律実務家として法律実務を処理する能力があるかどうかを見るのでありまして、決して諸君をゴシゴシいじめて、こまかい成績をとる趣旨でないことは、先に最高裁判所の裁判官会議において、規則を制定する際に、高等試験までパスした諸君を、いつまでも試験試験でもあるまいというところから、その名前も考試という柔み(山中注:やわらかみ)のある語を用いたところからも窺われることと思います。
3 47期の徳岡治最高裁判所秘書課長は,令和3年3月12日の衆議院法務委員会において以下の東弁をしています。
最高裁において所管している司法修習生の質のことについて申し上げますと、例えば、法曹に必要な資質、能力を備えているかどうかを判定する目的で行われております二回試験の不合格者を見ても、近年大きく増加する状況にはないことからしますと、司法修習生の質が低下しているという事情は見当たらないと考えるところでございます。
二回試験の不合格者数と罷免人数の資料を比較する際の注意点については,「司法修習生の罷免事由別の人数」を参照されたい。
4 以下の記事も参照してください。
・ 二回試験再受験者の不合格率の推移
・ 64期以降の二回試験に関する,合格者及び不合格者の決定に関する議事録
・ 二回試験に関する記事の一覧
5 出典・参考資料
司法修習生考試委員会の議事録及び最高裁判所の配属現員表は,山中弁護士ブログに掲載した公文書の写しです。割合の参考計算は,各項記載の前提に基づく計算値です。
① 69期司法修習生考試委員会議事録(平成28年12月13日,資料2頁~3頁(PDF2頁~3頁))
② 70期司法修習生考試委員会議事録(平成29年12月12日,資料1頁~2頁(PDF2頁~3頁))
③ 71期司法修習生考試委員会議事録(平成30年12月11日,資料1頁~2頁(PDF2頁~3頁))
④ 72期司法修習生考試委員会議事録(令和元年12月10日,資料1頁~2頁(PDF1頁~2頁))
⑤ 73期司法修習生考試委員会議事録(令和2年12月15日,資料1頁~2頁(PDF2頁~3頁))
⑥ 司法修習生配属現員表(平成28年11月27日現在)及び同表(平成29年11月27日現在)(いずれもPDF2頁,資料上の頁番号なし)
二回試験。
僕らの担当教官は,二回試験に落ちるのは,「サッカーのPKでいえば,ゴールと反対方向に蹴るような場合だけ」だからと言っていたことが記憶に新しい。僕は,PKを反対方向に蹴った人を見たことはないので,必ず複数人が落ちる試験の例えとしてはうまくないなと思ったことも記憶に新しい。— Xattorney (@108attorney) March 18, 2022