第1 二回試験の位置付け
1 正式名称と記事の範囲
二回試験の正式名称は「司法修習生考試」であり,司法試験に合格して司法修習を受けた者が,修習の最後に受ける試験である。
司法試験に続く二つ目の試験であることから,実務上,「二回試験」と呼ばれている。
本記事は,令和8年8月29日現在の法令,司法修習生に関する規則及び公表資料に基づき,二回試験の5科目,直近に終了した第78期の日程・会場・当日の流れ,合否判定並びに不合格後の再受験を整理するものである。
第79期以降の日程又は運用は,最高裁判所又は司法修習生考試委員会の新しい公表資料で確認する必要がある。
2 司法修習の終了と法曹資格
裁判所法67条1項は,司法修習生が少なくとも1年間の修習をした後,試験に合格したときに司法修習を終える旨を定めている。
また,司法修習生に関する規則16条は,司法修習生考試委員会が,司法修習の成績及び考試の結果に基づいて合格者を決定する旨を定めている。
したがって,二回試験は,単独の筆記試験だけで司法修習の終了を決める制度ではない。
司法修習の成績と考試の結果を併せて合否が決定され,合格して司法修習を終えることが法曹資格の前提となる。
第2 5科目と実施方法
1 5科目と記録に基づく起案
二回試験の科目は,民事裁判,刑事裁判,検察,民事弁護及び刑事弁護の5科目である。
各科目では,配布された事件記録その他の資料を検討し,設問に応じて論点,事実評価,法的判断又は実務上の処理を答案にまとめる。
司法修習生考試委員会の第77期配布資料では,成績評価を「優秀」,「良好」,「可」及び「不可」の4段階とし,「可」以上を合格,「不可」を不合格としている。
いずれか1科目が「不可」である場合,又は正当な理由なく1科目でも欠席した場合は,考試全体が不合格となる取扱いである。
2 試験時間と貸与資料
第78期の応試心得では,答案作成時間は午前10時20分から正午まで及び午後1時から午後5時45分までの合計6時間25分であり,これとは別に答案綴り等の5分間が設けられている。
昼休みは正午から午後1時までであるが,昼休み中も答案を作成できるため,当日の行動可能時間と正式な答案作成時間を区別して理解する必要がある。
応試者には六法が貸与され,筆記用具は応試心得で定められた範囲の物を自ら持参する。
もっとも,使用できる物,持参すべき物及び禁止される物は期ごとの応試心得で指定されるため,受験する期の最新版を確認すべきである。
第3 第78期の日程と会場
1 令和8年3月2日から6日までの科目順
第78期の二回試験は,令和8年3月2日から同月6日まで,5日間連続で実施された。
科目順は次のとおりである。
| 実施日 | 科目 |
|---|---|
| 令和8年3月2日(月) | 刑事裁判 |
| 令和8年3月3日(火) | 検察 |
| 令和8年3月4日(水) | 民事裁判 |
| 令和8年3月5日(木) | 民事弁護 |
| 令和8年3月6日(金) | 刑事弁護 |
科目順及び実施時期は期によって異なる。
過去の実施日程は「二回試験の日程」及び「二回試験の科目の順番」で整理している。
2 司法研修所とマイドームおおさか
第78期では,関西の6修習地以外の初回受験者及び再受験者の試験場は司法研修所であり,関西の6修習地の初回受験者の試験場はマイドームおおさかであった。
会場,集合時刻及び入場方法は期又は受験区分によって変わり得るため,過去の情報だけで判断してはならない。
第4 当日の流れ
1 午前9時45分の着席から答案提出まで
第78期応試心得に基づく1日の基本的な流れは次のとおりである。
| 時刻 | 手続又は行動 |
|---|---|
| 午前9時45分 | 指定された席に着席する。 |
| 午前10時20分から正午まで | 午前の答案作成を行う。 |
| 正午から午後1時まで | 昼休みである。昼食及び答案作成ができる。 |
| 午後1時から午後5時45分まで | 午後の答案作成を行う。 |
| 午後5時45分から5分間 | 答案綴り等を行う。 |
| 答案提出後 | 監督員の指示があるまで席で待機し,退出する。 |
試験問題の配布,注意事項の告知,答案用紙への必要事項の記載その他の手続があるため,答案作成開始時刻だけを基準に会場へ向かうべきではない。
遅刻,途中退出,体調不良その他の事情が生じた場合は,自己判断で処理せず,直ちに監督員の指示を受ける必要がある。
当日の持ち物,飲食,薬の使用,電子機器,トイレ及び退室に関する詳細は「二回試験当日の流れ―第78期応試心得に基づく試験時間・持ち物・昼食・禁止事項(AI作成)」で整理している。
2 持ち物・昼食・禁止事項
第78期応試心得では,腕時計,携帯電話その他の電子機器の取扱い,机上に置ける物,飲食できる物及び薬の使用方法が具体的に定められている。
これらのルールは試験の公正な実施と答案の匿名性を確保するためのものであり,普段の学習時に使用している物をそのまま持ち込めるとは限らない。
また,昼休み中も答案作成が認められる一方,答案及び貸与品の取扱い,受験者相互の会話並びに試験室への出入りには制約がある。
受験者は,直前に応試心得を通読し,持ち物と当日の行動を確認しておく必要がある。
第5 合否の仕組みと結果発表
1 修習成績と考試結果による判定
司法修習生に関する規則13条により,司法研修所長は,考試に先立って司法修習生の修習成績を考試委員会に報告する。
同規則16条により,考試委員会は,この修習成績と考試の結果に基づいて合格者を決定し,委員長が最高裁判所に報告する。
このため,二回試験の合否を5科目の答案だけで説明することは正確でない。
他方で,具体的な採点基準,科目ごとの配点及び合否判定の内部過程は,公表資料だけではすべて明らかになっていない。
答案作成上の一般的な注意事項及び過去の配布資料は「二回試験の答案作成要領その他の応試心得」で整理している。
2 結果発表と統計の読み方
最高裁判所は,司法修習生考試の結果を公表している。
ただし,公表方法,公表ページ及び資料の保存状況は変わり得るため,最新の結果は最高裁判所の案内と当該期の資料を確認する必要がある。
過去の不合格者数及び不合格率については,分母に初回受験者,再受験者又は採用者のいずれを用いるかによって数値の意味が変わる。
法曹の質に関する検証資料でも,採用者数と不合格者数の集計範囲が同一でないことが注記されているため,単純な割り算を「受験者の不合格率」と表示すべきではない。
期別の公表結果は「二回試験の合否発表に関する裁判所HP」で,不合格者数等の推移は「二回試験の不合格者数及び不合格率」で整理している。
第6 不合格後の罷免・再採用・再受験
1 不合格時に司法修習を終えないこと
二回試験に不合格となった場合,裁判所法67条1項の要件を満たさないため,司法修習を終えない。
第78期応試心得は,不合格者について,裁判所法68条1項及び司法修習生に関する規則17条1項1号に基づく罷免の手続が行われる旨を説明している。
不合格だけで,裁判官,検察官又は弁護士としての具体的な就職・採用・登録上の取扱いを一律に断定することはできない。
各進路の内定,採用又は登録に関する効果は,関係機関の判断及び個別の条件を確認する必要がある。
2 再採用後は原則として全科目を受験すること
再受験するためには,改めて司法修習生への採用を申し込み,司法修習生として採用される必要がある。
考試委員会の配布資料では,後の期の考試を受ける場合,前回合格相当の評価を得た科目があっても,原則として5科目すべてを受験しなければならない。
もっとも,やむを得ない事由により一部の科目を受験できなかった場合には,既に受験した科目の一部又は全部について,次回の受験を免除されることがある。
免除の可否は個別事情と考試委員会の取扱いによるため,当然に認められるものではない。
3 原則として連続3回までの取扱いとやむを得ない欠席
第78期応試心得は,再受験のための再採用に関する運用の前提として,考試は原則として連続3回まで受験できる旨を説明している。
ただし,病気その他やむを得ないと認められる事情により,考試の全部又は一部を受験できなかった場合は,その回を受験回数に数えないことができる。
これは第78期応試心得に記載された再採用の運用上の前提であり,法律上当然に3回で受験資格が消滅すると単純化すべきではない。
再受験を検討する場合は,その時点の司法修習生採用選考要項,申込期限及び提出書類を確認する必要がある。
不合格後の手続及び再受験の詳細は「二回試験不合格者の取扱い」で整理している。
第7 関連資料への案内
司法修習全体の期間,修習内容及び修習給付金を含む制度の概要は「司法修習とは|期間,修習地,実務修習・集合修習,給付金及び二回試験(AI作成)」を参照されたい。
二回試験の委員会決定,配布資料及び過去の議事関係資料は「二回試験に関する司法修習生考試委員会の議事録等」で整理している。
第8 出典・参考資料
1 法令・最高裁判所規則
①e-Gov法令検索・裁判所法(67条及び68条)
②国立国会図書館日本法令索引・司法修習生に関する規則(12条ないし17条。現行規則の沿革及び改正状況)
2 司法修習生考試委員会の資料
①令和6年度(第78期)司法修習生考試応試心得
②第78期二回試験の実施日程を決定した際の文書(令和7年9月24日付け)
③第77期二回試験に関する司法修習生考試委員会の配布資料(抄本)
3 制度説明・検証資料
①最高裁判所・司法修習
②法務省司法法制部「第2回 法曹の質に関する検証結果について」(令和7年3月)(資料103頁~105頁)