二回試験不合格時の一般的な取扱い


目次

1 27期までの取扱い
2 28期から52期までの取扱い
3 53期から59期までの取扱い
4 60期ないし68期の取扱い
5 69期以降の取扱い
6 不合格者に関する罷免の辞令書及び司法研修所長の通知
7 二回試験不合格後の再採用
8 関連記事その他

1 27期までの取扱い
(1) 病気・出産等の理由で二回試験を受けられなかった修習生だけが追試を受けることができたのであって,一科目でも不合格となった場合,不合格となりました。
   ただし,この場合,司法修習生の身分を引き続き有し,かつ,給料をもらった上で次の二回試験を受験していたようです。
(2) 21期二回試験で2名の落第者が出たことに関しては,落第の白紙撤回闘争が行われました(「昭和44年開始の,裁判所におけるブルーパージ」参照)。

2 28期から52期までの取扱い
(1)   いずれかの科目で不合格となった場合,合格留保者ということで,追試において不合格となった科目だけを受験すれば足りました。
   この場合,司法修習生としての身分を失いませんから,司法修習生の身分を引き続き有し,かつ,給料をもらった上で追試を受けていました。
(2) 追試でも合格留保となった場合,司法修習生の身分を引き続き有し,かつ,給料をもらった上で次の二回試験を受験していました司法修習生に対して給与が支給される根拠と裁判所法67条2項の改正の趣旨について(平成10年2月4日付の法務省の文書)参照)。
(3)ア 28期から52期までの間,合格留保となった数は以下のとおりです。
28期が5人,29期が7人,30期が5人
31期が6人,32期が11人,33期が9人,34期が9人,35期が7人
36期が1人,37期が3人,38期が4人,39期が6人
40期ないし43期が0人,44期が4人,45期が1人
46期が1人,47期及び48期が0人,49期が3人,50期が5人
51期が0人,52期が3人
イ 不合格となった人はいませんでした。
ウ 詳細については,二回試験等の推移表(1期から70期まで)を参照してください。
(4)   外部ブログの「「留保者へのカンパ問題について-59期修習生諸君へ」」には以下の記載があります。
   私が聞いた話では(あくまで噂ですが)、2回試験で合格留保になった司法修習生は、追試まで引き続き司法修習生の身分があり、本来は、給与も支給されるはずのところ、司法研修所側から、「合格留保になったような者が、これ以上、税金から給与を支給されるなど許されない」(?)と強烈に「指導」され、給与支給を辞退させられてしまう(一応、任意で)ため、追試までの生活費を皆でカンパしてあげる、ということでした。

3 53期から59期までの取扱い
(1)ア 一科目だけ不合格となった場合,合格留保者ということで,追試において不合格となった科目だけを受験すれば足りました。
   この場合,司法修習生としての身分を失いませんから,司法修習生の身分を引き続き有するものの,無給状態で追試を受けていました(裁判所法の一部を改正する法律(平成10年5月6日法律第50号)による改正後の裁判所法67条2項ただし書参照)。
(2) 二科目以上不合格となって不合格者となった場合,又は追試でも合格できずに不合格者となった場合,司法修習生を罷免された上で,次の期の二回試験においてすべての科目を受け直していました。
(3) 53期から59期までの間,合格留保となった数は,53期が19人,54期が16人,55期が11人,56期が11人,57期が46人,58期が31人,59期が107人でした。
   また,二科目以上不合格となって不合格者となった数は,55期が1人,57期が3人,58期が1人,59期が10人でした(二回試験等の推移表(1期から70期まで)参照)。

4 60期ないし68期の取扱い
(1)   一科目でも不合格となった場合,不合格者ということでいったん司法修習生を罷免された上で,次の期の二回試験においてすべての科目を受け直さなければならなくなりました(外部ブログの「司法修習二回試験の追試廃止は筋違いではないか」参照)。
(2) 「私は,この度,一身上の都合(考試不合格)により,司法修習生を退職したいと思いますので,ご許可くださいますようお願いします。」という文言を含む退職願を提出した場合,司法修習生に関する規則18条3号により罷免となり,退職願を提出しなかった場合,成績不良を理由に司法修習生に関する規則18条2号により罷免となりました。

5 69期以降の取扱い
(1) 69期以降の場合,一科目でも不合格になった司法修習生については,二回試験の不合格発表の翌日にある最高裁判所裁判官会議の決議をもって,同日付で一律に罷免されるようになりました。
(2) 60期ないし68期と同様, 一科目でも不合格となった場合,不合格者ということでいったん司法修習生を罷免された上で,次の期の二回試験においてすべての科目を受け直さなければならなくなりました。

6 不合格者に関する罷免の辞令書及び司法研修所長の通知

(1) 二回試験不合格者に対する罷免の辞令書を以下のとおり掲載しています。
71期72期73期74期75期76期
* 「二回試験に落ちた76期司法修習生の罷免の辞令書(令和5年12月13日付)」といったファイル名です。
(2) 「司法修習生考試の不合格者及び不合格者の罷免について」と題する司法研修所長の通知を以下のとおり掲載しています。
71期72期73期74期75期76期
* 「第74期司法修習生考試の不合格者及び不合格者の罷免について(令和4年4月22日付の司法研修所長の通知)4通」といったファイル名です。

7 二回試験不合格後の再採用
(1)ア 平成29年度(最情)答申に第38号(平成29年10月2日答申)は以下の記載があります。
   本件開示文書には,司法修習生の採用選考における審査基準が記載されているところ,その記載内容を踏まえて検討すれば,司法修習生であった者が考試を再度受験するために再採用される際には,本件開示文書に基づいて審査が行われるのであり,本件開示文書以外に司法行政文書を作成し,又は取得する必要はないという最高裁判所事務総長の上記説明の内容が不合理とはいえない。そのほか,最高裁判所において本件開示文書以外に本件開示申出文書に該当する文書を保有していることをうかがわせる事情は認められない。
イ 本件開示文書は「司法修習生採用選考審査基準(平成28年6月1日付け)」であり,本件開示申出文書は「司法修習生考試に不合格となった者を再び採用する際の,最高裁判所及び司法研修所内部の事務手続が分かる文書(最新版)」です。
(2) 「司法修習生採用選考審査基準(平成28年6月1日付け)」には以下の記載があります。
2 司法修習生採用選考申込者に次に掲げる事由があると認めるときは,これを不採用とする。
(中略)
(2) 司法修習生であった者が,次のいずれかに該当すること。
ア 修習態度の著しい不良その他の理由により修習をすることが不相当である者
イ 成績不良(裁判所法(昭和22年法律第59号)第67条第1項の試験の不合格を除く。)その他の理由により修習をすることが困難である者
ウ 裁判所法第67条第1項の試験に連続して3回合格しなかった者(再度司法試験法による司法試験に合格した者を除く。)。ただし,病気その他やむを得ないと認められる事情により,裁判所法第67条第1項の試験の全部又は一部を受験することができなかった場合には,当該試験については,受験回数として数えないものとすることができる。

8 関連記事その他
(1) 新65期 二回試験 不合格者備忘録ブログ「あとがき」に以下の記載があります。

二回試験に合格する前は、「将来不利益を被るのではないか、弁護士としてやっていけるのだろうか」と不安に思っていたが、今、自信を持って言えることがある。

それは、一度実務に就いたら、二回試験に落ちた事実など本当にどうでもよくなるし、誰も気に留めなくなるということだ。

実務では、出身大学、在学中合格か否か、司法試験の受験回数や順位はまったく意味を有さず、そこには、実力と結果がすべてのシビアな世界が広がっている。

二回試験に落ちて、プライドを失い、お金を失い、仕事を失い、住む場所を失い、婚約者を失い、あらゆる物を失ってどん底から這い上がってきた不合格仲間は本当にタフで、ちょっとやそっとのことでは動じずに笑い飛ばしてしまう。

不幸にも二回試験に不合格となってしまった方にとって、本当につらい1年間だと思うが、自分に与えられた試練だと思って、何とか乗り切って欲しい。心から応援している。

(2) 以下の記事も参照してください。
・ 二回試験の不合格発表
・ 65期以降の二回試験の不合格発表及びその後の日程
・ 二回試験不合格と,修習資金貸与金の期限の利益との関係
→ 二回試験不合格者の再採用に関する書類を載せています。
・ 60期以降の二回試験の不合格者数及び不合格率(再受験者を除く。)
・ 二回試験の科目別不合格者数
・ 二回試験再受験者の不合格率の推移
・ 二回試験の不合格体験に関するブログ
・ 二回試験に関する記事の一覧
・ 最高裁判所裁判官会議
・ 最高裁判所裁判官会議の議事録


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