法務省関係

法務省出向中の裁判官に不祥事があった場合の取扱い

1 法務省出向中の裁判官は法務大臣による懲戒処分の対象となること等
(1) 裁判官が法務省等の行政機関に出向している場合,依願退官した上で外務省に出向している人を除き,検事の身分を有しています(「現職裁判官の分布表」参照)。
   そして,法務省出向中の裁判官について,国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行(例えば,女性のスカート内の盗撮)があったような場合,法務大臣による懲戒処分の対象となります(国家公務員法82条1項)
(2) 懲戒処分の場合,検察官適格審査会の議決(検察庁法23条)は不要です(検察庁法25条ただし書)。
(3) 検察官の場合,60%以下の給料しか受け取れなくなる起訴休職制度(国家公務員法79条2号,一般職給与法23条4号)がありません(検察庁法25条本文参照)。
   そのため,懲戒処分としての免職,停職又は減給の処分(国家公務員法82条1項)を受けない限り,不祥事を起こした検察官は引き続き従前と同額の給料を支給されることとなります。
(4) 処分説明書の様式は,処分説明書の様式および記載事項等について(人事院HPの昭和35年4月1日付の人事院事務総長通知)に載っています。

2 法務省出向中の裁判官が懲戒免職又は停職処分となった場合の取扱い
(1) 懲戒免職となった場合
ア 退職手当及び弁護士資格
(ア)   裁判官は,退職手当を支払ってもらえません(国家公務員退職手当法12条1項1号)し,懲戒免職の日から3年間は弁護士となる資格を有しません(弁護士法7条3号)。
   また,懲戒免職の日から3年を経過した後であっても,登録請求を受けた単位弁護士会としては,資格審査会の議決に基づき,日弁連に対する登録の請求の進達を拒絶することができますし(弁護士法12条1項2号),日弁連は,資格審査会の議決に基づき,登録を拒絶することができます(弁護士法15条1項)。
(イ) 在職期間中に懲戒免職等処分を受けるべき行為をしたことを疑うに足りる相当な理由があると思料される場合,退職手当の支払を差し止められることがあります(国家公務員退職手当法13条2項2号)。
イ 年金
   平成27年9月30日までに発生した退職共済年金については,基本額は全額支給されるものの,職域加算額は半分しか支給されません(平成24年改正前の国家公務員共済組合法97条1項・同法施行令11条の10第1項参照)。
   また,平成27年10月1日以降に発生した公務員厚生年金は全額支給されます。これに対して,同日以降に発生した年金払い退職給付については,有期退職年金は全額支給されるものの,終身退職年金は支給されません(国家公務員共済組合法97条1項・同法施行令21条の2第1項)。
(2) 停職処分を受けた後に辞職した場合
ア 退職手当及び弁護士資格
(ア) 裁判官は,退職手当を支払ってもらえます(国家公務員退職手当法12条1項参照)。
   ただし,停職期間の月数の2分の1に相当する月数を退職手当の算定の基礎となる在職期間から除算されます(国家公務員退職手当法7条4項)。
(イ) 弁護士登録との関係では,法令上は特段の制限がありません。
   ただし,単位弁護士会の登録審査(「弁護士登録制度」参照)が非常に慎重なものになると思われます。
イ 年金
   平成27年9月30日までに発生した退職共済年金については,基本額は全額支給されますし,職域加算額は,停職期間に相当する部分の25%が削られるだけです(平成24年改正前の国家公務員共済組合法97条1項・同法施行令11条の10第1項参照)。
   また,平成27年10月1日以降に発生した公務員厚生年金は全額支給されます。これに対して,同日以降に発生した年金払い退職給付については,有期退職年金は全額支給されますし,終身退職年金は,停職期間に相当する部分の50%が削られるだけです(国家公務員共済組合法97条1項・同法施行令21条の2第1項)。

3 法務省出向中の裁判官が刑事罰を受けた場合の取扱い
(1) 禁錮以上の刑に処せられた場合
ア(ア) 執行猶予が付いたとしても,①検事としての身分を自動的に失います(国家公務員法76条・38条2号。規定の合憲性につき最高裁平成19年12月13日判決参照)し,②退職手当を支払ってもらえません(国家公務員退職手当法13条及び14条。規定の合憲性につき最高裁平成12年12月19日判決参照)し,③裁判官の任命資格を失います(裁判所法46条1号)。
   また,執行猶予期間が満了して刑の言渡しが効力を失う(刑法27条)までの間,弁護士となる資格を有しません(弁護士法7条1号)。
(イ) 執行猶予が付けられずに実刑判決を受けた場合,刑の執行が終わり,罰金以上の刑に処せられないで10年を経過した時点で,懲役又は禁錮の刑の言渡しは効力を失います(刑法34条の2第1項前段)から,その時点で弁護士となる資格を再び取得することとなります。
(ウ) 在職期間中の刑事事件に関して起訴された場合,退職手当の支払を差し止められることがあります(国家公務員退職手当法13条1項2号)。
イ 平成27年9月30日までに発生した退職共済年金については,基本額は全額支給されるものの,職域加算額は半分しか支給されません(平成24年改正前の国家公務員共済組合法97条1項・同法施行令11条の10第1項参照)。
   また,平成27年10月1日以降に発生した公務員厚生年金は全額支給されます。これに対して,同日以降に発生した年金払い退職給付については,有期退職年金は全額支給されるものの,終身退職年金は支給されません(国家公務員共済組合法97条1項・同法施行令21条の2第1項)。
(2)   罰金刑に処せられた場合
ア   ①検事としての身分を自動的に失うわけではありません(ただし,盗撮の飯島暁裁判官のように辞職するのが通常と思われます。)し,②懲戒免職にならない限り退職手当を支払ってもらえます(国家公務員退職手当法12条1項参照)し,③裁判官の任命資格を失いません(裁判所法46条参照)。
   また,弁護士となる資格を有します(弁護士法7条参照)ところ,医師法4条3号のような,罰金刑に処せられた者に関する条文が弁護士法にあるわけではないものの,単位弁護士会の登録審査(「弁護士登録制度」参照)が非常に慎重なものになると思われます。
イ 退職共済年金,公務員厚生年金及び年金払い退職給付については,特段の不利益はありません。
(3) 罰金刑の位置づけ
ア 罰金刑は前科となりますが,罰金以上の刑に処せられないで5年を経過した場合,罰金刑の言渡しは効力を失います(刑法34条の2第1項後段)から,市区町村の犯罪人名簿から記載が削除されます(前科記録の抹消)。
イ   検察庁の前科調書(犯歴事務規程13条2項)から前科の記載が削除されるのは,有罪の裁判を受けた者が死亡したときだけです(犯歴事務規程18条)。

4 法務省出向中の裁判官が逮捕されたことそれ自体の法的不利益
   法務省出向中の裁判官が逮捕されたことそれ自体は,裁判官又は弁護士の資格に何らかの法的影響を及ぼすものではありません。

5 刑事責任に付随する資格制限の内容等の詳細
   「加害者の刑事責任,行政処分,検察審査会等」を参照してください。

6 共済年金の職域加算額,及び年金払い退職給付等
(1)ア 国家公務員の場合,平成27年9月30日までに勤務した分については,共済年金に職域加算がありました。
平成27年10月1日以降に勤務した分については,年金払い退職給付が発生しており,有期退職年金(10年又は20年支給ですが,一時金も選択できます。)及び終身退職年金の半分ずつとなります。
イ 退職共済年金の基本額は老齢厚生年金に対応し(年金の2階部分),退職共済年金の職域加算額は企業年金等に対応していました(年金の3階部分)。
   また,老齢厚生年金の受給権は懲戒免職等による影響を受けませんから,そのこととの均衡を図るため,退職共済年金の基本額の受給権は懲戒免職等による影響を受けないのだと思います。
(2) 平成24年の国家公務員共済組合法等の改正により,平成27年10月1日,厚生年金及び共済年金が統合されたり,共済年金の職域加算が廃止されたりしました(被用者年金制度の一元化)。
   そして,共済年金の基本額は公務員厚生年金に,共済年金の職域加算額は年金払い退職給付に引き継がれました。
(3) 共済年金の職域加算額は,共済年金の基本額の10%から20%ぐらいでした。
(4) 国家公務員の年金払い退職給付の創設については,財務省広報誌「ファイナンス」2013年1月号が参考になります。
   これによれば,標準報酬月額36万円で40年加入の場合,年金払い退職給付のモデル年金月額は約1.8万円とされています。

前科抹消があった場合の取扱い

目次
第1 総論
1 前科抹消の意義
2 前科が抹消される場合
3 前科抹消があった場合の効果
第2 前科抹消があった場合,犯罪経歴証明書に記載される前科ではなくなること
1 犯罪経歴証明書
2 前科抹消があった場合の取扱い
第3 前科抹消があった場合,犯罪人名簿に記載される前科ではなくなること
1 犯罪人名簿
2 本籍市区町村による犯罪歴の把握
3 検察庁に対して行う,刑の消滅等に関する照会
4 前科抹消があった場合の取扱い
第4 検察庁は行政官庁等からの前科照会に回答していないこと,及び最高裁昭和56年4月14日判決の判示内容
1 検察庁は行政官庁等からの前科照会に回答していないこと
2 最高裁昭和56年4月14日判決の判示内容
第5 就職希望者の前科前歴の秘匿に関する裁判例
第6 前科抹消とは関係のない事項
1 総論
2 検察庁の犯歴抹消
3 海外旅行における取扱い
第7 関連条文
1 刑法
2 少年法
3 公職選挙法

第1 総論
1 前科抹消の意義

   昭和35年版犯罪白書の「四 前科の抹消」には,前科抹消の意義として以下の記載があります。
   犯罪を犯し刑を科せられた者は,いわゆる前科者として,いろいろな面で不利益な取扱いをうけることがある。社会的には,前科者という烙印をおされ白眼視されることもあろうし,法律的には,前科者のうち懲役に処せられた者が,その執行をおわった後五年内にさらに罪を犯し,ふたたび懲役を科せられる場合には,累犯として,法定刑が二倍となるし,また,資格に関する法律(たとえば,弁護士法,弁理士法,医師法など,その数は少なくない)で,一定の資格を制限され,公共的な職業につけないとされているのが少なくない。
   前科者は,かように,社会的ないし法律的に不利益な取扱いをうけるが,すでに罪の償いをして更生し,または更生しようとしている者に対しては,いつまでもこのような不利益をあたえておくべきでない。こうして,前科抹消の制度が設けられた。前科の抹消とは,禁錮以上の刑の執行をおわってから罰金以上の刑に処せられず一〇年を無事に経過したとき,また,罰金以下の刑の執行をおわってから罰金以上の刑に処せられずに五年を無事に経過したときは,いずれも,さきの刑の言渡が効力を失うという制度である。刑の言渡の効力がなくなるのだから,前科の烙印も当然に抹消されるわけである。
2 前科が抹消される場合
(1) 以下の場合,前科が抹消されます(「犯罪経歴証明書発給要綱について(通達)」6項参照)。
① 刑の執行猶予の言渡しを取り消されることなく猶予の期間を経過しているとき(刑の全部の執行猶予の場合につき刑法27条の2,刑の一部の執行猶予の場合につき刑法27条の7)
② 禁錮以上の刑の執行を終わり又はその執行の免除を受け,罰金以上の刑に処せられないで10年を経過しているとき(刑法34条の2第1項前段)
③ 罰金以下の刑の執行を終わり又はその執行の免除を受け,罰金以上の刑に処せられないで5年を経過しているとき(刑法34条の2第1項後段)
④ 恩赦法の規定により大赦若しくは特赦を受け,又は復権を得たとき
⑤ 少年のとき犯した罪により刑に処せられてその執行を受け終わり,又は執行の免除を受けたとき(少年法60条)
(2)ア 「刑の執行が終わった」というのは例えば,以下の場合です。
① 現実に全部の刑の執行を受けた場合
② 仮釈放を取り消されることなくその期間を満了した場合
③ 未決勾留日数が刑に満つるまで算入された場合
イ 「刑の執行を免除された」というのは例えば,以下の場合です。
① 刑の時効が完成した場合(刑法31条)
② 外国において言い渡された刑の全部又は一部の執行を受けたことにより,刑の執行を免除された場合(刑法5条ただし書)
③ 恩赦としての「刑の執行の免除」を受けた場合(恩赦法8条)
(3)ア 「刑に処せられた」とは,その刑の執行を受けたことをいうものではありませんから,刑の執行が猶予された場合も「刑に処せられた」に該当します最高裁昭和24年3月31日判決参照)。
   ただし,刑の執行猶予の期間が満了して刑の言渡しの効力が失われた場合(刑法27条),禁錮以上の刑に処せられたことがないこととなります。
イ 刑の執行が終わった場合の起算日は,刑の執行終了日の翌日です(累犯加重を定める刑法56条1項に関する最高裁昭和57年3月11日判決参照)。
(4)ア  刑法34条の2第1項に「刑の言渡しは,効力を失う」とあるのは,刑の言渡しに基く法的効果が将来に向って消滅するという趣旨であって,その刑の言渡しを受けたという既往の事実そのものを量刑判断にあたって斟酌することは同条項に違反しません(最高裁昭和29年3月11日判決参照)。
イ 刑法34条の2は,刑法の一部を改正する法律(昭和22年10月26日法律第124号)によって追加された条文であり,施行前に刑の言渡しを受けた人にも適用されました。
(5)ア 道交法違反の罰金刑(いわゆる赤切符)は刑の消滅の中断事由ですから,例えば,2016年8月に公職選挙法違反で罰金刑に処せられて罰金を納付し,2018年8月に道交法違反で再び罰金刑に処せられて罰金を納付した人の場合,復権令(令和元年10月22日政令第131号)の対象にはなりませんでした。
イ この場合,再び罰金以上の刑に処せられなければ,2023年8月(最後の罰金納付日から5年後の日)に2個の罰金前科が同時に消滅することとなります。
3 前科抹消があった場合の効果
(1)ア 前科抹消があった場合,以下の効果が発生します。
① 警察庁が発行する犯罪経歴証明書(海外の大使館・移民局等に提出するもの)に記載される前科ではなくなります。
② 市区町村役場が作成する犯罪人名簿に記載される前科ではなくなります。
③ すべての懲役前科について前科抹消があった場合,懲役前科に基づく資格制限(例えば,弁護士の欠格事由を定める弁護士法7条1号)がなくなります。
イ すべての罪について前科抹消があった場合,法令上の資格制限がすべてなくなります。
(2) 刑の執行猶予の期間満了(刑法27条の2及び刑法27条の7),又は刑の消滅(刑法34条の2)があった犯罪については恩赦の対象とする必要がないため,恩赦の対象とはなりません恩赦の実施について(平成元年2月6日付の法務事務次官の依命通達)参照)。
(3)ア 懲役前科について復権したにすぎない場合,刑の消滅と異なり,執行猶予,累犯前科,刑の消滅等の刑法総則の適用上何らの変更も生じません(法律のひろば1989年4月号33頁参照)。
   ただし,令和の御即位恩赦の場合,特別基準恩赦においても懲役前科は復権の対象外となりました。
イ 懲役前科について特赦があった場合,執行猶予の欠格事由及び累犯前科の対象から外れます。
   ただし,令和の御即位恩赦の場合,特別基準恩赦における特赦は実施されませんでした。

第2 前科抹消があった場合,犯罪経歴証明書に記載される前科ではなくなること
1 犯罪経歴証明書
(1) 犯罪経歴証明書は,海外の公的機関(大使館・移民局等)の求めに応じて取得するものであり(警視庁HPの「渡航証明(犯罪経歴証明書)の申請について」参照),無犯罪証明書ともいいます(大阪府警察HPの「犯罪経歴証明書の申請手続きについて」参照)。
(2) 外務省領事局領事サービス室が作成した,警察証明事務マニュアル(平成19年3月改訂)を掲載しています。
2 前科抹消があった場合の取扱い
(1) 前科抹消があった場合,警察庁が発行する犯罪経歴証明書に記載される前科ではなくなります。
(2) 恩赦法に基づく復権を得た場合,禁錮以上の刑について10年が経過する前,及び罰金以下の刑について5年が経過する前であっても,犯罪経歴証明書に記載される前科ではないこととなります。
   ただし,この場合,犯罪経歴証明書発給申請書(別記様式第1号)の注記欄にあるとおり,同申請書と一緒に,特赦状,復権状等を提出する必要があります。

第3 前科抹消があった場合,犯罪人名簿に記載される前科ではなくなること
1 犯罪人名簿

(1) 犯罪人名簿は,もともと大正6年4月12日の内務省訓令第1号により市区町村長が作成保管すべきものとされてきたものですが,戦後においては昭和21年11月12日内務省発地第279号による同省地方局長の都道府県知事あて通達によって選挙資格の調査等の資料として引きつづき作成保管され,昭和22年に地方自治法が施行されてのちも明文上の根拠規定のないまま従来どおり継続して作成保管されています(最高裁昭和56年4月14日判決における裁判官環昌一の反対意見参照)。
(2) 本籍市区町村長は,地方公共団体の自治事務として犯罪人名簿を作成しているのであって,特段の法的整備がなされているわけではありません(衆議院議員木村太郎君提出犯罪人名簿に関する質問に対する内閣答弁書(平成22年3月12日付))。
(3) 大阪市の犯歴事務に関するマニュアル(令和元年11月に情報提供された文書)を掲載しています。

2 本籍市区町村による犯罪歴の把握
(1) 罰金以上の刑に処する裁判が確定した場合,地方検察庁の本庁の犯歴事務担当官は,本籍市区町村長に対し,既決犯罪通知書を送付してその裁判に関し必要な事項を通知します(犯歴事務規程3条4項)から,本籍市区町村長はこれによって犯罪歴を把握しています。
(2) 前科登録と犯歴事務(五訂版)9頁には,「昭和35, 6年ころから道路交通法違反事件が急増し,従来の方式のままではその犯歴を適正かつ的確に登録管理することが不可能になったため, 同37年6月には,道路交通法違反の罪に係る裁判で罰金以下の刑に処したものについては,市区町村長に対する既決犯罪通知をしない取扱いが実施され」と書いてあります。
 そのため,道交法違反の罰金前科については,そもそも本籍市区町村の犯罪人名簿に記載されていません。
(3) 恩赦があった場合,地方検察庁の本庁の犯歴担当事務官は,本籍市区町村長に対し,恩赦事項通知書を送付して恩赦に関し必要な事項を通知します(犯歴事務規程4条及び8条)。

3 検察庁に対して行う,刑の消滅等に関する照会
(1) 罰金以上の刑に処せられたことが刑の消滅の中断事由になります(刑法34条の2)ところ,道交法違反の罰金(いわゆる赤切符です。)については,検察庁から本籍市区町村に対する既決犯罪通知が送付されません。
 そのため,市区町村においては,犯罪人名簿に登録された犯歴について,刑の消滅の事実の有無を知る必要があるときは,その都度,有罪の確定裁判の言渡しを受けた者の本籍地を管轄する地方検察庁(本籍地検)に対し,その旨の照会を行わなければなりません。
(2) 市区町村が刑の消滅等に関する照会を行うのは,例えば,以下の場合です(前科登録と犯歴事務(五訂版)160頁及び161頁参照)。
① 行政官庁等から犯歴に関する身分証明の依頼があった場合
② 犯罪人名簿の整備・閉鎖を行う場合
(3) 令和元年10月10日付の総務省の行政文書開示決定通知書によって開示された,刑の消滅等に関する照会の書式について(昭和34年8月13日付の自治庁行政局行政課長の通知)を掲載しています。

4 前科抹消があった場合の取扱い
(1) 前科抹消の対象となった犯歴については,犯罪人名簿から削除されます。
(2) 例えば,那覇市犯罪人名簿事務取扱規程(昭和51年5月1日訓令第4号)には以下の条文があります。
① 1条(目的)
   この訓令は、犯罪人名簿(以下「名簿」という。)の整備及び身分証明の手続等について規定し、もって身分証明及び選挙人名簿の調製事務の適正な処理に寄与することを目的とする。
② 2条(定義)
   この訓令において「身分証明」とは、犯歴の有無に関する証明をいう。
③ 3条(名簿の取扱い)
   名簿は、第1条の目的のためにのみ整備及び保管され、その登録されている事項は人権に重大な影響を与えるので取扱いを厳重にし、担当職員以外にみだりに閲覧させてはならない。
④ 6条(通知の取扱い)
1 市長は、犯歴票保管庁の犯歴係事務官、刑務所の長、更生保護委員会の委員長及び保護観察所の長から刑の執行状況等に関する各種通知書を受理したときは、次の各号により名簿に記載する。
(中略)
(2) 恩赦事項通知書を受理したときは、その通知に係る既記載事項を朱線で消除又は変更し、備考欄に恩赦事項を記載する。
(中略)
(9) 自由刑執行終了通知書を受理したときは、刑終了日の欄に刑終了の年月日を、備考欄に刑の始期年月日を記載する。
(中略)

(11) 仮出獄期間満了通知書を受理したときは、刑終了日の欄に仮出獄期間満了の年月日を、備考欄に仮出獄の年月日及び仮出獄期間満了の旨を記載する。
⑤ 10条(名簿の閉鎖)
1 名簿に記載された者が次の各号のいずれかに該当する場合は、名簿を閉鎖し、破棄又は焼却する。(1) 刑法(明治40年法律第45号)第34条の2の期間を経過したとき。
(2) 刑法第27条の期間が満了したとき。
(3) 恩赦により刑の言渡しがその効力を失ったとき。
(4) 再審又は非常上告の結果無罪になったとき。
(5) 少年法(昭和23年法律第168号)第60条の適用を受けたとき。
(6) 本籍が他の市町村に異動したとき又は他の国籍を取得し、日本の国籍を離脱したとき。
(7) 死亡したとき。
2 前項(第6号及び第7号を除く。)の規定により名簿を閉鎖しようとするときは、犯歴票保管庁に照会し、確認した後に閉鎖するものとする。

第4 検察庁は行政官庁等からの前科照会に回答していないこと,及び最高裁昭和56年4月14日判決の判示内容
1 検察庁は行政官庁等からの前科照会に回答していないこと
   前科登録と犯歴事務(五訂版)26頁ないし28頁には以下の記載があります(ナンバリング及び改行を追加しています。)。
① 検察庁における前科の調査回答は,検察,裁判の事務処理上これを必要とするものについて行われるものであることは犯歴把握の目的からみて当然のことであり,みだりに前科が他の目的に利用されることはない。
   したがって,一般人からの照会に対してはもちろん,法令に基づいて付与される特定の資格が前科のあることを欠格事由とする場合において, これを取り扱う主務官庁が欠格事由の有無の判断資料として前科を知る必要がある場合であっても,原則としてその照会には応じていない。
   行政官庁等からの法令上の欠格事由の調査のための前科照会に対する回答事務は,従前から地方公共団体が行ってきた身分証明事務に属するものと考えられているからである。
② 市区町村の犯罪人名簿の記載のみでは,恩赦に該当しているか,刑の言渡しの効力が失われているか等が明確でないときは,市区町村長から検察庁に照会が行われれば回答することになるが, この場合でも,道交犯歴については原則としてその調査は行われない。
   道交犯歴自体が法令上の欠格事由となることはごくまれにしかないからである。
③ 法令が罰金の刑を欠格事由としている場合及び叙位,叙勲又は褒章用の刑罰等調書作成のために道交犯歴の回答を必要とする場合は,道交犯歴をも調査するものとして運用されているので, この照会に際しては,照会書に前科の利用目的及び道交犯歴の回答を要する旨を,例えば「叙勲のため道交犯歴要回答」等と明記する必要がある。
   なお,検察庁では,前科の利用目的が栄典を目的とするものであっても,各省の大臣表彰,知事表彰,市区町村長表彰等表彰を目的とする前科照会には一切応じていない。条例等で前科を表彰の欠格事由としている場合でも,検察庁における犯歴把握の目的外の利用と認められるからである。
   したがって, この場合は,市区町村において,道交犯歴以外の前科を備付けの犯罪人名簿により回答するか否かは,市区町村が独自の判断で決することになる。
   犯歴事務の運用面で,行政官庁等からの法人及び外国人の前科照会に対しては,個別的に人の名誉の保持.人権の尊重を十分に考慮しつつ,照会を求める事項,回答を必要とする理由, 回答の使用目的等を慎重に検討した上,他に調査の方法がなく,真にやむを得ないと認める場合には,前記の方針を若干緩和して照会に応ずる取扱いとしている。
④ 市区町村を含む行政官庁等からの前科の照会に対しては,特赦・大赦・復権のあった前科,刑法34条の2の規定により刑の言渡しの効力が失われた前科,執行猶予期間を経過した前科及び少年法60条1項又は2項の適用がある前科については回答されない。
   しかし,照会事項が恩赦になっているか,刑が消滅しているか等ということであれば, これについて回答されることは当然である。
2 最高裁昭和56年4月14日判決の判示内容
(1) 最高裁昭和56年4月14日判決は以下のとおり判示しています(ナンバリングを追加しています。)。
① 前科及び犯罪経歴(以下「前科等」という。)は人の名誉、信用に直接にかかわる事項であり、前科等のある者もこれをみだりに公開されないという法律上の保護に値する利益を有するのであつて、市区町村長が、本来選挙資格の調査のために作成保管する犯罪人名簿に記載されている前科等をみだりに漏えいしてはならないことはいうまでもないところである。
② 前科等の有無が訴訟等の重要な争点となつていて、市区町村長に照会して回答を得るのでなければ他に立証方法がないような場合には、裁判所から前科等の照会を受けた市区町村長は、これに応じて前科等につき回答をすることができるのであり、同様な場合に弁護士法二三条の二に基づく照会に応じて報告することも許されないわけのものではないが、その取扱いには格別の慎重さが要求されるものといわなければならない。
(2) 最高裁昭和56年4月14日判決の判示と異なり,犯罪人名簿は,弁護士登録等のための資格調査でも利用されています(東京都HPの「○犯罪人名簿の取扱について」参照)。

第5 就職希望者の前科前歴の秘匿に関する裁判例
   仙台地裁昭和60年9月19日判決(判例秘書に掲載)は,就職希望者の前科前歴の秘匿に関して以下のとおり判示しています(ナンバリング及び改行を追加しています。)。
①   使用者が雇用契約を締結するにあたつて相手方たる労働者の労働力を的確に把握したいと願うことは、雇用契約が労働力の提供に対する賃金の支払という有償双務関係を継続的に形成するものであることからすれば、当然の要求ともいえ、遺漏のない雇用契約の締結を期する使用者から学歴、職歴、犯罪歴等その労働力の評価に客額的に見て影響を与える事項につき告知を求められた労働者は原則としてこれに正確に応答すべき信義則上の義務を負担していると考えられ、したがつて、使用者から右のような労働力を評価する資料を獲得するための手段として履歴書の提出を求められた労働者は、当然これに真実を記載すべき信義則上の義務を負うものであつて、その履歴書中に「賞罰」に関する記載欄がある限り、同欄に自己の前科を正確に記載しなければならないものというべきである(なお、履歴書の賞罰欄にいう「罰」とは一般に確定した有罪判決(いわゆる「前科」)を意味するから、使用者から格別の言及がない限り同欄に起訴猶予事案等の犯罪歴(いわわゆる「前歴」)まで記載すべき義務はないと解される。)。
そして、刑の消滅制度が、犯罪者の更生と犯罪者自身の更生意欲を助長するとの刑事政策的な見地から一定の要件のもとに刑の言渡しの効力を将来に向かつて失効させ、これにより犯罪者に前科のない者と同様の待遇を与えることを法律上保障しているとはいえ、同制度は、犯罪者の受刑という既往の事実そのものを消滅させるものではないし、またその法的保障も対国家に関するもので直接私人間を規律するものではないことからみても、同制度の存在が、当然には使用者に対し、前科の消滅した者については前科のない者と同一に扱わなければならないとの拘束を課すことになるものでないことはいうまでもない。
②   しかしながら、犯罪者の更生にとつて労働の機会の確保が何をおいてもの課題であるのは今更いうまでもないところであつて、既に刑の消滅した前科について使用者があれこれ詮策し、これを理由に労働の場の提供を拒絶するような取扱いを一般に是認するとすれば、それは更生を目指す労働者にとつて過酷な桎梏となり、結果において、刑の消滅制度の実効性を著しく減殺させ同制度の指向する政策目標に沿わない事態を招来させることも明らかである。
したがつて、このような刑の消滅制度の存在を前提に、同制度の趣旨を斟酌したうえで前科の秘匿に関する労使双方の利益の調節を図るとすれば、職種あるいは雇用契約の内容等から照らすと、既に刑の消滅した前科といえどもその存在が労働力の評価に重大な影響を及ぼさざるをえないといつた特段の事情のない限りは、労働者は使用者に対し既に刑の消滅をきたしている前科まで告知すべき信義則上の義務を負担するものではないと解するのが相当であり、使用者もこのような場合において、消滅した前科の不告知自体を理由に労働者を解雇することはできないというべきである。

第6 前科抹消とは関係のない事項
1 総論
   前科抹消は,刑事事件の有罪判決を対象とするものです。
   そのため,前科抹消によって,①交通違反の違反点数が消滅してゴールド免許を取得できるようになったり,②運転免許の取消し又は停止が救済されたり,③運転免許証の欠格期間が短縮されたり,④交通違反の反則金の支払義務が消滅したり,⑤医師法違反等を理由とする医師に対する行政処分が消滅したりすることはありません。
2 検察庁の犯歴抹消

   前科調書作成のために検察庁が管理している犯歴の抹消は,有罪の判決を受けた人が死亡した時点で行われている(犯歴事務規程18条参照)のであって,前科抹消によって犯歴が抹消されるわけではないです。
3 海外旅行における取扱い
(1) 日本人が海外に行く場合
ア 執行猶予付の懲役刑又は禁錮刑に処せられた場合,執行猶予期間が満了した時点で旅券を取得できます’(旅券法13条1項3号参照)。
イ 実刑に処せれらた場合,刑期が満了した時点で旅券を取得できます’(旅券法13条1項3号参照)。
ウ 刑罰等について虚偽の申告をして旅券の交付を受けた場合,5年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処せられ,又はこれを併科されます(旅券法23条1項1号)。
エ アメリカ,カナダ,オーストラリア「以外の」国に渡航する場合,入国審査で犯罪歴の有無を質問されることはないみたいです(弁護士法人泉総合法律事務所HPの「前科の生活への影響とは~前科者の資格制限、仕事、履歴書、海外旅行」参照)。
オ 行政書士佐藤智代法務事務所ブログ「「前科があります」アメリカビザ申請」には以下の記載があります。
① 前科がある方は、ESTAでの入国は出来ません。米国への渡航には目的に応じたビザを取得する必要があります。
   逮捕後に経過した期間に関係なく過去の犯罪歴はすべて申告しなくてはならないため、犯罪歴がある方は生涯米国への渡航にESTAを利用することはできません。
   きっと大丈夫だろうと、ESTAで犯歴を申告しない「虚偽の申請」は絶対にお勧めしません。
   我が国と同様、アメリカへの入国不適格事由に「犯罪者」と規定されています。
② ビザ申請時の逮捕歴や有罪の判決を受けたことがあるかの質問に対しては、「Yes」か「No」でしか回答できません。この質問に、「Yes」と回答した場合に、上記の犯罪者の規定にあてはまるのかどうかを領事部が審査します。
   そして、
・18歳未満で犯罪の回数が1回だけの場合で
・犯罪発生日から5年以上経過しているか、拘禁刑の場合は、刑執行から5年以上経過している場合
・または、法定刑が1年以下の犯罪で下された量刑が6か月以下の場合
であれば、発給してもらえる可能性はあります。
カ 事実上の問題として,刑の消滅等があった場合,警察庁の犯罪経歴証明書に記載されなくなるわけですから,海外の公的機関(大使館・移民局等)が警察庁の犯罪経歴証明書を通じて知ることはできなくなります。
   また,道交法違反の罰金前科(いわゆる赤切符)については,そもそも市区町村の犯罪人名簿に記載されませんから,海外の公的機関(大使館・移民局等)が市区町村に照会して調査することはそもそも不可能です。
キ 警察証明事務マニュアル(平成19年3月改訂)末尾4頁には,「警察庁は、証明書に記載される犯罪経歴は捜査上の資料であり、我が国警察当局及び司法当局以外には開示されないものであることを理由として、現行法上は行政サービスの対象とはなり得ないとの立場を堅持している」と書いてあります。
(2) 外国人が日本に入国する場合
ア 出入国管理及び難民認定法(略称は「入管法」です。)5条1項4号は「日本国又は日本国以外の国の法令に違反して、一年以上の懲役若しくは禁錮又はこれらに相当する刑に処せられたことのある者。」を無期限の上陸拒否事由としています。
イ 「刑に処せられた」とは,歴史的事実として刑に処せられたことをいうのであって,刑の確定があれば足り,刑の執行を受けたか否か,刑の執行を終えているか否かを問いません。
   また,「刑に処せられたことのある者」には、執行猶予期間中の者、執行猶予期間を無事経過した者(刑法(明治四十年法律第四十五号)第二十七条)、刑法の規定により刑の言渡しの効力が消滅した者(同法第三十四条の二)及び恩赦法(昭和二十二年法律第二十号)の規定により刑の言渡しの効力が消滅した者(同法第三条及び第五条)も含まれます出入国管理及び難民認定法逐条解説(改訂第四版)208頁)。
ウ 上陸拒否事由に該当する場合,上陸拒否の特例(平成22年7月1日施行の入管法5条の2)が適用されるか,上陸特別許可(入管法12条)を受けない限り,出入国港において日本国に上陸することができません。
   上陸拒否の特例が適用される例としては,①在留資格認定証明書の交付を受けた場合(入管法7条の2),②再入国の許可を受けた場合(入管法26条1項)及び③在留特別許可を受けた場合(入管法50条1項)があります。この場合,法務大臣から,特定の事由のみによっては上陸を拒否しないこととした旨を記載した「通知書」を交付されますから,上陸審査時に入国審査官に対してこの通知書を提示すれば,通常の上陸審査手続により上陸を許可してもらえます。
   上陸特別許可は,退去強制歴があるため上陸拒否期間中の外国人が,本国で日本人と出会って婚姻したような場合(入管法12条1項3号参照)に適用されることがあります(法務省HPの「「上陸を特別に許可された事例及び上陸を特別に許可されなかった事例について」の公表」参照)。この場合,入国審査官,特別審理官及び法務大臣という三段階の手続を経る必要があります。
エ 出入国在留管理庁HP「入国・帰国手続<査証・在留資格認定証明書>」が載っています。

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恩赦の効果を含む前科抹消につき,この本を参照しながらブログ記事を作成しました。

第7 関連条文
1 刑法
・ 27条の2(刑の全部の執行猶予の猶予期間経過の効果)
刑の全部の執行猶予の言渡しを取り消されることなくその猶予の期間を経過したときは、刑の言渡しは、効力を失う。
・ 27条の7(刑の一部の執行猶予の猶予期間経過の効果)
刑の一部の執行猶予の言渡しを取り消されることなくその猶予の期間を経過したときは、その懲役又は禁錮を執行が猶予されなかった部分の期間を刑期とする懲役又は禁錮に減軽する。この場合においては、当該部分の期間の執行を終わった日又はその執行を受けることがなくなった日において、刑の執行を受け終わったものとする。
・ 34条の2(刑の消滅)
① 禁錮以上の刑の執行を終わり又はその執行の免除を得た者が罰金以上の刑に処せられないで十年を経過したときは、刑の言渡しは、効力を失う。罰金以下の刑の執行を終わり又はその執行の免除を得た者が罰金以上の刑に処せられないで五年を経過したときも、同様とする。
② 刑の免除の言渡しを受けた者が、その言渡しが確定した後、罰金以上の刑に処せられないで二年を経過したときは、刑の免除の言渡しは、効力を失う。

2 少年法
・ 60条(人の資格に関する法令の適用)
① 少年のとき犯した罪により刑に処せられてその執行を受け終り、又は執行の免除を受けた者は、人の資格に関する法令の適用については、将来に向つて刑の言渡を受けなかつたものとみなす。
② 少年のとき犯した罪について刑に処せられた者で刑の執行猶予の言渡を受けた者は、その猶予期間中、刑の執行を受け終つたものとみなして、前項の規定を適用する。
③ 前項の場合において、刑の執行猶予の言渡を取り消されたときは、人の資格に関する法令の適用については、その取り消されたとき、刑の言渡があつたものとみなす。

3 公職選挙法
・ 11条(選挙権及び被選挙権を有しない者)
① 次に掲げる者は、選挙権及び被選挙権を有しない。
一 削除
二 以上の刑に処せられその執行を終わるまでの者
三 
以上の刑に処せられその執行を受けることがなくなるまでの者(刑の執行猶予中の者を除く。)
四 公職にある間に犯した刑法(明治四十年法律第四十五号)第百九十七条から第百九十七条の四までの罪又は公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律(平成十二年法律第百三十号)第一条の罪により刑に処せられ、その執行を終わり若しくはその執行の免除を受けた者でその執行を終わり若しくはその執行の免除を受けた日から五年を経過しないもの又はその刑の執行猶予中の者
五 法律で定めるところにより行われる選挙、投票及び国民審査に関する犯罪により禁以上の刑に処せられその刑の執行猶予中の者
② この法律の定める選挙に関する犯罪に因り選挙権及び被選挙権を有しない者については、第二百五十二条の定めるところによる。
③ 市町村長は、その市町村に本籍を有する者で他の市町村に住所を有するもの又は他の市町村において第三十条の六の規定による在外選挙人名簿の登録がされているものについて、第一項又は第二百五十二条の規定により選挙権及び被選挙権を有しなくなるべき事由が生じたこと又はその事由がなくなつたことを知つたときは、遅滞なくその旨を当該他の市町村の選挙管理委員会に通知しなければならない。
・ 11条の2
(被選挙権を有しない者)
公職にある間に犯した前条第一項第四号に規定する罪により刑に処せられ、その執行を終わり又はその執行の免除を受けた者でその執行を終わり又はその執行の免除を受けた日から五年を経過したものは、当該五年を経過した日から五年間、被選挙権を有しない。
・ 252条
(選挙犯罪による処刑者に対する選挙権及び被選挙権の停止)
① この章に掲げる罪(第二百三十六条の二第二項、第二百四十条、第二百四十二条、第二百四十四条、第二百四十五条、第二百五十二条の二、第二百五十二条の三及び第二百五十三条の罪を除く。)を犯し罰金の刑に処せられた者は、その裁判が確定した日から五年間(刑の執行猶予の言渡しを受けた者については、その裁判が確定した日から刑の執行を受けることがなくなるまでの間)、この法律に規定する選挙権及び被選挙権を有しない。
② この章に掲げる罪(第二百五十三条の罪を除く。)を犯し禁以上の刑に処せられた者は、その裁判が確定した日から刑の執行を終わるまでの間若しくは刑の時効による場合を除くほか刑の執行の免除を受けるまでの間及びその後五年間又はその裁判が確定した日から刑の執行を受けることがなくなるまでの間、この法律に規定する選挙権及び被選挙権を有しない。
③ 第二百二十一条、第二百二十二条、第二百二十三条又は第二百二十三条の二の罪につき刑に処せられた者で更に第二百二十一条から第二百二十三条の二までの罪につき刑に処せられた者については、前二項の五年間は、十年間とする。
 裁判所は、情状により、刑の言渡しと同時に、第一項に規定する者(第二百二十一条から第二百二十三条の二までの罪につき刑に処せられた者を除く。)に対し同項の五年間若しくは刑の執行猶予中の期間について選挙権及び被選挙権を有しない旨の規定を適用せず、若しくはその期間のうちこれを適用すべき期間を短縮する旨を宣告し、第一項に規定する者で第二百二十一条から第二百二十三条の二までの罪につき刑に処せられたもの及び第二項に規定する者に対し第一項若しくは第二項の五年間若しくは刑の執行猶予の言渡しを受けた場合にあつてはその執行猶予中の期間のうち選挙権及び被選挙権を有しない旨の規定を適用すべき期間を短縮する旨を宣告し、又は前項に規定する者に対し同項の十年間の期間を短縮する旨を宣告することができる。

4 旅券法
・ 13条(一般旅券の発給等の制限)
① 外務大臣又は領事官は、一般旅券の発給又は渡航先の追加を受けようとする者が次の各号のいずれかに該当する場合には、一般旅券の発給又は渡航先の追加をしないことができる。
一 渡航先に施行されている法規によりその国に入ることを認められない者
二 死刑、無期若しくは長期二年以上の刑に当たる罪につき訴追されている者又はこれらの罪を犯した疑いにより逮捕状、勾こう引状、勾こう留状若しくは鑑定留置状が発せられている旨が関係機関から外務大臣に通報されている者
三 禁錮こ以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又は執行を受けることがなくなるまでの者
四 第二十三条の規定により刑に処せられた者
五 旅券若しくは渡航書を偽造し、又は旅券若しくは渡航書として偽造された文書を行使し、若しくはその未遂罪を犯し、刑法(明治四十年法律第四十五号)第百五十五条第一項又は第百五十八条の規定により刑に処せられた者
六 国の援助等を必要とする帰国者に関する領事官の職務等に関する法律(昭和二十八年法律第二百三十六号)第一条に規定する帰国者で、同法第二条第一項の措置の対象となつたもの又は同法第三条第一項若しくは第四条の規定による貸付けを受けたもののうち、外国に渡航したときに公共の負担となるおそれがあるもの
七 前各号に掲げる者を除くほか、外務大臣において、著しく、かつ、直接に日本国の利益又は公安を害する行為を行うおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者
② 外務大臣は、前項第七号の認定をしようとするときは、あらかじめ法務大臣と協議しなければならない。
・ 23条(罰則)
① 次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 この法律に基づく申請又は請求に関する書類に虚偽の記載をすることその他不正の行為によつて当該申請又は請求に係る旅券又は渡航書の交付を受けた者
二 他人名義の旅券又は渡航書を行使した者
三 行使の目的をもつて、自己名義の旅券又は渡航書を他人に譲り渡し、又は貸与した者
四 行使の目的をもつて、他人名義の旅券又は渡航書を譲り渡し、若しくは貸与し、譲り受け、若しくは借り受け、又は所持した者
五 行使の目的をもつて、旅券又は渡航書として偽造された文書を譲り渡し、若しくは貸与し、譲り受け、若しくは借り受け、又は所持した者
六 第十九条第一項の規定により旅券の返納を命ぜられた場合において、同項に規定する期限内にこれを返納しなかつた者
七 効力を失つた旅券又は渡航書を行使した者
② 営利の目的をもつて、前項第一号、第四号又は第五号の罪を犯した者は、七年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
③ 第一項(第四号及び第五号の所持に係る部分並びに第六号を除く。)及び前項(第一項第四号及び第五号の所持に係る部分を除く。)の未遂罪は、罰する。
④ 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
一 一般旅券に記載された渡航先以外の地域に渡航した者
二 渡航書に帰国の経由地が指定されている場合において、経由地以外の地域に渡航した者

各地の検察庁の執務規程

1 東京地検執務規程

2 横浜地検執務規程

3 さいたま地検執務規程

4 千葉地検執務規程

5 大阪地検執務規程

6 京都地検執務規程

7 神戸地検執務規程

8 名古屋地検執務規程

9 広島地検執務規程

10 福岡地検執務規程

*1 平成28年11月時点の各地の検察庁の執務規程を掲載しています。
*2 各地の検察庁の課及び室に置かれている係の所管事務については,それぞれの検察庁の執務規程を読めば分かりますから,検察修習をしているときに指導係検事にお願いしてコピーをもらえばいいと思われます。
*3 検察庁において司法修習生に関する事務を担当する部署は,①東京地検の場合,総務部司法修習課であり,②大阪地検の場合,総務部教養課であり,③大阪地検を除く部制庁の11地検の場合,総務部企画調査課であり,④非部制庁の37地検の場合,企画調査課です。
*4 東京地検総務部司法修習課は,東京地検九段庁舎(〒102-0074 東京都千代田区九段南1-1-10 九段合同庁舎内)にあります(東京地検HPの「東京地方検察庁九段庁舎(総務部司法修習課,交通部,特別捜査部)」参照」)。
*5 ①大阪地検の,事件処理の決裁区分について(昭和61年12月15日付),及び②神戸地検の,事件の決裁区分について(平成7年8月28日付)を掲載しています。

検察官と裁判官の法廷外での面談

平成28年11月24日の山口和之参議院議員(無所属)の質問に対する国会答弁資料に以下の記載があります。

・ 検察官が一般に裁判官室に頻繁に出入りしているという話は承知していないが,一般論として申し上げれば,検察官が必要に応じて裁判官と裁判所内の法廷外において面談することはあるものと承知
   もっとも,そのような場合においても,検察官は,裁判官の中立性・公平性に疑念を抱かせないように配慮しているものと承知。
・ 一般論として申し上げれば,裁判官は,必要がある場合には,法廷外において,検察官に限らず,事件の一方当事者と面談し,必要な範囲で打合せ等を行うことはあるものと承知。
   いずれにしても,法廷外で当事者が裁判官と面談する場合には,いずれの立場においても,裁判官の中立性・公平性に疑念を抱かせないように配慮するなど適切に対応しているものと承知しており,問題はないものと考えている。
・ 一般的に検察官と裁判官の接触を禁止するような指針等は存在していない。
   いずれにしても,検察官が法廷外で裁判官と面談等をする場合には,刑事手続における裁判官の担う役割を十分理解しつつ,裁判官の中立性・公平性に疑念を抱かせないように配慮するなど適切に対応しているものと承知しており,一般的に検察官と裁判官の接触を禁止するような指針等を策定する必要はないものと考えている。

保護観察制度

1 総論
(1) 平成20年6月1日施行の更生保護法(平成19年6月15日法律第88号)は,①昭和24年7月1日施行の犯罪者予防更生法(昭和24年5月31日法律第142号)及び②昭和29年7月1日施行の執行猶予者保護観察法(昭和29年4月1日法律第58号)を整理・統合して新たな法律としたものです。
   その上で,①保護観察における遵守事項を整理して充実させるとともに,②保護観察の実施状況に応じて特別遵守事項の変更ができることとするほか,③受刑者等の社会復帰のための環境調整の措置を一層充実させ,あわせて④仮釈放の審理において犯罪被害者等の意見を聴取する制度等を整備するものです。
(2) 更生保護制度は,犯罪をした者及び非行のある少年がこれを繰り返さないように,社会内において必要な監督や支援等を行い,改善更生させようとするものであり,「社会内処遇」ともいわれます。

(3) 保護観察は,保護観察対象者の居住地(住居がないか,又は明らかでないときは,現在地又は明らかである最後の居住地若しくは所在地)を管轄する保護観察所がつかさどります(更生保護法60条)。

2 法務省保護局等
(1) 法務省保護局では,①矯正施設に収容されている人の仮釈放等に関する事務,及び②仮釈放になった人,保護観察付き執行猶予になった人,保護観察に付された少年等の保護観察に関する事務を行うほか,③恩赦,④犯罪予防活動,⑤犯罪被害者等施策に関する事務等を行っています。
   このような仕事を「更生保護」と呼んでおり,直接的な仕事は,①高等裁判所の管轄区域ごとに全国8か所に設置されている「地方更生保護委員会」,及び②地方裁判所の管轄区域ごとに全国50か所に設置されている「保護観察所」で行っています。
   また,これらの仕事と併せ,心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った精神障害者の社会復帰の促進を目的とする「医療観察制度」に基づく地域社会における処遇等に関する事務を行っています。
(2) 近畿地方には,近畿地方更生保護委員会(〒540-0008 大阪市中央区大手前4丁目1番76号 大阪合同庁舎第4号館(6階))及び2府4県で6カ所の保護観察所があります。
(3) 大阪保護観察所は,大阪合同庁舎第4号館(5階)にあります。
3 保護観察官,保護司及び社会復帰調整官
(1) 地方更生保護委員会の事務局及び保護観察所には,保護観察官が置かれています。
   保護観察官は,医学,心理学,教育学,社会学その他の更生保護に関する専門的知識に基づき,保護観察,調査,生活環境の調整その他犯罪をした者及び非行のある少年の更生保護並びに犯罪の予防に関する事務に従事しています(更生保護法31条)。
(2) 保護司は,保護観察官で十分でないところを補い,地方更生保護委員会又は保護観察所の長の指揮監督を受けて,保護司法(昭和25年5月25日法律第204号。同日施行)の定めるところに従い,それぞれ地方更生保護委員会又は保護観察所の所掌事務に従事しています。
(3) 現実の更生保護は,常勤の国家公務員である保護観察官(約1100名)及び民間篤志家である保護司(約5万人)を中心に,更生保護施設といった関係機関の協力(更生保護法61条2項参照)の下に,官民協働体制で実施されています。

(4) 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(平成15年7月16日法律第110号。平成17年7月15日施行)(=医療観察法)20条に基づき,保護観察所には,精神保健福祉士の有資格者など同法の対象となる人の社会復帰を促進するために必要な知識及び経験を有する「社会復帰調整官」が置かれています。

4 保護観察対象者
(1) 保護観察は,犯罪をした人又は非行のある少年が,実社会の中でその健全な一員として更生するように,国の責任において指導監督及び補導援護を行うもので,以下の人が保護観察対象者となります(①ないし④につき更生保護法48条,⑤につき売春防止法26条1項)。
① 保護観察処分少年
→ 家庭裁判所で保護観察に付された少年です。
② 少年院仮退院者
→ 少年院からの仮退院を許された少年です。
③ 仮釈放者
→ 刑事施設からの仮釈放を許された人です。
④ 保護観察付執行猶予者
→ 裁判所で刑の執行を猶予され,保護観察に付された人です。
⑤ 婦人補導院仮退院者
→ 婦人補導院からの仮退院を許された人です。

(2) 初の執行猶予者に対する保護観察は任意的である(刑法25条の2第1項前段)のに対し,再度の執行猶予者に対する保護観察は必要的です(刑法25条の2第1項後段)。

5 保護観察の内容
(1) 保護観察は,保護観察対象者の改善更生を図ることを目的として,①指導監督及び②補導援護を行うことにより実施されます(更生保護法49条1項)。
(2) 保護観察における指導監督は,以下に掲げる方法により行われます(更生保護法57条)。
① 面接その他の適当な方法により保護観察対象者と接触を保ち、その行状を把握すること。
② 保護観察対象者が一般遵守事項(更生保護法50条)及び特別遵守事項(更生保護法51条)を遵守し,並びに生活行動指針(更生保護法56条)に即して生活し,及び行動するよう,必要な指示その他の措置をとること。
③ 特定の犯罪的傾向を改善するための専門的処遇を実施すること。
(3) 保護観察における補導援護は,保護観察対象者が自立した生活を営むことができるようにするため,その自助の責任を踏まえつつ,以下に掲げる方法によって行われます(更生保護法58条)。
① 適切な住居その他の宿泊場所を得ること及び当該宿泊場所に帰住することを助けること。
② 医療及び療養を受けることを助けること。
③ 職業を補導し、及び就職を助けること。
④ 教養訓練の手段を得ることを助けること。
⑤ 生活環境を改善し,及び調整すること。
⑥ 社会生活に適応させるために必要な生活指導を行うこと。
⑦ 前各号に掲げるもののほか,保護観察対象者が健全な社会生活を営むために必要な助言その他の措置をとること。
(4) 保護観察における指導監督及び補導援護は,保護観察対象者の特性,とるべき措置の内容その他の事情を勘案し,保護観察官及び保護司が実施しています(更生保護法61条1項)。

(5) 保護観察所の長は,保護観察付執行猶予の判決を受け,その裁判が確定するまでの者について,保護観察を円滑に開始するため必要があると認めるときは,その者の同意を得て,その者の家族その他の関係人を訪問して協力を求めることその他の方法により,その者の住居、就業先その他の生活環境の調整を行うことができます(更生保護法83条)。

6 被害者等の心情等の聴取及び伝達(心情等伝達制度)
(1) 保護観察所の長は,保護観察対象者について,被害者等から,被害に関する心情,被害者等の置かれている状況又は保護観察対象者の生活若しくは行動に関する意見(心情等)の伝達の申出があったときは,当該心情等を聴取し,当該保護観察対象者に伝達するものとされています(更生保護法65条1項本文)。
   保護観察所の長は,被害者等の居住地を管轄する他の保護観察所の長に対し,申出の受理及び心情等の聴取に関する事務を嘱託することができます(更生保護法65条2項)。
(2) 以下のような場合,被害者等の心情等の聴取及び伝達を要しないこととされています(更生保護法65条1項ただし書参照)。
① 保護観察対象者が心情不安定な状態にあり,被害者等の心情等を伝達すると更に混乱させるおそれがある場合
② 暴力団同士の抗争事件のように被害者とされている者が実質的には被害者といえない場合

7 関連記事
① 恩赦の効果
② 恩赦に関する記事の一覧
③ 仮釈放
④ 仮釈放に関する公式の許可基準
⑤ マル特無期事件
⑥ 前科抹消があった場合の取扱い

仮釈放に関する公式の許可基準

1 総論
(1) 地方更生保護委員会は,仮釈放を許すべき旨の旨の刑事施設又は少年院の長からの申出又は職権に基づき,仮釈放の審理を開始します(更生保護法34条及び35条)。
(2) 地方更生保護委員会の委員が直接,受刑者である審理対象者と面接をするほか(更生保護法37条1項),必要に応じて被害者やその遺族,検察官等にも意見を聞くなどした上で(更生保護法37条及び38条),地方更生保護委員会は,3人の合議体の決定(更生保護法23条1項1号)をもって,仮釈放を許す処分をします(更生保護法39条)。
(3)ア 仮釈放について定める刑法28条は以下のとおりです。
   懲役又は禁錮に処せられた者に改悛の状があるときは、有期刑についてはその刑期の三分の一を、無期刑については十年を経過した後、行政官庁の処分によって仮に釈放することができる。
イ 刑法28条の「行政官庁」は,地方更生保護委員会です。
(4)ア 犯罪をした者及び非行のある少年に対する社会内における処遇に関する規則(略称は「社会内処遇規則」です。)28条は以下のとおりです。
   法第三十九条第一項に規定する仮釈放を許す処分は、懲役又は禁錮の刑の執行のため刑事施設又は少年院に収容されている者について、悔悟の情及び改善更生の意欲があり、再び犯罪をするおそれがなく、かつ、保護観察に付することが改善更生のために相当であると認めるときにするものとする。ただし、社会の感情がこれを是認すると認められないときは、この限りでない。
イ 社会内処遇規則28条は,仮釈放を許可する条件は以下の4つであると定めています。
① 悔悟の情及び改善更生の意欲があること
② 再び犯罪をするおそれがないこと
③ 保護観察に付することが改善更生のために相当であること
④ 社会の感情が仮釈放を是認すること
(5) 無期刑受刑者に対する仮釈放制度の改善を求める日弁連意見書(2010年12月17日付)には以下の記載があります。
① 「悔悟の情」は有罪の自認が前提とされており,刑事裁判において公訴事実を否認し,かつ,それを維持して判決確定後も再審請求をしている場合などは「改悛の状なし」と認定される傾向にあるといえる。
② 釈放後の帰住先があることは,上記要件に加えて刑事施設の長が仮釈放の申出をする場合の前提として必要とされている。
③ 国際基準によって求められているのは,当該受刑者が安全に社会復帰できる状態となっているか否かである。そのためには,本人が罪を認め悔い改めることを内容とする「悔悟の情」は不要であり,また,罪の重大さに見合った十分な期間服役したことに加えて,「社会の感情」を考慮することも相当ではない。したがって,本来,「円滑な社会復帰が見込まれる場合」には仮釈放が認められるべきであり,かつ,規則ではなく刑法において具体的な基準が明らかにされるべきである。

2 刑事施設の長又は少年院の長が仮釈放を許すべき旨の申出をするかどうかの審査基準
   社会内処遇規則28条に定める基準を具体化した,犯罪をした者及び非行のある少年に対する社会内における処遇に関する事務の運用について(平成20年5月9日付の法務省矯正局長及び保護局長の依命通達)8頁及び9頁によれば,刑事施設の長又は少年院の長は,保有する情報の範囲内において,それぞれ当該アからオまでに定める事項を考慮するものとされています。
ア 規則第28条本文における悔悟の情があるかどうかの判断
   申出に係る刑を言い渡される理由となった犯罪の被害の実情についての認識, 当該犯罪を悔いる気持ち及び当該犯罪に至った自己の問題性についての認識の表れと認められる言動の有無及び内容その他の事項
イ 規則第28条本文における改善更生の意欲があるかどうかの判断 次に掲げる事項その他の事項
(ア) 被害者等に対する慰謝の措置の有無及び内容並びに当該措置の計画及び準備の有無及び内容
(イ) 刑事施設における矯正処遇又は少年院における矯正教育への取組の状況
(ウ) 反則行為又は紀律に違反する行為の有無及び内容その他の刑事施設又は少年院における生活態度
(エ) 釈放後の生活の計画の有無及び内容その他の健全な生活を確保するための行動の有無及び内容
ウ 規則第28条本文における再び犯罪をするおそれがないかどうかの判断 次に掲げる事項その他の事項
(ア) 性格,年齢,経歴及び心身の状況
(イ) 申出に係る刑を言い渡される理由となった犯罪の罪質,動機,態様,結果及び社会に与えた影響
(ウ) 刑事施設における矯正処遇の経過及び効果又は少年院における矯正教育の経過及び成績の推移
(エ) 釈放後の生活環境
(オ) 保護観察において予定される処遇の内容及び効果
(カ) 悔悟の情及び改善更生の意欲の程度
エ 規則第28条本文における保護観察に付することが改善更生のために相当であるかどうかの判断 次に掲げる事項その他の事項
(ア) 刑事施設又は少年院において予定される処遇の内容及び効果
(イ) アからウまでに定める事項
オ 社会の感情が仮釈放を是認するかどうかの判断 次に掲げる事項その他の事項
(ア) 被害者等の感情
(イ) (ア)に掲げるもののほか,収容期間及び仮釈放を許すかどうかに関する関係人及び地域社会の住民の感情
(ウ) 裁判官又は検察官から表明されている意見
(エ) アからエまでに定める事項

3 社会内処遇規則28条に定める基準に該当するかどうかを判断するに当たっての留意事項
   犯罪をした者及び非行のある少年に対する社会内における処遇に関する事務の運用について(平成20年5月9日付の法務省矯正局長及び保護局長の依命通達)15頁ないし19頁によれば,社会内処遇規則28条に定める基準に該当するかどうかを判断するに当たっての留意事項は以下のとおりです。
(1) 規則第28条に定める基準に該当するかどうかを判断するに当たっては,次に掲げる事項に留意するものとする。
ア 規則第28条は,悔悟の情及び改善更生の意欲があると認められること,再び犯罪をするおそれがないと認められること,保護観察に付することが改善更生のために相当であると認められること並びに社会の感情が仮釈放を是認すると認められることの4つの要件を掲げており,仮釈放を許すにはこれらのいずれもが満たされることが必要であるとされていること。
イ アの4つの要件のうち,悔悟の情及び改善更生の意欲があると認められることは,仮釈放を許すことの中心的な要件であり, これが認められるかどうかが,他の要件に先立って,判断されるべきであること。
ウ 悔悟の情及び改善更生の意欲があると認められる審理対象者について,再び犯罪をするおそれがないと認められるかどうかが判断されるべきであること。この場合において,悔悟の情及び改善更生の意欲があると認められることは,通常,再び犯罪をするおそれがないことを推認させることになるが,審理対象者の性格,年齢,経歴,心身の状況その他の事情を考慮したときに,なおこれが認められるかどうかが判断されるべきであること。
エ 保護観察に付することが改善更生のために相当であることは,仮釈放を許すことの包括的な要件であると考えられ,悔悟の情及び改善更生の意欲があり,再び犯罪をするおそれがないと認められる審理対象者について, これが認められるかどうかが判断されるべきであること。 この場合において,悔悟の情及び改善更生の意欲があり,再び犯罪をするおそれがないと認められることは,通常,保護観察に付することが改善更生のために相当であることを推認させることになるが,総合的かつ最終的に実質的相当性を判断する観点から,なおこれが認められるかどうかが判断されるべきであること。
オ 社会の感情が仮釈放を是認するかどうかは,悔悟の情及び改善更生の意欲があり,再び犯罪をするおそれがなく,かつ,保護観察に付することが改善更生のために相当であると認められる審理対象者について判断されるべきであること。 この場合において,悔悟の情及び改善更生の意欲があり,再び犯罪をするおそれがなく,かつ,保護観察に付することが改善更生のために相当であると認められることは,通常,社会の感情が仮釈放を是認することを推認させるが,なおも仮釈放を許すことが刑罰制度の原理及び機能を害しないかどうかを最終的に改めて確認する観点から,なおこれが認められるかどうかが判断されるべきであること。
(2)  (1)のイにより悔悟の情及び改善更生の意欲があるかどうかを判断するに当たっては,次に掲げる事項に留意するものとする。
ア 悔悟の情があると認められるためには,審理対象者が審理に係る刑を言い渡される理由となった犯罪による被害の実情及び当該犯罪に至った自己の問題性を正しく認識していることを前提とし,その上で悔いる気持ちが認められることが必要であること。
イ アの悔いる気持ちが特に強く認められるときは,その旨の評価をすること。
ウ アに掲げる事項を考慮するに当たっては,面接における審理対象者による悔悟を表す発言及び申告票又は6の(3)のエの書面(以下「申告票等」 という。 )に記載された悔悟を表す文言のみならず,審理に係る刑を言い渡される理由となった犯罪による被害の実情についての認識, 当該犯罪に至った自己の問題性についての認識及び当該犯罪を悔いる気持ちの表れと認められる言動その他の事項を考慮し, 当該悔悟を表す発言又は文言が真しな気持ちに基づくものであるかどうかを証明することとなる客観的事実を把握すべきであること。
エ 改善更生の意欲があると認められるためには,審理対象者が審理に係る刑を言い渡される理由となった犯罪による被害者等に対してどのように償うべきかを正しく認識し,かつ,償いをする気持ちがあることを前提とし,その上で再び犯罪をしないためにどのような生活を送るべきかを正しく認識し,かつ,過去の生活を改め健全な生活を送る気持ちが認められることが必要であること。
オ エの償いをする気持ち又は過去の生活を改め健全な生活を送る気持ちが特に強く認められるときは,その旨の評価をすること。
カ エに掲げる事項を考慮するに当たっては,次に掲げる事項その他の事項を考慮し,客観的事実を把握すべきであること。
(ア) 被害者等に対する慰謝の措置の有無及び内容並びに当該措置の計画及び準備の有無及び内容
(イ) 刑事施設における矯正処遇又は少年院における矯正教育への取組の状況
(ウ) 反則行為又は紀律に違反する行為の有無及び内容その他の刑事施設又は少年院における生活態度
(エ) 釈放後の生活の計画の有無及び内容その他の健全な生活を確保するための行動の有無及び内容
(3) (1)のウにより再び犯罪をするおそれがないかどうかを判断するに当たっては,次に掲げる事項に留意するものとする。
ア  「再び犯罪をするおそれ」には,仮釈放中の再犯のおそれ及び仮釈放期間経過後の再犯のおそれが含まれるところ,前者の意味での再犯のおそれについては,何らかの犯罪をするおそれが合理的に想定し得ない程度に至っていなければならないのに対し,後者の意味での再犯のおそれについては,再犯のおそれが相当程度現実的でなければ, この意味での再犯のおそれはないと認められるものであると考えられること。
イ 悔悟の情及び改善更生の意欲が特に強く認められたときは,再び犯罪をするおそれがないことを示すものとして,一定の評価をすること。
ウ 次に掲げる事項その他の事項を考慮すべきであること。
(ア) 性格,年齢,経歴及び心身の状況
(イ) 審理に係る刑を言い渡される理由となった犯罪の罪質,動機,態様,結果及び社会に与えた影響
(ウ) 刑事施設における矯正処遇の経過及び効果又は少年院における矯正教育の経過及び成績の推移
(エ) 釈放後の生活環境
(オ) 保護観察において予定される処遇の内容及び効果
(カ) 悔悟の情及び改善更生の意欲の程度
(4) (1)のエにより保護観察に付することが改善更生のために相当であるかどうかの判断に当たっては,次に掲げる事項その他の事項を考慮するものとする。
ア 刑事施設又は少年院において予定される処遇の内容及び効果
イ (2)のウ及び力並びに(3)のウに掲げる事項
(5) (1)のオにより社会の感情が仮釈放を是認するかどうかを判断するに当たっては,次に掲げる事項に留意するものとする。
ア 被害者等や地域社会の住民の具体的な感情は,重要な考慮要素となるものの, 「社会の感情」 とは,それらの感情そのものではなく,刑罰制度の原理・機能という観点から見た抽象的・観念的なものであることに留意して判断を行うこと。
イ 次に掲げる事項その他の事項を考慮すべきであること。
(ア) 被害者等の感情
(イ) (ア)に掲げるもののほか,収容期間及び仮釈放を許すかどうかに関する関係人及び地域社会の住民の感情
(ウ) 裁判官又は検察官から表明されている意見
(エ)  (2)のウ及び力, (3)のウ並びに(4)のアに掲げる事項

仮釈放

1 総論
(1) 仮釈放等とは,地方更生保護委員会の決定(更生保護法16条)によって,収容期間が満了する前に被収容者を一定の条件を付して仮に釈放することをいい,以下の4種類があります(社会内処遇規則9条参照)。
① 懲役又は禁錮に受刑者に対する仮釈放(刑法28条)
→ かつては「仮出獄」といわれていました。
② 拘留受刑者又は労役場留置者に対する仮出場(刑法30条)
③ 少年院収容者の仮退院(少年院法12条2項)
④ 婦人補導院収容者の仮退院(売春防止法25条1項)
(2) ①刑の時効期間の満了,及び②仮釈放の残刑期間の満了は,どちらも刑罰執行権を消滅させる点で共通しています。
(3) 仮釈放は懲役受刑者及び禁錮受刑者が対象であるのに対し,仮出場は拘留受刑者及び労役場留置者が対象です。
(4) 無期刑受刑者に対する仮釈放制度の改善を求める日弁連意見書(2010年12月17日付)16頁に書いてあるとおり,仮釈放を許さない処分は決定をもってなされるわけではない(更生保護法39条1項)ため,審査請求をすることはできません(更生保護法92条参照)。

(5) 仮釈放を許された者は,仮釈放の期間中,3号保護観察に付されます(更生保護法40条及び48条3号)。

2 仮釈放の手続
(1) 仮釈放の手続は以下のとおりであり,詳細については,平成20年6月1日施行の,犯罪をした者及び非行のある少年に対する社会内における処遇に関する規則(平成20年4月23日法務省令第28号)(略称は「社会内処遇規則」です。)で定められています。
① 法定期間経過の通告
   刑事施設の長又は少年院の長は,懲役又は禁錮の刑の執行のため収容している者について,(a)刑法28条所定の期間(有期の懲役刑又は禁固刑の場合は刑期の3分の1であり,無期刑の場合は10年),又は(b)少年法58条1項所定の期間(無期刑の場合は7年であり,有期刑の場合は3年であり,不定期刑の場合は刑の短期の3分の1)が経過したときは,その旨を地方更生保護委員会に通告しなければなりません(更生保護法33条)。
② 審理の開始
   地方更生保護委員会は,(a)刑事施設の長若しくは少年院の長からの申出又は(b)自らの判断に基づいて審理を開始します(更生保護法34条,35条)。
③ 仮釈放の審理
   地方更生保護委員会の委員が直接,受刑者である審理対象者と面接をするほか(更生保護法37条1項),必要に応じて被害者やその遺族,検察官等にも意見を聞くなどします(更生保護法37条及び38条)。
④ 仮釈放の決定
   地方更生保護委員会は,3人の委員をもって構成する合議体の決定(更生保護法23条1項1号)をもって,仮釈放を許す処分をします(更生保護法39条)。
(2)ア 仮釈放を許す処分は,懲役又は禁錮の刑の執行のため刑事施設又は少年院に収容されている者について,①悔悟の情及び改善更生の意欲があり,②再び犯罪をするおそれがなく,かつ,③保護観察に付することが改善更生のために相当であると認められるほか,④社会の感情がこれを是認すると認められるときになされます(社会内処遇規則28条)。
イ 刑事施設の長は,社会内処遇規則28条に定める基準に該当すると認める場合,地方更生保護委員会に対し,仮釈放を許すべき旨の申出(更生保護法34条1項)をするものとされています(社会内処遇規則12条1項)。
(3) 地方更生保護委員会は,仮釈放を許すか否かに関する審理を行うに当たり,被害者等から,審理対象者の仮釈放に関する意見及び被害に関する心情(=意見等)を述べたい旨の申出があったときは,当該意見等を聴取するものとされています(意見等聴取制度)(更生保護法38条)。
(4) 法務省HPの「第1回更生保護の犯罪被害者等施策の在り方を考える検討会(令和元年5月16日)」「配布資料2 更生保護の被害者等施策の概要」に,①被害者等通知制度,②意見等聴取制度及び③心情等伝達制度に関する詳しい説明が書いてあります。

3 仮釈放に効くかも知れないこと
(1) 「犯罪予備軍のための刑務所マニュアル」ブログに以下の記事があります。
① 仮釈放には何がキクのか⑩・・・仮釈放の嘘と誤解〔仮釈放〕
→ 懲罰を受けるようなことをしない,身元引受人(ガラ受け)を早くから整えておく,反省の態度を日々アピールする,社会復帰の意欲を日々アピールすることが大事とのことです。
② 仮釈放には何がキクのか⑪・・・うっかり受けると仮釈放が遅れるもの〔仮釈放〕
→ 仮釈放の予備面接が近づいた場合,新たな教育は受けない方がいいみたいです。
(2) 私は,リンク先の記載が正しいかどうかの判断材料を持っていませんが,参考になると思います。

4 定期刑の仮釈放許可人員の刑の執行率
(1) 法務省HPに載ってある「平成30年版 犯罪白書」の「第1節 仮釈放と生活環境の調整」によれば,「定期刑の仮釈放許可人員の刑の執行率の区分別構成比の推移等」は以下のとおりです。
・ 昭和62年の場合,執行率70%未満が20.2%,70%以上80%未満が28.8%,80%以上90%未満が33.1%,90%以上が17.9%でした。
・ 平成 9年の場合,執行率70%未満が7.9%,70%以上80%未満が28.1%,80%以上90%未満が35.4%,90%以上が28.6%でした。
・ 平成19年の場合,執行率70%未満が4.9%,70%以上80%未満が27.5%,80%以上90%未満が42.4%,90%以上が285.2でした。
・ 平成29年の場合,執行率70%未満が1.3%,70%以上80%未満が17.9%,80%以上90%未満が45.5%,90%以上が35.3でした。
(2) 「犯罪予備軍のための刑務所マニュアル」ブログの「刑務所には当たり・ハズレがある?②」には,初犯の場合,刑期の70%で仮釈放をもらう人はまずいないのであって,刑期の75%から85%ぐらい勤めた時点で仮釈放をもらえると書いてあります。

5 無期刑の仮釈放
(1) 無期刑とは,刑期が終身にわたるもの,すなわち,受刑者が死亡するまでその刑を科するというものです。
   つまり,仮釈放が許されなければ,死亡するまで刑務所等の刑事施設で刑の執行を受けるものであり,仮釈放が許されたとしても,一生保護観察に付されるものです。
   そのため,結局,無期刑を言い渡された者については,刑の執行の免除(恩赦の一種です。)を受けない限り,生涯にわたり国の監督下に置かれることになります。
(2) 法務省保護局HPの「無期刑受刑者の仮釈放の運用状況等について」に,直近10年分の,無期刑の執行や無期刑受刑者に係る仮釈放審理の状況が書いてあります。
(3) その余の詳細については,「恩赦の件数及び無期刑受刑者の仮釈放」を参照してください。

6 再審請求中の仮釈放及び刑の執行停止
(1) 再審請求中の仮釈放
ア 再審請求中に仮釈放が認められた事例としては以下のものがあります。
① 昭和44年11月14日の仮釈放
・ 受刑者は,昭和27年1月21日発生の白鳥事件(警察官射殺事件)について懲役20年の判決を受けていました。
・ 白鳥事件に関する最高裁昭和50年5月20日決定は,「刑訴法四三五条六号にいう「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」であるかどうかの判断に際しても、再審開始のためには確定判決における事実認定につき合理的な疑いを生ぜしめれば足りるという意味において、「疑わしいときは被告人の利益に」という刑事裁判における鉄則が適用される。」と判示したものの,再審は認めませんでした。
② 昭和52年6月17日の仮釈放
・ 受刑者は,昭和30年5月11日の晩から翌朝に発生した丸正事件(強盗殺人事件)について無期懲役の判決を受けていました。
③ 平成6年12月21日の仮釈放
・ 受刑者は,昭和38年5月1日の狭山事件(孝行1年生の少女を被害者とする強盗強姦殺人事件)について無期懲役判決を受けていました。
・ 弁護人が被害者親族3人が真犯人であるとして殺人罪で東京地検に告発したものの,正当な弁護活動を逸脱したということで,名誉毀損罪により禁錮6月執行猶予1年の有罪判決を言い渡されました。
イ 無期刑受刑者に対する仮釈放制度の改善を求める日弁連意見書(平成22年12月17日付)5頁及び6頁には,前述した三つのケースはいずれも強力な外部の支援運動が存在し,その結果勝ち取られた例外的なケースであり,かつ,近年のように仮釈放運用が消極化する以前の事例であって,現状では,無実を訴える無期受刑者の仮釈放は極めて困難なものになっていると書いてあります。
(2) 再審請求中の刑の執行停止
ア 昭和37年10月頃発生の江津事件(強盗殺人事件)の場合,無期懲役判決を受けた受刑者は,昭和62年2月3日,高齢と病気のため生命の危機にあるということで刑の執行停止の措置が取られ,病院に入院するために釈放されました。
イ この事例では,昭和53年5月,当時の北尻得五郎会長が,後房市が在監している広島刑務所呉支所を,さらに同59年3月には当時の甲斐緯副会長が同じく広島刑務所を訪ね,また,それぞれ中国地方更生保護委員会をも訪問しました(日弁連HPの「江津事件・後房市氏釈放にあたって」(昭和62年2月3日付)参照)。

7 関係する法令及び訓令・通達
(1) 関係する法令
① 更生保護法
② 更生保護法施行令
③ 犯罪をした者及び非行のある少年に対する社会内における処遇に関する規則(略称は「社会内処遇規則」です。)
(2) 関係する訓令・通達
① 犯罪をした者及び非行のある少年に対する社会内における処遇に関する事務規程(平成20年4月23日付の法務大臣訓令)1/32/3及び3/3
② 犯罪をした者及び非行のある少年に対する社会内における処遇に関する事務の運用について(平成20年5月9日付の法務省矯正局長及び保護局長の依命通達)1/32/3及び3/3
③ 処遇上の参考事項の通知等について(平成26年1月8日付の法務省刑事局長の通達)
④ 平成26年1月8日付け法務省刑総第13号通達「処遇上の参考事項の通知等について」の一部改正について(平成28年5月25日付の法務省刑事局長の通達)

8 関連記事
① 仮釈放に関する公式の許可基準
② 恩赦の件数及び無期刑受刑者の仮釈放
③ 戦後の政令恩赦及び特別基準恩赦
④ 死刑囚及び無期刑の受刑者に対する恩赦による減刑
⑤ 恩赦に関する記事の一覧

マル特無期事件

目次
1 最高検マル特無期通達
2 「マル特無期事件」の指定対象
3 マル特無期事件に指定された場合,少なくとも50年ぐらい服役させられるかもしれないこと
4 仮釈放を認めない終身刑に対する批判
5 直近5年間の死刑確定人員及び無期懲役確定人員の推移
6 終身刑の導入に関する日弁連の意見書
7 関連記事

1 最高検マル特無期通達
(1) 「マル特無期事件」に指定された受刑者の場合,終身又はそれに近い期間,服役させられることとなる点で,事実上の終身刑となっています特に犯情悪質等の無期懲役刑確定者に対する刑の執行指揮及びそれらの者の仮出獄に対する検察官の意見をより適正にする方策について(平成10年6月18日付の最高検察庁の次長検事依命通達)」(「最高検マル特無期通達」などといいます。)参照)
(2)ア 最高検マル特無期通達には以下の記載があります。
   同じ無期懲役刑の判決を受けた者でも個々の事件ごとにその犯情には大きな違いがあり,比較的早期に仮出獄が許されてしかるべき者がいる反面,終身又はそれに近い期間の服役が相当と認められる者もいると考えられ,犯情に即した適正な刑の執行が行われるべきである。そして,そのためには,検察官としても,無期懲役受刑者の中でも,特に犯情等が悪質な者については,従来の慣行等にとらわれることなく,相当長期間にわたり服役させることに意を用いた権限行使等をすべきであるので,これらの者に対する刑の執行指揮をより適切に行い,また,仮出獄審査に関する刑務所長・地方更生保護委員会からの意見の照会(以下,「求意見」という。)に対する意見は,より適切で,説得力のあるものとする必要がある。
イ 「仮出獄」という用語は現在,「仮釈放」です。
(3) 最高検マル特無期通達の存在は平成14年1月8日付の朝日新聞の報道によって判明しました(無期刑受刑者に対する仮釈放制度の改善を求める日弁連意見書(2010年12月17日付)8頁)。
(4) 最高検マル特無期通達を補充する通達を以下のとおり掲載しています。
① 最高検察庁におけるマル特無期事件被告人及び受刑者の選定等に関する事務処理要領の制定について(平成10年9月4日付の次長検事依命通達)
② マル特無期事件関係事務の処理について(平成10年9月16日付の最高検察庁総務部長の依命通達)
③ 最高検マル特無期通達の一部改正について(平成18年5月24日付の次長検事依命通達)

2 「マル特無期事件」の指定対象
(1) 「マル特無期事件」の指定対象は不開示情報であるものの,例えば,死刑が求刑されたのに,無期懲役の判決が下された被告人がこれに当たると思います。
(2) 来栖宥子★午後のアダージォブログ「「マル特無期事件」仮釈放許可率=検察官が「反対」の場合は38%だった」(2009年10月19日付)に以下の記載があります(引用元は毎日新聞の記事みたいです。)。
① 検察が「死刑に準ずる」と判断した無期懲役事件を「マル特無期事件」と指定し、仮釈放に際して特別に慎重な審理を求める運用をしていることが分かった。死刑の求刑に対し無期懲役が確定した場合などで、指定事件の対象者は08年までの10年強で380人に上る。
② (山中注:最高検マル特無期)通達の背景には、オウム真理教の一連の事件で、林郁夫受刑者(山中注:平成7年3月20日発生の地下鉄サリン事件の散布役)について検察が「自首により事件の真相究明がなされた」と異例の減軽理由を挙げて無期懲役を求刑し、1審判決(98年5月)で無期刑が確定した経緯がある。凶悪事件の服役囚が仮釈放を許可される事態に備えたとみられる。
(3) 平成20年の年末時点における,無期刑で刑務所にいる人の数は1771人です(法務省HPの「無期刑受刑者の仮釈放の運用状況等について」の掲載資料参照)から,380人÷1771人=21.4%ぐらいの人がマル特無期事件に指定されているのかも知れません。
(4) 「無期懲役に関する質問主意書」(平成30年7月19日付)及び「参議院議員糸数慶子君提出無期懲役に関する質問に対する答弁書」(平成30年7月27日付)が参考になります。
3 マル特無期事件に指定された場合,少なくとも50年ぐらい服役させられるかもしれないこと
(1) ①有期の懲役又は禁錮の上限は30年である(刑法14条)点で,終身に近い服役というのはこれよりも大幅に長い期間の服役を意味すると思われること,②法務省HPの「無期刑受刑者の仮釈放の運用状況等について」に掲載されている資料では,在所期間が「50年以上」という区切りがあること,及び③20歳代で服役を開始して50年が経過すれば70歳代となるところ,日本人の平均寿命は80歳代であることからすれば,最高検察庁がいうところの終身に近い服役というのは,50年ぐらいの服役ということかもしれません。
(2) 受刑者が70歳以上であることは任意的刑の執行停止事由となっています(刑事訴訟法482条2号)。

4 仮釈放を認めない終身刑に対する批判
(1)ア 衆議院議員保坂展人君提出死刑と無期懲役の格差に関する質問に対する答弁書(平成12年10月3日付)には以下の記載があります。
① 仮出獄の制度は、受刑者に将来の希望を与えてその改悛を促すこと等にその趣旨がある。旧刑法第五十三条にも同様の規定が設けられていたところ、在監期間が長期に及ぶ場合の弊害等を考慮し、仮出獄が可能となるまでの期間に修正が加えられて刑法第二十八条が成立したものと承知している。
② 仮釈放を認めない終身刑(以下「終身刑」という。)については、死刑を緩慢に執行するようなものであり、長期間の服役により受刑者の人格が完全に破壊されてしまうなど、死刑よりも残虐であるとの意見もあり、そのような終身刑を創設することについては、慎重な検討が必要であると考えている。
イ 刑法(明治13年7月17日太政官布告第36合)(いわゆる「旧刑法」です。)53条は以下のとおりです。
① 重罪軽罪ノ刑ニ処セラレタル者獄則ヲ謹守シ悛改ノ状アル時ハ其刑期四分ノ三ヲ経過スルノ後行政ノ処分ヲ以テ仮ニ出獄ヲ許スコトヲ得
② 無期徒刑ノ囚ハ十五年ヲ経過スルノ後亦同シ
③ 流刑ノ囚ハ第二十一条ニ照シ幽閉ヲ免スルノ外仮出獄ノ例ヲ用ヒス
(2)ア 仮釈放を認めない終身刑については以下の批判があります。
① 死刑を緩慢に執行するようなものであり、長期間の服役により受刑者の人格が完全に破壊されてしまうなど、死刑よりも残虐であるともいえる。
② 一生閉じ込められていることに変わりがないのであるから懲罰事由に当たることをしても何の効果もなく,刑務所内の秩序を維持することも難しくなる。
③ 隔離されて死を待つだけの存在である終身刑受刑者の処遇は死刑確定者並みということになるところ,これと向き合う刑務官の労力は処遇期間が長期化する点で死刑確定者以上の労力が必要となる。
④ 懲罰が意味を持つ仮釈放の可能性のある受刑者と懲罰が意味を持たない終身刑受刑者を一緒に処遇できない。
イ マル特無期事件に指定された場合,仮釈放を認めない終身刑に対する批判と同様のものが当てはまるところがあります。
   しかし,刑法改正により仮釈放を認めない終身刑を導入された場合において,当該刑に処せられた場合,恩赦による減刑を得た上で,仮釈放をしてもらえない限り刑務所を出られなくなるところ,昭和35年以降,無期懲役からの減刑がありませんし,平成9年以降,減刑自体がありません(「恩赦の件数及び無期刑受刑者の仮釈放」参照)ことからすれば,仮釈放を認めない終身刑が恩赦により減刑されることは事実上あり得ないと思います。
   これに対してマル特無期事件に指定されたに過ぎない場合,仮釈放さえしてもらえれば刑務所を出られますし,マル特無期事件の根拠は検察庁内部の通達に過ぎず,法務大臣の一般的指揮権(検察庁法14条本文)に基づき,法務省限りでその運用を変えられますし,そもそも仮釈放の許可権者は地方更生保護委員会であることからすれば,将来にわたって終身に近い服役を要するとは限りません。
実際,平成20年から平成29年までの数値として,検察官意見が反対ではない場合の許可率が70.2%である(57件中40件で許可)とはいえ,検察官意見が反対である場合の許可率は12.4%です(169件中21件で許可)から,検察官の意見が絶対であるとまではいえません(法務省HPの「無期刑受刑者の仮釈放の運用状況等について」に掲載されている資料表2-9)。
   そのため,仮釈放を認めない終身刑と,マル特無期事件は質的に異なります。
(3)ア 刑法改正により仮釈放を認めない終身刑が導入された場合,死刑判決を免れる人が出る他,マル特無期事件に該当する人を中心として,現行法であれば無期懲役にとどまった人の相当数が,仮釈放を認めない終身刑を言い渡されるという意味では重罰化につながると思います。
   そして,絶対に仮釈放されない点で無期刑受刑者よりもより処遇が困難となる終身刑受刑者を,死ぬまで税金で処遇する必要が発生することとなります。
イ ちなみに,名古屋高裁平成29年10月5日判決は,刑務所長が収容中の受刑者とその友人らとの間の面会申出を不許可としたこと及び信書の発受を禁止したことについて,受刑者及び面会申出者の慰謝料請求を認めました。
   つまり,刑務所は,受刑者の処遇を誤った場合,国家賠償責任を負うということです。
(4) Wikipediaに「終身刑」が載っています。

5 直近5年間の死刑確定人員及び無期懲役確定人員の推移
(1) 法務省の検察統計年報2018年版の表63によれば,死刑及び無期懲役の確定人員の推移は以下のとおりです。
① 直近5年間の死刑確定人員の推移(合計20人)
平成26年:7人,平成27年:2人,平成28年:7人
平成29年:2人,平成30年:2人
② 直近5年間の無期懲役確定人員の推移(合計113人)
平成26年:28人,平成27年:27人,平成28年:15人
平成29年:18人,平成30年:25人
(2) マル特無期事件の指定率が20%であるとした場合,仮に刑法改正により終身刑が導入されれば,改正前であれば無期懲役止まりだった人の20%が終身刑になるかもしれません。

6 終身刑の導入に関する日弁連の意見書
(1) 「量刑制度を考える超党派の会の刑法等の一部を改正する法律案(終身刑導入関係)」に対する日弁連意見書(2008年11月18日付)(意見書全文は18頁あります。)には以下の記載があります(ナンバリング及び改行を追加しました。)。
①   この厳罰化傾向は,法定刑や処断刑の長期化にとどまらず,矯正や保護の分野にまで浸透しつつある。たとえば,矯正の段階で行われている検察庁秘密通達のいわゆるマル特無期刑や,保護の分野における地方更生保護委員会による仮釈放判断の厳格化にも法務検察の影響が強く,仮釈放を難しくしており,無期刑受刑者の仮釈放に至っては絶望的でさえある。
   刑事施設の長が,法務省令で定める基準に該当すると認めて,地方更生保護委員会に仮釈放を許す旨の申出(更生保護法第34条第1項)をしても無期刑受刑者の仮釈放棄却率は20%であり,その他の刑の受刑者の仮釈放棄却率の4%に比し,著しく狭き門になっている。
   無期刑受刑者に関しては,矯正の現場が保護の分野の地方更生保護委員会の仮釈放許可の判断に困惑しているとさえ思われる。
② これまで秘密裏に実施されてきたマル特無期刑者の問題,地方更生保護委員会のあり方,恩赦や仮釈放の運用のあり方,仮釈放許可基準の不明確さといった不透明かつ閉鎖的な制度等が是正されないままで,そこに終身刑を創設すれば,終身刑化している無期刑と終身刑との間のすみ分けを困難にし,現実にも刑適用における混乱を避けることができない。
   とりわけ,死刑を存置したままの終身刑の創設は,世界にも先進国ではアメリカの一部にしか類がなく,死刑という絶望の刑罰に,終身刑というもう一つの絶望を付け加えるものであり,にわかに
これを是認することができない。
③ 死刑と併存する形での終身刑の創設は,従来なら無期刑判決を受けた者の相当数を終身刑判決に格上げする役割を担うだけであって,死刑判決を大きく減らすことはないものと考えるものである。
④ 終身刑が創設されれば,終身刑受刑者には,仮釈放という希望が絶たれており,単に社会から隔離されているだけで,日々生きていく上での支えもない状態になる。一生閉じ込められていることに変わりがないのであるから懲罰事由に当たることをしても何の効果もなく,刑務所内の秩序を維持することも難しくなる。
   また,そもそも,終身刑受刑者には,死刑確定者と同様の処遇をすることになるのか,それとも改善更生と社会復帰に向けた処遇をするのか。前者だとすれば,隔離されて死を待つだけの存在となり,終身刑受刑者の処遇は死刑確定者並みということになり,これと向き合う刑務官の労力は処遇期間が長期化する点で死刑確定者以上の労力が必要となる。後者だとすれば,仮釈放の希望が全くない終身刑受刑者に改善更生や社会復帰に向けた処遇が何故必要かという問題が生じる。
   さらに,仮にこのような処遇をするとして,終身刑受刑者を一般の受刑者と一緒に処遇するのかという問題もある。懲罰が意味を持つ仮釈放の可能性のある受刑者と懲罰が意味を持たない終身刑受刑者を一緒に処遇できないという意見もある。加えて,終身刑受刑者にかかる費用も税金から支出されるのであるから無視できないとする意見もある。
   この意味では,終身刑の創設は,終身刑受刑者にとっても,刑務所や刑務官にとっても不都合だらけの制度であると言わなければならない。
⑤ 終身刑については,死刑廃止国にあっても,極めて稀な制度であり,ヨーロッパでも死刑に代わるものとしてオランダにあるだけであり,死刑を存置しながら,無期刑とは別に,仮釈放の可能性のない終身刑を導入しているのは,アメリカの連邦と35の州並びに中国に例を見るだけである。
(2) 死刑制度の廃止を含む刑罰制度全体の改革を求める宣言(2016年10月7日の日弁連人権擁護大会(福井市)で採択されたもの)には以下の記載があります(ナンバリング及び改行を追加しました。)。
① 当連合会は、2008年11月18日付け「『量刑制度を考える超党派の会の刑法等の一部を改正する法律案(終身刑導入関係)』に対する意見書」において、「無期刑受刑者を含めた仮釈放のあり方を見直し無期刑の事実上の終身刑化をなくし、かつ死刑の存廃について検討することなしに、刑罰として新たに終身刑を創設すること(量刑議連の「刑法等の一部を改正する法律案」)には反対する。」との意見表明を行っている。
   その理由は、死刑制度を存置したまま、仮釈放の可能性のある終身刑の上に仮釈放の可能性のない終身刑を付け加えれば、有期刑の最高刑が30年に長期化されていることと併せ、刑罰制度全体の厳罰化を招く危険性があると考えるためである。
   しかし、死刑が廃止された場合の最高刑については、当連合会はこれまでに意見をまとめたことはない。
② 死刑に代わる最高刑として、刑の言渡し時には「仮釈放の可能性がない終身刑制度」を導入するという選択肢、つまり、言渡し時には生涯拘禁されることを内容とする終身刑の制度を死刑に代わる最高刑として導入することを検討する必要がある。
   ただし、仮に刑の言渡しの時点では仮釈放の可能性が認められない終身刑制度を導入したとしても、「人は変わり得る」のであるから、受刑者が変化し真に更生した場合には、社会に戻る道が何らかの形で残されていなければならない。
   本人が努力しても、釈放の可能性が全くない刑罰に希望はなく、非人道的な刑罰であると言わざるを得ない。
③ 仮釈放の可能性のない終身刑を導入するとしても、将来の減刑の可能性を制度的に残し、例えば、25年以内に本人の更生の進展を審査して仮釈放のある無期刑への減刑の可能性を認めるかどうかについて、受刑者の申立てに基づいて再審査を行うなどの制度を確保しなければならないのである。
   そして、このような再審査は、行政機関による恩赦措置としても可能であるが、フランス、イタリアやスペインの行刑裁判官が担っているような役割を裁判所が担い、裁判所が刑の変更の可否を検討する制度設計が望ましい。
④ このような刑罰制度の改革と同時に、後記する無期刑の仮釈放制度の改革を確実に実現し、受刑30年を経過しても、多くの無期受刑者について仮釈放の審査の機会すら保障されないという異常な現状を、同時に改革しなければならない。

7 関連記事
   以下の記事も参照してください。
① 死刑執行に反対する日弁連の会長声明等
② 死刑囚及び無期刑の受刑者に対する恩赦による減刑
→ 死刑が確定した後,個別恩赦により無期懲役に減刑した事例は昭和50年6月17日が最後であり(GHQ占領下の事件に関するものです。),無期懲役が確定した後,個別恩赦により減刑した事例(仮釈放中の人は除く。)は昭和35年以降は存在しません。
③ 恩赦の件数及び無期刑受刑者の仮釈放
→ 日弁連HPの「無期刑受刑者に対する仮釈放制度の改善を求める意見書」(平成22年12月17日付)にも言及しています。
④ 恩赦に関する記事の一覧

法務省の定員に関する訓令及び通達

1 「法務省定員細則の一部を改正する訓令」を以下のとおり掲載しています。
・ 平成31年4月1日時点のもの
・ 平成30年4月1日時点のもの
 平成29年4月1日時点のもの

2(1) 「本省内部部局の職員の配置定員について」(法務省大臣官房人事課長の依命通達)を以下のとおり掲載しています。
・ 平成31年4月1日時点のもの
 平成30年4月1日時点のもの
・ 平成29年4月1日時点のもの
(2) 本省の指定職は13人であり,そのうちの9人は検事です。また,法務省本省には92人の検事がいます。

3(1) 「法務局及び地方法務局の職員の配置定員について」(法務省大臣官房人事課長の依命通達)を以下のとおり掲載しています。
・ 平成31年4月1日時点のもの
・ 平成30年4月1日時点のもの
・ 平成29年4月1日時点のもの
(2) 高松法務局長を除く7つの法務局長ポストは指定職となっています。

4(1) 「刑務所,少年刑務所及び拘置所の職員の配置定員について」(法務省大臣官房人事課長の依命通達)を以下のとおり掲載しています。
・ 平成31年4月1日時点のもの
 平成30年4月1日時点のもの
・ 平成29年4月1日時点のもの
(2)ア 法務省が作成した,施設別収容定員・現員(刑事施設,少年院及び少年鑑別所)を以下のとおり掲載しています。
・ 平成30年12月末現在速報値
・ 平成29年12月末現在速報値
・   
平成28年12月末現在速報値
イ 平成28年12月末現在,刑事施設の収容率は62.6%,少年院の収容率は43.6%,少年鑑別所の収容率は18.1%です。
(3) 
国は,拘置所に収容された被勾留者に対して,その不履行が損害賠償責任を生じさせることとなる信義則上の安全配慮義務を負いません(最高裁平成28年4月21日判決)。

5 「保護観察所の職員の配置定員について」(法務省大臣官房人事課長の依命通達)を以下のとおり掲載しています。
・ 平成31年4月1日時点のもの
・ 平成30年4月1日時点のもの
・ 平成29年4月1日時点のもの

6(1) 「検察庁の職員の配置定員」(法務省大臣官房人事課長の依命通達)を以下のとおり掲載しています。
・ 平成31年4月1日時点のもの
・ 平成30年4月1日時点のもの
・ 平成29年4月1日時点のもの
 平成28年4月1日時点のもの 
(2)   平成28年度につき,例えば,東京地検の場合,検事の定員が595人であり,副検事の定員が183人であり,合計778人ですし,大阪地検の場合,検事の定員が188人であり,副検事の定員が42人であり,合計230人です。

令和元年の司法書士法及び土地家屋調査士法改正に関する法務省民事局の御説明資料

司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律案(第198回国会閣法第46号)に関する御説明資料(法務省民事局)の本文は以下のとおりです。

1 趣旨
   近時の司法書士制度及び土地家屋調査士制度を取り巻く状況の変化を踏まえ,司法書士及び士地家屋調査士について,それぞれ,その専門職者としての使命を明らかにする規定を設けるとともに,懲戒権者を法務局又は地方法務局の長から法務大臣に改める等の懲戒手続に関する規定の見直しを行うほか,社員が一人の司法書士法人及び士地家屋調査士法人の設立を可能とする等の措置を講ずるため,司法書士法(昭和25年法律第197号)及び土地家屋調査士法(昭和25年法律第228号)について,一部改正を行う。

2 司法書士及び土地家屋調査士に関する概況
(1) 司法書士は,不動産登記のうちの権利に関する登記や商業登記,供託等についての法務局に対する申請の代理等のほか,裁判所に提出する書類の作成の代理等を行うことを主たる業務とするものであり(司法書士法第3条第1項),資格試験等を実施することにより,そのために必要な法律知識を備えていることを担保している。
   他方,土地家屋調査士は,不動産登記のうちの表示に関する登記の申請の代理等を行うことを主たる業務とするものであり(土地家屋調査士法第3条第1項) ,資格試験等を実施することにより,そのために必要な測量等の知識や法律知識を備えていることを担保している。
(2) 司法書士については,近時,簡裁訴訟代理等関係業務や成年後見・財産管理業務等への関与が増加している。
   また,土地家屋調査士については,表示に関する登記や筆界,測量に関する専門性を活用して法務局に備え付ける地図(不動産登記法(平成16年法律第123号)第14条第1項)の作成や国士調査法(昭和26年法律第180号)に基づく地籍調査等の分野においてもその活躍の場を広げている。
   加えて,司法書士及び土地家屋調査士ともに,少子高齢化の進展や大規模自然災害の発生等を背景として問題となっている空家問題・所有者不明土地問題への対策について,不動産に関する専門的知識を有する者として参画しているほか, 自然災害における復興支援にも参画するなど,近年その専門性を発揮することが求められる場面は大きく拡大している。
【参照条文】
○不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)
(地図等)
第十四条 登記所には,地図及び建物所在図を備え付けるものとする。
2~6 (略)

3 改正事項の概要
(1) 司法書士法の一部改正
ア 使命を明らかにする規定の新設(新第1条及び第46条第1項関係)
   司法書士法は第1条に目的規定を置き,「この法律は,司法書士の制度を定め,その業務の適正を図ることにより,登記,供託及び訴訟等に関する手続の適正かつ円滑な実施に資し,もって国民の権利の保護に寄与することを目的とする。」としている。この目的規定は昭和53年の司法書士法の一部改正により新設されたものであり,司法書士の業務範囲に関する規定が整備され,登記又は供託に関する手続についての申請代理や裁判所等に提出する書類の作成代理が業務内容であることが明示されたことを踏まえ,「登記,供託及び訴訟等に関する手続」の円滑な実施に資すること等を目的とすることとしたものである。
   平成14年の司法書士法の一部改正においては,簡裁訴訟代理権が付与された。
   上記2記載のとおり,司法書士制度を取り巻く状況の大きな変化に伴い,司法書士が実際に取り扱っている業務の内容は拡大し,社会における役割が増大していることに鑑みると,司法書士法の定めるところによりその業務とする法律事務の専門家として,より広い分野において,国民の権利の擁護等に資する活動を行う使命を負っていることを司法書士法の冒頭で宣明することが適切であると考えられる。
   また,このことにより,司法書士にその職責(司法書士法第2条)をよく自覚させることができ,資質の更なる向上を図ることにもつながると考えられる。
   そこで,司法書士は,司法書士法の定めるところによりその業務とする登記,供託,訴訟その他の法律事務の専門家として,国民の権利の擁護を図り, 自由かつ公正な社会の形成に寄与することを使命とする旨の規定を新設することとした。
   なお,士業法の中には目的規定と使命規定とを併存させるものはないことから, これと整合を図り,今般の使命規定の新設に伴い,目的規定を削除することとした。
(注)使命規定を有する他の職業専門資格士法
公認会計士法(昭和23年法律第103号),弁護士法(昭和24年法律第205号),税理士法(昭和26年法律第237号),弁理士法
【参照条文】
○公認会計士法(昭和二十三年法律第百三号)
(公認会計士の使命)
第一条 公認会計士は,監査及び会計の専門家として,独立した立場において,財務書類その他の財務に関する情報の信頼性を確保することにより,会社等の公正な事業活動,投資者及び債権者の保護等を図り,もって国民経済の健全な発展に寄与することを使命とする。
○弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)
(弁護士の使命)
第一条 弁護士は,基本的人権を擁護し,社会正義を実現することを使命とする。
2 (略)
○税理士法(昭和二十六年法律第二百三十七号)
(税理士の使命)
第一条 税理士は,税務に関する専門家として,独立した公正な立場において,申告納税制度の理念にそって,納税義務者の信頼にこたえ,租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。
○弁理士法(平成十二年法律第四十九号)
(弁理士の使命)
第一条 弁理士は,知的財産(知的財産基本法(平成十四年法律第百二十二号)第二条第一項に規定する知的財産をいう。以下この条において同じ。)に関する専門家として,知的財産権(同条第二項に規定する知的財産権をいう。)の適正な保護及び利用の促進その他の知的財産に係る制度の適正な運用に寄与し,もって経済及び産業の発展に資することを使命とする。
イ 懲戒に関する規定の整備
(ア) 懲戒権者を法務大臣とすること(新第47条,第48条第1項,第49条第1項~第3項,第50条第1項・第2項,第51条,第60条,第70条,第71条の2関係)
   司法書士法は,司法書士及び司法書士法人(以下「司法書士等」という。)に対する懲戒を,事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の長(以下「管轄法務局長」という。)の権限としている(同法第47条,第48条) 。一般に,懲戒権者は任命権者がなるのが通例であるが(国家公務員法(昭和22年法律第120号)第84条第1項等),司法書士等の業務の中心が登記等の法務局における事務であることから, 司法書士法の制定当初である昭和25年から,司法書士等の懲戒事由の存否を最もよく知り得る管轄法務局長に懲戒権限を持たせたものとされている(注1) 。
   もっとも,近年は,簡裁訴訟代理等関係業務や成年後見・財産管理業務(注2)など,裁判所が所管しているために必ずしも管轄法務局長において懲戒事由の存否を把握することが容易であるとはいえないものが多くなっている。また,複数の法務局又は地方法務局にまたがって事務所を設置する大規模な司法書士法人の増加(注3)や,オンラインによる登記申請の増加等も背景とした活動の広域化により,管轄区域外の法務局又は地方法務局への申請を行う機会も増加していることから,管轄法務局長が懲戒事由をよく知り得るとはいえない状況が生まれている。
   他方で,司法書士等に対する懲戒処分については,法務大臣が量定の大枠の基準を定めているものの(司法書士等に対する懲戒処分に関する訓令(平成19年5月17日付け法務省民二訓第1081号)),近年司法書士等の活動領域が拡大していることに伴って,ある行為が懲戒事由に該当するかどうかの法的判断や量定にも困難を伴う例も増えてきている。
   そこで,司法書士等に対する懲戒権者を管轄法務局長からその上級行政庁と位置付けられる法務大臣に改める必要があると考えられる。
   加えて,活動範囲が広範な司法書士法人等を前提とすれば,管轄法務局長以外の法務局又は地方法務局の長(以下,単に「法務局長」という。)が法務大臣の一元的な指揮の下で連携・分担を図りながら対応を行うことも可能となるものと考えられる。
   そこで,一部の事実調査事務等については広く全国の法務局長に委ねることも可能とする規定を新設することとしつつ(法務大臣の権限の委任規定を設け,それにより,法務大臣の権限の一部を委譲する。),懲戒権者については管轄法務局長から法務大臣に変更する改正を行うこととした(注4)(注5) 。
   なお,委譲する法務大臣の権限は,具体的には,事実の調査に関する権限等にとどめ,懲戒手続全体の指揮のほか,懲戒処分の要否及びその内容の決定については,法務大臣が行うこととすることを想定している。
   また,懲戒権者を法務大臣に変更することに伴い,従たる事務所の所在地を管轄する法務局長の懲戒権に関する規定(司法書士法第48条第2項)が不要となることから,併せて,この規定を削除することとした。
(注1)現在の司法書士制度の出発点である司法代書人を法的資格として確立した「司法代書人法(大正8年法律第48号) 」においては, 「司法代書人ハ地方裁判所ノ所属トス」(第2条) ,「司法代書人ハ地方裁判所ノ監督ヲ受ク」(第3条第1項)とされていた。
(注2)後見・財産管理等業務の件数
平成23年: 1万4926件
→平成29年: 6万4461件(約4倍の増)
(注3)複数の法務局又は地方法務局にまたがって事務所を設置する司法書士法人の数の推移
平成20年4月1日時点: 95法人
→平成30年4月1日時点: 258法人(約3倍の増)
(注4)公共嘱託登記司法書士協会に対する懲戒権者について
   現行法上,法務局又は地方法務局の管轄区域ごとに,当該区域内に事務所を有する司法書士又は司法書士法人のみが社員となって,その専門的能力を結合して官公署等からの登記の嘱託(いわゆる「公共嘱託」)の適正かつ迅速な実施に寄与することを目的とする一般社団法人として,公共嘱託登記司法書士協会(以下「協会」という。)に関する規定が定められており,その成立については管轄法務局長への届出を要するとされている(司法書士法第68条及び第68条の2)。そして,協会に対しても懲戒権に関する規定があり,その懲戒権者は管轄法務局長である(同法第70条において準用する第48条)が,この懲戒権は,管轄法務局長による監督上の命令(同法第69条の2第2項)に協会が違反した場合の制裁等のためのものであり,司法書士又は司法書士法人に対する懲戒とはその意味を異にする。
   また,協会の業務や財産の状況の検査等の日常的な監督権の行使については, 引き続き管轄法務局長とするのが合理的であり,今次改正案において司法書士・司法書士法人について懲戒権者を法務大臣とする趣旨も当てはまらない。
   以上により,協会に対する懲戒権限は, 引き続き管轄法務局長の権限とすることとするなど改正の対象外とした。
   なお,今般の改正により,協会に対する懲戒権者が司法書士法人に対する懲戒権者と異なることとなる。このことを明らかにするため,同法第70条において準用する懲戒に関する規定については,「法務大臣」を「第六十九条の二第一項に規定する法務局又は地方法務局の長」と読み替える旨の規定を置くこととした。
(注5)懲戒を地方支分機関の長ではなく,所管大臣の権限としている他の職業専門資格士法)
公認会計士法(権限委任規定あり),税理士法,社会保険労務士法(昭和43年法律第89号。権限委任規定あり。),弁理士法
【参照条文】
○国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)
(懲戒権者)
第八十四条 懲戒処分は,任命権者が,これを行う。
2 人事院は,この法律に規定された調査を経て職員を懲戒手続に付することができる。
      ※他の参照条文は別紙の1のとおり。
(イ) 懲戒に係る除斥期間の新設(新第50条の2関係)
   司法書士法には,懲戒について,弁護士法のような除斥期間(同法第63条)に関する規定がない。そのため,業務を行ってから相当程度の期間を経過した後に懲戒の求めがされた際,当時の資料等の廃棄や記憶の忘失等により,司法書士等において十分な防御をすることができなくならないように,司法書士等は業務に関する資料等の保存に相当な費用を負担し続けなければならず,過大な負担となっているとの指摘がされている。
   そこで,司法書士等に対する懲戒について,除斥期間を新設することとした。
   なお,除斥期間の具体的な年数については,例えば弁護士については,3年の除斥期間が設けられているところである。これに対し, 司法書士の業務は,紛争性のない権利変動についての登記の申請の代理など,一般に懲戒の事由の発覚に時間がかかるものも少なくない。加えて,司法書士がその業務において作成する資料のうちには,法令の規定に基づき7年間保存する必要があるものも存在する(犯罪による収益の移転防止に関する法律(平成19年法律第22号)第6条第2項参照)。これらを踏まえると,今般,司法書士法において新たに除斥期間を設けるに当たっては,その年数を7年とすることが相当である。
【参照条文】
○弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)
(除斥期間)
第六十三条 懲戒の事由があったときから三年を経過したときは,懲戒の手続を開始することができない。
○犯罪による収益の移転防止に関する法律(平成十九年法律第二十二号)
(確認記録の作成義務等)
第六条 特定事業者は,取引時確認を行った場合には,直ちに,主務省令で定める方法により, 当該取引時確認に係る事項, 当該取引時確認のためにとった措置その他の主務省令で定める事項に関する記録(以下「確認記録」という。)を作成しなければならない。
2 特定事業者は,確認記録を,特定取引等に係る契約が終了した日その他の主務省令で定める日から,七年間保存しなければならない。
(ウ) 戒告における聴聞手続の必要的実施(新第49条第3項関係)
   司法書士法は,懲戒の内容として,司法書士については戒告,2年以内の業務の停止及び業務の禁止を,司法書士法人については戒告,2年以内の業務の全部又は一部の停止及び解散を定めている(同法第47条,第48条)。このうち,戒告以外の懲戒処分については聴聞が必要的なものであるが,戒告については聴聞の機会の付与は必要的なものではない(同法第49条第3項・第4項,行政手続法(平成5年法律第88号)第13条第1項第1号ロ) 。
   もっとも,戒告であっても,その処分内容が国民に開示され,司法書士等の経歴として記録されることなどからすれば,司法書士等に対して与える事実上の不利益が大きく,その手続保障を図る必要があるとの指摘がされている。
   そこで,司法書士等に対する戒告についても,聴聞手続を必要的なものとする改正を行うこととした(注) 。
(注)戒告について,法律上,聴聞手続を必要的としている他の職業専門資格士法
公認会計士法,海事代理士法(昭和26年法律第32号),社会保険労務士法,弁理士法
【参照条文】
○行政手続法(平成五年法律第八十八号)
(不利益処分をしようとする場合の手続)
第十三条 行政庁は,不利益処分をしようとする場合には,次の各号の区分に従い, この章の定めるところにより, 当該不利益処分の名あて人となるべき者について, 当該各号に定める意見陳述のための手続を執らなければならない。
一 次のいずれかに該当するとき聴聞
イ 許認可等を取り消す不利益処分をしようとするとき。
ロ イに規定するもののほか,名あて人の資格又は地位を直接にはく奪する不利益処分をしようとするとき。
ハ 名あて人が法人である場合におけるその役員の解任を命ずる不利益処分,名あて人の業務に従事する者の解任を命ずる不利益処分又は名あて人の会員である者の除名を命ずる不利益処分をしようとするとき。
ニ イからハまでに掲げる場合以外の場合であって行政庁が相当と認めるとき。
二 前号イから二までのいずれにも該当しないとき弁明の機会の付与
      ※他の参照条文については別紙の2のとおり。
(エ) 清算結了後の司法書士法人に対する懲戒規定の新設(新第48条第2項)
   司法書士法は,戒告以外の懲戒処分について,司法書士登録の取消しを制限する規定を設けているが,清算結了の登記をした司法書士法人に対して懲戒処分をすることができる旨の規定を設けていない。
   もっとも,現行の司法書士法においては,清算を結了した司法書士法人については,法人格が消滅し,処分の名宛て人が消滅するため,これに対しては,もはや懲戒処分をすることができないものと解される。そのため, このことを利用して,懲戒手続に付された司法書士法人が,清算を結了させて法人格を消滅させることによって,懲戒処分を免れようとする事態が生じ得る。
   そこで,このような脱法的な行為を防止し,懲戒処分の実効性を確保するため,懲戒手続に付された司法書士法人については,清算結了の登記をした場合であっても, なお存続しているものとみなして懲戒することができる旨の規定を新設することとした(注) 。
(注)清算結了後の職業専門資格法人に対する懲戒に関する規定を設けている他の職業専門資格士法
公認会計士法,弁護士法,行政書士法(昭和26年法律第4号),税理士法,社会保険労務士法
【参照条文】
○弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)
(登録換等の請求の制限)
第六十二条(略)
2~4 (略)
5 懲戒の手続に付された弁護士法人は,清算が結了した後においても,この章の規定の適用については,懲戒の手続が結了するまで,なお存続するものとみなす。
      ※他の参照条文については別紙の3のとおり。
ウ   一人司法書士法人の許容(新第22条第2項第2号,第32条第1項,第44条第1項第7号・第2項,第44条の2,第46条第3項関係)
   司法書士法は,社員が一人の司法書士法人の設立等を許容しておらず,社員が2人以上でなければ設立することができず, また,社員が一人になり,そのなった日から引き続き6月間その社員が2人以上にならなかった場合においても,その6月を経過した時に解散することとされている(司法書士法第22条第2項第2号,第32条第1項,第44条第2項)。これらの規定は,司法書士の利用者の多様なニーズに対応するため業務の質を向上させるとともに,司法書士による継続的かつ安定的な業務提供や賠償責任能力の強化等の観点から,平成14年の司法書士法の一部改正により司法書士の事務所の法人化が認められた際に設けられたものである。
   もっとも,上記改正当時において,一人司法書士法人を認める必要性に乏しく,弁護士法とは異なり,司法書士法には一人司法書士法人の設立等を許容する旨の規定が置かれなかった。
   しかし,近年では,例えば,親と子の2人が社員となって司法書士法人を設立していたケースにおいて,その親が死亡したものの,新たな社員を探すことができず,司法書士法人を清算しなければならなくなる事態が生ずるなど,一人法人を許容しないために法人制度の利便性が損なわれているとの指摘がされている(注1) 。また,法人化により経営・収支状況等の透明性が確保されれば,国や公共団体が行う競争入札に参加しやすくなるとの利点もあり, このような点をとらえて一人司法書士法人を設立したいとのニーズがあるとの指摘もされている(注2) 。
   そこで,社員が一人であっても司法書士法人を設立・維持することができるように規定を改めることとした(注3) 。
   具体的には,司法書士法人の設立や定款の定めは司法書士が「共同して」行う必要があると規定する部分を削除するほか,社員が一人になったことを解散事由とする規定を改めて「社員の欠亡」を解散事由とすることとした(弁護士法第30条の23第7号参照) 。
   加えて,依頼者保護等の観点から,社員の死亡により社員の欠亡に至った場合には, 当該社員の相続人の同意を得て,新たに社員を加入させて司法書士法人を継続することができる旨の規定も併せて設けることとした(弁護士法第30条の24参照) 。
(注1)平成25年度から平成29年度までの間に解散した司法書士法人のうち,社員が一人になった後に解散した司法書士法人の割合は50%
(注2)法人化により,個人と法人の財産が明確に分離されることなどにより経営・収支状況等の透明性が確保され,受託業務の履行の確実性を客観的に示すことが可能となるなど受託事業者としての信頼性が高まることにより,競争入札に参加しやすくなる。
(注3)一人法人を許容している他の職業専門資格士法
弁護士法,社会保険労務士法(なお,社会保険労務士法については,平成26年の同法改正により一人法人を許容している。)
【参照条文】
○弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)
(解散)
第三十条の二十三 弁護士法人は,次に掲げる理由によって解散する。
一~六(略)
七 社員の欠亡
(弁護士法人の継続)
第三十条の二十四 清算人は,社員の死亡により前条第一項第七号に該当するに至った場合に限り, 当該社員の相続人(第三十条の三十第二項において準用する会社法第六百七十五条において準用する同法第六百八条第五項の規定により社員の権利を行使する者が定められている場合にはその者)の同意を得て,新たに社員を加入させて弁護士法人を継続することができる。
      ※他の参照条文については別紙の4のとおり。
エ 権限委任規定の新設(新第71条の2関係)
   前記イ(ア)に記載のとおり,懲戒権者を法務大臣と変更することに伴い,一部の事実調査に係る権限については全国の法務局長に委ねることも可能とする規定を新設する必要がある。
   そこで,法務大臣の権限の委任を許容する規定を設けることとした。なお,権限の委任規定は細目的事項に関する省令委任規定の前に置かれる例が多いことから(国際観光旅客税法(平成30年法律第16号)第22条,所有者不明士地の利用の円滑化等に関する特別措置法(平成30年法律第49号)第45条),第72条(法務省令への委任)の前に第71条の2として置くこととした。
【参照条文】
○国際観光旅客税法(平成三十年法律第十六号)
(税関長の権限の委任)
第二十二条 税関長は,政令で定めるところにより,その権限の一部を税関の支署その他の税関官署の長に委任することができる。
(財務省令への委任)
第二十三条 この法律に定めるもののほか, この法律の規定による書類の記載事項又は提出の手続その他この法律を実施するため必要な事項は,財務省令で定める。
○所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法(平成三十年法律第四十九号)
(権限の委任)
第四十五条 この法律に規定する国士交通大臣の権限は,国士交通省令で定めるところにより,その一部を地方整備局長又は北海道開発局長に委任することができる。
(省令への委任)
第四十七条 この法律に定めるもののほか, この法律の実施のため必要な事項は,国土交通省令又は法務省令で定める。
(2) 土地家屋調査士法の一部改正
   司法書士法と土地家屋調査士法は,主として登記の代理を業とする専門資格者に関する法律であり,ほぼ同様の構造となっている。そのため,司法書士法及び土地家屋調査士法の構造の同一性を維持するため,業務に関する規定など専門資格固有の内容を除き,両法律を併せて同内容の改正をしてきた経緯があり,例えば,司法書士法及び士地家屋調査士法の一部を改正する法律(昭和60年法律第86号)においては,公共嘱託登記司法書士協会及び公共嘱託登記土地家屋調査士協会の創設に係る改正を,司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律(平成14年法律第33号)においては,司法書士法人及び土地家屋調査士法人制度の創設,国民一般からの懲戒申出制度の創設,報酬規定の削除等の改正をしている。今般の改正においても,引き続き司法書士法及び土地家屋調査士法の構造の同一性を維持するため,司法書士法の改正と併せて,土地家屋調査士法についても,同様の改正をすることとする。
ア 使命を明らかにする規定の新設(新第1条,第41条第1項関係)
   土地家屋調査士法も,司法書士法と同様に,第1条に目的規定を置き,「この法律は,土地家屋調査士の制度を定め,その業務の適正を図ることにより,不動産の表示に関する登記手続の円滑な実施に資し,もって不動産に係る国民の権利の明確化に寄与することを目的とする。」としている。
   この目的規定は,昭和54年の土地家屋調査士法の一部改正により,「この法律は,登記簿における不動産の表示の正確さを確保するため,土地家屋調査士の制度を定め,その業務の適正を図ることを目的とする。」という規定を改めたものである。
   もっとも,平成17年の土地家屋調査士法の一部改正により,筆界特定の手続についての代理業務等や,法務大臣が認定した者に限り,土地の筆界が現地において明らかでないことを原因とする民事に関する紛争に係る民間紛争解決手続において,弁護士との共同受任により代理等をする業務をすることができることとなるなどした。
   上記2記載のとおり,士地家屋調査士制度を取り巻く状況の大きな変化に伴い,士地家屋調査士が実際に取り扱っている業務の内容は拡大している。そこで,不動産の表示に関する登記に加えて土地の筆界を明らかにする業務の専門家として, より広い分野において,国民の権利の明確化に寄与し,国民生活の安定と向上に資する活動を行う使命を負っていることを土地家屋調査士法の冒頭で宣明することが適切であると考えられる。
   また, このことにより,土地家屋調査士にその職責(土地家屋調査士法第2条)をよく自覚させることができ,その資質の更なる向上を図ることにもつながると考えられる。
   そこで,不動産の表示に関する登記に加えて土地の筆界を明らかにする業務の専門家として,国民の権利の明確化に寄与し,国民生活の安定と向上に資することを使命とする旨の規定を設ける必要がある。
【参照条文】
○土地家屋調査士法施行規則(昭和五十四年法務省令第五十三号)
(調査士法人の業務の範囲)
第二十九条 法第二十九条第一項第一号の法務省令で定める業務は,次の各号に掲げるものとする。
一 当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱により,鑑定人その他これらに類する地位に就き,土地の筆界に関する鑑定を行う業務又はこれらの業務を行う者を補助する業務
二 土地の筆界の資料及び境界標を管理する業務
三~五(略)
イ 懲戒に関する規定の整備
(ア) 懲戒権者を法務大臣とすること(新第42条,第43条第1項,第44条第1項~第3項,第45条第1項・第2項,第46条,第55条,第65条,第66条の2条関係)
土地家屋調査士法は,土地家屋調査士及び土地家屋調査士法人(以下「土地家屋調査士等」という。)に対する懲戒を,司法書士法と同様に,管轄法務局長の権限としている(同法第42条,第43条) 。土地家屋調査士の制度は,昭和25年の士地家屋調査士法の制定により設けられたものであるが,その当初から,懲戒を,管轄法務局の権限としていた。
   その趣旨は,司法書士法と同様に,土地家屋調査士の業務の中心が登記等の法務局における事務であることから,土地家屋調査士等の懲戒事由の存否を最もよく知り得る管轄法務局長に懲戒権限を持たせたものとされている。
   もっとも,土地家屋調査士についても,近年はその活動領域が拡大し,管轄法務局長において懲戒事由の存否を把握することが容易であるとはいえない状況が生まれている。
   そこで,土地家屋調査士についても, 司法書士法と同様に,懲戒権者を管轄法務局長からその上級行政庁と位置付けられる法務大臣に改めることとした(注) 。
   また,一部の事実調査事務等については広く全国の法務局長に委ねることも可能とする規定を新設することとすること(法務大臣の権限の委任規定を設け,それにより,法務大臣の権限の一部を委譲する。) も,司法書士法と同様である。
   なお,懲戒権者を法務大臣に変更することに伴い,従たる事務所の所在地を管轄する法務局長の懲戒権に関する規定(士地家屋調査士法第43条第2項)が不要となることから,併せて, この規定を削除することとした。また,改正後の第43条第2項を準用しないことについては,司法書士法と同じ整理によるものである。
(注)公共嘱託登記土地家屋調査士協会に対する懲戒権者についても,司法書士法と同様, 引き続き管轄法務局長とする。また,土地家屋調査士法人に対する懲戒権者と異なることを明らかにするために, 「法務大臣」を「第六十四条の二第一項に規定する法務局又は地方法務局の長」と読み替える旨の規定を置くこととした。
(イ) 懲戒に係る除斥期間の新設(新第45条の2関係)
   土地家屋調査士法にも,司法書士法と同様に,弁護士法のような,懲戒に係る除斥期間の規定(同法第63条)はない。そこで,土地家屋調査士等に対する懲戒についても,司法書士法と同様に,除斥期間を新設することとした。
(ウ) 戒告における聴聞手続の必要的実施(新第44条第3項関係)
   土地家屋調査士法は,司法書士法と同様に,懲戒の内容として,士地家屋調査士については戒告, 2年以内の業務の停止及び業務の禁止を,士地家屋調査士法人については戒告, 2年以内の業務の全部又は一部の停止及び解散を定めているが(同法第42条,第43条),戒告については聴聞の機会の付与は必要的なものではない(同法第44条第3項・第4項,行政手続法第13条第1項第1号ロ) 。
   もっとも,戒告であっても,その処分内容が国民に開示され,司法書士等の経歴として記録されることなどからすれば,土地家屋調査士等に対して与える事実上の不利益が大きく,その手続保障を図る必要があるとの指摘がされている。
   そこで,土地家屋調査士等に対する戒告についても,司法書士等と同様に,聴聞手続を必要的なものとする改正を行うこととした。
(エ) 清算結了後の土地家屋調査士法人に対する懲戒規定の新設(新第43条第2項)
   土地家屋調査士法は, 司法書士法と同様に,戒告以外の懲戒処分について,土地家屋調査士登録の取消しを制限する規定を設けているが,清算結了の登記をした土地家屋調査士法人に対して懲戒処分をすることができる旨の規定を設けていない。
   そこで,司法書士法と同様に,脱法的な行為の防止の観点から,懲戒手続に付された土地家屋調査士法人については,清算結了の登記をした場合であっても,なお存続しているものとみなして懲戒することができる旨の規定を新設することとした。
ウ ー人土地家屋調査士法人の許容(新第26条,第31条第1項,第39条第1項第7号・第2項,第39条の2,第41条第3項関係)
   土地家屋調査士法は,司法書士法と同様に,平成14年の土地家屋調査士法改正により,士地家屋調査士法人の設立が認められたが,司法書士法人と同様に,一人土地家屋調査士法人の設立等を許容する旨の規定は置かれなかった(土地家屋調査士法第26条,第31条第1項,第39条第2項) 。
   しかし,土地家屋調査士法人においても, 司法書士法人と同様に,一人法人を許容しないために法人制度の利便性が損なわれているとの指摘がされている。また,法人化により経営・収支状況等の透明性が確保されれば,国や公共団体が行う競争入札に参加しやすくなるとの利点もあり, このような点をとらえて一人土地家屋調査士法人を設立したいとのニーズがあるとの指摘もされている。
   そこで,社員が一人であっても土地家屋調査士法人を設立・維持することができるように規定を改めることとした。
   具体的には,土地家屋調査士法人の設立や定款の定めは土地家屋調査士が「共同して」行う必要があると規定する部分を削除するほか,社員が一人になったことを解散事由とする規定を改めて「社員の欠亡」を解散事由とすることとした(弁護士法第30条の23第7号参照) 。
   加えて,社員の死亡により社員の欠亡に至った場合には, 当該社員の相続人の同意を得て,新たに社員を加入させて士地家屋調査士法人を継続することができる旨の規定も併せて設けることとした(弁護士法第30条の24参照) 。
エ 権限委任規定の新設(新66条の2関係)
   司法書士法と同様に,前記イ(ア)に記載のとおり,懲戒権者を法務大臣と変更することに伴い,一部の事実調査に係る権限については全国の法務局長に委ねることも可能とする規定を新設する必要があることから,法務大臣の権限の委任を許容する規定を設けることとした。なお,権限の委任規定は細目的事項に関する省令委任規定の前に置かれる例が多いことから,第67条(法務省令への委任)の前に第66条の2として置くこととした。

4 附則の概要
(1) 施行期日(附則第1条関係)
   附則第1条は,施行期日について,公布の日から1年6月を超えない範囲内において政令で定める日とするものである。
(2) 司法書士法人の継続に関する経過措置(附則第2条関係)
   附則第2条は,施行日前に社員が一人となったために解散したが,施行日までに清算手続が結了していない司法書士法人について,一人法人として継続することを許容することを定めるものである(注) 。
(注)それまで社員が複数いることが存続要件となっていた有限会社について,社員が一人の有限会社を許容する改正をした商法等の一部を改正する法律(平成2年法律第64号)においても, 同様の経過措置が設けられている。
【参照条文】
○商法等の一部を改正する法律(平成二年法律第六十四号)
附則
(有限会社の継続に関する経過措置)
第二十四条 この法律の施行前に改正前の有限会社法第六十九条第一項第五号の規定により解散した有限会社は, この法律の施行後は,新たに社員を加入させることをしないで,会社を継続することができる。ただし,資本の総額が三百万円に満たない有限会社については,この法律の施行後五年を経過した場合は,この限りでない。
○有限会社法(商法等の一部を改正する法律(平成二年法律第六十四号)による改正前のもの)
第六十九条有限会社ハ左ノ事由二因リテ解散ス
ー~四(略)
五 社員ガー人ト為リタルコト
六・七(略)
(3) 清算結了後の司法書士法人の懲戒に関する経過措置(附則第3条関係)
   附則第3条は,清算結了後の司法書士法人の懲戒について規定する新司法書士法第48条第2項の規定の適用に関して,施行日以後に同条第1項の規定による処分の手続に付された司法書士法人について適用することを定めるものである(注) 。
(注)清算結了後の職業専門資格法人に対する懲戒に関する規定を設けた他の職業専門資格者の法律の改正についてみると,平成15年の公認会計士法の一部を改正する法律の附則第27条第3項においても, 同様の経過措置が設けられている。
【参照条文】
○公認会計士法の一部を改正する法律(平成一五年六月六日法律第六七号)
附則
(監査法人に対する処分に関する経過措置)
第二十七条(略)
2 (略)
3 新法第三十四条の二十一第四項の規定は,施行日以後に同条第二項の規定による処分の手続に付された監査法人について適用する。
(注) 「新法第三十四条の二十一第四項の規定」は,現在,公認会計士法第34条の21第5項である。
(4) 司法書士又は司法書士法人の懲戒の事由に関する経過措置(附則第4条関係)
   附則第4条は,司法書士又は司法書士法人に対する新司法書士法第47条又は第48条第1項の規定による処分に関しては,施行日前に生じた事由については, なお従前の例によることを定めるものである。
(5) 司法書士又は司法書士法人の懲戒の手続の除斥期間に関する経過措置(附則第5条関係)
   附則第5条は,施行日前に生じた事実に基づく懲戒処分の手続について,除斥期間に関する規定(新第50条の2)の適用から,施行日前に処分の手続を開始したものを除くことを規定している。
   なお,「処分の手続を開始した」といえる時点としては,税理士法(昭和26年法律第237号)第48条の20第3項の「処分の手続に付された」という文言に関する解釈通達において「税理士法人に対し,違法行為等についての処分に係る聴聞又は弁明の機会の付与について行政手続法第15条第1項又は第30条に規定する通知がなされた場合をいう」とされていることと同様,現行の司法書士法上,聴聞の機会を付与することを要する処分については,行政手続法第15条第1項の通知又は同条第3項の掲示がされた時点,聴聞の機会の付与を要しない戒告については,戒告処分の通知がされた時点と考えられる。
【参照条文】
○税理士法(昭和26年法律第237号)
第四十八条の二十(略)
2 (略)
3 第一項の規定による処分の手続に付された税理士法人は,清算が結了した後においても, この条の規定の適用については, 当該手続が結了するまで,なお存続するものとみなす。
4 (略)
(6) 司法書士又は司法書士法人の懲戒の手続等に関する経過措置(附則第6条関係)
   附則第6条は,第1項において,司法書士又は司法書士法人の懲戒手続に関し,施行日前に旧司法書士法の規定により法務局又は地方法務局の長がした処分,手続その他の行為は,施行日以後は新司法書士法の相当規定により法務大臣がした処分,手続その他の行為とみなすことを規定し,第2項において,司法書士又は司法書士法人の懲戒手続に関し,この法律の施行の際現に旧司法書士法の規定により法務局又は地方法務局の長に対してされている通知その他の行為は,施行日以後は新司法書士法の相当規定により法務大臣に対してされた通知その他の行為とみなすことを規定し,第3項において,司法書士又は司法書士法人の懲戒手続に関し,施行日前に旧司法書士法又はこれに基づく命令の規定により法務局又は地方法務局の長に対して報告その他の手続をしなければならない事項で,施行日前にその手続がされていないものについては,施行日以後は,これを新司法書士法又はこれに基づく命令の相当規定により法務大臣に対してその手続をしなければならないとされた事項についてその手続がされていないものとみなして,当該相当規定を適用することを規定している。
(7) 土地家屋調査士に関する経過措置(附則第7条~第1 1条関係)
   土地家屋調査士に関する経過措置は,司法書士に関する経過措置(第2条から第6条まで)と同趣旨である。
(8) 政令への委任(附則第12条関係)
   附則第12条は,附則第2条から第11条までに規定するもののほか,この法律の施行に関し必要な経過措置は,政令で定めることとするものである。

5 今後のスケジュール
   本年通常国会への提出を予定

【別紙】
1 懲戒を地方支分機関の長ではなく,所管大臣の権限としている他の職業専門資格士法公認会計士法(昭和二十三年法律第百三号)
(虚偽又は不当の証明についての懲戒)
第三十条 公認会計士が,故意に,虚偽,錯誤又は脱漏のある財務書類を虚偽,錯誤及び脱漏のないものとして証明した場合には,内閣総理大臣は,前条第二号又は第三号に掲げる懲戒の処分をすることができる。
2 公認会計士が,相当の注意を怠り,重大な虚偽,錯誤又は脱漏のある財務書類を重大な虚偽,錯誤及び脱漏のないものとして証明した場合には,内閣総理大臣は,前条第一号又は第二号に掲げる懲戒の処分をすることができる。
3 監査法人が虚偽,錯誤又は脱漏のある財務書類を虚偽,錯誤及び脱漏のないものとして証明した場合において,当該証明に係る業務を執行した社員である公認会計士に故意又は相当の注意を怠った事実があるときは,当該公認会計士について前二項の規定を準用する。
(一般の懲戒)
第三十一条 公認会計士がこの法律若しくはこの法律に基づく命令に違反した場合又は第三十四条の二の規定による指示に従わない場合には,内閣総理大臣は,第二十九条各号に掲げる懲戒の処分をすることができる。
2 公認会計士が,著しく不当と認められる業務の運営を行った場合には,内閣総理大臣は,第二十九条第一号又は第二号に掲げる懲戒の処分をすることができる。
(権限の委任)
第四十九条の四 内閣総理大臣は,この法律による権限(政令で定めるものを除く。)を金融庁長官に委任する。
2~5 (略)
○税理士法(昭和二十六年法律第二百三十七号)
(脱税相談等をした場合の懲戒)
第四十五条 財務大臣は,税理士が,故意に,真正の事実に反して税務代理若しくは税務書類の作成をしたとき,又は第三十六条の規定に違反する行為をしたときは,二年以内の税理士業務の停止又は税理士業務の禁止の処分をすることができる。
2 財務大臣は,税理士が,相当の注意を怠り,前項に規定する行為をしたときは,戒告又は二年以内の税理士業務の停止の処分をすることができる。
(一般の懲戒)
第四十六条 財務大臣は,前条の規定に該当する場合を除くほか,税理士が,第三十三条の二第一項若しくは第二項の規定により添付する書面に虚偽の記載をしたとき,又はこの法律若しくは国税若しくは地方税に関する法令の規定に違反したときは,第四十四条に規定する懲戒処分をすることができる。
○社会保険労務士法(昭和四十三年法律第八十九号)
(不正行為の指示等を行った場合の懲戒)
第二十五条の二 厚生労働大臣は,社会保険労務士が,故意に,真正の事実に反して申請書等の作成,事務代理若しくは紛争解決手続代理業務を行ったとき,又は第十五条の規定に違反する行為をしたときは,一年以内の開業社会保険労務士若しくは開業社会保険労務士の使用人である社会保険労務士若しくは社会保険労務士法人の社員若しくは使用人である社会保険労務士の業務の停止又は失格処分の処分をすることができる。
2 厚生労働大臣は,社会保険労務士が,相当の注意を怠り,前項に規定する行為をしたときは,戒告又は一年以内の開業社会保険労務士若しくは開業社会保険労務士の使用人である社会保険労務士若しくは社会保険労務士法人の社員若しくは使用人である社会保険労務士の業務の停止の処分をすることができる。
(一般の懲戒)
第二十五条の三 厚生労働大臣は,前条の規定に該当する場合を除くほか,社会保険労務士が,第十七条第一項若しくは第二項の規定により添付する書面若しくは同条第一項若しくは第二項の規定による付記に虚偽の記載をしたとき,この法律及びこれに基づく命令若しくは労働社会保険諸法令の規定に違反したとき,又は社会保険労務士たるにふさわしくない重大な非行があったときは,第二十五条に規定する懲戒処分をすることができる。
(権限の委任)
第三十条 この法律に規定する厚生労働大臣の権限は,厚生労働省令で定めるところにより,地方厚生局長及び都道府県労働局長に委任することができる。
2 前項の規定により地方厚生局長に委任された権限は,厚生労働省令で定めるところにより,地方厚生支局長に委任することができる。
○弁理士法(平成十二年法律第四十九号)
(懲戒の種類)
第三十二条 弁理士がこの法律若しくはこの法律に基づく命令に違反したとき,又は弁理士たるにふさわしくない重大な非行があったときは,経済産業大臣は,次に掲げる処分をすることができる。
一 戒告
二 二年以内の業務の全部又は一部の停止
三 業務の禁止

2 戒告について聴聞手続を必要的としている他の職業専門資格士法
○公認会計士法(昭和二十三年法律第百三号)
(懲戒の種類)
第二十九条 公認会計士に対する懲戒処分は,次の三種とする。
一 戒告
二 二年以内の業務の停止
三 登録の抹消
(処分の手続)
第三十二条(略)
2 . 3 (略)
4 内閣総理大臣は,第三十条又は第三十一条の規定により第二十九条第一号又は第二号に掲げる懲戒の処分をしようとするときは,行政手続法(平成五年法律第八十八号)第十三条第一項の規定による意見陳述のための手続の区分にかかわらず,聴聞を行わなければならない。
5 第三十条又は第三十一条の規定による懲戒の処分は,聴聞を行った後,相当な証拠により第三十条又は第三十一条に規定する場合に該当する事実があると認めたときにおいて,公認会計士・監査審査会の意見を聴いて行う。ただし,懲戒の処分が第四十一条の二の規定による勧告に基づくものである場合は,公認会計士・監査審査会の意見を聴くことを要しないものとする。
○海事代理士法(昭和二十六年法律第三十二号)
(懲戒)
第二十五条 海事代理士が,この法律又はこの法律に基く処分に違反したときは,地方運輸局長は,左に掲げる処分をすることができる。
一 戒告
二 一年以内の業務の停止
三 登録のまつ消
2 地方運輸局長は,前項第一号又は第二号に掲げる処分をしようとするときは,行政手続法第十三条第一項の規定による意見陳述のための手続の区分にかかわらず,聴聞を行わなければならない。
3 地方運輸局長は,第一項各号に掲げる処分に係る聴聞を行うに当たっては,その期日の七日前までに,行政手続法第十五条第一項の規定による通知をしなければならない。
○社会保険労務士法(昭和四十三年法律第八十九号)
(聴聞の特例)
第二十五条の四 厚生労働大臣は,第二十五条の二又は第二十五条の三の規定による戒告又は業務の停止の懲戒処分をしようとするときは,行政手続法(平成五年法律第八十八号)第十三条第一項の規定による意見陳述のための手続の区分にかかわらず,聴聞を行わなければならない。
2 厚生労働大臣は,第二十五条の二又は第二十五条の三の規定による懲戒処分に係る聴聞を行うに当たっては,その期日の一週間前までに,行政手続法第十五条第一項の規定による通知をし,かつ,聴聞の期日及び場所を公示しなければならない。
3 前項の聴聞の期日における審理は,公開により行わなければならない。
○弁理士法(平成十二年法律第四十九号)
(懲戒の種類)
第三十二条 弁理士がこの法律若しくはこの法律に基づく命令に違反したとき,又は弁理士たるにふさわしくない重大な非行があったときは,経済産業大臣は,次に掲げる処分をすることができる。
一 戒告
二 二年以内の業務の全部又は一部の停止
三 業務の禁止
(懲戒の手続)
第三十三条(略)
2. 3 (略)
4 経済産業大臣は,前条の規定により戒告又は二年以内の業務の停止の処分をしようとするときは,行政手続法(平成五年法律第八十八号)第十三条第一項の規定による意見陳述のための手続の区分にかかわらず,聴聞を行わなければならない。
5 前条の規定による懲戒の処分は,聴聞を行った後,相当な証拠により同条に該当する事実があると認めた場合において,審議会の意見を聴いて行う。
○弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)
(行政手続法の適用除外)
第四十三条の十五 弁護士会がこの法律に基づいて行う処分については、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第二章、第三章及び第四章の二の規定は、適用しない。
(行政手続法の適用除外)
第四十九条の二 日本弁護士連合会がこの法律に基づいて行う処分については、行政手続法第二章、第三章及び第四章の二の規定は、適用しない。
(懲戒委員会の審査手続)
第六十七条(略)
2 審査を受ける弁護士又は審査を受ける弁護士法人の社員は、審査期日に出頭し、かつ、陳述することができる。この場合において、その弁護士又は弁護士法人の社員は、委員長の指揮に従わなければならない。
3  (略)

3 清算結了後の職業専門資格法人に対する懲戒に関する規定を設けている他の職業専門資格士法
○公認会計士法(昭和二十三年法律第百三号)
(虚偽又は不当の証明等についての処分等)
第三十四条の二十一(略)
2~4 (略)
5 第二項及び第三項の規定による処分の手続に付された監査法人は,清算が結了した後においても, この条の規定の適用については,当該手続が結了するまで,なお存続するものとみなす。
6 . 7 (略)
○行政書士法(昭和二十六年法律第四号)
(行政書士法人に対する懲戒)
第十四条の二(略)
2 . 3 (略)
4 第一項又は第二項の規定による処分の手続に付された行政書士法人は,清算が結了した後においても, この条の規定の適用については,当該手続が結了するまで,なお存続するものとみなす。
5 (略)
○税理士法(昭和二十六年法律第二百三十七号)
(違法行為等についての処分)
第四十八条の二十(略)
2 (略)
3 第一項の規定による処分の手続に付された税理士法人は,清算が結了した後においても, この条の規定の適用については, 当該手続が結了するまで,なお存続するものとみなす。
4 (略)
○社会保険労務士法(昭和四十三年法律第八十九号)
(違法行為等についての処分)
第二十五条の二十四(略)
2 (略)
3 第一項の規定による処分の手続に付された社会保険労務士法人は,清算が結了した後においても, この条の規定の適用については, 当該手続が結了するまで, なお存続するものとみなす。
4 (略)

4 一人法人を許容している他の職業専門資格士法
○社会保険労務士法(昭和四十三年法律第八十九号)
(設立)
第二十五条の六 社会保険労務士は,この章の定めるところにより,社会保険労務士法人(第二条第一項第一号から第一号の三まで,第二号及び第三号に掲げる業務を行うことを目的として,社会保険労務士が設立した法人をいう。以下同じ。)を設立することができる。
(設立の手続)
第二十五条の十一 社会保険労務士法人を設立するには,その社員になろうとする社会保険労務士が,定款を定めなければならない。
2 . 3 (略)
(解散)
第二十五条の二十二 社会保険労務士法人は,次に掲げる理由によって解散する。
一~六(略)
七 社員の欠亡
2 (略)
(社会保険労務士法人の継続)
第二十五条の二十二の二 清算人は,社員の死亡により前条第一項第七号に該当するに至った場合に限り,当該社員の相続人(第二十五条の二十五第二項において準用する会社法第六百七十五条において準用する同法第六百八条第五項の規定により社員の権利を行使する者が定められている場合にはその者)の同意を得て,新たに社員を加入させて社会保険労務士法人を継続することができる。

以下の文面は私の脚注です。

*1 司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律案(第198回国会閣法第46号)は,衆参両院において全会一致で成立しました(衆議院HPの「議案審議経過情報」,及び参議院HPの「議案情報」参照)。
*2 司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律(令和元年6月12日法律第29号)は,公布の日から1年6月以内の政令(未制定)で定める日から施行されます(法務省HPの「司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律について」参照)。
*3 法務省の情報公開文書として以下の文書を掲載しています。
(法律案審議録に含まれている資料)
・ 司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律案(第198回国会閣法第46号)の概要
・ 司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律案(第198回国会閣法第46号) 説明要旨
・ 司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律案(第198回国会閣法第46号)の準用読替表
・ 司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律案(第198回国会閣法第46号)の新旧条文対照表
・ 司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律案(第198回国会閣法第46号) 用例集目次
・ 法務省民事局の追加御説明資料(1頁だけです。)
(国会答弁資料)
・ 司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律(令和元年6月12日法律第29号)の国会答弁資料(平成31年4月11日の参議院法務委員会)1/22/2
・ 司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律(令和元年6月12日法律第29号)の国会答弁資料(令和元年5月31日の衆議院法務委員会)1/42/43/44/4

法律案審議録からの抜粋です。

 

検事の研修日程

1(1) 法務省HPに掲載されている,検事研修関係文書を読めば, 平成22年度当時の,新任検事研修,検事一般研修(任官後概ね3年前後の検事を対象)及び検事専門研修(任官後概ね7年ないし10年目の検事を対象)の詳細が分かります。
(2) 法務省HPの「検事に採用されてから」の「検事研修の概要」でも,新任検事研修,検事一般研修及び検事専門研修の3種類があると書いてあります。

2 以下のとおり新任検事研修の日程を掲載しています。
① 平成24年度新任検事研修日程(24年12月26日(水)~25年3月29日(金)の94日間)(65期新任検事が対象)
② 平成25年度新任検事研修日程(25年12月25日(水)~26年3月31日(月)の97日間)(66期新任検事が対象)
③ 平成28年度新任検事研修日程(28年12月20日(火)~29年3月31日(金)の102日間)(69期新任検事が対象)
④ 平成29年度新任検事研修日程(29年12月19日(火)~30年3月30日(金)の102日間)(70期新任検事が対象)
⑤ 平成30年度新任検事研修日程(30年12月18日(火)~31年4月9日(火))(71期新任検事が対象)

3(1) 検事の研修はいずれも法務省本省(赤れんが)又は法務省浦安総合センター(浦安)で実施されています。
(2) 法務省浦安総合センターには法務総合研究所研究部があります。
(3) 株式会社環総合設計HP「法務省浦安総合センター」が載っています。

4 以下の文書を掲載しています。
① 法務省浦安総合センターの概要及び庁舎平面図(A館,ひので寮,B館,みづき寮,体育館,食堂及び渡廊下)
② 法務省浦安総合センターの配置図(研修棟,宿泊棟(ひので寮及びみづき寮),体育館,研究研修棟及び分室棟)

平成31年3月提出の,法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律等の一部を改正する法律案の説明資料

1(1) 文部科学省高等教育局及び法務省大臣官房司法法制部が作成した,平成31年3月提出の,法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律等の一部を改正する法律案の説明資料を以下のとおり掲載しています。
① 平成31年2月 8日付の資料1/2及び2/2
・ 同日時点の法律案及び新旧対照表と一緒に読んだ方が分かりやすいです。
② 平成31年2月27日付の,修正に伴う追加資料
・ 同日時点の法律案及び新旧対照表法務省HPに載ってある,国会に提出された法律案及び新旧対照表と全く同じです。)と一緒に読んだ方が分かりやすいです。
・ 平成31年2月8日時点のものと比べると,連携法2条1号及び4条の改正内容に修正が加わっています。
(2) 「一問一答 民法(債権関係)改正」のように,改正事項ごとの説明が詳しく書いてあります。
(3) 平成31年 2月8日付の資料35頁ないし41頁によれば,学校教育法施行令23条及び23条の2の改正により,法科大学院の収容定員を認可事項とし,総数を定め,それを超えた定数増を認めないことにする予定となっています。

2 用例集(「法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律等の一部を改正する法律案」関係)(平成31年2月8日付)を掲載しています。

3(1) 法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律等の一部を改正する法律案は,平成31年3月12日の閣議で決定され,同日,第198回国会閣法第45号として国会に提出され,令和元年6月19日に可決成立し,令和元年6月26日法律第44号として公布されました。
(2) 提出時法律案のまま成立したのであって,国会における修正はありませんでした(衆議院HPの「閣法 第198回国会 45 法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律等の一部を改正する法律案」参照)。

4(1) 文部科学省の国会答弁資料を以下のとおり掲載しています。
① 平成31年4月24日の衆議院文部科学委員会1/2及び2/2
② 平成31年4月26日の衆議院文部科学委員会
③ 令和 元年5月 8日の衆議院文部科学委員会
④ 令和 元年5月23日の参議院文教科学委員会1/2及び2/2
⑤ 令和 元年6月18日の参議院文教科学委員会1/2及び2/2
(2) 法務省の国会答弁資料を以下のとおり掲載しています。
① 平成31年4月24日の衆議院文部科学委員会1/2及び2/2
② 平成31年4月26日の衆議院文部科学委員会1/32/3及び3/3
③ 令和 元年5月 8日の衆議院文部科学委員会
④ 令和 元年5月23日の参議院文教科学委員会1/2及び2/2
⑤ 令和 元年6月18日の参議院文教科学委員会1/2及び2/2

法務省作成の,令和元年6月18日の参議院文教科学委員会の国会答弁資料

 

法務・検察幹部名簿(平成24年4月以降)

1 法務省が作成した,法務・検察幹部名簿(平成24年4月以降)を以下のとおり掲載しています。
・ 平成31年4月17日現在
・ 平成30年4月11日現在
・ 平成29年4月17日現在
・ 平成28年4月11日現在
・ 平成27年4月15日現在
・ 平成26年4月11日現在
・ 平成25年4月10日現在
・ 平成24年4月10日現在

2 検察官の修習期は不開示情報のために黒塗りとなっています(平成28年度(行情)答申第365号)。

昭和天皇の崩御に伴う国家公務員等の懲戒免除に関する政令(平成元年2月13日政令第29号)

昭和天皇の崩御に伴う国家公務員等の懲戒免除に関する政令

内閣は、公務員等の懲戒免除等に関する法律(昭和二十七年法律第百十七号)第二条の規定に基づき、この政令を制定する。

次に掲げる者(平成元年二月二十四日前に第一号から第十六号までに掲げる者でなくなった者を含む。)のうち、これらの者に係る懲戒を定める法令の規定により、昭和六十四年一月七日前の行為について、平成元年二月二十四日前に減給、過料、過怠金、戒告又は譴責の懲戒処分を受けた者に対しては、将来に向かってその懲戒を免除するものとする。
一 国家公務員
二 公証人
三 弁護士
四 司法書士
五 土地家屋調査士
六 外国法事務弁護士
七 公認会計士、会計士補若しくは外国公認会計士又は計理士
八 税理士
九 通関士
十 社会保険労務士
十一 弁理士
十二 水先人
十三 海事代理士
十四 海技従事者
十五 水害予防組合の委員又は吏員
十六 建築士
十七 日本専売公社の職員であった者
十八 日本国有鉄道の職員であった者
十九 日本電信電話公社の職員であった者
附 則
この政令は、平成元年二月二十四日から施行する。

東京地検が,報道機関に対し,平成31年4月4日のカルロス・ゴーンの逮捕に関して提供した文書は,翌日までに廃棄されたこと等

1 行政文書の管理に関するガイドライン(平成23年4月1日内閣総理大臣決定)第4-3-(6)によれば,「定型的・日常的な業務連絡、日程表等」については,保存期間を1年未満とすることができます。

2(1) 平成31年3月22日付の東京地検の不開示決定通知書によれば,東京地検が,報道機関に対し,ゴーン及びケリーの逮捕等に関して提供した文書は,同年2月20日までに廃棄されました。
(2) 平成31年4月26日付の東京地検の不開示決定通知書によれば,東京地検が,報道機関に対し,平成31年4月4日のカルロス・ゴーンの逮捕に関して提供した文書は,翌日までに廃棄されました。
(3) 令和元年5月23日付の東京地検の不開示決定通知書によれば,東京地検が,報道機関に対し,平成31年4月下旬のカルロス・ゴーンの保釈の判断に関して,東京地検が報道機関に提供した文書は,同年5月7日までに廃棄されました。
(4) ちなみに,裁判所の情報公開手続では,カルロス・ゴーンの刑事手続の存在自体が個人識別情報として不開示情報とされています(「カルロス・ゴーンの刑事手続に関する文書は個人識別情報として不開示情報であること」参照)。

3 行政文書の管理に関するガイドライン第4は以下のとおりです。

第4 整理
1 職員の整理義務
職員は、下記2及び3に従い、次に掲げる整理を行わなければならない。
(1) 作成又は取得した行政文書について分類し、名称を付するとともに、保存期間及び保存期間の満了する日を設定すること。
(2) 相互に密接な関連を有する行政文書を一の集合物(行政文書ファイル)にまとめること。
(3) (2)の行政文書ファイルについて分類し、名称を付するとともに、保存期間及び保存期間の満了する日を設定すること。
2 分類・名称
行政文書ファイル等は、当該行政機関の事務及び事業の性質、内容等に応じて系統的(三段階の階層構造)に分類(別表第1に掲げられた業務については、同表を参酌して分類)し、分かりやすい名称を付さなければならない。
3 保存期間
(1) 文書管理者は、別表第1に基づき、保存期間表を定め、これを公表しなければならない。
(2) 文書管理者は、保存期間表を定め、又は改定した場合は、総括文書管理者に報告するものとする。
(3) 1-(1)の保存期間の設定については、保存期間表に従い、行うものとする。
(4) 1-(1)の保存期間の設定及び保存期間表においては、法第2条第6項の歴史公文書等に該当するとされた行政文書にあっては、1年以上の保存期間を定めるものとする。
(5) 1-(1)の保存期間の設定及び保存期間表においては、歴史公文書等に該当しないものであっても、行政が適正かつ効率的に運営され、国民に説明する責務が全うされるよう、意思決定過程や事務及び事業の実績の合理的な跡付けや検証に必要となる行政文書については、原則として1年以上の保存期間を定めるものとする。
(6) 1-(1)の保存期間の設定においては、 (4)及び(5)の規定に該当するものを除き、保存期間を1 年未満とすることができる(例えば、次に掲げる類型に該当する
文書。)。
① 別途、正本・原本が管理されている行政文書の写し
② 定型的・日常的な業務連絡、日程表等
③ 出版物や公表物を編集した文書
④ ○○省の所掌事務に関する事実関係の問合せへの応答
⑤ 明白な誤り等の客観的な正確性の観点から利用に適さなくなった文書
⑥ 意思決定の途中段階で作成したもので、当該意思決定に与える影響がないものとして、長期間の保存を要しないと判断される文書
(7) 1-(1)の保存期間の設定においては、通常は1 年未満の保存期間を設定する類型の行政文書であっても、重要又は異例な事項に関する情報を含む場合など、合理的な跡付けや検証に必要となる行政文書については、1年以上の保存期間を設定するものとする。
(8) 1-(1)の保存期間の起算日は、行政文書を作成し、又は取得した日(以下「文書作成取得日」という。)の属する年度の翌年度の4月1日とする。ただし、文書作成取得日から1年以内の日であって4月1日以外の日を起算日とすることが行政文書の適切な管理に資すると文書管理者が認める場合にあっては、その日とする。
(9) 1-(3)の保存期間は、行政文書ファイルにまとめられた行政文書の保存期間とする。
(10) 1-(3)の保存期間の起算日は、行政文書を行政文書ファイルにまとめた日のうち最も早い日(以下「ファイル作成日」という。)の属する年度の翌年度の4月1日とする。ただし、ファイル作成日から1年以内の日であって4月1日以外の日を起算日とすることが行政文書の適切な管理に資すると文書管理者が認める場合に
あっては、その日とする。
(11) (8)及び(10)の規定は、文書作成取得日においては不確定である期間を保存期間とする行政文書及び当該行政文書がまとめられた行政文書ファイルについては、適用しない。