目次
- 第1 二つの層の違い
- 第2 「記録外」は裁判所限りの共有場所ではない
- 第3 記録外へ置いても正式な提出にはならない
- 第4 容量と形式の制限
- 第5 第三者が提出する場合
- 第6 使い分けの基準
- 第7 関連記事
- 出典・参考資料
mintsのアップロード先には,「記録」と「記録外」という二つの層がある。
受け付けるファイル形式が違うだけでなく,訴訟記録になるかどうかが違う。
「記録外」という名称から,裁判所だけが見る場所であるとか,相手方には共有されない場所であると誤解されやすい。
しかし,記録外にアップロードしたファイルも,事件に関連付けられた全ての当事者ユーザが閲覧できる。
本記事では,記録と記録外の違い,受け付けるファイル形式と用紙サイズの違い,閲覧できる者の範囲,及び使い分けの基準を説明する。
第1 二つの層の違い
| 項目 | 記録 | 記録外 |
|---|---|---|
| 区分名 | 「主張」「証拠」「証拠説明書」「関連事件の申立て」「その他」 | 「記録外」 |
| 訴訟記録になるか | なる | ならない |
| 受け付ける形式 | PDF,MP3,MP4,JPEG,PNG | 左記に加え,Word(docx),Excel(xlsx),PowerPoint(pptx) |
| PDFの用紙サイズ | A4,A3又はその混在に限る | 制限がない |
| 閲覧できる者 | 事件に関連付けられた全当事者及び係属部の職員 | 同じ |
記録外は,和解条項のドラフト案など,共有が必要な情報をやり取りする場であり,用済み後に廃棄されることが予定されている。
第2 「記録外」は裁判所限りの共有場所ではない
1 全当事者が閲覧できる
操作マニュアルは,「記録外一覧」にアップロードしたファイルを,事件に関連付けられた全ての当事者ユーザが閲覧できると明記している。
公開されているQ&Aにも,特定の相手方又は裁判所だけを宛先にすることはできず,記録外を含む書面を関連当事者等が参照できるとの説明がある。
アップロードした書面は,記録・記録外を問わず,当該事件に関連付けられた全ての当事者及び事件が係属する部の職員(裁判官を含む。)が参照可能である。
特定の相手方当事者のみ,又は裁判所限りを宛先とする書面をアップロードすることはできない。
2 相手方に見せない資料は先に置かない
相手方への共有を予定しない資料は,通常の「記録外一覧」へ先にアップロードせず,事件担当部に適切な提出方法を確認する必要がある。
秘密記載文書については,閲覧等制限の申立てとあわせて別の取扱いがあるため,mintsで閲覧等制限を申し立てる方法を参照されたい。
第3 記録外へ置いても正式な提出にはならない
1 準備書面の正式版はPDFを「主張」として提出する
記録外はPDFを置けない場所ではなく,記録一覧より広い形式を受け入れる場所である。
しかし,そこへ置いたファイルは訴訟記録にならない。
準備書面の正式版はPDFを「主張」として提出し,Word版を共有する必要があるときだけ,対応する編集可能データを別途「記録外」へ置く。
知的財産高等裁判所及び大阪地方裁判所知的財産権部の案内も,編集可能データを正式提出とは別に記録外へアップロードする取扱いを示している。
2 形式だけを理由に記録外を選ばない
Wordファイルをそのまま送れるというだけで「記録外」を選び,求められた書面提出を済ませたと判断するのは適切ではない。
操作マニュアルの操作例で「記録外」が選ばれていることは,第三者の提出物を常に記録外へ入れるという指定ではない。
回答書,添付資料又は編集用データの提出区分が案内から分からないときは,担当書記官へ確認してから提出する。
3 編集可能データの付随情報を点検する
記録外のWord等をアップロードするときは,正式PDFと内容が対応していることが分かるファイル名にする。
もっとも,全国一律のファイル名書式が法令で定められているわけではないため,事件担当部の指定がある場合はその指定に従う。
編集可能データには,コメント,変更履歴,非表示文字,作成者情報又は過去に貼り付けた別事件の内容が残ることがある。
記録外であっても裁判所又は相手方に共有されるため,これらの付随情報を除去し,正式PDFとの不一致がないかを確認する。
第4 容量と形式の制限
一度にアップロードできる容量は,記録・記録外を通じて最大200MBである。
これは1ファイルごとの上限ではなく,同じ回に提出するファイル全体の上限である。
これを超えるときは,複数回に分けてアップロードする。
「記録」にアップロードできるPDFの用紙サイズはA4又はA3に限られ,両サイズが混在するPDFもアップロードできる。
これに対し,「記録外」にアップロードするPDFには,用紙サイズの制限がない。
「記録」にアップロードする場合,mintsは用紙サイズをページ単位で判定する。
見た目はA4でも,実体がレターサイズ(215.9×279.4mm)であるなど,A4・A3以外のサイズだと受け付けられないことがある。
第5 第三者が提出する場合
事件アクセスキーによって第三者がファイルを提出する画面にも,「その他」と「記録外」のタブがある。
公開されているQ&Aは,「その他」を含む「記録」と「記録外」の違いを,訴訟記録として取り扱われるかどうかの違いとして説明している。
第三者の提出ファイルは,その事件に関連付けられた当事者が閲覧・ダウンロードできる。
運用上は,裁判所があらかじめ内容を確認してから当事者が閲覧・ダウンロードできる状態にすることが想定されている。
もっとも,通知の到着と閲覧可能になる時点が必ず同じであるとは確認できず,提出直後に必ず公開されるとも,公開まで一定の猶予があるとも断定できない。
記録外という区分だけで当事者に非公開となるわけではないため,秘密情報や個人情報を含む場合は,提出前に回答範囲,マスキングの要否,提出区分及び公開の取扱いを担当書記官と確認する。
第三者提出の通知メールの例には,提出者の氏名又は法人商号名とファイル名称が含まれている。
本文のマスキングだけでなく,ファイル名にも不要な秘密情報を含めないよう確認したい。
第6 使い分けの基準
①訴訟記録にしたい文書は「記録」(主張・証拠・証拠説明書・関連事件の申立て・その他)へPDFで提出する。
②編集可能データを共有する必要があるときだけ,同じ内容のWord等を「記録外」へ置く。
③記録外に置いたことをもって,正式な書面提出が済んだと扱わない。
④相手方に見せたくない資料は,どちらにも置かず,先に担当部へ提出方法を確認する。
⑤旧法事件では「記録」に提出できる形式がPDFに限られるため,対象事件と裁判所の案内を確認する。
第7 関連記事
①mintsで準備書面を提出する方法
②mintsの事件アクセスキーによる提出方法
③mints提出用PDFの作り方
④mintsにエクセルファイルを提出できるか
⑤mintsで閲覧等制限を申し立てる方法
⑥mintsでファイルをアップロードできない場合
出典・参考資料
①mints「mintsご利用に関するQ&A」7頁~9頁
②mints「mints操作マニュアル」80頁〔PDF83頁〕・87頁~89頁〔PDF90頁~92頁〕
③裁判所「民事裁判手続のデジタル化に関する準備の手引」3頁・12頁・28頁
④民事事件等に関する手続における電子情報処理組織の使用に関する細則2条
⑤大阪地方裁判所が作成した操作説明資料③(令和8年3月18日時点。情報公開請求により取得した文書)9頁