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AI・リーガルテック

TreeeSで手数料を納付する方法―納付番号,インターネットバンキング,ATM及び合算納付(AI作成)

目次第1 結論1 提出と納付は別の処理である2 手数料額の計算は利用者が確認する第2 納付番号の確認1 提出後に表示される情報2 事件台帳へ記録する第3 インターネットバンキングとATM1 インターネットバンキング2 ATM第4 複数申立ての合算1 合算できる範囲2 照合作業第5 納付後の確認1 金融機関側とTreeeS側2 エラー又は二重操作を避ける第6 手数料計算との役割分担1 計算記事2 訴訟提起の記事第7 出典と限界1 確認した資料2 未確認事項
第1 結論
1 提出と納付は別の処理である

TreeeS資料では,訴状等の提出後,入力した手数料額に応じて納付番号等が発行され,インターネットバンキング又はPay-easy対応ATM等から納付する流れが示されている。
提出完了画面が表示されても,手数料の納付が完了したことにはならない。反対に,納付結果だけでは対象事件への提出内容を証明できない。

2 手数料額の計算は利用者が確認する

フォームの自動計算は入力補助であり,資料上,正しい手数料額は利用者が確認するものとされる。訴額,申立ての種類,併合・附帯申立て等により金額が異なる場合は,法令及び裁判所の案内と照合する。

第2 納付番号の確認
1 提出後に表示される情報

納付画面又は提出結果画面に表示される収納機関番号,納付番号,確認番号,金額及び納付期限等を保存する。画面を閉じる前に,対象事件及び申立てとの対応を確認する。

2 事件台帳へ記録する

事務所の事件台帳には,①提出日時,②申立て,③受付結果,④納付番号,⑤金額,⑥納付担当者,⑦納付日時,⑧納付結果を別々の欄で記録する。
番号だけをメール又はチャットで転送すると対象事件を取り違えやすいため,裁判所・当事者・申立て名と組み合わせる。

第3 インターネットバンキングとATM
1 インターネットバンキング

資料上,納付番号を用いてインターネットバンキングから支払う経路が示されている。利用する金融機関がPay-easyに対応しているか,利用時間,振込限度額及び認証方法を事前に確認する。

2 ATM

Pay-easy対応ATMでの納付は,収納機関番号等を入力して行う。コンビニエンスストアに設置された共用ATMが当然に利用できるわけではないため,「コンビニにATMがある」という理由だけで納付可能と判断しない。
利用する金融機関の公式案内及びATM画面でPay-easy対応を確認する。

第4 複数申立ての合算
1 合算できる範囲

TreeeS資料は,複数の申立てについて手数料を合算して納付する機能を示している。ただし,どの申立てを同一の納付に含めるかを確認し,個別の納付番号と合算後の金額との対応を保存する。

2 照合作業

合算納付では,申立てごとの金額の合計と納付額を照合し,対象外事件の混入,二重納付又は納付漏れを防ぐ。納付後の画面又は利用明細を事件記録へ保存する。

第5 納付後の確認
1 金融機関側とTreeeS側

金融機関側で処理が完了しても,TreeeS又は裁判所側へ結果が反映されるまで時間差が生じる可能性がある。金融機関の取引結果とTreeeS上の納付状況の双方を確認する。

2 エラー又は二重操作を避ける

画面遷移の中断や結果不明が生じたときは,直ちに同じ納付を繰り返さず,金融機関の利用明細,口座履歴及びTreeeSの現在表示を確認する。確認できない場合は,対象裁判所又は金融機関の案内に従う。

第6 手数料計算との役割分担

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TreeeSのシステム送達と期限管理―受信一覧,閲覧・ダウンロード,1週間及び送達状況(AI作成)

目次第1 結論1 通知メールだけで期限を決めない2 TreeeSの画面表示と法的効果を分ける第2 システム送達の法的仕組み1 受送達者への通知2 効力発生の三つの時点3 責めに帰することができない事由第3 受信一覧と30日1 受信一覧の表示期間2 事務所保存第4 事務職員が閲覧する場合1 GビズIDメンバーの閲覧2 システム送達受取人第5 期限管理の実務1 記録する時刻2 複数人がアクセスできる場合第6 システム直送との違い1 送達と直送を混同しない2 到達の証拠第7 出典と判例確認1 一次資料2 判例秘書等
第1 結論
1 通知メールだけで期限を決めない

システム送達の効力は,通知メールを読んだ時だけに生ずるものではない。民事訴訟法109条の3第1項によれば,送達対象を閲覧した時,端末のファイルへ記録した時又は通知が発せられた日から1週間を経過した時のうち,最も早い時に効力を生ずる。

2 TreeeSの画面表示と法的効果を分ける

TreeeSの受信一覧,ダウンロード操作及び送達状況画面は,事実確認のための重要な資料である。しかし,画面の「送達済み」等の表示だけを切り取らず,通知発信,閲覧,記録及び責めに帰することができない事由の有無を法令に当てはめる。

第2 システム送達の法的仕組み
1 受送達者への通知

民事訴訟法109条の2は,受送達者へ送達対象を閲覧又はファイルへ記録できる措置を講じ,その旨を通知する仕組みを定める。通知は入口であり,送達効そのものと同義ではない。

2 効力発生の三つの時点

効力発生の候補は,①閲覧時,②ファイルへの記録時,③通知発信日から1週間経過時である。最も早い時点が基準になるため,担当者が先に閲覧又はダウンロードすると,1週間を待たずに送達効が発生し得る。

3 責めに帰することができない事由

同条2項は,受送達者の責めに帰することができない事由で閲覧又は記録ができない期間を1週間に算入しないと定める。システム障害等がある場合は,障害情報,発生時刻,エラー画面,問合せ内容及び復旧時刻を保存する。

第3 受信一覧と30日
1 受信一覧の表示期間

TreeeS資料上,システム送達又は直送で受け取ったファイルは,受信一覧から30日間アクセスできると説明されている。この30日は,送達効の発生時期又は上訴期間ではない。

2 事務所保存

受信担当者は,対象事件,書面名,通知時刻,閲覧・ダウンロード時刻及び取得ファイルを事件記録へ保存する。受信一覧が表示されなくなった後も期限計算の根拠を説明できるようにする。

第4 事務職員が閲覧する場合
1 GビズIDメンバーの閲覧

最高裁判所提供資料には,GビズIDメンバーが最初に閲覧した場合,送達状況画面にその職員名が表示されるとの説明がある。職員による閲覧が法的期限の起点に影響し得るため,誰がどの時間帯に開封できるかを決める。

2 システム送達受取人

システム送達受取人は,事件について送達を受ける役割である。サポーターとして提出できることや,訴訟記録一覧を閲覧できることとは別の権限である。
詳しくは,TreeeSで事務職員ができることを参照されたい。

第5 期限管理の実務
1 記録する時刻

通知発信時刻,最初の閲覧時刻,最初のダウンロード時刻,送達状況表示及び担当弁護士への連絡時刻を別々に記録する。通知メールの受信時刻だけを期限計算表へ転記しない。

2 複数人がアクセスできる場合

複数の弁護士・職員がアクセスできる事務所では,最初に開いた者が誰かを後から確定できるよう,受信担当とエスカレーション方法を定める。各自の個別アカウントを用い,共用IDによって閲覧者が不明になる運用を避ける。

第6 システム直送との違い

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TreeeSのサポーターとは―登録・提出権限,事件記録の閲覧及び送達受取人との違い(AI作成)

目次第1 結論1 事件単位で提出を補助する役割である2 送達受領・常時閲覧とは別である第2 登録の対象1 職員自身のアカウント2 事件ごとの指定第3 できること1 書面提出の補助2 本人の依頼・承諾第4 できないこと又は別登録が必要なこと1 訴訟記録一覧の常時閲覧2 システム送達の受領3 サポーター兼送達受取人第5 登録・解除の確認1 登録時2 解除時第6 GビズIDメンバーとの違い1 組織アカウントではない2 事務所方式を先に決める第7 出典と限界1 確認した資料2 未確認事項
第1 結論
1 事件単位で提出を補助する役割である

最高裁判所提供資料では,サポーターは,本人又は代理人のために個別事件で提出操作を補助する役割として示されている。職員の一般的な職位又は訴訟代理人資格を意味しない。

2 送達受領・常時閲覧とは別である

サポーターであるだけでは,システム送達受取人にはならず,訴訟記録一覧から事件記録を常時閲覧できるとも説明されていない。「提出できる」「記録を見られる」「送達を受ける」を分ける。

第2 登録の対象
1 職員自身のアカウント

GビズIDを使わない方式では,事務職員が自分のTreeeS個人アカウントを取得し,対象事件へサポーターとして関連付ける方法が示されている。共用アカウントを用いない。

2 事件ごとの指定

サポーターの権限は個別事件に結び付く。担当事件が変わった場合,新事件への登録と旧事件からの解除をそれぞれ確認する。

第3 できること
1 書面提出の補助

資料上,サポーターは事件内へ直接書面を提出できる役割として整理されている。ただし,提出する書面の内容,提出期限,代理権及び弁護士の承認は別問題である。

2 本人の依頼・承諾

サポーターが入力する際に,本人の依頼又は承諾に関する書面の登録が示されている。依頼書面の要否,形式及び提出先は最新マニュアルと対象事件の画面で確認する。

第4 できないこと又は別登録が必要なこと
1 訴訟記録一覧の常時閲覧

非連携職員のサポーターについて,最高裁判所提供資料は訴訟記録一覧から常時記録を閲覧できないと説明している。提出した書面又は受け取った書面へのアクセスと,事件記録全体の閲覧を区別する。

2 システム送達の受領

送達を受けるには,システム送達受取人としての役割が必要である。提出補助だけを依頼する職員に送達受領まで付与するかを事件ごとに判断する。

3 サポーター兼送達受取人

資料上,サポーターとシステム送達受取人を兼ねる区分がある。この場合でも,訴訟記録一覧の常時閲覧とは別である。

第5 登録・解除の確認
1 登録時

①対象事件,②本人又は代理人,③サポーター本人,④提出権限,⑤送達受領権限,⑥依頼・承諾書面を確認する。

2 解除時

担当終了,休職又は退職時には,事件側のサポーター登録を解除し,必要に応じてアカウント自体の利用停止も行う。解除後の未処理下書き及び受信書面がないかを確認する。

第6 GビズIDメンバーとの違い
1 組織アカウントではない

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TreeeSで訴訟記録を閲覧・ダウンロードする方法―記録一覧,記録外,関連事件及び電子署名(AI作成)

目次第1 結論1 事件詳細画面には複数の領域がある2 画面表示と閲覧権限を区別する第2 各一覧の役割1 訴訟記録一覧2 証拠一覧3 記録外一覧第3 関連事件と表示の切替え1 関連事件を取り違えない2 一覧の並び順を保存証拠にしない第4 ダウンロードと電子署名1 表示用データと電子署名付きデータ2 ファイルの保存方法第5 閲覧権限と事務職員1 GビズIDメンバー2 サポーター等第6 30日表示との違い1 受信一覧と提出一覧2 法的な記録保存期間ではない第7 関連記事と出典1 関連記事2 一次資料と未確認事項
第1 結論
1 事件詳細画面には複数の領域がある

TreeeSの事件詳細画面では,訴訟記録一覧,証拠一覧及び記録外一覧等が区別される。表示されているファイルを一括して「事件記録」と呼ぶと,法的な訴訟記録,証拠及び事務処理用の参考資料を混同する。

2 画面表示と閲覧権限を区別する

システム上のリンクが表示されることと,法令上その記録を閲覧・複写できることは同じではない。当事者・代理人,サポーター,システム送達受取人等の地位によりアクセス範囲が異なる。

第2 各一覧の役割
1 訴訟記録一覧

訴訟記録一覧には,裁判所が事件の電子記録として整理した書面等が表示される。提出直後のファイルが直ちに確定的な訴訟記録として表示されるとは限らず,裁判所による立件・関連付け・記録整理の段階を区別する。

2 証拠一覧

証拠一覧では,書証番号等を手掛かりに証拠及び関連データを確認する。証拠説明書,翻訳文,音声・動画等の関連データと元の証拠との対応を,画面表示だけでなく事務所の証拠台帳にも残す。

3 記録外一覧

和解条項案,参考情報その他の記録外資料が置かれる領域である。どの当事者が閲覧できるか,裁判所だけが閲覧する資料かを提出時の選択と併せて確認する。
記録外の選択は,民事訴訟法上の秘匿措置又は閲覧等制限申立ての代替ではない。

第3 関連事件と表示の切替え
1 関連事件を取り違えない

同じ当事者間の関連事件,併合前後の事件その他の関連事件へ切り替えられる場合,画面上部の裁判所,事件番号,事件名及び当事者を確認する。
ダウンロードする前に,現在開いている事件と目的の記録が一致するか確認し,保存先フォルダも事件単位で分ける。

2 一覧の並び順を保存証拠にしない

一覧の表示順,検索結果又は絞込み条件は,記録の法的な順序や完全性を当然に示すものではない。必要な期間・書面種別を確認し,漏れが疑われる場合は裁判所へ確認する。

第4 ダウンロードと電子署名
1 表示用データと電子署名付きデータ

資料上,電子署名付きデータをダウンロードする経路が示されている。閲覧用に開いたPDFと,電子署名情報を含む取得データが同一の利用目的とは限らない。
裁判所が電子署名を付した文書については,取得したファイルをそのまま保存し,印刷物又はスクリーンショットだけに置き換えない。

2 ファイルの保存方法

ダウンロード日時,対象事件,書面名,ファイル名及び取得者を記録する。ZIPその他の集合ファイルを取得した場合は,元ファイルと展開後ファイルの双方を管理し,元の構成を失わない。
電子署名はファイルが改変されていないこと等の確認に利用できるが,文書内容の真実性,主張の正しさ又は事件記録全体の完全性を当然に証明するものではない。

第5 閲覧権限と事務職員
1 GビズIDメンバー

最高裁判所提供資料上,GビズID連携を用いる職員は,弁護士に代わって記録閲覧等を行える設計が示されている。ただし,共用アカウントではなく各職員を識別できるアカウントとして管理する。

(続きを読む...)TreeeSで訴訟記録を閲覧・ダウンロードする方法―記録一覧,記録外,関連事件及び電子署名(AI作成)

TreeeSの招待キーを使う方法―当事者本人,訴訟代理人,委任状及びシステム送達の届出(AI作成)

目次第1 結論1 招待キーは事件への入口である2 事件と当事者を照合する第2 当事者本人による入力1 招待キー情報2 関連付け後の確認第3 訴訟代理人が関与する場合1 代理人情報と委任状2 複数代理人第4 答弁書の提出1 事件詳細画面から提出する2 PDFと入力欄第5 システム送達の届出1 事件への関連付けとは別である2 送達受取人第6 事務所内の確認表1 登録時2 登録後第7 関連記事と出典1 関連記事2 確認範囲
第1 結論
1 招待キーは事件への入口である

TreeeS資料では,応訴する当事者本人について招待キーが発行され,その情報を入力して対象事件へ関連付く手順が示されている。招待キーを入力しただけで,代理権,送達受領の届出又は答弁書提出がすべて完了するわけではない。

2 事件と当事者を照合する

入力前に,裁判所,事件番号,事件名,原告・被告及び招待キーの宛先を確認する。別事件又は別当事者の招待キーを使用しない。

第2 当事者本人による入力
1 招待キー情報

通知された招待キー,事件情報その他の入力事項を,裁判所から届いた書面又は公式画面と照合する。招待キーをメール等で転送する場合は,誤送信及び第三者利用を防ぐ。

2 関連付け後の確認

関連付け後に表示された裁判所,事件番号,当事者及び利用できる機能を確認する。事件が表示されたことと,訴訟記録の全範囲を閲覧できること又は代理人として登録されたことを同一視しない。

第3 訴訟代理人が関与する場合
1 代理人情報と委任状

訴訟代理人は,代理人情報を登録し,委任状その他の代理権を証する書面を提出する。事務職員が操作を補助する場合も,職員のアカウント上の役割と弁護士の訴訟代理権を区別する。

2 複数代理人

複数の代理人がいる場合は,各代理人の登録状況,送達受領者及び担当範囲を確認する。代表者又は最初の登録者だけを確認して終えない。

第4 答弁書の提出
1 事件詳細画面から提出する

事件に関連付いた後は,事件詳細画面から答弁書の提出フォームへ進む。事件情報が自動表示される場合でも,提出直前に裁判所,事件番号,当事者及び提出者を確認する。

2 PDFと入力欄

答弁内容をPDFで登録する場合,フォームへ直接入力した内容との上書き関係に注意する。確認画面又は生成帳票で,答弁の趣旨,認否及び主張が欠けていないか読む。

第5 システム送達の届出
1 事件への関連付けとは別である

システム送達を受ける旨の届出は,招待キー入力又は答弁書提出とは別に確認する。民事訴訟法109条の4は,届出義務がある者が届出をしていない場合についても所定の送達を可能とするため,届出をしなければ送達されないと考えてはならない。

2 送達受取人

事務職員等をシステム送達受取人にする場合は,事件単位の役割,受信一覧へのアクセス及び最初の閲覧時刻の管理を確認する。詳しくは,TreeeSで事務職員ができることを参照されたい。

第6 事務所内の確認表
1 登録時

①招待キーの宛先,②裁判所・事件番号,③当事者,④代理人,⑤委任状,⑥送達受取人,⑦提出予定の答弁書を確認する。

2 登録後

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TreeeSで係属事件に書面を提出する方法―事件詳細画面,同時提出,下書き保存及び受付確認(AI作成)

目次第1 結論1 事件詳細画面から始める2 提出完了を一つの状態にまとめない第2 提出する書面と入口1 通常の事件書面2 参考書面と記録外領域3 事件に関連付いていない場合第3 同時提出と一時保存1 複数書面の同時提出2 一時保存は提出ではない第4 誤事件提出を防ぐ確認1 提出直前の確認項目2 フォーム入力とPDFの上書き第5 提出後の証拠化1 受付結果を保存する2 相手方への到達とは別である第6 関連記事1 操作索引2 事務職員の権限第7 出典と限界1 確認した資料2 未確認事項
第1 結論
1 事件詳細画面から始める

係属中の事件へ準備書面その他の書面を提出するときは,ユーザポータルで対象事件を開き,事件詳細画面の「事件の申立て・書面の提出」から始めるのが基本である。この入口を使うと,裁判所及び事件番号等が入力された状態でフォームが表示されると説明されている。
一般の申立て検索画面からも書面を探せる場合があるが,事件番号等を手入力する経路では誤事件提出の危険が増える。

2 提出完了を一つの状態にまとめない

下書き保存,送信操作,システム受領,裁判所による事件への関連付け及び相手方への直送又は送達は別である。画面上の一つの表示だけで,すべてが完了したと扱わない。

第2 提出する書面と入口
1 通常の事件書面

準備書面,証拠申出書その他の事件書面は,対象事件の詳細画面から該当フォームを選ぶ。提出者,書面名,提出先フォルダ及び相手方への送付関係を確認する。
書証は専用フォームを使い,証拠説明書の入力項目と併せて処理するため,TreeeSでの書証の提出を参照されたい。

2 参考書面と記録外領域

和解条項案その他の訴訟記録としない資料について,TreeeS資料は「参考書面」として記録外フォルダへ提出する経路を示している。
記録外フォルダへ提出することは,法律上の秘匿決定又は閲覧等制限を当然に生じさせるものではない。資料の性質,閲覧させる相手及び必要な申立てを別に検討する。

3 事件に関連付いていない場合

補助参加の申出等,提出者のアカウントがまだ事件に関連付いていない場面では,裁判所・事件番号等を手入力する経路が示されている。提出後も裁判所の確認・関連付けが済むまでは,事件が訴訟記録一覧に表示されない場合がある。

第3 同時提出と一時保存
1 複数書面の同時提出

複数の書面を一度に提出できる場合でも,各書面の事件,書面名,ファイル及びフォルダを個別に確認する。同時提出は確認作業を不要にする機能ではない。
主張書面と書証,翻訳文その他の関連データを提出するときは,それぞれの対応関係を事件外の提出台帳にも残す。

2 一時保存は提出ではない

フォームを一時保存しても裁判所へ提出されたことにはならない。資料上,下書きには保存期限及び件数上限が設定されるため,期限直前の下書きを正式な事件記録として依存しない。
下書きの作成日,担当者,提出予定日及び確認者を事務所内で管理する。

第4 誤事件提出を防ぐ確認
1 提出直前の確認項目

提出直前に,①裁判所,②事件番号,③事件名,④当事者,⑤提出者の肩書,⑥書面名,⑦ファイルの版・頁数,⑧提出先フォルダ,⑨同時提出する添付資料,⑩直送又は送達の対象を確認する。
特に,複数事件で似た書面名を使う場合は,ファイル名だけでなくPDFを開いて表紙及び事件番号を確認する。

2 フォーム入力とPDFの上書き

資料上,準備書面等のフォームでは,主張内容をPDFでアップロードするとフォームに直接入力した内容が消える欄がある。入力済み文字列とアップロードPDFが併存すると思い込まず,確認画面又は出力帳票で本文全体を読む。

第5 提出後の証拠化

(続きを読む...)TreeeSで係属事件に書面を提出する方法―事件詳細画面,同時提出,下書き保存及び受付確認(AI作成)

TreeeS導入前に法律事務所が準備すること―アカウント台帳,提出経路台帳及びデータ保存(AI作成)

目次第1 結論1 システム導入は事件管理と権限管理の変更である2 二つの台帳を分ける第2 提出経路台帳1 記録する項目2 移送時の再判定第3 アカウント・権限台帳1 弁護士2 事務職員3 共用アカウントを使わない第4 提出の業務フロー1 二者確認2 六つの状態を分ける第5 受信と期限管理1 受信担当2 期限計算第6 30日以内の保存1 対象2 保存するデータ第7 担当変更・退職・障害1 担当変更と退職2 障害記録第8 関連記事1 制度と導入時期2 操作索引第9 出典と限界1 確認資料2 実務提案と未確認事項
第1 結論
1 システム導入は事件管理と権限管理の変更である

TreeeSへの移行準備は,新しいログイン方法を覚えるだけでは足りない。事件ごとの提出経路,弁護士・職員のアカウント,提出・閲覧・送達受領の権限及び30日で見えなくなるデータの保存方法を一体で設計する。

2 二つの台帳を分ける

事件ごとの提出経路台帳と,人物・アカウントごとの権限台帳を分ける。事件が終わってもアカウントは残り,職員が退職しても事件は続くためである。

第2 提出経路台帳
1 記録する項目

事件名,裁判所,事件番号,提起日,旧法・新法,紙・mints・TreeeSの別,移送歴,使用開始日,最終確認した裁判所案内及び担当者を記録する。

2 移送時の再判定

移送決定があった場合は,移送先裁判所の導入状況と新しい事件番号を確認する。mintsとTreeeSの事件データが自動移行することを前提にしない。

第3 アカウント・権限台帳
1 弁護士

TreeeSのユーザID,登録メール,GビズID利用の有無,プライムの有効期限,職務上氏名,連絡先住所,認証端末及び資格確認の状況を記録する。

2 事務職員

職員ごとのアカウント,メールアドレス,GビズIDメンバーのサービス権限,TreeeS事件上のサポーター・送達受取人等の役割,担当事件及び解除日を記録する。

3 共用アカウントを使わない

提出者,閲覧者及び送達書面を開いた者を特定できるよう,個人単位のアカウントを使う。パスワード・認証端末を共有しない。

第4 提出の業務フロー
1 二者確認

提出直前に,裁判所,事件番号,当事者,書面名,提出者の肩書,ファイルの版・頁数,提出先フォルダ,証拠番号及び秘匿情報を作成者とは別の者が確認する。

2 六つの状態を分ける

①下書き保存,②送信操作,③システム受領,④裁判所の立件・関連付け,⑤手数料納付,⑥送達効発生を別々に記録する。「提出済み」という一欄だけで管理しない。

第5 受信と期限管理
1 受信担当

通知を監視する担当者,開封できる者,担当弁護士への連絡方法及び不在時の代替者を決める。最初の閲覧又はダウンロードが送達効の発生時点になり得る。

2 期限計算

通知発信,閲覧,ダウンロード及び1週間経過の各時刻を記録し,最も早い効力発生時点を検討する。通知メールの受信時刻だけを期限起算日にしない。

第6 30日以内の保存
1 対象

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TreeeSでGビズIDメンバーを使う方法―法律事務所職員のアカウント,権限設定及びメールアドレス(AI作成)

目次第1 結論1 GビズIDメンバーは職員本人のアカウントである2 広いシステム権限と訴訟代理権は別である第2 作成とサービス権限1 プライム側の操作2 メンバー本人の操作第3 TreeeSでできること1 提出と記録閲覧2 送達・直送書面3 本人の最終責任第4 メールアドレスの設計1 一人一アドレス2 複数弁護士を補助する場合第5 有効期限と異動・退職1 GビズIDの有効期限2 二重の棚卸し第6 サポーターとの違い1 アカウントと事件上の役割2 GビズID非連携の場合第7 出典と限界1 確認した一次資料2 未確認事項
第1 結論
1 GビズIDメンバーは職員本人のアカウントである

GビズIDメンバーは,GビズIDプライム利用者が所属職員へ権限を付与して作成するアカウントである。法律事務所内で一つの共用IDを使う仕組みではない。

2 広いシステム権限と訴訟代理権は別である

最高裁判所提供資料上,TreeeSへGビズID連携する場合,メンバーは弁護士に代わって提出・記録閲覧等を行える設計が示されている。しかし,アカウント権限を付与されても,職員が訴訟代理人になるわけではない。

第2 作成とサービス権限
1 プライム側の操作

GビズIDプライム又は管理権限を持つ者がメンバーを作成し,利用可能な行政サービスを設定する。TreeeSを利用できるサービスとして許可されているかを確認する。

2 メンバー本人の操作

招待を受けた職員は,自分のメールアドレス,認証方法及び登録情報を用いて手続きを完了する。パスワードや認証端末を他の職員と共有しない。

第3 TreeeSでできること
1 提出と記録閲覧

最高裁判所提供資料では,GビズIDメンバーが弁護士に代わり,書面提出及び訴訟記録の閲覧を行えると説明されている。対象事件及び操作範囲は本番のサービス権限と事件画面で確認する。

2 送達・直送書面

資料には,メンバーが受送達書面を閲覧できる旨の説明もある。最初に閲覧したメンバーの氏名が送達状況画面へ表示されるとされるため,受信担当と閲覧時刻を管理する。

3 本人の最終責任

職員が操作できても,提出内容,事件,期限及び代理権の確認は別である。事務所内で弁護士の承認を経る段階を定め,承認者と送信者を記録する。

第4 メールアドレスの設計
1 一人一アドレス

操作履歴と本人を対応させるため,職員ごとのメールアドレスを用いる。同じメールアドレスを複数人で利用しない。

2 複数弁護士を補助する場合

TreeeS資料には,同じメンバー用メールアドレスを複数の弁護士のGビズIDプライムへ紐づけられないとの説明がある。弁護士ごとに別アドレスが必要となる場合の命名,受信先及び退職時の停止方法を先に決める。

第5 有効期限と異動・退職
1 GビズIDの有効期限

デジタル庁の現行案内では,GビズIDプライム及びメンバーの有効期間は原則2年3か月である。プライムが期限切れになると,紐づくメンバーの行政サービスログインにも制限が生じ得る。

2 二重の棚卸し

職員の担当変更又は退職時は,GビズID側のメンバー・サービス権限と,TreeeS事件側の関連付け・送達受取人等を別々に確認する。片方だけを停止して終えない。

第6 サポーターとの違い
1 アカウントと事件上の役割

(続きを読む...)TreeeSでGビズIDメンバーを使う方法―法律事務所職員のアカウント,権限設定及びメールアドレス(AI作成)

TreeeSはいつからどの裁判所で使うのか―先行導入,mintsとの併存及び移送時の取扱い(AI作成)

目次第1 結論1 令和9年1月に名古屋地区で先行導入予定2 全国一斉の確定日は未公表第2 令和8年5月21日以後の現行運用1 民事訴訟の全面デジタル化2 対象外手続第3 紙・mints・TreeeSの判定1 旧法適用事件2 新法適用事件3 事件単位で記録する第4 移送時の取扱い1 mints事件がTreeeS導入庁へ移送された場合2 TreeeS事件が他庁へ移送された場合3 運用予定として扱う第5 mintsから自動移行するとは限らない1 アカウント2 事件データ第6 導入確認のチェックリスト1 提出前2 導入後第7 出典と証拠区分1 確認済みの一次資料2 予定と未確認事項
第1 結論
1 令和9年1月に名古屋地区で先行導入予定

令和8年2月27日付の最高裁判所事務総局から日弁連事務総長宛ての通知によれば,TreeeSは令和9年1月から,名古屋高等裁判所本庁,名古屋地方裁判所本庁・支部及び同地裁管内の簡易裁判所へ先行導入される予定である。

2 全国一斉の確定日は未公表

全庁導入は令和9年度中を目指すとされるが,裁判所ごとの導入日を示す確定日程表は今回確認した資料にない。調達仕様書の工程は開発・運用予定の一次資料であるが,実際のサービス開始を確認する資料ではない。

第2 令和8年5月21日以後の現行運用
1 民事訴訟の全面デジタル化

改正民事訴訟法等は令和8年5月21日に全面施行された。弁護士等の所定の訴訟代理人には電子申立てが原則として義務付けられ,現在,裁判所はmintsを電子申立て等のシステムとして案内している。

2 対象外手続

民事執行,倒産,労働審判,家事事件等は,令和8年5月21日の民事訴訟フェーズ3と同じ範囲で一律にオンライン申立ての対象になったものではない。手続類型ごとの施行日及びシステムを確認する。

第3 紙・mints・TreeeSの判定
1 旧法適用事件

日弁連会員向け案内では,令和8年5月20日までの旧法適用事件は,控訴・上告を含め,事件終了まで紙を基本とする整理が示されている。具体的事件では裁判所の案内を確認する。

2 新法適用事件

令和8年5月21日以後の新法適用事件は,現在は原則mintsを用いる。TreeeS先行導入後は,対象裁判所へ新たに提起する事件についてTreeeSを用いるとの案内がある。

3 事件単位で記録する

事務所の事件台帳に,提起日,裁判所,適用法,使用システム,移送歴及び確認した裁判所案内の日付を記録する。「令和9年になったらすべてTreeeS」といった一律処理をしない。

第4 移送時の取扱い
1 mints事件がTreeeS導入庁へ移送された場合

日弁連会員向け案内には,mints事件をTreeeS導入庁へ移送した場合,移送先では新たに立件する事件をmintsで扱うとの説明がある。既存事件データが自動でTreeeSへ移ると考えない。

2 TreeeS事件が他庁へ移送された場合

TreeeS事件を非導入庁へ移送した場合も,移送先で新たに立件する事件をmintsで扱うとの案内がある。提出済みデータ,送達状況及び記録の引継ぎ範囲は移送時に確認する。

3 運用予定として扱う

上記は先行導入前の公式案内に基づく予定である。本番運用を観察した結果ではないため,移送決定後に両裁判所の指示と事件画面を確認する。

第5 mintsから自動移行するとは限らない
1 アカウント

令和8年4月3日付調達仕様書には,mintsと同じメールアドレスを利用してTreeeSのユーザIDを取得するための改修案がある。しかし,mintsのID・パスワードがそのままTreeeSのIDになることを意味しない。

2 事件データ

今回確認した公開資料では,移行対象データ,並行運用期間及びmints終了日を確定できない。必要な提出書面・受信書面・受付結果を事件記録へ保存する。

(続きを読む...)TreeeSはいつからどの裁判所で使うのか―先行導入,mintsとの併存及び移送時の取扱い(AI作成)

TreeeSのアカウント登録―GビズID,mintsと同じメールアドレス及び本人・資格確認(AI作成)

目次第1 結論1 登録前にGビズID利用の有無を決める2 とりあえず登録しない第2 アカウント種別1 士業者を選択する2 GビズID利用と非利用第3 mintsと同じメールアドレス1 同じアドレスを用いる改修案2 アカウントの自動移行ではない第4 GビズID1 プライムとメンバー2 有効期限3 一人一アカウント第5 本人・資格確認と登録情報1 氏名2 住所3 二要素認証第6 登録前チェックリスト1 弁護士本人2 事務所運用第7 関連記事と出典1 関連記事2 出典と未確認事項
第1 結論
1 登録前にGビズID利用の有無を決める

最高裁判所提供資料には,TreeeSでGビズIDを利用するかどうかをユーザID取得前に決め,GビズIDを使わずに登録した後から連携方式へ切り替えられないとの説明がある。これは将来仕様の案内であり,本番登録時にも注意文言を確認する。

2 とりあえず登録しない

弁護士本人のアカウント,事務職員の補助方法,メールアドレス,GビズID管理者,有効期限及び退職時の処理を決めてから登録する。

第2 アカウント種別
1 士業者を選択する

令和8年9月19日に確認された研修環境では,「個人のかた」「法人」「士業者(弁護士・司法書士・弁理士)」の区分があり,弁護士法人等に所属する弁護士も士業者を選択する旨が表示されていた。

2 GビズID利用と非利用

法人又は士業者では,GビズIDを利用して登録する経路と,GビズIDを使わずメールアドレス等から登録する経路が示されている。非利用経路で登録した後の連携変更可否は,本番案内を確認する。

第3 mintsと同じメールアドレス
1 同じアドレスを用いる改修案

令和8年4月3日付調達仕様書は,士業者がmintsアカウントと同じメールアドレスを利用してTreeeSのユーザIDを取得する画面文言を示している。弁護士資格の確認を円滑にする経路と考えられる。

2 アカウントの自動移行ではない

同じメールアドレスを使うことは,mintsのID,パスワード,補助者設定又は事件データがTreeeSへ自動移行することを意味しない。対象となるmintsアカウントとメールアドレス一致条件を最終案内で確認する。

第4 GビズID
1 プライムとメンバー

GビズIDプライムは法人代表者又は個人事業主等のアカウントであり,プライム利用者は所属職員にGビズIDメンバーとしての権限を付与できる。TreeeSで利用できるサービス権限はGビズID側でも設定する。

2 有効期限

デジタル庁の現行案内では,GビズIDプライム及びメンバーの有効期間は原則として発行日から2年3か月である。プライムの期限切れは,紐づくメンバーの行政サービスログインにも影響し得るため,事務所で更新期限を管理する。

3 一人一アカウント

職員アカウントを共用せず,操作した者を識別できるようにする。同一のメンバー用メールアドレスを複数の弁護士のプライムへ紐づけられないとのTreeeS資料があるため,複数弁護士を補助する事務所はアドレス設計を先に行う。

第5 本人・資格確認と登録情報
1 氏名

GビズIDの本人確認上の氏名と,弁護士が訴訟書面へ記載する職務上の氏名は別に扱われるとの資料がある。旧姓併記等がある場合も,本人確認情報と書面表示を個別に確認する。

2 住所

TreeeSへ連携される住所について,最高裁判所提供資料はGビズIDの「連絡先住所」を法律事務所住所として用いる設計を示す。他方,先行導入前登録では改修前のため自宅住所が表示され得る旨の脚注がある。
改修完了及び相手方への表示範囲を本番画面で確認するまで,「自宅住所は表示されない」と断定しない。

3 二要素認証

(続きを読む...)TreeeSのアカウント登録―GビズID,mintsと同じメールアドレス及び本人・資格確認(AI作成)

TreeeSの下書き・提出書面・受信データはいつ消えるか―30日以内の保存と事務所の記録管理(AI作成)

目次第1 結論1 「30日」は一つの法定期間ではない2 送達効・上訴期間・記録保存と分ける第2 下書きの30日1 一時保存の期限2 件数上限第3 提出書面一覧の30日1 提出結果の確認画面2 提出証拠の保存第4 受信一覧の30日1 システム送達・直送のファイル2 閲覧・ダウンロードは送達効に影響する第5 訴訟記録一覧との違い1 事件記録の閲覧2 法的な保存期間第6 事務所の保存手順1 毎回保存するもの2 ファイル名と台帳第7 関連記事と出典1 関連記事2 出典と限界
第1 結論
1 「30日」は一つの法定期間ではない

TreeeS資料では,下書き,提出書面一覧及び受信一覧について30日という表示又は保持期間が示されている。しかし,これらは同じ法的意味を持つ期間ではない。

2 送達効・上訴期間・記録保存と分ける

受信一覧からファイルが見えなくなる時期と,システム送達の効力が生じる時期,上訴期間及び裁判所の訴訟記録保存期間は別である。「30日以内なら期限に間に合う」といった理解をしない。

第2 下書きの30日
1 一時保存の期限

TreeeS操作資料では,申立て又は書面提出フォームの一時保存について,保存日から30日という期限が示されている。下書きは裁判所への提出ではなく,期限経過前に正式送信しなければならない。

2 件数上限

下書きには件数上限も設定されるとの説明がある。重要書面の唯一の原本を下書き画面に置かず,Word・PDF等の作成原稿を事件フォルダで管理する。

第3 提出書面一覧の30日
1 提出結果の確認画面

提出書面一覧は,利用者が送信した書面,対象事件及び受付結果を確認するための画面である。資料上の表示期間が経過すれば,一覧から確認できなくなる可能性がある。

2 提出証拠の保存

提出直後に,提出日時,受付結果,提出ファイル,裁判所,事件番号及び提出者を保存する。通知メールだけでなく,受付画面又は一覧の表示も保存する。

第4 受信一覧の30日
1 システム送達・直送のファイル

TreeeS資料上,システム送達又はシステム直送で受信したファイルは,受信一覧から30日間アクセスできるとされる。期間内に事件フォルダへ保存する。

2 閲覧・ダウンロードは送達効に影響する

民事訴訟法109条の3によれば,閲覧又は端末への記録は,通知発信から1週間経過するより前に送達効を生じさせ得る。保存作業の担当者と実行時刻を記録する。

第5 訴訟記録一覧との違い
1 事件記録の閲覧

当事者・代理人は,資料上,事件の訴訟記録一覧から記録を閲覧できると説明されている。受信一覧又は提出書面一覧の30日と,事件記録へのアクセスを混同しない。

2 法的な保存期間

裁判所が訴訟記録を保存する期間は,法令・規程及び事件類型により判断される。TreeeS画面の30日から裁判所の保存期間を導くことはできない。

第6 事務所の保存手順
1 毎回保存するもの

①提出前の最終PDF,②提出結果,③受付時刻,④納付情報,⑤受信ファイル,⑥閲覧・ダウンロード時刻,⑦送達状況を事件単位で保存する。

2 ファイル名と台帳

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TreeeSで訴訟を提起する方法―訴状フォーム,当事者・代理人,添付資料及び受付番号(AI作成)

目次第1 結論と記事の対象1 新規申立てはユーザポータルから始める2 資料上の操作と本番運用を区別する第2 訴状フォームへ入力する事項1 裁判所,事件類型及び当事者2 訴訟代理人と委任状3 請求の趣旨・原因とPDF第3 添付資料と参考情報1 訴状本体,別紙及び添付資料を区別する2 参考情報は訴状本文ではない第4 提出前後に分けて確認する事項1 提出前の確認2 提出後の確認3 手数料納付と立件を別に管理する第5 関連記事1 TreeeSの総合案内2 操作マニュアルの索引第6 出典と確認範囲1 一次資料2 未確認事項
第1 結論と記事の対象
1 新規申立てはユーザポータルから始める

TreeeSで新たに訴えを提起する場合は,係属事件の事件詳細画面ではなく,ユーザポータルの新規申立ての入口から訴状フォームを選ぶ。
訴状フォームへの入力,添付ファイルの登録,手数料額の確認及び提出操作は一連の流れであるが,「送信したこと」「裁判所のシステムに到達したこと」「事件として立件されたこと」「手数料を納付したこと」は別の状態である。

2 資料上の操作と本番運用を区別する

本記事は,令和8年9月20日までに確認したTreeeS操作マニュアル(当事者用)及び最高裁判所提供資料に基づく。TreeeSは令和9年1月から名古屋地区で先行導入される予定であり,本番稼働後の画面,受付時間,障害時の取扱い及び最終的な入力制御は導入時の公式案内で再確認する必要がある。

第2 訴状フォームへ入力する事項
1 裁判所,事件類型及び当事者

最初に提出先裁判所及び申立ての種類を選び,原告・被告その他の当事者情報を入力する。氏名・名称,住所,送達場所及び法人の代表者を,訴状本文や登記事項証明書等の添付資料と照合する。
同姓同名,当事者の追加・削除,法人名の表記及び支店・本店の区別を,提出直前に再確認する。

2 訴訟代理人と委任状

訴訟代理人欄には,事件を担当する弁護士の情報を入力する。事務職員が入力操作を補助する場合でも,訴訟代理権を有する者と,システム上の入力者又はサポーターとは別である。
委任状その他の代理権を証する書面は,対象事件,当事者及び代理人との対応を確認した上で添付する。

3 請求の趣旨・原因とPDF

請求の趣旨及び請求の原因は,フォームへ直接入力する方法と,PDFを登録する方法が示されている。資料上,PDFをアップロードすると先に入力した文字列が消える欄があるため,入力済みの本文が残ると考えたまま提出してはならない。
提出前に生成される帳票又は確認画面を開き,請求の趣旨,請求の原因,別紙及び添付資料が意図した構成になっているか確認する。

第3 添付資料と参考情報
1 訴状本体,別紙及び添付資料を区別する

訴状本文に組み込まれる別紙と,資格証明書,委任状,証拠その他の添付資料は役割が異なる。ファイル名だけで判断せず,どの帳票又はフォルダに入るかを確認する。
書証を訴状と同時に提出する場合は,証拠番号,証拠の表示,作成者及び立証趣旨を証拠台帳と照合する。詳しい入力方法は,TreeeSでの書証の提出を参照されたい。

2 参考情報は訴状本文ではない

訴状フォームの参考情報として登録した内容は,資料上,訴状とは別の記録外領域に置かれ,裁判所が事務処理のために参照するものとされる。
参考情報欄は,請求原因,重要な主張又は相手方へ伝えるべき事項の代わりにはならない。また,秘匿決定や閲覧等制限の申立てを代替するものでもない。

第4 提出前後に分けて確認する事項
1 提出前の確認

提出前には,①裁判所,②事件類型,③当事者,④代理人,⑤請求の趣旨・原因,⑥添付ファイルの版・頁数,⑦書証番号,⑧手数料額,⑨秘匿情報・個人番号等の有無を確認する。
TreeeSの手数料額表示は入力補助であり,正しい金額を最終的に保証するものとはされていない。手数料の計算は,民事訴訟の申立手数料の計算方法と照合する。

2 提出後の確認

送信後は,提出結果,受付時刻,受付番号その他の識別情報,提出ファイル及び提出先を保存する。通知メールだけで到達を証明したことにはならない。

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国内のリーガルテック・国産AIの規約は入力データをどう扱うか―学習条項と派生データ条項の比較(AI作成)

目次第1 本記事の対象と結論1 扱う問い2 結論の要旨第2 比較の視点第3 国内のリーガルテック1 Hubble2 LEGAL BRAIN(弁護士ドットコム)3 LAWGUE(FRAIM)4 Legalscape5 LegalOn(LegalOn Technologies)6 OLGA(GVA TECH)7 第一法規の生成AIサービス8 規約本文が公開されていないサービス第4 国産LLM・国内のAI基盤1 さくらのAI Engine(さくらインターネット)2 PLaMo(Preferred Networks)3 tsuzumi(NTT)4 Takane(富士通)5 ELYZA Works with KDDI6 Rakuten AI for Business(楽天モバイル)7 KDDI Conata Data Agent8 Sakana AI9 規約本文が公開されていないサービス第5 比較表第6 規約の書き方の型と弁護士実務への示唆1 範囲を絞った書き方2 守秘義務との関係で慎重な検討を要する書き方3 読み落としやすい点4 規約本文が公開されていないサービス第7 関連記事第8 出典1 法令等2 リーガルテックの規約・公式資料3 国産LLM・国内AI基盤の規約・公式資料
第1 本記事の対象と結論
1 扱う問い

「学習に使わない」と書いてあっても―AIサービス規約の派生データ条項(ログ・分類結果・利用統計・フィードバック)の読み方と弁護士の守秘義務では,海外の主要なAIサービス5社の規約を取り上げ,入力と出力を学習に使わないとする条項(以下「学習条項」という。)と,入力から生じるデータや入力そのものを提供者が学習以外の目的に使えるかを定める条項(以下「派生データ条項」という。)が別に定められていることを確認した。

本記事は,同じ観点から,国内のリーガルテックのサービスと,国産の大規模言語モデル(LLM)又は国内のAI基盤を使ったサービスの公開されている規約を比較する。
法律事務所が契約書審査,リサーチ又は文書作成にこれらのサービスを使うとき,依頼者の情報がどう扱われるかを判断する材料とすることが目的である。

基準日は令和8年9月20日であり,各社の規約・公式資料はこの日に確認したものである。
本記事は規約・公式資料の文言から読み取れる範囲の整理であり,各社の実際の運用を確認したものではなく,各社のサービスの優劣を評価するものでもない。
規約は変更されることがあるため,導入や更新のときは改めて原文を確認する必要がある。
規約本文に条番号の表示がない文書については,条番号を示さずに文言で特定した。

2 結論の要旨

国内のサービスでも,学習条項で「学習に使わない」と約束した上で,派生データ条項で入力データの分析,サービス改善,新サービスの開発,マーケティング又は第三者への許諾を認める規約が少なくない。
学習条項だけを見て依頼者の情報を入力してよいと判断することはできない。

他方,①アップロードした文書そのものは学習にも統計化にも使わず,利用ログだけを匿名化・統計化して使うと切り分けるもの,②入力情報を利用せず第三者にも提供しないと一律に定めるもの,③有償プランと無償プランで扱いを分けるものなど,範囲を絞った書き方もある。
また,よくある質問(FAQ)の説明と規約本文が一致していない例,同じサービスで古い版の規約が別の場所に残っている例,国産を名乗るサービスでも契約の相手方や準拠法が外国である例があるため,規約本文を,実際に契約する版と相手方まで確かめる必要がある。

第2 比較の視点

各社の規約を,次の4点で見た。
①学習条項=入力と出力をAIモデルの学習に使うか。使わない旨の約束か,利用者が申し出て止める方式(オプトアウト)か,利用者の同意があるときだけ使う方式(オプトイン)か
②派生データ条項=学習とは別に,入力データ,利用状況のデータ,統計情報を提供者自身の目的(サービス改善,新サービス開発,マーケティング,第三者提供等)に使えるか。使えるとして,匿名化・統計化の限定や目的の限定があるか
③フィードバック等=利用者の評価や意見をどう扱うか
④相手方・保存場所・準拠法=背後で使う基盤モデルの提供者,データの保存場所,日本法が準拠法か

第3 国内のリーガルテック
1 Hubble

契約書管理サービスのHubbleの利用規約(令和8年8月5日改訂)19条は,アップロードした情報と本サービス上で作成した情報(ユーザーデータ等)について,「学習用データセット又はモデルの生成、当社AIを含む本サービスの改善や品質向上、新規サービスの開発や統計情報の生成といった目的に基づく二次的な利用は行わない」と定めている。
他方,同じ条の次の項は,利用情報,使用状況,アクセスログ等(利用情報等)について,特定のユーザー又は個人を識別できないよう抽象化,匿名化又は統計化した上で,新規サービスの開発その他同社の事業活動のために,第三者への開示又は公開を含めて利用できるとしている。

文書本体とログを分け,文書本体は二次利用をしないと明記し,ログだけを匿名化・統計化の条件付きで使うという書き方である。
同規約のAI機能に関する特約は,基盤モデル(Azure OpenAI Service及びVertex AI)での入力データの処理地域を日本国内に限定し(3条),基盤モデルの提供企業に不正監視の目的でも入力データを保持させないとしている(4条)。

2 LEGAL BRAIN(弁護士ドットコム)

弁護士ドットコムのLEGAL BRAINの利用規約(agent.legalbrain.comに掲載。令和8年7月30日改定)3条は,利用者の明示的な同意がない限り,入力個人情報等及び生成文章等を「大規模言語モデル等の生成AIの学習のために利用しません」と定めている(オプトイン方式)。
他方,同じ3条は,利用者が入力した質問と生成文章(生成文章等)について,利用者が同社に対し,同社サービスの提供,維持,開発,改善等のために「複製、改変、加工、分析、第三者への許諾その他のあらゆる利用を含みます」とする利用を許諾し,著作者人格権を行使しないことを承諾すると定めている。

(続きを読む...)国内のリーガルテック・国産AIの規約は入力データをどう扱うか―学習条項と派生データ条項の比較(AI作成)

生成AIサービスの値上げ・提供終了・モデル廃止に備える契約と運用-規約の変更条項,終了時のデータ,移行計画及び中継サービス(AI作成)

目次第1 本記事の対象と結論1 扱う問い2 結論の要旨第2 何が起きるか1 料金と課金方式の変更2 モデルの廃止3 外国の規制等による提供停止第3 主要な事業者の規約と公式資料1 Anthropic2 OpenAI3 Google4 Microsoft5 比較第4 日本法から見た規約の変更1 定型約款の変更の要件2 外国法を準拠法とする規約3 裁判例第5 契約終了時のデータと守秘義務・個人情報1 取り出すデータと削除を確かめるデータ2 弁護士の守秘義務3 弁護士情報セキュリティ規程と可用性4 個人情報保護法第6 代わりのサービスへ移るときに確認し直すこと第7 中継サービスで乗り換えを容易にする方法と限界1 中継サービスの仕組み2 自動切替えと秘密・個人情報3 中継サービス自体が新しい依存先になる第8 業務の棚卸しと社内規程に書く事項1 業務の棚卸し2 社内規程に書く事項第9 関連記事第10 出典1 法令等2 公的資料3 事業者の規約・公式資料4 中継サービスの公式資料5 裁判例6 論点を見付けるための資料
第1 本記事の対象と結論
1 扱う問い

生成AIサービスを業務に組み込んだ企業や法律事務所にとって,料金の改定,課金方式の変更,サービスの提供終了及びモデルの廃止は,いずれ必ず起きる出来事である。
特定のサービスやモデルに業務の手順を合わせ込んでいると,そのたびに手順を作り直すことになり,移行の間に業務が止まることもある。

本記事は,こうした変化に備えて,①主要な事業者の規約と公式資料が料金改定,契約終了及びモデル廃止をどう定めているか,②日本法から見て規約の変更をどう考えるか,③契約終了時のデータと守秘義務・個人情報保護法の関係,④代わりのサービスへ移るときに確認し直すこと,⑤複数のサービスを切り替えやすくする中継サービスの使い方と限界,並びに⑥社内規程と業務の棚卸しで決めておく事項を整理する。

基準日は令和8年9月20日であり,各社の規約・公式資料はこの日に確認したものである。
規約と公式資料は予告の上で変更されるため,導入や更新のときは改めて原文を確認する必要がある。
英文の規約・公式資料の訳は本記事によるものであり,規約の意味を述べる部分は,文言から読み取れる範囲の整理である。

本記事の発想の起点は,AI活用に関する書籍の著者である池田朋弘氏のX投稿(令和8年9月18日)である。
同投稿は,特定のツールに仕事のやり方を固定すると値上げやサービス終了のたびに振り回されるとして,「このAIでしか通用しない」業務を書き出すことを勧めている。
これは投稿者の意見であり,本記事では論点を見付けるための資料として扱う。

なお,本記事の書き手はAnthropicのAIであるClaudeであり,Anthropicは本記事が取り上げる事業者の一つである。
本記事では事業者の優劣を評価せず,規約と公式資料の記載を並べるにとどめる。

2 結論の要旨

主要な事業者の規約は,料金の改定を掲載から14日~30日で効力を生じさせるものが多く,事業者側からの契約終了やサービスの廃止にも比較的短い予告期間しか置いていない。
モデルの廃止については,各社が公式資料で予告期間を示しているが,その長さは60日から6か月以上まで幅がある。

したがって,利用者の側で,①料金と廃止の予告を誰が受け取り誰に伝えるか,②契約終了時にデータを取り出し,削除を確認する方法,③代わりのサービスを事前に審査しておくこと,④特定のモデルでしか動かない手順を減らすこと,を決めておく必要がある。
中継サービスは乗り換えの手間を減らすが,自動切替えの設定次第では未審査の事業者へ依頼者情報が送られるので,切替先を承認済みの事業者に限ることが前提になる。

第2 何が起きるか
1 料金と課金方式の変更

料金の改定は,単価の引上げだけではない。
定額の枠を使い切った後の扱いや,利用量の数え方が変わることもある。

例えば,GitHubは,令和8年4月27日の告知で,同年6月1日からGitHub Copilotの全プランを利用量に応じた課金へ移すと公表した。
告知によれば,従来のpremium requestの回数による計算をやめ,各プランに毎月のクレジットを付け,入力・出力等のトークンを各モデルのAPI単価で計算する方式にするという。
同じ使い方をしていても,課金方式の変更によって請求額が変わり得る例である。
利用料が予算を超えないための約款の読み方は,生成AIの利用料が予算を超えないために―従量課金の約款で確認する5項目と社内規程の定め方で扱っている。

2 モデルの廃止

生成AIサービスでは,サービス自体が続いていても,個々のモデルは一定期間で廃止される。
同じサービス名で後継のモデルに切り替わると,同じ指示(プロンプト)に対する出力の傾向や,文章をトークンに数える方式が変わることがあり,業務の手順や費用の見積りに影響する。

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AIが示す「確信度」はどこまで信じてよいか―較正の意味,自動振分けの閾値及び期限が絡む分類を人が見る理由(AI作成)

目次第1 本記事の対象と結論1 扱う問い2 結論の要旨第2 確信度とは何か1 確信度と較正2 較正されていても1件ごとの正しさは保証されない3 生成AIが文章で示す「自信」は確率とは限らない第3 判定専用AIの登場と確信度の使い方1 判定専用AI(Jev)の仕組み2 確信度の返し方3 日本語での精度第4 法律事務所の自動振分けで閾値をどう決めるか1 閾値は自分のデータで決める2 誤りの種類ごとに重さが違う3 閾値にかかわらず人が見る分類第5 期限が絡む分類を人が見る理由1 訴訟行為の追完の要件2 事務所内の受領・取次ぎの誤りは救われない3 事務所の外の制度への信頼が救われた例4 受任の諾否の通知第6 運用の手順第7 関連記事第8 出典1 法令等2 裁判例3 AI提供者の公式資料4 ガイドライン
第1 本記事の対象と結論
1 扱う問い

法律事務所で,問い合わせ,郵便物,ファクシミリ又はシステム送達の通知をAIで自動的に振り分けるとき,「確信度が低いものは人の確認へ回す」という設計がよく勧められる。
山中弁護士ブログの既存記事でも,事件管理システムとの連携,AIエージェントの業務設計及び生成AI利用ガイドラインの各記事で,この考え方を採っている。

しかし,確信度とは何の数字か,何%なら自動処理してよいか,確信度が高ければ人が見なくてよいのかは,これらの記事では詳しく説明していない。
本記事は,令和8年9月に登場した判定専用のAIの公式資料を手掛かりに,確信度の意味と,法律事務所で閾値(自動処理と人の確認を分ける境目)を決めるときの考え方を整理する。

基準日は令和8年9月19日であり,AI製品の仕様・料金はこの日に各社の公式ページで確認したものである。
英文の公式資料の訳は,本記事によるものである。
AI製品の仕様・料金は短期間で変わるため,導入を検討するときは改めて公式ページで確認する必要がある。

2 結論の要旨

確信度が意味を持つのは,提供者が,示す確率と実際の的中率が一致するように調整(較正)していることを公表し,かつ自分の事務所のデータで試して確かめた場合に限られる。
較正されていても,確信度は多数の判定をまとめて見たときの的中率であり,1件ごとの判定が正しいことを保証しない。
これは,判定専用AIの提供者自身が公式の技術文書で明記していることである。

したがって,閾値は1つの数字で決めるのではなく,誤ったときの不利益の重さに応じて分けるべきである。
特に,控訴期間のような不変期間その他の期限に関わる分類,受任するかどうかの判断及び依頼者への返答の要否は,確信度の高低にかかわらず人が確認すべきである。
事務所内の受領・取次ぎの誤りで不変期間を守れなかった場合,最高裁判所の判例は訴訟行為の追完を認めていないからである。

第2 確信度とは何か
1 確信度と較正

AIの判定に付く確信度は,通常,選択肢ごとの確率(例えば「スパム90%,スパムでない10%」)から計算される数字である。
この数字を信じてよいかどうかは,「較正」されているかどうかで決まる。

較正(キャリブレーション)とは,AIが示す確率と,実際に当たる割合を一致させることをいう。
令和8年9月15日に判定専用AI「Jev」を公開した米国のTypeSafe AIは,公式の技術文書で,よく較正されたモデルであれば,確率0.2とされた結果は約20%,確率0.8とされた結果は約80%の割合で実際に起こるべきだと説明している。

2 較正されていても1件ごとの正しさは保証されない

同じ技術文書は,これらの割合は予測の集まりについてのものであり,個々の回答について保証するものではないと明記している。
確率0.9の判定を100件集めれば約90件が正しいことが期待できるが,目の前の1件がその90件に入るかどうかは分からない。

このため,「確信度90%なら9割は正しいので自動処理してよい」とする説明は,言い過ぎである。
実際,Jevを紹介した国内の解説記事には,確信度90%と出ればおよそ9割が正しいという意味になると説明するものがあったが,公式の技術文書は,上記のとおり個々の回答の保証ではないとする留保を付けている。
自動処理に回した10件のうち1件が誤りであっても困らない業務でだけ,確信度による自動処理が成り立つと考えるべきである。

3 生成AIが文章で示す「自信」は確率とは限らない

(続きを読む...)AIが示す「確信度」はどこまで信じてよいか―較正の意味,自動振分けの閾値及び期限が絡む分類を人が見る理由(AI作成)

「学習に使わない」と書いてあっても―AIサービス規約の派生データ条項(ログ・分類結果・利用統計・フィードバック)の読み方と弁護士の守秘義務(AI作成)

目次第1 本記事の対象と結論1 扱う問い2 結論の要旨第2 派生データとは何か1 顧客データと派生データの区別2 主な種類第3 主要な提供者の規約の書き方1 TypeSafe AI(Jev)2 Anthropic3 OpenAI4 Google5 Microsoft6 比較第4 弁護士の守秘義務との関係1 弁護士法23条と弁護士職務基本規程23条2 分類結果も秘密になり得る3 規程23条の「利用」第5 個人情報保護法との関係1 委託として扱えるか2 統計情報は個人情報に当たらない3 外国にある第三者への提供と注意喚起4 令和8年改正法30条の3第6 規約を読むときの確認項目第7 関連記事第8 出典1 法令等2 個人情報保護委員会の資料3 AIサービスの規約・公式資料
第1 本記事の対象と結論
1 扱う問い

法律事務所や企業が生成AIその他のAIサービスを選ぶとき,「入力したデータを学習に使わない」と規約に書かれているかどうかがまず確認される。
しかし,AIサービスの提供者の手元には,入力と出力そのもののほかに,入力から派生したデータが残る。
例えば,処理の記録(ログ),トークン数等の利用状況,安全確認のための分類結果,評価ボタンによるフィードバック及び利用から得た知見である。

本記事は,こうした派生データを提供者がどこまで使えるかを定める規約の条項(以下「派生データ条項」という。)に着目し,主要な提供者の規約の書き方,弁護士の守秘義務及び個人情報保護法との関係,並びに規約を読むときの確認項目を整理する。

基準日は令和8年9月19日であり,各社の規約・公式資料はこの日に確認したものである。
規約は予告の上で変更されることがあるため,導入や更新のときは改めて原文を確認する必要がある。
本記事で規約の意味を述べる部分は,規約の文言から読み取れる範囲の整理であり,各社の実際の運用を確認したものではない。
英文の規約・公式資料の訳は,本記事によるものである。

2 結論の要旨

「学習に使わない」という条項は,入力と出力(以下「顧客データ」という。)をモデルの訓練に使わないことを約束するものであり,派生データの扱いまで決めているとは限らない。
令和8年9月に判定専用AI「Jev」を公開した米国のTypeSafe AIの利用契約は,顧客データを学習に使わないとしながら,ログ,ハッシュ,要約統計,分類結果及び利用から得た知見を「テレメトリ」と定義し,同社が制限なく処理できると定めている。

弁護士の立場からは,①依頼者の相談内容がどの分類に振り分けられたかという情報自体が秘密になり得ること,②弁護士職務基本規程23条が秘密を他に漏らすことだけでなく「利用」することも禁じていること,③個人情報保護法上,委託先は委託された業務の範囲外で個人データを統計情報に加工して自社のために使うことはできないとされていることから,派生データ条項は学習条項と同じ重さで確認すべきである。

第2 派生データとは何か
1 顧客データと派生データの区別

AIサービスの規約は,利用者が送る入力(プロンプト,文書等)と,AIが返す出力を「顧客データ」「顧客コンテンツ」等と呼び,その扱いを定めることが多い。
これに対し,本記事でいう派生データとは,顧客データを処理する過程で生まれ,又は顧客データから作られるデータである。

派生データには,顧客データの一部をそのまま含むもの(例えば,フィードバックに添付される会話全体)と,含まないもの(例えば,トークン数)がある。
分類結果のように,文言そのものは含まなくても,内容を要約した情報になるものもある。

2 主な種類

派生データの主な種類は,次のとおりである。
①ログ=いつ,どのアカウントが,どの機能を使ったかの記録。障害対応や不正利用の監視のために,顧客データの一部を含んで一定期間保存されることがある
②利用状況のデータ=トークン数,応答時間,エラー,安全フィルタが作動したかどうか等
③分類結果=安全確認のための自動分類器が付けたラベル,利用状況の把握のための分類等
④利用統計=多数の利用者のデータを集計した統計
⑤フィードバック=評価ボタンや自由記述による利用者の評価。会話全体が添付されることがある
⑥知見(learnings)=利用から得られた知見。何を含むかは規約の定義による

第3 主要な提供者の規約の書き方

(続きを読む...)「学習に使わない」と書いてあっても―AIサービス規約の派生データ条項(ログ・分類結果・利用統計・フィードバック)の読み方と弁護士の守秘義務(AI作成)

TreeeS操作マニュアル(当事者用)の読み方―提出の入口,30日で消える一覧,手数料の納付及び送達の確認(AI作成)

目次第1 この記事の対象と結論1 令和8年7月2日発行の当事者用操作マニュアル2 基準日と資料の限界第2 マニュアルの構成とログイン1 全7章の構成2 ログインの注意3 ユーザポータルが起点になる第3 目的別索引第4 共通の注意事項第5 マニュアルから確認できないこと第6 関連記事第7 出典1 裁判所の資料2 法令
第1 この記事の対象と結論
1 令和8年7月2日発行の当事者用操作マニュアル

最高裁判所は,民事裁判手続のデジタル化に伴う新システムTreeeS(ツリーズ)について,「TreeeS操作マニュアル 当事者用」(2026年7月2日発行,全134頁のPDF)を作成している。
このマニュアルは,TreeeSの研修環境のトップ画面にあるヘッダーの「マニュアル」から取得することができる(令和8年9月19日確認)。
本記事は,このマニュアルを通読し,弁護士・訴訟代理人及び法律事務所の事務職員が実務でつまずきやすい点を,マニュアルの頁を示して整理するものである。

結論として,マニュアルから読み取れる実務上の要点は,次のとおりである。
①係属中の事件に書面を出すときは,事件詳細画面の[事件の申立て・書面の提出]から入る(資料上6頁・16頁)。
②提出書面一覧と受信一覧は,いずれも30日を経過すると表示されなくなる(資料上13頁・14頁)。
③手数料を印刷した帳票で納付するときは,コンビニ設置の共用ATMを使うことができない(資料上26頁・28頁)。
④システム送達は,受信一覧のデータ名を開いた時点で送達送付状況確認画面に「送達済み」のレコードが表示される一方,法律上は,開かなくても一定の期間の経過で効力を生ずる(資料上128頁,民事訴訟法109条の3)。
⑤電子署名付きのデータは,PDFを結合せず,詳細情報も含めずにダウンロードしないと,電子署名を検証できなくなるおそれがある(資料上94頁~95頁)。

2 基準日と資料の限界

本記事は,令和8年9月19日を基準日とする。
マニュアルは研修環境で配布されているものであり,令和9年1月に予定されている先行導入までに改訂される可能性がある。
マニュアルの「1 ユーザ登録」の章は,「【令和8年10月頃追加予定】」と表示されているだけで,本文がない(資料上1頁)。
研修環境のトップ画面には,「これはTreeeSの研修環境です。一般の方はご利用できません。民事訴訟の電子申立てをされたい方は、mintsをお使いください。」と表示されている。
したがって,現在の民事訴訟の電子申立て等はmintsで行うものであり,本記事の内容は,TreeeS導入後に備えるための知識である。
TreeeSの導入時期,mintsとの違い及びアカウントの考え方は,「TreeeS(ツリーズ)とは―mintsとの違い,導入時期,アカウント及び法律事務所の準備」で説明している。

以下,マニュアルの頁は,マニュアルの下部に印刷された頁番号(資料上の頁)で示す。
表紙と目次の2頁があるため,PDFの頁番号は資料上の頁に2を加えた数になる。

第2 マニュアルの構成とログイン
1 全7章の構成

マニュアルは,次の7章で構成されている(資料上の目次)。

章表題資料上の頁1ユーザ登録(令和8年10月頃追加予定)1頁2ユーザポータル2頁~14頁3フォーム提出15頁~73頁4電子記録の閲覧・複写(ダウンロード)74頁~107頁5手数料/保管金の管理108頁~116頁6招待キー117頁~124頁7システム送達・システム直送125頁~132頁

資料上の132頁のうち約7割(93頁)が,「フォーム提出」と「電子記録の閲覧・複写」に充てられている。
弁護士が最初に読むべき部分は,第3章の3.1(提出の流れ)と3.3(係属中の事件への提出),第4章の4.5(ダウンロード),第7章(システム送達)である。

2 ログインの注意

ログインIDはメールアドレスであり,GビズIDでログインする場合は,ログイン画面の下部の「GビズIDでログイン」を使う(資料上3頁)。
マニュアルは,ログイン画面をブックマークしてそこから開くとログインできず,TreeeSのトップ画面からやり直す必要があると注意している(資料上3頁)。

(続きを読む...)TreeeS操作マニュアル(当事者用)の読み方―提出の入口,30日で消える一覧,手数料の納付及び送達の確認(AI作成)

TreeeSでの書証の提出―証拠説明書の自動作成,証拠番号,原本・写しの選択及び翻訳文(AI作成)

目次第1 この記事の対象と結論1 TreeeSでは書証フォームへの入力から証拠説明書が作られる2 基準日と資料の限界第2 書証の申出と証拠説明書に関する規則1 写しと証拠説明書の提出2 原本の提出と外国語文書の訳文3 電磁的記録の証拠調べ第3 書証フォームの入り方と入力の流れ1 事件詳細画面の[書証提出]から入る2 入力の順序第4 証拠番号の付け方1 入力の形式2 mintsとの違い第5 証拠の表示・立証趣旨・作成年月日・作成者・補足事項1 証拠の表示2 立証趣旨3 作成年月日・作成者・補足事項第6 原本・写し・原本に代え写し(画像情報)の選択1 3つの選択肢2 選び方の注意第7 関連データと翻訳文第8 証拠一覧画面と自動で作られる証拠説明書1 証拠一覧画面の構成2 証拠説明書のPDF第9 人証申出書も帳票が自動で作られる第10 提出前に確認すること第11 関連記事第12 出典1 裁判所の資料2 法令
第1 この記事の対象と結論
1 TreeeSでは書証フォームへの入力から証拠説明書が作られる

最高裁判所が令和9年1月から先行導入を予定している新システムTreeeS(ツリーズ)では,書証は「書証フォーム」から提出する。
最高裁判所「TreeeS操作マニュアル 当事者用」(2026年7月2日発行)によれば,証拠をアップロードし,各行に情報を追加することで証拠説明書の帳票が作成され,別途証拠説明書を作成して提出する必要はない(資料上58頁)。
本記事は,このマニュアルの「3.3.1 書証を提出する」(資料上58頁~62頁)と「4.7 証拠一覧画面」(資料上101頁~107頁)を中心に,TreeeSでの書証の提出方法と,その前提となる民事訴訟規則の定めを整理するものである。

結論として,TreeeSでの書証の提出で押さえるべき点は,次のとおりである。
①書証は,事件詳細画面の[書証提出]から入り,訴状フォームの添付資料欄には上げない(資料上51頁・58頁)。
②証拠番号は「甲001」「甲012-2」「乙A001」の形で入力し,英数字とハイフンは半角で入力する(資料上60頁)。
③「原本」「写し」「原本に代え写し(画像情報)」のいずれを選ぶかで,期日に現物を持参するかどうかが変わる(資料上61頁)。
④外国語の文書は,取調べを求める部分の翻訳文を「関連データ」として添付する(資料上62頁,民事訴訟規則138条1項)。
⑤証拠一覧画面は,当事者が入力した証拠説明書の項目と,裁判所職員が入力する採否等が一体になった画面である(資料上79頁・103頁)。

2 基準日と資料の限界

本記事は,令和8年9月19日を基準日とする。
マニュアルは,TreeeSの研修環境のトップ画面にあるヘッダーの「マニュアル」から取得したものであり,先行導入までに改訂される可能性がある。
現在の民事訴訟の電子提出はmintsで行うものであり,mintsでの証拠説明書の作り方は「mintsの証拠説明書の作り方・提出方法-標目・原本・写し・記録外データ」で説明している。
マニュアルの頁は,マニュアルの下部に印刷された頁番号(資料上の頁)で示し,PDFの頁番号は資料上の頁に2を加えた数になる。

本記事は,書証フォーム,証拠番号,証拠説明書,原本・写し及び翻訳文を対象とする。訴状・準備書面等の提出入口,提出後の受付確認及び事件記録全体のダウンロードは,それぞれ別の記事で扱う。

第2 書証の申出と証拠説明書に関する規則
1 写しと証拠説明書の提出

民事訴訟規則137条1項は,文書を提出して書証の申出をするときは,「当該申出をする時までに、その写しを提出するとともに、文書の記載から明らかな場合を除き、文書の標目、作成者及び立証趣旨を明らかにした証拠説明書を提出しなければならない。」と定めている。
同条3項は,文書の写しの提出に代えて,最高裁判所の細則で定めるところにより,文書の画像情報を電子情報処理組織を使用してファイルに記録する方法で提出することができるとしている。
同条4項は,民事訴訟法132条の11第1項及び第3項を写しの提出に準用しているので,委任を受けた訴訟代理人は,写しを電子情報処理組織を使用して提出することになる。

2 原本の提出と外国語文書の訳文

民事訴訟規則143条1項は,「文書の提出又は送付は、原本、正本又は認証のある謄本でしなければならない。」と定めている。
写しの電子提出は,書証の申出の時までに写しを出す手続であり,取調べの対象となる文書そのものの提出とは区別される。
TreeeSの書証フォームで「原本」「写し」「原本に代え写し(画像情報)」を選ばせるのは,この区別を画面上で明らかにするためと考えられる。

民事訴訟規則138条1項は,外国語で作成された文書を提出して書証の申出をするときは,「取調べを求める部分についてその文書の訳文を添付しなければならない。」と定めている。
相手方は,訳文の正確性について意見があるときは,意見を記載した書面を裁判所に提出しなければならない(同条2項)。

3 電磁的記録の証拠調べ

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出版取次の本がAI学習に使われたら―日販・Anthropic報道,譲渡権の消尽,再販契約及び米国Bartz事件の裁判資料(AI作成)

目次第1 本記事の結論1 結論2 基準日と資料の性質第2 報道された事実1 朝日新聞の報道2 日経ビジネスの報道第3 米国の裁判資料で確認できること1 Bartz事件と封印解除2 社内会議メモに記載された「Nippan Japan」3 日本語書籍の書誌の取込み4 他の取次・書店との取引5 裁判資料から分からないこと第4 米国の裁判所の判断1 フェアユース命令の三つの区分2 和解の範囲第5 日本法の論点―本を売ること1 譲渡権の消尽2 出版社と取次の取引契約3 再販売価格維持契約第6 日本法の論点―スキャンと学習1 準拠法2 日本で行われた場合の著作権法30条の43 私的使用の複製(30条1項)との違い第7 当事者ごとの実務1 出版社2 取次・書店3 AI事業者第8 まとめ第9 出典1 法令2 裁判例3 米国の裁判資料4 公的資料5 報道6 関連記事
第1 本記事の結論
1 結論

令和8年9月18日,出版取次大手の日販グループが米国のAI開発企業Anthropic社に大量の書籍を販売していたとして,日本書籍出版協会(書協)が日販に事実確認を求める書面を送ったと報じられた。
報道の根拠となった米国の裁判資料を確認すると,Anthropic社の社内会議メモに「Nippan Japan」との書籍購入契約が令和6年11月21日に締結された旨の記載がある。
他方で,購入した冊数,単価,金額及び書籍の種類は黒塗りであり,日販にどのような用途が告げられていたかも,裁判資料からは分からない。

日本法の観点からは,次の3点を分けて考える必要がある。
①出版社が流通に置いた本を取次が転売すること自体は,譲渡権の消尽(著作権法26条の2第2項1号)により,著作権の問題になりにくい。
②転売先・用途・価格をめぐる問題は,出版社と取次の間の取引契約と再販売価格維持契約の問題であり,契約書の条項によって結論が変わる。
③購入した本の裁断・スキャンと学習は,それが行われた国の著作権法で判断されるのが原則であり,米国で行われたのであれば米国法(フェアユース)の問題になる。

米国の連邦地裁は,購入した紙の本を裁断・スキャンして電子化した行為をフェアユースと判断し,その後の15億ドルの和解も,購入した本のスキャンによる学習を対象外としている。
したがって,「本を買ってスキャンし,学習に使う」という経路は,米国では法的に閉じられていない。
出版社がこの経路に対応するには,取引契約での転売先・用途の定めと,AI学習用のライセンス市場の形成という,契約と市場の手段によることになる。

2 基準日と資料の性質

本記事は,令和8年9月19日現在の公開資料に基づく。
法令の条文は同日にe-Gov法令検索で確認した現行条文により,日本の裁判例は裁判所ウェブサイトで実在と該当箇所を確認したものを用い,関連する裁判例の有無は判例秘書でも検索した。
米国の裁判資料は,裁判記録を再公開するCourtListenerのPDFで本文を確認したものであり,PACERの認証済み写しではない。

朝日新聞と日経ビジネスの記事は,いずれも有料部分がある。
朝日新聞の記事は,Yahoo!ニュースに転載された全文で内容を確認したが,日経ビジネスの記事は有料部分を確認していない。
書協の書面と日販の回答書は公表されておらず,本記事は報道の記載によっている。

本記事の作成には,本件の当事者であるAnthropic社の生成AIを用いている。
そのため,裁判資料と報道の記載に即して記述し,いずれかの当事者に有利又は不利な評価を加えないよう注意した。

第2 報道された事実
1 朝日新聞の報道

朝日新聞(令和8年9月18日)によれば,書協は日販に対し,Anthropic社に渡った書籍に加盟出版社の発行物が含まれていたか,含まれていた場合の詳細,出版社の了承なく海外業者に大量販売した場合の法的整合性等の説明を求めた。
あわせて,AI学習を目的とする書籍の新たな販売の取りやめと,AI学習目的の書籍供給についての考え方の表明も求めたとされる。

同記事は,作家らがAnthropic社を訴えた米国の著作権侵害訴訟の裁判資料に,日販とみられる「Nippan Japan」の記述が複数回登場すると報じている。
日販は同紙の取材に対し,個別取引については取引の有無を含めて回答を差し控えるとした上で,「AI企業の学習向け用途と認識したうえで販売した事実はない」などと回答したとされる。

令和8年9月19日現在,書協と日販の各ウェブサイトに,本件に関する発表は見当たらない。

2 日経ビジネスの報道

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生成AIが作る法律文書を短くしても根拠を落とさない方法-結論先行,意思決定密度及び証拠台帳の分離(AI作成)

目次第1 この記事の対象と結論1 短くすればよいわけではない2 短縮の対象と残すべき情報を分ける3 実務で使う六つの順序第2 生成AIの文書が長くなる四つの型1 重要度を選別せずに並べる2 結論を最後まで遅らせる3 定型見出しを内容の有無にかかわらず埋める4 実質的な差のない代替案まで両論併記する第3 公開された比較例から確認できたこと1 比較の素材2 原資料から確認した差3 この比較からはいえないこと第4 法律文書で削ってよいもの,削らないもの1 削除又は統合の候補2 短縮時にも残す事項第5 本文と証拠台帳を分ける1 本文の役割2 証拠台帳の役割3 本記事の裏付けの範囲第6 生成AIへの短い指示例1 法律調査メモ2 裁判所提出書面のレビュー3 ブログ記事第7 短縮の効果を測る1 文字数だけで評価しない2 一つの例を一般化しない第8 既存記事との関係第9 出典・確認資料1 論点発見資料2 比較の原資料3 公的資料
第1 この記事の対象と結論
1 短くすればよいわけではない

生成AIが作る法律文書は,短ければよいわけではない。
削るべきなのは,同じ結論の反復,判断に影響しない一般論,機械的に埋められた定型見出し及び実質的な差のない代替案である。
反対材料,例外,根拠の強弱,未確認事項及び次の確認行動まで削ると,読みやすく見えても法的判断には使いにくくなる。

本記事では,読み手が判断するために必要な情報の割合を「意思決定密度」と呼ぶ。
これは法令上又は学術上の用語ではなく,本記事における業務設計上の呼称である。
以下では,本文を結論先行で短くしつつ,確認経路を失わないよう,本文と証拠台帳を分ける方法を説明する。

2 短縮の対象と残すべき情報を分ける

生成AIが作った法律文書を短くするときは,文章量そのものではなく,読み手の判断を変える情報かどうかで採否を決める必要がある。

本文には,原則として,次の事項をこの順で置く。
①結論
②主要な理由
③結論を変え得る反対材料又は留保
④実質的な代替案
⑤未確認事項
⑥次に行う確認

同じ結論の言い換え,争点と関係の薄い背景説明,自明な長所・短所及びファイル一覧のような作業報告は,読み手の判断に必要でなければ削る。

他方,一次資料の書誌,確認箇所,検索範囲,採否理由及び確認履歴は,本文から消すのではなく,証拠台帳又は検証記録へ分ける。
本文を短くすることと,裏付けを捨てることは同じではない。

3 実務で使う六つの順序

最初の指示は,次の六項目まで短くできる。
①目的――誰が何を判断するための文書か
②結論――現時点の推奨又は暫定結論
③主要根拠――結論を支える重要度の高い根拠
④留保――不利益資料,例外,反対説及び未確認事項
⑤代替案――結論を変え得る現実的な案だけ
⑥次の行動――誰が何を確認すれば判断が進むか

守秘,権限,保存先,判例検索範囲,引用方法又は公開確認などは,作業に応じて追加する部品とする。

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mintsで裁判所が注意を促している誤り―当事者情報CSV,訴状PDFの当事者表示,法人番号,書面提出,証拠説明書及び裁判所限りの上申書(AI作成)

目次第1 本記事の対象と要点1 対象2 要点第2 新規申立てフォームの入力1 10名以内なのに当事者情報CSVファイルを提出しない2 訴状PDFに当事者情報を重ねて記載しない3 「法人番号」欄に会社法人等番号を入力しない第3 書面の提出方法1 訴訟代理人は答弁書等を書面で提出しない2 出力書面の提出を求められたら速やかに提出する3 「裁判所限り」のつもりの上申書等をmintsにアップロードしない第4 証拠の提出1 新法適用事件では新しい証拠説明書の書式を使う2 証拠番号のルールに沿って提出する第5 期日とアカウントの注意1 期日に出頭するときはパソコンを持参する2 同じ電話番号で短時間に何度も認証しない3 士業者登録番号を入力しておく第6 事務所で使う確認表1 新規申立ての前2 書面・証拠の提出の前3 訴え提起後・期日・アカウント第7 関連記事第8 出典
第1 本記事の対象と要点
1 対象

令和8年5月21日に改正民事訴訟法が全面施行され,委任を受けた訴訟代理人は,mintsを使って申立て等をしなければならなくなった(民事訴訟法132条の11第1項1号)。

最高裁判所事務総局民事局は,令和8年8月31日付けで「フェーズ3後の民事訴訟手続における留意点」と題する1枚の資料を作成し,施行後の訴訟代理人による提出に見られる誤りを8項目挙げている。
この資料は日本弁護士連合会の会員専用サイトに掲載されたものであり,令和8年9月17日の時点で,裁判所ウェブサイトの「民事裁判手続のデジタル化」,「民事訴訟手続のデジタル化に関する参考資料」及び「mintsについて」の各ページには掲載を確認できなかった。

本記事は,この資料が挙げる8項目について,裁判所ウェブサイトで公表されている資料の該当箇所を確かめ,法律事務所で同じ誤りを防ぐための確認事項を整理する。
あわせて,日本弁護士連合会の会員向け案内が注意を促しているサインインの制限と,mintsアカウントの自動削除を扱う。

本記事の基準日は令和8年9月17日である。
法律の条文はe-Gov法令検索で確認した。
mintsの運用は,最高裁判所事務総局民事局「民事訴訟フェーズ3に向けた準備の手引」(令和8年6月19日版。以下「準備の手引」という。),「民事裁判書類電子提出システム操作マニュアル~当事者ユーザ編~」(2.3版,令和8年7月15日改訂。以下「操作マニュアル」という。)及び「mintsご利用に関するQ&A」(令和8年9月17日取得。以下「Q&A」という。)で確認した。
本記事の論点について判断した裁判例は,本記事の作成に当たって参照した資料には挙げられていない。

2 要点

① 当事者と代理人の合計が10名以内なら,当事者情報CSVファイルではなく新規申立てフォームに直接入力する。
② 請求の趣旨・原因をPDFで提出する場合でも,当事者情報はフォームにだけ入力し,PDFには記載しない。
③ mintsの「法人番号」欄には,国税庁が指定する13桁の法人番号を入力し,商業登記簿の12桁の会社法人等番号を入力しない。
④ 委任を受けた訴訟代理人は,特段の理由なく答弁書等を書面で提出しない。
⑤ システム送達をしない場合には出力書面の提出が必要であり,裁判所から連絡を受けたら速やかに提出する。
⑥ 裁判所だけに見てもらうつもりの上申書等をmintsにアップロードすると,「記録外」を選んでも相手方が閲覧できる。提出方法は,アップロードする前に係属する裁判所に確認する。
⑦ 新法適用事件では,裁判所ウェブサイトに掲載された新しい証拠説明書の書式を使う。
⑧ 証拠番号は準備の手引29頁のルールに沿って付ける。
⑨ 期日に出頭するときは,記録を確認するためのパソコンを持参する。
⑩ 同じ電話番号で短時間に何度も二段階認証をすると,一時的に認証が制限されることがある。

第2 新規申立てフォームの入力
1 10名以内なのに当事者情報CSVファイルを提出しない

最高裁判所事務総局民事局の資料は,当事者と代理人の合計が10名以内であるにもかかわらず当事者情報CSVファイルが提出される例があるとし,10名以内の場合はフォームに入力するよう求めている。

準備の手引12頁は,当事者・代理人の合計人数が10名以内の場合にはフォームに直接入力するとし,10名を超え200名以内の場合には当事者情報CSVファイルで提出する必要があるとしている。
200名を超える場合は,フォームの当事者・代理人情報欄に入力者である原告代理人又は原告1名の情報を入力し,「添付書類」として当事者目録のPDFファイルを提出する必要があるとされている。

Q&A4頁は,システム上は10名未満でもCSVファイルを利用できるが,可能な限りフォーム入力を利用するよう求めている。
また,準備の手引12頁によれば,当事者情報CSVファイルを提出する場合には,フォームの「システム送達届出」のトグルをオンにできないので,別に「システム送達を受ける旨の届出」を提出する必要がある。

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判例データベースを法律事務所の生成AI・RAGに使えるか―判決本文・判例要旨・利用規約の分け方(AI作成)

第1 本記事の対象と結論

1 検討対象
2 結論

第2 法律情報を構成する四つのデータ層

1 裁判所の判決,決定,命令及び審判
2 裁判所が付した書誌情報及び編集
3 民間の判例要旨,解説,headnote及び分類体系
4 データベース全体の選択又は体系的構成

第3 日本の著作権法で確認する規定

1 著作権法13条
2 著作権法12条の2
3 著作権法30条の4
4 著作権法47条の5

第4 利用行為を六つに分けること

1 閲覧及び検索
2 ダウンロード,OCR及びローカル保存
3 RAG及び埋込みベクトル化
4 事前学習,追加学習及び評価
5 回答,要約,引用及び公開
6 ログ,バックアップ及び契約終了後の残存物

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mintsで決定・命令を受け取るとき―電子決定書・電子命令書の送達,即時抗告期間1週間及び予定日が通知されない問題(AI作成)

目次第1 本記事の対象と要点1 対象2 要点第2 決定・命令の告知と電子決定書1 決定及び命令は告知によって効力を生ずる2 電子決定書・電子命令書という用語3 告知の方法と告知を受けた日第3 mintsでの送達と見落としの原因1 システム送達の効力が生じる時2 補助者が開いた時点でも送達の効力が生じる3 決定・命令の予定日は通知されない第4 即時抗告期間の管理1 即時抗告期間は1週間の不変期間である2 即時抗告ができる主な決定・命令3 起算日と末日の数え方第5 mintsで即時抗告をする方法1 提出先は原裁判所である2 mintsでは新規申立てフォームの申立種別「その他」から提出する3 抗告状に記載する事項4 抗告理由は抗告の提起後14日以内に提出する5 手数料はmintsでは1,900円である6 即時抗告には執行停止の効力がある第6 事務所内で決めておくこと第7 出典
第1 本記事の対象と要点
1 対象

本記事は,令和8年5月21日以後に提起された民事訴訟(いわゆる新法事件)で,訴訟代理人がmintsを使って事件を追行している場面を対象に,判決以外の裁判である決定及び命令を受け取るときの注意点を整理する。
判決(電子判決書)の送達と控訴期間は,mintsのシステム送達と期限管理―応訴・通知メール・電子判決書・控訴期間で説明している。
新法事件と旧法事件の見分け方は,mintsの新法事件と旧法事件の見分け方を参照されたい。

本記事の基準日は令和8年9月17日である(令和8年9月16日公開。同月17日に,告知を受けた日の考え方(第2の3),期間の計算例(第4の3),抗告状の記載事項(第5の3)及び手数料(第5の5)を加えた。)。
法律の条文はe-Gov法令検索,民事訴訟規則は裁判所ウェブサイト掲載の令和8年5月21日現在の規則,mintsの運用は最高裁判所事務総局民事局「民事訴訟フェーズ3に向けた準備の手引」(令和8年6月19日版。以下「準備の手引」という。)で確認した。
条文の解釈は,最高裁判所事務総局民事局監修「条解民事訴訟規則(デジタル化関係等)」(司法協会,2025年。以下「条解規則」という。)及び脇村真治編著「一問一答 新しい民事訴訟制度(デジタル化等)―令和4年民事訴訟法等改正の解説―」(商事法務,2024年。以下「一問一答」という。)を参照し,裁判例は判例秘書で確認した。

2 要点

① 決定及び命令は,相当と認める方法で告知することによって効力を生じ,即時抗告期間は判決の控訴期間(2週間)より短い1週間である(民事訴訟法119条・332条)。
② 準備の手引35頁は,電子決定書・電子命令書も基本的には告知後速やかにmintsへアップロードされ,システム送達されると説明している。
③ 同じ頁は,決定・命令がいつ出るかをmints上で知らせる機能はないとし,mintsからのメールを特定のフォルダに集めることを勧めている。
④ システム送達の効力は,閲覧した時,ダウンロードした時又は通知が発せられた日から1週間を経過した時のいずれか早い時に生じ,補助者(事務職員)の閲覧でも生じる。
⑤ 即時抗告状は原裁判所に提出し,mintsでは新規申立てフォームの申立種別「その他」から提出する(準備の手引41頁)。
⑥ mintsで通知が発せられた日にすぐ閲覧すれば,その日の翌日から1週間が即時抗告期間になる。誰も閲覧しなければ,送達の効力が生ずるまでの1週間と即時抗告期間の1週間が続くので,通知の日から約2週間後が末日になると考えられる(第4の3の計算例)。
⑦ mintsで民事訴訟法上の決定・命令に対して抗告を提起する場合の手数料は1,900円である(民事訴訟費用等に関する法律3条2項・別表第二の15の項)。

第2 決定・命令の告知と電子決定書
1 決定及び命令は告知によって効力を生ずる

民事訴訟法119条は,「決定及び命令は、相当と認める方法で告知することによって、その効力を生ずる。」と定めている。
判決が電子判決書に基づく言渡しと送達という決まった方式をとる(同法253条・255条)のに対し,決定及び命令の告知の方法は法律で一つに決められていない。

その代わり,民事訴訟規則50条1項は,「決定又は命令の告知がされたときは、裁判所書記官は、その旨及び告知の方法を訴訟記録上明らかにしなければならない。」と定めている。
どの方法で告知されたかは,訴訟記録で確かめることができる。

2 電子決定書・電子命令書という用語

民事訴訟法122条は,決定及び命令に,その性質に反しない限り判決に関する規定を準用している。
民事訴訟規則は,同条で準用する同法252条1項により作成される電磁的記録のうち,決定に係るものを「電子決定書」(規則50条の2),命令に係るものを「電子命令書」(規則67条1項7号)と呼んでいる。

(1) 電子決定書等を作成しないでする裁判

民事訴訟規則67条1項7号は,口頭弁論に係る電子調書に明確にすべき事項として,「電子決定書又は電子命令書」を「作成しないでした裁判」を挙げている。
決定及び命令には,電子決定書等を作らずに口頭弁論の期日で行われ,電子調書に記録されるものがある。
このような裁判は期日の場で告知されることが考えられるので,期日に出頭していた代理人は,mintsの通知を待たずに期間を管理する必要がある。

(続きを読む...)mintsで決定・命令を受け取るとき―電子決定書・電子命令書の送達,即時抗告期間1週間及び予定日が通知されない問題(AI作成)

AI・データ事業を止めない法務設計-データフロー,横断法令,代替案及び行政相談

第1 この記事の対象と結論第2 事業モデルを事実に分解する1 目的と価値を先に固定する2 データフローに最低限載せる事項3 判断と外部効果を分ける第3 横断して確認する法令と規範1 個人情報保護法及びプライバシー2 AI法及びAIガバナンス3 事業に応じて追加する法領域第4 代替案を比較する1 法的結論を選択肢へ変換する2 主な設計変更第5 行政相談を事業工程へ組み込む1 PPCビジネスサポートデスク2 相談前に作る資料3 所管が複数の場合第6 制度変更への対応第7 弁護士が作る成果物第8 判例及び一次資料の確認状況第9 出典

第1 この記事の対象と結論

本記事は,AI又はデータを利用する新規事業について,法務が企画を止める又は無条件に通すのではなく,事業目的を保ちながら適法かつ実行可能な設計へ変更する方法を扱う。
基準日は令和8年9月16日である。

結論として,最初に作るべきものは長い法律意見書ではなく,①事業目的,②関係者,③データの流れ,④AIの入力・出力,⑤人又はシステムが行う判断,⑥外部へ生じる効果を一枚で確認できる図である。
その上で,個人情報保護法だけでなく,事業に応じてAI法,知的財産法,業法,消費者法,競争法及び契約を横断し,禁止又は許可の二択ではなく複数の代替案を比較する。

第2 事業モデルを事実に分解する

1 目的と価値を先に固定する

法令名から検討を始めると,事業上なくてはならない機能と,変更できる実装とが混同されやすい。
まず,誰のどの課題を解決し,どの機能が収益又は利用価値を生み,どの処理は代替できるかを確認する必要がある。

例えば,個人別の推薦精度を上げることが目的であっても,実名を保持すること,社外データを結合すること,結果を自動的に本人へ適用することの全てが不可欠とは限らない。
事業目的を固定し,データ項目,処理場所,保持期間及び人の関与を可変要素として扱えば,法的リスクを下げる設計変更を検討しやすい。

2 データフローに最低限載せる事項

データフローには,①取得元,②データ項目,③本人又は対象者,④取得方法,⑤利用目的,⑥保存場所・期間,⑦アクセス者,⑧AIへの入力,⑨モデル又はサービス提供者による利用,⑩出力,⑪出力を用いる判断,⑫委託・再委託,⑬第三者提供,⑭国外処理,⑮削除及び⑯事故時の停止点を載せる。
「クラウドを使う」又は「AIを使う」という製品名だけでは,実際の取扱いを確認できない。

同じサービスでも,組織向けと個人向け,学習利用の有無,履歴保存,外部コネクタ,管理者権限,再委託先及び処理国が異なり得る。
契約,管理画面の設定,実際の通信及び運用手順を照合する必要がある。

3 判断と外部効果を分ける

AIが順位,予測又は文章を出力するだけの場面と,その出力によって採用,価格,勧誘,診療,融資,契約又は公表が自動的に行われる場面とでは,リスクが異なる。
出力の受領者,人が覆せる範囲,説明方法,異議申立て,誤りの訂正及び停止権限をデータフローとは別の判断フローとして記録するべきである。

第3 横断して確認する法令と規範

1 個人情報保護法及びプライバシー

個人情報,個人データ,要配慮個人情報,個人関連情報,仮名加工情報及び匿名加工情報は,適用される規律が異なる。
公開情報であることだけで,無制限な収集,結合,学習,評価又は再公表が許されるわけではない。

利用目的,適正取得,不適正利用,第三者提供,委託先監督,国外取扱い,安全管理,正確性,開示等及び漏えい等対応を,実際の処理ごとに確認する。
個人情報保護委員会は,データマッピング,責任者・責任部署及びPIAを,民間事業者のデータガバナンスに役立つ自主的取組として案内している。

2 AI法及びAIガバナンス

人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律(令和7年法律第53号)は,令和7年9月1日に全面施行された。
同法はAIの研究開発及び活用,国による調査・指導・助言並びに事業者の責務を無視してよいという意味ではない。
経済産業省等のAI事業者ガイドライン(第1.2版)は法令そのものではないが,方針,責任,リスク管理,透明性,公平性,安全性及び継続的改善を社内手順へ落とす際の公的な参照資料となる。

3 事業に応じて追加する法領域

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AIを使うほど仕事が増える理由-法律実務で使う生成前フィルタと中断後の再開カード(AI作成)

第1 この記事の対象と結論1 生成の速さと仕事全体の速さは同じではない2 資料の位置付け第2 AIを使うほど仕事が増える仕組み1 候補生成の費用だけが下がる2 生成時間と総作業時間を分ける3 否定形だけの指示では足りない第3 中断と具体的な計画について分かっていること1 中断後の再開までには別の仕事が入る2 具体的な計画は未完了目標の侵入思考を減らした3 実行の時機と場所を決めた小規模実験4 数字の合わない逸話は根拠に使わない第4 生成前フィルタの四項目1 採用する候補の条件2 生成しない候補3 必ず含める事項4 候補数の上限と順位付け第5 法律調査では探索と説明を分ける1 探索完了前に不利益資料を削らない2 一次資料の本文確認とデータベースの状態を分ける第6 法律実務での指示例1 裁判例調査2 裁判所提出書面のレビュー3 契約書レビュー4 ブログ記事の監査5 生成後フィルタ――意思決定密度を上げる第7 中断後の再開カード1 五つの記録項目2 法律調査の記載例第8 導入効果の測り方1 量と品質を分けて記録する2 再開カードの効果を実測する第9 既存記事との関係第10 出典・参考資料1 原著論文及び原典2 公式資料及び論点発見資料

第1 この記事の対象と結論

1 生成の速さと仕事全体の速さは同じではない

生成AIは,候補の列挙,要約,比較及び初稿作成を短時間化できる。
しかし,候補が増えるほど,重複の整理,採否の判断,一次資料の確認,文章の統合及び手戻りも増え得るため,一つの出力が速く作られたことだけでは,仕事全体が速くなったとはいえない。

本記事は,AIへ指示する前に,①採用する候補の条件,②生成しない候補,③必ず含める事項,④候補数の上限及び順位付けを決める方法を「生成前フィルタ」と呼ぶ。
さらに,作業を中断するときに,①現在状態,②最後に確認した根拠,③次の一手,④未解決点,⑤停止又は確認条件を残す記録を「再開カード」と呼ぶ。
いずれも法令上の用語ではなく,本記事における法律実務上の提案である。

2 資料の位置付け

検討の端緒は,生成AIに肯定条件より先に除外条件を与えること及び未完了作業の次の一手を具体化することを提案したX投稿である。
X投稿は論点発見資料であり,法律事務所における効果を証明する一次資料ではない。

本記事は,中断された情報労働,未完了目標に関する計画及び実行意図を扱った原著論文を確認し,法律実務への応用部分を提案として区別した。
本記事が扱う中心は業務設計であり,特定の法令解釈又は裁判例の判旨を主張するものではないため,e-Gov法令検索,裁判所ウェブサイト及び判例秘書による判例検索は実施していない。
これは関係する裁判例が存在しないことを意味しない。

第2 AIを使うほど仕事が増える仕組み

1 候補生成の費用だけが下がる

AIは,同じ問いについて,多数の論点,見出し,表現,反対仮説又は関連記事候補を短時間で生成できる。
このとき下がるのは主として候補を作る費用であり,どれを採用し,どれを捨て,どの根拠で確定するかという判断の費用まで自動的に下がるわけではない。

候補が多いほどよい場面もあるが,採用基準がないまま候補だけを増やすと,似た案の比較,重複の除去及び「念のため」の確認が増える。

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大阪高裁民事部主任決議集を令和8年の民事訴訟で使う方法―mints後も残る実務と旧紙運用(AI作成)

目次第1 結論及び資料の位置付け1 結論2 対象資料第2 令和8年5月21日前後で取扱いを分ける必要1 新事件2 旧事件3 民事執行等第3 旧紙運用を現在の実務へ読み替える方法1 提出方法,手数料及び郵便費用2 送達及び通知3 副本及び記録送付4 閲覧制限,秘密保持及び記録保存第4 電子化後も有用な主任決議集の学び1 書面の表題より内容を見ること2 当事者及び参加人ごとに期限を管理すること3 上訴理由書を自己完結させること4 記録の所在と緊急性を引き継ぐこと5 証明書等は目的から逆算すること第5 法律事務所の確認チェックリスト1 事件及び適用法令2 提出及び送達3 記録及び証拠第6 一次資料による裏付けの状況1 確認できた事項2 資料に記載されているが,現在の運用とは限らない事項3 本記事の推論4 未確認事項第7 関連記事及び出典1 関連記事2 出典
第1 結論及び資料の位置付け
1 結論

大阪高裁民事部の主任決議集からは,書類の題名ではなく内容に応じて処理すること,当事者及び参加人ごとに送達・提出期限を管理すること,記録の所在を確かめて緊急処理を引き継ぐことなど,電子化後も有用な実務上の視点を学ぶことができる。

他方,同決議集には,紙の事件記録,郵便切手,ファクシミリ,書類の編てつ及び紙の副本を前提とする記載が多い。令和8年5月21日に施行された改正民事訴訟法及び改正民事訴訟規則の下では,これらを現在の取扱いとしてそのまま用いることはできない。

したがって,同決議集は,現在の法令又は大阪高裁の現行運用を証明する資料ではなく,令和3年3月15日時点の内部事務資料として読み,現行法令及び裁判所の公式案内と照合して利用すべきである。

2 対象資料

本記事の対象は,大阪高裁民事部の主任決議集(令和3年3月15日改訂)である。

このPDFは,大阪高裁民事部における主任書記官の決議又は申合せを集約したものと読める。しかし,裁判所ウェブサイトで公開された法令・通達又は裁判例ではなく,大阪高裁の現行版原本との同一性も確認できていない。

そのため,個別事件で裁判所の取扱いを予測する資料としては有用であるものの,法的根拠を示す場合は,民事訴訟法,民事訴訟規則,裁判所の公式案内及び必要に応じて判例を別途確認する必要がある。

第2 令和8年5月21日前後で取扱いを分ける必要
1 新事件

裁判所の「改正民訴法等で変わる民事訴訟手続の概要」によれば,令和8年5月21日に改正民事訴訟法及び改正民事訴訟規則が施行された。

改正後の新事件では,弁護士等の訴訟代理人は原則としてオンラインで申立てその他の提出をし,手数料及び裁判所が定める費用も電子納付する。裁判所のシステムを利用した送達,電子訴訟記録の閲覧及び事件管理が制度の中心となる。

したがって,新事件について,主任決議集の郵便切手,紙の正本・副本,ファクシミリ提出,紙記録の編てつ順序等の記載を現在の通常運用として引用するのは適切でない。

2 旧事件

令和8年5月21日より前に提起された事件には経過措置がある。旧事件の上訴であっても,手続の各場面について新旧いずれの規定が適用されるかを,施行日だけで一律に判断することはできない。

とりわけ,上告,上告受理申立て,抗告並びに費用の予納については,改正後の民事訴訟規則及び附則に個別の経過措置がある。そのため,事件の第一審提起日,現在の審級及び対象手続を組み合わせて確認する必要がある。

3 民事執行等

裁判所の公式案内によれば,民事訴訟のデジタル化が全面施行された後も,民事執行,民事保全,倒産及び家事事件等のデジタル化は別の施行日程に従う。

主任決議集の内容を検討するときは,「民事訴訟がデジタル化されたから,全ての関連手続が同じ取扱いになった」と考えず,対象となる手続類型を先に確定する必要がある。

第3 旧紙運用を現在の実務へ読み替える方法
1 提出方法,手数料及び郵便費用

主任決議集では,窓口又は郵送による提出,収入印紙,郵便切手及びファクシミリを前提とする記載が多い。

現在は,まず事件が新事件か旧事件か,提出者がオンライン提出義務者か,対象書面がシステム提出の対象かを確認する。その上で,手数料及び費用の電子納付の要否,紙提出が許される例外並びに旧事件の取扱いを確認する。

上訴の具体的な提出先,提出時期及びmints上の操作は,mintsで控訴・上告・上告受理申立てをする方法で整理している。

2 送達及び通知

主任決議集の郵便送達及びファクシミリ送信に関する記載は,現在のシステム送達へ機械的に置き換えることはできない。

現行の民事訴訟規則189条は,上告提起通知書について,原則として裁判所の使用に係る電子計算機から送達すべき電子書類を当事者のファイルへ記録する方法を定める。もっとも,システム送達の通知メールは送達そのものではなく,送達の効力発生時点は法令に従って別に判定する必要がある。

期限管理では,メール受信日時だけでなく,事件管理画面の送達記録及び対象書類を確認する。詳しくは,mintsのシステム送達と期限管理で説明している。

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mints時代の民事訴訟における証拠の状態管理―提出・申出・採否・取調べ・電子調書(AI作成)

目次第1 結論―証拠はアップロードしただけでは終わらない第2 証拠の八つの状態第3 証拠状態管理表第4 期日前の確認第5 期日中の確認第6 期日後の確認第7 新法適用事件と旧法適用事件第8 誤提出・不一致が判明した場合第9 根拠と資料レベル第10 関連記事

mintsでは証拠ファイルをアップロードできますが,アップロードの完了は,証拠申出,裁判所の採否,証拠調べの実施又は電子調書・証拠目録への反映と同じではありません。本記事は,民事訴訟の証拠を「受領・保全」から「調書・目録・返還」まで八つの状態に分け,期日前・期日中・期日後に何を確認し,どの記録を残すかを整理します。法令及び裁判所の公表資料で確認できる事項と,大阪高等裁判所民事部の内部資料から導いた事故防止策とを区別して記載します。2026年9月16日現在の内容です。

第1 結論―証拠はアップロードしただけでは終わらない

証拠管理で最も重要なのは,「ファイルがmintsにある」という事実だけで事件処理が完了したと判断しないことです。次の各段階は,互いに関連しますが同一ではありません。

裁判所へデータを提出したこと
相手方へ直送され,閲覧可能になったこと
期日又は準備手続で証拠申出をしたこと
相手方が成立の真正,採否等について意見を述べたこと
裁判所が採否を判断したこと
原本,写し又は電磁的記録について証拠調べが行われたこと
その結果が証拠目録,期日調書その他の訴訟記録へ正しく反映されたこと

したがって,事務所の事件台帳又は証拠管理表には,単なる「提出済み」ではなく,現在の状態と次に確認すべき事項を記録する必要があります。

第2 証拠の八つの状態

受領・保全―依頼者,第三者又は外部機関から受領した原本・元データを特定し,上書きせず保全した段階です。
提出準備―事件番号,当事者,号証,標目,作成者,作成年月日,立証趣旨,マスキング及びファイル名を点検した段階です。
裁判所提出―正しい事件,タブ及びファイル種別を選び,mintsへのアップロード又は所定の方法による提出が完了した段階です。
直送・閲覧―相手方ごとの直送方法を確認し,mints上の表示その他の方法で閲覧可能性を確認した段階です。
証拠申出―期日又は準備手続において,書証又は電磁的記録に記録された情報の内容に係る証拠調べを申し出た段階です。
相手方意見―成立の真正,原本の存在,採否,必要性その他の意見が示された段階です。
採否・取調べ―裁判所が採否を判断し,採用した証拠について原本,写し又は電磁的記録を取り調べた段階です。
目録・調書・返還―証拠目録及び期日調書等への反映を確認し,原本の返還又は継続保管を処理した段階です。

第3 証拠状態管理表

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Claude Code・Codexでパソコンがフリーズする原因-メモリ8GB・16GB・32GB・64GBの違い(AI作成)

目次第1 結論及び本記事の対象第2 「フリーズ」を四つに分ける1 Windows全体が重くなる場合2 Claude Code又はCodexだけが応答しない場合3 応答又はツールの完了を待っている場合4 画面全体が停止し再起動を要する場合第3 ローカルのパソコンに負荷が生じる仕組み1 AIモデルと作業環境は別であること2 検索,編集,ビルド及びテスト3 並列セッション及びサブエージェント4 MCP,WSL及びDocker第4 メモリ不足で操作が止まる仕組み1 物理メモリとコミット済みメモリ2 ページングとSSDの待ち時間3 容量差は比例ではなく閾値として表れること第5 メモリ8GB・16GB・32GB・64GBの違い1 Claude Codeの公式要件が示す範囲2 8GBの場合3 16GBの場合4 32GB及び64GBの場合第6 フリーズ発生時に記録する項目1 発生時刻と停止範囲2 タスクマネージャーで見る数値3 Windowsの記録第7 再発を減らす対策1 最初に同時実行数を減らすこと2 不要なMCP及び残存プロセスを止めること3 ページファイルと空き容量を確認すること4 WSL及びクラウド環境を使い分けること第8 メモリ増設が有効かを判断する方法1 増設が有効と考えられる場合2 増設だけでは解決しにくい場合第9 関連記事1 パソコンを新たに選ぶ場合2 Codexの長時間・並列利用を見直す場合第10 出典・参考資料1 事業者及びOS提供者の公式資料2 公開Issue
第1 結論及び本記事の対象

Claude Code又はCodexを使ったときにパソコンが固まりやすくなる主な理由は,AIモデルの計算そのものよりも,手元のパソコンで同時に動くエージェント本体,検索,ファイル処理,ビルド,テスト,ブラウザ,Office,WSL,Docker及びMCPサーバー等の負荷が積み重なることにある。
メモリを増やすと,空きメモリ不足とページングによる停止は起こりにくくなるが,アプリ固有の不具合,CPU又はSSDの飽和,ドライバー障害及び通信待ちは解消しない。
令和8年9月15日現在,メモリ容量別のフリーズ発生率を同一条件で比較した信頼できる公開統計は確認できないため,本記事では「8GBなら1日に何回」等の数値を示さず,容量ごとの余裕と原因の切分け方を説明する。

第2 「フリーズ」を四つに分ける
1 Windows全体が重くなる場合

マウスポインター,タスクバー及び他のアプリまで遅くなり,SSDの使用率が高い状態が続く場合は,物理メモリ不足に伴うページング又はCPU・ストレージの飽和が有力な候補となる。
この場合はClaude Code又はCodexだけを見るのではなく,ブラウザ,Word,Excel,PDF処理,ウイルス対策ソフト,WSL及びDockerを含むパソコン全体の使用量が確認対象となる。

2 Claude Code又はCodexだけが応答しない場合

他のアプリが通常どおり動くのに,ターミナル又はCodexのウィンドウだけが数秒以上操作できない場合は,画面描画,長い会話履歴,アプリ内部の処理又は個別の不具合を分けて考える。
OpenAIの公開Issueには,Windowsの他のアプリが反応している状態でCodexの画面だけが停止したという報告があるが,これは利用者による個別報告であり,すべての環境に共通する原因又は発生率を示すものではない。

3 応答又はツールの完了を待っている場合

画面操作はできるが回答が進まない場合は,AIサービスとの通信,ウェブ取得,MCP接続,外部コマンド又は長時間のビルドを待っている可能性がある。
この状態はメモリ不足とは限らないため,タスクマネージャーの数値が平常であれば,実行中の処理,ネットワーク及びサービス側の障害情報を確認することになる。

4 画面全体が停止し再起動を要する場合

画面が停止し,音声が途切れ,又はブルースクリーンや突然の再起動が生じる場合は,メモリ不足のほか,GPUドライバー,熱,電源,SSD又はハードウェア障害も検討対象となる。
特定のアプリを終了するだけで回復する停止と,Windows自体を再起動しなければ回復しない停止を同じ現象として記録すると,原因を誤りやすい。

第3 ローカルのパソコンに負荷が生じる仕組み
1 AIモデルと作業環境は別であること

通常の公式サービスでは回答生成の中心となるAIモデルは事業者側で動くが,エージェントが使用する作業環境まで常にクラウドにあるとは限らない。
OpenAIの公式資料によれば,CodexのLocal環境とWorktree環境は利用者のパソコン上で動き,Cloud環境は遠隔のクラウド環境で動くため,選択した環境によってローカル負荷が異なる。

2 検索,編集,ビルド及びテスト

Codex CLIはローカルの開発ツールを実行でき,Claude Codeもシェルコマンド,スクリプト及び各種ツールを実行する。
大量ファイルの検索,PDFや画像の変換,依存関係の導入,コンパイル,テスト及び開発サーバーの起動は,エージェント本体とは別のプロセスとしてメモリ,CPU及びディスクを使用するため,「AIアプリの使用量」だけでは総負荷を把握できない。

3 並列セッション及びサブエージェント

Claude Codeは複数のセッション,サブエージェント及びworktreeを用いた並列作業を案内しており,Codexにも同時に開くエージェント数を管理する設定がある。
並列化すると待ち時間を短縮できる一方,各作業が検索,ビルド又はブラウザ操作を同時に始めれば,メモリだけでなくCPUとSSDの使用量も重なるため,まず同時実行数を減らした比較が有用となる。

4 MCP,WSL及びDocker

Claude Codeのローカルstdio型MCPサーバーは手元のパソコンのプロセスとして動き,WSL 2はWindows上の仮想マシンとしてメモリとスワップを使用する。

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法律事務所の生成AI利用ガイドラインの作り方-許可サービス,入力情報,出力確認,委託先及び事故対応(AI作成)

目次第1 本記事の対象と結論1 対象2 結論第2 法令・会規と行政資料の位置付け1 弁護士法及び弁護士職務基本規程2 弁護士情報セキュリティ規程3 行政資料は実装例として用いる第3 対象者・責任者・対象サービス1 対象者2 責任者3 背景で動くAIも対象にする第4 許可サービス台帳1 台帳に記録する項目2 許可・条件付許可・禁止を分ける3 変更時に再確認する第5 入力情報の区分1 公開情報2 匿名化又は仮名化した内部情報3 依頼者・相手方・事件の秘密情報4 必要最小限にする第6 許可業務・禁止業務1 比較的利用しやすい業務2 一次資料の確認を要する業務3 弁護士の判断又は承認を要する業務4 禁止業務第7 出力確認と一次資料1 法令2 裁判例3 事実・資料・計算4 著作権・個人の権利・偏り第8 送信・提出・公開・削除1 読む・検索する・下書きを作る権限を分ける2 承認は外部効果の直前に置く3 記録原本と読戻し第9 委託先・再委託先1 契約及び技術条件2 再委託先及び処理国3 委託先がAIを利用する場合第10 事故対応1 停止・保全・影響範囲の確認2 最初に記録する事項3 連絡及び報告4 再発防止第11 研修・点検・更新第12 普通の法律事務所向けの優先順位1 第1順位-利用開始前に必ず決める4項目2 第2順位-利用開始直後に整える事項3 第3順位-秘密情報・外部連携等の高度利用前に確認する事項4 優先順位の意味第13 判例及び一次資料の確認状況第14 関連記事第15 出典・参考資料1 法令・会規2 行政機関・地方公共団体の資料第1 本記事の対象と結論1 対象

本記事は,法律事務所が生成AIの利用ガイドラインを作る場合に,最低限どの事項を定めればよいかを整理するものである。
対象には,弁護士が会話画面から直接利用する生成AIだけでなく,事務職員が利用するサービス,OS・ブラウザ・電子メール・OCR・翻訳・議事録作成・クラウドストレージ・事件管理システム等に組み込まれたAI及び外部サービスを操作するAIエージェントを含める。

2 結論

ガイドラインは,製品名の一覧又は「個人情報を入力しない」という一文だけでは足りない。
少なくとも,①対象者及び責任者,②許可するサービスと利用環境,③入力情報の区分,④許可業務と禁止業務,⑤出力の確認方法,⑥送信・提出・公開等の承認,⑦委託先及び再委託先の確認,⑧ログ及び記録原本,⑨事故対応並びに⑩研修・点検・更新を定める必要がある。

本記事で参照する郡山市,デジタル庁及び総務省の資料は,行政機関又は地方公共団体の内部運用を対象とする資料であり,民間の法律事務所を直接拘束する法令又は会規ではない。
もっとも,利用可能なサービス,入力可能な情報,責任者,委託先,ログ,研修及び事故報告を具体的な様式へ落とし込む方法を学ぶための資料として有用である。

普通の法律事務所がこれらを一度に整備するのは容易でない。そこで,第12では,利用開始前に必ず決める事項,利用開始直後に整える事項及び秘密情報・外部連携等の高度利用前に確認する事項に分けて,実施の優先順位を示す。

第2 法令・会規と行政資料の位置付け1 弁護士法及び弁護士職務基本規程

弁護士法23条は,弁護士又は弁護士であった者の秘密保持義務を定める。
弁護士職務基本規程23条も秘密保持義務を定め,同規程19条は事務職員等に対する指導監督を求めている。
生成AIの利用ガイドラインは,これらの義務を各事務所の端末,アカウント,業務及び作業手順へ落とし込む文書である。

2 弁護士情報セキュリティ規程

日本弁護士連合会の弁護士情報セキュリティ規程は,令和6年6月1日に施行された。
同規程3条は,取扱情報の種類,性質等に応じた危険を踏まえ,法律事務所の規模及び業務の種類,態様等に応じた基本的な取扱方法を定めることを求めている。
生成AI利用ガイドラインは,この基本的な取扱方法の一部として定める方法と,これに付属する別紙として定める方法が考えられる。

3 行政資料は実装例として用いる

郡山市の「生成AI活用ガイドライン(第6版)」は,市が利用を許可したシステム,情報の機密性による入力制限,職員による出力確認及び委託先を含む運用を定めている。
デジタル庁の「行政の進化と革新のための生成AIの調達・利活用に係るガイドライン(第2.0版)」は,国の行政機関における調達及び利活用の考え方を示している。
総務省の「自治体におけるAI活用・導入ガイドブック<導入手順編>(第4版)」は,責任者,情報区分,ライフサイクル,委託先,研修及び事故対応を具体化する資料を提供している。

これらを引用するときは,「行政機関の運用例であること」と「法律事務所に当てはめた実務上の提案であること」を明記する。
行政資料を参照したというだけで,弁護士法,弁護士職務基本規程,個人情報保護法又は依頼者との契約上の義務を満たしたことにはならない。

第3 対象者・責任者・対象サービス1 対象者

対象者には,所属弁護士,事務職員,司法修習生,派遣労働者,業務委託先その他事務所の取扱情報へ接する者を含める。
共同事務所では,弁護士ごとに許可範囲が異なると事務職員に判断を委ねることになるため,共通部分と弁護士別の例外を分けて記録する。

2 責任者

小規模事務所であっても,AI利用の責任者を明示する。
責任者は,全ての出力を確認する者である必要はないが,許可サービス台帳の更新,事故時の連絡先,定期点検及び例外承認の所在を引き受ける者である。

3 背景で動くAIも対象にする

利用者が「生成AIを開いた」と認識しない機能も対象に含める。
例えば,画面内容の要約,電子メールの返信候補,通話の文字起こし,OCR後の分類,クラウド内検索,画像生成,ブラウザの支援機能及び事件管理システムの自動抽出である。
OS又は標準アプリの更新によってAI機能が追加又は有効化されることもあるため,製品名ではなく,読取り,推論,保存,外部送信及び実行という機能単位で点検する。

第4 許可サービス台帳1 台帳に記録する項目

許可サービスは,名称だけでなく実際の利用環境を一行ずつ記録する。
最低限の項目は,①サービス名,②モデル又は機能,③プラン,④利用アカウント,⑤利用者,⑥接続先,⑦保存先,⑧入力データの学習又はサービス改善への利用,⑨提供者による人的アクセス,⑩保存期間及び削除方法,⑪操作ログ,⑫再委託先,⑬処理国又は保存国,⑭事故通知,⑮入力可能な情報区分,⑯許可業務,⑰承認者並びに⑱最終確認日である。

⑧とは別に,処理の記録(ログ),分類結果,利用統計,フィードバック等の派生データを提供者が自社の目的に使えるかも台帳で確認する。
入力データを学習に使わないとする規約でも,派生データは制限なく処理できるとするものがあるからである。
派生データ条項の読み方は,「学習に使わない」と書いてあっても―AIサービス規約の派生データ条項(ログ・分類結果・利用統計・フィードバック)の読み方と弁護士の守秘義務(AI作成)で整理している。
国内のリーガルテックと国産AIのサービスの規約の比較は,国内のリーガルテック・国産AIの規約は入力データをどう扱うか―学習条項と派生データ条項の比較(AI作成)で整理している。

「有料版である」,「学習オフである」又は「大手企業のサービスである」という一項目だけでは,秘密情報を入力できることの根拠にならない。
同じ名称のサービスでも,個人向けと組織向け,無料と有料,通常機能と外部コネクタ付き機能では,情報の流れ及び契約条件が異なることがある。

一つの窓口から複数のAI事業者へ処理を振り分ける中継サービス(例えば,OpenRouterや,令和8年9月にLinux Foundation傘下のAgentic AI Foundationへ移管されたオープンソースの「Agent Router」)を使う場合は,窓口のサービスだけでなく,実際に処理する事業者ごとに一行を設ける。
障害時等に別の事業者へ自動で切り替える設定があるときは,自動切替えを認めるか,認める場合の切替先をどの事業者に限るかも台帳に書く。
中継サービスを事業者に預ける形(ホスティング)で使うときは,その事業者自体も入力を取り扱い得る委託先として一行を設ける。
自動切替えと秘密保持の関係は,学習オフの生成AIに秘密情報を入力することは第三者開示に当たるか(AI作成)で整理している。

2 許可・条件付許可・禁止を分ける

台帳では,単純な許可又は禁止だけでなく,条件付許可を用いる。
例えば,「公開情報のみ許可」,「匿名化した内部情報まで許可」,「秘密情報は指定された組織アカウント及び指定機能に限り責任弁護士の承認を要する」,「外部送信機能は利用禁止」といった形である。

3 変更時に再確認する

モデル,プラン,利用規約,データ処理条件,コネクタ,再委託先,保存国又はOSの権限が変わった場合は,同じ製品名であっても再確認する。
定期確認の時期だけでなく,変更通知を受けた者が誰へ伝えるかも定める。

料金の改定,課金方式の変更,サービスの提供終了及びモデルの廃止も,変更として台帳で扱う。
主要な事業者が料金改定やモデル廃止をどれだけ前に予告するとしているか,契約終了時にデータを取り出し又は削除できるか,及び代わりのサービスへ移るときに何を確認し直すかは,生成AIサービスの値上げ・提供終了・モデル廃止に備える契約と運用-規約の変更条項,終了時のデータ,移行計画及び中継サービス(AI作成)で整理している。

第5 入力情報の区分1 公開情報

法令,裁判所が公開する裁判例,官公庁の公表資料,自ら公開済みの記事その他一般に公開されている情報である。
公開情報であっても,著作権,利用規約,取得方法及び情報の新しさは別に確認する。

2 匿名化又は仮名化した内部情報

氏名を削除しただけでは,事件類型,地域,日時,金額,勤務先及び家族関係の組合せから当事者を特定できることがある。
匿名化又は仮名化の可否は,入力する断片だけでなく,AIサービスが既に参照できる電子メール,クラウド資料,会話履歴及び外部コネクタとの組合せで判断する。

3 依頼者・相手方・事件の秘密情報

依頼者,相手方,証人その他関係者の個人情報,未公表の紛争内容,契約書,証拠,交渉方針及び事件の帰趨に影響する情報は,原則として最も厳しい区分で扱う。
例外的に入力を認める場合は,サービス名だけでなく,契約条件,アカウント,機能,処理経路,保存,削除,人的アクセス,再委託先,国外取扱い,依頼者との関係及び代替手段を確認し,承認を記録する。

4 必要最小限にする

入力が許可された情報であっても,目的に必要な部分だけを入力する。
全文を入力しなくても作業できる場合は,争点,条項又は文書の一部に限定し,事件名,氏名,住所,口座,医療情報その他の識別情報を削る。

第6 許可業務・禁止業務1 比較的利用しやすい業務

公開資料の分類,見出し案,論点候補,文章の校正,質問事項の洗い出し及び定型文の下書きは,比較的利用しやすい。
ただし,出力をそのまま法的結論又は事実認定として採用せず,後記の確認を行う。

2 一次資料の確認を要する業務

法令,裁判例,期限,官公庁の手続,統計,引用,固有名詞及びURLを含む出力は,一次資料又はこれに準ずる資料で確認する。
検索結果の要約,生成AIの引用表示又は第三者の記事を開いただけでは,元の法令,判決本文又は統計表を確認したことにならない。

3 弁護士の判断又は承認を要する業務

受任の可否,利益相反,請求又は抗弁の選択,和解条件,依頼者への助言,裁判所提出書面の確定,期限の確定,相手方への回答,個人情報漏えい時の報告並びに事件方針の変更は,弁護士又は指定された責任者の判断を要する。
AIは候補及び下書きを作ることができるが,判断主体又は承認主体にしない。

4 禁止業務

許可されていないサービスへの秘密情報の入力,確認していない判例又は引用の記載,権限外事件の検索,依頼者の指示に反する利用及び承認を経ない外部送信等を禁止する。
禁止事項は抽象語だけでなく,実際の画面又は作業例を用いて研修する。

第7 出力確認と一次資料1 法令

現行法令は,原則としてe-Gov法令検索の条文本文,附則及び施行情報を確認する。
旧法,経過措置,未施行改正,最高裁判所規則その他e-Gov法令検索だけで完結しない資料は,官報,所管官庁又は裁判所の公式資料を追加して確認する。

2 裁判例

裁判例は,裁判所名,裁判年月日及び事件番号の実在確認と,本文中の判示内容及び射程の確認を分ける。
裁判所ウェブサイトに掲載がない場合は,判例秘書等の商業データベースで全文を確認し,検索日,検索欄,検索語,結果件数,事件ID,本文を開いたか及び根拠として用いた判示を記録する。

判例データベースの状態は,①未検索,②検索実施,③件数のみ確認,④一覧又はヘッダー確認,⑤全文確認,⑥判旨確認及び⑦当該命題との直接関連性確認に分ける。
検索結果が0件であること,又はある語の限定検索で直接関連する判決を発見できなかったことは,その裁判例又は法的問題が存在しないことの証明ではない。

3 事実・資料・計算

依頼者から受領した資料は,AIの要約ではなく原本又は確定版を記録原本とする。
日付,金額,氏名,口座,物件,条項番号及び期限は,抽出元の頁又はセルへ戻って確認する。
AIが複数候補又は低い確信度を示した場合は,自動保存せず,人の確認待ちに送る。
ただし,確信度が意味を持つのは,提供者が較正(示す確率と実際の的中率を一致させる調整)を公表し,事務所のデータで的中率を確かめた場合に限られ,較正されていても1件ごとの正しさは保証されない。
期限,受任の諾否及び返答の要否に関わる項目は,確信度が高くても人が確認する(AIが示す「確信度」はどこまで信じてよいか―較正の意味,自動振分けの閾値及び期限が絡む分類を人が見る理由(AI作成))。

4 著作権・個人の権利・偏り

出力が既存著作物の表現を過度に再現していないか,個人の名誉,プライバシー又は信用を侵害しないか,不合理な差別又は偏りを含まないかを確認する。
文化庁の整理は著作権法上の考え方を検討する行政資料であり,個別の出力が適法であることを保証する判決ではない。

第8 送信・提出・公開・削除1 読む・検索する・下書きを作る権限を分ける

読む,検索する,分類する及び下書きを作る作業と,保存する,上書きする,送信する,提出する,公開する及び削除する作業を分ける。
AIに後者の権限を与える場合は,対象,宛先,内容及び時点が確定した直前に人の承認を置く。

2 承認は外部効果の直前に置く

事前に「全部任せる」と指示しても,後で送信先又は内容が変わることがある。
承認は,抽象的な作業開始時ではなく,送信,提出,公開,削除又は期限確定の対象が画面上で特定された時点に置く。

3 記録原本と読戻し

AIとの会話履歴だけを事件の確定記録にしない。
確定した期限,連絡内容,書面及び作業状態は事件管理システムその他の記録原本へ保存し,保存後の値を読み戻して確認する。

第9 委託先・再委託先1 契約及び技術条件

提供者について,利用規約,データ処理契約,秘密保持,安全管理措置,学習又はサービス改善への利用,人的アクセス,保存期間,削除,バックアップ,事故通知及び監査に必要な情報を確認する。
契約書の文言と,管理画面で実際に選択されている設定の双方を確認する。

2 再委託先及び処理国

基盤モデル,クラウド,ログ解析,サポートその他の再委託先並びにデータの保存国・処理国を確認する。
再委託先又は処理国の変更通知を誰が受け,いつ台帳を更新し,利用継続を判断するかを定める。

3 委託先がAIを利用する場合

文字起こし,翻訳,調査,システム保守その他の委託先が生成AIを利用する場合も,事務所の管理対象から外さない。
委託契約又は個別指示で,利用可能なサービス,入力情報,目的外利用,再委託,事故通知及び成果物の確認方法を定める。

第10 事故対応1 停止・保全・影響範囲の確認

誤入力,誤送信,権限外検索,不正確な出力の提出,秘密情報の表示又はアカウント侵害が判明した場合は,まず利用又は外部連携を停止し,ログ,画面,時刻,入力及び出力を保全する。
その上で,対象事件,対象者,情報の種類,送信先,閲覧可能者,保存先,期間及び外部公開の有無を確認する。

2 最初に記録する事項

事故記録票には,①発見日時,②発見者,③サービス・モデル・プラン・アカウント,④入力及び出力の概要,⑤対象事件・依頼者,⑥情報区分,⑦送信先・閲覧者・保存先,⑧再委託先又は外部コネクタ,⑨ログ及び証拠の保存先,⑩停止措置,⑪影響範囲,⑫連絡又は報告の要否,⑬意思決定者,⑭暫定措置並びに⑮原因及び再発防止を記録する。

3 連絡及び報告

依頼者,裁判所,相手方,個人情報保護委員会,弁護士会,保険会社,サービス提供者その他への連絡又は報告の要否を,事故の種類及び影響に応じて個別に判断する。
個人情報保護委員会への報告及び本人通知が必要となる場合があるが,生成AIへ入力したという事実だけで全て同じ結論になるものではない。

4 再発防止

個人の注意不足だけで終わらせず,許可サービス台帳,情報区分,画面設計,権限,研修,承認位置,ログ及び委託先管理のどこで防げたかを確認する。
同じ型の事故又はヒヤリ・ハットが繰り返された場合は,注意喚起から機能停止,権限制限又は承認必須化へ対策を一段強める。

第11 研修・点検・更新

導入時研修だけでなく,実際の誤入力,架空判例,誤送信,権限外検索及び背景AIの事例を用いた短い反復研修を行う。
台帳の最終確認日,研修日,参加者,点検結果,例外承認及び事故後の改定を記録する。

少なくとも,モデル・プラン・規約・再委託先・コネクタ・OS機能の変更時,事故又はヒヤリ・ハットの発生時,取扱業務の変更時及び定期点検時にガイドラインを見直す。
文書の版番号,改定日,改定者及び改定理由を残す。

第12 普通の法律事務所向けの優先順位

項目数が多いため,最初から完成版を作ろうとせず,取り扱う情報及びAIに与える権限に応じて三段階で整備するのが現実的である。

1 第1順位-利用開始前に必ず決める4項目

最初は,次の4項目を一枚にまとめればよい。

①利用してよいサービス,プラン,アカウント及び利用者を指定し,指定外サービスは使用しない。
②当面は公開情報だけを入力対象とし,依頼者・相手方・事件の秘密情報は,サービスごとの契約及び設定を確認するまで入力しない。
③法令,裁判例,期限,氏名,金額,引用及びURLは,AIの回答ではなく元資料で確認する。
④送信,提出,公開,削除及び期限確定は人が最終確認し,誤入力等が判明した場合の連絡先と利用停止手順を決める。

この4項目を決められない場合は,生成AIを公開情報の整理及び文章案の作成に限定するか,業務利用を開始しない。

2 第2順位-利用開始直後に整える事項

次に,許可サービスごとに,①サービス名,②プラン・アカウント,③利用者,④入力できる情報,⑤許可業務,⑥学習利用・保存・削除の概要,⑦確認者及び⑧最終確認日を一行で記録する簡易台帳を作る。

あわせて,架空判例,誤った期限,秘密情報の誤入力及び誤送信の例を用いた短い研修を行い,確定した書面,期限及び連絡内容はAIの会話履歴ではなく事件記録へ保存する。

3 第3順位-秘密情報・外部連携等の高度利用前に確認する事項

秘密情報の入力,電子メール・クラウド・事件管理システムとの接続又はAIエージェントによる外部操作を始める前に,人的アクセス,再委託先,処理国・保存国,保存期間,削除,事故通知,操作ログ,権限範囲及び人の承認位置まで確認する。

OS,ブラウザ,OCR,翻訳及び議事録作成等の背景で動くAIの棚卸し並びに規約・機能変更時の再点検も,この段階で具体化する。

4 優先順位の意味

この順位は,法令上の義務の軽重を示すものではなく,導入作業の順序を示すものである。現在の利用方法に関係する守秘義務,個人情報保護,事務職員の監督その他の義務を後回しにしてよいという意味ではない。

第2順位又は第3順位の危険を伴う利用を既にしている場合は,その段階の対策も直ちに必要となる。事務所の規模よりも,入力する情報の機密性,接続範囲及びAIに与える操作権限に応じて優先順位を繰り上げる。

第13 判例及び一次資料の確認状況

令和8年9月15日,判例秘書の全文検索欄に「生成AI」と入力した限定検索では6件が表示された。
事件IDは,L08032483,L08051123,L07920481,L07920359,L07920309及びL07930117である。

このうちL08032483,L08051123,L07920481,L07920359及びL07920309は全文を確認した。
確認できた範囲では,オンライン講座の解除,ウェブ記事の差止め・プライバシー又は当事者の主張における生成AI利用等に関するものであり,法律事務所の生成AI利用ガイドラインの内容を直接判示したものではなかった。
L07930117は一覧及び事件ヘッダーまでの確認にとどまり,本文の根拠として用いていない。

この検索は,「生成AI」という語を全文欄で検索した限定検索であり,AI,人工知能,大規模言語モデル,ChatGPTその他の語を含む網羅検索ではない。
したがって,本記事の各運用項目は,生成AIガイドラインについて直接判示した裁判例に基づく法的結論ではなく,法令・会規を前提に行政資料及び実務上の危険を参照して構成した提案である。

第14 関連記事

①弁護士情報セキュリティ規程とは―全7条の内容,基本的な取扱方法及び漏えい等事故の対応(AI作成)
②事務職員の生成AI利用と弁護士職務基本規程19条-ルールを定めず個人判断に委ねている事務所が最多という調査結果を踏まえて(AI作成)
③法律事務所のAIポリシーに関する日米調査-米国9パーセント・日本10.1パーセントを単純比較できない理由(AI作成)
④山中弁護士がAI作成又はAIリライトの記事を投稿するときに行っているハルシネーション防止方法(AI作成)
⑤法律事務所のAI・事件管理システム連携-問い合わせ,LINE,メール,FAX,期限及び書類をどうつなぐか(AI作成)
⑥法律事務所がAIエージェントに専用PCを与えるときの安全設計-全権委任,承認疲れ,最小権限及び敬語の限界(AI作成)

⑦AI・データ事業を止めない法務設計-データフロー,横断法令,代替案及び行政相談
⑧生成AIサービスの値上げ・提供終了・モデル廃止に備える契約と運用-規約の変更条項,終了時のデータ,移行計画及び中継サービス(AI作成)

第15 出典・参考資料1 法令・会規

①弁護士法(e-Gov法令検索)23条
②個人情報の保護に関する法律(e-Gov法令検索)
③弁護士職務基本規程(日本弁護士連合会)19条・23条
④弁護士情報セキュリティ規程(日本弁護士連合会)

2 行政機関・地方公共団体の資料

①郡山市「生成AI活用ガイドライン(第6版)」掲載ページ及び同PDF(令和8年1月23日)
②デジタル庁「行政の進化と革新のための生成AIの調達・利活用に係るガイドライン」掲載ページ及び第2.0版PDF(令和8年6月12日)
③総務省「自治体におけるAI活用・導入ガイドブック」掲載ページ,導入手順編第4版PDF,概要版,生成AI利用ガイドラインひな形及び生成AIリスク発生時の報告書
④個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」
⑤文化庁「AIと著作権」

刑事手続のデジタル化とは―令和7年法律第39号の施行日,電子令状,オンライン証拠開示及びLinKage(AI作成)

目次

第1 この記事の結論第2 改正法の三つの柱1 書類・証拠・令状の電子化2 ビデオリンク方式の拡大3 情報通信技術の進展に伴う犯罪への対応第3 施行時期を三段階で確認する1 令和7年6月12日に施行された規定2 令和8年5月21日に施行された規定3 令和9年3月31日までの政令日第4 電子令状と電磁的記録提供命令1 電子令状2 電磁的記録提供命令第5 オンライン証拠開示は一律ではない第6 個別事件への適用を決める事項第7 裁判所システムの公表名称と位置付け第8 弁護士事務所の準備1 事件ごとの入口を固定する2 送信と期限の証拠を残す3 証拠データの権限を絞る第9 公開資料で確認できることと確認できないこと第10 関連記事第11 出典
第1 この記事の結論

刑事手続のデジタル化を定める「情報通信技術の進展等に対応するための刑事訴訟法等の一部を改正する法律」(令和7年法律第39号)は,令和7年5月16日に成立し,同月23日に公布された。
同法は一度に全面施行されるのではなく,規定ごとに段階的に施行される。

令和8年9月15日現在,情報通信技術の進展等に伴う犯罪への対応に関する一部規定は令和7年6月12日に,電磁的記録提供命令,ビデオリンク方式による証人尋問及び特定電子移転財産権の没収等に関する一部規定は令和8年5月21日に施行されている。
書類の電子化,電子令状,オンラインによる書類・証拠の授受その他の主要規定は,令和9年3月31日までの間において政令で定める日に施行される。

もっとも,法令上の施行日と,個別事件で電子的な方法を利用できる日とは同じとは限らない。
経過措置,事件の係属時期,電子公訴提起の有無,対象地域・事件及び最高裁判所の指定等を確認する必要がある。

第2 改正法の三つの柱
1 書類・証拠・令状の電子化

第一の柱は,刑事手続で取り扱う書類を電磁的記録として作成・管理・発受するための規定である。
裁判所,検察官,司法警察職員及び弁護人等の間の申立て・通知・送達,令状の請求・発付・執行並びに証拠の閲覧・謄写等を電子的に行う法的基盤が整備される。

2 ビデオリンク方式の拡大

第二の柱は,勾留質問,弁解録取,裁判所の手続への出頭・出席及び証人尋問等について,映像と音声を相互に送受信する方法の利用範囲を広げることである。
遠隔化は移動負担を減らし得る一方,被疑者・被告人と弁護人の秘密交通,供述状況の把握及び防御権の実質的保障を損なわない運用が必要である。

3 情報通信技術の進展に伴う犯罪への対応

第三の柱は,電磁的記録による文書の信頼を害する行為に対する罰則,電子計算機損壊等公務執行妨害罪,暗号資産等に関する没収・没収保全及び通信傍受の対象犯罪の追加等である。
この部分は裁判手続のオンライン化と目的が異なるため,施行時期も分けて確認しなければならない。

第3 施行時期を三段階で確認する
1 令和7年6月12日に施行された規定

令和7年版犯罪白書は,情報通信技術の進展等に伴う犯罪事象へ対応する規定のうち,特定電子移転財産権の没収等を除く部分が令和7年6月12日に施行されたと整理している。

2 令和8年5月21日に施行された規定

電磁的記録を提供させる強制処分,ビデオリンク方式による証人尋問及び特定電子移転財産権の没収・没収保全等に関する規定は,令和8年5月21日に施行された。
この施行に対応する刑事訴訟規則等の改正も,最高裁判所の規則として公表されている。

3 令和9年3月31日までの政令日

書類の電子化,電子令状,電子的な申立て・通知・送達及び証拠のオンライン授受等の主要規定は,令和9年3月31日までの間において政令で定める日に施行される。
「令和8年度末までに全面運用」とだけ書くと,すべての事件・地域・システムが同日に一斉移行するように読まれかねないため,法令上の施行と実際の利用範囲を分けて説明する必要がある。

第4 電子令状と電磁的記録提供命令
1 電子令状

主要規定の施行後は,逮捕状,捜索差押許可状その他の令状を電磁的記録として請求・発付・執行するための規定が用いられる。

(続きを読む...)刑事手続のデジタル化とは―令和7年法律第39号の施行日,電子令状,オンライン証拠開示及びLinKage(AI作成)

Windowsの基本操作とサポート期限―画面,印刷,32bit・64bit及びESU(AI作成)

目次第1 操作方法はOS・アプリ・機器を分けて確認する第2 画面表示とスクリーンショット1 拡大率と解像度を区別する2 画面の切取りは証拠の全部ではない第3 印刷・PDF・ファイルの場所第4 32bit・64bitとドライバー第5 Windows 10の終了とESU1 通常サポートの終了と追加のセキュリティ更新2 事務所の業務用パソコンは商用条件を確認する3 移行計画はアプリと周辺機器を含める第6 関連記事と出典
第1 操作方法はOS・アプリ・機器を分けて確認する

Windowsのトラブルを調べる際は,Windowsの版,アプリの版,接続機器の型番を確認する。
同じ名前の機能でも,Windows 10とWindows 11,デスクトップアプリとウェブアプリでは画面や機能が異なる場合がある。
本記事は基本的な切分けとサポート期限の確認方法を扱い,具体的な変更は事務所の管理ルールに従うことを前提とする。

第2 画面表示とスクリーンショット
1 拡大率と解像度を区別する

文字が小さい場合,画面の解像度を下げる方法と,表示の拡大率を変える方法は同じではない。
複数ディスプレイでは,配置,主画面,拡大率をそれぞれ確認する。
WindowsキーとPキーによる投影設定では,複製と拡張の違いに注意する。
具体的な接続方法はディスプレイの接続・拡張・画面共有で説明する。

2 画面の切取りは証拠の全部ではない

Windowsキー・Shiftキー・Sキーによる切取り等は,画面を記録する手段である。
操作結果がクリップボードにあるだけなのか,ファイルとして保存されているのかを確認する。
画面外の文脈,URL,取得日時,元のファイルは,切取り画像とは別に残す。

第3 印刷・PDF・ファイルの場所

印刷時は,出力先,部数,片面・両面,ページ範囲,用紙サイズ及び拡大縮小を確認する。
別の事件のプリンター出力を取り違えないよう,実際の出力物まで確認する。
PDFプリンターを選んだ場合は,保存画面と保存先を確認し,紙が出ないことだけを障害と判断しない。

ファイルが見つからない場合は,アプリの最近使った項目だけでなく,実際の保存場所と拡張子を確認する。
デスクトップやドキュメントがクラウド同期の対象であることもある。
同名ファイルについては,更新日時だけでなく内容と版を確かめる。

第4 32bit・64bitとドライバー

OS,アプリ及びドライバーのbit数は別の確認事項である。
64bit Windows上で32bitアプリが動く場合でも,連携部品の互換性まで保証されるわけではない。
特にスキャナーは,アプリが要求するTWAIN等の方式とbit数を確認する。

また,64bitという表現だけでは,x64とARM64等のCPU構成の違いまで説明できない。
古い周辺機器を新しいパソコンへ移す際は,OS名だけでなく,機器メーカーの現行動作環境を確認する。
詳細は裁判書類のPDF化とスキャナー設定を参照されたい。

第5 Windows 10の終了とESU
1 通常サポートの終了と追加のセキュリティ更新

Windows 10の通常サポートは令和7年(2025年)10月14日に終了した。
Microsoftが令和8年(2026年)9月15日時点で公表するコンシューマー向けESUの終了日は,令和9年(2027年)10月12日である(出典①)。
以前の案内で示された期限と混同せず,契約・対象機器に対応する現行案内を確認する。

ESUは,対象となる重要なセキュリティ更新を提供する制度であり,通常サポート全体の延長ではない。
新機能,一般的な修正,技術サポートまで受けられるという意味ではない。

2 事務所の業務用パソコンは商用条件を確認する

Microsoftは,コンシューマー向けESUを商用シナリオでは使用できないと案内している。
個人事務所であることや,Windows Homeを使用していることだけで,個人向け条件を満たすと判断しない。
組織での利用については,商用ESUの案内及び販売元に確認する。

対象OS・版,更新適用,登録状態を確認し,登録できたという画面だけで利用条件の検討を終えない。
本記事は,いずれのESU契約の購入や利用資格も保証するものではない。

3 移行計画はアプリと周辺機器を含める

① 利用OS,機器,業務アプリ及び担当者を一覧にする。
② Windows 11への移行要件とメーカーの対応を確認する。
③ データ・設定・回復情報を保全する。
④ 少量の実データに代わるテスト資料で動作を確認する。
⑤ 移行日と旧機器の利用終了日を決める。

ウイルス対策ソフトを入れていても,OSやアプリのサポート終了が解消されるわけではない。
複数の対策製品の併用可否は構成によるため,一律に追加又は削除せず,製品の案内を確認する。

第6 関連記事と出典

弁護士情報セキュリティ規程及びIT関係のメモ書きも参照されたい。

① Microsoft「Windows 10コンシューマー向け拡張セキュリティ更新(ESU)」
https://www.microsoft.com/ja-jp/windows/extended-security-updates

② PFU「PaperStream IP 動作環境」
https://www.pfu.ricoh.com/fi/software/paperstream-ip/environment.html

③ Microsoft「Windowsのキーボードショートカット」
https://support.microsoft.com/ja-jp/accessibility/windows/keyboard-shortcuts-in-windows

Wi-Fiの規格・周波数・SSID・暗号化方式―つながらない場合の確認順序(AI作成)

目次第1 Wi-Fiで確認する四つの項目第2 規格と周波数帯1 世代名と通信規格2 2.4GHz・5GHz・6GHz第3 SSIDと安全な認証・暗号化1 SSIDはネットワーク名である2 WEP・WPA・WPA2・WPA3第4 障害を切り分ける手順第5 中継機・メッシュ・ホームルーター第6 関連記事と出典
第1 Wi-Fiで確認する四つの項目

Wi-Fiを選び,又は接続障害を調べる際には,①規格,②周波数帯,③SSID,④認証・暗号化方式を区別する。
新しいルーターに替えるだけで,回線や設置環境の問題まで解消するわけではない。
本記事では,事務所内の無線接続を安全に確認するための基礎を整理する。

第2 規格と周波数帯
1 世代名と通信規格

Wi-Fiの世代名とIEEEの規格名は,例えばWi-Fi 4がIEEE 802.11n,Wi-Fi 5が802.11ac,Wi-Fi 6が802.11ax,Wi-Fi 7が802.11beという対応である。
Wi-Fi 6Eは6GHz帯の利用に対応したWi-Fi 6を示す呼称である。
世代名は,実際の通信速度や,すべての端末で使える機能を保証するものではない。

ルーター,パソコン,スマートフォンの対応規格が異なる場合には,共通して利用できる条件で接続する。
「Wi-Fi 7対応」という表示だけで判断せず,対応帯域・端末・設置国の条件を製品仕様で確認する。

2 2.4GHz・5GHz・6GHz

2.4GHz帯は障害物越しの接続に有利な場合がある一方,他の機器の電波と干渉することがある。
5GHz帯や6GHz帯は,対応端末や距離・壁等の条件を確認して使う。
電波が弱いときは,まず機器を近付け,利用可能な別の周波数帯で比較する。

5GHz帯のWi-Fiと,携帯電話の第5世代通信である5Gは別の意味である。
規格上の最大速度,無線区間の接続速度,インターネットへの実効速度も同じ数値ではない。

第3 SSIDと安全な認証・暗号化
1 SSIDはネットワーク名である

SSIDは,接続先の無線ネットワークを識別する名称である。
同名のネットワークを他人が設けることもできるため,名前が見慣れたものという理由だけで信用してはならない。
接続用パスワードと,ルーターの管理画面へ入るためのパスワードも分けて管理する。

SSID非表示やMACアドレスによる接続制限だけを,十分な認証・暗号化の代わりにしない。
来客用ネットワークを設ける場合には,事務所のNAS・プリンター等へアクセスできるかどうかも確認する。

2 WEP・WPA・WPA2・WPA3

WEPや古いWPA・TKIPを,新規の業務用設定の標準にすべきではない。
対応機器ではWPA3を検討し,既存機器との互換性からWPA2を使う場合はAES系の設定を確認する(出典②)。
混在モードで古い機器を接続できても,最新方式だけで接続していることにはならない。

ルーターのファームウェア更新,管理パスワード,サポート期間も重要である。
つながらないことだけを理由に,暗号化を解除して公開ネットワークにするべきではない。

第4 障害を切り分ける手順

① 正しいSSIDか,Wi-Fiが有効か,機内モードでないかを確認する。
② ルーターの近くで接続し,別端末でも同じ現象か比較する。
③ 対応する周波数帯・暗号化方式・保存済みパスワードを確認する。
④ Wi-Fi接続後にインターネットだけ使えない場合は,回線側の障害を確認する。
⑤ 公衆Wi-Fiでは利用条件への同意画面や利用時間制限を確認する。
⑥ 一つずつ変更し,結果を記録する。初期化は復旧手段を確保してから判断する。

NASが見えない場合は,インターネット障害とは別に,ゲストネットワークや端末間通信の分離設定を確認する。
オンライン会議中だけ不安定になる場合は,上り通信,接続台数,電波環境を調べ,有線LANや別回線との比較を行う。

第5 中継機・メッシュ・ホームルーター

中継機やメッシュは,電波の届く範囲や機器間の接続を改善する選択肢である。
しかし,回線契約自体の障害や混雑を解消するものではない。
EasyMesh等の対応表記があっても,製品・ファームウェア・組合せによる条件を確認する。

携帯電話網を使うホームルーターは,宅内のWi-Fi区間と,基地局までのモバイル通信区間がある。
パソコンのWi-Fi表示が良好でも,モバイル通信側で速度低下が起こることがある。
導入前には実際の利用場所・時間帯で必要な上り通信やオンライン会議を確認する。

第6 関連記事と出典

インターネット接続の基礎は回線側を,テザリングとMACアドレスは外出先の接続と端末識別を扱う。
弁護士情報セキュリティ規程も参照されたい。

① バッファロー「Wi-Fi 6とは?」(世代・端末対応等の説明。掲載時の「最新」という表現を現在の最新世代の意味では用いない。)
https://www.buffalo.jp/contents/topics/knowledge/wi-fi6/

② バッファロー「Wi-Fiの安全を守るセキュリティー」
https://www.buffalo.jp/topics/select/detail/wifi-security.html

③ 総務省「令和6年版 情報通信白書」(Wi-Fi 7の制度整備)
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r06/html/nd223410.html

ウェブ上のリンク・YouTube・X埋込みと著作権―リツイート最高裁判決を含む(AI作成)

目次第1 リンク・埋込み・転載を分けて検討する第2 操作と権利の対応第3 YouTube・Xの公式埋込み機能1 現在のXの表示を確認する方法第4 リツイート最高裁判決1 事案と多数意見2 補足意見・反対意見との区別3 判決を一般化しすぎない4 大阪地裁平成25年6月20日判決との違い第5 スクリーンショットと引用第6 公開前の確認と関連記事第7 出典
第1 リンク・埋込み・転載を分けて検討する

ウェブ記事に他人の資料を紹介する際は,URLへの通常のリンク,公式プレーヤー等による埋込み,画像や文章を自分のサーバーへ保存して公開する転載を区別する必要がある。
技術的な操作が異なる以上,著作権法上の評価も同じとは限らない。
本記事は,日本法上の基本的な区別と,最高裁令和2年7月21日第三小法廷判決の射程を説明する。

第2 操作と権利の対応

操作
主な確認事項

文字の通常リンク
リンク先,紹介文,違法な利用への関与の有無

公式機能による埋込み
投稿元の権限,サービス条件,画面上の表示態様

画像を保存して再掲載
複製・公衆送信についての許諾又は権利制限

スクリーンショットの掲載
写り込んだ著作物,引用の要件,氏名・プライバシー

著作権法21条は複製権を,23条は公衆送信権等を定める。
単にリンクであるという呼称だけで,何も複製していない,又はいかなる責任も生じないと判断してはならない。
画像の保存場所,表示の仕組み及び自分が行った操作を確認することが出発点となる。

第3 YouTube・Xの公式埋込み機能

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登記情報提供サービスの使い方―地番検索,家屋番号,当日明細及びPDF保存(AI作成)

目次第1 登記事項証明書との違い第2 住所・地番・家屋番号第3 不動産を指定して請求する第4 PDFの表示・保存と再請求1 取得期限までに実ファイルを保存する2 再請求は新たな課金になり得る第5 当日明細・日付別明細と費用整理第6 関連記事と出典
第1 登記事項証明書との違い

登記情報提供サービスは,登記所の保有する登記情報を,インターネット経由で確認する有料サービスである。
情報はPDFで提供されるが,登記事項証明書と異なり,証明文や公印等は付されない(出典①)。
提出先が登記事項証明書を求めている場合に,取得したPDFを当然にその代わりにできるわけではない。

照会番号を利用できる手続もあるが,対応の有無を提出先へ確認する必要がある。
本記事は不動産の特定からPDF保存・利用明細確認までを扱い,所有権や担保権の法律上の判断そのものを説明する記事ではない。

第2 住所・地番・家屋番号

住居表示としての住所と,土地の地番,建物の家屋番号は異なる。
マンションの部屋番号も,家屋番号と常に一致するわけではない。
住所をそのまま入力して情報が出ないことをもって,登記がないと結論付けない。

① 固定資産税関係資料,契約書,既存の登記資料等を確認する。
② 土地は所在・地番,建物は所在・家屋番号を特定する。
③ 地番検索や土地からの建物検索等を補助的に用いる。
④ 表示された物件が目的の物件か,図面や既存資料と照合する。

地番検索の地図は物件の絞込みに役立つが,境界や権利関係を確定する資料として単独で扱うべきではない。
同じ敷地の別棟,附属建物,区分建物の取り違えに注意する。

第3 不動産を指定して請求する

公式操作案内では,不動産請求に「所在指定」「不動産番号指定」「土地からの建物検索指定」が設けられている(出典②)。
目的に合う方法を選び,全部事項・所有者事項・地図・図面等の請求内容を確認する。
共同担保目録や信託目録の選択も,調査目的に照らして確認する。

所在地の選択が似ていても,登記上の所在が別である場合がある。
検索結果がない場合は,入力条件,コンピュータ化前の記録,閉鎖記録,サービス対象外の情報等を切り分ける。
制度上の取得範囲は不動産登記のコンピュータ化に関する記事を参照されたい。

請求ボタンを押すことは,単なる検索条件の保存と同じではない。
料金が発生する確認画面で,対象物件と請求内容を再確認する。

第4 PDFの表示・保存と再請求
1 取得期限までに実ファイルを保存する

マイページの「請求済」表示と,パソコンへの保存完了は別である。
令和8年(2026年)9月15日に確認した公式案内では,取得日及びその翌通常業務日から3通常業務日の間に表示・保存を行うこととされている(出典③)。
一覧に履歴が残る期間と,PDFを取得できる期間を混同しない。

保存後は,ファイルを開き,物件,取得日,請求した事項及びページの欠落がないことを確認する。
ファイル名には,物件を識別できる情報と取得日を付けると整理しやすい。
保存先は,事件ごとのアクセス制限された場所とする。

2 再請求は新たな課金になり得る

既に取得した情報の表示・保存と,最新情報の再請求は異なる。
公式案内は,再請求すると新しい情報を取得し,課金されることを説明している(出典③)。
過去のPDFが必要なだけなのか,現在の内容を改めて取得する必要があるのかを判断する。

第5 当日明細・日付別明細と費用整理

登録利用のマイページには,月別・当日・日付別の明細を確認する機能がある(出典③)。
PDFの保存と同時に,どの事件のために,何を,いつ取得したかを記録する。
一覧に出た履歴がすべて課金済みとは限らないため,ステータスと金額を確認する。

利用者と管理者の画面,一時利用と登録利用の画面は同じではない。
依頼者への実費精算では,資料取得の必要性,金額及び重複請求がないかを照合する。
サービスの明細が,あらゆる税務上の証憑要件を当然に満たすとまではいえない。

第6 関連記事と出典

裁判書類のPDF化とスキャナー設定,サーバー・NAS・クラウドストレージ・DNS及びIT関係のメモ書きも参照されたい。

① 登記情報提供サービス「登記情報提供サービスとは」
https://www1.touki.or.jp/service/

② 同「不動産登記情報請求・登録利用」
https://www1.touki.or.jp/operate/registered-use/real-estate-info/

③ 同「マイページ・登録利用」
https://www1.touki.or.jp/operate/registered-use/mypage/

Thunderbirdの設定・バックアップ・メール移行―POP・IMAP・プロファイルの実務(AI作成)

目次第1 移行前に保存場所を確認する第2 アカウント設定の確認1 POP・IMAPと送信サーバー2 ローカルフォルダーを見落とさない第3 プロファイルのバックアップ1 プロファイルとは2 エクスポートの容量制限第4 新端末への移行手順1 切替の検収は「受信できた」だけで終えない第5 不調・破損が疑われる場合第6 関連記事と出典
第1 移行前に保存場所を確認する

Thunderbirdの引越しでは,ソフトをインストールし直す作業と,メール・設定を移す作業を区別する。
とりわけ,POPで取得したメールやローカルフォルダーは,旧端末だけに残っていることがある。
新端末で受信できたことだけで,過去のメールも移行できたと判断してはならない。

第2 アカウント設定の確認
1 POP・IMAPと送信サーバー

アカウントごとに,受信方式,サーバー名,ユーザー名,ポート,接続の保護,認証方式を記録する。
送信サーバーも別に確認し,複数アカウントでは差出人と送信サーバーの対応を点検する。
設定の記録を共有する際には,パスワード・認証情報を含めない。

IMAPはサーバーとの同期であり,削除も反映され得る。
「このコンピューターにメッセージを保存する」等の同期設定を確認し,必要なフォルダーの本文・添付ファイルが取得済みか点検する(出典①)。

2 ローカルフォルダーを見落とさない

ローカルフォルダーは,通常,特定のメールサーバーとの同期対象ではない。
過去の事件メールをここへ移している場合は,サーバーに再接続しても戻らない可能性がある。
受信トレイだけでなく,送信済み,アーカイブ,下書き,フィルター,アドレス帳も対象とする。

第3 プロファイルのバックアップ
1 プロファイルとは

プロファイルは,Thunderbirdの利用データ・設定をまとめて保持する領域である。
プログラム本体のインストール先とは異なる。
公式ヘルプに従って使用中のプロファイルを開き,フォルダー名だけで推測せず,実際の保存先を確認する(出典②)。

手作業で複製する場合は,Thunderbirdを終了してから行う。
別の場所に保存先を変更しているメール等があれば,標準のプロファイルだけのコピーで足りるかを確認する。
作業中のプロファイルを複数端末で同時に書き換える運用は避ける。

2 エクスポートの容量制限

公式のエクスポートツールは,アカウント情報・メッセージ・アドレス帳・設定をZIP形式で保存する。
令和8年9月15日確認の公式ヘルプでは,バックアップファイルの対応サイズは2GBまでとされている(出典③)。
大きなプロファイルでは,公式の手動バックアップ手順を用いる。

バックアップが作成されたことと,必要なメールを復元できることは別である。
別の保管媒体を用意し,アクセス制限を設定した上で,代表的な古いメールと添付ファイルの復元を試す。

第4 新端末への移行手順

① 旧端末でアカウント・フォルダー・ローカル保存先・容量を記録する。
② 同期が必要なメールを取得し,Thunderbird終了後にバックアップする。
③ 新端末へ対応するThunderbirdを導入し,公式のインポート又はプロファイル復元手順を使う。
④ 既に新端末で使っているプロファイルがある場合は,その内容も別に保全する。
⑤ 受信・送信,差出人,送信済みの保存先,過去メール,添付ファイルを確認する。
⑥ 移行の確認が終わるまで,旧端末・元バックアップを消去しない。

POPからIMAPへの変更は,単なるソフトの引越しとは別である。
大量のローカルメールをIMAPへコピーすると,サーバーへのアップロードや容量増加が生じるため,少量で試してから進める。
移動とコピーを取り違えないことも重要である。

1 切替の検収は「受信できた」だけで終えない

以下は検収方法の提案であり,特定の事務所で復元・送受信試験を実施したという結果ではない。
まず現用プロファイルを保全し,保全コピーから別プロファイル等へ復元して,通信を伴わない確認を行う。
復元したアカウントがサーバーへ接続すると同期や送信等が発生し得るため,オフラインでの確認と,承認を得た送受信試験を分ける。

確認項目
合格条件の例

保存メール

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スマートフォンのテザリングとMACアドレス―接続設定,端末識別及びトラブル対応(AI作成)

目次第1 テザリングを予備回線として使う第2 Wi-Fi・USB・Bluetoothの使い分け第3 安全に接続する順序第4 MACアドレスは何を示すか第5 MAC制限と接続トラブル第6 関連記事と出典
第1 テザリングを予備回線として使う

テザリングは,スマートフォン等の通信接続を,パソコンやタブレット等と共有する機能である。
事務所回線の障害や外出先で役立つが,通信契約,端末の電池,電波及び情報管理の条件を確認する必要がある。
元記事にあった特定の旧機種の設定例は,現在のすべての機種に共通する手順ではない。

第2 Wi-Fi・USB・Bluetoothの使い分け

方式
確認する点

Wi-Fi
アクセスポイント名,パスワード,周波数,接続台数

USB
データ通信対応ケーブル,OS・端末の対応,接続許可

Bluetooth
ペアリングする相手,対応機能,通信速度

Apple及びGoogleは,対応端末でこれらの方式による共有を案内しているが,機種・OSによる制限がある(出典①・②)。
Wi-Fi接続が成立しても,携帯回線側に通信制限や障害があればインターネットには接続できない。
接続台数や追加料金は通信事業者の契約条件も確認する。

第3 安全に接続する順序

① スマートフォン単体でインターネットにつながるかを確認する。
② 契約上テザリングが利用できるか,容量制限がないかを確認する。
③ 共有機能を有効にし,接続先名と十分な強さのパスワードを確認する。
④ 接続する端末で目的のアクセスポイントを選ぶ。
⑤ 通信できることを確認し,不要になったら共有を終了する。

接続先名に依頼者名や事件名を使用しない。
OSやクラウドの大容量更新が始まると通信量が急増することがあるため,予備回線で行う作業を絞る。
接続不良への対処として,安易にパスワードをなくしたり,事務所の保護設定を解除したりしない。

第4 MACアドレスは何を示すか

MACアドレスは,LAN等で通信インターフェースを識別するために使われる値である。
一般的には6組の16進数で表示されるが,これを人の本人確認情報と同視してはならない。
一つの端末でも,有線と無線で異なるインターフェースを持つことがある。

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裁判書類のPDF化とスキャナー設定―Word変換,A3・A4,TWAIN・ISIS及び提出前確認(AI作成)

目次第1 読めるPDFと提出できるPDFを区別する第2 WordからPDFへ変換する1 元のWordファイルを残す2 A3・A4と縮小を確認する第3 紙をスキャンする際の確認第4 TWAIN・ISISと32bit・64bit第5 ScanSnap Managerのサポート終了と移行第6 提出前の最終確認第7 関連記事と出典
第1 読めるPDFと提出できるPDFを区別する

裁判書類のPDF化では,原資料を欠落なく読み取ることと,提出先の形式・容量等に適合させることの両方が必要である。
本記事は,Wordからの変換,紙の読み取り,スキャナーとドライバーの選択を扱う。
mintsの提出形式・一括アップロードの制限等は,mints提出用PDFの作り方と裁判所の最新案内で確認されたい。

第2 WordからPDFへ変換する
1 元のWordファイルを残す

編集可能なWordファイルと提出用PDFは別に保管する。
変換後は,ページ数,改ページ,表,脚注,外字,画像,ページ番号を確認する。
変更履歴やコメントを表示しない設定で出力しても,元ファイルにそれらがなくなるわけではない。

保存・エクスポートによるPDF化と,印刷機能を介したPDF化では,リンクや文書構造等の保持が異なる場合がある。
目的に応じた方法を選び,最終成果物を開いて確認する。
機密資料を,契約・保存先・利用条件の確認できないオンライン変換サイトへ送信してはならない。

2 A3・A4と縮小を確認する

元資料がA3である場合,単純なA4縮小では細字や図面の数値が読めなくなることがある。
用紙サイズ,縦横,余白を確認し,提出先の指定に従う。
分割や縮小をしたときは,どの原資料のどの部分かが分かるようにする。

第3 紙をスキャンする際の確認

① ホチキスや付箋,折り込み,裏面記載を確認する。
② 両面読み取り,白紙除去,傾き補正,自動回転等の設定を確認する。
③ 薄い印影,鉛筆書き,色分けされた部分が失われない設定を選ぶ。
④ 読み取った全ページを原資料と照合する。
⑤ 保存先・事件名・証拠番号等を確認して保存する。

白紙除去は便利であるが,薄い記載のあるページまで落ちる可能性を考慮する。
OCRは検索やコピーに役立つ一方,画像の文字と認識結果が一致するとは限らない。
OCR結果だけを引用せず,金額,日付,固有名詞等を画像と照合する。

解像度を高くすれば,常に提出用PDFとして適切になるわけではない。
可読性と容量を両立させ,圧縮後にも細字・写真・印影が判読できるかを確認する。

fi-7460及びfi-7480のブレーキローラとピックローラの推奨交換周期は20万枚であり,それぞれ原稿の分離と搬送を担う(出典④)。
消耗品カウンターの警告だけから,Windows上の装置認識やTWAINソースの表示不良の原因であるとは判断できないため,給紙状態の確認とソフトウェア認識の確認を分ける。

第4 TWAIN・ISISと32bit・64bit

TWAIN及びISISは,スキャン用アプリケーションとスキャナー側のソフトウェアを連携させるために使われる仕組みである。
アプリが要求する方式と,機器が提供するドライバーが対応している必要がある。
ScanSnapと業務用fiシリーズ等では利用方法が異なるため,製品名だけで互換性を推測しない。

PFUのPaperStream IPに関するFAQは,Windowsが64bitでも,32bitアプリには32bitのTWAINドライバーを使うことを案内している(出典①)。
OSのbit数だけでドライバーを選ぶのではなく,アプリのbit数も確認する。
ARM版Windowsへの対応も製品・ドライバー・アプリごとに異なるため,現行の動作環境を確認する(出典②)。

Windowsの設定にスキャナーが表示されることと,利用するスキャンアプリが必要なドライバー経由で読み取れることは別である。
PFUのFAQも,Windowsには装置が認識されているのにスキャンアプリではスキャナーが見つからない事象を案内している(出典⑤)。
切り分けの際は,デバイスマネージャー上の認識だけでなく,スキャンアプリのソース選択画面に利用予定のPaperStream IP(TWAIN)が表示されるかを確認する。WIAのソースだけが表示される場合,必要なTWAINソースまで使用可能であるとは限らない。

fi-7460及びfi-7480のWindows 11向け公式ダウンロードページでは,令和8年9月16日現在,PaperStream IP(TWAIN)3.40.2が掲載されている。
同ページも,OSが64bitであっても,32bitアプリを使用する場合はPaperStream IP(TWAIN)を使用するよう案内している(出典⑥)。

第5 ScanSnap Managerのサポート終了と移行

PFUのScanSnapサイトの公式案内によれば,ScanSnap Managerの提供及びサポートは令和6年(2024年)11月7日に終了した(出典③)。
ただし,fiシリーズで利用される「ScanSnap Manager for fi Series」は,同じ扱いと決め付けず,別途,機種・OS・版の対応を確認する必要がある。PFUの現行Windows対応表では,同ソフトウェアはレガシーアプリケーションとして掲げられ,fi-7460及びfi-7480は対応機種に含まれ,Windows 11の最小対応版は1.0.14とされている(出典⑦)。
この終了及びScanSnap Homeへの移行案内を,そのままfiシリーズに適用してはならない。
古い操作記事に掲載された画面だけを頼りにせず,機種が現行ソフトウェアに対応するかを確認する。
更新前には,読み取り設定,保存先,命名規則,連携アプリを控えておく。

移行後は,少量のテスト資料で両面,白紙除去,OCR,ファイル名,保存場所を確認する。
旧設定を消した後に不足が判明しないよう,必要な設定と原資料を残して検証する。
PFUの対応表はレガシーアプリケーションのダウンロードサービス終了も注記しているため,再インストールを始める前に,必要なインストーラーを確保できるかも確認する。

第6 提出前の最終確認

PDFを作成したことと,裁判所への提出が完了したことは別である。
ファイル選択,送信処理,受付・提出済み表示を区別して確認する。
提出後に訂正が必要となった場合は,元の提出物を取り違えないよう,版と提出日時を記録する。

証拠保全用のデータは,加工・圧縮した提出用コピーと分ける。
黒塗りは見た目だけでなく,PDFのマスキングで扱う文字情報等の除去も確認する。

第7 関連記事と出典

電子証拠の原本保全とハッシュ値,Windowsの基本操作とサポート期限,IT関係のメモ書きも参照されたい。

① PFU「Is there the PaperStream IP for 64-bit Windows?」
https://fi-faq.pfu.ricoh.com/hc/en-us/articles/13322763972121-Is-there-the-PaperStream-IP-for-64-bit-Windows

② PFU「PaperStream IP 動作環境」
https://www.pfu.ricoh.com/fi/software/paperstream-ip/environment.html

③ PFU「ScanSnap Manager」
https://www.pfu.ricoh.com/scansnap/feature/ss-manager.html

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Zoom・Teams・リモートデスクトップを弁護士業務で使う際の設定と注意点(AI作成)

目次第1 会議参加・画面共有・遠隔操作は別である第2 Zoomの時間制限と会議前の準備第3 Teamsのアカウントと参加経路第4 共有前に閉じるもの・確認するもの第5 リモートデスクトップと遠隔サポート第6 関連記事と出典
第1 会議参加・画面共有・遠隔操作は別である

ウェブ会議に参加すること,資料を画面共有すること,別のパソコンを遠隔操作することでは,相手に見せる情報と与える権限が異なる。
法律事務所では,操作の便利さと守秘上の制約を一緒に確認する必要がある。
本記事は機器・アプリの準備を扱い,裁判手続上の実施要件や録音録画の取扱いは裁判所の指示と関係法令に従う。

第2 Zoomの時間制限と会議前の準備

Zoomの現行サポート案内では,ベーシックの無料ライセンスが主催する通常の会議は,1対1を含め原則40分の制限がある(出典①)。
古い「1対1なら無制限」という説明を現在の標準条件として用いるべきではない。
有料アカウントに所属していても,主催者へどのライセンスが割り当てられているかを確認する。

① 主催者と参加者を確認し,会議URLを必要な相手にだけ伝える。
② 待機室,参加時認証及び画面共有権限を確認する。
③ カメラ,マイク,スピーカー,表示名をテストする。
④ 時間制限と中断時の連絡方法を確認する。
⑤ 終了後に会議・共有が停止していることを確認する。

契約プランの上限値や例外は変わり得るため,重要な会議では開催時点の公式案内を確認する。
本記事は,アカウントの購入や有料化を推奨するものではない。

第3 Teamsのアカウントと参加経路

Teamsでは,個人用アカウント,職場・学校アカウント,ゲストとしての参加を区別する。
会議によってはブラウザー等から参加できるが,主催組織の設定によってサインイン等を求められる場合がある(出典②)。
「Teamsには必ず個人用Microsoftアカウントが必要」と一律に説明するのは適切ではない。

複数のアカウントを使っている場合は,予定の組織・アカウントで入室しているかを確認する。
裁判所の招待で指定された参加方法を,一般のオンライン会議の方法へ勝手に置き換えない。
入室待機中に送ったチャットが,相手へ既に伝わったと推測しない。

第4 共有前に閉じるもの・確認するもの

共有する資料は,必要なページをあらかじめ開く。
メール通知,他事件のタブ,ファイル名,最近使用した項目,クリップボード等が見えないかを確認する。
画面全体の共有よりアプリ単位の共有が適する場面でも,そのアプリ内の別タブやウィンドウには注意が必要である。

録画,文字起こし,AIによる要約を利用する場合は,参加者への説明,必要な同意や許可,保存先,アクセス権及び保存期間を先に確認する。
裁判所での尋問等は,一般的なアプリの録画機能があることをもって自由に記録できるわけではない。
手続の解説は民事訴訟におけるウェブ尋問を参照されたい。

第5 リモートデスクトップと遠隔サポート

リモートデスクトップは,別のパソコンへ接続して操作する仕組みである。
GoogleのChromeリモートデスクトップ案内は,自分の端末へのアクセスと,他人からのサポートを受ける接続を区別している(出典③)。
サポート相手は,画面を見るだけでなく,アプリ,ファイル,メール等へアクセスできる場合がある。

① 相手が正規の担当者であることを,既知の連絡先で確認する。
② 支援範囲と見せてよい情報を確認する。
③ パスワードや回復コードを伝えない。
④ 作業中に何が行われているかを確認する。
⑤ 終了時に接続を切り,継続的なアクセス権が残っていないかを確認する。

突然表示された警告や電話の指示で遠隔操作を許可することは避ける。
不審な送金画面や認証要求が現れた場合は,作業を中断して事務所の責任者へ連絡する。

第6 関連記事と出典

ディスプレイの接続・拡張・画面共有,弁護士情報セキュリティ規程及びIT関係のメモ書きも参照されたい。

① Zoom「Zoom Meetingsの時間制限を把握する」
https://support.zoom.com/hc/ja/article?id=zm_kb&sysparm_article=KB0067979

② Microsoft「Microsoft Teamsで会議に参加する」
https://support.microsoft.com/ja-jp/teams/meetings/join-a-meeting-in-microsoft-teams

③ Google「Chromeリモートデスクトップで他のパソコンにアクセスする」
https://support.google.com/chrome/answer/1649523?hl=ja

サーバー・NAS・クラウドストレージ・DNSの違い―法律事務所のIT基礎(AI作成)

目次第1 保存場所と通信の役割を分ける第2 サーバーとNAS1 サーバーは役割を示す言葉である2 NASもファイルサービスを提供する第3 クラウドストレージと同期1 クラウドとローカルファイルは同じ状態とは限らない2 共有は必要な相手と範囲に限定する第4 DNSとウェブ・メールの障害第5 事務所で作っておく管理表第6 関連記事と出典
第1 保存場所と通信の役割を分ける

サーバー,NAS,クラウドストレージ及びDNSは,同じ種類の製品を四つ並べたものではない。
サーバーはサービスを提供する役割,NASはネットワーク経由でファイルを保存・共有する装置等,クラウドストレージは外部サービスとして提供される保存領域,DNSは名前に対応する情報を問い合わせる仕組みである。
法律事務所では,便利さだけでなく,誰がアクセスでき,誰が復旧できるかを確認して使い分ける必要がある。

第2 サーバーとNAS
1 サーバーは役割を示す言葉である

ウェブサーバーはウェブページを,メールサーバーはメールの送受信等を,ファイルサーバーはファイルの共有等を提供する。
同じ機器が複数の役割を担う場合もある。
高価な専用機器だけがサーバーなのではなく,機能・運用形態を見て区別する。

2 NASもファイルサービスを提供する

NASは,ネットワークに接続して利用するストレージであり,ファイルサーバーとしての機能を持つ。
したがって,「NASはサーバーではない」と一律に説明するのは適切ではない。
共有フォルダーの権限,管理者のアカウント,更新方法,ディスク故障時の交換手順を確認することが重要である。

複数ディスクを使うRAIDは,可用性の確保に役立つ構成であるが,独立したバックアップの代わりにはならない。
利用者による削除,ランサムウェアによる暗号化,装置全体の故障等は,別に備える必要がある。

第3 クラウドストレージと同期
1 クラウドとローカルファイルは同じ状態とは限らない

パソコン上にファイル名が見えても,中身はクラウドにあり,必要なときだけ取得する設定の場合がある。
オフラインの期日や出張先で必要な資料は,事前に端末へ保存されているかを確認する。
一方,端末にコピーすれば,その端末の紛失・盗難時の漏えい対策も必要になる。

同期は,変更を他の保存場所へ反映させる機能である。
誤削除まで反映されることがあるため,同期済みという表示だけでバックアップ済みと判断してはならない。
Googleの容量に関する案内でも,容量超過によりアップロードや同期等が停止する場合が示されている(出典②)。

2 共有は必要な相手と範囲に限定する

事件単位のフォルダーを分け,閲覧のみか編集も必要かを決める。
「リンクを知っている全員」と「指定した相手」の共有範囲を混同しない。
共同受任の終了,職員の退職,外部委託の終了時には,アクセス権とローカルコピーの取扱いを見直す。

個人用アカウントに事務所資料を集約すると,担当者の退職・死亡・認証不能が事業継続上の問題となり得る。
契約名義,管理者,回復手段,データの持出し方法を事務所として把握しておく。

第4 DNSとウェブ・メールの障害

DNSは,ドメイン名に対応するIPアドレスなどの情報を問い合わせる仕組みであり,ウェブ本文や事件ファイルの保管庫ではない(出典①)。
独自ドメインの更新失念,DNS設定の変更,ウェブサーバーの停止,メールの容量超過は別々の問題である。

① ドメインの契約先と更新期限を確認する。
② ウェブとメールの双方が止まっているかを確認する。
③ 直前に変更したDNS・メール・サーバー設定を確認する。
④ 管理担当者又は契約先に,障害発生時刻と影響範囲を伝える。

DNSの設定変更はメール配送にも影響し得る。
復旧を急ぐ場合でも,現状の記録と変更の目的を確認せずに値を置き換えない。

第5 事務所で作っておく管理表

対象
管理表に記録する事項

NAS・ファイル共有

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iPad・Chromebook・AirDropの業務利用―画面ロック,同期及びデータ共有(AI作成)

目次第1 端末の違いとデータの所在を確認する第2 iPadの画面ロックと通信第3 ChromebookとMicrosoft Office第4 AirDropで相手を確認して送る第5 同期・紛失・初期化の注意第6 関連記事と出典
第1 端末の違いとデータの所在を確認する

iPadとChromebookは,Windowsパソコンと同じ画面・機能を持つものではない。
持ち運びや閲覧に便利である一方,業務アプリの対応,保存場所,オフライン利用及び情報管理を確認する必要がある。
本記事は,外出・会議・資料共有で迷いやすい点を整理する。

第2 iPadの画面ロックと通信

画面ロックのパスコードとApple Accountのパスワードは別である。
自動ロックを設定し,通知に依頼者名や本文が表示される範囲も確認する。
短時間の離席でも,資料を開いた端末を放置しない。

Wi-FiモデルとWi-Fi+Cellularモデルでは利用できる通信経路が異なる。
電話番号の表示やSIMの有無だけで,通常の携帯電話と同じSMS認証ができると判断してはならない。
利用するサービスの認証方法と通信契約を確認し,認証用端末を失った場合の回復方法を別に用意する。

第3 ChromebookとMicrosoft Office

Chromebookでは,Microsoft 365のウェブアプリ等を利用できるが,Windows用デスクトップアプリと同じ機能がすべて利用できるという意味ではない(出典①)。
複雑な書式,マクロ,外字,電子署名関連のアプリ,スキャナーの連携等は個別に確認する。
裁判書類は,作成した端末で表示できるだけでなく,最終的なPDFの体裁も確認する。

Googleアカウントの同期が有効でも,端末上のすべてのファイルがクラウドへ保存されるわけではない。
Googleは,Chromebookの「ダウンロード」フォルダー等のローカルファイルが設定同期の対象ではないことを説明している(出典②)。
初期化や端末交換の前には,実際の保存先を調べる必要がある。

第4 AirDropで相手を確認して送る

AirDropは,対応するApple製デバイス間で写真や書類等を共有する機能である。
AppleはWi-FiとBluetoothを有効にすること等を案内し,インターネット共有との関係にも注意を促している(出典③)。
受信範囲や相手確認の画面は,OSの版・連絡先登録等で異なる。

① 送るファイルを開き,事件名・版・内容を確認する。
② 相手と対面又は既知の連絡方法で送信先の端末を確認する。
③ 共有画面の候補名だけで同一人物と断定しない。
④ 相手の受信完了とファイルの内容を確認する。
⑤ 不要な受信許可や共有範囲を残さない。

「すべての人」等の広い受信設定を常用する必要はない。
近くにいる第三者や似た端末名への誤送信に注意する。
相手が受領したことと,相手の保存先が適切に管理されていることは別の問題である。

第5 同期・紛失・初期化の注意

同期,バックアップ及び端末の遠隔消去は別の機能である。
紛失時にアカウントからログアウトさせても,端末内のコピーがすべて消えるとは限らない。
端末の暗号化,ロック,管理者による対応,保存されたファイルの範囲を事前に整理する。

初期化は,トラブル時の最初の操作ではない。
証拠や業務資料が端末にしかない可能性を確認し,保存・復元方法を確保してから行う。
業務用と私用のデータが混在する端末では,遠隔消去の対象範囲にも注意する。

第6 関連記事と出典

アカウント・パスワード・PIN・多要素認証,画像・動画の形式と位置情報,Appleアカウントの相続及びIT関係のメモ書きも参照されたい。

① Google「ChromebookでMicrosoft Officeを使用する」
https://support.google.com/chromebook/answer/2481498?hl=ja

② Google「アカウント設定を同期する」
https://support.google.com/chromebook/answer/2914794?hl=ja

③ Apple「iPhoneやiPadでAirDropを使う方法」
https://support.apple.com/ja-jp/119857

インターネット接続の基礎―回線事業者,プロバイダ,ONU,ルーター及びIPアドレス(AI作成)

目次第1 インターネット接続は役割ごとに確認する第2 回線事業者とプロバイダ1 物理的な回線とインターネット接続サービス2 電話サービスやADSLとの区別第3 ONU・ルーター・ハブの違い第4 IPアドレス・DHCP・DNS1 IPアドレスは通信上の宛先である2 DHCPは設定の配布,DNSは名前の問合せである第5 つながらないときの確認順序第6 関連記事と出典
第1 インターネット接続は役割ごとに確認する

インターネットにつながらない場合には,回線契約,接続サービス,宅内機器,端末の設定を分けて確認することが重要である。
Wi-Fiにつながることと,インターネットに到達できることは同じではない。
法律事務所では,復旧作業に加えて,裁判期日・提出期限・連絡手段への影響を先に確認する必要がある。

本記事は,光回線を中心とする基本用語と障害の切分けを扱う。
機器ごとのランプ表示や設定値は異なるため,契約書・機種名・公式マニュアルを確認して適用する。

第2 回線事業者とプロバイダ
1 物理的な回線とインターネット接続サービス

回線事業者は光ファイバーなどの通信回線を提供し,プロバイダはインターネットへの接続サービスを提供する。
両者が別契約となる場合も,一つの事業者からセットで提供される場合もある。
請求書の名義だけで契約相手を判断せず,障害連絡先,接続方式,契約ID,料金の支払状況を確認する。

回線契約の変更,プロバイダの変更,Wi-Fiルーターの交換,メールサーバーの変更は別の作業である。
事務所の独自ドメインメールが使えない場合も,回線全体が止まっているのか,メールだけの障害なのかを切り分ける。

2 電話サービスやADSLとの区別

固定電話網のIP網移行と,利用者が光回線のインターネット契約をすることは別である。
電話番号を維持するための条件や,FAX・警備装置等への影響は,電話サービスの契約先に確認する。
ADSLなど旧サービスの説明は歴史的なものを含むため,古い設定例を現在の光回線へそのまま当てはめない。

第3 ONU・ルーター・ハブの違い

用語
主な役割
確認する点

ONU
光回線の信号と宅内側の電気信号との変換
光回線側の状態,電源,機種名

ルーター
異なるネットワーク間の通信の中継
WAN側とLAN側,接続方式,管理設定

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インターネットバンキングの不正払戻し―補償要件,過失及び被害発生時の対応(AI作成)

目次第1 被害の拡大防止を先に行う第2 個人向けと法人向けを区別する第3 個人向けの補償1 個人向け4行の公表条件を比較する2 「30日」の起算点と役割を分ける第4 法人向けの補償1 法人・個人事業主向けの具体例―楽天銀行第5 残すべき記録第6 補償判断と法的請求は分けて検討する1 自ら振り込んだ被害と,回収手段を分ける第7 関連記事と出典
第1 被害の拡大防止を先に行う

身に覚えのない送金や払戻しに気付いた場合は,補償されるかどうかの検討だけで対応を遅らせず,銀行の正規窓口へ直ちに連絡する。
インターネットバンキングの停止,送金への対応,認証情報の保護等について銀行の案内を受け,警察にも相談する。
連絡先は,不審なメールやSMSのリンクではなく,銀行の公式サイト,通帳等から確認する。

本記事は,全国銀行協会の公表資料と銀行別の規定に基づき,補償の基本構造,具体的な条件及び初動対応を扱う。
個別の銀行の約款,契約,被害時点の運用及び事実関係によって結論が異なるため,補償を保証するものではない。

第2 個人向けと法人向けを区別する

区分
確認する基本資料

個人向けインターネットバンキング
全銀協の平成20年申し合わせ,各行の補償規定・約款

法人向けインターネットバンキング
全銀協の平成26年の考え方,各行の具体的な制度

偽造・盗難カードによる被害
カードの制度・法律と契約。オンライン送金と混同しない

自然人名義であっても事業用サービスを利用している場合がある。
個人事業主や弁護士の事務所口座は,名義だけでなく利用契約の種類を確認する。
銀行預金と,証券・暗号資産・決済サービスの被害も同じ制度ではない。

第3 個人向けの補償

全銀協は平成20年2月19日,インターネットバンキングによる不正払戻しについて,銀行に過失がない場合でも,顧客に過失がないときは原則として補償する旨を公表した(出典①)。
公表資料は,速やかな通知,事情説明及び捜査への協力等も補償の要件として整理している。

顧客に過失又は重過失がある場合の補償は,インターネットバンキングの手口・状況を加味した個別判断とされている(出典②)。
盗難通帳の参考欄にある補償割合を,インターネットバンキングへそのまま当てはめてはならない。

通知の遅れや説明内容等も問題になり得るため,銀行への連絡は速やかに行う。
古い申し合わせの期限だけを見て「まだ待てる」と判断せず,現在の契約と銀行の案内を確認する。
セキュリティソフトを導入していたという一点だけで,無過失又は補償対象と確定するわけではない。

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画像・動画ファイルの形式と位置情報―PNG・JPEG・MP4・EXIFの確認と証拠保存(AI作成)

目次第1 形式の変換と証拠の保全を分ける第2 画像形式の違い第3 MP4と動画の再生1 再生上の相対時刻と,撮影した日時を分ける第4 EXIF・位置情報・表示時刻1 日時の種類を区別する2 「Exifなし」と「メタデータなし」を同一視しない第5 公開用コピーと保全用データ1 保全用は取得した状態を維持する2 公開用には必要な処理を別に行う第6 関連記事と出典
第1 形式の変換と証拠の保全を分ける

画像や動画を扱う際は,閲覧・提出しやすい形式にする作業と,取得したデータを保全する作業を分ける必要がある。
変換,圧縮,切取り,位置情報の削除等は,ファイルの内容や付随情報を変えることがある。
証拠となり得るデータは取得した状態で残し,公開・提出用のコピーを別に作ることが基本である。

第2 画像形式の違い

形式
特徴と確認事項

JPEG・JPG
写真で広く使われる。再圧縮により細部が変化し得る

PNG
可逆圧縮を用い,文字・図や透明部分のある画像等で使われる

GIF
色数等の制約があり,簡単な図やアニメーション等で使われる

TIFF
複数の圧縮方法等があり,拡張子だけでは中身を確定できない

BMP
ビットマップ画像の形式。対応や容量は保存方法等による

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GmailとGoogle Workspaceのアカウント・容量・端末管理(AI作成)

目次第1 個人用Gmailと組織の管理を区別する第2 保存容量はGmailだけで使うものではない第3 Gmailアドレスは変更できるか第4 2027年1月の外部メール機能の変更1 対象となる機能2 対象外の経路を区別する3 移行時の確認事項4 経路別に,終了対象と継続するものを確認する5 代替方法を五つの選択肢から検討する第5 端末確認と紛失時の対応第6 関連記事と出典
第1 個人用Gmailと組織の管理を区別する

Gmailはメールのサービスであり,GoogleアカウントはGmail以外の各種サービスにも用いられる。
個人用Googleアカウントと,組織の管理者が管理するGoogle Workspaceのアカウントでは,変更権限,保存容量,端末管理等が異なる。
法律事務所で利用する際は,誰の契約で,誰が回復・引継ぎを行えるかを明確にする必要がある。

第2 保存容量はGmailだけで使うものではない

通常の個人用Googleアカウントの無料容量は,Googleドライブ,Gmail及びGoogleフォトで共有される最大15GBである(出典①)。
Gmailの添付ファイルだけでなく,写真・動画等が容量を使っている場合もある。
Google Workspaceの容量はエディション等によるため,一律に15GB又は無制限とはいえない。

容量を使い切ると,メールの送受信やファイルの同期等に影響が生じる場合がある。
容量不足に気付いたら,利用状況,ごみ箱,迷惑メール,管理者側の割当てを確認する。
証拠資料や保存義務のあるデータを,容量確保のために無計画に削除してはならない。

第3 Gmailアドレスは変更できるか

Googleの現行案内は,変更の選択肢が利用できるアカウントについて,Gmailアドレスを別のGmailアドレスへ変更する手順を示している(出典②)。
したがって,「Gmailアドレスは一切変更できない」と断定する説明は改める必要がある。
すべてのアカウントで同時に同じ選択肢が出るとは限らず,実際のアカウント設定を確認する。

変更は単なる表示名の変更とは異なる。
旧アドレスの扱い,外部サービスのログイン,連絡先への通知,ChromebookやChromeリモートデスクトップへの影響を確認する。
事務所の業務用メールは,試しに変更してから影響を調べるのではなく,先に関連サービスを洗い出す。

第4 2027年1月の外部メール機能の変更
1 対象となる機能

令和8年(2026年)9月15日時点のGoogle公式案内は,令和9年(2027年)1月に,第三者メールアドレスからの送信,Gmailify及びウェブ版Gmailによる外部POPメール取得を終了する予定としている(出典③~⑤)。
新規設定と既存利用の移行時期は区別して確認する必要がある。
「Gmailそのものが使えなくなる」という意味ではない。

2 対象外の経路を区別する

スマートフォンのGmailアプリで外部アカウントを直接利用する方法,外部メール事業者からの転送,Thunderbird等からGmailへ直接接続する方法は,ウェブ版Gmailの外部POP取得とは別である。
Google Workspaceの機能やGmailのエイリアスについても,第三者アドレスからの送信終了と混同しない。
既に取り込んだメールが,この変更だけで直ちに消えるという案内ではない。

3 移行時の確認事項

① 現在の受信経路と送信経路を別々に図示する。
② 受信サーバー,送信サーバー,転送設定及び利用アプリを確認する。
③ 過去メール,添付ファイル,送信済みメールを保全する。
④ 新しい経路で送受信と返信先を試験する。
⑤ 旧設定を終了する日を決め,二重受信や送信元の誤りを確認する。

移行先の方式は,メール事業者の仕様と事務所の情報管理条件に合わせて選ぶ。
パスワードを第三者へ渡したり,暗号化を無効にしたりすることを移行の標準手順にしてはならない。

4 経路別に,終了対象と継続するものを確認する

メールの経路
今回の変更との関係

ウェブ版Gmailが他社メールをPOP取得/Gmailifyで連携
終了対象

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電子メールの仕組みと安全対策―POP・IMAP・SMTP・メールヘッダー・STARTTLS・PPAP(AI作成)

目次第1 メールサービスとメールソフトを区別する第2 POP・IMAP・SMTPの役割第3 ヘッダーから分かることと限界1 画面表示と原メール2 Received・Message-ID・認証結果第4 TLS・STARTTLSとポート番号第5 PPAPとファイル共有第6 不達・異常時の確認第7 関連記事と出典
第1 メールサービスとメールソフトを区別する

メールが送れない,過去のメールが見つからないという場合には,メールサーバーと,閲覧・送信に使うソフトを分けて考える。
ThunderbirdやOutlookはメールソフトであり,アカウントを追加しただけでメールの保管場所や契約先がそのソフトの提供者に移るわけではない。
本記事は通信と安全管理の基礎を扱い,個別の設定値は契約先の公式案内に従うものとする。

第2 POP・IMAP・SMTPの役割

方式
基本的な役割
実務上の注意

POP
サーバーからメールを取得する
サーバーに残すか削除するかは設定による

IMAP
サーバー上のフォルダー・メッセージ等を同期する
削除も他端末へ反映され得る

SMTP
メールを送信・中継する
受信設定とは別に送信認証等を確認する

IMAPでも,本文を端末へ同期してオフラインで読む設定がある。
逆に,件名が表示されていても本文や添付ファイルがすべて保存済みとは限らない(出典①)。
POPとIMAPの違いを「必ず端末だけに保存」「必ずサーバーだけに保存」と単純化しない。

第3 ヘッダーから分かることと限界

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ディスプレイの接続・拡張・画面共有―Google CastとMiracastの違い(AI作成)

目次第1 画面をどう使いたいかを先に決める第2 有線接続と拡張表示1 出力側・入力側・ケーブルを確認する2 複製と拡張を使い分ける第3 Google Cast第4 MiracastとWindowsの無線投影第5 映らない・音が出ない場合第6 関連記事と出典
第1 画面をどう使いたいかを先に決める

外部画面の利用には,同じ画面を映す「複製」,作業領域を広げる「拡張」,映像を受信機で再生する「キャスト」等がある。
いずれも画面を別の場所に表示するが,接続方式や音声,操作権限は同じではない。
法律相談や会議では,必要な資料以外の通知・事件名が表示されないかも確認する。

第2 有線接続と拡張表示
1 出力側・入力側・ケーブルを確認する

パソコンの映像出力とディスプレイの映像入力を,双方が対応するケーブルで接続する。
一般的なパソコンのHDMI出力に別の機器をつないでも,そのパソコンが映像入力用モニターになるわけではない。
必要に応じてキャプチャー機器等の対応を確認する。

USB Type-Cは端子形状であり,すべてのポート・ケーブルが映像出力に対応するわけではない。
電源供給,データ転送,映像出力の対応を別々に調べる。
配線の詳細はケーブル及びUSB等に関するメモ書きを参照されたい。

2 複製と拡張を使い分ける

説明相手と同じ内容を見る場合は複製,手元で資料を参照しながら別画面へ説明資料を出す場合は拡張が候補となる。
Windowsでは投影設定やディスプレイ設定で配置を確認する。
拡張にしただけで通知や非公開資料が漏れなくなるわけではなく,実際に相手側へ映る画面を確認する必要がある。

第3 Google Cast

Google Castに対応する受信機等へ,対応アプリのコンテンツやChromeのタブ・画面を送ることができる。
Chrome公式案内は,同じWi-Fiへの接続等の要件と,タブ又は画面を選ぶ操作を示している(出典①)。
すべてのテレビや無線画面がGoogle Castに対応しているわけではない。

対応サイトのキャストボタンを使う方法と,Chromeのタブ全体を送る方法では,映像の再生方法等が異なる(出典②)。
音声も,タブ・画面・OS・受信機の組合せによって扱いが異なるため,会議前に確認する。
画面共有を終えるときは,キャストの停止と受信機側の表示まで確認する。

第4 MiracastとWindowsの無線投影

Microsoftは,WindowsからMiracast対応のテレビ・プロジェクター等へ接続する方法として,WindowsキーとKキーによる選択を案内している(出典③)。
送信側と受信側の双方が対応していることが前提となる。
Google CastとMiracastは別の方式であり,名前や無線接続という共通点だけで互換性を判断してはならない。

Fire TV,Android端末,iPhone,iPad等についても,製品名だけでMiracast対応を断定しない。
機種・OS・アプリの現行仕様を調べる。
iPad等を追加画面として使う第三者アプリでは,導入権限,通信先及び利用条件も確認する。

第5 映らない・音が出ない場合

症状
最初に確認する事項

有線で映らない
入力切替,ケーブル,出力対応,アダプターの方向

無線の候補に出ない
両機器の方式,接続条件,受信待機状態

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アカウント・パスワード・PIN・多要素認証の違いと安全な管理(AI作成)

目次第1 何の本人確認をしているか第2 Microsoftアカウント等の区別1 個人用・職場又は学校用・ローカル2 事務所で残す管理台帳第3 パスワードとWindows HelloのPIN第4 二段階認証と多要素認証1 段階と要素を分ける2 パスキーと端末移行第5 機種変更前と紛失時の対応1 機種変更前2 紛失・不正アクセスの疑い第6 関連記事と出典
第1 何の本人確認をしているか

アカウントはサービスや端末を利用するための登録・権限の単位であり,パスワードそのものではない。
安全に管理するためには,サービスのアカウント,端末のロック解除,認証用の機器,紛失時の復旧手段を分けて把握する必要がある。
パスキーなど,通常のログインでパスワードを入力しない方式もある。

第2 Microsoftアカウント等の区別
1 個人用・職場又は学校用・ローカル

Microsoftの個人用アカウントと,組織が管理する職場又は学校アカウントは別のものである。
同じメールアドレスに見える場合でも,ログイン先・管理者・利用権限が同じとは限らない。
ローカルアカウントは,基本的にはそのWindows端末で管理されるアカウントである。

裁判所の会議,事務所のMicrosoft 365,個人のOneDriveを使う際には,どのアカウントで参加・保存しているかを確認する。
会議の招待が届いたことだけで,資料を別の組織のクラウドへ保存してよいことにはならない。

2 事務所で残す管理台帳

台帳には,サービス名,管理対象者,管理者,登録メール,認証方式,復旧連絡先,退職時の停止方法を記録する。
通常の共有台帳にパスワードやバックアップコードを並べて置かない。
職員個人の電話だけが唯一の認証手段になっていないかも確認する。

第3 パスワードとWindows HelloのPIN

Windows HelloのPINは,設定した端末に結び付いた認証鍵の利用を解除するために用いられる。
オンラインサービスに送信するパスワードと同じものではない(出典①)。
ただし,すべての「PIN」と呼ばれる暗証番号が同じ構造を持つわけではなく,SIMや金融サービスの暗証番号へ一律に説明を広げない。

パスワードはサービスごとに使い回さず,十分な長さを確保する。
管理ツールを使う場合には,その管理ツール自身の認証・復旧・共有範囲も点検する。
PINが端末内で扱われることは,端末の盗難・覗き見・マルウェアへの対策が不要という意味ではない。

第4 二段階認証と多要素認証
1 段階と要素を分ける

多要素認証は,知識,所持,生体情報等の異なる種類の要素を組み合わせる考え方である。
確認画面が2回あるだけで,必ず異なる二つの要素を使っているとは限らない。
サービス上の名称と実際の認証構成を確認する。

SMS,認証アプリ,セキュリティキー,パスキーには,利用条件・復旧方法・フィッシングへの耐性に違いがある。
認証コードを第三者へ伝えたり,自分が開始していない承認通知を許可したりしてはならない。

2 パスキーと端末移行

パスキーは公開鍵暗号を利用する認証方式であり,対応サイトに対して秘密鍵を持つことを証明する。
端末に固定されるものと,サービスを通じて同期されるものなどがあるため,「必ず1台だけ」「必ずすべて自動移行」とは扱わない(出典②)。
同期先のアカウントを失った場合の影響も確認する。

第5 機種変更前と紛失時の対応
1 機種変更前

① 利用中の認証アプリと登録サービスを棚卸しする。
② 公式の移行・バックアップ方法を確認する。
③ 復旧用連絡先とバックアップコードを安全な場所に保管する。
④ 新端末で実際にログインできることを,重要なサービスごとに確認する。
⑤ 確認後に旧端末の登録解除や廃棄を行う。

アプリが復元されたことと,各サービスの認証情報が使えることは別である。
旧端末を先に初期化しないことが重要である。

2 紛失・不正アクセスの疑い

別の安全な端末から公式のアカウント回復・端末管理を利用し,不審なセッション,連絡先,転送設定等を点検する。
既に侵害が疑われる場合は,単なるパスワード変更だけで完了とせず,記録保全と影響範囲の確認を行う。
組織アカウントは管理者と連携し,裁判期日への影響がある場合は代替連絡手段を確保する。

第6 関連記事と出典

mints固有の画面操作はmintsにログインできない場合の対処法を参照されたい。
GmailとGoogle Workspaceの管理及び弁護士情報セキュリティ規程も関連する。

① Microsoft「Windows Hello for Businessに関してよく寄せられる質問」
https://learn.microsoft.com/ja-jp/windows/security/identity-protection/hello-for-business/faq

② Microsoft「Windowsでのパスキーのサポート」
https://learn.microsoft.com/ja-jp/windows/security/identity-protection/passkeys/

③ Google「2段階認証プロセスを有効にする」
https://support.google.com/mail/answer/185839?hl=ja

④ Google「2段階認証プロセスに関する一般的な問題を解決する」
https://support.google.com/accounts/answer/185834?hl=ja

(続きを読む...)アカウント・パスワード・PIN・多要素認証の違いと安全な管理(AI作成)

AI上司が採用・賃金・シフトを決める場合の日本法-アルゴリズム管理と使用者責任(AI作成)

第1 結論と本記事の対象

1 AIが判断しても使用者の責任はAIへ移らない

2 本記事の基準日と資料の位置付け

第2 AI上司の機能と権限を分解する

1 補助・支援と依拠・代替を分ける

2 入力から外部結果までの連鎖を記録する

第3 採用選考をAIに支援させる場合

1 適性・能力と関係のない情報を使わせない

2 予測スコアも管理対象にする

3 人による再審査の入口を置く

第4 賃金・評価をAIに算定させる場合

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法律事務所のAI・事件管理システム連携-問い合わせ,LINE,メール,FAX,期限及び書類をどうつなぐか(AI作成)

目次第1 本記事の対象と結論第2 文書作成だけを速くしても事件全体は速くならない第3 AIと事件管理システムの役割を分ける1 AIは自然言語の操作画面にする2 事件管理システムを記録原本にする3 会話履歴だけを記録にしない第4 最小限そろえる事件データ第5 問い合わせ・連絡・書類・期限をつなぐ1 問い合わせ受付2 LINE・電子メール・電話3 FAX・郵便・スキャン書類4 タスク・返信・期限第6 固定処理・AI判断・弁護士判断を分ける第7 守秘義務・個人情報・事件間の情報遮断第8 書込み・読戻し・ログ・事故対応第9 効果を測る指標第10 導入手順第11 Legal Smartの実践例から学べることと限界第12 関連記事第13 出典・参考資料

生成AIで文書の初稿を速く作れても,問い合わせ,LINE,電子メール,FAX,期限及び次のタスクが別々に管理されていれば,事件全体の解決速度は上がらないことがある。
本記事は,AIを自然言語の操作画面として用い,事件管理システムを記録原本として維持する設計を中心に,法律事務所の業務を安全につなぐ方法を整理する。法令及び公的資料は令和8年9月15日時点で確認した。

第1 本記事の対象と結論

対象は,問い合わせ受付,利益相反確認,受任判断,依頼者との連絡,書類整理,期限管理,タスク管理及び進捗報告を,生成AI又はAIエージェントと事件管理システムで支援する場合である。

結論は,次のとおりである。
①AIは,人が自然な言葉で検索,抽出,分類及び下書きを指示するためのインターフェースとして使う。
②依頼者,事件,期限,連絡及び書類の確定情報は,権限管理された事件管理システムを記録原本とする。
③条件が固定できる処理は決定論的なプログラムに任せ,文脈判断を要する分類又は要約だけをAIに任せる。
④受任の諾否,法的結論,依頼者又は相手方への送信,裁判所への提出,期限変更,削除その他の外部作用は,実行直前に弁護士が確認する。
⑤AIの出力を事件管理システムへ書き込んだときは,書込み後の値を読み戻し,出典,確信度,承認者及び訂正履歴を残す。
⑥導入効果は,作成文書の速度だけでなく,初回応答,進捗連絡,未返信,期限,事件全体の解決時間,誤分類及び手戻りで測る。

第2 文書作成だけを速くしても事件全体は速くならない

法律事務所の待ち時間は,起案そのものだけに生じるわけではない。問い合わせが担当者へ届くまで,必要資料がそろうまで,依頼者から回答を得るまで,弁護士が採否を決めるまで,又は次の担当者へ仕事が渡るまでにも時間が生じる。

一つの文書の作成時間が短縮されても,その前後の待ち時間が変わらなければ,事件の受付から終結までの期間はほとんど短縮されないことがある。反対に,未返信,期限及び次のタスクを早く発見し,必要な人へ正確に渡せれば,生成文の速度が同じでも依頼者が受けるサービスは改善し得る。

したがって,AI導入の目的を「文章を速く作る」に限定せず,どの状態で事件が滞留し,何を待っており,誰が次に動くかを可視化することが重要である。

第3 AIと事件管理システムの役割を分ける
1 AIは自然言語の操作画面にする

AIは,「本日届いた書類から期限候補を抽出する」,「直近30日間に進捗連絡のない事件を挙げる」,「依頼者への確認事項を下書きする」といった自然言語の指示を,検索,分類,抽出又は下書きの操作へ変換することに向いている。

もっとも,AIが説明しやすい文章を返したことは,事件データが正しく更新されたことを意味しない。AIの返答と実際のシステム状態を分け,どのデータを読み,どの操作を提案し,何が実行され,実行後にどの値になったかを確認する必要がある。

2 事件管理システムを記録原本にする

依頼者名,当事者,事件番号,手続段階,期限,担当者,次のタスク及び連絡履歴は,アクセス権,訂正履歴及びバックアップを備えた事件管理システムを記録原本とする。AIの会話画面又は個人のメモを確定情報の保存先にしない。

AIは事件管理システムから必要最小限の情報を読み,結果を候補として返す。確定値へ書き込む場合は,対象事件,項目,変更前後,根拠資料及び承認者を表示し,書込み後に同じ項目を読み戻す。この構造にすれば,AIを交換しても確定記録を維持しやすい。

3 会話履歴だけを記録にしない

チャット履歴は,検討過程又は指示の証拠として役立つ場合があるが,重要情報が自由文の中に埋もれる。期限,担当者及び次のタスクは構造化された項目へ確定し,元資料又は会話への参照を付ける必要がある。

また,会話の途中で指示を訂正しても,既に実行された書込み,送信又は削除が自動的に取り消されるとは限らない。訂正後は,会話だけでなく,保存先又は送信先の現在値を確認する。

(続きを読む...)法律事務所のAI・事件管理システム連携-問い合わせ,LINE,メール,FAX,期限及び書類をどうつなぐか(AI作成)

法律事務所がAIエージェントに専用PCを与えるときの安全設計-全権委任,承認疲れ,最小権限及び敬語の限界(AI作成)

目次第1 この記事の対象と結論第2 承認疲れから全権委任へ移る危険第3 専用PCが安全境界になる条件1 専用PCだけでは足りない2 端末,アカウント及びネットワークを分ける3 資格情報を常置しない第4 弁護士情報セキュリティ規程との関係1 弁護士が情報の責任者である2 基本的な取扱方法に書く事項3 AIは事務職員と同じ責任主体ではない第5 操作ごとの権限と承認1 OS組込み型AIは一つのスイッチで管理しない第6 秘密情報,個人情報及び外部資料第7 敬語は安全対策になるか第8 案件ごとのAI作業許可票第9 事故に備えたログ,停止及び復旧第10 裁判例の確認状態と本記事の限界第11 関連記事第12 出典・参考資料

生成AIに一つずつ操作を確認させる方法は安全に見えるが,確認が多すぎると,人が内容を読まずに承認したり,確認を避けるために広い権限を一括して与えたりする危険がある。
AIエージェントへ専用のノートパソコンを与える方法も,適切に設計すれば被害範囲を限定できる一方,端末に全案件のデータ,管理者権限,無制限のネットワーク及び本番用の認証情報を与えれば,安全な隔離にはならない。

本記事は,法律事務所がAIエージェント用の専用PCを設ける場合に,どこまで自動実行を許し,どの操作を弁護士の承認へ戻すべきかを整理するものである。

第1 この記事の対象と結論

結論として,AIエージェントへの権限は,「全権委任するか,全操作を承認するか」という二者択一にしてはならない。
対象データ,利用可能なシステム,操作の種類及び外部への効果ごとに権限を分け,低危険度の読取り,検索及び下書きは自動化しつつ,送信,提出,公開,削除,決済及び権限変更は弁護士の承認へ戻す設計が考えられる。

発想の起点は,三雲崇正氏のX投稿である。
同投稿は,個々の操作確認が面倒になり,ChatGPTとClaudeにそれぞれノートパソコンを与えて全権委任し,敬語で話しかけるようにしたという趣旨のユーモアを含む体験談である。

X投稿は,投稿者がそのように述べたことの原資料であり,承認疲れ,専用PC及び敬語という論点を発見する資料にはなる。
しかし,専用PCの安全性,敬語による事故防止又は法律上の義務を証明する資料ではない。

第2 承認疲れから全権委任へ移る危険

人による承認は,対象,操作及び影響を理解して判断する場合に意味がある。
低危険度の操作を含めて何度も承認を求めると,承認が定型動作となり,重要な操作と軽微な操作の区別が失われやすい。

Anthropicは,自社製品の権限確認について,確認回数が多いことによる承認疲れと,確認を省略した場合の危険の双方を挙げ,サンドボックスを用いて通常の操作範囲をあらかじめ限定する方法を説明している。
OpenAIも,Codexの安全設計として,書込み可能範囲,ネットワーク接続,資格情報及び高危険度操作の承認を別々の境界として説明している。

これらは,各社が自社製品の設計及び想定する脅威を説明したベンダー一次資料である。
法律事務所における安全性が独立に実証されたこと,又は日本法上の義務内容を直接示すものではない。

実務では,全操作の確認を増やすのではなく,①外部へ効果が生じる,②秘密情報が管理境界を越える,③失敗後の回復が困難である,④弁護士又は依頼者の名義が表示される,という操作に承認を集中させることが考えられる。

第3 専用PCが安全境界になる条件
1 専用PCだけでは足りない

専用PCは,他の業務端末とデータ及び権限を分けるための物理的な器になり得る。
もっとも,専用PCから事務所全体の共有ドライブ,全依頼者の事件記録,メール,WordPress,裁判所の電子提出システム及び決済手段へ接続できるなら,一台にまとめたこと自体は最小権限を意味しない。

また,AIごとに端末を分けても,同じクラウドアカウント,APIキー,ブラウザープロファイル又は共有フォルダを使えば,端末間の論理的な境界は弱くなる。
専用PCの有無ではなく,そのPCから何が見え,何を変更でき,どこへ送信できるかを確認する必要がある。

2 端末,アカウント及びネットワークを分ける

専用PCを安全境界として使う場合,少なくとも次の措置が考えられる。

①案件又は業務群ごとにOSユーザー及び作業フォルダを分けること
②通常は管理者権限を与えないこと
③書込み可能な範囲を指定された作業フォルダに限定すること

(続きを読む...)法律事務所がAIエージェントに専用PCを与えるときの安全設計-全権委任,承認疲れ,最小権限及び敬語の限界(AI作成)