検察庁法改正案の成立前後における,検事長の勤務延長の取扱い

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目次
第1 検察庁法改正案の骨子,及び検察庁法改正案の条文
第2 現在の取扱い
1 検事長の勤務の延長
2 検事長の勤務の再延長
3 検事総長の勤務の延長及び再延長
第3 検察庁法改正案が成立した場合の取扱い
1 検事長の勤務の延長
2 検事長の勤務の再延長
3 検事総長の勤務の延長及び再延長
第4 検察庁法改正案が成立した場合に予想される影響(個人的見解です。)
1 政治家の犯罪に対する捜査がずっと少なくなるかも知れないこと
2 検事正について63歳以降の勤務延長が政治的に問題となる可能性は非常に小さいこと
3 平成26年4月以降に定年退官した検察官(令和2年5月14日追加)
4 検事について任期制を設けなかった理由の一つ
第5 関連記事

第1 検察庁法改正案の骨子,及び検察庁法改正案の条文
1 検察庁法改正案の骨子
(1) 検察庁法改正案の骨子は以下のとおりです。
① 定年延長
・ 検事総長以外の検察官の定年を63歳から65歳に引き上げて,検事総長の定年と同じにする(改正案22条1項)。
② 定年退職の特例
・ 定年に達した検察官のうち,当該検察官の退職により公務の運営に著しい支障が生ずると認められる事由として内閣又は法務大臣の準則で定める事由がある場合,検事総長については68歳まで(改正案22条2項),検事総長以外の検察官については66歳まで(次長検事及び検事長につき改正案22条2項,検事及び副検事につき改正案22条3項),その職を占めたまま在職できることとする(国家公務員法改正案81条の7の読替に基づく措置)。
③ 役職定年
・ 次長検事,検事長,検事正及び上席検察官の役職定年は63歳とし,63歳に達した日の翌日にヒラの検事とする(次長検事及び検事長につき改正案22条4項,検事正につき改正案9条2項,上席検察官につき改正案10条2項・9条2項)。
④ 役職定年の特例
・ 役職定年に達した検事のうち,当該検事をヒラの検事とすることにより公務の運営に著しい支障が生ずると認められる事由として内閣又は法務大臣の準則で定める事由がある場合,次長検事及び検事長については内閣の判断により(改正案22条5項及び6項),検事正及び上席検察官については法務大臣の判断により(改正案9条3項及び4項・10条2項),その職を占めたまま65歳まで在職できることとする。


(2) 現在の政府見解に基づく検事長等の勤務延長のうち,63歳から65歳までの勤務延長は役職定年の特例(④)に相当し(ただし,再度の勤務延長については人事院の承認が必要),65歳から66歳までの勤務延長は定年退職の特例(②)に相当することとなります(ただし,この年齢での勤務延長については人事院の承認が必要)。
2 検察庁法改正案の条文
(1)ア 検察庁法改正案を含む,国家公務員法等の一部を改正する法律案(第201回国会閣法第52号)(関係部分の抜粋です。)は,令和2年3月13日に国会に提出され,同年4月16日,衆議院内閣委員会に付託されました(衆議院HPの「議案審議経過情報」参照)。
イ 条文上,「役職定年」は「管理監督職勤務上限年齢」と表現されています。
(2) 内閣官房HPの「第201回 通常国会」に法律案の全文等が載っています。

第2 現在の取扱い
1 検事長の勤務の延長
(1) 検事長の任命権者である内閣(検察庁法15条1項)は,令和2年1月31日,下記の理由により,国家公務員法81条の3第1項に基づき,同年2月8日に63歳の定年を迎える黒川弘務東京高検検事長の勤務を半年間延長するという閣議決定を行いました(首相官邸HPの「令和2年1月31日(金)定例閣議案件」参照)。

   東京高等検察庁管内において遂行している重大かつ複雑困難事件の捜査公判に対応するためには,同高等検察庁検事長黒川弘務の検察官としての豊富な経験・知識等に基づく管内部下職員に対する指揮監督が不可欠であり,同人には,当分の間,引き続き同検事長の職務を遂行させる必要がある。
(2) 黒川弘務東京高検検事長(平成31年1月18日就任)が検事長就任前に検察官として捜査公判に対応していたのは以下の時期だけですから,合計で11年10ヶ月半ぐらいです。
① 1983年4月7日から1991年7月24日までの約8年4ヶ月半
・  東京地検検事,福島地検郡山支部検事,新潟地検検事,東京地検検事及び名古屋地検検事をしていました。
② 1995年7月20日から1998年10月6日までの約3年3ヶ月半
・  青森地検弘前支部長及び東京地検検事をしていました。
③ 2010年8月10日から同年10月24日までの約2ヶ月半
・  松山地検検事正をしていました。
・ 2010年9月21日から報道されるようになった大阪地検特捜部主任検事証拠改ざん事件に対応するため,同年10月25日,法務省大臣官房付となりました。
(3)ア 黒川弘務東京高検検事長の定年退職は,「業務の性質上、その職員の退職による担当者の交替が当該業務の継続的遂行に重大な障害を生ずるとき」(人事院規則11-8(職員の定年)7条3号)に該当するため,勤務延長されました(令和2年3月6日の参議院予算委員会における森まさこ法務大臣の答弁参照)。
イ 「重大かつ複雑困難な事件の捜査」が何であるかについては,捜査機関の活動内容及びその体制に関する事柄でもあることから,国会答弁でも明らかにされませんでした(令和2年3月6日の参議院予算委員会における森まさこ法務大臣の答弁参照)。
(4) 黒川弘務東京高検検事長の勤務延長に関する実例からすれば,検事長になる前に検察官として捜査公判を担当していた期間が12年程度である検事長であっても,「○○高等検察庁管内において遂行している重大かつ複雑困難事件の捜査公判に対応するためには,同高等検察庁検事長○○○○の検察官としての豊富な経験・知識等に基づく管内部下職員に対する指揮監督が不可欠であり,同人には,当分の間,引き続き同検事長の職務を遂行させる必要がある。」といった理由を記載するだけで,任命権者である内閣限りの判断で勤務の延長ができることとなりますし,「重大かつ複雑困難事件の捜査」の中身を国会で説明する必要もないこととなります。
2 検事長の勤務の再延長
(1) 検事長の勤務の再延長は,任命権者である内閣が,人事院の承認を得た上で行うこととなります(国家公務員法81条の3第2項)し,その前提として,「重大かつ複雑困難事件の捜査」の中身を人事院に説明する必要があると思います。
(2) 検事長の勤務の再延長は,延長された期限が到来する場合において,「業務の性質上、その職員の退職による担当者の交替が当該業務の継続的遂行に重大な障害を生ずるとき」(人事院規則11-8(職員の定年)7条3号)という事由が引き続き存すると認められる十分な理由があるときに可能です。
(3) 定年制度の実施等について(昭和59年12月25日付の人事院事務総局任用局企画課長の文書)には以下の記載があります。
1 規則11―8第7条の各号には、例えば、次のような場合が該当する。
(中略)

  (3) 第3号
 定年退職予定者が大型研究プロジェクトチームの主要な構成員であるため、その者の退職により当該研究の完成が著しく遅延するなどの重大な障害が生ずる場合
 重要案件を担当する本府省局長である定年退職予定者について、当該重要案件に係る国会対応、各種審議会対応、外部との折衝、外交交渉等の業務の継続性を確保するため、引き続き任用する特別の必要性が認められる場合
 2 勤務延長を行う場合及び勤務延長の期限を延長する場合の期限は、当該勤務延長の事由に応じた必要最少限のものでなくてはならない。
(4) 検事長になるような人は法務省勤務の長い人が多いため,「捜査公判を担当する検察官としての豊富な知識・経験等」を有していない方が普通です。
   また,1年ぐらいで交代する検事長の勤務が最大で1年延長されたにもかかわらず,引き続き7条3号の事由が存在するケースというのは考えにくいです。
   そのため,人事院が7条3号を杓子定規に当てはめた場合,検事長の勤務の再延長を承認することはなさそうですから,事実上,最初の勤務延長しかできないことになると思います。
(5) 朝日新聞HPに載っている「東京高検検事長の定年延長についての元検察官有志による意見書」には以下の記載があります。
   仮に安倍総理の解釈のように国家公務員法による定年延長規定が検察官にも適用されると解釈しても、同法81条の3に規定する「その職員の職務の特殊性またはその職員の職務の遂行上の特別の事情からみてその退職により公務の運営に著しい支障が生ずると認められる十分の理由があるとき」という定年延長の要件に該当しないことは明らかである。
   加えて人事院規則11―8第7条には「勤務延長は、職員が定年退職をすべきこととなる場合において、次の各号の1に該当するときに行うことができる」として、①職務が高度の専門的な知識、熟練した技能または豊富な経験を必要とするものであるため後任を容易に得ることができないとき、②勤務環境その他の勤務条件に特殊性があるため、その職員の退職により生ずる欠員を容易に補充することができず、業務の遂行に重大な障害が生ずるとき、③業務の性質上、その職員の退職による担当者の交替が当該業務の継続的遂行に重大な障害を生ずるとき、という場合を定年延長の要件に挙げている。
   これは要するに、余人をもって代えがたいということであって、現在であれば新型コロナウイルスの流行を収束させるために必死に調査研究を続けている専門家チームのリーダーで後継者がすぐには見付からないというような場合が想定される。
   現在、検察には黒川氏でなければ対応できないというほどの事案が係属しているのかどうか。引き合いに出されるゴーン被告逃亡事件についても黒川氏でなければ、言い換えれば後任の検事長では解決できないという特別な理由があるのであろうか。法律によって厳然と決められている役職定年を延長してまで検事長に留任させるべき法律上の要件に合致する理由は認め難い。
(6) 国家公務員法1条3項前段は,「何人も、故意に、この法律又はこの法律に基づく命令に違反し、又は違反を企て若しくは共謀してはならない。」と定めています。
3 検事総長の勤務の延長及び再延長
   検事長の場合と同様に,検事総長の勤務の延長は内閣限りの判断で可能であるものの,検事総長の勤務の再延長は人事院の承認が必要となります。

第3 検察庁法改正案が成立した場合の取扱い
1 検事長の勤務の延長
   検事長をヒラの検事とすることにより公務の運営に著しい支障が生ずると認められる事由として内閣が定める場合に該当すれば,検事長の勤務の延長ができます(検察庁法改正案22条5項)。
   そのため,内閣は,現在と同様に,内閣限りの判断で検事長の勤務を延長することができます。
2 検事長の勤務の再延長
(1) ①検事長をヒラの検事とすることにより公務の運営に著しい支障が生ずると認められる事由として内閣が定める場合」(65歳まで延長する場合),及び②検事長の退職により公務の運営に著しい支障が生ずると認められる事由として内閣が定める場合(65歳から66歳まで延長する場合)に該当すれば,人事院の承認を得ることなく,検事長の勤務の延長ができます(65歳までは検察庁法改正案22条5項及び6項,65歳から66歳までは検察庁法改正案22条2項)。
   そのため,内閣は,現在の取扱いと異なり,内閣限りの判断で検事長の勤務を再延長することができます。
(2) 森まさこ法務大臣は,令和2年3月18日の衆議院法務委員会において以下の答弁をしています。
① 現行の勤務延長制度は、検察官への適用に当たって、あくまで国家公務員法上の制度として、退職により公務の運営に著しい支障が生ずると認められる十分な理由が引き続き認められるかどうかという再延長の要件の該当性の判断等について、人事院による判断にもなじむものでございました。
しかし、このたびの改正により、国家公務員法上の勤務延長制度は、検察官には適用がない役職定年制を前提とした規定が加えられることになりました。他方で、検察官については、他の一般職の国家公務員とは異なり、役職定年制の趣旨を踏まえた独自の制度を検察庁法に設けました。
そのため、改正後の国家公務員法の勤務延長の規定を検察官に適用するに当たっては、検察庁法で読みかえ規定を設けた上、検察庁法独自の制度を前提として適用することになったものでございます。

② このような検察庁法独自の制度を前提とした勤務延長の再延長の要件の判断は、検察官の任命権者である内閣又は法務大臣によることがより適当であると考えたものでございます。
   もっとも、勤務延長の再延長の要件の判断についてより慎重に実施するものとするために、その判断による手続等について準則等で事前に明らかにすることで濫用を防止でき、適切に再延長がなされるものと考えております。
(3) 平成28年11月29日から平成31年4月1日までの2年4ヶ月余りの間,防衛大臣によって勤務を延長された統合幕僚長の場合,「我が国を取り巻く安全保障環境等を踏まえ、自衛隊の各種任務を適切に遂行する」という理由が,自衛隊法45条3項及び4項の「自衛官が定年に達したことにより退職することが自衛隊の任務の遂行に重大な支障を及ぼすと認めるとき」に該当するということでした(平成29年6月13日付の内閣答弁書参照)。
   そして,「令和元年版防衛白書の刊行に寄せて」(防衛白書の発行日は令和元年10月25日)を前提とすれば,我が国を取り巻く安全保障環境等はずっと厳しいままですし,自衛官の勤務延長については人事院の承認が不要ですから,幹部自衛官の定年延長は事実上,自由にできる状態になっています。
   そのため,再延長について人事院の承認が不要になった場合,検事長の勤務延長についても事実上,内閣が自由にできる状態になる可能性があります。
3 検事総長の勤務の延長及び再延長
   検事長と同様に,内閣限りの判断で検事総長の勤務の再延長まで可能になります。

令和元年10月29日頃の,法務省の概要説明資料からの抜粋です。


第4 検察庁法改正案が成立した場合に予想される影響(個人的見解です。)
1 政治家の犯罪に対する捜査がずっと少なくなるかも知れないこと
(1) 定年制度は,人事の刷新等により組織運営の適正化を図るものでありますところ,定年に達した検事総長及び検事長の勤務が延長された場合,その分,人事が停滞することとなります。
(2) 現状では,検事総長及び検事長の勤務の再延長について人事院の承認を得られるとは思えません。
   そのため,内閣に高く評価された検事長であっても64歳までに検事長を退くこととなりますし,内閣に高く評価された検事総長であっても66歳までに検事総長を退くこととなります。


(3)ア exciteニュースの「”真っ黒”な甘利明を検察はなぜ「不起訴」にしたのか? 官邸と癒着した法務省幹部の”捜査潰し”全内幕」(2016年6月3日付)には以下の記載があります。
   「官房長という役職自体が、予算や人事の折衝をする役割で、政界とつながりが深いのですが、とくに黒川氏は小泉政権下で法務大臣官房参事官をつとめて以降、官房畑を歩んでおり、自民党、清和会にと非常に太いパイプをもっている。官房長になったのは民主党政権下の2011年なんですが、このときも民主党政権には非協力的で、自民党と通じているといわれていました。そして、第二次安倍政権ができると、露骨に官邸との距離を縮め、一体化といっていいくらいの関係を築くようになった。とくに菅官房長官、自民党の佐藤勉国対委員長とは非常に親しく、頻繁に会っているところを目撃されています」(前出・司法担当記者)
イ noteの「検事と人事ー検察庁法改正問題の背景」(2020年5月16日付)(筆者は落合洋司 元検事)には以下の記載があります。
   現在、問題になっている検察庁法改正で、認証官の定年延長が内閣の判断で行えるようになれば、政治の側から、この人物を検事総長に、と望んだ場合、定年延長してプールしておき(黒川氏のように)、検事総長人事の際に、その人物を任命するということが、従来より格段にやりやすくなるだろう。従来は、絞り込まれてきた検事総長候補以外に、修習期上、バランスを失せずに代わりえる人物はなかなか見出し難かった。それが、自由自在に定年延長ができることで、政権の目に叶った人物を一定数、プールできることになる。
ウ 文春オンラインの「そもそも、なぜ異例の出世ができた? 黒川前検事長が陰で呼ばれていた「意外なニックネーム」」(2020年5月26日付)には以下の記載があります。
   東京地検特捜部でロッキード事件を手掛けた吉永祐介氏は検事総長時代の1995年7月、次期総長と目されていた根來泰周・東京高検検事長(当時)が政界に近すぎることを嫌い、総長ポストを譲らずに根來氏を63歳で定年退官させている。この定年年齢の“ラグ”は、このように検察権力と政治権力の距離感を維持することにも寄与してきた歴史的背景もあるのだ。
2 検事正について63歳以降の勤務延長が政治的に問題となる可能性は非常に小さいこと
(1) 検察庁法改正案9条2項によれば,検事正は原則として63歳に達した日の翌日に他の職に補されるものとなっています。
   しかし,検事長になれる見込みがないにもかかわらず,61歳以上で検事正を続けていた検察官は,平成31年4月17日時点でいえば,田中素子京都地検検事正だけです(「法務・検察幹部名簿(2019年4月17日時点・生年月日順)」参照)。
   また,内閣としては,検事長の勤務延長が可能なわけですから,法務大臣を通じて検事正の勤務延長に介入する可能性は低いと思いますし,検事長の勤務延長ほど大きな影響がある話ではないです。
   そのため,検察庁法改正案が成立したとしても,61歳になるまでにほとんどが早期退職する検事正について,63歳以降の勤務延長が政治的に問題となる可能性は非常に小さいと思います。
(2)ア 読売新聞HPの「公証人ポスト回すため?念書に「10年で退職」」(2019年5月25日付)には以下の記載があります。
   複数の法務・検察関係者によると、法務・検察内部の慣行では、▽検事正経験者が公証人に再就職した場合、任期は最長10年か70歳まで▽地検の支部長や検察事務官ら検事正経験者以外の公証人の任期は最長8年――となっていた。
   この慣行に沿い、50歳代で公証人になる検事正は、10年後に退職することが明記された念書に署名。60歳以降に公証人に就いた検事正が、70歳の誕生日までに公証人を辞めると誓約した念書を同省に提出するケースもあった。地検の支部長や検察事務官ら検事正以外の念書には、8年後の退職が明記されていたという。
イ 根拠となる文書は法務省に存在しないものの,仮に読売新聞の記事が正しいとした場合,60歳になった後に検事正を早期退職して公証人になった場合,70歳まで公証人をすることができます。

3 平成26年4月1日以降に定年退官した検事
(1)ア ウエストロージャパンの「法曹界人事」(以前に掲載されていたデータを含む。)で確認できる検事でいえば,以下のとおりです(検事長は紫色表記です。)。
(令和元年度・4人)
・ 小川新一  広島高検検事長 (令和2年 3月26日限り)
・ 藤谷俊之  東京高検検事  (令和元年11月11日限り)
・ 遠藤秀一  東京高検検事  (令和元年10月 9日限り)
・ 椿剛志   東京高検検事  (令和元年 9月 7日限り)
(平成30年度・0人)
(該当者なし。)
(平成29年度・4人)
・ 柳浦清文  高松高検検事  (平成30年 1月15日限り)
・ 佐藤洋志  最高検検事   (平成29年12月 9日限り)
・ 阿賀学   東京高検検事  (平成29年10月16日限り)
・ 寺脇一峰  大阪高検検事長 (平成29年 4月12日限り)
(平成28年度・1人)
・ 伊丹俊彦  大阪高検検事長 (平成28年 9月 1日限り)
(平成27年度・2人)
・ 矢吹雄太郎 さいたま地検越谷支部長(平成28年 1月14日限り)
・ 尾崎道明  大阪高検検事長    (平成27年12月 4日限り)
(平成26年度・6人

・ 濱隆二   名古屋高検金沢支部長(平成27年 3月24日限り)
・ 長崎正治  名古屋高検検事   (平成27年 3月18日限り)
・ 河村博名  名古屋高検検事長  (平成27年 1月15日限り)
・ 巌文隆   大阪高検検事    (平成27年 1月 9日限り)
・ 水野美鈴  最高検検事     (平成26年 8月10日限り)
・ 山崎敬二  札幌法務局訟務部長 (平成26年 8月 1日限り)
イ 副検事の定年退官は珍しい話ではないです。
(2) 平成26年4月1日以降,検事長以外で定年退官した検事の人数の推移は以下のとおりですから,公証人に就任することを前提とした早期退職の慣行が変わらない限り,定年延長は普通の検事とほぼ関係がないです。
令和 元年度:3人
平成30年度:0人
平成29年度:3人
平成28年度:0人
平成27年度:1人
平成26年度:5人
4 検事について任期制を設けなかった理由の一つ
   「新検察制度の十年の回顧」には,裁判官と異なり,検事について任期制を設けなかった理由の一つとして以下の記載があります(昭和33年2月発行の法曹時報10巻2号66頁)。
口、政府の任命による官吏制度の下では原則として官吏に任期を設くべきではない。
   選挙によらず政府による任命を主とする現在の官吏制度において、官吏に任期を設けることは、恣意的な人事の行われる危険性が極めて大きくなるから、これを認める場合は例外とすべきである。裁判官についていえば、最高裁判所の指名した者の名簿によって内閣でこれを任命するという方法により恣意的な人事の行われないよう十分保障があるから、その任期についてはこれを首肯することができるのであって、かかる事実を看過して任期制度をにわかに他の官吏に拡充することは正当ではない。
   殊に検事は行政官吏中職務の厳正を最も強く要請されるものであるから、人事を窓意的にする危険性の大きい任期制は、検事の職能にかんがみ政治的考慮にもとづく人事の行われる危険性をそれだけ多くもたらすことになる。かかる人事が一度でも行われれば検事の任命は絶えず疑惑を以て見られることになり、反対の立場の政府の任命した検事は、これを再任せしめないという傾向を生ずるようになり、窮極において検事は欲すると欲せざるとに拘らず政治的着色を蒙むることとなり、真面目な検事の到底耐え難いことになる。

第5 関連記事
① 東京高検検事長の勤務延長問題

② 国家公務員法81条の3に基づき,検察官の勤務延長が認められる理由
 令和2年の検察庁法改正案及び検察官俸給法改正案に関する法案審査資料

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