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AI・リーガルテック

クイック実行更新サポート(KB5002907)でOffice 2016・2019が「ライセンスのない製品」になったとき―購入時のMicrosoftアカウントの探し方,プロダクトキー及び試用版の扱い(AI作成)

目次第1 本記事の対象と結論1 対象と基準日2 結論第2 何が起きたか1 KB5002907の本来の対象2 マイクロソフトが認めた不具合と提供の一時停止3 ライセンスのない製品になると何ができなくなるか第3 マイクロソフトが示す解決策1 ライセンス認証をし直す2 再インストールする3 公式の解決策として挙げられていない操作第4 ライセンスの付いたMicrosoftアカウントを探す1 買い切り版はMicrosoftアカウントに結び付いている2 職場又は学校のアカウントとの区別3 候補のアドレスを洗い出す4 「サービスとサブスクリプション」で確かめる5 Officeで認証し直す6 パソコンの中の記録から確かめる第5 プロダクトキーがない場合1 アカウントが見つかれば足りる2 アカウントもプロダクトキーも見つからない場合第6 画面の選択肢の扱い1 購入と試用版のボタン2 新しいMicrosoftアカウントを作らない第7 業務を止めないための手当て1 当面の入力手段2 保守業者に対応を依頼するとき3 サポート終了への対応4 平時の備え第8 関連記事第9 出典1 マイクロソフトの案内2 その他の資料
第1 本記事の対象と結論
1 対象と基準日

本記事は,Windows Updateを通じて提供された更新プログラム「KB5002907」の後に,買い切り版のOffice 2016又はOffice 2019が「ライセンスのない製品」と表示され,又はOfficeが見当たらなくなった場合の復旧の手順を整理する。
マイクロソフトの案内は,令和8年9月29日に同社のサポートページで原文を確認したものである。
同社の日本語版のページには機械翻訳とみられる文言があるため,本記事では日本語版の文言をそのまま引用し,必要に応じて意味を補って説明する。
会社や組織がボリュームライセンス等でOfficeを一括管理している場合は,組織のIT管理者の指示が優先する。

2 結論

①マイクロソフトは,KB5002907をインストールした後に,Office 2016又はOffice 2019の一部の端末で予期しない結果が生じたとの報告を受け,この更新プログラムの提供を一時停止している。
この更新プログラムは,Windows Updateの更新の履歴に「クイック実行更新サポート」という名前で表示されたとの報告がある。

②同社が示す解決策は,製品がライセンスのないように見える場合は購入した製品のライセンス認証をし直すこと,製品が削除された場合は購入した製品を再インストールすることの2つである。
新たにMicrosoft 365を購入することは,解決策として示されていない。

③小売店等で購入した買い切り版のOfficeは,プロダクトキーを使った時点でMicrosoftアカウントに関連付けられ,パソコンに最初から入っていたOfficeも,関連付けられたMicrosoftアカウントで再インストールする仕組みである。
ただし,日本で企業向けに販売された「Office プレインストール済み PC (企業向け)」のOfficeは,ライセンス認証に個人用のMicrosoftアカウントを必要とせず,プロダクトキー又はMicrosoft Storeのデジタル製品で再インストールする仕組みである。
認証し直すときは,Officeを購入し,又は最初に設定したときに関連付けたMicrosoftアカウントでサインインする。
Officeの画面に別のアドレスでサインインしていると表示されていても,そのアドレスにライセンスが付いているとは限らない。

④どのアカウントにライセンスが付いているかは,Microsoftアカウントのページの「サービスとサブスクリプション」で,候補のアドレスごとに確かめられる。
候補が見つからないときは,パソコンの中の記録(レジストリ)にライセンスの持ち主のアドレスが残っていることもある。
新しいMicrosoftアカウントを作っても,そのアカウントに以前のライセンスは付いていない。

⑤関連付けたアカウントが見つかれば,25文字のプロダクトキーが手元になくても,サインインによる認証や再インストールができる見込みが高い。
企業向けのプレインストール版では,逆に,プロダクトキーのカード又はMicrosoft Storeのデジタル製品が手掛かりになる。
アカウントもプロダクトキーも見つからない場合は,購入の記録を用意してマイクロソフトのサポート等に相談することになる。

⑥システムの復元,更新プログラムの削除及びOfficeの修復は,マイクロソフトがKB5002907の解決策として挙げたものではない。

⑦Office 2016とOffice 2019のサポートは,令和7年10月14日に終了している。
今回の不具合を直すことと,サポート終了に対応することは,分けて考える。

第2 何が起きたか
1 KB5002907の本来の対象

マイクロソフトの説明によれば,KB5002907は,古くなったMicrosoft 365 Appsを最新の状態にするための任意の更新プログラムである。
同社は,「このオプションの更新プログラムは、90 日以上経過しており、最新チャネルまたは月次エンタープライズ チャネルを使用している、Microsoft 365 Apps がインストールされている Windows PC でのみ利用可能です。」と説明している。
また,「Windows オペレーティング システムの更新プログラムではなく、自動的にインストールされません。」とも説明している。

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法律事務所で生成AIのモデルを使い分け・切り替えるときの設計―モデル単位の許可台帳,データ条件の確認及び切替え時の再検証(AI作成)

目次第1 本記事の対象と結論1 対象と基準日2 結論第2 モデル単位で考える理由1 同じ事業者でもモデルごとに条件が違う例2 新しいモデルの公表が続いていること第3 守秘義務と個人情報保護法から見た確認事項1 弁護士職務基本規程2 個人情報保護法3 個人情報保護委員会の注意喚起第4 モデル単位の許可台帳1 記録する項目2 台帳の運用第5 業務ごとの使い分けの考え方1 入力する情報の区分から決める2 出力を確かめられるかどうか3 費用第6 切り替えるときの再検証の手順1 手順2 日程の組み方第7 関連記事第8 出典1 事業者の公表資料2 公的資料3 法令
第1 本記事の対象と結論
1 対象と基準日

本記事は,法律事務所が生成AIのサービスを使うときに,同じ事業者のサービスの中でも「どのモデルを,どの業務に,どの条件で使うか」をどう決め,新しいモデルに切り替えるときに何を確かめ直すかを扱う。
事業者ごと・サービスごとの規約の比較や,値上げ・提供終了への備えは,生成AIサービスの値上げ・提供終了・モデル廃止に備える契約と運用で扱っているので,本記事ではモデル単位の管理に絞る。
事業者の公表資料は令和8年9月30日に各社の公式ページで確認し,法令は同日現在の条文をe-Gov法令検索で確認した。事業者の公表資料は,各社製品の仕様,料金及び評価結果に関するベンダー一次資料であり,日本法上の義務又は法律実務での正確性を直接証明する資料ではない。
ただし,Claude Sonnet 5.5に関する記載(第2の1・2,第5の3及び第6の2)は,令和8年10月1日に追記したものである。

本記事は,事業者の一つであるAnthropic社の生成AI(Claude)を用いて作成している。
このため,本記事ではモデルの性能や回答の質の優劣は論じず,各社が公式に公表している条件(データの扱い,保存期間,廃止の予告期間等)だけを取り上げる。

2 結論

①同じ事業者の中でも,モデルによってデータの保存の条件が違うことがある。
Anthropic社は,特定の高性能のモデル(同社が「covered models」と呼ぶもの)について,データを保存しない契約(ゼロデータ保持)を結んだ組織でも,入力と出力を30日間保存するとしている。
OpenAI社も,ゼロデータ保持等の承認を受けた顧客について,特定のモデルをその対象外とする権利を留保している。
そのため,事業者単位やサービス単位の許可だけでは足りず,モデル単位で条件を確かめる必要がある。

②許可の台帳は,事業者・プランだけでなく,モデル名,提供経路(事業者から直接か,クラウド事業者経由か),実際の処理先(他の事業者のモデルへの転送の有無),学習への利用の有無,保存期間,保存・処理の地域,廃止の予定と予告期間,許可する業務と入力してよい情報の区分を,モデルごとに記録する形にするのがよい。

③新しいモデルに切り替えるときは,事件の情報を含まない試験用の入力で新旧の出力を比べ,データの条件を公式資料で確かめ直してから台帳を更新する。
廃止の予告期間は事業者によって異なる(Anthropic社は公開モデルについて少なくとも60日前,OpenAI社は一般提供のモデルについて少なくとも6か月前)ので,切替えの準備はこの期間から逆算して組む。

④守秘義務(弁護士職務基本規程23条)と個人情報保護法(25条・27条・28条)の観点からの確認は,モデルが変わるたびに必要になる。
個人情報保護委員会は,個人データを含むプロンプトを入力する場合には,事業者がそのデータを機械学習に利用しないこと等を十分に確認するよう注意喚起している。

サービスの導入とモデルの切替えを検討するときは,名称を次の三つの層に分けると確認漏れを減らしやすい。

層記録する例同じと決めつけない条件サービス・契約提供者,契約プラン,利用規約・DPA個人向けと法人向け,契約当事者,処理条件提供経路・機能アプリ,API,検索,外部コネクタ保存,閲覧,送信先,機能ごとの例外モデル名称・版,利用業務,許可日,評価記録同じ事業者でも対応機能・条件・出力が変わる場合

サービス選定時の契約・情報管理は利用ガイドラインと関連するDPA記事,本記事は許可台帳・業務別選択・切替え時の再検証を読む入口となる。
以下に記載する価格や仕様の基準日は各節の記載どおりであり,契約前・切替え前にはリンク先の現在の条件を確認する必要がある。

AI法律相談の使い方,費用,弁護士の役割を先に確認したい場合は,AI弁護士とはを参照されたい。

第2 モデル単位で考える理由
1 同じ事業者でもモデルごとに条件が違う例

Anthropic社のプライバシーセンターの「Data retention practices for Covered Models」は,同社が指定する高性能のモデル(Mythos級のモデルと,同様の能力を持つとして今後指定するモデル)について,令和8年6月9日から,入力と出力を安全対策のために30日間保存するとしている。
この扱いは,データを保存しない設定(ゼロデータ保持)の組織にも及ぶとされ,それ以外のモデルは従来の条件のままとされている。
他方,同社が令和8年9月22日に公表したClaude Opus 5.5については,公式ページに,これまでのOpusのモデルと同様にゼロデータ保持で利用できる旨が記載されている。

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会社が社内向けの法務AIアシスタントを作るときの法的チェックリスト―弁護士法72条のガイドライン,個人情報保護法,営業秘密,データの保存期間及び誤判定への備え(AI作成)

目次第1 本記事の対象と結論1 対象と基準日2 結論第2 社内向けの法務AIアシスタントとは1 典型的な機能2 本記事が扱う確認事項第3 弁護士法72条との関係1 条文2 法務省のガイドラインの位置付け3 会社が自社の業務のために使う場合4 弁護士への相談を促す仕組み5 法律事務所が構築を支援する場合6 裁判例第4 個人情報保護法1 個人情報保護委員会の注意喚起2 提供事業者が個人データを取り扱うかどうか3 社内のチャットの過去ログを読ませる場合4 令和8年の個人情報保護法改正第5 営業秘密と取引先の秘密情報1 自社の営業秘密2 取引先から受領した秘密情報第6 データの保存期間と管理者の権限1 プランによって異なること2 具体例第7 誤判定への備え1 要否判定をAIに任せることの意味2 設計上の工夫第8 導入前のチェックリスト第9 関連記事第10 出典1 法令2 公的資料3 その他
第1 本記事の対象と結論
1 対象と基準日

本記事は,会社が汎用の生成AIサービスに自社の契約書の雛形,チェックリスト及び過去の判断基準を読み込ませ,事業部門の担当者が契約書の確認や法務部門への依頼に使う「社内向けの法務AIアシスタント」を作る場面を対象とする。
このような仕組みを外部の弁護士が支援して構築する例も紹介されるようになっているが,実際に作る際には,弁護士法,個人情報保護法,営業秘密の管理,データの保存期間及びAIの誤判定という法的な確認事項がある。
本記事では,これらを導入前のチェックリストの形で整理する。
法令は令和8年9月28日現在の条文をe-Gov法令検索で確認し,行政機関の資料とサービス提供事業者の公表資料は同日に原文を確認した。

法律事務所自身が生成AIを使う場合のルール作りは,法律事務所の生成AI利用ガイドラインの作り方で扱っている。
本記事は,法律事務所ではない一般の会社が,自社の法務のために作る場面を扱う。

2 結論

①会社が自社の業務のために社内向けの法務AIアシスタントを使うことは,法務省のガイドライン(令和8年8月21日)が利用者に求める「自己の業務にのみ利用」するという考え方と整合する。
ただし,取引先や従業員個人の相談に答えるような使い方をさせない設計が必要である。

②同ガイドラインは,法的紛議が現に顕在化している案件等については弁護士に相談してその判断を仰ぐ必要があることを利用者側の遵守事項に挙げている。
社内向けの法務AIアシスタントでも,この種の案件を法務部門や弁護士へ回す仕組みを,画面の案内と判定の条件の両方に組み込むのがよい。

③社内のチャットの過去ログや契約書に個人データが含まれる場合,生成AIサービスの提供事業者がその個人データを取り扱うことになっているかどうかで,本人の同意や委託先の監督の要否が変わる(個人情報保護委員会のQ&A7-53)。
プランや契約条件を確認せずに入力させてはならない。

④取引先から受領した秘密情報や自社の営業秘密を入力するときは,秘密保持契約の条項と,営業秘密の秘密管理性への影響を確認する必要がある。

⑤データの保存期間と管理者が削除できる範囲は,サービスとプランによって異なる。
組織向けのプランでも,設定しなければ無期限に保存されるものや,利用者の端末に保存されて管理者が一元的に削除できないものがある。

⑥「この契約は法務の確認が不要」という判定をAIに任せる場合は,誤判定が起きたときの責任の所在と,事後に確認する仕組みを先に決めておく必要がある。

第2 社内向けの法務AIアシスタントとは
1 典型的な機能

TR & Associates法律事務所のnote連載「生成AIで法務機能を洗練化する、という選択」(第1回・令和8年9月25日,第2回・同月28日)は,法務組織の課題を処理コスト,品質のばらつき及び組織の記憶の3つの層に分け,汎用AIで作った社内向けの法務AIアシスタントの実装例を紹介している。
第2回に掲載された画面の例では,次の7つの使い方が挙げられている。
①契約書の要約
②先方から届いた契約書と自社の雛形との差分の確認,修正案及び修正要求文の作成
③案件に合う雛形の提案
④取組みに関係する法律上の注意点の整理
⑤事業の法的リスクの洗い出し
⑥法務部門への依頼文の作成

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mintsのセキュリティ対策と法律事務所の責任分界―ISMAP・暗号化・二要素認証・端末・バックアップ・事故対応(AI作成)

目次

第1 結論―mints側の対策と法律事務所側の管理は別である
第2 最高裁判所が説明するmintsのセキュリティ対策

1 ISMAPで評価されたクラウドサービス
2 ウイルス対策・ファイアウォール・IDS・WAF
3 保管データと通信の暗号化
4 パスワードと二要素認証

第3 機密性・完全性・可用性で考える
第4 法律事務所側に残る管理責任

1 端末・ブラウザ・メール
2 アカウント・補助者・認証用電話
3 バックアップ・ログ・案件管理

第5 送達・期限管理の事業継続
第6 誤アップロードと情報漏えいを防ぐ
第7 事故発生時の初動
第8 平時と事故時のチェックリスト
第9 一次資料による裏付けと不明点
第10 関連記事
出典・参考資料

mintsには,裁判所側で講じられているセキュリティ対策がある。しかし,それだけで法律事務所の情報管理,送達・期限管理及び事業継続まで自動的に安全になるわけではない。

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交通事故の損害額一覧表を事件管理台帳として使う方法―共通書式と主張・証拠・既払金の突合(AI作成)

目次

第1 公式の共通書式と内部管理台帳を区別する
第2 内部管理台帳の基本列
第3 主張と証拠を対応させる
第4 既払金と損益相殺を管理する
第5 ファイル名と版管理
第6 事件の段階ごとの使い方
第7 提出用チェックリスト
第8 出典・関連記事

裁判所の交通事件共通書式は,交通事故訴訟の基本的な主張,損害額,治療費及び相続関係を整理する公式の書式である。

もっとも,共通書式へ金額を入力しただけでは,証拠を受領・確認・提出したか,既払金をどの損害項目へ充当したか,未確認事項が何かまでは管理し切れない。

本記事では,令和8年5月14日版の共通書式を提出書式として尊重しつつ,法律事務所内部で「主張・認否・証拠・既払金・未確認事項」を突合する事件管理台帳として使う方法を説明する。

第1 公式の共通書式と内部管理台帳を区別する
1 公式書式の四つのシート

裁判所が公表する令和8年5月14日版の共通書式は,次の四つのシートからなる。

① 事案の概要
② 損害額一覧表
③ 治療費等集計表
④ 相続等一覧表

共通書式には自動転記及び自動計算の機能があり,基本的な主張,認否・反論,必要書証及び計算を整理するために用いられる。

2 内部管理項目を公式書式へ無理に追加しない

裁判所の詳細マニュアルは,行の挿入又は削除を行わないよう案内している。したがって,事務所独自の確認欄を公式Excelへ無制限に追加するのではなく,提出用の共通書式と内部管理台帳を分ける。

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AIエージェントで法務省の司法試験ページを読むときの障壁―403拒否,二重のリンク,PDFの表の崩れ及び確認手順(AI作成)

目次第1 この記事の対象と確認の方法1 対象2 確認の方法と確認日第2 入口で起きる拒否1 プログラムの名乗りによって結果が変わる2 拒否の画面は障害のように見える3 robots.txtの記載と実際の拒否は一致しない4 拒否されたときの対応第3 目的の資料にたどり着けない原因1 本文よりもメニューが多い2 URLから中身が分からない3 リンクの文字が短く,見出しを読まないと中身が分からない4 予備試験の年度一覧のリンクが二重になっている5 最終更新日で新旧を判断できない6 検索ツールの要約をそのまま信じない第4 PDFの表で起きる読み違い1 文字を順に取り出すと項目と数字の対応が崩れる2 横に並んだ表が混ざる3 字間の空白で検索が外れる4 取得ツールが正常なPDFを「破損」と答える5 スキャンした画像のPDFではなかったこと第5 公表の時期とPDFの差替えによる誤り1 段階的に公表されるので「未公表」と「無い」を取り違える2 PDFは更新すると番号が変わる第6 AIエージェントに法務省の資料を読ませるときの確認手順1 取得の段階2 読取りと報告の段階第7 関連記事第8 出典1 法務省HPのページ2 法務省・司法試験委員会の公表資料(PDF)
第1 この記事の対象と確認の方法
1 対象
(1) なぜ法務省の司法試験ページを取り上げるのか

司法試験及び予備試験の日程,合格者数,出題の趣旨及び採点実感は,法務省HPで公表されている。
これらの資料をAIエージェント(ウェブページの取得,PDFの読取り及び要約を自動で行うAI)に調べさせると,「ページを開けない」「資料が見つからない」「数字を取り違える」という失敗が起きやすい。
本記事は,法務省HPの司法試験のページを例に,どこでどのような失敗が起きるかを実際に確かめ,AIに資料を読ませるときの確認手順をまとめる。

(2) この記事で扱わないこと

本記事は,公開されている資料を正しく読むための確認手順を扱うものであり,サイト側の取得制限をすり抜ける方法は扱わない。
AIによる取得をサイト運営者が拒否する仕組みとその法的な位置付けは,robots.txtで生成AI学習・AI要約を拒否できるかで扱っている。

2 確認の方法と確認日

令和8年9月26日に,法務省HPの司法試験の入口ページ,その下の7ページ,令和8年の結果・短答式試験・試験問題の各ページ及び予備試験の年度一覧のページを取得し,令和8年の受験状況・短答式試験結果・試験問題等のPDF8本を読み取った。
ページの取得は,取得するプログラムが名乗る名前(User-Agent)を変えて繰り返した。
PDFは,文字を順に取り出す方法と,文字の座標から行を組み直す方法の両方で読み,頁の画像と照合した。
法務省HPの設定は予告なく変わることがあるので,以下の結果は同日時点のものである。

第2 入口で起きる拒否
1 プログラムの名乗りによって結果が変わる
(1) 同じページでも拒否されることがある

法務省HPは,Amazonの配信網(CloudFront)を通して配信されている。
同じ司法試験の入口ページを,名乗りだけを変えて取得したところ,結果は次のとおりであった。
PDFも同じ扱いであり,curlの名乗りでは受験状況のPDFも拒否された。

名乗りの例主な使い手結果curl,Wgetコマンドでの取得拒否(403)python-requests,axios,Go-http-clientPython・JavaScript・Goで書いたプログラムの既定の名乗り拒否(403)HeadlessChrome画面を表示しないブラウザの既定の名乗り拒否(403)GPTBot,ChatGPT-UserOpenAIの取得用の名乗り拒否(403)OAI-SearchBot,ClaudeBot,Claude-User,Googlebot検索又はAIサービスの取得用の名乗り取得できた(200)通常のChrome人が使うブラウザ取得できた(200)
(2) 同じ事業者でも名乗りによって扱いが違う

この結果からは,拒否が「AIかどうか」で一律に決まっているのではなく,個別の名乗りごとに決まっていることが分かる。
例えば,OpenAIの名乗りでも,ChatGPT-Userは拒否され,OAI-SearchBotは取得できた。
このため,あるAIサービスでは法務省HPを読めたのに,別のサービスでは読めないということが起きる。
ただし,これは確認日時点の結果であり,どの名乗りを拒否するかはサイト側でいつでも変えられる。

2 拒否の画面は障害のように見える

拒否されたときに返ってくるのは,ステータスコード403と,「The request could not be satisfied.」で始まる英語の汎用の画面である。
この画面には,「too much traffic or a configuration error」(アクセスの集中又は設定の誤り)という説明がある。

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韓国の裁判所におけるAI利用-大法院の裁判支援AI,法官向け指針及びAIによる虚偽判例への対応(AI作成)

目次第1 この記事の対象と結論1 対象と確認の時点2 結論第2 司法部のAI推進体制1 中央の司法行政機関による推進2 ロードマップと「高リスク」の課業3 憲法・法律との関係第3 裁判支援AIの試験運用1 2026年2月の試験公開2 調達と技術構成3 記録の要約から量刑支援へ4 商用リーガルテックの利用第4 法官のAI利用の規律1 拘束力のない2つの指針2 報道される「3区分」の出所3 記録と当事者への通知第5 従来型システムと匿名化の失敗1 「AI」と呼ばれるシステムの実態2 判決書の匿名化3 法院電算網のハッキング第6 当事者・弁護士のAI利用と虚偽判例1 虚偽判例を引用した書面2 法院行政処の対応方針と根拠条文3 国会に提出された法案4 弁護士の規律と証拠の真正性第7 公開資料から確認できないこと1 精度と効果の独立の検証2 確認できなかった資料第8 日本の制度との違い1 日本の裁判所の現状2 韓国の例から日本が検討できること第9 出典・参考資料1 韓国の法令2 韓国の裁判所の公式資料3 韓国の国会の議案4 裁判例(韓国)5 日本の法令・公的資料6 国際機関の資料7 文献・報道
第1 この記事の対象と結論
1 対象と確認の時点
(1) 対象と基準日

この記事は,大韓民国の法院(裁判所)がAIをどのように使い,どのような規範で統制しているかを,2026年9月24日時点で確認できた公開資料に基づいて整理するものである。
対象は,大法院と法院行政処が導入し又は計画しているシステム,法官(裁判官)向けの指針,当事者・弁護士によるAIの利用に対する法院の対応及び国会に提出された法案であり,憲法裁判所の案内・検索サービスにも触れる。
大法院のウェブサイトは,2026年9月24日から25日にかけて全面的な「시스템 작업 중」(訳:システム作業中)の状態であったため,同サイトの資料は,Internet Archiveに保存されたページと,大法院の添付ファイルサーバから取得した原本で確認した。

(2) 資料の性質と訳

中心となる資料は,大法院の報道資料とその添付文書,法院行政処の情報化戦略計画(ISP)結果報告書,調達庁の入札公告書,法院行政処の契約情報公開,国家法令情報センターに収録された法令・判決及び国会の議案である。
法院が発表する利用件数や効果の推計は法院自身の説明であり,外部の検証を経た数値ではないため,本文では発表であることを明示する。
下級審の判決は判決書の原文を確認できていないため,報道によるものであることを明示する。
韓国語資料の日本語訳は,いずれも本記事による仮訳であり,韓国語の引用及び題名には,原則としてその直後に括弧書きで日本語訳を付けた(法院・企業・媒体等の固有名詞には付けていない)。
本記事は,生成AIを用いて,これらの資料を1件ずつ照合して構成したものである。

2 結論

①韓国では,大法院に置かれた司法行政機関である法院行政処が中央で企画・調達し,2026年2月13日から生成AIによる「재판지원 AI 시스템」(訳:裁判支援AIシステム)を全国の法官・職員向けに試験公開している。
②試験公開されたのは判例・法令・文献の検索と要点の整理であり,記録の要約・争点分析,検討報告書の作成支援,量刑の支援へと段階的に広げる計画である。
③法官のAI利用を定める法律・大法院規則はなく,指針はいずれも拘束力が確認できない参考資料であり,法院はAIの結果を判決に使ったかどうかを記録していないと国会議員に回答したと報じられている。
④当事者・弁護士がAIで作った存在しない判例を書面で引用する事例が相次ぎ,法院は現行法の範囲で訴訟費用の負担や陳述の制限を検討し,国会には過料を科す法案が係属しているが,AI利用の申告義務はまだない。
⑤性能や効果を外部から検証した資料は見当たらない一方,法院の電算網のハッキングと判決書の匿名化の失敗は法院自身や捜査機関の発表で確認でき,AIの前提となる情報基盤の安全管理が最大の課題になっている。

第2 司法部のAI推進体制
1 中央の司法行政機関による推進
(1) 司法部人工知能委員会

韓国の法院組織法19条1項は,「사법행정사무를 관장하기 위하여 대법원에 법원행정처를 둔다.」(訳:司法行政事務を管掌するため,大法院に法院行政処を置く。)と定める。
法院行政処は,2025年4月28日,法院行政処長の諮問機構として「사법부 인공지능위원회」(訳:司法部人工知能委員会)を発足させた。
委員長は大法官が務め,法・政策・社会の分野から3名,技術・サービス・開発研究の分野から4名の委員を置く。
委員会の役割は,AI技術の導入の方向と優先順位の審議,開発事業の点検,大法院規則など関連法令の改正方向の検討等である。

(2) 司法AI審議官

2026年1月29日公布の大法院規則第3237号(同年2月23日施行)は,法院行政処の司法情報化室に「사법인공지능심의관」(訳:司法AI審議官)を新設した。
現行の法院事務機構規則の別表によれば,同審議官の分掌は,「사법 인공지능정책 수립에 관하여 사법정보화실장 보좌」(訳:司法AI政策の策定について司法情報化室長を補佐)と,AI・ビッグデータ等の知能情報技術に関する事項等である。
事業の企画は法院行政処,開発は法院内部のインフラ上の独自基盤,調達は調達庁の一括入札で行われており,個々の法院が独自にAIを導入する仕組みにはなっていない。

(続きを読む...)韓国の裁判所におけるAI利用-大法院の裁判支援AI,法官向け指針及びAIによる虚偽判例への対応(AI作成)

中国の裁判所におけるAI利用-「AI裁判官」の実態,最高人民法院の規範及び当事者のAI利用申告(AI作成)

目次第1 この記事の対象と結論1 対象と確認の時点2 結論第2 最高人民法院が定めたAI利用の原則1 2022年意見の「辅助审判」(審判の補助)原則2 応用場面として挙げられた事項3 2024年以降の方針第3 実際に動いているシステム1 2016年から2023年頃の「智能辅助」(知能化による補助)2 深圳市中級人民法院の人工智能辅助审判系统3 その他の大規模言語モデル・生成AIの導入4 「AI裁判官」報道と実際の機能5 主なシステムの一覧第4 裁判官を監督する道具としてのAI1 偏離度警告と四類案件の自動識別2 裁判所の内外からの批判3 検察の量刑補助が判決に及ぶ経路第5 当事者・弁護士のAI利用に対する規律1 2026年意見(十九)の確認・説明義務2 AIで作った架空の案例を提出した事件3 AI生成証拠とディープフェイク4 弁護士会の指引第6 公開資料から確認できないこと1 当事者への通知と異議の仕組み2 性能と効果の独立した評価3 裁判文書の公開の縮小第7 日本の制度との違い1 日本の裁判所の現状2 中国の例から日本が検討できること第8 出典・参考資料1 中国の法令・司法解釈・規範性文件2 中国の裁判所・検察院の公式発表・予算・調達資料3 裁判例(中国)4 日本の法令・公的資料5 国際機関の資料6 文献・報道
第1 この記事の対象と結論
1 対象と確認の時点
(1) 対象と基準日

この記事は,中華人民共和国の人民法院(裁判所)がAIをどのように使い,どのような規範で統制しているかを,2026年9月24日時点で確認できた公開資料に基づいて整理するものである。
対象は,最高人民法院と地方の人民法院が導入したシステム,最高人民法院の規範性文件及び当事者・弁護士のAI利用に対する規律であり,裁判所の判断に影響する範囲で検察院の量刑補助にも触れる。
香港・マカオの裁判所は対象に含めない。

(2) 資料の性質と訳

中心となる資料は,最高人民法院の規範性文件,同院のサイトに掲載された人民法院報の記事,地方政府の予算・調達公告,公表された裁判例及び独立した研究である。
裁判所が発表する件数や効果は裁判所自身の説明であり,外部の検証を経た数値ではないため,本文では発表であることを明示する。
中国語資料の日本語訳は,いずれも本記事による仮訳である。
中国語の引用及び題名には,原則としてその直後に括弧書きで日本語訳を付けた(裁判所・企業・媒体等の固有名詞には付けていない)。

本記事が扱う司法機関のAI利用規範と,中国国内の公衆向け生成AIサービス,生成合成コンテンツの表示及び人格化した対話サービスの規制は,制度の対象が異なる。
例えば,2023年の生成AI暫行弁法2条は,中国国内の公衆向けサービスを対象とし,公衆向けにサービスを提供しない機関等の研究開発・応用について区別している(国家インターネット情報弁公室の公布本文)。
したがって,人民法院がAIを利用していることだけから,公衆向けサービスの全ての義務が当然に適用されるとは判断できない。
令和8年10月5日現在の一般事業者向けの制度と他の法域との比較は,別稿「EU・アジア主要法域のAI規制を比較―適用日,生成表示,事業者の役割と日本企業の対応」を参照されたい。

2 結論

①最高人民法院は,2022年12月の意見で,AIは裁判官に代わって裁判してはならず,AIの補助結果は参考にとどまり,司法責任は最終的に裁判者が負うと定めた。
②深圳市中級人民法院は,2024年6月から大規模言語モデルを使うシステムで,裁判官が決めた結論に基づく判決書の初稿を作っているが,効果の数値は裁判所の発表にとどまる。
③判決の「偏離度」の警告や監督対象事件の自動識別のように,AIが裁判官を監督する道具としても位置づけられている。
④2026年9月7日の最高人民法院の意見は,当事者・代理人がAIで作った書面について,提出前の確認と提出時のAI利用の説明を求めたが,裁判所自身のAI利用を当事者に知らせる規定は見当たらない。
⑤海外で「AI裁判官」と報じられたものの多くは,手続案内のアバターや判決書の下書きの補助であり,AIが判決の結論を決めている事例は,確認した資料にはない。

第2 最高人民法院が定めたAI利用の原則
1 2022年意見の「辅助审判」(審判の補助)原則
(1) 代替の禁止と参考としての位置づけ

最高人民法院は,2022年12月9日,《最高人民法院关于规范和加强人工智能司法应用的意见》(訳:人工知能の司法応用の規範化及び強化に関する最高人民法院の意見。法发〔2022〕33号。以下「2022年意見」という。)を公表した。
同意見5項は,「无论技术发展到何种水平,人工智能都不得代替法官裁判,人工智能辅助结果仅可作为审判工作或审判监督管理的参考」(訳:技術がどの水準まで発展しても,人工知能は裁判官に代わって裁判してはならず,人工知能による補助の結果は,審判業務又は審判の監督管理の参考とすることしかできない)と定める。
同項は続けて,「司法责任最终由裁判者承担」(訳:司法責任は最終的に裁判者が負う)とする。

(2) 利用者の選択権と「用户」の範囲

同項は,「各类用户有权选择是否利用司法人工智能提供的辅助」(訳:各種の利用者は,司法人工知能が提供する補助を利用するかどうかを選択する権利を有する)とし,AI製品・サービスとのやり取りからいつでも退出できるとも定める。
もっとも,同意見は「用户」(利用者)を定義しておらず,事件の当事者が,裁判官による内部の支援AIの利用そのものを拒めるかは,条文から読み取れない。

(3) 司法解釈ではないこと

2022年意見は「意见」(意見)の形式で「法发」(最高人民法院の発出文書であることを示す記号)の文号を持ち,《最高人民法院关于司法解释工作的规定》(訳:司法解釈業務に関する最高人民法院の規定)6条が定める司法解釈の5つの形式(解释(解釈)・规定(規定)・规则(規則)・批复(回答)・决定(決定))に当たらない。

(続きを読む...)中国の裁判所におけるAI利用-「AI裁判官」の実態,最高人民法院の規範及び当事者のAI利用申告(AI作成)

AI安全のための競合企業間協調と独占禁止法-共同研究・情報共有・標準化・認証・開発速度制限の境界(AI作成)

目次第1 この記事の目的と結論1 「AI安全のための協調」を一括りにしない2 結論を先に示す第2 競合企業間の行為を八つに分ける第3 日本の独占禁止法上の出発点1 安全目的だけで適法性は決まらない2 共同研究開発の判断要素3 事業者団体,標準化及び情報共有4 一方向の情報提供と意思の連絡第4 八つの確認ゲート第5 外部評価者の独立性を設計する第6 米国反トラスト法から得られる注意点1 National Society of Professional Engineers判決2 国防生産法708条とNCRPA3 企業間協調ガイダンスは更新過程にある第7 令和8年のAI開発速度をめぐる提案と訴訟第8 契約・議事録・情報遮断の実務第9 確認済み事項,資料の記述,推論及び不明第10 出典・関連記事

第1 この記事の目的と結論
1 「AI安全のための協調」を一括りにしない

本記事は,競合するAI開発会社,クラウド事業者,利用企業,評価機関又は業界団体が,AIの安全性を高めるために共同研究,事故情報共有,共通試験,標準化,認証又は開発速度の調整を行う場合の独占禁止法上の確認事項を扱う。基準日は令和8年9月24日である。

安全性を高める目的は重要である。しかし,同じ「安全協調」という説明でも,脆弱性を共同研究することと,競合企業が新モデルの発売時期,計算資源,研究開発費又は供給量をそろえることとでは,競争への影響が異なる。目的の名称ではなく,誰が,どの市場で,何を合意し,競争手段をどこまで拘束するかを確認しなければならない。

2 結論を先に示す

実務上は,①安全上必要な共同部分を狭く定義し,②価格,顧客,販売数量,発売時期,研究開発方針その他の競争上重要な情報を遮断し,③参加・利用条件を客観化し,④より競争制限的でない代替手段を比較し,⑤期間,見直し及び脱退の仕組みを設ける必要がある。

外部評価者を置けば直ちに問題がなくなるわけでもない。評価者へのアクセス権,報告先,資金提供,利益相反,試験結果の公表範囲,異議申立て及び機密情報の隔離を設計しなければ,評価制度が競合企業間の情報交換又は新規参入排除の経路となり得る。

第2 競合企業間の行為を八つに分ける

少なくとも,次の八類型を分けて検討する。

①各社が独立に安全基準を設定し,試験結果を公表する行為
②既に発生した事故,脆弱性又は攻撃手法を,必要な範囲で匿名化して共有する行為
③安全評価手法,測定器又は防御技術を共同研究する行為
④相互運用可能な共通試験方法又はベンチマークを作る行為
⑤任意の技術標準又は行動規範を作る行為
⑥第三者が標準への適合性を審査・認証する行為
⑦一定の能力又は危険指標に達した場合に追加試験を行うチェックポイントを設定する行為
⑧計算資源,学習規模,研究開発費,モデル公開,発売時期,供給量又は顧客への提供を競合企業間で制限する行為

①から⑦にも設計次第で競争上の問題は生じるが,⑧は企業が本来独立して決める重要な競争手段を直接そろえる危険が大きい。名称を「自主基準」又は「安全誓約」としても,実際に相互監視,制裁又は統一行動があれば,形式だけで評価は変わらない。

第3 日本の独占禁止法上の出発点
1 安全目的だけで適法性は決まらない

私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律は,事業者が共同して相互に事業活動を拘束し,公共の利益に反して一定の取引分野の競争を実質的に制限する不当な取引制限を禁止する。また,事業者団体による競争の実質的制限,事業者数の制限,不公正な取引方法をさせる行為等も問題となる。

公正取引委員会の共同研究開発ガイドラインは,共同研究開発が研究開発活動を活発かつ効率的にし,技術革新を促進し得る一方,参加者間の競争を制限するおそれもあるとする。また,同ガイドラインは,環境対策,安全対策等のいわゆる外部性への対応を目的とする共同研究開発について,その故をもって直ちに独占禁止法上問題がないとされるものではないとする一方,研究に係るリスク,コスト等に鑑みて単独で行うことが困難な場合が少なくなく,そのような場合には独占禁止法上問題となる可能性は低いとしている(第1の2(1)[3])。
したがって,単独で行うことの困難性という共同化の必要性と,共同研究開発の対象範囲・期間及び付随する取決めが目的達成に必要な範囲にとどまるかを確認する。

2 共同研究開発の判断要素

共同研究開発では,①参加者の市場占有率及び参加者数,②研究の基礎・応用・開発段階,③共同化の必要性,④対象範囲及び期間,⑤参加・脱退の自由,⑥成果へのアクセス,⑦研究終了後の製造・販売活動まで拘束するかを確認する。

安全評価手法又は防御技術を共同開発する必要があっても,製品価格,生産数量,販売地域,顧客,発売時期又は独自研究まで統一する必要があるとは限らない。共同研究に必要な技術情報と,競争上機微な営業情報を分離することが重要である。

3 事業者団体,標準化及び情報共有

公正取引委員会の事業者団体ガイドラインは,社会公共的な目的に基づく合理的な基準又は認証であっても,内容又は運用によっては競争を制限し得ること,価格,数量,顧客その他の競争上重要な事項について共通の意思が形成される情報活動は問題となり得ることを示している。

したがって,安全標準は,対象とする危険と技術要件の対応,参加・認証条件の客観性,代替規格の許容,知的財産の取扱い,認証費用,新規参入者の利用可能性及び不合格理由の説明を確認する。所管官庁の関与又は推奨があることだけで,民間の合意が当然に独占禁止法の適用外となるわけではない。

また,同ガイドラインは,自主規制等の利用・遵守を構成事業者に強制することは一般的に独占禁止法上問題となるおそれがあるとしている。公正取引委員会の相談事例(平成28年度事例11)は,品質基準自体が需要者との協議による例外を認めている中で,団体が例外となる取引を一律に禁止することは,品質低下による合格標章への信頼低下を防止するといった理由では正当化されないと回答している。安全標準でも,標準そのものが認める代替手段や例外を,業界団体の申合せで一律に封じていないかを確認する。業界団体の決定や自主基準の一般的な考え方は,業界団体・資格者団体の「参考料金」「報酬の目安」と独占禁止法で整理している。

この点について,最高裁昭和59年2月24日第二小法廷判決(昭和55年(あ)第2153号,刑集38巻4号1287頁。いわゆる石油価格協定刑事事件)は,「価格に関する事業者間の合意は、形式的に独禁法に違反するようにみえる場合であつても、適法な行政指導に従いこれに協力して行われたものであるときは、違法性を阻却される。」とした(裁判要旨一〇)。
他方,同判決は,通産省の行政指導が違法とまではいえない場合でも,値上げの上限について通産省の了承を得るための業界の希望案の合意にとどまらず,了承された限度一杯まで各社一致して価格を引き上げることまで合意したときは,不当な取引制限に当たるとした(裁判要旨三)。
行政機関が安全のための調整を求める場面でも,行政指導の内容を超えて企業どうしが公開時期,価格等をそろえる合意をすれば,同じ問題が生じ得ると考えられる。

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AIが難問を解いても人間の思考過程を残す理由-形式検証,独立査読,若手育成及び法律実務への示唆(AI作成)

目次第1 本記事の対象と結論第2 OpenAIが公表した内容1 公表された研究成果2 多数のAIエージェントと形式検証第3 確認済みの事実と未確定事項1 Clay Mathematics Instituteの取扱い2 数学者による宣言3 根拠の強さを分ける第4 結果が正しくても思考過程を残す理由1 独立した誤り検出2 説明責任と帰属3 次の問題を解く能力4 理解負債を残さないための確認第5 法律実務への当てはめ1 三つの確認段階を分ける2 形式的な検査だけでは足りない3 対人関係的な仕事は別に考える第6 法律事務所で残すべき記録1 AIを使う前の仮説2 一次資料と推論の対応表3 独立レビューと公開直前の読戻し第7 若手育成と評価制度第8 本記事の限界第9 関連記事第10 出典・参考資料

第1 本記事の対象と結論

令和8年9月8日,OpenAIは,三次元非圧縮性Navier–Stokes方程式について,有限時間で特異点が生じることを示す解法を公表した。OpenAIの説明によれば,約1万のAIエージェントを並行して動かし,通常の数学的証明に加えてLeanによる形式検証まで行ったという。

もっとも,令和8年9月24日現在,Clay Mathematics InstituteのNavier–Stokes問題のページは「Active」と表示されている。同研究所の賞の規則は,適格な媒体での公表,公表後少なくとも2年の経過及び世界の数学界における一般的な受容等を要件としている。したがって,OpenAIの公表があったことと,ミレニアム懸賞問題が制度上解決済みになったことは同じではない。

法律実務への示唆は,AIの結論を拒むことでも,結論が正しければ過程を捨ててよいとすることでもない。①AIを使う前に人が問題と仮説を言語化し,②一次資料と推論の対応を残し,③別の者又は別経路で反証を試み,④最終的な提出・送信・公開は人が読み戻して決めるという工程を残すことである。

第2 OpenAIが公表した内容
1 公表された研究成果

OpenAIの発表及び論文は,粘性を持つ三次元非圧縮性流体の方程式について,滑らかな初期データから有限時間特異点を生じさせる構成を示したとしている。これは研究主体自身による成果説明であり,本記事では「OpenAIがそのように公表した」という事実と,数学界による最終評価を区別する。

論文は166頁であり,詳細な構成,近似解,誤差評価,数値的証明及び形式化された補題等を含む。本記事は論文全体の数学的妥当性を独立に検証するものではなく,発表文,論文の概要・目次・序論並びに公開されたLeanリポジトリを確認した範囲で,法律実務に関係する検証構造を取り出すものである。

2 多数のAIエージェントと形式検証

OpenAIの発表によれば,内部モデルを用い,約1万のAIエージェントを同時に走らせ,88時間の探索に続き17時間でLeanによる形式化を行ったという。やり取りは約270万件,出力トークンは約1300億と説明されている。これらの数字はOpenAIによる運用上の説明であり,本記事では外部から再現確認した測定値としては扱わない。

公開されたGitHubリポジトリにはLeanのコードが置かれている。形式検証は,定められた公理・定義・推論規則に照らして形式化された証明が通るかを機械的に検査する点で強力である。他方,形式化の対象外に置かれた前提,定義の選び方,問題設定と現実の対象との対応及び形式化前の資料の真偽まで自動的に保証するものではない。

第3 確認済みの事実と未確定事項
1 Clay Mathematics Instituteの取扱い

Clay Mathematics InstituteのNavier–Stokes問題の公式ページは,令和8年9月24日現在,「Active」と表示している。同研究所の規則によれば,研究所への直接提出によって審査が始まるのではなく,適格な媒体に完全な解答が公表され,公表後少なくとも2年が経過し,世界の数学界で一般的な受容が得られたか等を考慮して判断される。

したがって,「論文が公開された」「コードが公開された」「形式検証が通ったと発表された」「懸賞問題として制度的に受理された」は別々の段階である。法律実務でも,「草案が生成された」「形式要件を満たした」「一次資料と照合した」「別の弁護士が独立に点検した」「依頼者又は裁判所に提出できる最終版になった」を分ける必要がある。

2 数学者による宣言

Terence Taoは令和8年9月11日,「A severe misalignment of AI in mathematics」と題する記事を公表し,AIを用いた数学研究に関する宣言を紹介した。宣言は,研究者が意味のある貢献をし,自分の名前で公表する内容を理解し責任を負うこと,学生の訓練を守ること,AI利用を開示すること等を求めている。

これは数学者による規範的な意見及び呼び掛けであって,AI利用が常に研究能力を低下させることを実証した論文ではない。本記事では,懸念の存在と内容を示す資料として用い,因果関係の証明としては用いない。

3 根拠の強さを分ける

本件で確認できる事実は,OpenAIの発表,論文及びLeanリポジトリが公開されていること,Clay Mathematics Instituteの公式ページが「Active」と表示していること並びに同研究所の規則及び数学者の宣言が公開されていることである。

これに対し,証明の数学的妥当性に関する最終的な学界の評価,実際に要した計算資源・費用の全容,個々のAIエージェントの寄与及びこの方法が若手研究者の能力へ与える長期的な因果効果は,本記事では未確認である。

第4 結果が正しくても思考過程を残す理由
1 独立した誤り検出

最終結論だけを受け取ると,入力の欠落,例外規定,反対資料,前提の取り違え又は引用範囲のずれを見つけにくい。人が最初に仮説を立て,AIの出力後に反対仮説を作り,別経路で一次資料を確認すれば,同じ誤りをそのまま共有する危険を下げられる。

2 説明責任と帰属

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AIで証拠説明書を作成・監査する方法―原資料・援用箇所・立証趣旨・頁の四点照合(AI作成)

目次

第1 AIで証拠説明書を作るときの基本方針
第2 原資料・援用箇所・立証趣旨・頁を四点照合する
第3 作成前に証拠台帳を作る
第4 各欄を原資料に基づいて記載する

1 号証
2 標目
3 原本・写し・電磁的記録の区別
4 作成年月日及び作成者
5 立証趣旨

第5 準備書面の援用箇所から逆算する
第6 引用頁を二つの資料で照合する
第7 内部確認表と提出用書面を分ける
第8 完成ファイルを開き直して確認する
第9 提出直前と提出後に確認する
第10 AIを使っても人が判断すべき事項
第11 出典・参考資料

AIは,書証の候補を整理し,証拠説明書の下書きを作り,号証・標目・頁の不一致を探す作業に利用できる。
しかし,提出する書証の採否,立証すべき事実の選択及び完成版の確認は,事件記録と原資料を確認できる人が行う必要がある。

本記事は,AIを利用して民事訴訟の証拠説明書を作成・監査するときの一般的な手順を扱う。
調査の基準日は令和8年9月23日であり,同日に施行されている民事訴訟法及び民事訴訟規則並びに同日までに公表された裁判所資料を確認した。

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複雑な法律問題の調べ方―問い固定カード,主ルート,条文連鎖,時系列及び救済マップ(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と結論
第2 「論点探し」から始めない理由
第3 問い固定カードを作る
第4 主ルートと代替ルートを分ける
第5 条文連鎖を最後までたどる
第6 主体・行為・時系列・財産効果の四表

1 刑事法の補助表―判断主体・認識・効果
2 法的行為原子・全要件スタック・責任残高
3 法的評価が切り替わる「決定的場面」を固定する

第7 判例は役割別の判例群で読む
第8 計算・期限を独立して監査する
第9 救済マップを先に描く
第10 一次資料と確認状態を分ける
第11 網羅性と回答適合性の二段階ゲート1 網羅性ゲート2 回答適合性ゲート3 権利・制度・補助線の階層4 人物別の正負事実と規範階層5 取消しと後続措置の三方向監査6 条文の入口・中間効果・問いの終点
第12 準備書面・意見書・相談メモへの使い分け
第13 実務用テンプレート
第14 この方法の限界
第15 関連記事
第16 出典と調査範囲

第1 この記事の対象と結論

複雑な法律問題を調べるときは,思い付いた論点を増やすことよりも,最初に「誰が,誰に対し,どの行為について,いつの時点で,何を求めるのか」を固定することが重要である。

本記事では,調査の骨格を,①問い固定カード,②主ルート,③条文連鎖,④主体・行為・時系列・財産効果の四表,⑤判例群,⑥計算・期限監査,⑦救済マップ,⑧一次資料の確認状態,⑨網羅性と回答適合性の二段階ゲートとして整理する。

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AIベンダーの倒産・支配権変更・事業譲渡に備える契約実務-解除権,データ返還・削除,ライセンス継続及び損害賠償(AI作成)

目次第1 結論-解除条項だけでは業務を守れない1 最優先は業務とデータを別の環境へ移せる状態にすることである2 倒産,支配権変更及び事業譲渡は法的に同じではない第2 四つの事象を区別する1 株式譲渡による支配権変更2 事業譲渡3 合併及び会社分割4 破産,民事再生及び会社更生第3 ベンダー倒産時の契約関係1 双方未履行かを契約全体の実態から確認する2 管財人等の選択を待つ間にも業務は止まり得る3 継続的給付に関する倒産法上の規定にも限界がある第4 支配権変更・事業譲渡・組織再編に備える1 通知すべき事象と通知期限を列挙する2 反社・競合・国外移転等の重大事由を具体化する3 個人データの事業承継は無制限の利用許可ではない第5 解除権を実効的に設計する1 解除事由を三層に分ける2 解除前にも新規投入停止と読取り専用利用を認める3 前払金と未利用分を精算する第6 データ返還・削除・移行を具体化する1 「顧客データを返還する」だけでは不足する2 形式,期限,費用及び完全性を定める3 削除は本番環境,複製及び再委託先を分ける4 事業承継の交渉段階も管理する第7 ライセンス継続とサービス継続を区別する1 著作権又は特許のライセンスには対抗制度がある2 ライセンスが残ってもSaaSは動かないことがある3 エスクローにも限界がある第8 損害賠償条項と倒産時の回収可能性1 民法上の原則と契約上の制限を分ける2 責任上限の例外又は別枠を検討する3 サービスクレジットを排他的救済にしない4 利用者側のバックアップ不足も損害判断に影響し得る5 倒産時は賠償請求より事前保全が重要である第9 法律事務所が契約に盛り込む事項第10 平時から行う出口訓練1 少なくとも年一回,データを実際に復元する2 契約発動条件と社内判断者を決める3 AIを使わない経路を残す第11 契約設計の限界と個別に確認する事項1 倒産手続や第三者を契約だけで拘束できない2 運用と技術的な準備を一体で行う3 個別のサービスと承継先の条件を確認する第12 出典・関連記事1 法令及び裁判例2 公的ガイドライン及びモデル契約3 関連記事
第1 結論-解除条項だけでは業務を守れない
1 最優先は業務とデータを別の環境へ移せる状態にすることである

AIベンダーが倒産し,買収され,又は事業を譲渡したとき,利用者が必要とするのは契約を終了させる権利だけではない。事件記録,プロンプト,出力,検索対象資料,権限設定,監査ログ及び評価記録を取り出し,他のサービス又は手作業へ移行できなければ,解除できても業務は復旧しない。

また,倒産後に損害賠償請求権を取得しても,一般の倒産債権として十分な弁済を受けられないことがある。そのため,①平時の継続的なデータ出力,②変更前の通知,③新規データ投入を止める権利,④終了後の移行期間,⑤代替サービス又は手作業への復帰,⑥必要に応じたエスクロー又は親会社保証を組み合わせる必要がある。

2 倒産,支配権変更及び事業譲渡は法的に同じではない

株式譲渡による支配権変更では,通常,契約当事者である法人自体は変わらない。これに対し,事業譲渡では個々の契約上の地位の移転が問題となり,合併又は会社分割では法定の承継が問題となる。倒産手続では,双方未履行の双務契約について,管財人等による履行又は解除の選択が問題となる。

したがって,「契約上の地位を第三者へ譲渡できない」という条項だけでは,株式譲渡による支配権変更を捉えられず,合併又は会社分割による承継にも十分とは限らない。各事象を定義し,通知,協議,異議,解除,移行支援及び費用精算を別々に定める必要がある。

第2 四つの事象を区別する
1 株式譲渡による支配権変更

株主が変わっても,契約当事者である会社は通常そのまま存続する。このため,契約上の地位の譲渡禁止条項だけでは,競合会社又は守秘管理に懸念のある会社による買収を止めることができない。

支配権変更を契約上の発動事由とする場合は,議決権の過半数取得だけでなく,取締役の過半数を選任できる状態,親会社の変更,共同支配,重要事業の売却等を含めるかを決める。少数持分投資や通常の資金調達まで解除事由とするとベンダーの事業を過度に制約するため,「利用者の秘密保持,法令遵守,情報セキュリティ又は業務継続へ重大な悪影響を与える場合」に限定し,まず通知と協議,次に新規投入停止,最後に解除という段階を設ける方法がある。

2 事業譲渡

事業譲渡は,その事業を構成する資産,債務及び契約を個別に移転させる取引である。民法539条の2は,契約上の地位の移転について,相手方の承諾を要することを定めている。

もっとも,利用者が譲受会社と利用を続け,支払をし,移行に協力したなどの事後の行動から承諾又は信義則上の主張制限が問題となることがある。譲渡に反対する場合は,通知を受けた後も漫然と利用を続けず,権利を留保し,データの取扱い,契約上の地位及び移行期間について書面で確認する。

3 合併及び会社分割

合併又は会社分割では,会社法に基づいて権利義務が包括的又は法定に承継される。例えば,吸収分割では,承継会社が効力発生日に吸収分割契約で定めた権利義務を承継する(会社法759条1項)。

このため,単純な譲渡禁止だけに依存せず,合併,会社分割その他の組織再編を通知対象にし,承継後の再委託先,データ保存場所,セキュリティ,第三者ライセンス及びサービス水準を再審査できるようにする。

4 破産,民事再生及び会社更生

倒産手続が始まると,契約に「倒産時は解除できる」と書かれていても,必ずその文言どおりに処理されるとは限らない。破産法53条,民事再生法49条及び会社更生法61条は,双方未履行の双務契約について,管財人又は再生債務者等が契約を解除するか,履行を選択して相手方の履行を請求するかという仕組みを置いている。

最高裁平成20年12月16日判決は,フルペイアウト方式のファイナンス・リース契約について,民事再生手続開始の申立てを解除事由とする部分を,民事再生手続の趣旨・目的に反して無効とした。この判決はAI又はSaaS契約についての判断ではなく,ベンダー側の倒産を扱ったものでもない。しかし,倒産申立てだけを理由とする解除条項が常に有効であるとは限らないことを示す。

一方,債務不履行,重大なセキュリティ義務違反,合意した復旧時間の超過又はサービスの恒久停止という独立の解除事由まで当然に無効になるわけではない。倒産申立てという属性だけでなく,実際に生じた履行障害を客観的な解除事由として定めることが重要である。

第3 ベンダー倒産時の契約関係
1 双方未履行かを契約全体の実態から確認する

継続的なAIサービスでは,ベンダーには将来のサービス提供義務があり,利用者には将来の利用料支払義務が残ることが多い。この場合,双方未履行の双務契約に当たる可能性がある。ただし,一括払切りのライセンス,無償サービス,保守契約,データ処理契約又は個別開発契約が一つの書面に含まれると,どの給付が対価関係にあり,何が未履行かは契約構造によって変わる。

最高裁平成12年2月29日判決は,双方未履行であっても,管財人による解除で相手方に著しく不公平な状況が生じる場合には解除権を行使できないとし,原状回復給付の均衡,不利益の回復程度及び未履行債務が本質的か付随的か等を総合考慮するとした。この判決もゴルフクラブ会員契約についてのものであり,AI契約へ直接当てはまると断定はできない。もっとも,契約を一括して「継続サービス」と呼ぶだけでなく,ライセンス,クラウド運用,保守,データ保管及び移行支援を区分しておく必要性を示す。

2 管財人等の選択を待つ間にも業務は止まり得る

利用者は,管財人等に対して相当期間を定め,契約を解除するか履行するか確答するよう催告できる場合がある。しかし,法的な回答を待つ間も,従業員の退職,クラウド料金の未払,APIキーの停止又は再委託先の離脱によってサービスが実際には動かなくなることがある。

したがって,倒産時の実務では,法的な契約存続と技術的な稼働継続を分けて考える。契約書には緊急連絡先,移行支援義務及びデータ出力を定め,運用では利用者自身が復元可能なバックアップを保持する。

3 継続的給付に関する倒産法上の規定にも限界がある

(続きを読む...)AIベンダーの倒産・支配権変更・事業譲渡に備える契約実務-解除権,データ返還・削除,ライセンス継続及び損害賠償(AI作成)

AIで時短した職員を損させない法律事務所の評価制度-隠れた生産性,品質指標及び余力配分(AI作成)

目次第1 この記事の対象と結論1 AI時短を処理件数だけで評価しない2 本記事の根拠と限界第2 調査から分かることと分からないこと1 日本の就業者調査2 海外の「隠れた生産性」調査3 顧客対応業務の実証研究4 法律事務所への当てはめには限界がある第3 AIで速くなっても職員が申告しにくい理由1 追加案件だけが返ってくる2 確認・教育・改善の仕事が見えにくい3 利用実態が地下化する第4 法律事務所で測るべき五群の指標1 総作業時間と処理量2 品質と手戻り3 依頼者への提供価値4 組織への貢献5 人間側の能力維持6 利用量を単独の評価指標にしない第5 短縮時間の配分を先に決める第6 評価制度を設計する手順1 対象業務と基準線を決める2 個人評価とチーム評価を組み合わせる3 効率化を直ちに恒久ノルマへ変えない4 説明・見直し・異議申出の経路を置く第7 研修・確認作業と労働時間第8 導入時のチェックリスト第9 本記事で確認できていないこと第10 関連記事第11 出典・参考資料

第1 この記事の対象と結論

1 AI時短を処理件数だけで評価しない

生成AIによって定型的な整理,要約又は初稿作成の時間が短くなっても,その職員に追加案件だけを配分すればよいとは限らない。
件数だけで評価すると,職員には改善成果を申告せず,自分だけの方法として保持する誘因が生じ得る。他方で,AI利用に伴う根拠確認,修正,他の職員への支援及びテンプレート整備は,処理件数には表れにくい。

法律事務所では,①確認・修正を含む総作業時間,②重大な見落とし及び手戻り,③依頼者への説明と納期,④他者支援,教育及び業務改善への貢献を組み合わせて評価することが考えられる。
また,短縮された時間を,追加案件,分析の深化,研修・業務改善又は休息・納期余裕のいずれに配分するかを,評価期間の前に定めることが望ましい。

本記事の評価項目と配分方法は,法令上当然に義務付けられた唯一の制度ではなく,後記の調査結果と法律事務の特性を踏まえた実務上の提案である。

2 本記事の根拠と限界

本記事は,①日本の就業者を対象とするパーソル総合研究所の調査,②海外のオフィスワーカー等を対象とするIvantiの調査,③顧客対応担当者を対象とする実証研究及び④厚生労働省の労働時間ガイドラインを主な根拠とする。
ただし,①及び②は主として回答者の申告に基づく調査であり,AI導入が特定の結果を生じさせたという因果関係を直接証明するものではない。③は法律事務所を対象とする研究ではない。

本記事は,これらの資料から直接確認できる事実を「調査結果」として記載し,法律事務所への当てはめを「実務上の提案」として区別する。裁判例の判示を根拠とする記事ではないため,判例秘書による裁判例検索は実施していない。

第2 調査から分かることと分からないこと

1 日本の就業者調査

パーソル総合研究所が令和7年10月に正規雇用就業者3,000人を対象として実施したインターネット調査では,生成AI利用者のタスク時間は平均16.7%削減された一方,仕事全体の時間が減少した者は25.4%であった。削減された時間の61.2%は仕事に再投資され,その再投資先の75.4%は通常業務であったと報告されている。

同調査は,生成AIを頻繁に利用する者ほど,他者への教示又はサポートに関する負担を感じる傾向も報告し,職場の生成AI活用を支える者の貢献を適切に評価する必要性を提言している。
もっとも,これは観察及び意識調査であり,生成AIが労働時間又は負担の増減を引き起こしたことを実験的に証明したものではない。

(続きを読む...)AIで時短した職員を損させない法律事務所の評価制度-隠れた生産性,品質指標及び余力配分(AI作成)

AIサービスを導入する前のベンダー審査-資本関係,顧客集中,クラウド依存,循環的資金調達及び出口計画(AI作成)

目次第1 この記事の目的と結論1 性能,価格及び守秘義務だけでは足りない2 本記事は倒産又はサービス終了を予測するものではない第2 最初に依存関係を一枚にする1 契約当事者と実際の提供者を分ける2 表面上の複数社が共通基盤に集中していないかを見る第3 資本関係,顧客集中及び循環的資金調達を読む1 出資,売上,債権及び購入義務を別々に確認する2 MicrosoftとOpenAIの開示は複数の関係を同時に示す3 AmazonとAnthropicの公表も資本と購買を併記している4 循環的資金調達は追加検証の標識である第4 財務・事業継続性の審査1 単年の売上又は資金調達額だけで判断しない2 モデル分析と確認済み事実を混同しない3 企業価値評価とrun-rate revenueを分けて読む第5 契約で確保する出口1 通知と変更管理を具体化する2 データ,設定及び評価記録を持ち出せるようにする3 代替サービスと手作業への復帰を準備する4 解除権と移行権を分ける第6 契約前質問票と定期監視1 契約前に質問する事項2 少なくとも年一回及び重要変更時に見直す3 安全標準と外部評価制度も審査する第7 法律事務でのリスク別運用1 利用目的と情報の機密度で段階を分ける2 一次資料へ戻る経路を残す第8 確認済み事項,推論及び不明を分ける1 確認済み事項と資料の記述2 実務上の推論と現在の不明第9 出典・関連記事1 公的機関・一次資料2 企業の提出書類・公式発表3 関連記事
第1 この記事の目的と結論
1 性能,価格及び守秘義務だけでは足りない

AIサービスの導入審査では,回答精度,料金,個人情報・秘密情報の取扱い及び学習利用の有無が重視される。これらに加えて,契約相手がどのモデル,クラウド,半導体,データセンター及び資金提供者に依存しているかを確認しなければ,サービス終了,モデル廃止,容量不足又は急な価格改定が業務へ与える影響を十分に評価できない。

したがって,導入時には,①依存関係を図にすること,②資本・購買・顧客の関係を分けて読むこと,③財務数値を単独で断定材料にしないこと,④データと設定を持ち出せるようにすること,⑤代替サービス又は手作業へ戻る訓練をすることが重要である。

2 本記事は倒産又はサービス終了を予測するものではない

本記事は,ベンダーの信用力又は将来の存続を格付けするものではない。また,投資関係,顧客集中又は循環的資金調達が存在することだけから,取引が不当,架空又は違法であると判断するものでもない。

目的は,公開一次資料と公的ガイドラインを利用して,契約前の追加質問,契約条項,運用上の代替手段及び定期監視の対象を決めることである。個別の解除権,損害賠償,倒産手続における契約の扱い又はデータ返還請求の可否は,契約文言,準拠法及び事実関係ごとに別途検討する必要がある。

倒産,株式譲渡による支配権変更,事業譲渡及び合併・会社分割は,契約上の地位が移る仕組み及び解除権への影響が異なる。また,著作権又は特許のライセンスが承継後も存続することと,SaaS,API,クラウド又は保守が実際に動き続けることは同じではない。これらの日本法上の取扱い,データ返還・削除及び損害賠償は,「AIベンダーの倒産・支配権変更・事業譲渡に備える契約実務」で扱う。

第2 最初に依存関係を一枚にする
1 契約当事者と実際の提供者を分ける

利用者が契約する相手と,基盤モデルを開発する会社,クラウドを運営する会社及びデータを処理する再委託先は同一とは限らない。中継サービス又は業務ソフトを通じてAIを利用する場合,利用者から見える契約相手の先に複数の事業者が連なる。

審査表には,少なくとも,①契約・請求主体,②基盤モデル提供者,③クラウド及びリージョン,④半導体・計算資源,⑤データセンター,⑥中継・監視・ログ保管事業者,⑦重要な再委託先を記載する。契約相手だけを代替できても,同じクラウド又は同じ基盤モデルへ依存するなら,障害又は供給制約が同時に及ぶ可能性がある。

2 表面上の複数社が共通基盤に集中していないかを見る

複数のAIサービスを採用しても,いずれも同じモデル,クラウド,認証基盤又はデータセンターに依存すれば,実質的な分散にはならない。逆に,一つのサービスの中で複数モデルを選べても,障害時に自動で切り替わるのか,利用者が手動で変更するのか,データの保存場所及び利用条件が変わるのかによって実効性が異なる。

依存関係図は,契約締結時だけでなく,モデル追加,基盤クラウド変更,事業譲渡,合併又は重要な再委託先変更の際に更新する。NISTのAI Risk Management Frameworkは,第三者のリスク管理,代替手段及び廃止の計画を統治と運用の双方で扱っている。

第3 資本関係,顧客集中及び循環的資金調達を読む
1 出資,売上,債権及び購入義務を別々に確認する

同じ二社の間に,出資,クラウド利用料,収益分配,融資,保証又は長期購入契約が併存することがある。この場合,売上高だけを見ても,外部の最終顧客から得た需要と,投資先が投資者のサービスを購入する関係とを区別できない。

確認すべき資料は,監査済み財務諸表,関連当事者注記,売掛金・契約資産,投資及び持分法損益,設備投資,長期購入義務,リース・保証,顧客集中並びに資金調達条件である。公開会社では有価証券報告書又はSEC提出書類を優先し,プレスリリースは契約の全条項を示さないものとして扱う。

2 MicrosoftとOpenAIの開示は複数の関係を同時に示す

Microsoftの2026年Form 10-Kによれば,同社はOpenAIについて,転換後ベースで約25%の持分となる持分法投資を有し,総額130億ドルの資金拠出を約束し,2026年6月30日までに119億ドルを拠出した。同年度には,収益分配支払を含むOpenAIとの商業上の取決めから241億ドルの収益を計上し,同日現在のOpenAIに対する売掛金は60億ドルであった。

これらはMicrosoft自身の監査済み提出書類による確認事項である。他方,241億ドルを全てクラウド売上又は外部最終需要とみなすことも,この関係だけから回収不能又は不適切な取引と評価することもできない。審査では,金額の大きさより,出資者,重要顧客,債権者及び技術提供者という役割が重なることによる依存関係を把握する。

3 AmazonとAnthropicの公表も資本と購買を併記している

Amazonの2026年公表資料は,AmazonがAnthropicへ直ちに50億ドル,条件に応じて将来さらに最大200億ドルを投資すること,Anthropicが10年間に1000億ドルを超えるAWS技術を利用する約束をすること及び最大5GWのTrainium容量を確保することを記載している。

これは両社が公表した関係の規模を示すが,最終契約の解約条件,価格調整条項,最低購入額又は全ての信用補完を示すものではない。利用者側では,この関係を直ちに信用不安と読むのではなく,特定クラウド及び特定半導体への依存,供給能力,価格改定並びに代替モデルの実効性を質問する端緒とする。

4 循環的資金調達は追加検証の標識である

BIS Annual Economic Report 2026は,ハイパースケーラー又は半導体企業がAI開発会社等へ出資し,出資先が計算資源又は半導体の複数年購入を約束する関係を循環的資金調達として整理する。また,データセンターが第三者の事業体に保有され,長期契約でハイパースケーラーへ提供される構造の不透明性にも注意を促している。

もっとも,循環して見える資金の全てが架空売上又は法的に無効な取引であるわけではない。利用者が確認すべきなのは,外部需要が減った場合にも契約義務を履行できるか,重要取引先の信用悪化がサービス能力又は価格へ波及するか,公表数値に収益分配又は関連当事者取引が含まれるかである。

第4 財務・事業継続性の審査

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ChatGPTの広告・計測と弁護士の情報管理―会話,Cookie,外部サイト及び守秘義務(AI作成)

目次第1 この記事の結論第2 ChatGPT内に表示される広告1 広告が表示される利用者2 広告は回答と分離される第3 広告選定に使われる情報と広告主に渡る情報1 ChatGPT内にとどまる広告選定シグナル2 広告主に渡る情報第4 外部サイト上の広告とコンバージョン計測1 OpenAIが外部サイトで自社を宣伝する場合2 広告主サイトにおけるコンバージョン計測第5 弁護士業務で特に注意すべきこと1 守秘義務の出発点2 広告設定は守秘対策の代替にならない第6 法律事務所の確認チェックリスト第7 出典・参考資料
第1 この記事の結論

ChatGPTの広告については,①ChatGPT内でどの広告を表示するかという広告選定,②広告主に渡る広告実績,③OpenAIが自社サービスを外部サイトで宣伝するための情報共有,④広告クリック後の外部サイトにおけるコンバージョン計測を分けて理解する必要がある。

OpenAIは,広告主にChatGPTの会話,履歴,メモリ又は個人情報を提供せず,広告主に提供するのは,現時点の案内では広告の表示回数及びクリック数等の集計された非識別情報であるとしている。他方,ChatGPT内の広告選定には現在の会話の文脈が用いられ,広告のパーソナライズを有効にしている場合には,過去の会話及びメモリ等の一部のシグナルも利用され得る。

したがって,「広告主に会話本文が渡らない」ことと,「会話の文脈が広告選定に一切使われない」ことは同じではない。弁護士は,広告の有無だけでなく,入力内容,契約プラン,データ設定,外部サイトへの遷移及び事務所端末の運用を一体として管理すべきである。

第2 ChatGPT内に表示される広告
1 広告が表示される利用者

OpenAIの案内では,広告はFree及びGoプランの利用者に表示される場合があり,Plus,Pro,Business,Enterprise及びEduの各プランには表示されない。米国では令和8年(2026年)2月9日から段階的なテストが始まっており,対象地域及び利用条件は今後変更され得る。

Temporary Chatには広告が表示されない。また,個人の健康,メンタルヘルス又は政治等のセンシティブ若しくは規制対象の会話の近くには広告を表示しないとしている。

2 広告は回答と分離される

OpenAIは,広告が回答内容に影響せず,広告主は回答を形成し,順位付けし,又は変更できないとしている。広告は回答の末尾の下部に,スポンサー表示を伴って回答と視覚的に分離して表示される。

もっとも,広告が回答から分離されていることは,広告の選定に会話の文脈が使われないことを意味しない。広告システムは,現在の会話の文脈及び意図,広告のリンク先,見出し,広告文,広告主が提供した情報等を考慮すると説明されている。

第3 広告選定に使われる情報と広告主に渡る情報
1 ChatGPT内にとどまる広告選定シグナル

広告選定には,現在の会話で何を話しているかのほか,一般的な地域又は言語等の基本的な文脈が使われ得る。広告のパーソナライズを有効にしている場合には,現在の会話,パーソナライズされた回答,広告への反応,過去の会話及びメモリも広告の関連性の判断に使われ得る。

パーソナライズを無効にしても広告自体が消えるわけではなく,現在の会話スレッドの文脈に基づく広告は表示され得る。過去の会話及びメモリの利用を避けたい場合には,広告設定とメモリ設定を確認し,必要に応じてTemporary Chatを利用する。

2 広告主に渡る情報

OpenAIは,広告主に会話,会話履歴,メモリ,氏名,メールアドレス,正確な位置情報,IPアドレス又はセンシティブ情報を提供しないとしている。広告主に提供されるのは,現時点では広告の総表示回数又はクリック数等の集計された非識別情報である。

ただし,広告から広告主に直接メッセージを送る機能を利用した場合,利用者が直接送信したメッセージは広告主に見える。また,広告をクリックして広告主のサイトに移動した後は,当該サイト及び同サイトが利用するCookie,タグその他の計測技術の取扱いが別途問題となる。

第4 外部サイト上の広告とコンバージョン計測
1 OpenAIが外部サイトで自社を宣伝する場合

OpenAIは,自社サービスを他社のサイト又はアプリで広告するため,選定した広告パートナーにCookie ID,IPアドレス又はハッシュ化したメールアドレス若しくは電話番号等の識別子を共有する場合があるとしている。また,Freeプランに登録したこと又は特定のOpenAI製品ページを閲覧したこと等の基本的な商業・閲覧情報を共有する場合がある。

会話又はアップロードした文書,画像,動画その他の内容は,この目的で広告パートナーに共有しないとしている。対象となる利用者は,設定のData ControlsにあるMarketing Privacy等からオプトアウトできると案内されている。

2 広告主サイトにおけるコンバージョン計測

OpenAIのConversion Termsでは,広告主又は第三者のサイトで発生する訪問,アプリのインストール,購入その他の行動又は取引に関する情報をConversion Dataとして扱う。広告主は,必要な通知,利用者の同意その他の適法な根拠を確保し,禁止データを送信しない責任を負う。

したがって,法律事務所が広告主となる場合には,広告管理画面の設定だけでなく,事務所サイトのCookie,タグ,問い合わせフォーム及び外部送信先を確認し,広告クリック後に送信される情報を具体的に把握する必要がある。外部送信の確認方法は,mintsのGoogle Tag Manager(GTM)と外部送信情報―利用目的の不開示と実測確認(AI作成)も参照されたい。

第5 弁護士業務で特に注意すべきこと
1 守秘義務の出発点

弁護士法23条は,弁護士が職務上知り得た秘密を保持する権利及び義務を定める。依頼者情報を生成AIに入力できるかは,単に「学習に使われるか」だけでなく,契約主体,保存,アクセス権限,サブプロセッサ,国外移転,ログ及び事故対応を含む情報管理全体で判断すべきである。弁護士の守秘義務も参照されたい。

2 広告設定は守秘対策の代替にならない

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TreeeSは家事・倒産・民事執行でいつ使えるか―対象手続,施行期限と調達仕様書段階の区別(AI作成)

目次第1 結論第2 令和8年9月22日現在の境界1 民事訴訟はmints2 民事執行・倒産・労働審判・人事訴訟・家事事件は別第3 令和5年法律第53号の施行時期1 全面施行は令和10年6月まで2 令和8年5月21日に先行施行された部分第4 TreeeSの調達仕様書が示すこと1 第3次開発の契約期間2 令和10年3月の工程と法施行日を混同しない第5 手続別の確認ポイント1 家事事件・人事訴訟2 民事執行・民事保全3 破産・民事再生その他の倒産手続4 労働審判・非訟事件等第6 法律事務所の準備第7 確認済み・予定・未確認第8 出典
第1 結論

令和8年9月22日現在,民事執行,倒産,労働審判等の非訟手続,人事訴訟及び家事事件は,同年5月21日に始まった民事訴訟のオンライン申立て等の対象外である。裁判所は,これらの手続について,令和10年6月までにオンライン申立て等の対象となる予定であると案内している。

最高裁判所の調達仕様書では,家事事件手続等へTreeeS・RoootSを拡張する第3次開発が進められている。しかし,調達仕様書の工程は,法令の全面施行日,各手続の利用開始日又は本番稼働を確定する資料ではない。「令和10年3月に改修予定」と「同日にすべての手続でTreeeSが使える」は同じ意味ではない。

第2 令和8年9月22日現在の境界
1 民事訴訟はmints

改正民事訴訟法等は令和8年5月21日に全面施行され,弁護士等の所定の訴訟代理人には電子申立てが原則として義務付けられた。現在,裁判所は,民事訴訟の電子申立て,書類の受領,システム送達及び電子記録の閲覧等にmintsを案内している。

TreeeSは,令和9年1月に名古屋高等裁判所本庁,名古屋地方裁判所本庁・支部及び同地裁管内の簡易裁判所で先行導入される予定であり,全庁導入は令和9年度中が目標とされている。これはまず民事訴訟の切替えに関する日程である。

2 民事執行・倒産・労働審判・人事訴訟・家事事件は別
手続令和8年9月22日現在今後の目安民事訴訟オンライン申立て等の対象。現在はmints令和9年1月にTreeeS先行導入予定民事執行・民事保全民事訴訟フェーズ3のオンライン申立て等の対象外令和10年6月までに対象化予定破産・民事再生等同上同上家事事件・人事訴訟同上同上。第3次開発の対象労働審判・非訟事件等同上同上

ただし,民事執行等では,令和8年5月21日からウェブ会議等を利用できる期日の拡充や,電子的に作成された債務名義の正本等の提出省略など,一部の規定が先に施行されている。オンライン申立て等の全面対象化とは分けて考える。

第3 令和5年法律第53号の施行時期
1 全面施行は令和10年6月まで

令和5年法律第53号は,民事訴訟以外の民事裁判手続について,インターネットを利用した申立て・資料提出・送達,事件記録の原則電子化,オンライン閲覧等を整備する。公布日は令和5年6月14日であり,全面施行日は公布から5年以内の政令で定める日である。

法務省及び裁判所は,令和8年9月22日現在,具体的な全面施行日は今後決定され,令和10年6月までにオンライン申立て等の対象となる予定であると案内している。「5年以内」は期限であり,令和10年6月14日に自動的に施行されるという意味ではない。

2 令和8年5月21日に先行施行された部分

ウェブ会議等を利用した期日への参加,民事執行手続における電子債務名義の正本等の提出省略を可能にする仕組み等は,令和8年5月21日に施行された。したがって,「一部のデジタル化が始まっている」ことと「オンライン申立て・電子記録が全面施行された」ことを区別する。

第4 TreeeSの調達仕様書が示すこと
1 第3次開発の契約期間

最高裁判所の令和7年7月2日付調達仕様書は,家事事件手続等のデジタル化に伴い,e事件管理システム(RoootS)及びe提出・e記録管理システム(TreeeS)を改修する第3次開発を定める。契約期間は令和7年9月1日から令和10年3月31日までとされている。

同仕様書では,TreeeSを,RoootS,e提出・e記録管理システム及びe法廷のウェブ会議アプリケーションとの連携機能等により「3つのe」を実現するシステム群の総称として用いている。

2 令和10年3月の工程と法施行日を混同しない

令和8年4月3日付及び同年6月9日付の追加改修仕様書には,令和10年3月を本番反映又はサービス提供の工程として想定する記載がある。これは開発・試験・移行の目標を示す重要な資料であるが,政令による法施行日,裁判所ごとの開始日,対象事件の経過措置及び最終操作を確定するものではない。

第5 手続別の確認ポイント
1 家事事件・人事訴訟

家事審判・家事調停,人事訴訟等は第3次開発の中心的な対象である。家事事件では,秘匿性,当事者・利害関係人の閲覧範囲,調停委員・参与員等の関与,紙媒体の取扱いなど,民事訴訟と異なる要件がある。民事訴訟用TreeeSの画面・権限をそのまま当てはめない。

2 民事執行・民事保全

民事執行・民事保全では,申立ての電子化だけでなく,債務名義,執行文,送達証明,担保,財産開示期日等の扱いを確認する必要がある。令和8年5月21日に一部制度が施行されていても,全面オンライン申立ての開始日とは限らない。

また,事件の取扱庁を本庁等へ集約することと,システムを導入することは別の変更である。集約が先に行われても,取扱庁が変わったことだけで電子申立てや電子記録の閲覧ができるようになるわけではない。取扱庁・担当係と,提出・受領・閲覧の方法を分けて把握し,それぞれの変更の開始日と係属中の事件の扱いを確認する必要がある。

オンラインで対応できる範囲も,機能ごとに確認する。①ウェブ会議等による手続の説明や協議,②申立書等の正式な提出,③事件記録の閲覧・複写は,それぞれ別の機能であり,①が使えることから②や③も使えると判断しない。不動産競売の申立てから配当までの流れと,取扱庁の変更時に工程ごとに確認する事項は,不動産競売の手続の流れと期間で整理している。

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法律調査AIの検索・再順位付けをどう評価するか-正解資料の取りこぼしと人の確認負荷(AI作成)

目次第1 この記事の対象と結論第2 法律調査AIを四つの工程に分ける1 検索で候補集合を作る2 再順位付けで確認順序を整える3 回答作成で法的な意味を説明する4 原典確認で回答を閉じる第3 X投稿で報告された税務法令実験をどう読むか1 投稿者が報告した結果2 確認できたことと未確認のこと第4 最低限記録する四つの評価指標1 候補保持率と偽陰性2 適合率と人の確認負荷3 再現性と安定性4 時間,費用及び障害時の挙動第5 比較実験の条件を固定する1 調整用と評価用の問題を分ける2 再現に必要な条件を凍結する3 モデルが知らない法的前提を試す4 法的メタデータを評価例に付ける第6 確信度を正解保証として使わない1 確信度と個別の正しさを分ける2 不明と人の確認への経路を置く第7 法律事務所での導入手順第8 既存記事との関係第9 出典・参考資料
第1 この記事の対象と結論

本記事は,法律調査にAIを組み込む場合に,検索結果の順位又は最終回答の見栄えだけで性能を判断せず,検索,再順位付け,回答作成及び原典確認を別々に評価する方法を整理するものである。
結論として,法律調査AIの導入判断では,①正解資料を候補集合へ入れられたか,②候補を人が確認できる範囲へ絞っても正解資料を残せたか,③回答が原典の射程を正しく説明したか,④人による最終確認まで含む総作業時間が短くなったかを分けて測る必要がある。

特に,再順位付けは,最初の検索が拾わなかった資料を後から復活させる処理ではない。
検索段階の取りこぼしと,再順位付け段階の取りこぼしを同じ「AIの誤り」として集計すると,改善すべき工程を誤る。

本記事は,AI又は特定サービスが法律調査を自動的に完結できると述べるものではない。
法令,裁判例,通達その他の法的根拠は,利用可能な公式資料又は原典で人が確認することを前提とする。
裁判例を根拠とする法的命題は扱っていないため,裁判所ウェブサイト又は判例秘書による裁判例の確認は行っていない。

第2 法律調査AIを四つの工程に分ける
1 検索で候補集合を作る

第1工程は,データベース又は文書群から候補を広く拾う検索である。
キーワード検索,BM25,ベクトル検索又はこれらの併用により,全文書を数十件から数百件の候補へ絞る。

この工程で重要なのは,1位に正解を置くことだけではなく,後続工程が見る候補集合のどこかに正解資料を残すことである。
最初の候補集合に正解資料が入っていなければ,再順位付けも回答作成もその資料を利用できない。

2 再順位付けで確認順序を整える

第2工程は,検索が出した候補を問いとの適合度により採点し,並べ替え,又は一定数へ絞る再順位付けである。
検索が語句又は意味の近さで候補を広く集め,再順位付けが個々の候補と問いを直接比較するという役割分担が考えられる。

TypeSafeの公式クックブックは,米国裁判所意見のデータセットを用いた40件の照会で,BM25が3,565件から30件の候補を作り,Jevが照会と各候補を個別に評価する例を示している。
同クックブックの結果では,正解資料が上位1件に入る割合は5%から18%へ,上位10件に入る割合は38%から62%へ上昇した。
もっとも,これは提供者が選定したデータ,照会,設定及びモデルによる公式実演であり,日本法の実務又は別の文書群で同じ結果になることを示す独立検証ではない。

3 回答作成で法的な意味を説明する

第3工程は,残った資料を読み,問いへの回答,根拠,例外及び留保を文章にする工程である。
候補の関連性を採点する能力と,条文の適用関係,裁判例の射程又は複数資料の矛盾を解く能力は同じではない。

定められた形式の判定を安定して返すことは,法的推論が正しいことを意味しない。
検索又は再順位付けに向くモデルと,長い理由付け又は起案に向くモデルを分け,後者にも確認済みの候補資料だけを渡す方法が考えられる。

4 原典確認で回答を閉じる

第4工程は,人が引用元を開き,書誌,本文,基準時,改廃,射程及び回答との対応を確認する工程である。
AIの回答が自然であること,候補の点数が高いこと又は出力形式が崩れていないことは,この確認を代替しない。

法律調査の完了条件には,少なくとも,①使用したデータベース又は資料群,②検索日,③検索語又は検索条件,④確認した原典,⑤確認できなかった事項,⑥反対資料又は例外,⑦最終確認者を含めることが望ましい。

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TreeeSの開発会社と契約額―日立社会情報サービスの受注範囲と「30億円超」報道の検証(AI作成)

目次第1 結論1 公式資料で確認できる開発会社と契約額2 TreeeS全体の単独開発会社・総額までは確定できない第2 日立社会情報サービスとの16億1616万4000円の契約1 契約公表資料の記載2 この契約から分かる範囲第3 TreeeSと関連調達を分ける1 e提出・e記録管理システム2 RoootS・クラウド・工程管理等3 追加改修第4 「30億円超」という説明をどう検証するか1 今回確認できたこと2 単純合算できない理由第5 令和8年の追加契約第6 確認済み・推論・未確認の区別第7 出典
第1 結論
1 公式資料で確認できる開発会社と契約額

最高裁判所の令和5年度契約公表資料によれば,最高裁判所は令和5年4月3日,「民事訴訟手続のデジタル化に係るe提出・e記録管理システムの設計・開発及び賃貸借保守」を株式会社日立社会情報サービスと契約し,契約金額は16億1616万4000円である。

したがって,少なくとも,利用者側の電子提出・電子記録管理を担う中核システムの設計・開発及び賃貸借保守について,同社が受注したことは公式資料で確認できる。

2 TreeeS全体の単独開発会社・総額までは確定できない

他方,TreeeSは,資料によって,e提出・e記録管理システムを指す場合と,裁判所内部のe事件管理システム(RoootS)及びe法廷との連携まで含むシステム群の総称として使われる場合がある。クラウド,工程管理,運用保守,追加機能改修及び他システム連携も別契約になり得る。

そのため,「TreeeSの開発会社は日立社会情報サービス1社である」,「TreeeSの総開発費は16億円である」とまではいえない。本記事では,契約名と受注範囲を明示して整理する。

第2 日立社会情報サービスとの16億1616万4000円の契約
1 契約公表資料の記載
契約日令和5年4月3日契約件名民事訴訟手続のデジタル化に係るe提出・e記録管理システムの設計・開発及び賃貸借保守契約相手方株式会社日立社会情報サービス契約金額1,616,164,000円公表資料最高裁判所「令和5年度公共調達の適正化に係る契約情報の公表(物品役務等)」7頁
2 この契約から分かる範囲

契約名に「設計・開発及び賃貸借保守」とあるため,単発のソフトウェア購入ではなく,設計・開発から賃貸借保守までを含む契約であることが分かる。ただし,公表表の1行だけでは,機能別の金額内訳,外注先,再委託先,著作権等の帰属又は追加改修費を確認できない。

第3 TreeeSと関連調達を分ける
1 e提出・e記録管理システム

e提出は,利用者ポータル,裁判資料の電子提出,手数料の電子納付及び外部システムとの連携等を担う。e記録管理は,電子記録の整理・保管,アクセス権限の管理並びに利用者による検索・閲覧・複写を担う。日立社会情報サービスとの上記契約は,契約名上,この部分を対象にしている。

2 RoootS・クラウド・工程管理等

RoootSは,事件番号,担当部,当事者及び期日等を裁判所内部で管理するe事件管理システムである。最高裁判所の契約公表資料には,e提出・e記録管理システム以外にも,クラウドサービスやプロジェクト管理支援等の関連契約が掲載されている。

これらは民事裁判手続のデジタル化に関係するが,契約件名・目的・期間が異なる。関連契約をすべて「TreeeS開発費」と呼ぶには,各契約の仕様書と対象範囲を突き合わせる必要がある。

3 追加改修

最高裁判所は,家事事件手続等への拡張,法人ベース・レジストリ連携,後見法改正対応その他の追加機能改修を別に調達している。令和7年7月2日付及び令和8年4月3日付・同年6月9日付の仕様書は,将来の改修内容と工程を確認する資料であり,契約額又は本番実装済みの事実を当然に示すものではない。

第4 「30億円超」という説明をどう検証するか
1 今回確認できたこと

インターネット上には,TreeeSの開発費を「30億円超」と説明する記事がある。しかし,令和8年9月22日までに確認した公開一次資料からは,「TreeeS総開発費30億円超」という名称・範囲・集計期間が一致する公式集計表を確認できなかった。

これは30億円超という説明が直ちに誤りであるという意味ではない。複数年度の設計・開発,クラウド,運用保守,RoootS,追加改修等を一定の基準で合算した可能性があるが,その計算過程と一次資料が示されなければ検証できないという意味である。

2 単純合算できない理由

契約額を集計するときは,①契約件名,②対象システム,③契約期間,④当初契約か変更契約か,⑤再調達・更新契約か,⑥税込・税抜,⑦一部が他の裁判所システムにも共用されるかを確認する必要がある。これをせずに検索結果の金額を足すと,重複計上又は範囲の混同が生じる。

第5 令和8年の追加契約

日本貿易振興機構の政府公共調達データベースには,最高裁判所が令和8年1月30日,「e提出・e記録管理システムの法人ベース・レジストリ連携改修業務」を株式会社日立社会情報サービスと6799万1000円で契約した旨が掲載されている。互換性確保のための随意契約とされている。

この契約は,日立社会情報サービスが中核システムの追加改修も受注していることを示す一方,令和5年契約とは件名・時期・範囲が異なる。両者を紹介するときは,別契約であることを明示する。

(続きを読む...)TreeeSの開発会社と契約額―日立社会情報サービスの受注範囲と「30億円超」報道の検証(AI作成)

TreeeSで手数料を納付する方法―納付番号,インターネットバンキング,ATM及び合算納付(AI作成)

目次第1 結論1 提出と納付は別の処理である2 手数料額の計算は利用者が確認する第2 納付番号の確認1 提出後に表示される情報2 事件台帳へ記録する第3 インターネットバンキングとATM1 インターネットバンキング2 ATM第4 複数申立ての合算1 合算できる範囲2 照合作業第5 納付後の確認1 金融機関側とTreeeS側2 エラー又は二重操作を避ける第6 手数料計算との役割分担1 計算記事2 訴訟提起の記事第7 出典と限界1 確認した資料2 未確認事項
第1 結論
1 提出と納付は別の処理である

TreeeS資料では,訴状等の提出後,入力した手数料額に応じて納付番号等が発行され,インターネットバンキング又はPay-easy対応ATM等から納付する流れが示されている。
提出完了画面が表示されても,手数料の納付が完了したことにはならない。反対に,納付結果だけでは対象事件への提出内容を証明できない。

2 手数料額の計算は利用者が確認する

フォームの自動計算は入力補助であり,資料上,正しい手数料額は利用者が確認するものとされる。訴額,申立ての種類,併合・附帯申立て等により金額が異なる場合は,法令及び裁判所の案内と照合する。

第2 納付番号の確認
1 提出後に表示される情報

納付画面又は提出結果画面に表示される収納機関番号,納付番号,確認番号,金額及び納付期限等を保存する。画面を閉じる前に,対象事件及び申立てとの対応を確認する。

2 事件台帳へ記録する

事務所の事件台帳には,①提出日時,②申立て,③受付結果,④納付番号,⑤金額,⑥納付担当者,⑦納付日時,⑧納付結果を別々の欄で記録する。
番号だけをメール又はチャットで転送すると対象事件を取り違えやすいため,裁判所・当事者・申立て名と組み合わせる。

第3 インターネットバンキングとATM
1 インターネットバンキング

資料上,納付番号を用いてインターネットバンキングから支払う経路が示されている。利用する金融機関がPay-easyに対応しているか,利用時間,振込限度額及び認証方法を事前に確認する。

2 ATM

Pay-easy対応ATMでの納付は,収納機関番号等を入力して行う。コンビニエンスストアに設置された共用ATMが当然に利用できるわけではないため,「コンビニにATMがある」という理由だけで納付可能と判断しない。
利用する金融機関の公式案内及びATM画面でPay-easy対応を確認する。

第4 複数申立ての合算
1 合算できる範囲

TreeeS資料は,複数の申立てについて手数料を合算して納付する機能を示している。ただし,どの申立てを同一の納付に含めるかを確認し,個別の納付番号と合算後の金額との対応を保存する。

2 照合作業

合算納付では,申立てごとの金額の合計と納付額を照合し,対象外事件の混入,二重納付又は納付漏れを防ぐ。納付後の画面又は利用明細を事件記録へ保存する。

第5 納付後の確認
1 金融機関側とTreeeS側

金融機関側で処理が完了しても,TreeeS又は裁判所側へ結果が反映されるまで時間差が生じる可能性がある。金融機関の取引結果とTreeeS上の納付状況の双方を確認する。

2 エラー又は二重操作を避ける

画面遷移の中断や結果不明が生じたときは,直ちに同じ納付を繰り返さず,金融機関の利用明細,口座履歴及びTreeeSの現在表示を確認する。確認できない場合は,対象裁判所又は金融機関の案内に従う。

第6 手数料計算との役割分担

(続きを読む...)TreeeSで手数料を納付する方法―納付番号,インターネットバンキング,ATM及び合算納付(AI作成)

TreeeSのシステム送達と期限管理―受信一覧,閲覧・ダウンロード,1週間及び送達状況(AI作成)

目次第1 結論1 通知メールだけで期限を決めない2 TreeeSの画面表示と法的効果を分ける第2 システム送達の法的仕組み1 受送達者への通知2 効力発生の三つの時点3 責めに帰することができない事由第3 受信一覧と30日1 受信一覧の表示期間2 事務所保存第4 事務職員が閲覧する場合1 GビズIDメンバーの閲覧2 システム送達受取人第5 期限管理の実務1 記録する時刻2 複数人がアクセスできる場合第6 システム直送との違い1 送達と直送を混同しない2 到達の証拠第7 出典と判例確認1 一次資料2 判例秘書等
第1 結論
1 通知メールだけで期限を決めない

システム送達の効力は,通知メールを読んだ時だけに生ずるものではない。民事訴訟法109条の3第1項によれば,送達対象を閲覧した時,端末のファイルへ記録した時又は通知が発せられた日から1週間を経過した時のうち,最も早い時に効力を生ずる。

2 TreeeSの画面表示と法的効果を分ける

TreeeSの受信一覧,ダウンロード操作及び送達状況画面は,事実確認のための重要な資料である。しかし,画面の「送達済み」等の表示だけを切り取らず,通知発信,閲覧,記録及び責めに帰することができない事由の有無を法令に当てはめる。

第2 システム送達の法的仕組み
1 受送達者への通知

民事訴訟法109条の2は,受送達者へ送達対象を閲覧又はファイルへ記録できる措置を講じ,その旨を通知する仕組みを定める。通知は入口であり,送達効そのものと同義ではない。

2 効力発生の三つの時点

効力発生の候補は,①閲覧時,②ファイルへの記録時,③通知発信日から1週間経過時である。最も早い時点が基準になるため,担当者が先に閲覧又はダウンロードすると,1週間を待たずに送達効が発生し得る。

3 責めに帰することができない事由

同条2項は,受送達者の責めに帰することができない事由で閲覧又は記録ができない期間を1週間に算入しないと定める。システム障害等がある場合は,障害情報,発生時刻,エラー画面,問合せ内容及び復旧時刻を保存する。

第3 受信一覧と30日
1 受信一覧の表示期間

TreeeS資料上,システム送達又は直送で受け取ったファイルは,受信一覧から30日間アクセスできると説明されている。この30日は,送達効の発生時期又は上訴期間ではない。

2 事務所保存

受信担当者は,対象事件,書面名,通知時刻,閲覧・ダウンロード時刻及び取得ファイルを事件記録へ保存する。受信一覧が表示されなくなった後も期限計算の根拠を説明できるようにする。

第4 事務職員が閲覧する場合
1 GビズIDメンバーの閲覧

職員が送達書面を閲覧する場合は,担当者,閲覧時刻及び保存時刻を記録する。
画面に表示される操作者名と法的な効力発生時期は別々に確認し,誰がどの時間帯に開封できるかを事務所で決める。

2 システム送達受取人

システム送達受取人は,事件について送達を受ける役割である。サポーターとして提出できることや,訴訟記録一覧を閲覧できることとは別の権限である。
詳しくは,TreeeSで事務職員ができることを参照されたい。

第5 期限管理の実務
1 記録する時刻

通知発信時刻,最初の閲覧時刻,最初のダウンロード時刻,送達状況表示及び担当弁護士への連絡時刻を別々に記録する。通知メールの受信時刻だけを期限計算表へ転記しない。

2 複数人がアクセスできる場合

複数の弁護士・職員がアクセスできる事務所では,最初に開いた者が誰かを後から確定できるよう,受信担当とエスカレーション方法を定める。各自の個別アカウントを用い,共用IDによって閲覧者が不明になる運用を避ける。

(続きを読む...)TreeeSのシステム送達と期限管理―受信一覧,閲覧・ダウンロード,1週間及び送達状況(AI作成)

TreeeSのサポーターとは―登録・提出権限,事件記録の閲覧及び送達受取人との違い(AI作成)

目次第1 結論1 事件単位で提出を補助する役割である2 送達受領・常時閲覧とは別である第2 登録の対象1 職員自身のアカウント2 事件ごとの指定第3 できること1 書面提出の補助2 本人の依頼・承諾第4 できないこと又は別登録が必要なこと1 訴訟記録一覧の常時閲覧2 システム送達の受領3 サポーター兼送達受取人第5 登録・解除の確認1 登録時2 解除時第6 GビズIDメンバーとの違い1 組織アカウントではない2 事務所方式を先に決める第7 出典と限界1 確認した資料2 未確認事項
第1 結論
1 事件単位で提出を補助する役割である

令和7年7月2日付の公開調達資料62頁は,外部ユーザを当事者・代理人,サポーター,送達受取人等に分け,サポーターの例として法律事務所事務員等を挙げる。
これは役割の区分を示す調達資料であり,職員の職位又は訴訟代理人資格そのものではない。

2 送達受領・常時閲覧とは別である

サポーターであるだけでは,システム送達受取人にはならず,訴訟記録一覧から事件記録を常時閲覧できるとも説明されていない。「提出できる」「記録を見られる」「送達を受ける」を分ける。

第2 登録の対象
1 職員自身のアカウント

GビズIDを使わない方式では,事務職員が自分のTreeeS個人アカウントを取得し,対象事件へサポーターとして関連付ける方法が示されている。共用アカウントを用いない。

2 事件ごとの指定

サポーターの権限は個別事件に結び付く。担当事件が変わった場合,新事件への登録と旧事件からの解除をそれぞれ確認する。

第3 できること
1 書面提出の補助

資料上,サポーターは事件内へ直接書面を提出できる役割として整理されている。ただし,提出する書面の内容,提出期限,代理権及び弁護士の承認は別問題である。

2 本人の依頼・承諾

サポーターが入力する際に,本人の依頼又は承諾に関する書面の登録が示されている。依頼書面の要否,形式及び提出先は最新マニュアルと対象事件の画面で確認する。

第4 できないこと又は別登録が必要なこと
1 訴訟記録一覧の常時閲覧

同調達資料62頁の注記では,サポーターのオンライン提出,事件記録の閲覧及び送達受領は別に扱われている。
提出した書面や送達対象文書へのアクセスと事件記録全体の閲覧を分け,最終的な操作範囲は本番の公開案内で確認する。

2 システム送達の受領

送達を受けるには,システム送達受取人としての役割が必要である。提出補助だけを依頼する職員に送達受領まで付与するかを事件ごとに判断する。

3 サポーター兼送達受取人

資料上,サポーターとシステム送達受取人を兼ねる区分がある。この場合でも,訴訟記録一覧の常時閲覧とは別である。

第5 登録・解除の確認
1 登録時

①対象事件,②本人又は代理人,③サポーター本人,④提出権限,⑤送達受領権限,⑥依頼・承諾書面を確認する。

2 解除時

担当終了,休職又は退職時には,事件側のサポーター登録を解除し,必要に応じてアカウント自体の利用停止も行う。解除後の未処理下書き及び受信書面がないかを確認する。

(続きを読む...)TreeeSのサポーターとは―登録・提出権限,事件記録の閲覧及び送達受取人との違い(AI作成)

TreeeSで訴訟記録を閲覧・ダウンロードする方法―記録一覧,記録外,関連事件及び電子署名(AI作成)

目次第1 結論1 事件詳細画面には複数の領域がある2 画面表示と閲覧権限を区別する第2 各一覧の役割1 訴訟記録一覧2 証拠一覧3 記録外一覧第3 関連事件と表示の切替え1 関連事件を取り違えない2 一覧の並び順を保存証拠にしない第4 ダウンロードと電子署名1 表示用データと電子署名付きデータ2 ファイルの保存方法第5 閲覧権限と事務職員1 GビズIDメンバー2 サポーター等第6 30日表示との違い1 受信一覧と提出一覧2 法的な記録保存期間ではない第7 関連記事と出典1 関連記事2 一次資料と未確認事項
第1 結論
1 事件詳細画面には複数の領域がある

TreeeSの事件詳細画面では,訴訟記録一覧,証拠一覧及び記録外一覧等が区別される。表示されているファイルを一括して「事件記録」と呼ぶと,法的な訴訟記録,証拠及び事務処理用の参考資料を混同する。

2 画面表示と閲覧権限を区別する

システム上のリンクが表示されることと,法令上その記録を閲覧・複写できることは同じではない。当事者・代理人,サポーター,システム送達受取人等の地位によりアクセス範囲が異なる。

第2 各一覧の役割
1 訴訟記録一覧

訴訟記録一覧には,裁判所が事件の電子記録として整理した書面等が表示される。提出直後のファイルが直ちに確定的な訴訟記録として表示されるとは限らず,裁判所による立件・関連付け・記録整理の段階を区別する。

2 証拠一覧

証拠一覧では,書証番号等を手掛かりに証拠及び関連データを確認する。証拠説明書,翻訳文,音声・動画等の関連データと元の証拠との対応を,画面表示だけでなく事務所の証拠台帳にも残す。

3 記録外一覧

和解条項案,参考情報その他の記録外資料が置かれる領域である。どの当事者が閲覧できるか,裁判所だけが閲覧する資料かを提出時の選択と併せて確認する。
記録外の選択は,民事訴訟法上の秘匿措置又は閲覧等制限申立ての代替ではない。

第3 関連事件と表示の切替え
1 関連事件を取り違えない

同じ当事者間の関連事件,併合前後の事件その他の関連事件へ切り替えられる場合,画面上部の裁判所,事件番号,事件名及び当事者を確認する。
ダウンロードする前に,現在開いている事件と目的の記録が一致するか確認し,保存先フォルダも事件単位で分ける。

2 一覧の並び順を保存証拠にしない

一覧の表示順,検索結果又は絞込み条件は,記録の法的な順序や完全性を当然に示すものではない。必要な期間・書面種別を確認し,漏れが疑われる場合は裁判所へ確認する。

第4 ダウンロードと電子署名
1 表示用データと電子署名付きデータ

資料上,電子署名付きデータをダウンロードする経路が示されている。閲覧用に開いたPDFと,電子署名情報を含む取得データが同一の利用目的とは限らない。
裁判所が電子署名を付した文書については,取得したファイルをそのまま保存し,印刷物又はスクリーンショットだけに置き換えない。

2 ファイルの保存方法

ダウンロード日時,対象事件,書面名,ファイル名及び取得者を記録する。ZIPその他の集合ファイルを取得した場合は,元ファイルと展開後ファイルの双方を管理し,元の構成を失わない。
電子署名はファイルが改変されていないこと等の確認に利用できるが,文書内容の真実性,主張の正しさ又は事件記録全体の完全性を当然に証明するものではない。

第5 閲覧権限と事務職員
1 GビズIDメンバー

職員に記録閲覧を担当させる場合は,GビズID側の利用サービス設定と,TreeeS側の事件ごとの閲覧権限を別に確認する。

(続きを読む...)TreeeSで訴訟記録を閲覧・ダウンロードする方法―記録一覧,記録外,関連事件及び電子署名(AI作成)

TreeeSの招待キーを使う方法―当事者本人,訴訟代理人,委任状及びシステム送達の届出(AI作成)

目次第1 結論1 招待キーは事件への入口である2 事件と当事者を照合する第2 当事者本人による入力1 招待キー情報2 関連付け後の確認第3 訴訟代理人が関与する場合1 代理人情報と委任状2 複数代理人第4 答弁書の提出1 事件詳細画面から提出する2 PDFと入力欄第5 システム送達の届出1 事件への関連付けとは別である2 送達受取人第6 事務所内の確認表1 登録時2 登録後第7 関連記事と出典1 関連記事2 確認範囲
第1 結論
1 招待キーは事件への入口である

TreeeS資料では,応訴する当事者本人について招待キーが発行され,その情報を入力して対象事件へ関連付く手順が示されている。招待キーを入力しただけで,代理権,送達受領の届出又は答弁書提出がすべて完了するわけではない。

2 事件と当事者を照合する

入力前に,裁判所,事件番号,事件名,原告・被告及び招待キーの宛先を確認する。別事件又は別当事者の招待キーを使用しない。

第2 当事者本人による入力
1 招待キー情報

通知された招待キー,事件情報その他の入力事項を,裁判所から届いた書面又は公式画面と照合する。招待キーをメール等で転送する場合は,誤送信及び第三者利用を防ぐ。

2 関連付け後の確認

関連付け後に表示された裁判所,事件番号,当事者及び利用できる機能を確認する。事件が表示されたことと,訴訟記録の全範囲を閲覧できること又は代理人として登録されたことを同一視しない。

第3 訴訟代理人が関与する場合
1 代理人情報と委任状

訴訟代理人は,代理人情報を登録し,委任状その他の代理権を証する書面を提出する。事務職員が操作を補助する場合も,職員のアカウント上の役割と弁護士の訴訟代理権を区別する。

2 複数代理人

複数の代理人がいる場合は,各代理人の登録状況,送達受領者及び担当範囲を確認する。代表者又は最初の登録者だけを確認して終えない。

第4 答弁書の提出
1 事件詳細画面から提出する

事件に関連付いた後は,事件詳細画面から答弁書の提出フォームへ進む。事件情報が自動表示される場合でも,提出直前に裁判所,事件番号,当事者及び提出者を確認する。

2 PDFと入力欄

答弁内容をPDFで登録する場合,フォームへ直接入力した内容との上書き関係に注意する。確認画面又は生成帳票で,答弁の趣旨,認否及び主張が欠けていないか読む。

第5 システム送達の届出
1 事件への関連付けとは別である

システム送達を受ける旨の届出は,招待キー入力又は答弁書提出とは別に確認する。民事訴訟法109条の4は,届出義務がある者が届出をしていない場合についても所定の送達を可能とするため,届出をしなければ送達されないと考えてはならない。

2 送達受取人

事務職員等をシステム送達受取人にする場合は,事件単位の役割,受信一覧へのアクセス及び最初の閲覧時刻の管理を確認する。詳しくは,TreeeSで事務職員ができることを参照されたい。

第6 事務所内の確認表
1 登録時

①招待キーの宛先,②裁判所・事件番号,③当事者,④代理人,⑤委任状,⑥送達受取人,⑦提出予定の答弁書を確認する。

2 登録後

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TreeeSで係属事件に書面を提出する方法―事件詳細画面,同時提出,下書き保存及び受付確認(AI作成)

目次第1 結論1 事件詳細画面から始める2 提出完了を一つの状態にまとめない第2 提出する書面と入口1 通常の事件書面2 参考書面と記録外領域3 事件に関連付いていない場合第3 同時提出と一時保存1 複数書面の同時提出2 一時保存は提出ではない第4 誤事件提出を防ぐ確認1 提出直前の確認項目2 フォーム入力とPDFの上書き第5 提出後の証拠化1 受付結果を保存する2 相手方への到達とは別である第6 関連記事1 操作索引2 事務職員の権限第7 出典と限界1 確認した資料2 未確認事項
第1 結論
1 事件詳細画面から始める

係属中の事件へ準備書面その他の書面を提出するときは,ユーザポータルで対象事件を開き,事件詳細画面の「事件の申立て・書面の提出」から始めるのが基本である。この入口を使うと,裁判所及び事件番号等が入力された状態でフォームが表示されると説明されている。
一般の申立て検索画面からも書面を探せる場合があるが,事件番号等を手入力する経路では誤事件提出の危険が増える。

2 提出完了を一つの状態にまとめない

下書き保存,送信操作,システム受領,裁判所による事件への関連付け及び相手方への直送又は送達は別である。画面上の一つの表示だけで,すべてが完了したと扱わない。

第2 提出する書面と入口
1 通常の事件書面

準備書面,証拠申出書その他の事件書面は,対象事件の詳細画面から該当フォームを選ぶ。提出者,書面名,提出先フォルダ及び相手方への送付関係を確認する。
書証は専用フォームを使い,証拠説明書の入力項目と併せて処理するため,TreeeSでの書証の提出を参照されたい。

2 参考書面と記録外領域

和解条項案その他の訴訟記録としない資料について,TreeeS資料は「参考書面」として記録外フォルダへ提出する経路を示している。
記録外フォルダへ提出することは,法律上の秘匿決定又は閲覧等制限を当然に生じさせるものではない。資料の性質,閲覧させる相手及び必要な申立てを別に検討する。

3 事件に関連付いていない場合

補助参加の申出等,提出者のアカウントがまだ事件に関連付いていない場面では,裁判所・事件番号等を手入力する経路が示されている。提出後も裁判所の確認・関連付けが済むまでは,事件が訴訟記録一覧に表示されない場合がある。

第3 同時提出と一時保存
1 複数書面の同時提出

複数の書面を一度に提出できる場合でも,各書面の事件,書面名,ファイル及びフォルダを個別に確認する。同時提出は確認作業を不要にする機能ではない。
主張書面と書証,翻訳文その他の関連データを提出するときは,それぞれの対応関係を事件外の提出台帳にも残す。

2 一時保存は提出ではない

フォームを一時保存しても裁判所へ提出されたことにはならない。資料上,下書きには保存期限及び件数上限が設定されるため,期限直前の下書きを正式な事件記録として依存しない。
下書きの作成日,担当者,提出予定日及び確認者を事務所内で管理する。

第4 誤事件提出を防ぐ確認
1 提出直前の確認項目

提出直前に,①裁判所,②事件番号,③事件名,④当事者,⑤提出者の肩書,⑥書面名,⑦ファイルの版・頁数,⑧提出先フォルダ,⑨同時提出する添付資料,⑩直送又は送達の対象を確認する。
特に,複数事件で似た書面名を使う場合は,ファイル名だけでなくPDFを開いて表紙及び事件番号を確認する。

2 フォーム入力とPDFの上書き

資料上,準備書面等のフォームでは,主張内容をPDFでアップロードするとフォームに直接入力した内容が消える欄がある。入力済み文字列とアップロードPDFが併存すると思い込まず,確認画面又は出力帳票で本文全体を読む。

第5 提出後の証拠化

(続きを読む...)TreeeSで係属事件に書面を提出する方法―事件詳細画面,同時提出,下書き保存及び受付確認(AI作成)

TreeeS導入前に法律事務所が準備すること―アカウント台帳,提出経路台帳及びデータ保存(AI作成)

目次第1 結論1 システム導入は事件管理と権限管理の変更である2 二つの台帳を分ける第2 提出経路台帳1 記録する項目2 移送時の再判定第3 アカウント・権限台帳1 弁護士2 事務職員3 共用アカウントを使わない第4 提出の業務フロー1 二者確認2 六つの状態を分ける第5 受信と期限管理1 受信担当2 期限計算第6 30日以内の保存1 対象2 保存するデータ第7 担当変更・退職・障害1 担当変更と退職2 障害記録第8 関連記事1 制度と導入時期2 操作索引第9 出典と限界1 確認資料2 実務提案と未確認事項
第1 結論
1 システム導入は事件管理と権限管理の変更である

TreeeSへの移行準備は,新しいログイン方法を覚えるだけでは足りない。事件ごとの提出経路,弁護士・職員のアカウント,提出・閲覧・送達受領の権限及び30日で見えなくなるデータの保存方法を一体で設計する。

2 二つの台帳を分ける

事件ごとの提出経路台帳と,人物・アカウントごとの権限台帳を分ける。事件が終わってもアカウントは残り,職員が退職しても事件は続くためである。

第2 提出経路台帳
1 記録する項目

事件名,裁判所,事件番号,提起日,旧法・新法,紙・mints・TreeeSの別,移送歴,使用開始日,最終確認した裁判所案内及び担当者を記録する。

2 移送時の再判定

移送決定があった場合は,移送先裁判所の導入状況と新しい事件番号を確認する。mintsとTreeeSの事件データが自動移行することを前提にしない。

第3 アカウント・権限台帳
1 弁護士

TreeeSのユーザID,登録メール,GビズID利用の有無,プライムの有効期限,職務上氏名,連絡先住所,認証端末及び資格確認の状況を記録する。

2 事務職員

職員ごとのアカウント,メールアドレス,GビズIDメンバーのサービス権限,TreeeS事件上のサポーター・送達受取人等の役割,担当事件及び解除日を記録する。

3 共用アカウントを使わない

提出者,閲覧者及び送達書面を開いた者を特定できるよう,個人単位のアカウントを使う。パスワード・認証端末を共有しない。

第4 提出の業務フロー
1 二者確認

提出直前に,裁判所,事件番号,当事者,書面名,提出者の肩書,ファイルの版・頁数,提出先フォルダ,証拠番号及び秘匿情報を作成者とは別の者が確認する。

2 六つの状態を分ける

①下書き保存,②送信操作,③システム受領,④裁判所の立件・関連付け,⑤手数料納付,⑥送達効発生を別々に記録する。「提出済み」という一欄だけで管理しない。

電子提出を支援するAIサービスを使う場合も,サービス側の「作成完了」又は「パッケージ完成」を,裁判所側の受領確認に置き換えない。最終PDFの版,裁判所システムでの提出操作及び受付情報を別々に記録する。契約・情報管理を含む導入時の確認事項は,裁判所への電子提出を支援するAIサービスの導入・検収を参照されたい。

第5 受信と期限管理
1 受信担当

通知を監視する担当者,開封できる者,担当弁護士への連絡方法及び不在時の代替者を決める。最初の閲覧又はダウンロードが送達効の発生時点になり得る。

2 期限計算

通知発信,閲覧,ダウンロード及び1週間経過の各時刻を記録し,最も早い効力発生時点を検討する。通知メールの受信時刻だけを期限起算日にしない。

第6 30日以内の保存

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TreeeSでGビズIDメンバーを使う方法―法律事務所職員のアカウント,権限設定及びメールアドレス(AI作成)

目次第1 結論1 GビズIDメンバーは職員本人のアカウントである2 広いシステム権限と訴訟代理権は別である第2 作成とサービス権限1 プライム側の操作2 メンバー本人の操作第3 TreeeSでできること1 提出と記録閲覧2 送達・直送書面3 本人の最終責任第4 メールアドレスの設計1 一人一アドレス2 複数弁護士を補助する場合第5 有効期限と異動・退職1 GビズIDの有効期限2 二重の棚卸し第6 サポーターとの違い1 アカウントと事件上の役割2 GビズID非連携の場合第7 出典と限界1 確認した一次資料2 未確認事項
第1 結論
1 GビズIDメンバーは職員本人のアカウントである

GビズIDメンバーは,GビズIDプライム利用者が所属職員へ権限を付与して作成するアカウントである。法律事務所内で一つの共用IDを使う仕組みではない。

2 広いシステム権限と訴訟代理権は別である

デジタル庁のメンバー編は,職員用メンバーの作成と利用可能なサービスの設定を別に説明している。
アカウントを作成したことだけでTreeeSの登録や個別事件の権限が完成したとは判断できず,職員が訴訟代理人になるものでもない。

第2 作成とサービス権限
1 プライム側の操作

GビズIDプライム又は管理権限を持つ者がメンバーを作成し,利用可能な行政サービスを設定する。TreeeSを利用できるサービスとして許可されているかを確認する。

2 メンバー本人の操作

招待を受けた職員は,自分のメールアドレス,認証方法及び登録情報を用いて手続きを完了する。パスワードや認証端末を他の職員と共有しない。

第3 TreeeSでできること
1 提出と記録閲覧

GビズID側で利用可能なサービスを設定した後も,サービス側の登録条件及び事件への関連付けを確認する。
TreeeSの提出・記録閲覧を担当させる場合は,操作範囲と弁護士の承認方法を本番の公開案内及び事件画面で確認する。

2 送達・直送書面

送達の受信担当,閲覧・保存した時刻及び弁護士への報告を管理する。
職員が閲覧した場合の画面表示と,法的な送達の効力発生時期は,それぞれの根拠と実際の送達状況を確認する。

3 本人の最終責任

職員が操作できても,提出内容,事件,期限及び代理権の確認は別である。事務所内で弁護士の承認を経る段階を定め,承認者と送信者を記録する。

第4 メールアドレスの設計
1 一人一アドレス

操作履歴と本人を対応させるため,職員ごとのメールアドレスを用いる。同じメールアドレスを複数人で利用しない。

2 複数弁護士を補助する場合

職員ごとの登録済みメールアドレス,所属,管理者及び利用可能なサービスを先に確認する。
複数の弁護士を補助する場合は,それぞれのサービスが要求するアカウント構成に合わせ,命名,受信先及び退職時の停止方法を決める。

第5 有効期限と異動・退職
1 GビズIDの有効期限

デジタル庁の現行案内では,GビズIDプライム及びメンバーの有効期間は原則2年3か月である。プライムが期限切れになると,紐づくメンバーの行政サービスログインにも制限が生じ得る。

(続きを読む...)TreeeSでGビズIDメンバーを使う方法―法律事務所職員のアカウント,権限設定及びメールアドレス(AI作成)

TreeeSはいつからどの裁判所で使うのか―先行導入,mintsとの併存及び移送時の取扱い(AI作成)

目次第1 結論1 令和9年1月に名古屋地区で先行導入予定2 全国一斉の確定日は未公表第2 令和8年5月21日以後の現行運用1 民事訴訟の全面デジタル化2 対象外手続第3 紙・mints・TreeeSの判定1 旧法適用事件2 新法適用事件3 事件単位で記録する第4 移送時の取扱い1 mints事件がTreeeS導入庁へ移送された場合2 TreeeS事件が他庁へ移送された場合3 運用予定として扱う第5 mintsから自動移行するとは限らない1 アカウント2 事件データ第6 導入確認のチェックリスト1 提出前2 導入後第7 出典と証拠区分1 確認済みの一次資料2 予定と未確認事項
第1 結論
1 令和9年1月に名古屋地区で先行導入予定

令和8年2月27日付の最高裁判所事務総局から日弁連事務総長宛ての通知によれば,TreeeSは令和9年1月から,名古屋高等裁判所本庁,名古屋地方裁判所本庁・支部及び同地裁管内の簡易裁判所へ先行導入される予定である。

2 全国一斉の確定日は未公表

全庁導入は令和9年度中を目指すとされるが,裁判所ごとの導入日を示す確定日程表は今回確認した資料にない。調達仕様書の工程は開発・運用予定の一次資料であるが,実際のサービス開始を確認する資料ではない。

令和8年10月4日に匿名で確認したTreeeS研修環境には,研修環境であり一般の方は利用できないこと及び電子申立てにはmintsを利用することが表示されている。研修画面へのアクセスと本番稼働は区別する。入口は,TreeeSのログインと研修環境で説明する。

日程を読む際は,①令和9年1月の名古屋地区先行導入予定,②令和9年度中の全庁導入目標,③各裁判所の具体的な利用開始日を分ける。令和9年度は令和9年4月から令和10年3月までであり,「令和9年中」と同じ期間ではない。

第2 令和8年5月21日以後の現行運用
1 民事訴訟の全面デジタル化

改正民事訴訟法等は令和8年5月21日に全面施行された。弁護士等の所定の訴訟代理人には電子申立てが原則として義務付けられ,現在,裁判所はmintsを電子申立て等のシステムとして案内している。

2 対象外手続

民事執行,倒産,労働審判,家事事件等は,令和8年5月21日の民事訴訟フェーズ3と同じ範囲で一律にオンライン申立ての対象になったものではない。裁判所は,これらを令和10年6月までにオンライン申立て等の対象とする予定と案内している。手続類型ごとの施行日,システム及び調達工程の違いは,TreeeSは家事・倒産・民事執行でいつ使えるかで整理する。

第3 紙・mints・TreeeSの判定
1 旧法適用事件

裁判所の公開案内は,令和8年5月20日以前に訴えの提起等がされた事件でも,当事者双方に訴訟代理人がある等の条件を満たす場合は,経過措置によるmints提出が可能と説明している。旧法適用事件だから電子提出を全く利用できないとは判断せず,具体的事件の適用条件を確認する。

2 新法適用事件

令和8年5月21日以後の新法適用事件では,現在は裁判所の公開案内に従ってmintsを用いる。TreeeS先行導入後にどの事件で利用するかは,裁判所ごとの導入案内と対象事件の条件を確認する。

3 事件単位で記録する

事務所の事件台帳に,提起日,裁判所,適用法,使用システム,移送歴及び確認した裁判所案内の日付を記録する。「令和9年になったらすべてTreeeS」といった一律処理をしない。

第4 移送時の取扱い
1 mints事件がTreeeS導入庁へ移送された場合

mintsを利用していた事件がTreeeS導入庁へ移送されても,導入庁への移送だけからシステムの自動切替えを判断しない。移送元・移送先への提出経路,事件番号及び記録の引継ぎ方法を両裁判所へ確認する。

2 TreeeS事件が他庁へ移送された場合

TreeeSを利用する事件が別の裁判所へ移送される場合は,移送先が利用するシステムと提出方法を確認する。提出済みデータ,送達状況及び記録の引継ぎ範囲も,移送決定後の裁判所の指示に従って照合する。

3 運用予定として扱う

上記は移送時の実務上の確認事項であり,本番で一律の切替処理が実装されたと説明するものではない。両裁判所の指示と事件画面を確認して処理する。

第5 mintsから自動移行するとは限らない
1 アカウント

令和8年4月3日付調達仕様書には,mintsと同じメールアドレスを利用してTreeeSのユーザIDを取得するための改修案がある。しかし,mintsのID・パスワードがそのままTreeeSのIDになることを意味しない。

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TreeeSのアカウント登録―GビズID,mintsと同じメールアドレス及び本人・資格確認(AI作成)

目次第1 結論1 登録前にGビズID利用の有無を決める2 とりあえず登録しない第2 アカウント種別1 士業者を選択する2 GビズID利用と非利用第3 mintsと同じメールアドレス1 同じアドレスを用いる改修案2 アカウントの自動移行ではない第4 GビズID1 プライムとメンバー2 有効期限3 一人一アカウント第5 本人・資格確認と登録情報1 氏名2 住所3 二要素認証第6 登録前チェックリスト1 弁護士本人2 事務所運用第7 関連記事と出典1 関連記事2 出典と未確認事項
第1 結論

mintsの登録・補助者・招待キー等については,mints準備の手引の令和8年10月2日改訂―法律事務所が見直す7つの運用を参照されたい。このmintsの説明からTreeeSの本番仕様が確定するものではない。

1 登録前にGビズID利用の有無を決める

令和8年4月3日付公開調達仕様書35頁は,GビズIDを利用するかをユーザID取得前に選ぶことと,非利用で取得した後は連携方式へ切り替えられない旨の注意文言を追加する改修案を示している。
最終的な本番条件を確認し,職員の利用方法を決めてから登録する。

2 とりあえず登録しない

弁護士本人のアカウント,事務職員の補助方法,メールアドレス,GビズID管理者,有効期限及び退職時の処理を決めてから登録する。

第2 アカウント種別
1 士業者を選択する

令和8年9月19日に確認された研修環境では,「個人のかた」「法人」「士業者(弁護士・司法書士・弁理士)」の区分があり,弁護士法人等に所属する弁護士も士業者を選択する旨が表示されていた。

2 GビズID利用と非利用

法人又は士業者では,GビズIDを利用して登録する経路と,GビズIDを使わずメールアドレス等から登録する経路が示されている。非利用経路で登録した後の連携変更可否は,本番案内を確認する。

第3 mintsと同じメールアドレス
1 同じアドレスを用いる改修案

令和8年4月3日付調達仕様書は,士業者がmintsアカウントと同じメールアドレスを利用してTreeeSのユーザIDを取得する画面文言を示している。弁護士資格の確認を円滑にする経路と考えられる。

公開された同日付調達仕様書37頁には,「mintsと同じメールアドレスを利用する」ボタンをラジオボタンへ変更する案と,ボタンを非活性化して資格証明書のアップロード欄の表示名を改める案が,ORの代替案として記載されている。
38頁の詳細は前者の案を説明している。4月3日の調達資料だけでは,どちらが最終的な本番仕様として採用されるかを確定できない。仕様案の記載と,弁護士資格の確認が円滑になるとの推測を区別し,最終の利用案内で確認する。

2 アカウントの自動移行ではない

同じメールアドレスを使うことは,mintsのID,パスワード,補助者設定又は事件データがTreeeSへ自動移行することを意味しない。対象となるmintsアカウントとメールアドレス一致条件を最終案内で確認する。

第4 GビズID
1 プライムとメンバー

GビズIDプライムは法人代表者又は個人事業主等のアカウントであり,プライム利用者は所属職員にGビズIDメンバーとしての権限を付与できる。TreeeSで利用できるサービス権限はGビズID側でも設定する。

2 有効期限

デジタル庁の現行案内では,GビズIDプライム及びメンバーの有効期間は原則として発行日から2年3か月である。プライムの期限切れは,紐づくメンバーの行政サービスログインにも影響し得るため,事務所で更新期限を管理する。

3 一人一アカウント

職員アカウントを共用せず,操作した者を識別できるようにする。
デジタル庁のメンバー編は,メンバーの作成と利用可能サービスの設定を別の段階として示している。複数の弁護士を補助する場合は,登録済みアドレス,所属及びサービスごとの権限条件を確認してからアカウントを設計する。

第5 本人・資格確認と登録情報
1 氏名

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TreeeSの下書き・提出書面・受信データはいつ消えるか―30日以内の保存と事務所の記録管理(AI作成)

目次第1 結論1 「30日」は一つの法定期間ではない2 送達効・上訴期間・記録保存と分ける第2 下書きの30日1 一時保存の期限2 件数上限第3 提出書面一覧の30日1 提出結果の確認画面2 提出証拠の保存第4 受信一覧の30日1 システム送達・直送のファイル2 閲覧・ダウンロードは送達効に影響する第5 訴訟記録一覧との違い1 事件記録の閲覧2 法的な保存期間第6 事務所の保存手順1 毎回保存するもの2 ファイル名と台帳第7 関連記事と出典1 関連記事2 出典と限界
第1 結論
1 「30日」は一つの法定期間ではない

TreeeS資料では,下書き,提出書面一覧及び受信一覧について30日という表示又は保持期間が示されている。しかし,これらは同じ法的意味を持つ期間ではない。

2 送達効・上訴期間・記録保存と分ける

受信一覧からファイルが見えなくなる時期と,システム送達の効力が生じる時期,上訴期間及び裁判所の訴訟記録保存期間は別である。「30日以内なら期限に間に合う」といった理解をしない。

第2 下書きの30日
1 一時保存の期限

TreeeS操作資料では,申立て又は書面提出フォームの一時保存について,保存日から30日という期限が示されている。下書きは裁判所への提出ではなく,期限経過前に正式送信しなければならない。

2 件数上限

下書きには件数上限も設定されるとの説明がある。重要書面の唯一の原本を下書き画面に置かず,Word・PDF等の作成原稿を事件フォルダで管理する。

第3 提出書面一覧の30日
1 提出結果の確認画面

提出書面一覧は,利用者が送信した書面,対象事件及び受付結果を確認するための画面である。資料上の表示期間が経過すれば,一覧から確認できなくなる可能性がある。

2 提出証拠の保存

提出直後に,提出日時,受付結果,提出ファイル,裁判所,事件番号及び提出者を保存する。通知メールだけでなく,受付画面又は一覧の表示も保存する。

第4 受信一覧の30日
1 システム送達・直送のファイル

TreeeS資料上,システム送達又はシステム直送で受信したファイルは,受信一覧から30日間アクセスできるとされる。期間内に事件フォルダへ保存する。

2 閲覧・ダウンロードは送達効に影響する

民事訴訟法109条の3によれば,閲覧又は端末への記録は,通知発信から1週間経過するより前に送達効を生じさせ得る。保存作業の担当者と実行時刻を記録する。

第5 訴訟記録一覧との違い
1 事件記録の閲覧

当事者・代理人は,資料上,事件の訴訟記録一覧から記録を閲覧できると説明されている。受信一覧又は提出書面一覧の30日と,事件記録へのアクセスを混同しない。

2 法的な保存期間

裁判所が訴訟記録を保存する期間は,法令・規程及び事件類型により判断される。TreeeS画面の30日から裁判所の保存期間を導くことはできない。

第6 事務所の保存手順
1 毎回保存するもの

①提出前の最終PDF,②提出結果,③受付時刻,④納付情報,⑤受信ファイル,⑥閲覧・ダウンロード時刻,⑦送達状況を事件単位で保存する。

2 ファイル名と台帳

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TreeeSで訴訟を提起する方法―訴状フォーム,当事者・代理人,添付資料及び受付番号(AI作成)

目次第1 結論と記事の対象1 新規申立てはユーザポータルから始める2 資料上の操作と本番運用を区別する第2 訴状フォームへ入力する事項1 裁判所,事件類型及び当事者2 訴訟代理人と委任状3 請求の趣旨・原因とPDF第3 添付資料と参考情報1 訴状本体,別紙及び添付資料を区別する2 参考情報は訴状本文ではない第4 提出前後に分けて確認する事項1 提出前の確認2 提出後の確認3 手数料納付と立件を別に管理する第5 関連記事1 TreeeSの総合案内2 操作マニュアルの索引第6 出典と確認範囲1 一次資料2 未確認事項
第1 結論と記事の対象
1 新規申立てはユーザポータルから始める

TreeeSで新たに訴えを提起する場合は,係属事件の事件詳細画面ではなく,ユーザポータルの新規申立ての入口から訴状フォームを選ぶ。
訴状フォームへの入力,添付ファイルの登録,手数料額の確認及び提出操作は一連の流れであるが,「送信したこと」「裁判所のシステムに到達したこと」「事件として立件されたこと」「手数料を納付したこと」は別の状態である。

2 資料上の操作と本番運用を区別する

本記事は,令和8年9月20日までに確認したTreeeS操作マニュアル(当事者用)及び最高裁判所提供資料に基づく。TreeeSは令和9年1月から名古屋地区で先行導入される予定であり,本番稼働後の画面,受付時間,障害時の取扱い及び最終的な入力制御は導入時の公式案内で再確認する必要がある。

第2 訴状フォームへ入力する事項
1 裁判所,事件類型及び当事者

最初に提出先裁判所及び申立ての種類を選び,原告・被告その他の当事者情報を入力する。氏名・名称,住所,送達場所及び法人の代表者を,訴状本文や登記事項証明書等の添付資料と照合する。
同姓同名,当事者の追加・削除,法人名の表記及び支店・本店の区別を,提出直前に再確認する。

2 訴訟代理人と委任状

訴訟代理人欄には,事件を担当する弁護士の情報を入力する。事務職員が入力操作を補助する場合でも,訴訟代理権を有する者と,システム上の入力者又はサポーターとは別である。
委任状その他の代理権を証する書面は,対象事件,当事者及び代理人との対応を確認した上で添付する。

3 請求の趣旨・原因とPDF

請求の趣旨及び請求の原因は,フォームへ直接入力する方法と,PDFを登録する方法が示されている。資料上,PDFをアップロードすると先に入力した文字列が消える欄があるため,入力済みの本文が残ると考えたまま提出してはならない。
提出前に生成される帳票又は確認画面を開き,請求の趣旨,請求の原因,別紙及び添付資料が意図した構成になっているか確認する。

第3 添付資料と参考情報
1 訴状本体,別紙及び添付資料を区別する

訴状本文に組み込まれる別紙と,資格証明書,委任状,証拠その他の添付資料は役割が異なる。ファイル名だけで判断せず,どの帳票又はフォルダに入るかを確認する。
書証を訴状と同時に提出する場合は,証拠番号,証拠の表示,作成者及び立証趣旨を証拠台帳と照合する。詳しい入力方法は,TreeeSでの書証の提出を参照されたい。

2 参考情報は訴状本文ではない

訴状フォームの参考情報として登録した内容は,資料上,訴状とは別の記録外領域に置かれ,裁判所が事務処理のために参照するものとされる。
参考情報欄は,請求原因,重要な主張又は相手方へ伝えるべき事項の代わりにはならない。また,秘匿決定や閲覧等制限の申立てを代替するものでもない。

第4 提出前後に分けて確認する事項
1 提出前の確認

提出前には,①裁判所,②事件類型,③当事者,④代理人,⑤請求の趣旨・原因,⑥添付ファイルの版・頁数,⑦書証番号,⑧手数料額,⑨秘匿情報・個人番号等の有無を確認する。
TreeeSの手数料額表示は入力補助であり,正しい金額を最終的に保証するものとはされていない。手数料の計算は,民事訴訟の申立手数料の計算方法と照合する。

2 提出後の確認

送信後は,提出結果,受付時刻,受付番号その他の識別情報,提出ファイル及び提出先を保存する。通知メールだけで到達を証明したことにはならない。

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国内のリーガルテック・国産AIの規約は入力データをどう扱うか―学習条項と派生データ条項の比較(AI作成)

目次第1 本記事の対象と結論1 扱う問い2 結論の要旨第2 比較の視点第3 国内のリーガルテック1 Hubble2 LEGAL BRAIN(弁護士ドットコム)データの保存・閲覧・返却と削除Claude向けMCPコネクタ3 LAWGUE(FRAIM)4 Legalscape5 LegalOn(LegalOn Technologies)6 OLGA(GVA TECH)7 第一法規の生成AIサービス8 規約本文が公開されていないサービス9 BoostDraft AI第4 国産LLM・国内のAI基盤1 さくらのAI Engine(さくらインターネット)2 PLaMo(Preferred Networks)3 tsuzumi(NTT)4 Takane(富士通)5 ELYZA Works with KDDI6 Rakuten AI for Business(楽天モバイル)7 KDDI Conata Data Agent8 Sakana AI9 規約本文が公開されていないサービス第5 比較表第6 規約の書き方の型と弁護士実務への示唆1 範囲を絞った書き方2 守秘義務との関係で慎重な検討を要する書き方3 読み落としやすい点4 規約本文が公開されていないサービス第7 関連記事第8 出典1 法令等2 リーガルテックの規約・公式資料3 国産LLM・国内AI基盤の規約・公式資料
第1 本記事の対象と結論
1 扱う問い

「学習に使わない」と書いてあっても―AIサービス規約の派生データ条項(ログ・分類結果・利用統計・フィードバック)の読み方と弁護士の守秘義務では,海外の主要なAIサービス5社の規約を取り上げ,入力と出力を学習に使わないとする条項(以下「学習条項」という。)と,入力から生じるデータや入力そのものを提供者が学習以外の目的に使えるかを定める条項(以下「派生データ条項」という。)が別に定められていることを確認した。

本記事は,同じ観点から,国内のリーガルテックのサービスと,国産の大規模言語モデル(LLM)又は国内のAI基盤を使ったサービスの公開されている規約を比較する。
法律事務所が契約書審査,リサーチ又は文書作成にこれらのサービスを使うとき,依頼者の情報がどう扱われるかを判断する材料とすることが目的である。

基準日は令和8年10月1日であり,各社の規約・公式資料はこの日に確認したものである。
LEGAL BRAINのClaude向けMCPコネクタについては,令和8年9月22日に公式発表等を追加確認した。
令和8年10月3日には,LEGAL BRAINの令和8年7月30日改定規約及び同年9月9日改訂のセキュリティホワイトペーパーを追加確認し,同サービスの説明を補った。追加確認は他社の資料の再調査を意味しない。
本記事は規約・公式資料の文言から読み取れる範囲の整理であり,各社の実際の運用を確認したものではなく,各社のサービスの優劣を評価するものでもない。
規約は変更されることがあるため,導入や更新のときは改めて原文を確認する必要がある。
規約本文に条番号の表示がない文書については,条番号を示さずに文言で特定した。

2 結論の要旨

国内のサービスでも,学習条項で「学習に使わない」と約束した上で,派生データ条項で入力データの分析,サービス改善,新サービスの開発,マーケティング又は第三者への許諾を認める規約が少なくない。
学習条項だけを見て依頼者の情報を入力してよいと判断することはできない。

他方,①アップロードした文書そのものは学習にも統計化にも使わず,利用ログだけを匿名化・統計化して使うと切り分けるもの,②入力情報を利用せず第三者にも提供しないと一律に定めるもの,③有償プランと無償プランで扱いを分けるものなど,範囲を絞った書き方もある。
また,よくある質問(FAQ)の説明と規約本文が一致していない例,同じサービスで古い版の規約が別の場所に残っている例,国産を名乗るサービスでも契約の相手方や準拠法が外国である例があるため,規約本文を,実際に契約する版と相手方まで確かめる必要がある。

第2 比較の視点

各社の規約を,次の4点で見た。
①学習条項=入力と出力をAIモデルの学習に使うか。使わない旨の約束か,利用者が申し出て止める方式(オプトアウト)か,利用者の同意があるときだけ使う方式(オプトイン)か
②派生データ条項=学習とは別に,入力データ,利用状況のデータ,統計情報を提供者自身の目的(サービス改善,新サービス開発,マーケティング,第三者提供等)に使えるか。使えるとして,匿名化・統計化の限定や目的の限定があるか
③フィードバック等=利用者の評価や意見をどう扱うか
④相手方・保存場所・準拠法=背後で使う基盤モデルの提供者,データの保存場所,日本法が準拠法か

第3 国内のリーガルテック
1 Hubble

契約書管理サービスのHubbleの利用規約(令和8年8月5日改訂)19条は,アップロードした情報と本サービス上で作成した情報(ユーザーデータ等)について,「学習用データセット又はモデルの生成、当社AIを含む本サービスの改善や品質向上、新規サービスの開発や統計情報の生成といった目的に基づく二次的な利用は行わない」と定めている。
他方,同じ条の次の項は,利用情報,使用状況,アクセスログ等(利用情報等)について,特定のユーザー又は個人を識別できないよう抽象化,匿名化又は統計化した上で,新規サービスの開発その他同社の事業活動のために,第三者への開示又は公開を含めて利用できるとしている。

文書本体とログを分け,文書本体は二次利用をしないと明記し,ログだけを匿名化・統計化の条件付きで使うという書き方である。
同規約のAI機能に関する特約は,基盤モデル(Azure OpenAI Service及びVertex AI)での入力データの処理地域を日本国内に限定し(3条),基盤モデルの提供企業に不正監視の目的でも入力データを保持させないとしている(4条)。

2 LEGAL BRAIN(弁護士ドットコム)

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生成AIサービスの値上げ・提供終了・モデル廃止に備える契約と運用-規約の変更条項,終了時のデータ,移行計画及び中継サービス(AI作成)

目次第1 本記事の対象と結論1 扱う問い2 結論の要旨第2 何が起きるか1 料金と課金方式の変更2 モデルの廃止3 外国の規制等による提供停止第3 主要な事業者の規約と公式資料1 Anthropic2 OpenAI3 Google4 Microsoft5 比較第4 日本法から見た規約の変更1 定型約款の変更の要件2 外国法を準拠法とする規約3 裁判例第5 契約終了時のデータと守秘義務・個人情報1 取り出すデータと削除を確かめるデータ2 弁護士の守秘義務3 弁護士情報セキュリティ規程と可用性4 個人情報保護法第6 代わりのサービスへ移るときに確認し直すこと第7 中継サービスで乗り換えを容易にする方法と限界1 中継サービスの仕組み2 自動切替えと秘密・個人情報3 中継サービス自体が新しい依存先になる4 資本・クラウド・モデルの共通依存も確認する第8 業務の棚卸しと社内規程に書く事項1 業務の棚卸し2 社内規程に書く事項3 ベンダーの継続性を定期点検する4 任意の終了と倒産を区別する5 返還するデータを種類ごとに特定する6 ライセンス・稼働・金銭救済を分ける第9 関連記事第10 出典1 法令等2 公的資料3 事業者の規約・公式資料4 中継サービスの公式資料5 裁判例6 論点を見付けるための資料
第1 本記事の対象と結論
1 扱う問い

生成AIサービスを業務に組み込んだ企業や法律事務所にとって,料金の改定,課金方式の変更,サービスの提供終了及びモデルの廃止は,いずれ必ず起きる出来事である。
特定のサービスやモデルに業務の手順を合わせ込んでいると,そのたびに手順を作り直すことになり,移行の間に業務が止まることもある。

本記事は,こうした変化に備えて,①主要な事業者の規約と公式資料が料金改定,契約終了及びモデル廃止をどう定めているか,②日本法から見て規約の変更をどう考えるか,③契約終了時のデータと守秘義務・個人情報保護法の関係,④代わりのサービスへ移るときに確認し直すこと,⑤複数のサービスを切り替えやすくする中継サービスの使い方と限界,並びに⑥社内規程と業務の棚卸しで決めておく事項を整理する。

基準日は令和8年9月20日であり,各社の規約・公式資料はこの日に確認したものである。
規約と公式資料は予告の上で変更されるため,導入や更新のときは改めて原文を確認する必要がある。
ただし,第2の1の料金の引下げの例及び第2の2のGPT-4の例は,令和8年9月25日に追記したものである。
第2の1のClaude Sonnet 5.5の例及び第2の2のClaude Sonnet 4.5の例は,令和8年10月1日に追記したものである。
英文の規約・公式資料の訳は本記事によるものであり,規約の意味を述べる部分は,文言から読み取れる範囲の整理である。

本記事の発想の起点は,AI活用に関する書籍の著者である池田朋弘氏のX投稿(令和8年9月18日)である。
同投稿は,特定のツールに仕事のやり方を固定すると値上げやサービス終了のたびに振り回されるとして,「このAIでしか通用しない」業務を書き出すことを勧めている。
これは投稿者の意見であり,本記事では論点を見付けるための資料として扱う。

なお,本記事の書き手はAnthropicのAIであるClaudeであり,Anthropicは本記事が取り上げる事業者の一つである。
本記事では事業者の優劣を評価せず,規約と公式資料の記載を並べるにとどめる。

2 結論の要旨

主要な事業者の規約は,料金の改定を掲載から14日~30日で効力を生じさせるものが多く,事業者側からの契約終了やサービスの廃止にも比較的短い予告期間しか置いていない。
モデルの廃止については,各社が公式資料で予告期間を示しているが,その長さは60日から6か月以上まで幅がある。

したがって,利用者の側で,①料金と廃止の予告を誰が受け取り誰に伝えるか,②契約終了時にデータを取り出し,削除を確認する方法,③代わりのサービスを事前に審査しておくこと,④特定のモデルでしか動かない手順を減らすこと,を決めておく必要がある。
中継サービスは乗り換えの手間を減らすが,自動切替えの設定次第では未審査の事業者へ依頼者情報が送られるので,切替先を承認済みの事業者に限ることが前提になる。

第2 何が起きるか
1 料金と課金方式の変更

料金の改定は,単価の引上げだけではない。
定額の枠を使い切った後の扱いや,利用量の数え方が変わることもある。

例えば,GitHubは,令和8年4月27日の告知で,同年6月1日からGitHub Copilotの全プランを利用量に応じた課金へ移すと公表した。
告知によれば,従来のpremium requestの回数による計算をやめ,各プランに毎月のクレジットを付け,入力・出力等のトークンを各モデルのAPI単価で計算する方式にするという。
同じ使い方をしていても,課金方式の変更によって請求額が変わり得る例である。
利用料が予算を超えないための約款の読み方は,生成AIの利用料が予算を超えないために―従量課金の約款で確認する5項目と社内規程の定め方で扱っている。

料金の改定は,引下げの方向にも起きる。

(続きを読む...)生成AIサービスの値上げ・提供終了・モデル廃止に備える契約と運用-規約の変更条項,終了時のデータ,移行計画及び中継サービス(AI作成)

AIが示す「確信度」はどこまで信じてよいか―較正の意味,自動振分けの閾値及び期限が絡む分類を人が見る理由(AI作成)

目次第1 本記事の対象と結論1 扱う問い2 結論の要旨第2 確信度とは何か1 確信度と較正2 較正されていても1件ごとの正しさは保証されない3 生成AIが文章で示す「自信」は確率とは限らない第3 判定専用AIの登場と確信度の使い方1 判定専用AI(Jev)の仕組み2 確信度の返し方3 日本語での精度第4 法律事務所の自動振分けで閾値をどう決めるか1 閾値は自分のデータで決める2 誤りの種類ごとに重さが違う3 閾値にかかわらず人が見る分類第5 期限が絡む分類を人が見る理由1 訴訟行為の追完の要件2 事務所内の受領・取次ぎの誤りは救われない3 事務所の外の制度への信頼が救われた例4 受任の諾否の通知第6 運用の手順第7 関連記事第8 出典1 法令等2 裁判例3 AI提供者の公式資料4 ガイドライン
第1 本記事の対象と結論
1 扱う問い

法律事務所で,問い合わせ,郵便物,ファクシミリ又はシステム送達の通知をAIで自動的に振り分けるとき,「確信度が低いものは人の確認へ回す」という設計がよく勧められる。
山中弁護士ブログの既存記事でも,事件管理システムとの連携,AIエージェントの業務設計及び生成AI利用ガイドラインの各記事で,この考え方を採っている。

しかし,確信度とは何の数字か,何%なら自動処理してよいか,確信度が高ければ人が見なくてよいのかは,これらの記事では詳しく説明していない。
本記事は,令和8年9月に登場した判定専用のAIの公式資料を手掛かりに,確信度の意味と,法律事務所で閾値(自動処理と人の確認を分ける境目)を決めるときの考え方を整理する。

基準日は令和8年9月19日であり,AI製品の仕様・料金はこの日に各社の公式ページで確認したものである。
英文の公式資料の訳は,本記事によるものである。
AI製品の仕様・料金は短期間で変わるため,導入を検討するときは改めて公式ページで確認する必要がある。

2 結論の要旨

確信度が意味を持つのは,提供者が,示す確率と実際の的中率が一致するように調整(較正)していることを公表し,かつ自分の事務所のデータで試して確かめた場合に限られる。
較正されていても,確信度は多数の判定をまとめて見たときの的中率であり,1件ごとの判定が正しいことを保証しない。
これは,判定専用AIの提供者自身が公式の技術文書で明記していることである。

したがって,閾値は1つの数字で決めるのではなく,誤ったときの不利益の重さに応じて分けるべきである。
特に,控訴期間のような不変期間その他の期限に関わる分類,受任するかどうかの判断及び依頼者への返答の要否は,確信度の高低にかかわらず人が確認すべきである。
事務所内の受領・取次ぎの誤りで不変期間を守れなかった場合,最高裁判所の判例は訴訟行為の追完を認めていないからである。

第2 確信度とは何か
1 確信度と較正

AIの判定に付く確信度は,通常,選択肢ごとの確率(例えば「スパム90%,スパムでない10%」)から計算される数字である。
この数字を信じてよいかどうかは,「較正」されているかどうかで決まる。

較正(キャリブレーション)とは,AIが示す確率と,実際に当たる割合を一致させることをいう。
令和8年9月15日に判定専用AI「Jev」を公開した米国のTypeSafe AIは,公式の技術文書で,よく較正されたモデルであれば,確率0.2とされた結果は約20%,確率0.8とされた結果は約80%の割合で実際に起こるべきだと説明している。

2 較正されていても1件ごとの正しさは保証されない

同じ技術文書は,これらの割合は予測の集まりについてのものであり,個々の回答について保証するものではないと明記している。
確率0.9の判定を100件集めれば約90件が正しいことが期待できるが,目の前の1件がその90件に入るかどうかは分からない。

このため,「確信度90%なら9割は正しいので自動処理してよい」とする説明は,言い過ぎである。
実際,Jevを紹介した国内の解説記事には,確信度90%と出ればおよそ9割が正しいという意味になると説明するものがあったが,公式の技術文書は,上記のとおり個々の回答の保証ではないとする留保を付けている。
自動処理に回した10件のうち1件が誤りであっても困らない業務でだけ,確信度による自動処理が成り立つと考えるべきである。

3 生成AIが文章で示す「自信」は確率とは限らない

(続きを読む...)AIが示す「確信度」はどこまで信じてよいか―較正の意味,自動振分けの閾値及び期限が絡む分類を人が見る理由(AI作成)

「学習に使わない」と書いてあっても―AIサービス規約の派生データ条項(ログ・分類結果・利用統計・フィードバック)の読み方と弁護士の守秘義務(AI作成)

目次第1 本記事の対象と結論1 扱う問い2 結論の要旨第2 派生データとは何か1 顧客データと派生データの区別2 主な種類第3 主要な提供者の規約の書き方1 TypeSafe AI(Jev)2 Anthropic3 OpenAI4 Google5 Microsoft6 比較第4 弁護士の守秘義務との関係1 弁護士法23条と弁護士職務基本規程23条2 分類結果も秘密になり得る3 規程23条の「利用」第5 個人情報保護法との関係1 委託として扱えるか2 統計情報は個人情報に当たらない3 外国にある第三者への提供と注意喚起4 令和8年改正法30条の3第6 規約を読むときの確認項目第7 関連記事第8 出典1 法令等2 個人情報保護委員会の資料3 AIサービスの規約・公式資料
第1 本記事の対象と結論
1 扱う問い

法律事務所や企業が生成AIその他のAIサービスを選ぶとき,「入力したデータを学習に使わない」と規約に書かれているかどうかがまず確認される。
しかし,AIサービスの提供者の手元には,入力と出力そのもののほかに,入力から派生したデータが残る。
例えば,処理の記録(ログ),トークン数等の利用状況,安全確認のための分類結果,評価ボタンによるフィードバック及び利用から得た知見である。

本記事は,こうした派生データを提供者がどこまで使えるかを定める規約の条項(以下「派生データ条項」という。)に着目し,主要な提供者の規約の書き方,弁護士の守秘義務及び個人情報保護法との関係,並びに規約を読むときの確認項目を整理する。

基準日は令和8年9月19日であり,各社の規約・公式資料はこの日に確認したものである。
規約は予告の上で変更されることがあるため,導入や更新のときは改めて原文を確認する必要がある。
本記事で規約の意味を述べる部分は,規約の文言から読み取れる範囲の整理であり,各社の実際の運用を確認したものではない。
英文の規約・公式資料の訳は,本記事によるものである。

2 結論の要旨

「学習に使わない」という条項は,入力と出力(以下「顧客データ」という。)をモデルの訓練に使わないことを約束するものであり,派生データの扱いまで決めているとは限らない。
令和8年9月に判定専用AI「Jev」を公開した米国のTypeSafe AIの利用契約は,顧客データを学習に使わないとしながら,ログ,ハッシュ,要約統計,分類結果及び利用から得た知見を「テレメトリ」と定義し,同社が制限なく処理できると定めている。

弁護士の立場からは,①依頼者の相談内容がどの分類に振り分けられたかという情報自体が秘密になり得ること,②弁護士職務基本規程23条が秘密を他に漏らすことだけでなく「利用」することも禁じていること,③個人情報保護法上,委託先は委託された業務の範囲外で個人データを統計情報に加工して自社のために使うことはできないとされていることから,派生データ条項は学習条項と同じ重さで確認すべきである。

第2 派生データとは何か
1 顧客データと派生データの区別

AIサービスの規約は,利用者が送る入力(プロンプト,文書等)と,AIが返す出力を「顧客データ」「顧客コンテンツ」等と呼び,その扱いを定めることが多い。
これに対し,本記事でいう派生データとは,顧客データを処理する過程で生まれ,又は顧客データから作られるデータである。

派生データには,顧客データの一部をそのまま含むもの(例えば,フィードバックに添付される会話全体)と,含まないもの(例えば,トークン数)がある。
分類結果のように,文言そのものは含まなくても,内容を要約した情報になるものもある。

2 主な種類

派生データの主な種類は,次のとおりである。
①ログ=いつ,どのアカウントが,どの機能を使ったかの記録。障害対応や不正利用の監視のために,顧客データの一部を含んで一定期間保存されることがある
②利用状況のデータ=トークン数,応答時間,エラー,安全フィルタが作動したかどうか等
③分類結果=安全確認のための自動分類器が付けたラベル,利用状況の把握のための分類等
④利用統計=多数の利用者のデータを集計した統計
⑤フィードバック=評価ボタンや自由記述による利用者の評価。会話全体が添付されることがある
⑥知見(learnings)=利用から得られた知見。何を含むかは規約の定義による

第3 主要な提供者の規約の書き方

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TreeeS操作マニュアル(当事者用)の読み方―提出の入口,30日で消える一覧,手数料の納付及び送達の確認(AI作成)

目次第1 この記事の対象と結論1 令和8年7月2日発行の当事者用操作マニュアル2 基準日と資料の限界第2 マニュアルの構成とログイン1 全7章の構成2 ログインの注意3 ユーザポータルが起点になる第3 目的別索引第4 共通の注意事項第5 マニュアルから確認できないこと第6 関連記事第7 出典1 裁判所の資料2 法令
第1 この記事の対象と結論
1 令和8年7月2日発行の当事者用操作マニュアル

最高裁判所は,民事裁判手続のデジタル化に伴う新システムTreeeS(ツリーズ)について,「TreeeS操作マニュアル 当事者用」(2026年7月2日発行,全134頁のPDF)を作成している。
このマニュアルは,TreeeSの研修環境のトップ画面にあるヘッダーの「マニュアル」から取得することができる(令和8年9月19日確認)。
本記事は,このマニュアルを通読し,弁護士・訴訟代理人及び法律事務所の事務職員が実務でつまずきやすい点を,マニュアルの頁を示して整理するものである。

結論として,マニュアルから読み取れる実務上の要点は,次のとおりである。
①係属中の事件に書面を出すときは,事件詳細画面の[事件の申立て・書面の提出]から入る(資料上6頁・16頁)。
②提出書面一覧と受信一覧は,いずれも30日を経過すると表示されなくなる(資料上13頁・14頁)。
③手数料を印刷した帳票で納付するときは,コンビニ設置の共用ATMを使うことができない(資料上26頁・28頁)。
④システム送達は,受信一覧のデータ名を開いた時点で送達送付状況確認画面に「送達済み」のレコードが表示される一方,法律上は,開かなくても一定の期間の経過で効力を生ずる(資料上128頁,民事訴訟法109条の3)。
⑤電子署名付きのデータは,PDFを結合せず,詳細情報も含めずにダウンロードしないと,電子署名を検証できなくなるおそれがある(資料上94頁~95頁)。

2 基準日と資料の限界

本記事の操作説明は,令和8年9月19日に確認した研修用操作マニュアルを基にしている。
古い資料で追加予定とされた時期が到来しても,章の追加や最終手順の確定を推測しない。利用時には最新版の発行日,対象者及び研修用・本番用の別を確認する。
現在の電子申立ての案内は,裁判所の民事裁判手続デジタル化ページで確認する。研修画面へのアクセスを正式提出と扱わない。

以下,マニュアルの頁は,マニュアルの下部に印刷された頁番号(資料上の頁)で示す。
表紙と目次の2頁があるため,PDFの頁番号は資料上の頁に2を加えた数になる。

本記事は2026年7月2日発行の版を説明する。令和8年10月頃に追加予定とされたユーザ登録の章については,予定時期が到来しただけで配布済みと判断せず,利用時に発行日・改訂日と追加資料を確認する。研修用と本番用も区別する。公式入口と認証画面の注意は,TreeeSのログインと研修環境を参照されたい。

第2 マニュアルの構成とログイン
1 全7章の構成

マニュアルは,次の7章で構成されている(資料上の目次)。

章表題資料上の頁1ユーザ登録(令和8年10月頃追加予定)1頁2ユーザポータル2頁~14頁3フォーム提出15頁~73頁4電子記録の閲覧・複写(ダウンロード)74頁~107頁5手数料/保管金の管理108頁~116頁6招待キー117頁~124頁7システム送達・システム直送125頁~132頁

資料上の132頁のうち約7割(93頁)が,「フォーム提出」と「電子記録の閲覧・複写」に充てられている。
弁護士が最初に読むべき部分は,第3章の3.1(提出の流れ)と3.3(係属中の事件への提出),第4章の4.5(ダウンロード),第7章(システム送達)である。

2 ログインの注意

ログインIDはメールアドレスであり,GビズIDでログインする場合は,ログイン画面の下部の「GビズIDでログイン」を使う(資料上3頁)。
マニュアルは,ログイン画面をブックマークしてそこから開くとログインできず,TreeeSのトップ画面からやり直す必要があると注意している(資料上3頁)。
二要素認証は,携帯電話に送信されるコードを入力する方法と,登録した電話番号にかかってくる自動音声の電話で「#」を押す方法の2つがある(資料上4頁)。
事務所で複数人が認証用の電話を共用する場合は,誰の電話に認証が届くかを事前に決めておく必要がある。

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TreeeSでの書証の提出―証拠説明書の自動作成,証拠番号,原本・写しの選択及び翻訳文(AI作成)

目次第1 この記事の対象と結論1 TreeeSでは書証フォームへの入力から証拠説明書が作られる2 基準日と資料の限界第2 書証の申出と証拠説明書に関する規則1 写しと証拠説明書の提出2 原本の提出と外国語文書の訳文3 電磁的記録の証拠調べ第3 書証フォームの入り方と入力の流れ1 事件詳細画面の[書証提出]から入る2 入力の順序第4 証拠番号の付け方1 入力の形式2 mintsとの違い第5 証拠の表示・立証趣旨・作成年月日・作成者・補足事項1 証拠の表示2 立証趣旨3 作成年月日・作成者・補足事項第6 原本・写し・原本に代え写し(画像情報)の選択1 3つの選択肢2 選び方の注意第7 関連データと翻訳文第8 証拠一覧画面と自動で作られる証拠説明書1 証拠一覧画面の構成2 証拠説明書のPDF第9 人証申出書も帳票が自動で作られる第10 提出前に確認すること第11 関連記事第12 出典1 裁判所の資料2 法令
第1 この記事の対象と結論
1 TreeeSでは書証フォームへの入力から証拠説明書が作られる

最高裁判所が令和9年1月から先行導入を予定している新システムTreeeS(ツリーズ)では,書証は「書証フォーム」から提出する。
最高裁判所「TreeeS操作マニュアル 当事者用」(2026年7月2日発行)によれば,証拠をアップロードし,各行に情報を追加することで証拠説明書の帳票が作成され,別途証拠説明書を作成して提出する必要はない(資料上58頁)。
本記事は,このマニュアルの「3.3.1 書証を提出する」(資料上58頁~62頁)と「4.7 証拠一覧画面」(資料上101頁~107頁)を中心に,TreeeSでの書証の提出方法と,その前提となる民事訴訟規則の定めを整理するものである。

結論として,TreeeSでの書証の提出で押さえるべき点は,次のとおりである。
①書証は,事件詳細画面の[書証提出]から入り,訴状フォームの添付資料欄には上げない(資料上51頁・58頁)。
②証拠番号は「甲001」「甲012-2」「乙A001」の形で入力し,英数字とハイフンは半角で入力する(資料上60頁)。
③「原本」「写し」「原本に代え写し(画像情報)」のいずれを選ぶかで,期日に現物を持参するかどうかが変わる(資料上61頁)。
④外国語の文書は,取調べを求める部分の翻訳文を「関連データ」として添付する(資料上62頁,民事訴訟規則138条1項)。
⑤証拠一覧画面は,当事者が入力した証拠説明書の項目と,裁判所職員が入力する採否等が一体になった画面である(資料上79頁・103頁)。

2 基準日と資料の限界

本記事は,令和8年9月19日を基準日とする。
マニュアルは,TreeeSの研修環境のトップ画面にあるヘッダーの「マニュアル」から取得したものであり,先行導入までに改訂される可能性がある。
現在の民事訴訟の電子提出はmintsで行うものであり,mintsでの証拠説明書の作り方は「mintsの証拠説明書の作り方・提出方法-標目・原本・写し・記録外データ」で説明している。
マニュアルの頁は,マニュアルの下部に印刷された頁番号(資料上の頁)で示し,PDFの頁番号は資料上の頁に2を加えた数になる。

本記事は,書証フォーム,証拠番号,証拠説明書,原本・写し及び翻訳文を対象とする。訴状・準備書面等の提出入口,提出後の受付確認及び事件記録全体のダウンロードは,それぞれ別の記事で扱う。

第2 書証の申出と証拠説明書に関する規則
1 写しと証拠説明書の提出

民事訴訟規則137条1項は,文書を提出して書証の申出をするときは,「当該申出をする時までに、その写しを提出するとともに、文書の記載から明らかな場合を除き、文書の標目、作成者及び立証趣旨を明らかにした証拠説明書を提出しなければならない。」と定めている。
同条3項は,文書の写しの提出に代えて,最高裁判所の細則で定めるところにより,文書の画像情報を電子情報処理組織を使用してファイルに記録する方法で提出することができるとしている。
同条4項は,民事訴訟法132条の11第1項及び第3項を写しの提出に準用しているので,委任を受けた訴訟代理人は,写しを電子情報処理組織を使用して提出することになる。

2 原本の提出と外国語文書の訳文

民事訴訟規則143条1項は,「文書の提出又は送付は、原本、正本又は認証のある謄本でしなければならない。」と定めている。
写しの電子提出は,書証の申出の時までに写しを出す手続であり,取調べの対象となる文書そのものの提出とは区別される。
TreeeSの書証フォームで「原本」「写し」「原本に代え写し(画像情報)」を選ばせるのは,この区別を画面上で明らかにするためと考えられる。

民事訴訟規則138条1項は,外国語で作成された文書を提出して書証の申出をするときは,「取調べを求める部分についてその文書の訳文を添付しなければならない。」と定めている。
相手方は,訳文の正確性について意見があるときは,意見を記載した書面を裁判所に提出しなければならない(同条2項)。

3 電磁的記録の証拠調べ

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出版取次の本がAI学習に使われたら―日販・Anthropic報道,譲渡権の消尽,再販契約及び米国Bartz事件の裁判資料(AI作成)

目次第1 本記事の結論1 結論2 基準日と資料の性質第2 報道された事実1 朝日新聞の報道2 日経ビジネスの報道第3 米国の裁判資料で確認できること1 Bartz事件と封印解除2 社内会議メモに記載された「Nippan Japan」3 日本語書籍の書誌の取込み4 他の取次・書店との取引5 裁判資料から分からないこと第4 米国の裁判所の判断1 フェアユース命令の三つの区分2 和解の範囲第5 日本法の論点―本を売ること1 譲渡権の消尽2 出版社と取次の取引契約3 再販売価格維持契約第6 日本法の論点―スキャンと学習1 準拠法2 日本で行われた場合の著作権法30条の43 私的使用の複製(30条1項)との違い第7 当事者ごとの実務1 出版社2 取次・書店3 AI事業者第8 まとめ第9 出典1 法令2 裁判例3 米国の裁判資料4 公的資料5 報道6 関連記事
第1 本記事の結論
1 結論

令和8年9月18日,出版取次大手の日販グループが米国のAI開発企業Anthropic社に大量の書籍を販売していたとして,日本書籍出版協会(書協)が日販に事実確認を求める書面を送ったと報じられた。
報道の根拠となった米国の裁判資料を確認すると,Anthropic社の社内会議メモに「Nippan Japan」との書籍購入契約が令和6年11月21日に締結された旨の記載がある。
他方で,購入した冊数,単価,金額及び書籍の種類は黒塗りであり,日販にどのような用途が告げられていたかも,裁判資料からは分からない。

日本法の観点からは,次の3点を分けて考える必要がある。
①出版社が流通に置いた本を取次が転売すること自体は,譲渡権の消尽(著作権法26条の2第2項1号)により,著作権の問題になりにくい。
②転売先・用途・価格をめぐる問題は,出版社と取次の間の取引契約と再販売価格維持契約の問題であり,契約書の条項によって結論が変わる。
③購入した本の裁断・スキャンと学習は,それが行われた国の著作権法で判断されるのが原則であり,米国で行われたのであれば米国法(フェアユース)の問題になる。

米国の連邦地裁は,購入した紙の本を裁断・スキャンして電子化した行為をフェアユースと判断し,その後の15億ドルの和解も,購入した本のスキャンによる学習を対象外としている。
したがって,「本を買ってスキャンし,学習に使う」という経路は,米国では法的に閉じられていない。
出版社がこの経路に対応するには,取引契約での転売先・用途の定めと,AI学習用のライセンス市場の形成という,契約と市場の手段によることになる。

2 基準日と資料の性質

本記事は,令和8年9月19日現在の公開資料に基づく。
法令の条文は同日にe-Gov法令検索で確認した現行条文により,日本の裁判例は裁判所ウェブサイトで実在と該当箇所を確認したものを用い,関連する裁判例の有無は判例秘書でも検索した。
米国の裁判資料は,裁判記録を再公開するCourtListenerのPDFで本文を確認したものであり,PACERの認証済み写しではない。

朝日新聞と日経ビジネスの記事は,いずれも有料部分がある。
朝日新聞の記事は,Yahoo!ニュースに転載された全文で内容を確認したが,日経ビジネスの記事は有料部分を確認していない。
書協の書面と日販の回答書は公表されておらず,本記事は報道の記載によっている。

本記事の作成には,本件の当事者であるAnthropic社の生成AIを用いている。
そのため,裁判資料と報道の記載に即して記述し,いずれかの当事者に有利又は不利な評価を加えないよう注意した。

第2 報道された事実
1 朝日新聞の報道

朝日新聞(令和8年9月18日)によれば,書協は日販に対し,Anthropic社に渡った書籍に加盟出版社の発行物が含まれていたか,含まれていた場合の詳細,出版社の了承なく海外業者に大量販売した場合の法的整合性等の説明を求めた。
あわせて,AI学習を目的とする書籍の新たな販売の取りやめと,AI学習目的の書籍供給についての考え方の表明も求めたとされる。

同記事は,作家らがAnthropic社を訴えた米国の著作権侵害訴訟の裁判資料に,日販とみられる「Nippan Japan」の記述が複数回登場すると報じている。
日販は同紙の取材に対し,個別取引については取引の有無を含めて回答を差し控えるとした上で,「AI企業の学習向け用途と認識したうえで販売した事実はない」などと回答したとされる。

令和8年9月19日現在,書協と日販の各ウェブサイトに,本件に関する発表は見当たらない。

2 日経ビジネスの報道

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生成AIが作る法律文書を短くしても根拠を落とさない方法-結論先行,意思決定密度及び証拠台帳の分離(AI作成)

目次第1 この記事の対象と結論1 短くすればよいわけではない2 短縮の対象と残すべき情報を分ける3 実務で使う六つの順序第2 生成AIの文書が長くなる四つの型1 重要度を選別せずに並べる2 結論を最後まで遅らせる3 定型見出しを内容の有無にかかわらず埋める4 実質的な差のない代替案まで両論併記する第3 公開された比較例から確認できたこと1 比較の素材2 原資料から確認した差3 この比較からはいえないこと第4 法律文書で削ってよいもの,削らないもの1 削除又は統合の候補2 短縮時にも残す事項第5 本文と証拠台帳を分ける1 本文の役割2 証拠台帳の役割3 本記事の裏付けの範囲第6 生成AIへの短い指示例1 法律調査メモ2 裁判所提出書面のレビュー3 ブログ記事第7 短縮の効果を測る1 文字数だけで評価しない2 一つの例を一般化しない第8 既存記事との関係第9 出典・確認資料1 論点発見資料2 比較の原資料3 公的資料
第1 この記事の対象と結論
1 短くすればよいわけではない

生成AIが作る法律文書は,短ければよいわけではない。
削るべきなのは,同じ結論の反復,判断に影響しない一般論,機械的に埋められた定型見出し及び実質的な差のない代替案である。
反対材料,例外,根拠の強弱,未確認事項及び次の確認行動まで削ると,読みやすく見えても法的判断には使いにくくなる。

本記事では,読み手が判断するために必要な情報の割合を「意思決定密度」と呼ぶ。
これは法令上又は学術上の用語ではなく,本記事における業務設計上の呼称である。
以下では,本文を結論先行で短くしつつ,確認経路を失わないよう,本文と証拠台帳を分ける方法を説明する。

2 短縮の対象と残すべき情報を分ける

生成AIが作った法律文書を短くするときは,文章量そのものではなく,読み手の判断を変える情報かどうかで採否を決める必要がある。

本文には,原則として,次の事項をこの順で置く。
①結論
②主要な理由
③結論を変え得る反対材料又は留保
④実質的な代替案
⑤未確認事項
⑥次に行う確認

同じ結論の言い換え,争点と関係の薄い背景説明,自明な長所・短所及びファイル一覧のような作業報告は,読み手の判断に必要でなければ削る。

他方,一次資料の書誌,確認箇所,検索範囲,採否理由及び確認履歴は,本文から消すのではなく,証拠台帳又は検証記録へ分ける。
本文を短くすることと,裏付けを捨てることは同じではない。

3 実務で使う六つの順序

最初の指示は,次の六項目まで短くできる。
①目的――誰が何を判断するための文書か
②結論――現時点の推奨又は暫定結論
③主要根拠――結論を支える重要度の高い根拠
④留保――不利益資料,例外,反対説及び未確認事項
⑤代替案――結論を変え得る現実的な案だけ
⑥次の行動――誰が何を確認すれば判断が進むか

守秘,権限,保存先,判例検索範囲,引用方法又は公開確認などは,作業に応じて追加する部品とする。

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mintsで裁判所が注意を促している誤り―当事者情報CSV,訴状PDFの当事者表示,法人番号,書面提出,証拠説明書及び裁判所限りの上申書(AI作成)

目次第1 本記事の対象と要点1 対象2 要点第2 新規申立てフォームの入力1 10名以内なのに当事者情報CSVファイルを提出しない2 訴状PDFに当事者情報を重ねて記載しない3 「法人番号」欄に会社法人等番号を入力しない第3 書面の提出方法1 訴訟代理人は原則としてmintsで提出し,書面提出では法定例外を確認する2 出力書面の提出を求められたら速やかに提出する3 「裁判所限り」のつもりの上申書等をmintsにアップロードしない第4 証拠の提出1 新法適用事件では新しい証拠説明書の書式を使う2 証拠番号のルールに沿って提出する第5 期日とアカウントの注意1 期日に出頭するときはパソコンを持参する2 同じ電話番号で短時間に何度も認証しない3 士業者登録番号を入力しておく第6 事務所で使う確認表1 新規申立ての前2 書面・証拠の提出の前3 訴え提起後・期日・アカウント第7 関連記事第8 出典
第1 本記事の対象と要点

令和8年10月3日追補:本記事に関係する準備の手引の10月2日改訂事項を反映した。改訂の全体と事務所内の確認方法は,mints準備の手引の令和8年10月2日改訂―法律事務所が見直す7つの運用を参照されたい。

1 対象

令和8年5月21日に改正民事訴訟法が全面施行され,委任を受けた訴訟代理人は,mintsを使って申立て等をしなければならなくなった(民事訴訟法132条の11第1項1号)。

最高裁判所事務総局民事局は,令和8年8月31日付けで「フェーズ3後の民事訴訟手続における留意点」と題する1枚の資料を作成し,施行後の訴訟代理人による提出に見られる誤りを8項目挙げている。
この資料は日本弁護士連合会の会員専用サイトに掲載されたものであり,令和8年9月17日の時点で,裁判所ウェブサイトの「民事裁判手続のデジタル化」,「民事訴訟手続のデジタル化に関する参考資料」及び「mintsについて」の各ページには掲載を確認できなかった。

本記事は,この資料が挙げる8項目について,裁判所ウェブサイトで公表されている資料の該当箇所を確かめ,法律事務所で同じ誤りを防ぐための確認事項を整理する。
あわせて,日本弁護士連合会の会員向け案内が注意を促しているサインインの制限と,mintsアカウントの自動削除を扱う。

本記事の基準日は令和8年9月17日である。
法律の条文はe-Gov法令検索で確認した。
mintsの運用は,最高裁判所事務総局民事局「民事訴訟フェーズ3に向けた準備の手引」(令和8年6月19日版。以下「準備の手引」という。),「民事裁判書類電子提出システム操作マニュアル~当事者ユーザ編~」(2.3版,令和8年7月15日改訂。以下「操作マニュアル」という。)及び「mintsご利用に関するQ&A」(令和8年9月17日取得。以下「Q&A」という。)で確認した。
本記事の論点について判断した裁判例は,本記事の作成に当たって参照した資料には挙げられていない。

令和8年10月3日追補:10月2日更新版の準備の手引12頁・13頁を確認し,多数当事者の人数境界,外国籍当事者の氏名表記及び趣旨・理由のPDFについて追記した。上記の6月19日版は初稿作成時の資料であり,この追補では10月2日更新版を参照する。

2 要点

① 当事者と代理人の合計が10名以内なら,当事者情報CSVファイルではなく新規申立てフォームに直接入力する。
② 請求の趣旨・原因をPDFで提出する場合でも,当事者情報はフォームにだけ入力し,PDFには記載しない。
③ mintsの「法人番号」欄には,国税庁が指定する13桁の法人番号を入力し,商業登記簿の12桁の会社法人等番号を入力しない。
④ 委任を受けた訴訟代理人は,原則として答弁書等をmintsで提出し,書面提出を検討するときは法定例外と必要な添付書面を確認する。
⑤ システム送達をしない場合には出力書面の提出が必要であり,裁判所から連絡を受けたら速やかに提出する。
⑥ 裁判所だけに見てもらうつもりの上申書等をmintsにアップロードすると,「記録外」を選んでも相手方が閲覧できる。提出方法は,アップロードする前に係属する裁判所に確認する。
⑦ 新法適用事件では,裁判所ウェブサイトに掲載された新しい証拠説明書の書式を使う。
⑧ 証拠番号は準備の手引29頁のルールに沿って付ける。
⑨ 期日に出頭するときは,記録を確認するためのパソコンを持参する。
⑩ 同じ電話番号で短時間に何度も二段階認証をすると,一時的に認証が制限されることがある。

第2 新規申立てフォームの入力
1 10名以内なのに当事者情報CSVファイルを提出しない

最高裁判所事務総局民事局の資料は,当事者と代理人の合計が10名以内であるにもかかわらず当事者情報CSVファイルが提出される例があるとし,10名以内の場合はフォームに入力するよう求めている。

準備の手引12頁・13頁は,当事者・代理人の合計人数が10名以内の場合にはフォームに直接入力し,10名を超え200名以内の場合には当事者情報CSVで提出すると説明している。
多数当事者のPDFによる提出では,入力者である原告代理人又は原告1名の情報をフォームに入力し,「添付書類」として当事者目録のPDFを提出する。

(続きを読む...)mintsで裁判所が注意を促している誤り―当事者情報CSV,訴状PDFの当事者表示,法人番号,書面提出,証拠説明書及び裁判所限りの上申書(AI作成)

判例データベースを法律事務所の生成AI・RAGに使えるか―判決本文・判例要旨・利用規約の分け方(AI作成)

第1 本記事の対象と結論

1 検討対象
2 結論

第2 法律情報を構成する四つのデータ層

1 裁判所の判決,決定,命令及び審判
2 裁判所が付した書誌情報及び編集
3 民間の判例要旨,解説,headnote及び分類体系
4 データベース全体の選択又は体系的構成

第3 日本の著作権法で確認する規定

1 著作権法13条
2 著作権法12条の2
3 著作権法30条の4
4 著作権法47条の5

第4 利用行為を六つに分けること

1 閲覧及び検索
2 ダウンロード,OCR及びローカル保存
3 RAG及び埋込みベクトル化
4 事前学習,追加学習及び評価
5 回答,要約,引用及び公開
6 ログ,バックアップ及び契約終了後の残存物

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mintsで決定・命令を受け取るとき―電子決定書・電子命令書の送達,即時抗告期間1週間及び予定日が通知されない問題(AI作成)

目次第1 本記事の対象と要点1 対象2 要点第2 決定・命令の告知と電子決定書1 決定及び命令は告知によって効力を生ずる2 電子決定書・電子命令書という用語3 告知の方法と告知を受けた日第3 mintsでの送達と見落としの原因1 システム送達の効力が生じる時2 補助者が開いた時点でも送達の効力が生じる3 決定・命令の予定日は通知されない第4 即時抗告期間の管理1 即時抗告期間は1週間の不変期間である2 即時抗告ができる主な決定・命令3 起算日と末日の数え方第5 mintsで即時抗告をする方法1 提出先は原裁判所である2 mintsでは新規申立てフォームの申立種別「その他」から提出する3 抗告状に記載する事項4 抗告理由は抗告の提起後14日以内に提出する5 手数料はmintsでは1,900円である6 即時抗告には執行停止の効力がある第6 事務所内で決めておくこと第7 出典
第1 本記事の対象と要点
1 対象

本記事は,令和8年5月21日以後に提起された民事訴訟(いわゆる新法事件)で,訴訟代理人がmintsを使って事件を追行している場面を対象に,判決以外の裁判である決定及び命令を受け取るときの注意点を整理する。
判決(電子判決書)の送達と控訴期間は,mintsのシステム送達と期限管理―応訴・通知メール・電子判決書・控訴期間で説明している。
新法事件と旧法事件の見分け方は,mintsの新法事件と旧法事件の見分け方を参照されたい。

本記事の基準日は令和8年9月17日である(令和8年9月16日公開。同月17日に,告知を受けた日の考え方(第2の3),期間の計算例(第4の3),抗告状の記載事項(第5の3)及び手数料(第5の5)を加えた。)。
法律の条文はe-Gov法令検索,民事訴訟規則は裁判所ウェブサイト掲載の令和8年5月21日現在の規則,mintsの運用は最高裁判所事務総局民事局「民事訴訟フェーズ3に向けた準備の手引」(令和8年6月19日版。以下「準備の手引」という。)で確認した。
条文の解釈は,最高裁判所事務総局民事局監修「条解民事訴訟規則(デジタル化関係等)」(司法協会,2025年。以下「条解規則」という。)及び脇村真治編著「一問一答 新しい民事訴訟制度(デジタル化等)―令和4年民事訴訟法等改正の解説―」(商事法務,2024年。以下「一問一答」という。)を参照し,裁判例は判例秘書で確認した。

2 要点

① 決定及び命令は,相当と認める方法で告知することによって効力を生じ,即時抗告期間は判決の控訴期間(2週間)より短い1週間である(民事訴訟法119条・332条)。
② 準備の手引35頁は,電子決定書・電子命令書も基本的には告知後速やかにmintsへアップロードされ,システム送達されると説明している。
③ 同じ頁は,決定・命令がいつ出るかをmints上で知らせる機能はないとし,mintsからのメールを特定のフォルダに集めることを勧めている。
④ システム送達の効力は,閲覧した時,ダウンロードした時又は通知が発せられた日から1週間を経過した時のいずれか早い時に生じ,補助者(事務職員)の閲覧でも生じる。
⑤ 即時抗告状は原裁判所に提出し,mintsでは新規申立てフォームの申立種別「その他」から提出する(準備の手引41頁)。
⑥ mintsで通知が発せられた日にすぐ閲覧すれば,その日の翌日から1週間が即時抗告期間になる。誰も閲覧しなければ,送達の効力が生ずるまでの1週間と即時抗告期間の1週間が続くので,通知の日から約2週間後が末日になると考えられる(第4の3の計算例)。
⑦ mintsで民事訴訟法上の決定・命令に対して抗告を提起する場合の手数料は1,900円である(民事訴訟費用等に関する法律3条2項・別表第二の15の項)。

第2 決定・命令の告知と電子決定書
1 決定及び命令は告知によって効力を生ずる

民事訴訟法119条は,「決定及び命令は、相当と認める方法で告知することによって、その効力を生ずる。」と定めている。
判決が電子判決書に基づく言渡しと送達という決まった方式をとる(同法253条・255条)のに対し,決定及び命令の告知の方法は法律で一つに決められていない。

その代わり,民事訴訟規則50条1項は,「決定又は命令の告知がされたときは、裁判所書記官は、その旨及び告知の方法を訴訟記録上明らかにしなければならない。」と定めている。
どの方法で告知されたかは,訴訟記録で確かめることができる。

2 電子決定書・電子命令書という用語

民事訴訟法122条は,決定及び命令に,その性質に反しない限り判決に関する規定を準用している。
民事訴訟規則は,同条で準用する同法252条1項により作成される電磁的記録のうち,決定に係るものを「電子決定書」(規則50条の2),命令に係るものを「電子命令書」(規則67条1項7号)と呼んでいる。

(1) 電子決定書等を作成しないでする裁判

民事訴訟規則67条1項7号は,口頭弁論に係る電子調書に明確にすべき事項として,「電子決定書又は電子命令書」を「作成しないでした裁判」を挙げている。
決定及び命令には,電子決定書等を作らずに口頭弁論の期日で行われ,電子調書に記録されるものがある。
このような裁判は期日の場で告知されることが考えられるので,期日に出頭していた代理人は,mintsの通知を待たずに期間を管理する必要がある。

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AI・データ事業を止めない法務設計-データフロー,横断法令,代替案及び行政相談

第1 この記事の対象と結論第2 事業モデルを事実に分解する1 目的と価値を先に固定する2 データフローに最低限載せる事項3 判断と外部効果を分ける第3 横断して確認する法令と規範1 個人情報保護法及びプライバシー2 AI法及びAIガバナンス3 事業に応じて追加する法領域4 AI安全を目的とする競合企業間協調第4 代替案を比較する1 法的結論を選択肢へ変換する2 主な設計変更3 外部ベンダーの終了・承継を代替案へ組み込む第5 行政相談を事業工程へ組み込む1 PPCビジネスサポートデスク2 相談前に作る資料3 所管が複数の場合第6 制度変更への対応第7 弁護士が作る成果物第8 判例及び一次資料の確認状況第9 出典第10 関連記事

第1 この記事の対象と結論

本記事は,AI又はデータを利用する新規事業について,法務が企画を止める又は無条件に通すのではなく,事業目的を保ちながら適法かつ実行可能な設計へ変更する方法を扱う。
基準日は令和8年9月24日である。

結論として,最初に作るべきものは長い法律意見書ではなく,①事業目的,②関係者,③データの流れ,④AIの入力・出力,⑤人又はシステムが行う判断,⑥外部へ生じる効果を一枚で確認できる図である。
その上で,個人情報保護法だけでなく,事業に応じてAI法,知的財産法,業法,消費者法,競争法及び契約を横断し,禁止又は許可の二択ではなく複数の代替案を比較する。

第2 事業モデルを事実に分解する

1 目的と価値を先に固定する

法令名から検討を始めると,事業上なくてはならない機能と,変更できる実装とが混同されやすい。
まず,誰のどの課題を解決し,どの機能が収益又は利用価値を生み,どの処理は代替できるかを確認する必要がある。

例えば,個人別の推薦精度を上げることが目的であっても,実名を保持すること,社外データを結合すること,結果を自動的に本人へ適用することの全てが不可欠とは限らない。
事業目的を固定し,データ項目,処理場所,保持期間及び人の関与を可変要素として扱えば,法的リスクを下げる設計変更を検討しやすい。

2 データフローに最低限載せる事項

データフローには,①取得元,②データ項目,③本人又は対象者,④取得方法,⑤利用目的,⑥保存場所・期間,⑦アクセス者,⑧AIへの入力,⑨モデル又はサービス提供者による利用,⑩出力,⑪出力を用いる判断,⑫委託・再委託,⑬第三者提供,⑭国外処理,⑮削除及び⑯事故時の停止点を載せる。
「クラウドを使う」又は「AIを使う」という製品名だけでは,実際の取扱いを確認できない。

外部のAI又はクラウドを用いる場合は,⑰支配権変更・事業譲渡時のデータ受領者,⑱倒産又は提供停止時の出力経路,⑲別環境での復元方法及び⑳法令上の保存期間とベンダー側の削除時期もデータフローへ載せる。平時の処理だけを図示しても,終了時に誰が何を保持し,どの環境へ移せるかは分からない。

同じサービスでも,組織向けと個人向け,学習利用の有無,履歴保存,外部コネクタ,管理者権限,再委託先及び処理国が異なり得る。
契約,管理画面の設定,実際の通信及び運用手順を照合する必要がある。

データフローには,個人情報の取扱いだけでなく,既存の技術・ノウハウ,新たな成果,生産データ及び派生データについて,誰がどの目的で利用・再提供でき,誰が対価を得るかも記載する。
情報を閲覧できることと,AI学習,他社製造又は内製化へ再利用できることを分け,第三者への入力・開示と目的外利用の条件を契約へ接続する。

令和8年6月24日の知財取引指針は,産業データの無償提供と成果物・関連知財等の対価を扱っている。
目的と必要範囲,取引上の優越,利用権限及び対価の確認方法は,図面・ノウハウ・生産データを無償で求められたときを参照されたい。

3 判断と外部効果を分ける

AIが順位,予測又は文章を出力するだけの場面と,その出力によって採用,価格,勧誘,診療,融資,契約又は公表が自動的に行われる場面とでは,リスクが異なる。
出力の受領者,人が覆せる範囲,説明方法,異議申立て,誤りの訂正及び停止権限をデータフローとは別の判断フローとして記録するべきである。

第3 横断して確認する法令と規範

1 個人情報保護法及びプライバシー

個人情報,個人データ,要配慮個人情報,個人関連情報,仮名加工情報及び匿名加工情報は,適用される規律が異なる。
公開情報であることだけで,無制限な収集,結合,学習,評価又は再公表が許されるわけではない。

利用目的,適正取得,不適正利用,第三者提供,委託先監督,国外取扱い,安全管理,正確性,開示等及び漏えい等対応を,実際の処理ごとに確認する。
個人情報保護委員会は,データマッピング,責任者・責任部署及びPIAを,民間事業者のデータガバナンスに役立つ自主的取組として案内している。

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AIを使うほど仕事が増える理由-法律実務で使う生成前フィルタと中断後の再開カード(AI作成)

第1 この記事の対象と結論1 生成の速さと仕事全体の速さは同じではない2 資料の位置付け第2 AIを使うほど仕事が増える仕組み1 候補生成の費用だけが下がる2 生成時間と総作業時間を分ける3 否定形だけの指示では足りない第3 中断と具体的な計画について分かっていること1 中断後の再開までには別の仕事が入る2 具体的な計画は未完了目標の侵入思考を減らした3 実行の時機と場所を決めた小規模実験4 数字の合わない逸話は根拠に使わない第4 生成前フィルタの四項目1 採用する候補の条件2 生成しない候補3 必ず含める事項4 候補数の上限と順位付け第5 法律調査では探索と説明を分ける1 探索完了前に不利益資料を削らない2 一次資料の本文確認とデータベースの状態を分ける第6 法律実務での指示例1 裁判例調査2 裁判所提出書面のレビュー3 契約書レビュー4 ブログ記事の監査5 生成後フィルタ――意思決定密度を上げる第7 中断後の再開カード1 五つの記録項目2 法律調査の記載例第8 導入効果の測り方1 量と品質を分けて記録する2 再開カードの効果を実測する3 学びをナレッジ又はSkillへ昇格させる基準第9 既存記事との関係第10 出典・参考資料1 原著論文及び原典2 公式資料及び論点発見資料

第1 この記事の対象と結論

1 生成の速さと仕事全体の速さは同じではない

生成AIは,候補の列挙,要約,比較及び初稿作成を短時間化できる。
しかし,候補が増えるほど,重複の整理,採否の判断,一次資料の確認,文章の統合及び手戻りも増え得るため,一つの出力が速く作られたことだけでは,仕事全体が速くなったとはいえない。

本記事は,AIへ指示する前に,①採用する候補の条件,②生成しない候補,③必ず含める事項,④候補数の上限及び順位付けを決める方法を「生成前フィルタ」と呼ぶ。
さらに,作業を中断するときに,①現在状態,②最後に確認した根拠,③次の一手,④未解決点,⑤停止又は確認条件を残す記録を「再開カード」と呼ぶ。
いずれも法令上の用語ではなく,本記事における法律実務上の提案である。

2 資料の位置付け

検討の端緒は,生成AIに肯定条件より先に除外条件を与えること及び未完了作業の次の一手を具体化することを提案したX投稿である。
X投稿は論点発見資料であり,法律事務所における効果を証明する一次資料ではない。

本記事は,中断された情報労働,未完了目標に関する計画及び実行意図を扱った原著論文を確認し,法律実務への応用部分を提案として区別した。
本記事が扱う中心は業務設計であり,特定の法令解釈又は裁判例の判旨を主張するものではないため,e-Gov法令検索,裁判所ウェブサイト及び判例秘書による判例検索は実施していない。
これは関係する裁判例が存在しないことを意味しない。

第2 AIを使うほど仕事が増える仕組み

1 候補生成の費用だけが下がる

AIは,同じ問いについて,多数の論点,見出し,表現,反対仮説又は関連記事候補を短時間で生成できる。
このとき下がるのは主として候補を作る費用であり,どれを採用し,どれを捨て,どの根拠で確定するかという判断の費用まで自動的に下がるわけではない。

候補が多いほどよい場面もあるが,採用基準がないまま候補だけを増やすと,似た案の比較,重複の除去及び「念のため」の確認が増える。

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大阪高裁民事部主任決議集を令和8年の民事訴訟で使う方法―mints後も残る実務と旧紙運用(AI作成)

目次第1 結論及び資料の位置付け1 結論2 対象資料第2 令和8年5月21日前後で取扱いを分ける必要1 新事件2 旧事件3 民事執行等第3 旧紙運用を現在の実務へ読み替える方法1 提出方法,手数料及び郵便費用2 送達及び通知3 副本及び記録送付4 閲覧制限,秘密保持及び記録保存第4 電子化後も有用な主任決議集の学び1 書面の表題より内容を見ること2 当事者及び参加人ごとに期限を管理すること3 上訴理由書を自己完結させること4 記録の所在と緊急性を引き継ぐこと5 証明書等は目的から逆算すること第5 法律事務所の確認チェックリスト1 事件及び適用法令2 提出及び送達3 記録及び証拠第6 一次資料による裏付けの状況1 確認できた事項2 資料に記載されているが,現在の運用とは限らない事項3 本記事の推論4 未確認事項第7 関連記事及び出典1 関連記事2 出典
第1 結論及び資料の位置付け
1 結論

大阪高裁民事部の主任決議集からは,書類の題名ではなく内容に応じて処理すること,当事者及び参加人ごとに送達・提出期限を管理すること,記録の所在を確かめて緊急処理を引き継ぐことなど,電子化後も有用な実務上の視点を学ぶことができる。

他方,同決議集には,紙の事件記録,郵便切手,ファクシミリ,書類の編てつ及び紙の副本を前提とする記載が多い。令和8年5月21日に施行された改正民事訴訟法及び改正民事訴訟規則の下では,これらを現在の取扱いとしてそのまま用いることはできない。

したがって,同決議集は,現在の法令又は大阪高裁の現行運用を証明する資料ではなく,令和3年3月15日時点の内部事務資料として読み,現行法令及び裁判所の公式案内と照合して利用すべきである。

2 対象資料

本記事の対象は,大阪高裁民事部の主任決議集(令和3年3月15日改訂)である。

このPDFは,大阪高裁民事部における主任書記官の決議又は申合せを集約したものと読める。しかし,裁判所ウェブサイトで公開された法令・通達又は裁判例ではなく,大阪高裁の現行版原本との同一性も確認できていない。

そのため,個別事件で裁判所の取扱いを予測する資料としては有用であるものの,法的根拠を示す場合は,民事訴訟法,民事訴訟規則,裁判所の公式案内及び必要に応じて判例を別途確認する必要がある。

第2 令和8年5月21日前後で取扱いを分ける必要
1 新事件

裁判所の「改正民訴法等で変わる民事訴訟手続の概要」によれば,令和8年5月21日に改正民事訴訟法及び改正民事訴訟規則が施行された。

改正後の新事件では,弁護士等の訴訟代理人は原則としてオンラインで申立てその他の提出をし,手数料及び裁判所が定める費用も電子納付する。裁判所のシステムを利用した送達,電子訴訟記録の閲覧及び事件管理が制度の中心となる。

したがって,新事件について,主任決議集の郵便切手,紙の正本・副本,ファクシミリ提出,紙記録の編てつ順序等の記載を現在の通常運用として引用するのは適切でない。

2 旧事件

令和8年5月21日より前に提起された事件には経過措置がある。旧事件の上訴であっても,手続の各場面について新旧いずれの規定が適用されるかを,施行日だけで一律に判断することはできない。

とりわけ,上告,上告受理申立て,抗告並びに費用の予納については,改正後の民事訴訟規則及び附則に個別の経過措置がある。そのため,事件の第一審提起日,現在の審級及び対象手続を組み合わせて確認する必要がある。

3 民事執行等

裁判所の公式案内によれば,民事訴訟のデジタル化が全面施行された後も,民事執行,民事保全,倒産及び家事事件等のデジタル化は別の施行日程に従う。

主任決議集の内容を検討するときは,「民事訴訟がデジタル化されたから,全ての関連手続が同じ取扱いになった」と考えず,対象となる手続類型を先に確定する必要がある。

第3 旧紙運用を現在の実務へ読み替える方法
1 提出方法,手数料及び郵便費用

主任決議集では,窓口又は郵送による提出,収入印紙,郵便切手及びファクシミリを前提とする記載が多い。

現在は,まず事件が新事件か旧事件か,提出者がオンライン提出義務者か,対象書面がシステム提出の対象かを確認する。その上で,手数料及び費用の電子納付の要否,紙提出が許される例外並びに旧事件の取扱いを確認する。

上訴の具体的な提出先,提出時期及びmints上の操作は,mintsで控訴・上告・上告受理申立てをする方法で整理している。

2 送達及び通知

主任決議集の郵便送達及びファクシミリ送信に関する記載は,現在のシステム送達へ機械的に置き換えることはできない。

現行の民事訴訟規則189条は,上告提起通知書について,原則として裁判所の使用に係る電子計算機から送達すべき電子書類を当事者のファイルへ記録する方法を定める。もっとも,システム送達の通知メールは送達そのものではなく,送達の効力発生時点は法令に従って別に判定する必要がある。

期限管理では,メール受信日時だけでなく,事件管理画面の送達記録及び対象書類を確認する。詳しくは,mintsのシステム送達と期限管理で説明している。

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mints時代の民事訴訟における証拠の状態管理―提出・申出・採否・取調べ・電子調書(AI作成)

目次第1 結論―証拠はアップロードしただけでは終わらない第2 証拠の八つの状態第3 証拠状態管理表第4 期日前の確認第5 期日中の確認第6 期日後の確認第7 新法適用事件と旧法適用事件第8 誤提出・不一致が判明した場合第9 根拠と資料レベル第10 関連記事

mintsでは証拠ファイルをアップロードできますが,アップロードの完了は,証拠申出,裁判所の採否,証拠調べの実施又は電子調書・証拠目録への反映と同じではありません。本記事は,民事訴訟の証拠を「受領・保全」から「調書・目録・返還」まで八つの状態に分け,期日前・期日中・期日後に何を確認し,どの記録を残すかを整理します。法令及び裁判所の公表資料で確認できる事項と,大阪高等裁判所民事部の内部資料から導いた事故防止策とを区別して記載します。2026年9月16日現在の内容です。

第1 結論―証拠はアップロードしただけでは終わらない

証拠管理で最も重要なのは,「ファイルがmintsにある」という事実だけで事件処理が完了したと判断しないことです。次の各段階は,互いに関連しますが同一ではありません。

裁判所へデータを提出したこと
相手方へ直送され,閲覧可能になったこと
期日又は準備手続で証拠申出をしたこと
相手方が成立の真正,採否等について意見を述べたこと
裁判所が採否を判断したこと
原本,写し又は電磁的記録について証拠調べが行われたこと
その結果が証拠目録,期日調書その他の訴訟記録へ正しく反映されたこと

したがって,事務所の事件台帳又は証拠管理表には,単なる「提出済み」ではなく,現在の状態と次に確認すべき事項を記録する必要があります。

第2 証拠の八つの状態

受領・保全―依頼者,第三者又は外部機関から受領した原本・元データを特定し,上書きせず保全した段階です。
提出準備―事件番号,当事者,号証,標目,作成者,作成年月日,立証趣旨,マスキング及びファイル名を点検した段階です。
裁判所提出―正しい事件,タブ及びファイル種別を選び,mintsへのアップロード又は所定の方法による提出が完了した段階です。
直送・閲覧―相手方ごとの直送方法を確認し,mints上の表示その他の方法で閲覧可能性を確認した段階です。
証拠申出―期日又は準備手続において,書証又は電磁的記録に記録された情報の内容に係る証拠調べを申し出た段階です。
相手方意見―成立の真正,原本の存在,採否,必要性その他の意見が示された段階です。
採否・取調べ―裁判所が採否を判断し,採用した証拠について原本,写し又は電磁的記録を取り調べた段階です。
目録・調書・返還―証拠目録及び期日調書等への反映を確認し,原本の返還又は継続保管を処理した段階です。

第3 証拠状態管理表

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Claude Code・Codexでパソコンがフリーズする原因-メモリ8GB・16GB・32GB・64GBの違い(AI作成)

目次第1 結論及び本記事の対象第2 「フリーズ」を四つに分ける1 Windows全体が重くなる場合2 Claude Code又はCodexだけが応答しない場合3 応答又はツールの完了を待っている場合4 画面全体が停止し再起動を要する場合第3 ローカルのパソコンに負荷が生じる仕組み1 AIモデルと作業環境は別であること2 検索,編集,ビルド及びテスト3 並列セッション及びサブエージェント4 MCP,WSL及びDocker第4 メモリ不足で操作が止まる仕組み1 物理メモリとコミット済みメモリ2 ページングとSSDの待ち時間3 容量差は比例ではなく閾値として表れること第5 メモリ8GB・16GB・32GB・64GBの違い1 Claude Codeの公式要件が示す範囲2 8GBの場合3 16GBの場合4 32GB及び64GBの場合第6 フリーズ発生時に記録する項目1 発生時刻と停止範囲2 タスクマネージャーで見る数値3 Windowsの記録第7 再発を減らす対策1 最初に同時実行数を減らすこと2 不要なMCP及び残存プロセスを止めること3 ページファイルと空き容量を確認すること4 WSL及びクラウド環境を使い分けること第8 メモリ増設が有効かを判断する方法1 増設が有効と考えられる場合2 増設だけでは解決しにくい場合第9 関連記事1 パソコンを新たに選ぶ場合2 Codexの長時間・並列利用を見直す場合第10 出典・参考資料1 事業者及びOS提供者の公式資料2 公開Issue
第1 結論及び本記事の対象

Claude Code又はCodexを使ったときにパソコンが固まりやすくなる主な理由は,AIモデルの計算そのものよりも,手元のパソコンで同時に動くエージェント本体,検索,ファイル処理,ビルド,テスト,ブラウザ,Office,WSL,Docker及びMCPサーバー等の負荷が積み重なることにある。
メモリを増やすと,空きメモリ不足とページングによる停止は起こりにくくなるが,アプリ固有の不具合,CPU又はSSDの飽和,ドライバー障害及び通信待ちは解消しない。
令和8年9月15日現在,メモリ容量別のフリーズ発生率を同一条件で比較した信頼できる公開統計は確認できないため,本記事では「8GBなら1日に何回」等の数値を示さず,容量ごとの余裕と原因の切分け方を説明する。

第2 「フリーズ」を四つに分ける
1 Windows全体が重くなる場合

マウスポインター,タスクバー及び他のアプリまで遅くなり,SSDの使用率が高い状態が続く場合は,物理メモリ不足に伴うページング又はCPU・ストレージの飽和が有力な候補となる。
この場合はClaude Code又はCodexだけを見るのではなく,ブラウザ,Word,Excel,PDF処理,ウイルス対策ソフト,WSL及びDockerを含むパソコン全体の使用量が確認対象となる。

2 Claude Code又はCodexだけが応答しない場合

他のアプリが通常どおり動くのに,ターミナル又はCodexのウィンドウだけが数秒以上操作できない場合は,画面描画,長い会話履歴,アプリ内部の処理又は個別の不具合を分けて考える。
OpenAIの公開Issueには,Windowsの他のアプリが反応している状態でCodexの画面だけが停止したという報告があるが,これは利用者による個別報告であり,すべての環境に共通する原因又は発生率を示すものではない。

3 応答又はツールの完了を待っている場合

画面操作はできるが回答が進まない場合は,AIサービスとの通信,ウェブ取得,MCP接続,外部コマンド又は長時間のビルドを待っている可能性がある。
この状態はメモリ不足とは限らないため,タスクマネージャーの数値が平常であれば,実行中の処理,ネットワーク及びサービス側の障害情報を確認することになる。

4 画面全体が停止し再起動を要する場合

画面が停止し,音声が途切れ,又はブルースクリーンや突然の再起動が生じる場合は,メモリ不足のほか,GPUドライバー,熱,電源,SSD又はハードウェア障害も検討対象となる。
特定のアプリを終了するだけで回復する停止と,Windows自体を再起動しなければ回復しない停止を同じ現象として記録すると,原因を誤りやすい。

第3 ローカルのパソコンに負荷が生じる仕組み
1 AIモデルと作業環境は別であること

通常の公式サービスでは回答生成の中心となるAIモデルは事業者側で動くが,エージェントが使用する作業環境まで常にクラウドにあるとは限らない。
OpenAIの公式資料によれば,CodexのLocal環境とWorktree環境は利用者のパソコン上で動き,Cloud環境は遠隔のクラウド環境で動くため,選択した環境によってローカル負荷が異なる。

2 検索,編集,ビルド及びテスト

Codex CLIはローカルの開発ツールを実行でき,Claude Codeもシェルコマンド,スクリプト及び各種ツールを実行する。
大量ファイルの検索,PDFや画像の変換,依存関係の導入,コンパイル,テスト及び開発サーバーの起動は,エージェント本体とは別のプロセスとしてメモリ,CPU及びディスクを使用するため,「AIアプリの使用量」だけでは総負荷を把握できない。

3 並列セッション及びサブエージェント

Claude Codeは複数のセッション,サブエージェント及びworktreeを用いた並列作業を案内しており,Codexにも同時に開くエージェント数を管理する設定がある。
並列化すると待ち時間を短縮できる一方,各作業が検索,ビルド又はブラウザ操作を同時に始めれば,メモリだけでなくCPUとSSDの使用量も重なるため,まず同時実行数を減らした比較が有用となる。

4 MCP,WSL及びDocker

Claude Codeのローカルstdio型MCPサーバーは手元のパソコンのプロセスとして動き,WSL 2はWindows上の仮想マシンとしてメモリとスワップを使用する。

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法律事務所の生成AI利用ガイドラインの作り方-許可サービス,入力情報,出力確認,委託先及び事故対応(AI作成)

目次

第1 本記事の対象と結論1 対象2 結論第2 法令・会規と行政資料の位置付け1 弁護士法及び弁護士職務基本規程2 弁護士情報セキュリティ規程3 行政資料は実装例として用いる第3 対象者・責任者・対象サービス1 対象者2 責任者3 背景で動くAIも対象にする第4 許可サービス台帳1 台帳に記録する項目2 許可・条件付許可・禁止を分ける3 変更時に再確認する第5 入力情報の区分1 公開情報2 匿名化又は仮名化した内部情報3 依頼者・相手方・事件の秘密情報4 必要最小限にする第6 許可業務・禁止業務1 比較的利用しやすい業務2 一次資料の確認を要する業務3 弁護士の判断又は承認を要する業務4 禁止業務5 謝罪・感謝・重要説明等の対人関係的文書6 外部資料中の指示を命令へ昇格させない第7 出力確認と一次資料1 法令2 裁判例3 事実・資料・計算4 著作権・個人の権利・偏り第8 送信・提出・公開・削除1 読む・検索する・下書きを作る権限を分ける2 承認は外部効果の直前に置く3 記録原本と読戻し第9 委託先・再委託先1 契約及び技術条件2 再委託先及び処理国3 委託先がAIを利用する場合第10 事故対応1 停止・保全・影響範囲の確認2 最初に記録する事項3 連絡及び報告4 再発防止5 停止後の再実行第11 研修・点検・更新1 トレースと評価データセットを分ける2 同じ課題で検証能力と総所要時間を測る第12 普通の法律事務所向けの優先順位1 第1順位-利用開始前に必ず決める4項目2 第2順位-利用開始直後に整える事項3 第3順位-秘密情報・外部連携等の高度利用前に確認する事項4 優先順位の意味5 起案者と最終確認者が同じ一人事務所の運用例第13 判例及び一次資料の確認状況第14 関連記事第15 出典・参考資料1 法令・会規2 行政機関・地方公共団体の資料3 学術文献4 生成AIの評価・観測に関する資料5 AIエージェントの安全運用に関する資料6 生成AI事業者のDPA及びデータ条件第1 本記事の対象と結論1 対象

本記事は,法律事務所が生成AIの利用ガイドラインを作る場合に,最低限どの事項を定めればよいかを整理するものである。
対象には,弁護士が会話画面から直接利用する生成AIだけでなく,事務職員が利用するサービス,OS・ブラウザ・電子メール・OCR・翻訳・議事録作成・クラウドストレージ・事件管理システム等に組み込まれたAI及び外部サービスを操作するAIエージェントを含める。

2 結論

ガイドラインは,製品名の一覧又は「個人情報を入力しない」という一文だけでは足りない。
少なくとも,①対象者及び責任者,②許可するサービスと利用環境,③入力情報の区分,④許可業務と禁止業務,⑤出力の確認方法,⑥送信・提出・公開等の承認,⑦委託先及び再委託先の確認,⑧ログ及び記録原本,⑨事故対応並びに⑩研修・点検・更新を定める必要がある。

本記事で参照する郡山市,デジタル庁及び総務省の資料は,行政機関又は地方公共団体の内部運用を対象とする資料であり,民間の法律事務所を直接拘束する法令又は会規ではない。
もっとも,利用可能なサービス,入力可能な情報,責任者,委託先,ログ,研修及び事故報告を具体的な様式へ落とし込む方法を学ぶための資料として有用である。

普通の法律事務所がこれらを一度に整備するのは容易でない。そこで,第12では,利用開始前に必ず決める事項,利用開始直後に整える事項及び秘密情報・外部連携等の高度利用前に確認する事項に分けて,実施の優先順位を示す。

導入時には,詳細な規程を一度に完成させるよりも,次の入口を決め,秘密情報や外部操作を追加する前に確認を進める方法が考えられる。
第12の優先順位と一人事務所の運用例に,開始前・開始直後・高度利用前の順序を示している。

入口小規模事務所の記入例許可サービスサービス・契約プラン・機能・モデルを台帳に記録し,未確認の機能は利用しない入力資料最初の試行は公開資料又は合成資料。事件の秘密情報は適用契約・権限等を確認してから別途判断出力の確認担当弁護士が原資料と照合し,確認者・確認日・修正箇所を記録外部への操作メール送信,裁判所提出,公開は下書き作成と別に承認。承認された版を記録事故時の連絡気付いた者が処理を止め,責任者へサービス・日時・情報・操作を報告して記録を保全

この表は法定の統一書式ではなく,公開資料を使って開始する場合の運用例である。
「許可」の記入だけで,将来の新機能,コネクタ,再委託先又は別モデルまで一括して認めたものとせず,変更時は第4・第9・第11の条件を再確認する。

AI法律相談の使い方,費用,弁護士の役割を先に確認したい場合は,AI弁護士とはを参照されたい。

第2 法令・会規と行政資料の位置付け1 弁護士法及び弁護士職務基本規程

弁護士法23条は,弁護士又は弁護士であった者の秘密保持義務を定める。
弁護士職務基本規程23条も秘密保持義務を定め,同規程19条は事務職員等に対する指導監督を求めている。
生成AIの利用ガイドラインは,これらの義務を各事務所の端末,アカウント,業務及び作業手順へ落とし込む文書である。

2 弁護士情報セキュリティ規程

日本弁護士連合会の弁護士情報セキュリティ規程は,令和6年6月1日に施行された。
同規程3条は,取扱情報の種類,性質等に応じた危険を踏まえ,法律事務所の規模及び業務の種類,態様等に応じた基本的な取扱方法を定めることを求めている。
生成AI利用ガイドラインは,この基本的な取扱方法の一部として定める方法と,これに付属する別紙として定める方法が考えられる。

3 行政資料は実装例として用いる

郡山市の「生成AI活用ガイドライン(第6版)」は,市が利用を許可したシステム,情報の機密性による入力制限,職員による出力確認及び委託先を含む運用を定めている。
デジタル庁の「行政の進化と革新のための生成AIの調達・利活用に係るガイドライン(第2.0版)」は,国の行政機関における調達及び利活用の考え方を示している。
総務省の「自治体におけるAI活用・導入ガイドブック<導入手順編>(第4版)」は,責任者,情報区分,ライフサイクル,委託先,研修及び事故対応を具体化する資料を提供している。

これらを引用するときは,「行政機関の運用例であること」と「法律事務所に当てはめた実務上の提案であること」を明記する。
行政資料を参照したというだけで,弁護士法,弁護士職務基本規程,個人情報保護法又は依頼者との契約上の義務を満たしたことにはならない。

第3 対象者・責任者・対象サービス1 対象者

対象者には,所属弁護士,事務職員,司法修習生,派遣労働者,業務委託先その他事務所の取扱情報へ接する者を含める。
共同事務所では,弁護士ごとに許可範囲が異なると事務職員に判断を委ねることになるため,共通部分と弁護士別の例外を分けて記録する。

2 責任者

小規模事務所であっても,AI利用の責任者を明示する。
責任者は,全ての出力を確認する者である必要はないが,許可サービス台帳の更新,事故時の連絡先,定期点検及び例外承認の所在を引き受ける者である。

3 背景で動くAIも対象にする

利用者が「生成AIを開いた」と認識しない機能も対象に含める。
例えば,音声入力,常時待機型又は会議・通話の文字起こし,画面参照型AI,画面内容の要約,電子メールの返信候補,OCR後の分類,クラウド内検索,画像生成,ブラウザの支援機能及び事件管理システムの自動抽出である。
OS又は標準アプリの更新によってAI機能が追加又は有効化されることもあるため,製品名ではなく,読取り,推論,保存,外部送信及び実行という機能単位で点検する。

第4 許可サービス台帳1 台帳に記録する項目

許可サービスは,名称だけでなく実際の利用環境を一行ずつ記録する。
最低限の項目は,①サービス名,②モデル又は機能,③プラン,④利用アカウント,⑤利用者,⑥接続先,⑦保存先,⑧入力データの学習又はサービス改善への利用,⑨提供者による人的アクセス,⑩保存期間及び削除方法,⑪操作ログ,⑫再委託先,⑬処理国又は保存国,⑭事故通知,⑮入力可能な情報区分,⑯許可業務,⑰承認者並びに⑱最終確認日である。

DPAが適用される場合は,台帳に,⑲DPAの名称・版・確認日,⑳利用契約への組込み方法,㉑管理者・処理者等の役割,㉒監査資料,㉓再委託先変更の通知・異議手続,㉔契約終了時の返還・削除及び㉕国外処理の根拠も記録する。さらに,学習利用,通常ログ,安全監視ログ,アプリケーション状態,ゼロデータリテンション,データ所在地,実際の推論処理場所及び外部コネクタは,同じ契約資料にすべて記載されているとは限らないため,項目を分けて出典URL又は設定画面を紐付ける。DPAが存在するという一項目だけを「秘密情報入力可」の根拠にしない。

⑧とは別に,処理の記録(ログ),分類結果,利用統計,フィードバック等の派生データを提供者が自社の目的に使えるかも台帳で確認する。
入力データを学習に使わないとする規約でも,派生データは制限なく処理できるとするものがあるからである。
派生データ条項の読み方は,「学習に使わない」と書いてあっても―AIサービス規約の派生データ条項(ログ・分類結果・利用統計・フィードバック)の読み方と弁護士の守秘義務(AI作成)で整理している。
国内のリーガルテックと国産AIのサービスの規約の比較は,国内のリーガルテック・国産AIの規約は入力データをどう扱うか―学習条項と派生データ条項の比較(AI作成)で整理している。

「有料版である」,「学習オフである」又は「大手企業のサービスである」という一項目だけでは,秘密情報を入力できることの根拠にならない。
同じ名称のサービスでも,個人向けと組織向け,無料と有料,通常機能と外部コネクタ付き機能では,情報の流れ及び契約条件が異なることがある。
例えば,組織向けのプランでも,初期設定のままでは会話やプロジェクトが無期限に保存されるものや,利用者の端末に保存される会話履歴を管理者が一元的に管理又は削除できない機能があるので,⑦保存先と⑩保存期間及び削除方法は,機能ごとに確認する。
法律事務所ではない一般の会社が社内向けの法務AIアシスタントを作る場合の確認事項は,会社が社内向けの法務AIアシスタントを作るときの法的チェックリスト―弁護士法72条のガイドライン,個人情報保護法,営業秘密,データの保存期間及び誤判定への備え(AI作成)で整理している。

一つの窓口から複数のAI事業者へ処理を振り分ける中継サービス(例えば,OpenRouterや,令和8年9月にLinux Foundation傘下のAgentic AI Foundationへ移管されたオープンソースの「Agent Router」)を使う場合は,窓口のサービスだけでなく,実際に処理する事業者ごとに一行を設ける。
障害時等に別の事業者へ自動で切り替える設定があるときは,自動切替えを認めるか,認める場合の切替先をどの事業者に限るかも台帳に書く。
中継サービスを事業者に預ける形(ホスティング)で使うときは,その事業者自体も入力を取り扱い得る委託先として一行を設ける。
自動切替えと秘密保持の関係は,学習オフの生成AIに秘密情報を入力することは第三者開示に当たるか(AI作成)で整理している。

有料又は会員限定の資料を入力する場合は,AIサービス台帳とは別に,資料名・版,取得元,適用規約の版・確認日,取得方法,処理対象の範囲,外部送信先・目的・保存条件,許諾の確認状況及び成果物の公開・再利用範囲を紐付ける。
利用者が処理を認めたことと,資料提供者が処理を許諾したことを同じ欄で扱わない。
許諾未確認は確認状況を示すものであり,許諾済み又は一律禁止を意味しない。
実際に確認できた制限に沿って処理範囲を定める。

2 許可・条件付許可・禁止を分ける

台帳では,単純な許可又は禁止だけでなく,条件付許可を用いる。
例えば,「公開情報のみ許可」,「匿名化した内部情報まで許可」,「秘密情報は指定された組織アカウント及び指定機能に限り責任弁護士の承認を要する」,「外部送信機能は利用禁止」といった形である。

3 変更時に再確認する

モデル,プラン,利用規約,データ処理条件,コネクタ,再委託先,保存国又はOSの権限が変わった場合は,同じ製品名であっても再確認する。
定期確認の時期だけでなく,変更通知を受けた者が誰へ伝えるかも定める。

料金の改定,課金方式の変更,サービスの提供終了及びモデルの廃止も,変更として台帳で扱う。
主要な事業者が料金改定やモデル廃止をどれだけ前に予告するとしているか,契約終了時にデータを取り出し又は削除できるか,及び代わりのサービスへ移るときに何を確認し直すかは,生成AIサービスの値上げ・提供終了・モデル廃止に備える契約と運用-規約の変更条項,終了時のデータ,移行計画及び中継サービス(AI作成)で整理している。

第5 入力情報の区分1 公開情報

法令,裁判所が公開する裁判例,官公庁の公表資料,自ら公開済みの記事その他一般に公開されている情報である。
公開情報であっても,著作権,利用規約,取得方法及び情報の新しさは別に確認する。

2 匿名化又は仮名化した内部情報

氏名を削除しただけでは,事件類型,地域,日時,金額,勤務先及び家族関係の組合せから当事者を特定できることがある。
匿名化又は仮名化の可否は,入力する断片だけでなく,AIサービスが既に参照できる電子メール,クラウド資料,会話履歴及び外部コネクタとの組合せで判断する。

自動匿名化機能を利用する場合は,機能名だけで安全と判断せず,①検出対象となる氏名・会社名・住所・日付・金額・口座・案件番号等,②匿名化漏れ及び過剰匿名化,③原文と匿名化後データの対応表の保存場所,④AIへ送信する段階,⑤応答を元の名称へ戻す段階,⑥原文・匿名化後本文・対応表・プロンプト・応答・ログ・キャッシュ・バックアップの各保存先及び削除方法並びに⑦文脈からの再識別可能性を,公開情報又は合成データで試験する。
自動匿名化は入力情報を減らす一手段であり,サービスの契約条件,送信先,保持,人的アクセス及び再委託先の確認を置き換えるものではない。具体的な実機テストは,AI契約書レビューを法律事務所で導入する前の実機テスト(AI作成)で整理している。

3 依頼者・相手方・事件の秘密情報

依頼者,相手方,証人その他関係者の個人情報,未公表の紛争内容,契約書,証拠,交渉方針及び事件の帰趨に影響する情報は,最も厳しい区分で扱い,入力を認めるサービスを台帳で特定する。
入力を認める場合は,サービス名だけでなく,利用目的,契約条件,アカウント,機能,処理経路,保存,削除,人的アクセス,再委託先,国外取扱い,管理画面の実設定,依頼者との関係及び代替手段を確認し,事件又は情報区分ごとの承認を記録する。
入力を学習に使わない設定(いわゆる学習オフ)は重要な条件であるが,秘密情報を入力できることを単独で決める条件ではない。応答生成以外の利用,ログ・キャッシュ・バックアップ,障害調査時の人的アクセス,再委託先及び保存期間等を確認した上で,対象事件,情報区分及び機能を限定して許可する。
当ブログは,これらの確認を経た許可サービスでは,固有名詞を機械的に記号へ置き換えることが人物又は時系列の取り違えを招く場合があると考えている。他方,自動匿名化又は実名入力のどちらが適切かは,作業目的,サービスのデータフロー,文脈からの再識別可能性及び依頼者との関係を踏まえて個別に決める(学習オフ設定のClaudeコード及びGoogle AI Ultraの利用は弁護士の守秘義務等に違反しないという個人的意見(AIリライト))。

4 必要最小限にする

入力が許可された情報であっても,目的に必要な部分だけを入力する。
全文を入力しなくても作業できる場合は,争点,条項又は文書の一部に限定する。
もっとも,氏名や日付を削ると人物の同定や時系列の整理ができなくなる作業では,許可したサービスである限り,識別情報を削らずに入力する方が正確である。
作業に関係しない口座番号,マイナンバーその他の情報は入力しない。

再利用する知識も,①公開できる一般手順,②事務所内だけで使う雛形・判断基準,③事件ごとの秘密資料,④送信・公開等の操作権限を分ける。
共通の手順や雛形には原資料,版,更新日,承認者,閲覧権限,保存期限及び使用を避ける条件を記録し,事件資料を共通ナレッジへ転記しない。これは入力情報の区分を,保存と再利用の段階にも適用するための運用案である。

公開・内部・秘密という情報区分とは別に,著作権及び資料提供者との契約に基づく利用権限を確認する。
例えば,秘密情報を含まない有料解説であっても,外部AIへの送信,詳細な要約の交付又は知識庫への保存に条件が設けられていることがある。
顧客資料の取扱いに関する同意が,その有料資料の権利まで処分できるとは限らない。

弁護士ドットコムLIBRARYを使う場合は,利用規約上の閲覧・取得方法,複製・アップロード等の制限及びサービス内AIの短文の外部利用制限をそれぞれ確認する。
規約確認の工程は,有料の法律・税務資料を生成AIで分析するときの利用権限で,税理士事務所における顧客資料・公表資料・有料解説の区分は,税理士事務所で生成AIを使うときの入力資料の分け方で整理している。

第6 許可業務・禁止業務1 比較的利用しやすい業務

公開資料の分類,見出し案,論点候補,文章の校正,質問事項の洗い出し及び定型文の下書きは,比較的利用しやすい。
ただし,出力をそのまま法的結論又は事実認定として採用せず,後記の確認を行う。

2 一次資料の確認を要する業務

法令,裁判例,期限,官公庁の手続,統計,引用,固有名詞及びURLを含む出力は,一次資料又はこれに準ずる資料で確認する。
検索結果の要約,生成AIの引用表示又は第三者の記事を開いただけでは,元の法令,判決本文又は統計表を確認したことにならない。

3 弁護士の判断又は承認を要する業務

受任の可否,利益相反,請求又は抗弁の選択,和解条件,依頼者への助言,裁判所提出書面の確定,期限の確定,相手方への回答,個人情報漏えい時の報告並びに事件方針の変更は,弁護士又は指定された責任者の判断を要する。
AIは候補及び下書きを作ることができるが,判断主体又は承認主体にしない。

4 禁止業務

許可されていないサービスへの秘密情報の入力,確認していない判例又は引用の記載,権限外事件の検索,依頼者の指示に反する利用及び承認を経ない外部送信等を禁止する。
禁止事項は抽象語だけでなく,実際の画面又は作業例を用いて研修する。

5 謝罪・感謝・重要説明等の対人関係的文書

謝罪,感謝,重要な方針説明,和解提案その他の対人関係的な文書では,正確さ及び速さだけでなく,誰が時間と配慮をかけたと受け取られるかも結果に影響し得る。英国の事前登録済み6研究(合計3,935人)は,社会的・対人関係的な課題をAIへ委ねたと認識された場合,委ねた本人の道徳性,信頼性,温かさ又は真正性の評価が下がり得ると報告している。

これは日本の法律事務所を対象とする研究ではないため,直ちに同じ結果になるとはいえない。もっとも,これらの文書については,AIによる校正,論点漏れの確認及び複数案の比較を認めても,事実,立場,語調,送信時期及び最終文面を担当者自身が決定し,自動送信しないと定めることが考えられる。

6 外部資料中の指示を命令へ昇格させない

ウェブページ,電子メール,PDF,OCR結果又は相手方から受領した文書は,調査又は証拠の対象となるデータであり,事務所からAIへの操作命令ではない。外部資料に「これまでの指示を無視する」「秘密情報を送信する」「ファイルを変更する」等の記載があっても,その記載だけを根拠に権限を追加しない。

外部資料の読取りと,秘密情報の送信,ファイル変更,メール送信,公開,削除,決済又は権限変更を分離する。これらの外部効果を伴う操作は,認証された利用者の指示と,本ガイドラインが定める承認の双方を確認する。

AIエージェントに読み込ませる手順書(スキル)やプラグインも,外部資料と同じく,中に書かれた指示や付属のプログラムがそのまま実行され得る。
2026年1月に公開された論文は,2つの公開マーケットプレイスから集めた31,132個のスキルを調べ,26.1%に何らかの危険なパターンが検出され,5.2%は悪意が強く疑われるパターンを含んでいたと報告している(人が確認した87件のうち23件は悪意が明らかであった)。
外部のスキル・プラグインは,許可サービスと同じく導入前に付属のプログラムを含めて内容を確認し,事務所で作成又は確認したものに限って使うと定めることが考えられる。
また,共有文書,カレンダーの招待又は電子メールに隠した指示によって,業務用のAI検索が組織内の情報を外部へ送ってしまう脆弱性が報告され,提供者が修正した例もある(Noma Securityが2025年12月に公表したGoogle Gemini Enterpriseの事例)。
受領した文書をAIに読ませる場面ほど,読取りと外部送信を分離する定めが意味を持つ。

第7 出力確認と一次資料1 法令

現行法令は,原則としてe-Gov法令検索の条文本文,附則及び施行情報を確認する。
旧法,経過措置,未施行改正,最高裁判所規則その他e-Gov法令検索だけで完結しない資料は,官報,所管官庁又は裁判所の公式資料を追加して確認する。

2 裁判例

裁判例は,裁判所名,裁判年月日及び事件番号の実在確認と,本文中の判示内容及び射程の確認を分ける。
裁判所ウェブサイトに掲載がない場合は,判例秘書等の商業データベースで全文を確認し,検索日,検索欄,検索語,結果件数,事件ID,本文を開いたか及び根拠として用いた判示を記録する。

判例データベースの状態は,①未検索,②検索実施,③件数のみ確認,④一覧又はヘッダー確認,⑤全文確認,⑥判旨確認及び⑦当該命題との直接関連性確認に分ける。
検索結果が0件であること,又はある語の限定検索で直接関連する判決を発見できなかったことは,その裁判例又は法的問題が存在しないことの証明ではない。

3 事実・資料・計算

依頼者から受領した資料は,AIの要約ではなく原本又は確定版を記録原本とする。
日付,金額,氏名,口座,物件,条項番号及び期限は,抽出元の頁又はセルへ戻って確認する。
音声入力又は文字起こしから抽出した人名,日付,金額,事件番号,条文及び逐語引用も,録音又は原資料と照合するまで確定情報として扱わない。
AIが複数候補又は低い確信度を示した場合は,自動保存せず,人の確認待ちに送る。
ただし,確信度が意味を持つのは,提供者が較正(示す確率と実際の的中率を一致させる調整)を公表し,事務所のデータで的中率を確かめた場合に限られ,較正されていても1件ごとの正しさは保証されない。
期限,受任の諾否及び返答の要否に関わる項目は,確信度が高くても人が確認する(AIが示す「確信度」はどこまで信じてよいか―較正の意味,自動振分けの閾値及び期限が絡む分類を人が見る理由(AI作成))。

4 著作権・個人の権利・偏り

出力が既存著作物の表現を過度に再現していないか,個人の名誉,プライバシー又は信用を侵害しないか,不合理な差別又は偏りを含まないかを確認する。
文化庁の整理は著作権法上の考え方を検討する行政資料であり,個別の出力が適法であることを保証する判決ではない。

第8 送信・提出・公開・削除1 読む・検索する・下書きを作る権限を分ける

読む,検索する,分類する及び下書きを作る作業と,保存する,上書きする,送信する,提出する,公開する及び削除する作業を分ける。
AIに後者の権限を与える場合は,対象,宛先,内容及び時点が確定した直前に人の承認を置く。

2 承認は外部効果の直前に置く

事前に「全部任せる」と指示しても,後で送信先又は内容が変わることがある。
承認は,抽象的な作業開始時ではなく,送信,提出,公開,削除又は期限確定の対象が画面上で特定された時点に置く。

3 記録原本と読戻し

AIとの会話履歴だけを事件の確定記録にしない。
確定した期限,連絡内容,書面及び作業状態は事件管理システムその他の記録原本へ保存し,保存後の値を読み戻して確認する。

AIが作成した引継ぎ要約又はメモリを,利用者の承認記録へ置き換えない。
「承認済み」「確認済み」「送信済み」という記載は,原指示,承認の対象・条件,資料本文及び外部システムの結果と照合する。
引用表示又は他のエージェントとの共同作業のために,事件資料や成果物を許可されていない外部サービスへ公開しない。
公開調査報告で確認された問題と引継ぎ票の項目は,AIエージェントの要約・メモリを権限と取り違えないために―引継ぎ,外部送信及び監査の確認事項(AI作成)で整理している。

第9 委託先・再委託先1 契約及び技術条件

提供者について,利用規約,データ処理契約,秘密保持,安全管理措置,学習又はサービス改善への利用,人的アクセス,保存期間,削除,バックアップ,事故通知及び監査に必要な情報を確認する。
契約書の文言と,管理画面で実際に選択されている設定の双方を確認する。

DPAは,データ処理に関する役割及び義務を確認する一次資料である一方,弁護士が個々の事件資料を入力することの許可証ではない。弁護士の守秘義務,利用目的,必要最小限性,依頼者との関係,サービスの実際の設定及びAIエージェントの権限は別に判断する。各項目の確認方法は,法律事務所が生成AIのDPAを確認するときのチェックリスト(AI作成)で整理している。

Pマーク又はISMSの取得を確認するときは,取得法人,対象となる組織・業務,適用する基準及び有効性を,契約相手と利用する機能に対応させる。Pマークは法人単位を基本とする一方,ISMSでは登録範囲の確認が必要である。親会社又は別部署の取得を,契約相手又は全機能の取得として扱わない。

確認記録では,①認証登録証,②DPA等の契約上の約束,③権限管理・ログ・暗号化等の実施を示す資料,④事務所が選択したプラン・連携・保持期間等の設定を分ける。Pマークは技術的な安全管理や現地での運用確認も含む制度であり,「書類だけ」と説明しない。他方,認証取得だけで個別のデータ処理が安全であることや,委託元の監督が済んだことにはならない。

令和8年10月3日に確認した制度の説明と個人情報保護委員会の通則編に基づく確認手順は,Pマーク・ISMS取得済みの委託先なら安心か―AI・クラウドの認証範囲,安全管理措置及び委託先監督(AI作成)で詳しく整理している。

2 再委託先及び処理国

基盤モデル,クラウド,ログ解析,サポートその他の再委託先並びにデータの保存国・処理国を確認する。
再委託先又は処理国の変更通知を誰が受け,いつ台帳を更新し,利用継続を判断するかを定める。

3 委託先がAIを利用する場合

文字起こし,翻訳,調査,システム保守その他の委託先が生成AIを利用する場合も,事務所の管理対象から外さない。
委託契約又は個別指示で,利用可能なサービス,入力情報,目的外利用,再委託,事故通知及び成果物の確認方法を定める。

第10 事故対応1 停止・保全・影響範囲の確認

誤入力,誤送信,権限外検索,不正確な出力の提出,秘密情報の表示又はアカウント侵害が判明した場合は,まず利用又は外部連携を停止し,ログ,画面,時刻,入力及び出力を保全する。
その上で,対象事件,対象者,情報の種類,送信先,閲覧可能者,保存先,期間及び外部公開の有無を確認する。

安全監視,通信障害又は不審な外部資料によって停止した場合は,要求・応答ID,ツール呼出し及びアプリケーション側の記録も保存し,停止前に送信,保存,公開又は削除が完了していないかを外部システムで確認する。停止は,それ以前に生じた外部効果の巻戻しではない。

2 最初に記録する事項

事故記録票には,①発見日時,②発見者,③サービス・モデル・プラン・アカウント,④入力及び出力の概要,⑤対象事件・依頼者,⑥情報区分,⑦送信先・閲覧者・保存先,⑧再委託先又は外部コネクタ,⑨ログ及び証拠の保存先,⑩停止措置,⑪影響範囲,⑫連絡又は報告の要否,⑬意思決定者,⑭暫定措置並びに⑮原因及び再発防止を記録する。

3 連絡及び報告

依頼者,裁判所,相手方,個人情報保護委員会,弁護士会,保険会社,サービス提供者その他への連絡又は報告の要否を,事故の種類及び影響に応じて個別に判断する。
個人情報保護委員会への報告及び本人通知が必要となる場合があるが,生成AIへ入力したという事実だけで全て同じ結論になるものではない。

4 再発防止

個人の注意不足だけで終わらせず,許可サービス台帳,情報区分,画面設計,権限,研修,承認位置,ログ及び委託先管理のどこで防げたかを確認する。
同じ型の事故又はヒヤリ・ハットが繰り返された場合は,注意喚起から機能停止,権限制限又は承認必須化へ対策を一段強める。

5 停止後の再実行

停止又はタイムアウトの直後に同じ操作を自動で再試行しない。まず,停止原因を分類し,外部システムを読み戻して,操作を未実行,実行済み,一部実行又は成否不明に分ける。メールの二重送信,記事の二重公開及び同じ提出の重複を防ぐため,成否不明の操作は確認できるまで再開対象から外す。

確認済みの外部状態,残作業,重複防止策,必要な承認及び完了確認の方法を再開票に記録し,送信,提出,公開,削除,決済又は権限変更は弁護士の承認後に一回だけ再開する。具体的な手順は,法律事務所のAIエージェントが停止したときの再開手順(AI作成)で整理している。

第11 研修・点検・更新

導入時研修だけでなく,実際の誤入力,架空判例,誤送信,権限外検索及び背景AIの事例を用いた短い反復研修を行う。
台帳の最終確認日,研修日,参加者,点検結果,例外承認及び事故後の改定を記録する。

少なくとも,モデル・プラン・規約・再委託先・コネクタ・OS機能の変更時,事故又はヒヤリ・ハットの発生時,取扱業務の変更時及び定期点検時にガイドラインを見直す。
文書の版番号,改定日,改定者及び改定理由を残す。

ガイドラインを初めて定めるとき及び定期点検のときは,それまでに所属弁護士や事務職員が使っていた指定外のサービス及び個人アカウントを申告してもらう。
申告を促すため,ガイドラインを定める前の利用で申告したものは処分や叱責の対象にしないことを,あらかじめ示しておく。
申告が隠されたままでは,どの情報がどのサービスに入力されたかを確認できないからである。
申告されたサービスは,入力された情報の範囲を確認した上で,許可サービス台帳に載せるか,利用をやめて提供者に削除を依頼できるかを検討する。
無断利用の実態の把握と懲戒処分との関係は,「シャドーAIの問題点――営業秘密,個人情報保護法及び懲戒処分をめぐる法的枠組み(AI作成)」で整理している。

難しい調査又は起案の研修では,①AIを開く前に問い,暫定結論,重要事実及び不足資料を短く書く,②AIに反対説又は見落とし候補を出させる,③条文,判決本文又は証拠原本へ戻る,④採否及び修正理由を自分の言葉で説明し直す,という順序を取り入れる。最終回答だけでなく仮説,反証及び確認経路を残す理由は,「AIが難問を解いても人間の思考過程を残す理由-形式検証,独立査読,若手育成及び法律実務への示唆(AI作成)」で整理している。

研修には,秘密情報を含まない模擬のウェブページ,メール又はPDFに不審な指示を埋め込み,担当者が外部資料を命令へ昇格させず,作業全体を停止し,外部状態を読み戻してから再開票を作る訓練を含める。実事件の秘密情報を訓練用サービスへ入力しない。

1 トレースと評価データセットを分ける

点検では,誰が何を操作したかを示す監査ログ,モデル呼出し,検索結果及びツール操作を工程順に示すトレース並びに繰り返し試験に使う評価データセットを分ける。
トレースは失敗した工程を特定する資料であるが,法的結論の正しさ又は一次資料確認の完了を当然に証明するものではない。

評価データセットには,問い,基準日,対象法域,参照すべき法令・裁判例・行政資料,該当頁又は箇所,重要な反対材料,必要な留保,人の承認を要する操作,情報区分,確認者及び確認日を記録する。
モデル,プロンプト,検索対象,コネクタ又は権限を変更したときは,代表例と過去の失敗例で回帰試験を行う。

本番で見つかった失敗を評価データセットへ戻す場合は,依頼者名,事件番号その他の識別情報を削減し,実在事件を外部の観測基盤へそのまま複製しない。
トレース,評価データセット及び一次資料確認を使い分ける方法は,法律事務所の生成AIをどう評価・改善するか―トレース,評価データセット,回帰試験,一次資料確認及び守秘義務(AI作成)で整理している。

2 同じ課題で検証能力と総所要時間を測る

AIの利用頻度又は年代・性別による集団の利用率を,個々の職員の能力の評価に置き換えない。
利用しない理由には,秘密情報の扱い,処理先の不明確さ又は検証負担もあり得るため,必要な支援を本人と確認する。
研修では秘密情報を含まない同じ模擬課題を使い,次の観点で到達点を確認する運用が考えられる。

観点確認する内容評価時の注意一次資料原文の該当箇所と対象時点へ到達したか出典名の列挙だけで完了としない重大な誤り架空判例,年度違い,金額・期限の誤りを検出したか文章の読みやすさとは別に評価する反対材料結論と矛盾する事実又は留保を確認したかAIへの再質問だけで済ませない総所要時間下書き,確認,修正及び再確認の合計生成時間だけで効率化を判定しない説明採否と修正理由を本人が説明できるか最終回答の暗記と区別する

この評価表は法定の研修様式ではなく,事務所の業務に合わせた運用案である。

(続きを読む...)法律事務所の生成AI利用ガイドラインの作り方-許可サービス,入力情報,出力確認,委託先及び事故対応(AI作成)

刑事手続のデジタル化とは―令和7年法律第39号の施行日,電子令状,オンライン証拠開示及びLinKage(AI作成)

目次

第1 この記事の結論第2 改正法の三つの柱1 書類・証拠・令状の電子化2 ビデオリンク方式の拡大3 情報通信技術の進展に伴う犯罪への対応第3 施行時期を三段階で確認する1 令和7年6月12日に施行された規定2 令和8年5月21日に施行された規定3 令和9年3月31日までの政令日第4 電子令状と電磁的記録提供命令1 電子令状2 電磁的記録提供命令第5 オンライン証拠開示は一律ではない第6 個別事件への適用を決める事項第7 裁判所システムの公表名称と位置付け第8 弁護士事務所の準備1 事件ごとの入口を固定する2 送信と期限の証拠を残す3 証拠データの権限を絞る第9 公開資料で確認できることと確認できないこと第10 関連記事第11 出典
第1 この記事の結論

刑事手続のデジタル化を定める「情報通信技術の進展等に対応するための刑事訴訟法等の一部を改正する法律」(令和7年法律第39号)は,令和7年5月16日に成立し,同月23日に公布された。
同法は一度に全面施行されるのではなく,規定ごとに段階的に施行される。

令和8年9月15日現在,情報通信技術の進展等に伴う犯罪への対応に関する一部規定は令和7年6月12日に,電磁的記録提供命令,ビデオリンク方式による証人尋問及び特定電子移転財産権の没収等に関する一部規定は令和8年5月21日に施行されている。
書類の電子化,電子令状,オンラインによる書類・証拠の授受その他の主要規定は,令和9年3月31日までの間において政令で定める日に施行される。

もっとも,法令上の施行日と,個別事件で電子的な方法を利用できる日とは同じとは限らない。
経過措置,事件の係属時期,電子公訴提起の有無,対象地域・事件及び最高裁判所の指定等を確認する必要がある。

第2 改正法の三つの柱
1 書類・証拠・令状の電子化

第一の柱は,刑事手続で取り扱う書類を電磁的記録として作成・管理・発受するための規定である。
裁判所,検察官,司法警察職員及び弁護人等の間の申立て・通知・送達,令状の請求・発付・執行並びに証拠の閲覧・謄写等を電子的に行う法的基盤が整備される。

2 ビデオリンク方式の拡大

第二の柱は,勾留質問,弁解録取,裁判所の手続への出頭・出席及び証人尋問等について,映像と音声を相互に送受信する方法の利用範囲を広げることである。
遠隔化は移動負担を減らし得る一方,被疑者・被告人と弁護人の秘密交通,供述状況の把握及び防御権の実質的保障を損なわない運用が必要である。

3 情報通信技術の進展に伴う犯罪への対応

第三の柱は,電磁的記録による文書の信頼を害する行為に対する罰則,電子計算機損壊等公務執行妨害罪,暗号資産等に関する没収・没収保全及び通信傍受の対象犯罪の追加等である。
この部分は裁判手続のオンライン化と目的が異なるため,施行時期も分けて確認しなければならない。

第3 施行時期を三段階で確認する
1 令和7年6月12日に施行された規定

令和7年版犯罪白書は,情報通信技術の進展等に伴う犯罪事象へ対応する規定のうち,特定電子移転財産権の没収等を除く部分が令和7年6月12日に施行されたと整理している。

2 令和8年5月21日に施行された規定

電磁的記録を提供させる強制処分,ビデオリンク方式による証人尋問及び特定電子移転財産権の没収・没収保全等に関する規定は,令和8年5月21日に施行された。
この施行日は,令和8年政令第156号が,改正法附則1条3号に掲げる規定の施行期日として定めたものである。
この施行に対応する刑事訴訟規則等の改正も,最高裁判所の規則として公表されている。

3 令和9年3月31日までの政令日

書類の電子化,電子令状,電子的な申立て・通知・送達及び証拠のオンライン授受等の主要規定は,令和9年3月31日までの間において政令で定める日に施行される。
「令和8年度末までに全面運用」とだけ書くと,すべての事件・地域・システムが同日に一斉移行するように読まれかねないため,法令上の施行と実際の利用範囲を分けて説明する必要がある。

最高裁判所の令和7年8月26日の事務総局会議の資料は,令和9年3月からの段階的施行に向けて刑事手続のシステムを開発中としており,民事のTreeeSの全庁導入の時期を決めるに当たっても,令和9年3月の改正刑事訴訟法の一部施行の時期を避けるとしている。
もっとも,主要規定の施行日を定める政令は,令和8年10月10日時点でe-Gov法令検索では確認できない。

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Windowsの基本操作とサポート期限―画面,印刷,32bit・64bit及びESU(AI作成)

目次第1 操作方法はOS・アプリ・機器を分けて確認する第2 画面表示とスクリーンショット1 拡大率と解像度を区別する2 画面の切取りは証拠の全部ではない第3 印刷・PDF・ファイルの場所第4 32bit・64bitとドライバー第5 Windows 10の終了とESU1 通常サポートの終了と追加のセキュリティ更新2 事務所の業務用パソコンは商用条件を確認する3 移行計画はアプリと周辺機器を含める4 Officeのサポート期限は別に確認する第6 関連記事と出典
第1 操作方法はOS・アプリ・機器を分けて確認する

Windowsのトラブルを調べる際は,Windowsの版,アプリの版,接続機器の型番を確認する。
同じ名前の機能でも,Windows 10とWindows 11,デスクトップアプリとウェブアプリでは画面や機能が異なる場合がある。
本記事は基本的な切分けとサポート期限の確認方法を扱い,具体的な変更は事務所の管理ルールに従うことを前提とする。

第2 画面表示とスクリーンショット
1 拡大率と解像度を区別する

文字が小さい場合,画面の解像度を下げる方法と,表示の拡大率を変える方法は同じではない。
複数ディスプレイでは,配置,主画面,拡大率をそれぞれ確認する。
WindowsキーとPキーによる投影設定では,複製と拡張の違いに注意する。
具体的な接続方法はディスプレイの接続・拡張・画面共有で説明する。

2 画面の切取りは証拠の全部ではない

Windowsキー・Shiftキー・Sキーによる切取り等は,画面を記録する手段である。
操作結果がクリップボードにあるだけなのか,ファイルとして保存されているのかを確認する。
画面外の文脈,URL,取得日時,元のファイルは,切取り画像とは別に残す。

第3 印刷・PDF・ファイルの場所

印刷時は,出力先,部数,片面・両面,ページ範囲,用紙サイズ及び拡大縮小を確認する。
別の事件のプリンター出力を取り違えないよう,実際の出力物まで確認する。
PDFプリンターを選んだ場合は,保存画面と保存先を確認し,紙が出ないことだけを障害と判断しない。

ファイルが見つからない場合は,アプリの最近使った項目だけでなく,実際の保存場所と拡張子を確認する。
デスクトップやドキュメントがクラウド同期の対象であることもある。
同名ファイルについては,更新日時だけでなく内容と版を確かめる。

第4 32bit・64bitとドライバー

OS,アプリ及びドライバーのbit数は別の確認事項である。
64bit Windows上で32bitアプリが動く場合でも,連携部品の互換性まで保証されるわけではない。
特にスキャナーは,アプリが要求するTWAIN等の方式とbit数を確認する。

また,64bitという表現だけでは,x64とARM64等のCPU構成の違いまで説明できない。
古い周辺機器を新しいパソコンへ移す際は,OS名だけでなく,機器メーカーの現行動作環境を確認する。
詳細は裁判書類のPDF化とスキャナー設定を参照されたい。

第5 Windows 10の終了とESU
1 通常サポートの終了と追加のセキュリティ更新

Windows 10の通常サポートは令和7年(2025年)10月14日に終了した。
Microsoftが令和8年(2026年)9月15日時点で公表するコンシューマー向けESUの終了日は,令和9年(2027年)10月12日である(出典①)。
以前の案内で示された期限と混同せず,契約・対象機器に対応する現行案内を確認する。

ESUは,対象となる重要なセキュリティ更新を提供する制度であり,通常サポート全体の延長ではない。
新機能,一般的な修正,技術サポートまで受けられるという意味ではない。

2 事務所の業務用パソコンは商用条件を確認する

Microsoftは,コンシューマー向けESUを商用シナリオでは使用できないと案内している。
個人事務所であることや,Windows Homeを使用していることだけで,個人向け条件を満たすと判断しない。
組織での利用については,商用ESUの案内及び販売元に確認する。

対象OS・版,更新適用,登録状態を確認し,登録できたという画面だけで利用条件の検討を終えない。
本記事は,いずれのESU契約の購入や利用資格も保証するものではない。

3 移行計画はアプリと周辺機器を含める

① 利用OS,機器,業務アプリ及び担当者を一覧にする。
② Windows 11への移行要件とメーカーの対応を確認する。
③ データ・設定・回復情報を保全する。
④ 少量の実データに代わるテスト資料で動作を確認する。
⑤ 移行日と旧機器の利用終了日を決める。

ウイルス対策ソフトを入れていても,OSやアプリのサポート終了が解消されるわけではない。
複数の対策製品の併用可否は構成によるため,一律に追加又は削除せず,製品の案内を確認する。

OSの移行とは別に,インストール済みのアプリも定期的に一覧で確認する。
使っていないアプリほど更新が忘れられ,サポートが終了しても気付かれにくい。
個人情報保護委員会の個人情報保護法ガイドライン(通則編)10-6は,技術的安全管理措置の手法の例示として,機器やソフトウェア等に標準装備されている自動更新機能等の活用により,ソフトウェア等を最新状態とすることを挙げている(出典④)。
使っていないアプリは削除し,使い続けるアプリは自動更新が実際に働いているかを版数で確かめる。

もっとも,更新プログラムそのものが障害を起こすこともある。
Microsoftは,Microsoft 365 Apps向けの任意の更新プログラムKB5002907の後に,一部のOffice 2016・Office 2019がライセンスのないように見える状態になり,又は削除されたとして,令和8年(2026年)9月29日時点でこの更新プログラムの提供を一時停止している(出典⑤)。
更新を止めるのではなく,ライセンスを関連付けたアカウント,プロダクトキーの保管場所,代わりに使える端末及びデータの保存先を平時に控えておくことが,障害からの復旧を早める。
復旧の手順はOffice 2016・2019が「ライセンスのない製品」になったときの対応で説明する。

4 Officeのサポート期限は別に確認する

Windows 10の移行とは別に,Office 2016とOffice 2019のサポートは令和7年(2025年)10月14日に終了している(出典⑥)。
Microsoftは,これらについて「拡張機能および拡張セキュリティ更新プログラムはありません。」と案内しており,Windows 10のESUのような制度は用意されていない(出典⑦)。
Windows 11へ移行しても,Office 2016・Office 2019のサポート終了は解消しない。

移行計画の一覧には,OSとは別にOfficeの製品名と版(買い切り版かサブスクリプションか)を記載し,ライセンスを関連付けたアカウントと移行先を決めておく。
新しい買い切り版のOffice 2024にもサポートの期限があり,Microsoftの製品のライフサイクルのページでは,廃止日が太平洋標準時で2029年10月10日と表示されている(出典⑧)。
買い切り版を選ぶ場合も,数年後に同じ移行が必要になることを計画に織り込む。

第6 関連記事と出典

(続きを読む...)Windowsの基本操作とサポート期限―画面,印刷,32bit・64bit及びESU(AI作成)