メインコンテンツへスキップ
       

二回試験合格により得られる法令上の資格等(AIリライト)

第1 二回試験合格によって得られる他の資格

1 税理士,社会保険労務士,行政書士及び弁理士となる資格

弁護士法4条は,「司法修習生の修習を終えた者は、弁護士となる資格を有する。」と定めている。
司法修習は,裁判所法67条1項により,司法修習生が少なくとも1年間修習をした後,二回試験(司法修習生考試)に合格したときに終えるものとされているから,二回試験に合格して司法修習を終えた者は,弁護士会に登録して弁護士にならない場合であっても,「弁護士となる資格を有する者」に当たる。

税理士法3条1項3号は,「弁護士(弁護士となる資格を有する者を含む。)」を税理士となる資格を有する者の一つに掲げている。
社会保険労務士法3条2項も,「弁護士となる資格を有する者は、前項の規定にかかわらず、社会保険労務士となる資格を有する。」と定めている。
行政書士法2条2号も,「弁護士となる資格を有する者」を行政書士となる資格を有する者の一つに掲げている。
したがって,二回試験に合格して司法修習を終えた者は,税理士,社会保険労務士及び行政書士となる資格を,それぞれの資格試験を受けることなく取得する。

他方で,二回試験に合格して司法修習を終えた者は,裁判員の職務に就くことができなくなる。
裁判員の参加する刑事裁判に関する法律15条1項は,判事,判事補,検事又は弁護士となる資格を有する者を,裁判員の職務に就くことができない者として掲げている(同項14号)。

2 弁理士となる資格と実務修習

弁理士についても,弁護士となる資格を有する者は,弁理士となる資格を有する者の一つとして掲げられている(弁理士法7条2号)。
もっとも,弁理士法7条は,「次の各号のいずれかに該当する者であって、第十六条の二第一項の実務修習を修了したものは、弁理士となる資格を有する。」と定めており,同条各号のいずれかに該当するだけでは足りず,経済産業大臣又はその指定を受けた機関が実施する実務修習を修了することが,弁理士となる資格そのものの要件とされている。

実務修習の制度は,平成20年10月1日に施行された弁理士法の改正によって導入されたものであり,現在は,日本弁理士会が経済産業大臣から唯一の指定修習機関の指定を受けて,毎年度これを実施している。
弁護士となる資格を有する者は,弁理士試験合格者及び特許庁における通算7年以上の審判官又は審査官の経験者と並んで実務修習の対象者とされているが,全課目の免除を申請できるのは弁護士となる資格を有する者に限られている。
もっとも,免除を受けるにも別途の申請手続を要し,弁護士となる資格を有する者であることから当然に実務修習が不要になるわけではない。

第2 弁護士法3条2項による税理士事務と税理士法の規律

1 登録又は通知の要否

弁護士法3条2項は,「弁護士は、当然、弁理士及び税理士の事務を行うことができる。」と定めている。
しかし,実務上,弁護士は,税理士登録をするか,所属弁護士会を経て国税局長に通知し,通知弁護士(税理士法51条1項の規定により税理士業務を行う弁護士をいう。)とならない限り,税務署等において税務代理(税理士法2条1項1号)を行うことを認めてもらうことはできない(税理士法51条,税理士法施行規則26条及び税理士法事務取扱規程15条)。

なお,弁護士法人又は弁護士・外国法事務弁護士共同法人の形態で税理士業務を行う場合には,その法人自身が税理士法51条3項の通知をすることに加えて,社員である弁護士全員が同条1項の通知をする必要がある(税理士法基本通達51-1)。
国税庁は,国税局長に通知を行った弁護士の一覧を国税局ごとに公表しており(令和8年3月末日現在),通知弁護士の制度は現在も運用されている。

2 大阪高等裁判所平成24年3月8日判決

大阪高等裁判所平成24年3月8日判決は,税理士法51条1項の通知をしていない弁護士が,依頼者の相続税連帯納付義務に関する大阪国税局との納付協議への同席を拒否されたことは違法な公権力の行使に当たると主張して国家賠償を求めた事案において,弁護士側の請求を退けた。
原審の大阪地方裁判所は弁護士側の請求を一部認容していたが,控訴審である本判決は,原判決中国敗訴部分を取り消し,弁護士側の請求を全部棄却した。

本判決は,結論として次のとおり判示している。
「条文の解釈としては,弁護士が当然税理士の事務を行うことができる旨を定める弁護士法3条2項の規定は,税理士法による制約を受け,弁護士が現実に税理士業務を行うについては,税理士法の手続規定に従い,同法18条の税理士の登録を受けるか同法51条1項による通知を要するものと解するのが相当である。」
本判決に対しては上告受理申立てがされている。

3 国税庁が公表する参考資料

国税庁が作成した税理士事務提要(平成14年7月作成)の全文を,1/2及び2/2として掲載する。
また,国税庁が定める税理士法事務取扱規程(平成25年7月現在)も掲載する。

出典・参考資料

1 法令

弁護士法(昭和24年法律第205号)4条,3条2項(e-Gov法令検索)
裁判所法(昭和22年法律第59号)67条1項(e-Gov法令検索)
弁理士法(平成12年法律第49号)7条,16条の2第1項(e-Gov法令検索)
税理士法(昭和26年法律第237号)2条1項1号,3条1項3号,51条(e-Gov法令検索)
税理士法施行規則(昭和26年大蔵省令第55号)26条(e-Gov法令検索)
社会保険労務士法(昭和43年法律第89号)3条2項(e-Gov法令検索)
行政書士法(昭和26年法律第4号)2条2号(e-Gov法令検索)
裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(平成16年法律第63号)15条1項14号(e-Gov法令検索)

2 裁判例

大阪高等裁判所平成24年3月8日判決(事件番号は判決書上非公表。裁判所ウェブサイト未掲載。国税庁「税務訴訟資料」〔徴収関係,平成24年判決分,順号24-15〕で全文確認)

3 行政機関の資料

①国税庁「税理士法基本通達」第51条関係51-1(国税庁,最終改正令和5年6月23日)
②国税庁「国税局長に通知を行った弁護士」(国税庁,令和8年3月末日現在)
③国税庁「税理士法事務取扱規程」(国税庁訓令特第29号,平成25年7月現在の写しを本サイトに掲載)
④国税庁「税理士事務提要」(国税庁,平成14年7月作成,本サイトに掲載)

4 職能団体の資料

①日本弁理士会「弁理士になるには」(日本弁理士会)
②日本弁理士会「実務修習について」(日本弁理士会)