第1 情報公開請求の経緯
司法研修所は,二回試験(考試)終了後に司法修習生が行う海外旅行の取扱いについて,複数の項目にわたる司法行政文書の開示請求を受け,平成29年8月4日付の司法行政文書不開示通知書により回答した。裁判所の司法行政文書は,最高裁判所が定める情報公開に関する規程に基づき何人も開示を請求することができるが,請求に係る文書を保有していない場合は,「不存在」を理由とする不開示決定がされる。以下の7項目は,いずれもこの不存在を理由とする不開示通知の内容であり,二回試験終了後の海外旅行について,最高裁判所・司法研修所がどのような文書を作成・保管していない(していなかった)かを示す一次資料である。
第2 不存在と回答された文書
① 純粋な観光目的の場合は許可しないと定めた文書(司法修習ハンドブック及び修習生活のオリエンテーションを除く)は,存在しない。
② 最高裁判所が第69期司法修習生の海外旅行先をまとめた文書は,存在しない。
③ A班所属の第69期司法修習生から提出された,二回試験終了後の海外旅行に関する承認申請書は,平成29年5月10日までに廃棄された。承認申請書という個々の修習生ごとの書類が,考試終了から間もない時期に廃棄される運用であったことが分かる。
④ 司法研修所が,どのような場合に法務省入国管理局に対し司法修習生の出帰国記録を確認することになっているかが分かる文書は,存在しない。
⑤ 司法研修所が,司法修習生の出帰国記録を確認するために法務省入国管理局との間で授受した文書(一番最近の事例に関するもの)は,存在しない。
⑥ 第65期以降の司法修習生につき,二回試験終了後,承認を受けていなかった海外旅行の件数が修習期ごとに分かる文書は,存在しない。
⑦ 二回試験終了後,承認を受けていなかった司法修習生の海外旅行に関して,司法研修所が二回試験の合否の判断材料とするために作成した文書(一番最近の事例に関するもの)は,存在しない。
上記④及び⑤は,平成29年8月4日付の回答であり,当時の組織名である「法務省入国管理局」のまま引用している。同局は,平成31年4月の組織改編により出入国在留管理庁に改組された。
第3 関連記事
「司法修習生の規律等について」(平成29年11月1日付の司法研修所長通知)が定める外国旅行の承認基準そのものについては,二回試験終了後の海外旅行に関する,「司法修習生の規律等について」の記載で扱っている。司法修習生に関する規則の全文は,司法修習生に関する規則(昭和23年8月18日最高裁判所規則第15号)を参照されたい。司法修習生の罷免理由についても,同様に不存在を理由とする不開示がされた例があり,司法修習生の罷免理由等は不開示情報であることで扱っている。
出典・参考資料
1 公文書
①最高裁判所(司法研修所)「純粋な観光目的の場合は許可しないと定めた文書」に係る司法行政文書不開示通知書(平成29年8月4日付,山中弁護士ブログ掲載PDF)
②最高裁判所(司法研修所)「第69期司法修習生の海外旅行先をまとめた文書」に係る司法行政文書不開示通知書(平成29年8月4日付,山中弁護士ブログ掲載PDF)
③最高裁判所(司法研修所)「A班所属の第69期司法修習生から提出された,二回試験終了後の海外旅行に関する承認申請書」に係る司法行政文書不開示通知書(平成29年8月4日付,山中弁護士ブログ掲載PDF)
④最高裁判所(司法研修所)「司法修習生の出帰国記録の確認」に係る司法行政文書不開示通知書(平成29年8月4日付,山中弁護士ブログ掲載PDF)
⑤最高裁判所(司法研修所)「司法研修所が,司法修習生の出帰国記録を確認するために法務省入国管理局との間で授受した文書」に係る司法行政文書不開示通知書(平成29年8月4日付,山中弁護士ブログ掲載PDF)
⑥最高裁判所(司法研修所)「第65期以降の司法修習生の海外旅行の件数が修習期ごとに分かる文書」に係る司法行政文書不開示通知書(平成29年8月4日付,山中弁護士ブログ掲載PDF)
⑦最高裁判所(司法研修所)「承認を受けていなかった海外旅行についての二回試験の合否の判断材料とするために作成した文書」に係る司法行政文書不開示通知書(平成29年8月4日付,山中弁護士ブログ掲載PDF)