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税務

失踪宣告の申立て―要件,必要書類,費用,期間及び確定後の手続(AI作成)

目次

第1 この記事の対象1 失踪宣告と不在者財産管理人を選ぶ前に2 期間と日付の見取り図第2 失踪宣告の要件と死亡とみなされる日1 普通失踪と危難失踪2 7年が経てば自動的に死亡扱いになるわけではない第3 申立人と申立先1 申立てができる人2 申立先の家庭裁判所第4 必要書類と申立書の準備1 標準的な添付書類2 申立書と経過の整理第5 費用と納付する時期第6 申立てから確定後の届出まで1 申立てと家庭裁判所の調査2 公告と届出の催告3 審判の確定と証明書4 市区町村への失踪届第7 よくある質問1 申立てから何か月で終わるのか2 警察への届出だけで失踪宣告になるのか3 相続人が行方不明なら,失踪宣告を待つしかないのか4 失踪宣告後に本人の生存が分かったらどうするのか第8 関連記事と出典1 関連記事2 法令・公的資料
第1 この記事の対象

家族などの生死が長く分からないときは,家庭裁判所の失踪宣告によって,その人を法律上死亡したものとみなすことができる。
本記事は,日本国内で申立てを検討する人に向けて,制度の選び方から,要件,申立先,資料・申立書の準備,費用,審判確定後の届出までを整理する。

要件となる生死不明の期間,死亡したものとみなされる日,申立て後の手続に要する期間は,それぞれ異なる。
費用・書式は,令和8年11月1日に確認した裁判所の公開案内に基づく。

1 失踪宣告と不在者財産管理人を選ぶ前に

最初に,必要なのが「死亡したものとみなすこと」なのか,「行方不明者の財産を管理し,遺産分割等を進めること」なのかを整理する。

確認点失踪宣告不在者財産管理人制度の役割生死不明の者を法律上死亡したものとみなす不在者の財産を管理する相続との関係死亡とみなされる時点に応じて相続関係を判断する管理人が家庭裁判所の許可を得て,不在者に代わり遺産分割協議に加わる方法がある最初に整理すること生死不明の期間,危難の有無,死亡とみなされる時点管理が必要な財産と,遺産分割等で行おうとする行為

不在者財産管理人を選ぶ場合は,相続人が行方不明の場合の不在者財産管理人で,所在調査,選任,権限外行為許可,管理の終了までを確認されたい。
制度の根拠は,民法25条・28条・30条・31条及び裁判所の家事事件Q&A・第14で確認できる。

2 期間と日付の見取り図
確認するもの内容取り違えないもの申立ての要件となる期間普通失踪は7年間。危難失踪は危難が去った後1年間の生死不明申立てから結果が出るまでの期間死亡とみなされる時点普通失踪は7年間が満了した時。危難失踪は危難が去った時審判日・確定日・戸籍への届出日申立て後の催告期間普通失踪は3か月以上,危難失踪は1か月以上調査や確定までを含む総所要期間即時抗告の期間原則として2週間。起算点と抗告できる者は第6の3で説明する審判書の到着だけによる確定の判断確定後の失踪届裁判を請求した者が,確定日から10日以内に届け出る死亡とみなされる日から数える期限
第2 失踪宣告の要件と死亡とみなされる日
1 普通失踪と危難失踪

不在者の生死が7年間明らかでないときは,利害関係人の請求により,家庭裁判所が失踪宣告をすることができる。
これが普通失踪である。

戦地に臨んだ者,沈没した船舶の中に在った者その他死亡の原因となるべき危難に遭遇した者については,戦争が止んだ後,船舶が沈没した後又はその他の危難が去った後,1年間生死が明らかでない場合にも失踪宣告をすることができる。
これが危難失踪である(民法30条)。

種類要件となる生死不明の期間死亡とみなされる時点普通失踪生死が7年間明らかでないその7年間が満了した時危難失踪死亡の原因となる危難が去った後,1年間生死が明らかでない危難が去った時

死亡とみなされる時点は民法31条による。
危難失踪では,要件となる危難が去った後の1年間と,死亡したものとみなされる「危難が去った時」を分けて確認する。

単に長く連絡がないという説明だけで判断せず,最後に生存を確認した時期,その後の連絡や調査の経過,危難に遭遇した場合はその事情を資料と対応させて整理する。

2 7年が経てば自動的に死亡扱いになるわけではない

7年間が経過しただけで,失踪宣告がされたことにはならない。
利害関係人が申し立て,家庭裁判所の審理と審判の確定を経る必要がある(民法30条,家事事件手続法74条・148条)。

死亡とみなされる日と,親などが死亡した日との先後によって,誰が相続人になるかが変わる場合がある。
申立てを決める前に,行方不明となった経緯と,関係する相続の時系列を並べて確認する。

相続人の変動,相続税の申告期限・財産評価,取消し及び外国が関わる場合の詳しい説明は,失踪宣告と相続・相続税に分けている。

第3 申立人と申立先

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川崎民商事件判決と税務調査―任意調査,令状及び刑事利用を区別する(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と結論第2 川崎民商事件で判断されたこと第3 令状と間接的な強制をどう区別したか第4 自己負罪拒否の保障と調査の機能第5 現行法の質問検査権と罰則第6 犯罪捜査のための利用と後の証拠利用第7 弁護士・税理士が記録しておきたい事項第8 関連記事と出典
第1 この記事の対象と結論

税務調査に対応するときは,①実力で検査を強制できるか,②不答弁や検査拒否等に罰則があるか,③得られた資料が刑事手続で使われるかを分けて考える必要がある。
「任意調査だからすべて拒否できる」「行政調査だから憲法上の保障は問題にならない」という両極端の理解では,依頼者への助言を誤るおそれがある。

本記事は,川崎民商事件判決と現行の国税通則法を対照し,弁護士・税理士が調査の根拠と範囲を確認するための着眼点を整理するものである。
個々の質問や資料要求の適法性は,対象税目,調査の必要性,要求内容及び実際の調査状況に即して判断する必要がある。
法令の確認基準日は令和8年10月30日である。

第2 川崎民商事件で判断されたこと

最高裁大法廷昭和47年11月22日判決(昭和44年(あ)第734号,刑集26巻9号554頁)は,旧所得税法63条による帳簿書類の検査を拒んだ行為について,同法70条10号による処罰の憲法適合性等が争われた事件である。
ここでいう旧所得税法は昭和40年法律第33号による改正前の法律であり,現在の条番号として参照してはならない。
最高裁は上告を棄却した。

判決は,行政手続であることだけを理由に憲法35条・38条1項の保障を一律に除外したわけではない。
行政目的,質問検査の機能,対象・範囲,強制の程度等を検討して,問題となった制度の合憲性を判断している。

第3 令状と間接的な強制をどう区別したか

判決は,当該手続が刑事責任追及を目的とするものでないとの理由のみで,その手続における一切の強制が当然に憲法35条1項の保障の枠外にあると判断することは相当でないとした。
その上で,旧法の検査について,公平確実な課税徴収という目的,所得税の賦課徴収手続上一定の関係にある者の事業に関する帳簿等に対象を限定した制度,刑罰による間接的・心理的な強制にとどまること,実効性を確保する公益上の必要性等を考慮した。

判決は,検査拒否に対する罰則が検査の受忍を強制する作用を伴うことを認めつつ,その強制の度合いは,相手方の自由な意思を著しく拘束して実質上直接的物理的な強制と同視すべき程度には達していないとした。
最高裁は,これらの事情を総合し,この検査は,あらかじめ裁判官の発する令状によることを一般的要件としないからといって,憲法35条の法意に反するものとはいえないとした。
行政調査であればどのような立入りや身体拘束も無令状で許されるという判示へ広げてはならない。

第4 自己負罪拒否の保障と調査の機能

判決は,憲法38条1項の保障について,純然たる刑事手続だけでなく,実質上,刑事責任追及のための資料取得収集に直接結び付く作用を一般的に有する手続にも及ぶとした。
一方,旧法の質問検査は,適正な課税を目的とし,このような刑事資料の取得収集に一般的・直接的に結び付く作用を有するとは認められないとして,関連規定を違憲としなかった。

調査から税法違反の犯罪が発覚する可能性があることと,その手続が一般的に刑事責任追及へ直接結び付く機能を持つことは,判決上区別されている。
これは,個別の調査態様を問わず,刑事捜査への転用がすべて許されるという意味ではない。

第5 現行法の質問検査権と罰則

現行の国税通則法74条の2第1項は,所得税・法人税・地方法人税・消費税の調査について必要があるとき,所定の者への質問,帳簿書類等の検査,物件の提示・提出要求を認めている。
同条の権限があることと,どのような要求でも必要性や範囲を問わず適法であることは同じではない。

同法128条2号は,所定の質問に対する不答弁・虚偽答弁や,検査等の拒否・妨害・忌避を処罰対象とする。
同条3号は,所定の物件の提示・提出等の要求に正当な理由なく応じないことや,虚偽の物件の提示・提出等を処罰対象とする。
法定刑は1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金である。

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民事判決・和解後の更正の請求―既判力,後発的事由と課税年度を分ける(AI作成)

目次

第1 民事事件の結論と税額の訂正を分ける第2 通常の請求期間と後発的事由の期間第3 判決・和解のどこを申告と照合するか第4 課税年度を変えられるかを別に検討する第5 弁護士と税理士で共有する資料第6 出典・関連記事
第1 民事事件の結論と税額の訂正を分ける

民事事件で代金,損害賠償金又は返還額が確定したときは,その結果を過去の申告へどう反映するかが問題となる。
ただし,判決又は和解が成立したことと,過年度の税額を減額できることは同じではない。

国税通則法23条1項は,申告した課税標準等又は税額等の計算が法令に従っていなかったこと,計算の誤りがあったことなどによって,納付税額が過大である場合等の更正の請求を定めている。
同条2項1号は,申告等の計算の基礎となった事実についての訴えに係る判決等により,その事実が計算の基礎としたところと異なることが確定した場合を扱う。
申告を減額する実体上の理由と,後発的事由による請求期間の要件を,それぞれ確認する必要がある。

本記事は,主に法人税の申告後に民事判決・和解が生じた場合を念頭に,確認の順序を整理する。
税目ごとの特則まで一律に同じ期限・処理になるとするものではない。

第2 通常の請求期間と後発的事由の期間

国税通則法23条1項による更正の請求の期間は,原則として法定申告期限から5年以内である。
同項2号の法人税の純損失等に係る所定の場合には10年の規定があり,個別税法の特則もあるため,まず税目,事業年度及び請求内容を特定する。

同条2項の後発的事由による請求は,同項に定める期間の終期が1項の期間の終期の後に来る場合に認められる。
1号の判決等による場合は,その事実が確定した日の翌日から起算して2月以内という期間である。
判決が出れば通常の5年がいつでも「2月」に短縮されるという読み方は適切ではない。

民事判決の言渡日と確定日を同一視せず,確定証明書などで起算点を確認する。
期限の計算では国税通則法10条による期間計算・休日の扱いも確認し,訴訟の終了を待つ間に通常の請求期間を過ぎないよう管理することが実務上の提案である。

第3 判決・和解のどこを申告と照合するか

国税通則法23条2項1号が対象とするのは,単に判決書に自分に有利な記載がある場合ではない。
「申告等の計算の基礎となった事実」と,判決等によって異なることが確定した事実の対応を明らかにする必要がある。

例えば,売買代金についての民事事件であれば,売上として申告した金額,訴訟物である請求,主文で命じられた給付,理由中の判断及び和解条項を分けて整理する。
引換給付判決の反対給付額の記載と,売主の代金請求についての確定判決を,同じものとして扱わないことが重要である。
民事訴訟法114条による既判力の範囲の検討と,更正の請求に必要な事実・実体要件の検討を対応させるのであって,「既判力があるから還付される」という一段の推論で済ませない。

同号は,判決と同一の効力を有する和解その他の行為も含めている。
しかし,当事者間の私的な合意書があれば当然に同号の要件を満たすわけではなく,どの手続で成立し,何が確定したかを確かめる必要がある。
契約解除その他の事情について別の後発的事由の規定が適用されるかは,その根拠と事実関係を分けて検討する。

第4 課税年度を変えられるかを別に検討する

最高裁第一小法廷令和2年7月2日判決(平成31年(行ヒ)第61号)は,貸金業者について,後の事業年度に破産手続で過払金返還請求権が確定したことを理由に,過去の事業年度の益金を減額できるかを判断した。
同判決は,法人税法の公正処理基準と事業年度ごとの所得計算を踏まえ,この事案で過年度の益金を減額する処理を認めなかった。
判決が適用したのは改正前の国税通則法及び法人税法であるため,第2で説明した現行法の請求期間とは区別して読む必要がある。

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土地・建物・駐車場の賃貸借と消費税―契約の当事者と貸付対象を分ける確認表(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と結論第2 まず契約の当事者と対象を分ける第3 土地・建物・駐車場の課税区分1 土地だけの貸付け2 事業用建物の家賃と敷地相当額3 駐車場は設備と管理も確認する第4 契約確認と請求書確認をつなぐ第5 確認表の使い方第6 関連記事第7 出典と適用範囲
第1 この記事の対象と結論

土地を借りて建物を所有する取引と,その建物を店舗・事務所・診療所として他人に貸す取引では,貸付けの対象が異なる。
消費税は,地主から借地人への地代と,建物所有者から建物利用者への家賃を分けて確認する。

住宅以外の建物の賃料は,敷地相当額を分けて表示しても総額が課税対象となる。
駐車場も,土地だけの貸付けか,整備された駐車場施設の利用かを確認する必要がある。
「地代」「駐車場代」という名称だけで非課税と決めない。

本記事は消費税の取引区分と契約確認の手順を扱う。
貸主の納税義務,具体的な税額,借主の仕入税額控除及び住宅の貸付けの詳しい要件は,個別に検討する。

第2 まず契約の当事者と対象を分ける

次の表は,Aが土地所有者,Bがその土地を借りて自己所有建物を建てた者,Cがその建物の利用者である場合の整理例である。
Bの支払地代とCの支払家賃を,一つの取引として扱わない。

取引確認する対象確認の出発点AからBへの貸付け建物敷地となる土地期間1か月以上で,施設利用に伴うものではない土地の貸付けなら非課税BからCへの貸付け店舗・事務所・診療所など住宅以外の建物建物の家賃として課税対象BなどからCへの駐車場所の提供土地だけか,駐車場施設か貸付期間,車両管理,地面の整備,フェンス・区画などを確認

これは取引を整理するための例であり,土地・建物の所有者と貸主が異なる場合や,建物を転貸する場合には,実際の契約ごとに当事者と対象を書き直す。

第3 土地・建物・駐車場の課税区分
1 土地だけの貸付け

土地や土地上の権利の貸付けは,原則として非課税となる。
ただし,契約上の貸付期間が1か月未満の場合と,駐車場その他の施設の利用に伴って土地を使用させる場合は,この非課税の対象から除かれる。

2 事業用建物の家賃と敷地相当額

国税庁は,事務所などの建物の家賃について,土地部分と建物部分を区分していても,総額を建物の貸付けの対価として扱うと説明している。
土地部分を請求書で別行にしたことだけで,その部分を非課税にはできない。

例えば,住宅以外の建物を敷地の利用とともに貸し,「建物賃料20万円,敷地相当額5万円」と表示する場合を考える。
いずれも消費税等相当額を加算する前の金額とすると,この建物の貸付けでは合計25万円が課税対象となる。
地主から借地人への別の土地貸付けの地代とは,取引の段階が違う。

3 駐車場は設備と管理も確認する

車両を管理する駐車場や,地面の整備又はフェンス・区画・建物の設置などをして利用させる駐車場は,施設の利用に伴う土地使用として課税対象となる。
建物と別筆の土地であることや,契約書に「土地賃貸借」と書いたことだけでは,非課税とは決まらない。

反対に,駐車に使う土地であっても,施設利用に伴う貸付けに当たるかを省略して判定しない。
土地自体の貸付けとして扱えるか,契約期間と貸付けの実態を確認する。

第4 契約確認と請求書確認をつなぐ

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会社のクレジットカードを私用に使われたら―利用権限,返還請求と税務処理を分ける確認表(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と結論第2 社内の承認とカード契約の権限を分ける1 個人カードの貸借と法人カードの使用者2 用途違反でも会社が支払う場合第3 取引ごとに作る確認表第4 会社の負担と税務上の経済的利益1 国税庁の説明が対象とする人と行為2 未回収,会社負担,免除を一つにしない3 損金算入と個人側の処理第5 発覚後に弁護士と税理士が確認すること第6 関連記事第7 出典と確認範囲
第1 この記事の対象と結論

会社のクレジットカードで,役員や従業員の私物が購入されていた場合を扱う。
最初に分けたいのは,カード会社との契約上その人が使えるカードか,会社がその買物を認めたか,会社が使った人へ返還を求めるか,会社が個人の費用を負担したと税務上評価されるかという四つの問題である。

会社の口座から引き落とされたという一事実だけで,社内承認,返還請求及び税務処理まで決めない。
逆に,社内規程に反したというだけで,カード会社への支払義務が消えるとも,店に対する詐欺罪が成立するとも決めない。
本記事は令和8年10月30日に確認した公表資料に基づく一般的な確認手順であり,個別契約の適用結果や具体的な申告処理を一律に示すものではない。

第2 社内の承認とカード契約の権限を分ける
1 個人カードの貸借と法人カードの使用者

最高裁平成16年2月9日第二小法廷決定(平成14年(あ)第1647号)は,他人名義の個人カードについて,名義人本人と装ってガソリンの交付を受けた事案で詐欺罪を認めた。
名義人の使用承諾と,加盟店に示した利用権限は別の問題である。

しかし,法人カードには,法人が指定しカード会社が承認した役職員をカード使用者とする契約もある。
その使用者が自分に発行されたカードを使う場合を,個人カードの名義人への成り済ましと同じ事実として扱うことはできない。
実際の利用者,カード上の名義,使用者登録,店員への説明,社内の承認及び購入品の用途を分けて確認する必要がある。

2 用途違反でも会社が支払う場合

JCBの会員規約(一般法人用)第1条は,指定・承認されたカード使用者と法人会員の関係を定めている。
同条8項は事業費の決済に利用目的を限る一方,その違反利用についても法人会員及び代表使用者が支払義務を負うと定める。
これは今回確認した規約の例であり,すべての法人カードに同一の条項があるという意味ではない。

会社とカード会社との支払関係と,会社内部で誰が最終負担するかは,分けて検討する。
契約の種類,利用時点の規約,使用者登録と利用停止等の届出を確認し,会社の社内規程だけでカード会社との関係を説明しない。

第3 取引ごとに作る確認表
確認する事項対応させる資料検討の目的誰のための購入か注文履歴,領収書,納品先,現物,受益者会社の費用か個人の費用かを調べる誰が何を承諾したか利用申請,承認記録,メッセージ,経費規程承認した商品・金額と追加購入を分ける契約上の利用者は誰か利用時点の会員規約,使用者登録,売上票社内権限と対外的な利用権限を分けるいつ債務・支出が生じたか購入日,請求書,引落記録購入,請求,引落しの日時をそれぞれ記録する(同日の場合を含む)会社は何を請求しているか請求書面,本人の回答,返済合意,入金請求額・認否・実際の回収を区別する会社が負担を引き受けたか経営判断の記録,免除合意,決算処理単なる未回収と利益供与の判断材料を分ける

一回の決済に事業用と私用が混在する場合は,明細単位で分ける。
承諾した金額,カード会社に対する利用額,社内の請求額及び回収額を一つの「被害額」にまとめず,差額の理由を記す。
購入後の追認や返金についても,その日付と内容を残し,当初から承諾があったという記録に書き換えない。

第4 会社の負担と税務上の経済的利益
1 国税庁の説明が対象とする人と行為

国税庁タックスアンサーNo.5202は,役員及び特殊関係使用人について,個人的費用の負担や債権の放棄・免除等を経済的利益の例として挙げる。
法人税基本通達9-2-9も,給与支給と同様の経済的効果をもたらすものという前提と,対象者・除外条件を示している。
この対象を,条件を確認せず普通の従業員全員へ広げない。

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2027年4月からの新リース会計基準―対象企業,契約の洗出し,経過措置及び対応準備(AI作成)

目次

第1 新リース会計基準の適用時期と対象企業1 強制適用は2027年4月1日以後に開始する事業年度から2 すべての法人に一律に強制されるわけではない3 適用の有無にかかわらず早めに対象契約を把握する意味第2 借手の会計処理はどのように変わるか1 原則として使用権資産とリース負債を計上する2 損益計算書と経営指標にも影響する3 貸手の処理と借手の準備を分ける第3 「リース契約」以外の契約も洗い出す1 契約の名称ではなく使用を支配する権利で判断する2 業務委託・サービス契約に含まれるリース3 契約台帳に集める情報第4 リース期間・リース料・割引率を決める1 更新・解約オプションを含むリース期間2 リース料に含める金額3 割引率と再測定第5 短期・少額リース等の簡便的な取扱い1 短期リース2 少額リース3 非リース構成部分等の会計方針第6 経過措置と適用初年度の期首残高1 遡及適用と累積的影響額を期首へ反映する方法2 旧オペレーティング・リースの期首測定3 適用開始までの逆算第7 開示・業務プロセス・システムの準備1 注記に必要なデータを最初から集める2 契約締結・変更情報を経理へつなぐ3 システムの試運転第8 法人税との違いを別管理する1 会計基準の変更だけで税務処理が同一になるわけではない2 税効果・申告調整を確認する第9 適用開始までのチェックリスト第10 適用準備で特に注意すべき点第11 関連記事第12 出典
第1 新リース会計基準の適用時期と対象企業
1 強制適用は2027年4月1日以後に開始する事業年度から

企業会計基準委員会(ASBJ)は,令和6年9月13日,企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」と企業会計基準適用指針第33号「リースに関する会計基準の適用指針」を公表した。
企業会計基準第34号第58項によれば,新基準は令和9年4月1日以後に開始する事業年度の期首から適用される。令和7年4月1日以後に開始する事業年度の期首から早期適用することもできる。
3月決算会社が強制適用する場合,令和9年4月1日に始まる事業年度から新基準による会計処理を行うため,その期首時点の使用権資産・リース負債等を準備する必要がある。
この記事は,令和8年10月29日現在の公表資料に基づき,新基準の適用対象,借手の会計処理及び適用開始までの準備を整理するものである。

2 すべての法人に一律に強制されるわけではない

「令和9年4月から強制適用」という説明は,日本の企業会計基準を適用する会社についてのものであり,すべての法人に一律に同じ会計処理を求めるという意味ではない。
国税庁の「令和7年度法人税関係改正の概要」は,監査対象法人以外の法人(中小企業など)について,引き続き「中小企業の会計に関する指針」又は「中小企業の会計に関する基本要領」に則った会計処理も可能であると注記している。
中小会計指針は,金融商品取引法の適用を受ける会社及びその子会社・関連会社,会計監査人を設置する会社及びその子会社等を対象外としている。他方,中小会計指針を利用できる会社であっても,親会社の連結方針,金融機関との契約,任意の会計方針等によって対応が必要になることがある。
したがって,最初に行うべきことは,自社が新基準を法定財務諸表又は連結報告で適用するかを,会社法・金融商品取引法上の位置付け,監査契約及びグループ会計方針に照らして確認することである。

3 適用の有無にかかわらず早めに対象契約を把握する意味

新基準の対象になる会社では,契約書の題名に「リース」と書かれていない契約も調査対象となり得る。また,契約条件,更新履歴,固定資産情報,支払データが経理部門以外に分散していることが多い。
適用の有無の確認と並行して,契約母集団,担当部署,更新時期及び金額情報の所在を整理しておけば,対象契約の判定,期首残高の試算及び監査対応を進めやすくなる。

第2 借手の会計処理はどのように変わるか
1 原則として使用権資産とリース負債を計上する

企業会計基準第34号第33項は,借手がリース開始日にリース負債と使用権資産を計上することを定めている。
リース負債は,原則として,リース開始日において未払いである借手のリース料から利息相当額の合理的な見積額を控除し,現在価値で算定する。使用権資産は,リース負債の計上額に前払リース料,付随費用等を調整して算定する。
従来,借手のオペレーティング・リースでは貸借対照表に資産・負債を計上せず支払リース料を費用処理することが多かった。新基準では,短期・少額リース等の簡便的な取扱いを除き,借手のリースを使用権資産とリース負債として貸借対照表に計上することが中心となる。

2 損益計算書と経営指標にも影響する

使用権資産は減価償却され,リース負債には利息相当額が配分される。従来の賃借料が減価償却費と利息費用に置き換わる取引では,営業利益,EBITDA,総資産,負債及び自己資本比率等が変化し得る。
影響の方向と金額は,契約数,残存期間,割引率,費用配分の方法及び簡便法の選択によって異なる。財務制限条項,社内業績指標,事業計画又は取引先への説明に会計数値を用いている会社は,単に仕訳を作るだけでなく,指標への影響も事前に試算する必要がある。

3 貸手の処理と借手の準備を分ける

新基準は貸手の会計処理も定めているが,借手について生じるオンバランス化ほど大きな変更ではないとされている。
契約の当事者として貸手・借手の双方になる会社は,契約ごとに立場を区別し,借手側の契約洗出しと貸手側の分類・開示を別々に管理することが適切である。

第3 「リース契約」以外の契約も洗い出す
1 契約の名称ではなく使用を支配する権利で判断する

企業会計基準第34号第25項以下及び適用指針第5項以下によれば,契約がリースを含むかどうかは,特定された資産の使用を支配する権利が,一定期間にわたり,対価と交換に移転するかによって判定する。
顧客が特定された資産の使用から生じる経済的利益のほとんどすべてを享受する権利を持ち,その資産の使用方法を指図する権利を持つときは,契約の全部又は一部がリースに該当し得る。

(続きを読む...)2027年4月からの新リース会計基準―対象企業,契約の洗出し,経過措置及び対応準備(AI作成)

弁護士の懇親会費・団体会費は必要経費になるか―判決と裁決の比較(AI作成)

目次

第1 領収書と「仕事のため」という説明だけで決まるか1 この記事が扱う範囲2 個別収入との対応費用と一般対応費用第2 東京高裁が示した一般対応費用の考え方1 業務との直接関係を別の要件として加えることを退けた2 会務活動費を一括して認めた判決ではない第3 懇親会・二次会等を分けて判断した理由1 認めた支出と認めなかった支出がある2 会費・選挙費用・交際費を別々に検討する第4 ロータリークラブ会費を否認した裁決1 実際の紹介受注があっても否認した事案2 弁護士会の事案と同じものとして扱わない第5 判決と裁決を比較するときの注意1 判断枠組みの表現にも違いがある2 別の事案へ当てはめる際の比較項目第6 支出時に残しておきたい記録第7 関連記事と出典1 関連記事2 一次資料3 関連する解説
第1 領収書と「仕事のため」という説明だけで決まるか
1 この記事が扱う範囲

弁護士の懇親会費や団体会費は、名目や領収書の有無だけで必要経費に当たると決まるものではない。
本記事は、個人の事業所得に関する東京高裁平成24年9月19日判決と、司法書士のロータリークラブ会費に関する平成26年3月6日裁決を比較し、支出の目的・活動内容・私的支出との区分をどう説明するかを整理する。

確認の基準日は令和8年10月28日である。
法人の損金、消費税の仕入税額控除、繰延資産等の個別処理は、それぞれ別の要件により確認する必要があり、本記事で所得税の必要経費と同じ結論になるとは扱わない。

2 個別収入との対応費用と一般対応費用

所得税法37条1項は、売上原価等の総収入金額を得るため直接に要した費用と、その年の販売費・一般管理費その他の業務について生じた費用を定めている。
国税庁の「必要経費の知識」もこの区別を説明し、家事上の費用や、家事と業務の双方に関係する費用の取扱いに注意を促している。

したがって、特定の売上との個別対応がないという理由だけで、すべての支出を必要経費から除くことはできない。
他方で、事業に何らかの利益があったという説明だけで、私的な交際や消費の支出がすべて必要経費になるわけでもない。

第2 東京高裁が示した一般対応費用の考え方
1 業務との直接関係を別の要件として加えることを退けた

東京高裁平成24年9月19日判決・平成23年(行コ)第298号は、弁護士の会務活動等に伴う支出の必要経費該当性を判断した。
一般対応の必要経費について、業務遂行上必要であることに加え、事業の業務と直接関係を持つことを要求する解釈を採用しなかった点に特徴がある。

判決は、活動の内容等を総合考慮し、社会通念に照らして客観的に判断する考え方を示している。
支出者が自分の仕事に役立つと考えたという主観だけを基準にしたものではない。

2 会務活動費を一括して認めた判決ではない

同判決は、弁護士会の会務活動そのものを個人の事業所得を生ずべき業務と認定したわけではない。
また、弁護士会に関係する支出というだけで一律に必要経費とせず、活動と支出ごとに判断している。

この判決から、任意団体の会費、個人的な交際、すべての選挙活動費等の必要経費算入を当然に導くことはできない。
どのような会合で、誰が参加し、どの活動に関連し、どの程度の支出をしたのかが重要となる。

第3 懇親会・二次会等を分けて判断した理由
1 認めた支出と認めなかった支出がある

同判決は、公式行事後や関係団体との協議後等の懇親会費について、会合の内容、参加者、支出額等を踏まえ、一部を必要経費と認めた。
一方、問題となった継続的な会食、慰労のための支出、二次会費等については、私的な側面や業務上必要な部分の区分・立証等を検討し、認めなかったものがある。

重要なのは、一次会なら必ず認められ、二次会なら法律上一律に認められないという区別ではない。
判決が扱った具体的支出についての認定を、すべての会食に共通する定額又は形式的な基準へ置き換えないようにする。

2 会費・選挙費用・交際費を別々に検討する

(続きを読む...)弁護士の懇親会費・団体会費は必要経費になるか―判決と裁決の比較(AI作成)

事前確定届出給与を届出どおり払えなかった場合―役員賞与の減額・支給日変更と損金算入(AI作成)

目次

第1 問題の所在第2 事前確定届出給与の基本要件1 所定の時期と確定した額2 当初の届出期限第3 届出額・支給日と実際の支払が違うとき1 減額・不支給2 支給日の変更3 年2回など複数回の支給第4 業績悪化などによる変更届出1 変更が認められる理由2 変更届出の期限第5 紛争を防ぐための資料確認第6 従業員の決算賞与との違い第7 出典
第1 問題の所在

役員賞与について,支給額と支給日を決めて税務署に届け出た後,資金繰りや業績の変化を理由に一部だけ支払ったり,支払日を変更したりすることがある。
その場合,決議と届出が存在するだけで損金算入が認められるわけではない。
届出内容,変更の理由・手続,実際の支給を,対象となる役員と職務執行期間ごとに照合する必要がある。

本稿は法人税法上の一般的な要件を整理する。
個別年度への適用は,その年度に適用される法令・通達と事実関係を確認して判断する。

第2 事前確定届出給与の基本要件
1 所定の時期と確定した額

法人税法34条1項2号は,役員給与のうち,所定の時期に確定した額の金銭等を交付する旨の定めに基づいて支給する給与について,届出など所定の要件を定めている。
役員賞与という会計上の名称だけでは,この要件を満たすかどうかは決まらない。
過大な役員給与の損金不算入など,同条の別の制限も残る。

2 当初の届出期限

以下は届出を要する金銭給与を対象とする。
非同族会社が定期給与を支給しない役員に金銭給与を支給する場合など,届出不要の例外もある。
法人税法施行令69条と国税庁「No.5211 役員に対する給与(平成29年4月1日以後支給決議分)」によれば,通常は,株主総会等の決議日(決議日が職務執行開始日より後なら職務執行開始日)から1か月を経過する日と,会計期間開始日から4か月を経過する日のうち,早い日までに届け出る。
申告期限延長の指定を受けた法人などには,4か月に代わる期限もある。
新設法人などには別の期限があるため,設立日,職務執行開始日,決議日を先に確定する。

第3 届出額・支給日と実際の支払が違うとき
1 減額・不支給

法人税基本通達9-2-14は,事前確定届出給与として届け出た支給額と実際の支給額が異なる場合,原則としてその支給額の全額が損金不算入となる旨を示している。
「届出額より少ないので,支払った部分だけは当然に損金となる」という扱いはできない。
不支給の場合も,実際に交付がないことと,未払計上・支払義務・他の支給回への影響とを分けて確認する。

2 支給日の変更

所定の支給時期も要件である。
予定日に支払わず後日に振り込んだ場合は,単に最終的な金額が一致したという理由だけで届出どおりの支給とはいえない。
決議書・届出書に記した支給日と振込記録を照合し,変更の理由,制度上許される変更の範囲と届出期限を調べる。
業績悪化改定事由による変更届出は支給額の減額等を対象とするため,支給日だけの延期を当然に認めるものではない。

3 年2回など複数回の支給

複数回の支給を定めたときは,各支給を単独で見るだけでなく,同じ役員の同じ職務執行期間について,決議と届出がどのように組まれているかを確認する。

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宗教法人の墓地・納骨堂事業と法人税―使用料・管理料・物販・借入れを分ける(AI作成)

目次

第1 経営許可と法人税の判定を分ける第2 墳墓地の貸付けと永代使用料第3 墓地の管理料が収益事業とされた裁決第4 線香・ろうそく・供花等の販売第5 借入元本・無利息・債務免除を区別する第6 契約と経理を対応させるための確認資料第7 関連記事第8 出典及び確認範囲
第1 経営許可と法人税の判定を分ける

宗教法人が墓地や納骨堂を運営するときは,経営許可の要件を満たすかという問題と,それぞれの収入が法人税の対象になるかという問題を分けて確認する必要がある。
宗教法人の本来の目的に沿う事業であることだけから,その所得が法人税の対象外になるとは判断できない。

法人税法6条は,内国法人である公益法人等について,「収益事業から生じた所得以外の所得」には各事業年度の所得に対する法人税を課さないと定めている。
国税庁の法人税基本通達15-1-1も,本来の目的たる事業であっても,政令の定める収益事業に該当する事業から生じた所得には法人税が課されると説明している。
したがって,許可名義,法人の目的,収入の名称だけで結論を出さず,契約と実際に提供する役務を確認することが出発点となる。

本記事は,令和8年10月25日に確認した法令・通達・公表裁決に基づき,法人税の収益事業該当性を中心に整理する。
消費税,固定資産税,源泉徴収等はそれぞれ別の要件によるため,本記事の法人税の説明から結論を導くことはできない。

第2 墳墓地の貸付けと永代使用料

法人税法施行令5条1項5号ニは,宗教法人等が行う墳墓地の貸付けを,収益事業となる不動産貸付業から除外している。
法人税基本通達15-1-18は,この貸付けには,「いわゆる永代使用料を徴して行う墳墓地の貸付けが含まれる」としている。

ここで確認するのは,対象が墳墓地の貸付けであるかという点である。
「永代使用料」「永代供養料」という名称で徴収していても,契約の対象が土地の使用,遺骨の保管,供養,清掃等のどれなのかを分けて読む必要がある。
納骨堂の利用契約や,供養・管理を組み合わせた契約についても,名称だけで上記の墳墓地貸付けと同じ取扱いになるとはいえない。

契約書,使用規則,料金表及び請求書を並べ,誰が何を提供し,利用者がどの対価を負担するのかを整理する。
複数の給付を一括料金にしている場合も,実際の給付内容と対価の関係を調べることが必要である。

第3 墓地の管理料が収益事業とされた裁決

国税不服審判所の平成26年12月8日裁決は,宗教法人が永代使用料とは別に徴収した墓地の管理料について,収益事業である請負業に係る収入と判断した事例である。
審判所は,貸付けの対象となる個人使用区画と,共用部分の管理運営等とでは対象及び業務形態が異なり,対価も別に定められていることなどから,管理行為を墳墓地の貸付業とは別個独立の事業と認めた。

また,使用規定と申込み等の内容から,法人が管理役務を提供し,墓地使用権者がその対価として管理料を支払う関係にあると判断した。
宗教的性格や公益性があること,安定的な経営に不可欠であることなどの主張も,この事例での収益事業該当性を否定する理由とはされなかった。

この裁決は,管理料という名前の収入をすべて一律に課税するとしたものではない。
自らの契約でも同じ結論になるかを検討するには,個人使用区画と共用部分の関係,具体的な役務,対価の定め方,事業としての独立性等を確認する必要がある。
単に管理料を永代使用料へ改称しても,実際の契約と事業の内容を確認する作業に代わるものではない。

第4 線香・ろうそく・供花等の販売

法人税基本通達15-1-10⑴は,お守り,お札,おみくじ等について,売価と仕入原価との関係からみて実質が喜捨金と認められる場合の販売を,物品販売業に該当しないものとしている。
一方,宗教法人以外の者も一般の商品として販売できる性質の物を,一般の物品販売業者とおおむね同様の価格で販売する場合には,物品販売業に該当するとしている。
同通達は,線香,ろうそく,供花等をその例に挙げている。

確認資料は,商品の種類,仕入額,販売額,販売方法及び利用者への説明である。

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税務署の説明は書面でもらえるか―行政指導・事前通知・調査終了時の違い(AI作成)

目次

第1 書面の有無は手続ごとに判断する第2 行政指導の書面交付には国税の特則がある1 一般の行政指導と国税の行政指導2 説明自体が不要になるわけではない第3 事前通知と調査結果の説明1 事前通知は原則として電話で行う運用2 非違の内容と法的効果の書面を分ける3 更正決定等をすべきと認められない旨の通知第4 回答・判断に必要な記録をそろえる1 受け取った書面と自分の記録を分ける2 修正申告の判断と質問検査への対応を区別する第5 関連記事第6 出典及び確認範囲
第1 書面の有無は手続ごとに判断する

税務署から申告内容の確認や修正申告を求められたとき,「説明をすべて書面でもらえる」「税務署の説明はすべて口頭でよい」のどちらも正確ではない。
行政指導,実地調査の事前通知,調査結果の説明及び修正申告の勧奨では,書面に関する根拠と対象が異なる。

本記事は,令和8年10月25日に確認した国税通則法,行政手続法及び国税庁の公表資料に基づき,国税の申告内容の確認と調査に関する基本的な区別を整理する。
地方税,酒類の免許等及び査察手続は対象としない。

場面書面に関する基本的な扱い確認する内容国税の申告内容の見直しを求める行政指導行政手続法35条3項の書面交付規定は,国税通則法74条の14第2項により適用されない行政指導の趣旨・内容・責任者と,調査との区別実地調査の事前通知国税庁FAQ問12では原則として電話による口頭通知。希望すれば通知内容の書面が交付される扱いではない通知日時,開始日時,対象税目・期間等調査の結果,更正決定等をすべきと認められない場合実地調査について,国税通則法74条の11第1項が所定の相手方への書面通知を定めるその時点で更正決定等をすべきと認められない税目・期間更正決定等をすべきと認める調査結果の説明同条2項は額と理由を含む内容の説明を定める。FAQ問24では原則として口頭で説明する運用非違項目,額,理由及び質問への回答その説明に際して行う修正申告等の勧奨同条3項は申告後の不服申立てと更正の請求に関する説明及びその旨の書面交付を求める法的効果の説明と,その書面の交付
第2 行政指導の書面交付には国税の特則がある
1 一般の行政指導と国税の行政指導

行政手続法35条3項は,口頭の行政指導について,相手方が同条1項・2項の事項を記載した書面を求めたときは,行政上特別の支障がない限り交付しなければならないと定める。
同条4項には,その場で完了する行為を求める場合等の適用除外もある。

しかし,国税通則法74条の14第2項は,納税義務の適正な実現を図るための所定の行政指導について,行政手続法35条3項と36条を適用しないとしている。
一般の行政指導に関する書面交付の規定だけを根拠に,税務署へ書面の交付義務があると結論付けることはできない。

2 説明自体が不要になるわけではない

この特則は,行政指導の規定をすべて適用しないというものではない。
行政手続法35条1項が定める趣旨・内容・責任者の明示は,国税通則法のこの適用除外の対象ではない。
行政手続法32条の任意の協力を前提とする原則や,従わなかったことを理由とする不利益取扱いの禁止も,書面交付の適用除外とは分けて読む必要がある。

国税庁の事務運営指針第2章1も,対面・電話・書面等の方法を問わず,調査と行政指導のいずれとして行うかを明示するとしている。
連絡方法だけで区別せず,担当者がどの手続として,何を求めているかを確認する。

第3 事前通知と調査結果の説明
1 事前通知は原則として電話で行う運用

国税通則法74条の9は,所定の実地調査における質問検査等に先立つ通知を定める。
国税庁FAQ問12によれば,通知方法は法令上定められておらず,原則として電話により口頭で行う。
電話での通知が困難と認められる場合には,当局の判断で書面によることもあるが,納税者の希望に応じて通知事項の書面を交付する運用ではない。

通知を受けた側では,日時,担当者,調査の開始日時・場所,目的,対象税目・期間及び対象資料等を記録し,聞き取れなかった事項を確認するのがよい。
これは通知内容を把握するための実務上の提案であり,国税通則法65条6項の調査通知と74条の9の事前通知を同一視する趣旨ではない。

2 非違の内容と法的効果の書面を分ける

国税通則法74条の11第2項は,更正決定等をすべきと認める場合に,その額と理由を含む調査結果の内容を説明すると定める。
FAQ問24では,原則として口頭で行い,必要に応じて項目や金額を整理した参考資料を示すなどの運用が説明されている。
希望すれば調査結果の説明全文が書面化される制度ではない。

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税理士が顧客資料の提出を求められたとき―守秘義務,文書提出命令及び部分提出(AI作成)

目次

第1 まず依頼の種類と文書所持者を確認する1 相手方の要請と裁判所の手続を分ける2 顧客と税理士のどちらが所持しているか第2 守秘義務と文書提出義務を順に検討する1 税理士法38条と国税庁の解釈2 民事訴訟法197条の職種と秘密の類型第3 文書提出義務の根拠を特定する1 220条各号を一括して扱わない2 証明する事実と必要な範囲を対応させる第4 顧客の許諾と第三者の秘密を切り分ける1 許諾の対象と範囲を記録する2 顧客の利益と税理士自身の秘密を区別する第5 部分提出と秘密保護の手続を検討する1 全部提出と全部拒否の二択にしない2 イン・カメラ手続と提出後の閲覧を区別する第6 税理士と訴訟代理人が共有する確認事項1 受領時から提出までの記録2 決定への対応と役割分担第7 関連する解説と根拠資料1 関連記事2 法令と国税庁資料
第1 まず依頼の種類と文書所持者を確認する

税理士が顧客の帳簿,申告資料又は相談記録の提出を求められたときは,依頼者の秘密を守ることと,裁判所の適法な命令に対応することの双方を検討する必要がある。
「税理士の守秘義務がある」という説明だけでも,「裁判に関係する資料である」という説明だけでも,提出の可否は決まらない。

本記事は,民事訴訟で税理士が文書所持者として提出を求められる場面を対象とする。
税務調査,捜査機関の捜索・差押え及び弁護士会照会は,それぞれの根拠法と手続を別に確認する必要がある。

1 相手方の要請と裁判所の手続を分ける

相手方本人又は代理人弁護士からの任意の提出要請,裁判所による文書送付嘱託,文書提出命令の申立て及び提出を命ずる決定は,別のものである。
申立書が届いた段階で,提出を命ずる決定が出たと扱ってはならない。

受付時には,差出人,事件番号,裁判所,書面の名称,提出を求められた文書,対象期間,回答又は不服申立てに関する期限を確認する。
書面の添付資料を含めて保存し,電話での説明だけで対象を広げない。

2 顧客と税理士のどちらが所持しているか

顧客が自ら保管する帳簿と,税理士が保管する相談記録や受領資料は,所持者が異なる。
原本,写し及び電子データの所在を確認し,顧客が訴訟で述べたことと,税理士に提出義務が生じることを分けて検討する。

例えば,民事訴訟法220条1号は,当事者が訴訟で引用し,自ら所持する文書を対象とする。
顧客が資料の内容を引用したという事情だけで,第三者である税理士の所持文書について,同号の提出義務が当然に成立するわけではない。

第2 守秘義務と文書提出義務を順に検討する
1 税理士法38条と国税庁の解釈

税理士法38条は,正当な理由なく,税理士業務に関して知り得た秘密を他に漏らし,又は窃用することを禁じている。
税理士でなくなった後も同様である。

国税庁の税理士法基本通達38-1は,この「正当な理由」を,本人の許諾又は法令に基づく義務があることと説明している。
これは国税庁が示す法令解釈であり,個々の資料について文書提出義務があるかを判断する条文に代わるものではない。

したがって,まず民事訴訟法に基づく提出義務と提出範囲を検討し,その結論と守秘義務の関係を確認する。
裁判所から書面が届いたというだけで,関連する顧客資料一式を任意に開示する扱いにはしない。

2 民事訴訟法197条の職種と秘密の類型

民事訴訟法197条1項2号は,医師,弁護士等の列挙された職種について,職務上知り得た黙秘すべき事実に関する証言拒絶を定めている。
税理士は,同号の職種として列挙されていない。

他方,同項3号は,技術又は職業の秘密に関する事項について証言拒絶を定めている。
税理士が所持する資料についても,この類型に該当する具体的な秘密があるかを検討する必要がある。
税理士法上の秘密であることと,民事訴訟法上の提出拒否の要件を満たすことを,同一視しないことが大切である。

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役員報酬と不動産所得の損益通算―赤字を差し引ける条件と確定申告(AI作成)

目次

第1 役員報酬と不動産所得の赤字は損益通算できるか第2 役員報酬の収入と給与所得,不動産所得を分ける1 役員報酬は給与所得として確認する2 不動産所得は家賃収入から必要経費を差し引く第3 損益通算できない損失・部分1 土地等を取得するための借入金利子2 別荘等,組合・信託,国外中古建物3 物件を売った損失は別の制度である第4 土地取得の借入利子がある場合の計算例第5 節税額だけで不動産投資の有利・不利を決めない1 減価償却と毎月の資金繰りは別の数字である2 会社の物件と役員個人の物件を混同しない第6 確定申告前に確認する資料第7 よくある質問1 役員報酬は損益通算できるか2 不動産所得で損益通算できないものは何か3 不動産所得と給与所得の損益は通算できるか4 損益通算をしない方が有利な場合はあるか第8 出典・関連記事1 法令・国税庁資料2 関連記事
第1 役員報酬と不動産所得の赤字は損益通算できるか

日本の居住者である個人が役員報酬を受け,その個人が所有する賃貸不動産について不動産所得の赤字が生じた場合は,原則として給与所得との損益通算ができる。
ただし,土地等の取得に係る借入金利子に相当する部分など,通算できない損失がある。
役員報酬の収入額から賃貸経営の赤字をそのまま差し引く計算ではない。

本記事は,令和8年10月25日に確認した法令と国税庁資料に基づき,国内の賃貸不動産を個人で保有する居住者を中心に説明する。
非居住者,法人の不動産,売却による損失は,同じ結論になるとは限らないため区別する。

確認すること判断の入口役員報酬を受ける人と物件の所有者同じ個人か,会社の物件かを確認する不動産から生じた損失の種類賃貸による不動産所得の赤字か,売却による損失かを分ける通算できない部分土地取得の借入利子,別荘等,組合・国外中古建物の特例を確認する税負担と手元資金所得の計算,税額の計算,実際の入出金を別々に確認する

所得税法69条1項は,不動産所得等の損失について「政令で定める順序により、これを他の各種所得の金額から控除する」と定める。
実際の控除の順序は同法施行令198条により,不動産所得の損失はまず給与所得等の経常所得から控除する。
各種の制限を確認した上で適用する制度である。

第2 役員報酬の収入と給与所得,不動産所得を分ける
1 役員報酬は給与所得として確認する

国税庁No.2508「給与所得となるもの」は,使用人だけでなく役員に支払う給料等も給与所得の対象とする。
給与所得は,原則として給与の収入金額から給与所得控除等を反映して計算する。
源泉徴収票の「支払金額」,給与所得の金額,手取り額は同じではない。

基本的な計算の流れは,所得税とは―税率・計算方法・所得控除・住民税との違いも参照されたい。
本記事の計算例では,給与収入から給与所得を求める計算と,不動産所得の赤字を通算する計算を分ける。

2 不動産所得は家賃収入から必要経費を差し引く

不動産所得は,土地・建物等の貸付けから生じる所得であり,その年の総収入金額から必要経費を差し引いて計算する。
国税庁No.1370は,貸付資産に係る固定資産税,損害保険料,減価償却費,修繕費等を必要経費の例として挙げている。
私的な支出まで含めてよいわけではなく,業務との関係を確認する必要がある。

借入金については,返済予定表の元本と利息を分ける。
元本の返済をそのまま不動産所得の必要経費にすることはできない。
建物の取得費用は,減価償却等のルールに従って必要経費へ反映する。
土地自体は減価償却資産ではない。

第3 損益通算できない損失・部分
1 土地等を取得するための借入金利子

土地等を取得するために要した借入金の利子は,不動産所得の必要経費に算入できる場合でも,不動産所得が赤字になったときには,その利子に相当する部分を給与所得等と通算できない。
必要経費への算入と,他の所得との損益通算は別の段階である。

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海外AI・クラウド利用料の消費税-契約相手,リバースチャージ,インボイス及び前払クレジット(AI作成)

目次

第1 対象と確認する順序第2 契約相手と役務を特定する1 海外ブランドと国外事業者を同一視しない2 クラウド利用と個別開発を分ける3 法人が購入しても事業者向け役務とは限らない第3 リバースチャージの申告要否を分ける1 役務の区分を決めてから利用者側の条件を見る2 契約担当者と経理担当者が確認すること第4 インボイスと控除の特例を混同しない1 リバースチャージと消費者向け役務では保存要件が異なる2 一定割合控除の経過措置と少額特例を分ける3 プラットフォーム経由の請求も提供者を確認する第5 前払クレジットは購入・利用・失効・返金を分ける1 支払時点と役務提供時点は同じとは限らない2 クレジット残高と最低支払義務を分けて管理する第6 契約から申告までの資料共有第7 関連記事第8 根拠資料
第1 対象と確認する順序

海外の生成AIやクラウドを仕事で使っていても,利用料の消費税を一律に処理することはできない。
契約上の提供者,役務の内容,利用者の課税方式及び保存する証憑を順に確認する必要がある。
海外への送金であることや,請求書に日本の消費税額が表示されていないことだけで,国外取引又は控除不能と決めない。

本記事は,日本に住所等を有する事業者が海外の電子サービスを利用する場面を中心に,令和8年10月22日に確認した国税庁資料に基づいて整理する。
海外拠点だけで使用する場合,著作権の譲渡・貸付け,個別開発の委託,源泉所得税及び法人税の損金算入は,それぞれの前提を別途確認する。
国税庁が示す課税関係と,本記事が提案する契約審査・社内管理の方法は,各節で区別する。

第2 契約相手と役務を特定する
1 海外ブランドと国外事業者を同一視しない

国税庁の国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税関係について(国内事業者の皆さまへ)は,電気通信利用役務の内外判定を,原則として役務を受ける者の住所等で行うと説明する。
法人では本店又は主たる事務所の所在地が基準となり,提供者側のサーバーや事務所が国外にあることだけでは国外取引にならない。
国外事業所等に係る事業者向け役務には例外もあるため,本記事の国内利用の整理を海外支店へそのまま当てはめない。

契約審査では,ブランド名とは別に,契約上の提供者,請求書発行者,代金の受領者及び国内代理店の役割を一枚に整理することを提案する。
国内企業が自ら販売しているのか,国外事業者の契約・決済を代行しているのかで,確認すべき取引が異なる。
代理店経由という事情だけで国内企業からの仕入れと扱わず,利用規約,注文書及び請求書を照合する。

2 クラウド利用と個別開発を分ける

同資料及び国税庁の国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税に関するQ&A問2-1は,クラウド上のソフトウェア・データベースの利用やデータ保存場所の提供を,電気通信利用役務の例に挙げる。
一方,国外事業者へソフトウェアの制作を依頼し,インターネットで成果物を受け取る場合などは,通信が他の取引に付随するものとして区別している。

AIという名称やAPIという接続方法だけで課税区分を決めない。
通常のサービス利用,専用機能の開発,導入支援,著作権等の取引が一契約に含まれる場合は,対価と提供内容を項目別に確認することが実務上有用である。

3 法人が購入しても事業者向け役務とは限らない

国税庁No.6118「国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税関係」は,役務の性質又は取引条件等から,受け手が通常事業者に限られるものを,事業者向け電気通信利用役務としている。
購入者が法人であることや,業務に利用していることだけでこの区分になるわけではない。

前記Q&A問3-1・問4は,個別交渉による当事者固有のクラウド契約を例示する一方,ウェブサイトで事業者向けと表示していても,消費者の申込みを事実上制限できないサービスを区別している。
したがって,同じ提供者でも,一般向けプランと個別契約を別に確認する必要がある。
本記事では,特定のAI提供者やプランを一括して事業者向け又は消費者向けと判定しない。

第3 リバースチャージの申告要否を分ける
1 役務の区分を決めてから利用者側の条件を見る

No.6118によれば,国外事業者から受ける事業者向け電気通信利用役務は,原則として国内の受け手が特定課税仕入れとして申告・納税するリバースチャージ方式の対象となる。

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本人希望の転勤・勤務地変更と手当―会社命令型との区別,社宅・赴任旅費及び就業規則の改定(AI作成)

目次

第1 本人希望の転勤を処理する判断順序第2 会社命令型と本人希望型を区別する1 異動の名称ではなく実質で分類する2 本人に希望勤務地への異動請求権が当然に生じるわけではない第3 現行規程に区別がなければ個別除外は慎重に行う1 就業規則の文言・目的・運用を確認する2 就業規則より不利な個別合意には労働契約法12条がある第4 将来に向けた本人希望型制度は別建てできる1 申請制度と会社命令制度を別章又は別規程にする2 就業規則の変更手続と既存社員への適用を分ける第5 管理職だけを会社命令型の対象とする場合1 「管理職」を客観的に定義する2 管理職限定だけで全ての差が正当化されるわけではない3 差別的取扱いとキャリア機会を点検する第6 手当・旅費・社宅に差を設ける基準1 給付の目的を分解する2 労働法上の支給義務と税務上の取扱いを分ける第7 会社都合と本人都合が混在する場合第8 規程と書式の条項例1 定義条項2 申請と決定3 労働条件の確認4 費用と手当第9 運用に必要な書類第10 制度改定の確認事項第11 出典・参考資料1 法令2 裁判例3 行政資料
第1 本人希望の転勤を処理する判断順序

本人が勤務地の変更を希望した場合でも,申出だけで転勤が成立するわけではない。

労働契約,就業規則及び労働協約を確認した上で,会社が人員配置上の必要性,受入部署,職務内容及び労働条件を検討し,異動を決定する必要がある。

その際は,次の順序で整理すると,異動の可否と手当の有無を混同しにくい。

①現在の就業規則・赴任旅費規程・社宅規程が,本人希望の転勤を適用対象から外しているかを確認する。

②異動の主たる目的が会社の業務上の必要にあるのか,本人の生活上又はキャリア上の希望にあるのか,双方にあるのかを記録する。

③現行規程を適用する事案か,将来に向けて別制度を設けるべき事案かを分ける。

④異動の決定と,赴任旅費,社宅,支度金,単身赴任手当等の給付決定を別々に行う。

⑤労働条件の変更,税務,社会保険,給与控除及び差別的取扱いの問題を個別に確認する。

本記事は,本人の申出を契機として同一使用者内で勤務地を変更する場面を対象とする。

使用者が一方的に命じる転勤の有効性は,配転命令(転勤命令)の有効性―就業規則の根拠,職種・勤務地の限定合意と東亜ペイント事件の判断枠組み(AI作成)で扱っている。

第2 会社命令型と本人希望型を区別する
1 異動の名称ではなく実質で分類する

「転勤希望制度」「自己都合転勤」「社内公募」等の名称だけで法的性質は決まらない。

申出の端緒,会社側の配置上の必要性,候補者の選定,異動を断った場合の取扱い及び費用負担を総合して分類する。

類型主な特徴記録すべき事項会社命令型会社の業務上の必要に基づき,対象者と勤務地を会社が選ぶ必要性,人選理由,発令日,赴任日,負担軽減措置本人希望型本人が生活上又はキャリア上の理由で申し出て,会社が受入れの可否を判断する申出理由,受入条件,撤回期限,労働条件への同意社内公募型募集条件を示して応募を受け,選考後に会社が異動を決定する募集要項,選考基準,合否,異動条件混合型本人の希望と会社の業務上の必要が併存する各目的の比重,会社が求めた条件,費用ごとの負担理由

会社が本人の希望を受け入れた後に正式な異動命令を出したというだけで,全ての費用が当然に会社命令型になるわけではない。

反対に,会社が欠員補充や育成のために積極的に異動を求めながら,申請書に本人が署名したことだけを理由に本人希望型とすることも適切ではない。

2 本人に希望勤務地への異動請求権が当然に生じるわけではない

一般に,労働契約又は社内制度に特別の定めがなければ,労働者が希望した勤務地へ異動させることを会社に当然に請求できるわけではない。

会社は,欠員,受入部署の業務,必要な技能,賃金・等級,通勤可能性及び他の従業員との公平を検討して,申出を承認しないことができる。

ただし,配偶者の転勤,子の養育,家族の介護,治療その他の事情を申告した労働者については,適用される法令,休業・短時間勤務等の制度及び社内規程を確認し,申出を検討した経過を残すことが望ましい。

第3 現行規程に区別がなければ個別除外は慎重に行う
1 就業規則の文言・目的・運用を確認する

赴任旅費規程や社宅規程が「会社の命による転勤」だけを対象と明記している場合は,その要件への該当性を検討する。

これに対し,規程が単に「転勤した社員」「転居を伴う人事異動」等を対象とし,本人希望型を除く文言を置いていない場合は,本人の希望が契機であったことだけを理由に全ての手当を外すことは慎重に考える必要がある。

規程の対象は,条文だけでなく,制定目的,関係条項,従来の説明及び運用を踏まえて解釈される。

会社が想定していなかった類型であっても,現行文言がその類型を含むなら,今回だけ適用外とするのではなく,現行規程を適用した上で将来の制度を改めることを検討する。

2 就業規則より不利な個別合意には労働契約法12条がある

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政治団体の資金承継と相続税―代表者交代・寄附・遺贈と個人への移転を分ける(AI作成)

目次

第1 誰の財産が,どの行為で動いたかを先に確認する第2 代表者の交代と,個人による財産取得は別である1 団体の継続と財産帰属2 確認する取引の類型第3 人格のない政治団体への寄附・遺贈の税務1 人格のない社団等にも課税の出発点がある2 贈与税の非課税には条件がある第4 受領団体の非課税と遺贈者の所得税を分ける1 不動産等の遺贈ではみなし譲渡を確認する2 政党への遺贈を扱った東京地裁判決3 包括遺贈では納税義務の承継も問題となる第5 団体から個人への移転と解散時の残余財産第6 政治献金の控除と政治資金規正法の確認1 寄附が許されることと,所得税の控除対象になることは別である2 寄附者・受領者・時期ごとに規正法を検討する第7 相談時にそろえる資料第8 主な出典と確認範囲
第1 誰の財産が,どの行為で動いたかを先に確認する

政治家の死亡や引退に伴って政治団体の代表者が親族へ交代したとしても,そのことだけで,政治団体の資金を親族個人が相続したことにはならない。
一方,個人の財産を政治団体へ寄附・遺贈する場合や,政治団体から個人へ財産を移す場合には,別の課税関係と政治資金規正法上の問題を検討する必要がある。
「政治資金の承継」を一つの取引として扱わず,財産の帰属,移転の相手方,行為の時期及び法的原因を確定することが出発点となる。

本記事は,令和8年10月20日に確認した法令,国税庁の通達・説明,国会答弁及び裁判所公開判決に基づき,日本の政治団体の資金承継を整理する。
特定の政治家や親族の適法・違法,又は実際の納税額を,報道された承継額だけから認定するものではない。

第2 代表者の交代と,個人による財産取得は別である
1 団体の継続と財産帰属

団体の預金口座や不動産が問題となるときは,規約,意思決定の仕組み,会計,資金の出所及び実際の管理を確認する。
口座名や登記名に代表者の氏名が含まれる場合でも,その表示だけで個人の固有財産と決めることはできない。
団体に帰属する財産であることと,代表者がその管理に影響を与えられることも,同じ意味ではない。

令和7年2月12日の衆議院財務金融委員会の政府答弁(https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/009521720250212002.htm)は,政治団体の代表者の地位を承継する場合の課税について,一般の人格のない社団等との関係を含めて説明している。
これは政府の説明であり,個別の団体の財産帰属を認定した判決ではない。
実際の相談では,団体が同一性を保って存続しているのか,別団体へ財産を移したのか,個人が取得したのかを資料で区別する。

2 確認する取引の類型

同一団体の代表者交代では,団体の財産がそのまま存続しているかを確認する。
別の団体への寄附では,寄附者・受領者の法的属性,寄附の適法性及び収支報告を確認する。
個人からの寄附・遺贈では,受領団体側の税金だけでなく,拠出者側の所得税も確認する。
団体から個人への支払や残余財産の交付では,個人が取得した利益の性質と,政治資金規正法上の可否を確認する。

相続人であること,又は代表者になったことだけを根拠に,これらの取引を互いに置き換えて説明すべきではない。

第3 人格のない政治団体への寄附・遺贈の税務
1 人格のない社団等にも課税の出発点がある

相続税法(https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000073)66条1項は,代表者又は管理者の定めのある人格のない社団・財団への贈与又は遺贈について,その団体を個人とみなして贈与税又は相続税を課すると定める。
したがって,法人格のない団体だから,相続税・贈与税の検討が不要になるわけではない。
法人格を有する政党,法人格のない政治団体及び代表者個人を区別し,適用する規定を選ぶ必要がある。

2 贈与税の非課税には条件がある

相続税法基本通達21の3-9(https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/sozoku2/02/10.htm)は,所定の法人格のない政党・政治団体が政治資金を取得した場合の取扱いを説明する。
個人からの贈与については,その団体が相続税法21条の3第1項3号の公益を目的とする事業を行う者に該当し,かつ,取得した財産を政治資金に供することが確実であるときに,課税価格に算入しないとしている。
同通達は「公益を目的とする事業を行う者に該当し、かつ、その取得した財産を政治資金に供することが確実であるとき」という条件を付けている。

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公益信託への寄附・遺贈と税金―相続税・贈与税の非課税とみなし譲渡の承認手続(AI作成)

目次

第1 公益信託に財産を拠出するときの出発点第2 家族のための信託と公益信託を区別する1 公益事務だけを目的とする受益者の定めのない信託2 財産を公益目的のために継続管理する仕組み第3 相続税・贈与税と拠出者の所得税は別に判断する1 受託者が信託財産として取得する場合の非課税2 不動産・株式等を拠出する個人側のみなし譲渡第4 みなし譲渡所得税の非課税承認1 公益信託の認可とは別の承認である2 一般特例と承認特例3 申請者・提出先・期限第5 承認後の管理と取消しも予定する第6 現物拠出と,換価後の金銭拠出を比較する第7 弁護士と税理士が共有したい資料第8 関連記事と出典
第1 公益信託に財産を拠出するときの出発点

公益目的のために財産を託す場合でも,公益信託の認可,受託者が取得する財産の相続税・贈与税,財産を拠出する個人の所得税は,それぞれ確認する必要がある。
特に,不動産や株式を現物で拠出するときは,代金を受け取らなくても,拠出者側のみなし譲渡所得税が問題となる。
公益信託の認可を受けたことだけで,この所得税の非課税承認まで得たことにはならない。

本記事は,令和8年10月20日に確認した現行法令と国税庁・内閣府の資料に基づき,日本の新公益信託への寄附・遺贈を検討する個人と,その支援をする弁護士・税理士の確認事項を説明する。
国外財産,非居住者又は外国法人が関係する場合は,国内の一般的な説明から結論を出さず,課税範囲と特例の対象を個別に確認する。

第2 家族のための信託と公益信託を区別する
1 公益事務だけを目的とする受益者の定めのない信託

公益信託に関する法律(https://laws.e-gov.go.jp/law/506AC0000000030)2条1項は,公益信託を,受益者の定めがなく,公益事務を行うことのみを目的とする信託と定義する。
同条の公益事務は,不特定かつ多数の者の利益の増進を目的とする事務である。
特定の子や配偶者へ生活費を給付するための民事信託とは,目的と法律上の構造が異なる。

同法4条は,信託契約又は遺言による設定を認め,信託管理人となるべき者と,委託者を除く帰属権利者となるべき者の指定等を必要とする。
同法6条は「公益信託は、行政庁の認可を受けなければ、その効力を生じない。」と定める。
遺言に公益目的と受託者を書くだけで,全ての手続が完了するわけではない。

2 財産を公益目的のために継続管理する仕組み

認可の基準には,受託者の経理的基礎と技術的能力,信託管理人の監督能力,関係者への特別の利益の禁止,不当に高額とならない報酬の支払基準及び残余財産の帰属先等が含まれる(同法8条)。
財産の拠出後も,家族が所有者と同様に自由に取り戻し,使用し,又は分配先を決められる仕組みと考えるべきではない。
家族への給付を目的とする場合は,通常の遺言や民事信託と比較し,目的に合う方法を選ぶ必要がある。

第3 相続税・贈与税と拠出者の所得税は別に判断する
1 受託者が信託財産として取得する場合の非課税

相続税法(https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000073)12条1項4号は,公益信託の受託者が遺贈により取得した財産のうち,その信託財産として取得したものを相続税の非課税財産とする。
同法21条の3第1項4号も,公益信託の受託者が贈与により取得した財産について「その信託財産として取得したものに限る。」と定め,贈与税の非課税財産としている。
受託者個人が私生活のために財産を受け取る場合まで,この規定で非課税となるわけではない。

2 不動産・株式等を拠出する個人側のみなし譲渡

所得税法(https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033)59条1項は,所定の資産移転について,移転時の価額により譲渡があったものとみなす。
現行の同項1号は,法人への贈与・遺贈だけでなく,公益信託の受託者である個人への贈与・遺贈のうち,その信託財産とするためのものも対象に含めている。
受託者が個人であるという理由だけで,みなし譲渡の検討が不要になるわけではない。

例えば,取得後に値上がりした土地を無償で拠出する場合,拠出者には売却代金が入らない一方,含み益を清算する所得税が生じ得る。
対象となる資産,居住者区分,取得費,移転時の時価及び適用できる特例を確認し,納税資金も試算する必要がある。

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自作プログラムの著作権は誰のものか―著作物性・職務著作と会社への譲渡前の確認(AI作成)

目次

第1 自分で書いたことと自分が権利者であること第2 アルゴリズムと創作的な表現を分ける第3 知財高裁平成18年12月26日判決の読み方第4 プログラムの職務著作と制作時点の契約第5 会社へ譲渡する前の三つの分岐第6 弁護士と税理士が共有する権利確認票第7 関連記事と確認範囲
第1 自分で書いたことと自分が権利者であること

プログラムを自分で書いたとしても,そのすべてが著作物になるとは限らず,著作物であっても個人が著作権を持つとは限らない。
会社への譲渡,役員と会社との取引又は退職後の再利用を検討する際は,①保護される表現があるか,②法律上の著作者は誰か,③その後に権利が移転したかを,この順に調べることが有用である。

本記事は,令和8年10月20日までに確認した著作権法と知財高裁平成18年12月26日判決を基に,弁護士・税理士が権利の棚卸しを行う際の判断事項を整理するものである。
税額の計算は,権利の存在と帰属を確認した後の問題として扱う。

第2 アルゴリズムと創作的な表現を分ける

著作権法10条1項9号はプログラムの著作物を例示するが,同条3項は,保護がプログラム言語,規約及び解法に及ばないと定める。
同じ計算式や機能を使うことと,具体的なコードの創作的な表現を利用することは別である。
新しい機能であること,制作に時間や費用をかけたこと,又はコードが長いことだけで著作物性が決まるわけではない。

具体的には,処理の選択・組合せ,記述方法及び構成にどの程度の選択の幅があり,どこに作成者の個性が表れているかを示す。
一方,数式や仕様の制約から表現がほぼ決まる部分や,ありふれた記述方法しかない部分については,その制約も資料で確認する。
短いプログラムをすべて保護の対象外としたり,公知の数式を使うプログラムをすべて保護の対象外としたりする一律の基準にはしない。

法令の確認先は,e-Gov法令検索「著作権法」である。
https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000048?occasion_date=20260624

第3 知財高裁平成18年12月26日判決の読み方

知財高裁平成18年12月26日判決(平成18年(ネ)第10003号)は,複数のプログラムの著作物性と権利帰属等が争われた事件である。
判決43頁は,プログラムの表現と解法等を分け,表現の選択の幅と作成者の個性を検討する基準を示す。
政府の「サイバーセキュリティ関係法令Q&Aハンドブック」Ver.3.0のQ25脚注4も,この判決をプログラムの著作物性に関する説明で参照している。

判決44~47頁は,本件プログラム15,5,12及び13について著作物性を認める一方,47~50頁は,本件プログラム11について,数式からの表現の選択の幅等を検討して著作物性を否定している。
公知の数式を用いるというだけで4つのプログラムの保護を否定したものではなく,プログラムごとに結論を分けた判断である。
本件プログラム11については,従前同じプログラムが存在しなかったという事情だけでは創作性を基礎付けないとされた。

さらに判決58~60頁,80頁及び83~84頁等では職務著作と権利帰属が問題となり,個人の権利を前提とする請求は認められなかった。
したがって,請求棄却という結論から,すべてのプログラムの著作物性が否定されたと読み替えない。
データベースの判例要旨と本文の各プログラムの判断が一致するかを確認する必要がある。

判決原文は全91頁であり,上記の論点について参照する頁を特定して読むことができる。
https://www.courts.go.jp/assets/hanrei/hanrei-pdf-33985.pdf#page=43

政府Q&Aの参照箇所は本文117~118頁・脚注4(PDF実頁137~138頁)である。
この判決は,ソフトウェア解析の一般的な許可,AI学習の適法性又は所得区分を判断したものではない。
https://security-portal.cyber.go.jp/guidance/pdf/law_handbook/law_handbook_3.pdf#page=137

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仕入先・販売先を買収する前に―垂直型企業結合の競争審査と株式取得費用の税務(AI作成)

目次

第1 仕入先・販売先の買収で最初に確認すること第2 供給を止める場合と購入を止める場合1 投入物閉鎖―競争者の仕入れを難しくする場合2 顧客閉鎖―競争者の販売先を失わせる場合第3 競争者の秘密情報を買収計画に含めて点検する第4 株式の購入代金と付随費用を一括して経費にしない第5 弁護士と税理士が共有する資料第6 関連記事と資料の基準日
第1 仕入先・販売先の買収で最初に確認すること

仕入先や販売先の株式を取得すると,調達や販売の安定につながる一方,競争者が必要な商品を買えなくなる,販売先を失う,取引情報が競争相手へ流れるといった問題が生じることがある。
本稿は,内国法人が既存株式を購入する計画を想定し,垂直型企業結合の競争審査と購入費用の法人税処理を確認する手順を整理する。
令和8年10月18日に確認した公取委の運用指針と税務資料を基準とする。

株式保有は公取委の企業結合審査の対象となり得る。
届出の要否と,市場の競争を実質的に制限するかという実体判断は,別々に確認する。
売上高等の届出要件を満たすかだけで,買収後の取引条件まで適法と判断することはできない。

出典:公取委・企業結合審査の運用指針の「はじめに」,第1及び第5。

届出が必要かどうかは,独占禁止法と同法施行令が定める金額と議決権の割合で判定する。
株式取得では,取得する会社の企業結合集団の国内売上高合計額が200億円を超え,株式発行会社とその子会社の国内売上高の合計額が50億円を超える場合に,取得後の議決権の割合が20%又は50%を超えることとなるときは,あらかじめ届け出る必要がある(独占禁止法10条2項,同法施行令16条)。
事業の譲受けでは,譲受会社の国内売上高合計額が200億円を超え,事業の全部の譲受けでは譲渡会社の,重要部分等の譲受けでは対象部分の国内売上高が30億円を超える場合に届出が必要となる(同法16条2項,同法施行令21条)。
届出をした会社は,原則として,届出受理の日から30日を経過するまで株式の取得や事業の譲受けをすることができない(同法10条8項・16条3項)。

出典:独占禁止法10条2項・8項,16条2項・3項,同法施行令16条・21条。

第2 供給を止める場合と購入を止める場合
1 投入物閉鎖―競争者の仕入れを難しくする場合

買収後,グループ内の会社を優先して川下の競争者への供給を拒んだり,条件を悪化させたりする場合は,投入物閉鎖が問題になる。
確認するのは,閉鎖を行う能力と,実際にそうする誘因である。

代替仕入先の名前を挙げるだけでは足りない。
必要な仕様を満たすか,必要数量を供給できるか,切替えが容易かを確認する。
実務では,供給開始日,認証・試験の期間,契約上の制約を付けた一覧にすると,単なる生産能力と利用可能な供給を区別できる。
この一覧化は運用指針を踏まえた本稿の実務上の提案である。

供給を減らすと川上会社の利益が減っても,川下会社の販売増加等によってグループ全体の利益が増えることがある。
上流の減収だけで誘因を否定せず,利益率,供給余力,競争者の商品との代替性を確認する。

2 顧客閉鎖―競争者の販売先を失わせる場合

川下会社がグループ外の川上事業者からの購入を拒み,その事業者が販売先を十分に振り替えられなくなる場合は,顧客閉鎖が問題になる。
川下会社の市場での地位に加え,特定顧客向けの設備等があり,ほかへ販売しにくい事情も確認する。

こちらも能力と誘因を分ける。
グループ内への購入切替えで川上会社の稼働率が改善する利益と,仕入れの選択肢や品ぞろえを失う不利益を比較する。
特定の競争者が売上げを失うという事実から,市場全体の競争への影響まで直ちに結論付けず,振替先や参入等による競争圧力も検討する。

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不動産小口化商品の分配・償還が止まったときの初動―契約,請求先,保全・配当及び税務資料(AI作成)

目次

第1 最初に確認すること第2 消える前に証拠を保存する1 契約と送金の証拠2 説明と支払停止の経緯第3 誰に,何を請求するのかを分ける1 営業者・販売会社・所有者を区別する2 請求の根拠を一つにまとめない第4 返還の時期と金額を契約から確認する1 運用予定期間と支払期限2 優先出資と元本保証3 金額の意味を混同しない第5 競売になっても,売却代金がそのまま投資家へ届くわけではない1 公告・物件明細書・現況調査報告書・評価書を読み合わせる2 宗右衛門町の資料から分かる価格の区別3 配当と投資家の回収第6 保全・執行では期限と参加資格を確認する第7 税務判断の前に権利の種類を確定する第8 相談時に持参する資料と質問第9 出典・関連記事
第1 最初に確認すること

不動産小口化商品の分配金や償還金が支払われなくなったときは,商品の呼び名だけで回収方法を決めず,契約の種類,債務者,請求できる金銭の内容,支払時期及び回収対象となる財産を順に確認する必要がある。
本稿は,令和8年10月18日を基準として,資料の保存と相談の準備,競売・保全・税務へつなぐ確認事項を説明するものである。

分配停止,行政処分,不動産への差押え及び事業者の倒産は,それぞれ別の出来事である。
一つの出来事だけから,契約の当然終了,全額返還義務,販売会社の賠償責任又は税務上の損失計上を決めることはできない。

国土交通省は,返金交渉等をうたい,別の投資商品の購入や手数料の支払を求める二次被害にも注意を促している。
回収を持ちかける連絡を受けたときは,依頼先と契約内容を確かめ,新たな送金を求められた経緯も保存することが大切である。

第2 消える前に証拠を保存する
1 契約と送金の証拠

契約成立前・成立時に交付された書面,契約約款,申込書,変更合意,出資の受領証,振込記録及び分配金の入金記録を一組にして保存する。
商品の名称・号数,契約日,契約当事者の正式名称,出資額,振込先名義及び実際の入出金日を対応させることが重要である。
複数の商品へ投資している場合は,商品ごとに分け,合計額だけで整理しない。

2 説明と支払停止の経緯

広告,募集ページ,鑑定に関する説明,想定利回り,優先・劣後の条件,運用予定期間及び償還条件の表示を,URLと保存日時が分かる形で保存する。
PDFとしての保存に加え,元の電子ファイル,メール及び添付資料も保管する。
説明会の配布資料,面談や電話の記録,分配停止・償還延期の通知,その後の説明の変更も,日付順に並べる。

現在の募集ページだけを見て,申込み当時も同じ説明だったと扱ってはならない。
事業者の説明,行政庁が認定した事実,裁判所の資料に記載された事実及び報道機関の取材内容は,出所を分けて記録する。

第3 誰に,何を請求するのかを分ける
1 営業者・販売会社・所有者を区別する

営業者,販売会社・代理人,不動産の登記名義人,賃借人及び保証人は,同じ主体とは限らない。
ブランド名やグループ名だけで請求先を選ばず,契約書の当事者表示と登記等で法人を特定する必要がある。
販売に関与した会社が,営業者の返還債務を当然に負うとはいえない。

匿名組合型では,商法536条1項により,匿名組合員の出資は営業者の財産に属する。
対象不動産へ投資したという説明があっても,そのことだけで投資家自身が不動産の共有持分や抵当権を取得したことにはならない。
任意組合型,共有持分を利用する型,信託を利用する型等は,それぞれ契約と権利関係を確認する必要がある。

2 請求の根拠を一つにまとめない

約定の分配金請求,契約終了に伴う出資価額の返還,取消し・解除等に伴う返還及び説明内容を理由とする損害賠償は,根拠も必要な事実も異なる。
同じ送金について複数の構成を検討する場合も,重複して回収できることを意味しない。

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公金受取口座とは―登録したほうがいい?デメリット・口座の選び方・確認と変更(AI作成)

目次

第1 公金受取口座とは1 本人名義の口座を給付金の受取先として登録する制度2 登録しないと給付金を受け取れないのか3 よくある疑問への短い回答第2 公金受取口座は登録したほうがいいですか?1 メリットと判断の目安2 公金受取口座は危険ですか?デメリットも確認する3 預貯金口座付番制度との違い第3 公金の受け取り口座はどこがいいですか?1 銀行名よりも名義と管理のしやすさを確認する2 公金受取口座にできない口座は?第4 登録・確認・変更・抹消はどこで行うか1 手続方法によってできることが違う2 登録結果の通知と確認3 確定申告で登録できなかった場合4 年金口座の意向確認書が届いた場合第5 変更すると年金・児童手当・還付金の口座も変わるか1 登録情報と実際の振込先は別に確認する2 未支給年金や国民年金基金を請求するとき第6 出典と確認先
第1 公金受取口座とは
1 本人名義の口座を給付金の受取先として登録する制度

公金受取口座とは,給付金等を受け取るため,国のデジタル庁にあらかじめ登録する本人名義の預貯金口座である。
登録は任意であり,1人につき1口座を登録できる。
年金,児童手当及び所得税の還付金等の受取に利用できるが,個々の給付の受給資格を与える制度ではない。

本記事は,令和8年10月30日に確認したデジタル庁の制度案内及びFAQに基づき,登録するかの判断,口座の選び方,登録・確認・変更・抹消と,給付元への届出の違いを説明する。
制度の入口は,デジタル庁「公金受取口座登録制度」(https://www.digital.go.jp/policies/account_registration)で確認できる。

2 登録しないと給付金を受け取れないのか

公金受取口座を登録しなくても,給付金等を受けることは可能である。
その場合は,従来どおり,給付申請の際に口座情報を記入・入力し,通帳等の写しを提出するなどの手続を行う。
登録の有無と,給付金ごとの申請期限・必要書類は分けて確認する必要がある。

登録すれば全ての給付金が自動的に振り込まれるわけでもない。
申請が必要かどうかは給付金や支援金ごとに運用が異なるため,支給する行政機関等の案内を確認する。
以上は,デジタル庁の制度概要FAQ Q3・Q4(https://www.digital.go.jp/policies/account_registration/faq-program)による。

3 よくある疑問への短い回答
疑問回答の要点公金の受取口座とは何ですか?給付金等の受取先として国に登録する本人名義の1口座である。登録だけですべての給付の申請が済むわけではない。公金受取口座を登録しないとどうなる?未登録でも給付を受けられる。給付ごとに口座情報や必要書類を提出する。年金の意向確認書が届いた場合は,第4の4の手続を別に確認する。公金受取に一番良い口座はどこですか?本人名義で登録可能な口座の中から,入金の確認と管理がしやすいものを選ぶ。銀行名だけで一律に最適な口座が決まるわけではない。公金受取口座は危険ですか?登録だけで残高・入出金履歴を把握されたり,税金等が引き落とされたりする制度ではない。登録情報の管理と,暗証番号等を求める不審な連絡には注意が必要である。公金受取口座を登録したか分からない場合は?どの方法で登録した場合も,最新の登録情報はマイナポータルで確認する。過去に申請したことと登録完了は分けて確認する。

制度上の説明は,デジタル庁の制度概要FAQ及び手続FAQによる。
口座の選び方は,登録条件を踏まえた管理上の目安である。

第2 公金受取口座は登録したほうがいいですか?
1 メリットと判断の目安

給付金や還付金の申請で,口座情報の記入や通帳の写し等の提出を省きたい場合には,登録を検討する意味がある。
行政側の口座確認等の手続も簡略化でき,迅速な給付につながることが,デジタル庁の挙げるメリットである。
もっとも,特定の日までの入金や,通常より何日早くなるかを保証する制度ではない。

選ぶ際は,給付を受ける機会,登録内容を管理しやすいか,氏名・住所・口座の変更が予定されていないかを考えるとよい。
手続の簡略化という利点と,登録内容を最新に保つ手間を比べて判断する。
登録を希望しない場合にも給付を受ける方法があるため,不安が残るまま登録を急ぐ必要はない。

2 公金受取口座は危険ですか?デメリットも確認する

実務上の注意点は,登録できるのが1口座であること,氏名・住所等が変わったときに登録情報を変更する必要があること,口座変更と給付元への届出が同じ手続ではないことである。
口座を解約したままにせず,必要に応じて変更又は抹消の手続をとる必要がある。

(続きを読む...)公金受取口座とは―登録したほうがいい?デメリット・口座の選び方・確認と変更(AI作成)

NISAで困ったときの法律問題――相続・離婚・自己破産・差押え・贈与・成年後見(AI作成)

目次

第1 結論――NISAは非課税制度であって財産保護制度ではない1 最初に確認する五つの事項2 場面ごとの短い答え第2 NISAとは何か1 非課税になるもの2 非課税にならないもの第3 NISA口座の名義人が死亡した場合1 相続人のNISAには移せない2 死亡届と税務を分けて確認する第4 離婚時にNISAは財産分与の対象になるか1 口座区分ではなく取得時期と原資を見る2 相手方のNISAへ直接移すことはできない第5 自己破産・差押えではNISAを残せるか1 NISAだから残せるわけではない2 iDeCoとは法律上の扱いが異なる第6 NISAを家族へ贈与できるか1 商品を受贈者のNISAへ入れることはできない2 親が子のために拠出するとき第7 認知機能が低下したときのNISA口座1 家族であるだけでは取引権限にならない2 事前の備えと制度の限界第8 海外転出時のNISA1 出国理由と届出で扱いが変わる2 国外転出時課税とは別に判定する第9 相談時にそろえる資料第10 主な公式資料

NISAは投資で生じた一定の利益を非課税にする制度であり,口座内の株式・投資信託が誰の財産か,相続できるか,財産分与や破産手続の対象になるかを一括して決める制度ではない。
相続,離婚,債務整理,贈与,認知機能の低下又は海外転出が生じたときは,非課税の問題と,財産の帰属・処分・評価・手続の問題を分けて確認する必要がある。
本記事は,NISAに関する法律問題の入口を示し,詳しい個別記事へ案内するものである。

第1 結論――NISAは非課税制度であって財産保護制度ではない
1 最初に確認する五つの事項

NISAで法律問題が生じたときは,①口座名義人,②保有商品と数量,③取得時期と原資,④問題が生じた基準日,⑤その後に行われた売却・移管・払出しを確認する。
口座名だけを見て結論を出すと,相続税,財産分与,破産財団,贈与税又は成年後見の問題を取り違えるおそれがある。

2 場面ごとの短い答え

相続では,被相続人のNISA口座や非課税枠を相続人が引き継ぐことはできず,相続した商品は相続人の課税口座で受け入れる。
離婚では,NISA口座にあるという理由だけで共有財産又は特有財産になるのではなく,取得時期,原資,夫婦の寄与及び取引履歴で判断する。
自己破産や差押えでは,NISAであること自体による差押禁止はなく,口座内の商品は財産として検討対象になる。
贈与では,贈与された商品を受贈者のNISA口座へそのまま入れることはできず,課税口座で受け入れた上で贈与税等を検討する。
認知機能が低下した場合は,家族であることだけで取引できるわけではなく,事前の代理契約,金融機関のサービス又は成年後見等の権限を確認する。

第2 NISAとは何か
1 非課税になるもの

金融庁のNISA説明のとおり,NISAは少額投資非課税制度であり,NISA口座で取得した対象商品の売却益及び配当・分配金を一定の要件で非課税とする。
令和6年以後の制度では,つみたて投資枠と成長投資枠を併用でき,非課税保有期間は無期限である。

2 非課税にならないもの

NISAは,相続税,贈与税,離婚時の財産分与,破産手続又は民事執行を一律に免除する制度ではない。
また,国税庁のNISA案内が説明するように,NISA口座内の商品を売却して損失が生じても,その損失はないものとみなされ,課税口座の利益との損益通算や繰越控除はできない。

第3 NISA口座の名義人が死亡した場合
1 相続人のNISAには移せない

日本証券業協会のNISA FAQは,相続により取得した上場株式等を相続人のNISA口座へ受け入れることはできず,特定口座又は一般口座へ受け入れると説明している。
相続人が特定口座で受け入れるには,被相続人のNISA口座と同じ証券会社に相続人の特定口座があることなどの条件があるため,遺産分割前に受入口座と必要書類を確認する。

2 死亡届と税務を分けて確認する

相続人は,死亡を知った日以後遅滞なく,NISA口座を開設している金融機関へ非課税口座開設者死亡届出書を提出する。
死亡から届出までにNISA口座で支払われた配当等は遡って課税されることがあるため,死亡日,配当の基準日・支払日及び届出日を記録する。
相続税評価,死亡日後の取得価額及び遺産分割・移管の詳しい手順は,NISAを相続するとどうなるかを参照されたい。

第4 離婚時にNISAは財産分与の対象になるか

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自由診療・栄養療法・サプリメントの医療費控除―治療,予防,医師の指示及びセルフメディケーション税制(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と結論第2 通常の医療費控除は支出の目的と法的な性質で判断する1 所得税法と施行令の枠組み2 自由診療であることだけでは決まらない第3 治療と予防・健康増進を区別する1 治療又は療養に必要な医薬品2 健康診断,検診及び予防接種第4 栄養療法・サプリメントは診療費と商品代を分けて確認する1 医薬品と食品は同じではない2 医師の処方又は指示は十分条件ではない3 支出ごとの確認表第5 セルフメディケーション税制は通常の医療費控除とは別に選択する1 対象商品と一定の取組2 通常の医療費控除との選択第6 弁護士・税理士が確認し,保存する資料1 医療機関又は販売者に確認する事項2 申告と紛争に備えて保存する資料第7 税務,医学的根拠,薬事承認,保険適用及び広告は別の問題である第8 出典と確認範囲
第1 この記事の対象と結論

自由診療の費用は,公的医療保険が適用されないという理由だけで医療費控除から除外されるものではない。
他方,医療機関で支払い,医師から勧められ,又は領収書に「治療用」と記載されていても,栄養補助食品,健康食品又はサプリメントの購入費が当然に医療費控除の対象となるわけではない。

通常の医療費控除では,支出ごとに,①医師又は歯科医師による診療・治療の対価か,②治療・療養に必要な医薬品の購入費か,③診療等を受けるため直接必要な費用か,④予防・健康増進又は日常生活のための支出かを区別する必要がある。
本記事は令和8年10月16日時点の法令,国税庁の公表資料,公表裁決及び裁判例に基づき,この確認順序を整理するものである。

第2 通常の医療費控除は支出の目的と法的な性質で判断する
1 所得税法と施行令の枠組み

所得税法73条は,居住者が自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の医療費を支払った場合の所得控除を定めている。
所得税法施行令207条は,医師又は歯科医師による診療・治療,治療・療養に必要な医薬品の購入等の対価のうち,病状等に応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分を対象としている。

控除額を計算するときは,その年に実際に支払った対象医療費から,保険金,給付金又は損害賠償金等で補填される部分を差し引く。
未払額は支払った年の対象であり,領収書の合計額と控除額は同じではない。

2 自由診療であることだけでは決まらない

医療費控除の要件は,健康保険が適用されたかどうかではなく,支出の内容が法令上の診療・治療等の対価に当たるか,病状等に応じた通常必要な水準かという点にある。
国税庁「医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例」も,自由診療による歯科治療について,一般的な水準を著しく超える特殊なものを除き,対象になり得ると説明している。

医療機関への一括支払に,診察料,検査料,施術料,医薬品代,食品・サプリメント代又は会費等が含まれる場合は,明細を分ける必要がある。
診察料が対象になり得ることと,併せて販売された全商品が対象になることは別問題である。

第3 治療と予防・健康増進を区別する
1 治療又は療養に必要な医薬品

国税庁「医療費控除の対象となる医療費」は,治療又は療養に必要な医薬品の購入費を対象とする一方,ビタミン剤等であっても,疾病の予防又は健康増進のために用いられるものの購入費は対象外としている。
したがって,同じ医薬品でも,具体的な疾病の治療に用いたのか,健康維持又は予防のために用いたのかを確認する必要がある。

2 健康診断,検診及び予防接種

人間ドック,健康診断その他の検診費用は,疾病の治療を目的としないため,原則として通常の医療費控除の対象にならない。
ただし,国税庁のQ&Aは,健康診断等によって重大な疾病が発見され,かつ,引き続きその疾病の治療を行った場合には,治療に先立つ診察と同様に扱い,その費用も対象になるとしている。

予防接種の費用は,通常は疾病の予防のための支出であり,通常の医療費控除の対象ではない。
もっとも,一定の予防接種を受けた事実は,後述するセルフメディケーション税制の「一定の取組」に当たり得るが,そのことは予防接種費用自体が同税制による控除対象になるという意味ではない。

第4 栄養療法・サプリメントは診療費と商品代を分けて確認する
1 医薬品と食品は同じではない

所得税基本通達73-5は,施行令207条2号の医薬品を,医薬品医療機器等法2条1項の医薬品とし,医薬品であっても予防又は健康増進のために用いられるものは医療費に当たらないとしている。
サプリメント,健康食品,栄養補助食品又は特別用途食品という表示だけから医療費控除の可否は決まらないが,食品であって医薬品ではない商品を,「治療用」という説明だけで医薬品の購入費として扱うことはできない。

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弁護士・税理士が事例をウェブ公開するときの確認事項―守秘義務,匿名化,同意,広告表示及び生成AI(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と結論第2 最初に区別する情報1 原資料,内部処理及び公開表示2 確認済み事実,評価及び仮想事例第3 弁護士の守秘義務と広告規程1 守秘義務は個人情報だけを対象としない2 依頼者の同意と匿名化による例外を混同しない3 勝訴率,成果及び保証の表示第4 税理士の守秘義務と広告表示1 税理士法上の守秘義務2 所属税理士会の規則を確認する第5 同意だけで公開できるとは限らない1 同意の対象を具体化する2 依頼者以外の情報を確認する3 再識別の危険を確認する第6 生成AIを事例作成に使う場合1 入力前に処理条件を確認する2 公開用コピーを作る3 出力を原資料と照合する第7 公開前の確認手順1 事例カードを作る2 公開用文章を別に承認する第8 公開後の管理と効果測定1 訂正,非表示及び削除2 件数より判断の質を測る第9 短いチェックリスト第10 一次資料と裁判例の位置付け第11 関連記事第12 出典・参考資料
第1 この記事の対象と結論

この記事は,弁護士又は税理士が,法律相談,受任事件,税務相談又は税務業務に関する事例を,事務所のウェブサイト,ブログ,SNS,動画その他の外部媒体で紹介するときの確認事項を扱う。
顧客の資料を事務所内部で処理することと,その内容を第三者が閲覧できる媒体に掲載することは,目的,閲覧者及び危険が異なる別の行為である。

氏名を削除し,又は依頼者の同意を得ただけで,常に公開できるわけではない。
相談者又は依頼者以外の情報,複数の事実を組み合わせた再識別,公表による不利益,広告表示の正確性及び生成AIへの入力条件を,それぞれ確認する必要がある。

公開前には,少なくとも次の順序で確認する。

1. 原資料と利用目的を特定する。
2. 守秘義務,個人情報,契約上の秘密及び第三者の権利を分けて検討する。
3. 実在事例,複数事例を統合した事例及び仮想事例を区別する。
4. 同意の対象,媒体,期間及び撤回・削除の扱いを明確にする。
5. 氏名を外した後も,再識別と不利益のおそれを確認する。
6. 広告規程,所属会の規則及び表示の裏付けを確認する。
7. 生成AIを使う場合は,入力範囲と処理条件を先に決める。
8. 公開する文章を原資料と照合し,承認者と確認日を記録する。
9. 公開後の訂正,非表示及び削除の窓口を決める。

第2 最初に区別する情報
1 原資料,内部処理及び公開表示

原資料には,依頼者から受領した文書,聞取り記録,メール,帳簿,申告書,証憑,裁判所提出書面,相手方の主張及び第三者の個人情報等が含まれる。
これらを事件又は税務業務の遂行のために内部で検討することと,事例紹介のために公開することを同じ利用として扱わない。

公開用の文章を作る際は,原資料から必要事項を抽出した作業用メモと,公開候補の文章を分ける。
公開候補には,元のファイル名,住所,日付,金額,業種,家族関係,珍しい取引又は紛争経過等,単独では氏名でなくても本人を推測させる情報が残ることがある。

2 確認済み事実,評価及び仮想事例

事例には,原資料で確認できる事実,専門家による評価,依頼者の感想及び説明のために置いた仮定が混在しやすい。
公開文では,これらを混同せず,どの部分が実際の取扱事例で,どの部分が一般化又は仮想化した説明であるかを読者に分かるようにする。

複数事例を組み合わせた場合は,特定の一件をそのまま紹介したものではないことを明示する。
架空の依頼者の声,実在しない成功実績又は確認していない数値を,実際の経験のように表示してはならない。

第3 弁護士の守秘義務と広告規程
1 守秘義務は個人情報だけを対象としない

弁護士法23条は,弁護士又は弁護士であった者について,職務上知り得た秘密を保持する権利及び義務を定めている。

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税理士事務所がクラウド会計・給与サービスの漏えい通知を受けたとき―顧問先別の影響確認,マイナンバー,e-Tax及び業務継続(AI作成)

目次

第1 税理士事務所に固有の初動課題1 一つの通知を顧問先ごとの影響へ分解する2 直ちに行うこと,当日中に行うこと第2 契約主体,利用者及びデータを固定する1 提供事業者,事務所及び顧問先の三者を分ける2 顧問先別の影響表を作る第3 認証情報,API及び証拠を点検する1 パスワードだけで終わらせない2 通知,ログ及び操作履歴を保全する3 税理士用電子証明書の所在と失効を確認する第4 e-Taxと期限管理を切り離さない1 税理士の認証と納税者の情報を区別する2 送信結果とメッセージを独立して確認する3 業務継続表を顧問先ごとに作る第5 マイナンバーを含むかを別に判定する1 個人データ一般と特定個人情報を分ける2 委託元・再委託先の役割を確認する第6 報告・通知・顧客連絡を整理する1 個人情報保護委員会への報告2 顧問先と本人への説明第7 保存義務と不要な複製を分ける1 税理士法41条の帳簿2 削除と証拠保全を両立させる第8 提供事業者への質問と契約の見直し1 提供事業者へ確認する事項2 契約と平時の台帳へ戻す第9 税理士事務所の確認チェックリスト第10 関連記事第11 出典
第1 税理士事務所に固有の初動課題
1 一つの通知を顧問先ごとの影響へ分解する

税理士事務所がクラウド会計,給与計算,証憑保管又は電子申告に関する漏えい通知を受けた場合,提供事業者の全体発表を読むだけでは足りない。
事務所自身の契約,職員アカウント,各顧問先から付与された権限,保存された申告・給与・マイナンバー関係資料及び申告期限への影響を分けて確認する必要がある。

本記事は,令和8年10月16日時点の公表資料に基づき,税理士事務所が提供事業者から不正アクセス,設定不備その他の漏えい等の通知を受けた場合の確認順序を整理するものである。
個別サービスの安全性又は個別事案の違法性を判定するものではなく,事実,提供事業者の説明,実務上の推認及び未確認事項を分けて扱う。

2 直ちに行うこと,当日中に行うこと

直ちに行うことは,公式サイト又は契約書記載の窓口から通知の真偽を確認し,不審な通信・セッション・アカウントを止め,消去又は上書きされる前に関係ログと通知原本を保全することである。
メール本文のリンクだけを起点にせず,普段のブックマーク又は手入力した公式URLから案内を確認する。

当日中に,①影響を受けたサービスと期間,②事務所・職員・顧問先のアカウント,③保存又は連携していたデータ,④次の申告・納付・給与処理期限,⑤行政報告・本人通知・顧客通知の担当を一覧にする。
原因調査の完了を待ってから期限管理を始めるのではなく,封じ込め,証拠保全,影響確認及び代替業務を並行する。

第2 契約主体,利用者及びデータを固定する
1 提供事業者,事務所及び顧問先の三者を分ける

同じクラウド画面を利用していても,契約者,個人データの取扱主体,管理者,通常利用者及び費用負担者が同じとは限らない。
顧問先が契約したアカウントに事務所が招待されている場合と,事務所が契約した環境へ顧問先データを取り込んでいる場合とでは,権限停止,ログ取得,通知及び契約上の連絡先が異なる。

委託先で事故が起きたことは,委託元の確認・報告・本人通知が当然に不要になることを意味しない。
契約名義と実際のデータフローを照合し,誰が個人情報取扱事業者又は個人番号関係事務実施者となるかを事案ごとに確認する。

2 顧問先別の影響表を作る

対象件数の総数だけでは,個別顧問先の影響を判断できない。
次の表のように,顧問先ごとにアカウント,データ,期間,期限及び連絡担当を対応させる。

項目確認する内容証拠・担当契約・権限契約者,管理者,職員の役割,顧問先からの招待又は委任,停止すべき権限契約書,管理画面,権限台帳データ仕訳,証憑,給与,従業員情報,口座情報,申告データ,マイナンバー関係資料,API連携先データ台帳,連携一覧時間不正アクセス又は設定不備の期間,最終正常時点,ログの保存期限提供者通知,ログ,時刻表業務直近の申告・納付・給与・年末調整等の期限,代替手段,送信結果の確認期限表,受信通知,受付結果連絡提供事業者,顧問先,従業員等の本人,保険会社,専門家及び行政への担当連絡網,受付番号,対応記録

一つの顧問先についても,登録情報,保存ファイル,取引データ及び認証情報のどれが対象かを分ける。
「流出可能性のある全項目」と「その本人又は顧問先について対象となった項目」を同一視しない。

第3 認証情報,API及び証拠を点検する
1 パスワードだけで終わらせない

対象サービスのパスワードを公式手順で変更し,同一又は類似のパスワードを使っている他のサービスも変更する。
その上で,多要素認証,登録メール・電話,復旧先,継続中のセッション,連携アプリ,APIトークン,管理者権限及び退職者アカウントを確認する。

認証は利用者が誰かを確かめる仕組みであり,認可はその利用者がどの顧問先・データへアクセスできるかを決める仕組みである。
API事故では,ログインの有無だけでなく,要求ごとの認可,返却項目の最小化,利用量の異常検知及びトークンの失効を確認する。

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重加算税の隠蔽・仮装とは―本税との違い,申告前後の証拠,会社・税理士・弁護士の確認手順(AI作成)

目次

第1 本税の誤りだけで重加算税は決まらない第2 税額の誤りと隠蔽・仮装を分ける1 過少申告型の基本的な要件2 科目名や年度誤りだけで断定しない第3 申告前後の時系列で証拠を読む1 申告後の説明から何を推認するのか2 質問応答記録と元資料を対応させる第4 修繕費の繰上計上と仮装を分けた裁決1 工事の完了と請求書の作成経緯が争われた例2 代表者の認識と税理士作成書類の評価第5 対象税額を項目ごとに計算する第6 会社・税理士・弁護士の確認手順1 資料と説明を先に分けて保全する2 修正申告と重加算税への対応を別々に決める第7 出典
第1 本税の誤りだけで重加算税は決まらない

法人税の税務調査で経費の計上時期や資産の評価を否認されても,そのことだけで重加算税が決まるわけではない。
本税の計算,過少申告加算税,重加算税は,それぞれの要件と対象額を分けて検討する必要がある。
本稿は,令和8年10月16日に確認した法令・公表資料を基に,申告済みの法人税について国税通則法68条1項の重加算税が問題になる場面を中心に整理する。
過年度の事件では,当該申告・処分に適用される改正前後の条文と経過措置を確認する。

重加算税の検討では,①誰が何を隠し又は装ったのか,②いつ行ったのか,③その行為と申告内容がどう結び付くのか,④どの税額が対象になるのかを,証拠と対応させる。
以下の整理表や確認手順は,法定の提出様式ではなく,会社,税理士及び弁護士が事実と争点を共有するための実務上の提案である。

第2 税額の誤りと隠蔽・仮装を分ける
1 過少申告型の基本的な要件

国税通則法68条1項は,課税の基礎となる事実の全部又は一部を隠蔽・仮装し,その隠蔽・仮装したところに基づいて申告書等を提出した場合を定めている。
同項の基本割合は対象となる基礎税額の35%であり,通常の過少申告加算税に代えて課される。
本税そのものの35%が常に追加されるという意味ではなく,対象税額の切分けと,同条4項による加重の適用も別途確認する。

修正申告書を提出したという一事だけでも結論は決まらない。
同条1項には,更正があるべきことを予知してされたものでない修正申告を除く旨の規定がある。
調査通知と更正予知の区別,通常の過少申告加算税への影響は,修正申告と加算税―行政指導,調査通知及び更正予知の前後で何が変わるか(AI作成)で整理している。

2 科目名や年度誤りだけで断定しない

国税庁の法人税の重加算税に関する事務運営指針は,二重帳簿,帳簿書類の隠匿・改ざん,相手方と通謀した虚偽書類などを例示している。
他方,同指針第1の3は,翌期の収益計上や支出が確認できる計上時期の誤り,寄附金等を単に他の費用科目へ記載した場合などについて,一定の条件の下で帳簿書類の隠匿・虚偽記載等に該当しないとする。
この取扱いには,相手方との通謀や証ひょうの破棄・隠匿・改ざん等によるものではないという条件が付いている。

したがって,「科目を間違えただけだから問題がない」とも,「経費を否認されたから仮装である」とも即断しない。
請求書,発注内容,検収,実際の役務提供,支払及び仕訳作成の経緯を比較し,税額の修正理由と事実の隠蔽・仮装の根拠を別々に説明する。
同指針は行政の取扱基準であり,条文に代わるものではない。

第3 申告前後の時系列で証拠を読む
1 申告後の説明から何を推認するのか

調査時に事実と異なる回答をしたというだけで,過去の申告時点に隠蔽・仮装があったと当然に扱うことはできない。
一方,申告後の回答や書類作成の経緯が,申告前からの認識や工作を裏付ける証拠になる場合はある。
申告後の行動を証拠から一律に除外するのではなく,どの過去の事実を,どの資料と併せて推認するのかを示す必要がある。

時系列は,取引時,決算時,税理士への資料交付時,申告時,調査開始後に分けると整理しやすい。
各出来事に,行為者,作成日,実際の対象日,資料の所在,当時知っていた事実及び申告への反映を記録する。

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個人事業主の学費・資格取得費は必要経費になるか―研修費,家事関連費,開業費と証拠の残し方(AI作成)

目次

第1 学費という名称だけで経費にしない第2 必要経費と家事費・家事関連費の順に確認する1 売上げと個別に対応しない費用も検討対象になる2 私的な性格がある場合は必要部分を特定する第3 資格取得の学費を否認した大阪高裁判決1 接骨院の経営者が自ら資格を取得した事案2 「開業費にする」という名称変更だけでは解決しない第4 業務との関係と区分の根拠を残す1 受講の前後で保存する資料2 税理士へ渡す情報を支払額だけにしない第5 従業員の研修費と給与所得者の制度を混同しない第6 関連記事と出典
第1 学費という名称だけで経費にしない

個人事業主本人が学校や講座へ支払う学費は,事業に役立つという理由だけで全額を必要経費にできるものではない。
現在の業務に必要な知識を更新する研修,本人が新たな職業資格を取得する教育,趣味や教養のための学習を,支出当時の目的と具体的な履修内容から区別する必要がある。
本記事は,令和8年10月16日に確認した所得税法,国税庁資料及び大阪高裁令和2年5月22日判決に基づき,個人事業主とその申告を担当する税理士の確認手順を整理する。

必要経費の可否と,必要経費に算入する年分は別の問題である。
支払済みの授業料でも私的な支出は控除できず,業務上の費用であっても前払いや債務の確定など,計上時期の確認が残る。
領収書は支払の資料であり,業務との関係や私的部分の区分まで当然に証明するものではない。

第2 必要経費と家事費・家事関連費の順に確認する
1 売上げと個別に対応しない費用も検討対象になる

所得税法37条1項は,売上原価等のほか,「販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用」を必要経費の対象としている。
学費や研修費について,特定の売上げとの直接対応を一律に要求するのは適切ではない。
担当業務,講座の内容,受講時の課題及び受講後の利用状況から,業務との関連性と業務遂行上の必要性を具体的に説明する。

当年の売上げが増えなかったことだけで,一般的な業務費用を否定することもできない。
反対に,後から売上げが増えたことだけで,もともと趣味や私的な能力形成のために支出した費用が当然に業務費用へ変わるわけでもない。
目的の説明と売上げの結果を分けて記録する必要がある。

2 私的な性格がある場合は必要部分を特定する

所得税法45条1項1号は家事上の経費等を必要経費から除き,所得税法施行令96条が家事関連費の範囲を定める。
同条1号は主たる部分の業務上の必要性と必要部分の明確な区分を,2号は青色申告承認を受けた者について取引記録等による業務遂行上直接必要な部分の明確化を定めている。
青色申告であることだけで学費全額が経費になるものではない。

所得税基本通達45-2は,主たる部分の判定を50%超としつつ,必要部分が50%以下でも,その部分を明らかに区分できれば当該金額の算入を認める取扱いを示している。
したがって,白色申告で業務割合が半分以下なら一切控除できない,という説明も適切ではない。
私的な学習を含む支出について,実際の業務に必要な部分と金額を特定することが中心となる。

第3 資格取得の学費を否認した大阪高裁判決
1 接骨院の経営者が自ら資格を取得した事案

大阪高裁令和2年5月22日判決は,接骨院を経営していた者が柔道整復師の資格取得のために支出した学校への支払額を扱う。
判決は,経営者本人が免許を取得することは接骨院経営に必須ではなかったことや,取得資格によって他の事業者に雇用されるなど,期間の限定なく利用できる地位を得ることを検討した。
その上で,当該接骨院の業務に必要な部分と金額について具体的な主張立証がなく,全額の算入も,算入できる一部の特定も認められないとした(PDF実頁5~7)。

この判決を,資格取得費は常に全額控除できないという一般則へ広げることはできない。
また,既に資格を持つ弁護士の業務上の活動費と,本人が新たな職業資格を取得する費用とを同じ事案として扱わない。

(続きを読む...)個人事業主の学費・資格取得費は必要経費になるか―研修費,家事関連費,開業費と証拠の残し方(AI作成)

大使館・外交官向け取引の消費税―免税指定店舗,免税カード,購入表と保存義務(AI作成)

目次

第1 大使館への販売でも自動的に免税にはならない第2 売手の指定と買手の免税範囲を先に確認する1 指定を受けていない売手はカードを見せられても免税にできない2 大使館名や外交官という肩書だけで対象を判断しない第3 通常の物品・サービスの取引で受け取るもの1 紙の方式ではカード・身分証明票・購入表を確認する2 自動車・揮発油・公共料金は専用の手続を確認する第4 デジタル方式でも指定と本人確認は必要である第5 7年間の保存は取引日から数えるとは限らない第6 弁護士・税理士が取引前に確認する事項第7 出典・関連記事
第1 大使館への販売でも自動的に免税にはならない

日本の事業者が駐日大使館や外交官に物品を販売し,サービスを提供する場合,相手方の身分だけで消費税を請求しなくてよいと判断することはできない。
外国公館等に対する取引の免税には,対象者・取引内容・売手の指定・購入手続・証拠保存を確認する必要がある。
本記事は,令和8年10月16日に確認した法令及び国税庁・外務省の資料に基づき,国内の売手が取引前から保存までに確認する事項を整理する。

外交関係に関するウィーン条約34条は外交官の租税免除を定める一方,通常,物品又は役務の価格に含まれる種類の間接税を例外に挙げている。
日本における外国公館等向け取引の消費税免除は,租税特別措置法86条,同法施行令45条の4,同法施行規則36条の2に基づく制度として確認する。
公館の不可侵から消費税の結論を導いたり,国内の大使館への納品だけを理由に輸出免税として扱ったりしないことが必要である。

公館の不可侵,裁判権免除及び税の免除の位置付けは,外交関係に関するウィーン条約の解説(AI作成)を参照されたい。
本記事が扱うのは外国公館等向け取引の免税であり,外国人旅行者向け免税販売や,売手自身の納税義務が免除される免税事業者の制度とは区別する。

第2 売手の指定と買手の免税範囲を先に確認する
1 指定を受けていない売手はカードを見せられても免税にできない

外国公館等に対してこの制度による免税取引を行えるのは,国税庁長官の指定を受けた事業者である。
国税庁の個別通達3は,指定店舗以外の事業者が証明書の提示又は提出を受けても,免税で取引できないことを明記する。
買手の免税カードと,売手の免税指定は別の確認事項である。

指定を希望する場合は,指定を受ける店舗別に申請書を作成し,外務省を通じて申請する。
国税庁の申請案内は,最寄りの税務署への提出も認め,指定には審査期間を要するため余裕をもって申請するよう案内している。
請求日になってから初めて指定の有無を確認する運用は避け,見積り・契約の段階で指定通知と対象店舗を確認しておくべきである。

消費税法9条1項により納税義務が免除される事業者は,この指定を受けることができないと個別通達4の注で示されている。
「免税事業者」と「外国公館等向けの免税指定店舗」は,同じ意味ではない。

2 大使館名や外交官という肩書だけで対象を判断しない

制度の対象となる機関・人,購入する物品・サービスの範囲及び1回の取引の最低金額等は,相互条件や免税カードの種類によって異なる。
外務省発行の証明書,対象となる買手,カードに記載された条件及び有効性を具体的に確認する。
「すべての国の外交官について,全品目が同じ金額から免税になる」という一律の基準を置かない。

国税庁の個別通達1・2は対象となる機関・人の範囲を示し,名誉領事館・名誉領事官等を対象から除いている。
大使館の名称を請求書に記載したことや,外交官の知人が代金を支払ったことだけで,制度の対象者・対象取引であると判断してはならない。

第3 通常の物品・サービスの取引で受け取るもの
1 紙の方式ではカード・身分証明票・購入表を確認する

揮発油,自動車及び電気・ガス・水道・電気通信役務の特別な手続に当たらない通常の取引について,外務省は,免税カードと身分証明票(IDカード)の提示,外国公館等用免税購入表の提出,消費税を除いた価格での取引,購入表の保存という流れを案内している。
購入表は買手が持参するほか,指定店舗側で様式を準備することもできる。

(続きを読む...)大使館・外交官向け取引の消費税―免税指定店舗,免税カード,購入表と保存義務(AI作成)

販売奨励金・リベートと消費税―売上割戻し,役務対価及び返還インボイスの区別(AI作成)

目次

第1 結論と本記事の対象第2 売上割戻しと別の役務の対価を分ける1 販売数量・販売高に応じた販売奨励金2 数量連動でも役務の対価となる場合第3 複数の商品と税率が混在する場合1 増販率を測る商品と支払額の計算基礎を分ける2 返還等の税率は元取引と対応させる第4 売手・買手の調整時期と課税方式1 当初の販売時期と返還等の時期を区別する2 免税・簡易課税等は同じ計算と決めつけない第5 販売店作成の精算書と返還インボイス1 誰の登録番号を記載するか2 相手方作成の書類で共有できる場合3 税込1万円未満の免除と帳簿保存を分ける第6 契約審査・紛争対応で残す資料第7 関連記事第8 出典と確認範囲
第1 結論と本記事の対象

販売奨励金・リベートの消費税は,勘定名だけでは決まらない。
商品の販売数量・販売高等に応じた売上割戻しなのか,広告,展示,販路拡大等の別の役務の対価なのかを,契約と実際の給付から判定する。
数量に連動する計算式でも,別の役務の対価となる場合がある。

本記事は,令和8年10月16日に確認した法令・国税庁資料に基づき,国内の課税取引に関係する金銭の販売奨励金を扱う。
一般課税での調整を中心とし,課税・免税の変動,簡易課税等の適用がある場合は計算方式を別に確認する。
将来の税率変更に関する制度全体や,所得税・法人税の収益計上時期を一括して説明するものではない。

第2 売上割戻しと別の役務の対価を分ける
1 販売数量・販売高に応じた販売奨励金

消費税法基本通達14-1-2は,販売促進の目的で,対象となる課税資産の販売数量・販売高等に応じ,取引先へ金銭で支払う販売奨励金等を,売上げに係る対価の返還等として扱う。
国税庁No.6359もこの取扱いを示している。
対象商品,対象期間,数量・金額,支給率及び返品・値引きの反映方法を,契約書と精算書で対応させることが必要である。

通達の取引先には,直接の売上先である卸売業者等だけでなく,その販売先である小売業者等の取引関係者も含まれる。
メーカーから小売店への直接支払であるという理由だけで,返還等への該当性を否定しない。
卸売業者を含む商品の流れ,金銭の流れ及び対象売上げを確認する。

2 数量連動でも役務の対価となる場合

販売店がメーカーに広告,展示,販売支援等の別の役務を提供し,その反対給付を受ける場合は,その役務の対価として判定する。
国税庁No.6113は,資産の譲渡・貸付け又は役務提供の反対給付を受けることが対価性の基本であると説明している。
単に販売促進という目的が共通することを理由に,全額を売上割戻しへ分類しない。

国税庁の軽減税率制度の手引きは,自動販売機の設置等に係る販売手数料と,物流センターの使用等に係るセンターフィーを挙げている。
これらは販売数量等に応じて計算されても,役務の対価であり,飲食料品の売上げ・仕入れに係る対価の返還等には当たらない。
契約上どの作業・施設利用に対して支払うのかと,その履行記録を確認する。

確認する実態消費税上の整理優先して集める資料対象商品の販売数量・販売高等に応じた金銭の割戻し売手の対価返還・買手の仕入対価返還を検討商品別の取引明細,支給規程,対象期間と精算書広告・展示・施設利用等の別の役務への支払役務の対価として課税関係を検討委託内容,成果・実施記録,請求書と費用負担一つの支払に割戻しと役務対価が含まれるそれぞれの実質と算定根拠を分けて検討内訳合意,金額の根拠,商品・役務別の照合表
第3 複数の商品と税率が混在する場合
1 増販率を測る商品と支払額の計算基礎を分ける

例えば,甲商品の増販率で支給率を決め,その率をメーカーの全取扱商品の仕入額に掛ける制度を考える。
この場合,甲商品の増販を条件にしたという事情だけで,支払額の全てを甲商品の値引きと決めることはできない。
支給対象商品の範囲と,率を決める指標を分け,元取引との対応を示す必要がある。

この整理は,独占禁止法上の誘因の強さと,消費税上の対価返還の対象をそれぞれ確かめるための実務上の検討手順である。

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民事再生計画の取消しと手続廃止―不正な決議・不払い・遂行不能を弁護士と税理士が見分ける(AI作成)

目次

第1 認可後の問題は,まず手続の段階から確認する1 認可決定の確定と手続終結を分ける2 認可前の不認可とも区別する第2 不正な決議を理由とする再生計画の取消し1 不正と計画成立への影響を調べる2 申立ての制限と裁判所の裁量第3 不払い,計画変更,遂行不能を区別する1 履行懈怠による取消申立てには申立人の要件がある2 変更による継続を検討できる場面3 遂行の見込みがないことが明らかなら必要的廃止第4 廃止,取消し,破産開始の効果を分ける1 廃止だけで変更前の債権へ戻るわけではない2 職権破産は先行する破産手続の有無でも異なる第5 弁護士から税理士へ渡す資料と貸倒れの検討1 切捨額,残存額,その後の権利変動を別にする2 役務請求権や前払金を売掛金に置き換えない第6 関連記事と出典1 関連記事2 一次資料と確認範囲
第1 認可後の問題は,まず手続の段階から確認する

取引先の再生計画に問題が生じたときは,認可決定の確定,手続の終結,支払の遅れ,計画を遂行できる見込みを順に確認する。
不正な決議を理由とする計画取消し,一部の不払いを理由とする取消し,遂行不能が明らかになった場合の手続廃止には,それぞれ申立人・要件・効果がある。
「予定どおり入金がない」という事実だけで,取消し,破産開始又は税務上の全額貸倒れが決まるわけではない。

本記事は,法人の通常の民事再生を中心に,令和8年10月16日に確認した現行法で整理する。
小規模個人再生・給与所得者等再生の特則,個別事件の申立期限の計算及び税額の計算は,事件資料に即した追加確認を要する。

1 認可決定の確定と手続終結を分ける

民事再生法188条は,監督委員・管財人の選任の有無等に応じて手続の終結を定める。
監督委員がいる場合は,計画の遂行又は認可決定確定後3年の経過が終結の基準となる。
管財人がいる場合には別の基準があるので,「認可された」「3年たった」という情報だけで現在の手続状態を決めず,終結決定と公告を確認する。

2 認可前の不認可とも区別する

認可審査の段階では,計画の遂行見込みがないことや,決議が不正な方法で成立したことが,同法174条2項2号・3号の不認可事由となる。
認可決定が確定した後は,同法189条の計画取消し,手続が続いている場合の同法194条の廃止等を検討する。
申立書を作る前に,何を取り消し,又はどの手続を終わらせるのかを特定する必要がある。

第2 不正な決議を理由とする再生計画の取消し
1 不正と計画成立への影響を調べる

同法189条1項1号は,「再生計画が不正の方法により成立したこと」を取消事由とし,再生債権者の申立てによる取消しを定める。
条文の「により」という関係を確かめるため,不正と疑われる行為だけでなく,その行為が計画成立に与えた影響も整理する。
これは条文に沿った検討の順序であり,ある不正行為を発見すれば必ず計画を取り消せるという意味ではない。

例えば,架空債権の届出や賛否の操作が疑われる場合は,債権の実在性,届出書,認否書,議決権の認否,投票記録及び関与者の連絡を保全する。
頭数と議決権額の要件は異なるため,疑わしい票を除いた集計と,真実を知らされなかった債権者の意思形成への影響を分けて検討する。
後者についても,後日の発言だけを結論にせず,当時の説明・投票経緯と照合する。

2 申立ての制限と裁判所の裁量

同条2項は,不正を知った時から1月,認可決定が確定した時から2年という制限を置く。
認可決定への即時抗告でその事由を主張した場合や,知りながら主張しなかった場合にも申立ての制限がある。
事由を知った日,認可確定日,即時抗告の経過をそれぞれ確認する。

同条1項は,裁判所が取消決定を「することができる」と定める。
取消事由の有無を検討した後に,取消しをするかという判断が残る。
申立てを検討する際は,行為の重大性や決議の公正に加え,既にされた履行,今後の資金繰り,取消しによる債権者への影響を具体的資料で示すことが考えられる。

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防衛特別法人税の会計処理・税効果会計と実効税率―基礎控除500万円との関係(AI作成)

目次

第1 申告税額と会計上の税率を分けて考える第2 当期の防衛特別法人税はどう会計処理するか1 地方法人税と同様の取扱いが基本となる2 納付額だけから当期の費用を決めない第3 税効果会計では何を確認するか1 税効果会計の対象となる税金に含まれる2 対象事業年度と一時差異の解消時期を対応させる第4 実効税率が一律4ポイント上がるわけではない1 法人税額に対する4%と所得に対する割合は異なる2 ASBJの法定実効税率の算式と算定例第5 基礎控除500万円を実効税率の式から引くのか1 実際の申告税額には基礎控除を適用する2 ASBJの標準的な算式は基礎控除を考慮していない第6 実務対応報告第48号と令和8年改正基準の適用関係第7 決算担当者が揃える資料第8 よくある質問1 防衛特別法人税の勘定科目は何か2 法定実効税率はすべての会社で31.52%になるか3 防衛特別法人税が0円なら税効果会計も不要か第9 出典・関連記事
第1 申告税額と会計上の税率を分けて考える

防衛特別法人税の導入では,申告して納める税額の計算と,決算での費用計上・税効果会計を分けて確認する必要がある。
税率4%は会社の所得に直接掛ける割合ではなく,法人税率や法定実効税率へ一律に4ポイントを加えるものでもない。
本記事は,令和8年10月15日に確認したASBJの公表済み会計基準・実務対応報告・補足文書と国税庁資料に基づき,日本基準を適用する会社の基本的な確認点を説明する。

当期の防衛特別法人税額が0円であることだけで,税効果会計への影響も必ずないとはいえない。
実際の申告税額,繰延税金資産・負債の計算に用いる税率,決算書の税負担率は,目的と計算の前提が異なるためである。
対象法人と申告税額の基本は,防衛特別法人税の総合記事を参照されたい。

第2 当期の防衛特別法人税はどう会計処理するか
1 地方法人税と同様の取扱いが基本となる

ASBJの実務対応報告第48号は,防衛特別法人税の会計処理について,地方法人税と同様に法人税等会計基準に従うと定めている。
表示も地方法人税と同様に取り扱う。
一般的な当期の損益に対応する税金を計上する場面では,売上や仕入れと同じ経費処理として考えず,法人税等として整理する。

例えば,通算法人以外で,12か月の事業年度の基準法人税額が1,000万円,留保金課税や税額控除等がない場合,防衛特別法人税額は20万円となる。
この20万円を当期の税金費用として認識し,決算日時点で未納である単純な例では,次の仕訳となる。

時点借方貸方決算で計上法人税等20万円未払法人税等20万円後日納付未払法人税等20万円普通預金20万円

この仕訳は,通算税効果額,還付,中間納付,純資産・その他の包括利益に対応する税金等がない例である。
科目名や補助科目は会社の会計方針に従って設定し,他の税目との内訳が追跡できるようにする。

2 納付額だけから当期の費用を決めない

中間納付や税額控除等がある場合,当期の税金費用と決算後の追加納付額は一致しないことがある。
納付書や銀行口座の支出額だけを決算仕訳へ転記するのではなく,当期税額,既納付額,未払額又は還付額を照合する必要がある。
税務申告における損金算入の可否と,会計上の費用計上も別の問題である。

第3 税効果会計では何を確認するか
1 税効果会計の対象となる税金に含まれる

実務対応報告第48号は,繰延税金資産・負債の計算に用いる防衛特別法人税の税率について,地方法人税と同様に税効果会計の適用指針に従うと定めている。
また,法定実効税率の算定では防衛特別法人税率を考慮する。

税効果会計では,将来の税金に影響する一時差異について,その解消時期と適用税率等を確認する。
今期にいくら納めるかという当期税額の計算を,そのまま繰延税金資産・負債の計算へ置き換えることはできない。
繰延税金資産の回収可能性は,税率を選ぶこととは別に検討する必要がある。

2 対象事業年度と一時差異の解消時期を対応させる

(続きを読む...)防衛特別法人税の会計処理・税効果会計と実効税率―基礎控除500万円との関係(AI作成)

防衛特別法人税の申告書・納付方法―別表一次葉一,税額0円とe-Taxの注意点(AI作成)

目次

第1 防衛特別法人税の申告と納付は別に確認する第2 申告前に対象事業年度と期限を確かめる1 申告する日ではなく事業年度の開始日で判定する2 確定申告の期限と納付の予定を分けて管理する第3 別表一次葉一のどこを確認するか1 別表一の一枚目だけで提出を終えない2 所得・基準法人税額・課税標準法人税額を区別する3 税額0円でも空欄のまま省略しない第4 e-Taxで申告するときの確認順序1 申告データと受信通知を確認する2 申告の受信通知は納付完了の証明とは限らない第5 令和9年5月までの暫定的な納付方法1 受信通知から納付情報登録依頼を作成する2 納付書で納める場合の記載3 グループ通算法人の一括ダイレクト納付第6 中間申告は確定申告の開始年度と分ける第7 提出後に残す記録と誤りが分かった場合第8 よくある質問1 防衛特別法人税が0円でも申告書は必要か2 防衛特別法人税の納付書の税目番号は何か3 e-Taxで申告したら自動的に納付も済むのか第9 出典・関連記事
第1 防衛特別法人税の申告と納付は別に確認する

防衛特別法人税は,対象となる法人では税額が0円でも確定申告が必要である。
申告書を送信したことと,納付すべき税額を納めたことは別であり,申告内容,受信通知,納付結果を分けて確認する必要がある。
本記事は,令和8年10月15日に確認した国税庁の申告書様式・記載要領とe-Taxの案内に基づき,国内の普通法人を中心に,申告書の確認箇所と納付の手順を整理する。

令和9年5月までの納付には暫定的な取扱いが案内されている。
申告書の適用事業年度と,納付手続を行う時点のシステム対応を確認し,過去の画面や他の税目の操作をそのまま当てはめない。
対象法人,計算方法及び事業年度の判定は,防衛特別法人税とは―対象法人・計算方法・申告時期と税額0円の場合の注意点(AI作成)を参照されたい。

第2 申告前に対象事業年度と期限を確かめる
1 申告する日ではなく事業年度の開始日で判定する

原則として,令和8年4月1日以後に開始する事業年度が対象となる。
例えば,令和8年1月1日から同年12月31日までの事業年度は,終了日が同年4月以後でも,この税の対象事業年度ではない。
通算子法人は通算親法人の事業年度との関係も確認する。

国税庁の別表一覧には「令和8年4月1日以後終了事業年度等分」と表示されているが,様式の適用関係の表示だけで防衛特別法人税の課税対象を判断してはいけない。
国税庁の令和8年6月改訂リーフレットは,同年3月31日以前に開始した事業年度について,防衛特別法人税の別葉及び他の別表の防衛特別法人税欄を記載しないよう説明している。

2 確定申告の期限と納付の予定を分けて管理する

確定申告書の提出期限は,原則として課税事業年度終了の日の翌日から2か月以内である。
法人税の確定申告期限が延長されている場合,防衛特別法人税の確定申告期限もその延長された期限となる。
納付資金の準備や延長期間の利子税の扱いは,申告期限の確認とは分けて税理士等と確認する。

令和8年4月1日から令和9年3月31日までの事業年度で,期限延長等がない場合,通常の申告・納付期限は令和9年5月31日となる。
設立,決算期変更,清算等がある会社では,通常の12か月の事業年度と同じ前提で処理しない。

第3 別表一次葉一のどこを確認するか
1 別表一の一枚目だけで提出を終えない

防衛特別法人税の申告書は,法人税・地方法人税の申告書と一体の様式である。
内国法人の別表一では,防衛特別法人税額の計算が別表一次葉一に設けられている。
別表一の一枚目を作成したことだけで,防衛特別法人税の申告が完成したとは判断できない。

国税庁の青色申告用の別表一は3枚構成で,2枚目が別表一次葉一である。
申告ソフトを使用する場合も,対象事業年度に対応する様式が選ばれ,必要な別葉が作成・送信対象に含まれているかを確認する。
外国法人には別表一の二次葉一があるため,国内の普通法人の様式をそのまま用いない。

2 所得・基準法人税額・課税標準法人税額を区別する

(続きを読む...)防衛特別法人税の申告書・納付方法―別表一次葉一,税額0円とe-Taxの注意点(AI作成)

消費税の不課税・非課税・免税の違い―一覧表・具体例・免税事業者との区別(AI作成)

目次

第1 結論―四つの区分を一覧で見る第2 不課税・非課税・免税を判定する順序1 最初に課税対象となる取引かを確認する2 課税対象なら法定の非課税取引かを確認する3 非課税でなければ輸出免税の要件を確認する4 取引の区分と事業者の納税義務を分けて確認する第3 不課税取引の具体例と注意点1 対価を得て行う取引に当たらない例2 損害賠償金・解決金は実質で判定する第4 非課税取引の具体例と理由1 消費の負担を求めることになじまない取引2 社会政策的配慮による取引第5 輸出免税と免税事業者の違い1 輸出免税は取引についての免税である2 免税事業者は事業者についての免税である第6 誤分類すると何が変わるか1 請求額と申告上の集計が変わる2 課税売上割合と仕入税額控除が変わる第7 よくある質問1 非課税と不課税は同じですか2 非課税と不課税を間違えるとどうなりますか3 消費税が非課税かどうかはどう判定しますか4 非課税仕入れと非課税売上げの違いは何ですか5 不課税の勘定科目は何ですか第8 判定のために確認する資料第9 出典・参考資料
第1 結論―四つの区分を一覧で見る

消費税の「不課税」は消費税の課税対象となる要件を満たさない取引をいい,「非課税」は課税対象となる取引のうち消費税法が課税しないものとして列挙した取引をいう。
「輸出免税」は課税対象となる輸出取引等について消費税を免除する制度であり,「免税事業者」は取引の種類ではなく事業者の納税義務に関する区分である。
したがって,不課税,非課税,輸出免税及び免税事業者は,同じ「消費税を請求しない場面」に見えても,判定対象と仕入税額控除への影響が異なる。
以下は,令和8年10月15日現在の法令・国税庁資料に基づく整理である。

区分何を判断する区分か主な例仕入税額控除等への影響不課税(課税対象外)国内取引,事業性,対価性又は資産の譲渡等という課税要件を満たすか国外取引,寄附金,単なる贈与,配当金,純粋な損害賠償金課税売上割合の分母・分子に原則として算入しない非課税課税対象の取引であるが,消費税法6条・別表第2により課税しないか土地の譲渡・貸付け,有価証券,商品券,利子,社会保険医療,住宅の貸付け非課税売上げは課税売上割合の分母に算入し,対応する仕入れは原則として仕入税額控除の対象外輸出免税課税対象の輸出取引等について消費税法7条の免税要件と証明を満たすか商品の輸出,国際輸送,非居住者に対する一定の役務提供免税売上げは課税売上割合の分母・分子に算入し,対応する課税仕入れは原則として仕入税額控除の対象免税事業者事業者に納税義務があるか基準期間の課税売上高等により納税義務が免除される事業者その事業者の通常の課税取引が非課税取引に変わるわけではない
第2 不課税・非課税・免税を判定する順序
1 最初に課税対象となる取引かを確認する

国内で事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡,資産の貸付け又は役務の提供に当たるかを最初に確認する。
この段階で国外取引,寄附金,単なる贈与,配当金その他の対価性を欠く取引であれば,不課税,すなわち課税対象外となる。
契約書に「解決金」,「協力金」又は「負担金」と書かれていても,名称だけで決めず,何の対価として支払われるかを確認する必要がある。

2 課税対象なら法定の非課税取引かを確認する

課税対象となる取引であっても,消費の負担を求めることになじまない取引又は社会政策的配慮を要する取引として,消費税法6条・別表第2が定める取引には消費税を課さない。
非課税取引は法律上の列挙によって決まるため,当事者が契約書で「非課税」と表示するだけでは非課税にならない。

3 非課税でなければ輸出免税の要件を確認する

輸出取引等は,課税対象となる取引であることを前提に消費税が免除される。
輸出免税の適用には,輸出許可書その他の帳簿・書類によって輸出取引等であることを証明する必要がある。

4 取引の区分と事業者の納税義務を分けて確認する

取引が課税,不課税,非課税又は輸出免税のいずれに当たるかを判定した後に,売主・受任者等が課税事業者か免税事業者かを別に確認する。
免税事業者が行う通常の課税取引は,取引の性質としては課税取引のままであり,土地の譲渡や社会保険医療のような非課税取引に変わるものではない。

第3 不課税取引の具体例と注意点
1 対価を得て行う取引に当たらない例

寄附金,祝い金,見舞金,補助金,単なる贈与及び株主・出資者の地位に基づく配当金は,通常,資産の譲渡等の対価ではないため不課税となる。
給与・賃金は雇用契約に基づく労務の提供であり,事業として行う役務の提供ではないため不課税となる。
保険事故の発生によって受け取る保険金,資産の滅失・盗難による損失及び心身・資産への損害を補う純粋な損害賠償金も,通常は対価性を欠く。

2 損害賠償金・解決金は実質で判定する

損害賠償金という名称でも,損害を受けた資産を加害者へ引き渡す場合の代金,特許権等の使用料に相当する金銭又は事務所の明渡し遅延に伴う賃貸料相当額などは,対価性が認められれば課税対象となる。
建物の補修費を当事者間で負担する場合も,補修工事の発注者,請求書の宛名,所有権の移転,立替払いの有無及び精算の根拠を分けて確認する必要がある。
詳しくは,建物の補修費を解決金で負担するときの消費税―消費税相当額,仕入税額控除と合意書の書き方(AI作成)で説明している。

(続きを読む...)消費税の不課税・非課税・免税の違い―一覧表・具体例・免税事業者との区別(AI作成)

不動産クラウドファンディングの契約・鑑定・情報開示―令和8年改正と相続税評価案(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と基準日1 不動産クラウドファンディングと不動産特定共同事業法2 令和8年改正と相続税通達案を分ける第2 事業類型と契約当事者を確認する1 第1号事業と特例事業2 募集・運用・売却を担う者第3 利害関係人との取引と鑑定評価1 利害関係人と独立した不動産鑑定士2 鑑定評価額の1割は安全圏を示すものではない3 比較資料を示せない場合の鑑定評価第4 契約成立前書面の価格・賃料情報を読む1 比較事例は数字だけでは足りない2 価格査定と鑑定評価を区別する3 契約済み・意向表明・相手方探索を区別する第5 開発・改修案件の資金と許認可1 開発許可等と資金計画2 出資金の使途と期中報告第6 投資判断で確認する収支と出口1 賃料・空室・費用と評価額2 借入れ,優先劣後及び流動性3 売却時の価格と契約状態第7 相続税評価案との関係第8 相談・審査のチェックリスト第9 関連記事と出典
第1 この記事の対象と基準日

【基準日:令和8年10月15日】

本記事は,不動産クラウドファンディングのうち,不動産特定共同事業法に基づく事業について,契約,鑑定評価,情報開示及び相続税評価案の境界を整理するものである。
個別ファンドの安全性又は収益性を保証するものではなく,実際の契約では事業者の許可・登録,契約約款,契約成立前書面,財産管理報告書及び対象不動産の資料を確認する必要がある。

1 不動産クラウドファンディングと不動産特定共同事業法

不動産特定共同事業は,投資家から出資を受けて不動産を売買・賃貸等し,その収益を分配する事業について,許可・登録,業務運営及び投資家保護の仕組みを設ける制度である。
平成29年の法改正で,オンライン契約を行う電子取引業務に対応した環境が整備された。
インターネットで募集される不動産投資商品がすべて同法の同じ類型に属するわけではないため,契約の法的形式と事業者の役割を先に確認すべきである。

2 令和8年改正と相続税通達案を分ける

不動産特定共同事業法施行規則は令和8年内閣府・国土交通省令第4号により改正され,国土交通省の監督指針も令和8年8月21日付で改正された。
監督指針の改正は,投資勧誘,利害関係人との取引,鑑定評価,契約成立前の情報及び財産管理報告等に関する実務を扱う。
これとは別に,国税庁は令和8年9月18日,不動産小口化商品等の相続税・贈与税評価を見直す法令解釈通達案を公表した。
同通達案は令和8年10月18日17時まで意見募集中であり,本記事の基準日現在,確定した通達ではない。
事業法上の投資家保護と,相続税法22条の時価評価は,目的と法的根拠が異なるため,一方の評価を他方へそのまま転用してはならない。

第2 事業類型と契約当事者を確認する
1 第1号事業と特例事業

第1号事業では,不動産特定共同事業者が投資家と契約し,自ら不動産取引を行って収益を分配する。
特例事業では,特例事業者が不動産取引を行い,第3号事業者へ不動産取引業務を,第4号事業者へ契約締結の代理・媒介を委託する仕組みが用いられる。
倒産隔離の有無,対象不動産の所有主体,借入れの主体,投資家が有する権利及び損失負担は,類型と契約内容によって異なる。
名称や広告表示だけで判断せず,契約成立前書面に記載された事業の仕組みと当事者を図にして確認するとよい。

2 募集・運用・売却を担う者

募集サイトの運営者,契約締結の代理・媒介をする者,対象不動産を取得・管理する者,賃貸運営をする者及び売却を決定する者が同じとは限らない。
各事業者の許可・登録の種類,業務委託契約,手数料,利害関係及び責任分担を確認する必要がある。
電子取引業務をシステム会社へ委託しても,委託元の事業者は,委託先の選定,監督,役割分担,監査権限,再委託及び情報管理を自ら管理しなければならない。
投資家側では,ウェブ画面の表示だけでなく,ダウンロードできる契約成立前書面,約款及びリスク説明を保存しておくことが重要である。

支払の遅延や対象不動産の差押えが生じたときは,募集サイトの運営者,営業者,販売代理人,登記上の所有者及び請求の相手方を分けて確認する。
匿名組合型では,商法536条1項により出資が営業者の財産に属するため,出資をしたというだけで対象不動産の共有持分又は担保権を取得するわけではない。
契約原本,変更合意,登記及び通知から,誰に対してどの請求権を持つかを特定する必要がある。

競売による配当の参加資格と,営業者等に対する出資価額の返還請求は別の問題である。

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税理士の取引時確認と疑わしい取引の届出―対象業務・実質的支配者・令和9年4月1日の本人確認方法(AI作成)

目次

第1 結論と制度の位置付け第2 すべての税理士業務が対象ではない1 税理士として行う業務であること2 特定受任行為の代理等であること第3 取引時確認を要する契約と取引1 対象となる取引2 ハイリスク取引第4 確認する事項1 自然人2 法人3 実質的支配者第5 令和9年3月31日までの本人特定事項の確認方法第6 令和9年4月1日からの本人特定事項の確認方法1 対面ではICチップ情報の読取りが中心となる2 非対面は電子的な確認方法へ移行する3 非居住外国人等と法人担当者第7 確認記録と取引記録は別に作り7年間保存する第8 疑わしい取引の届出と守秘義務1 届出が必要となる場合2 税理士法上の守秘義務との関係第9 弁護士の本人確認制度との違い第10 税理士事務所の確認表1 受任時2 確認方法と記録3 疑わしい取引と所内体制第11 出典と確認範囲1 法令及び国税庁資料2 令和9年4月1日の確認方法3 確認範囲
第1 結論と制度の位置付け

税理士又は税理士法人には,犯罪による収益の移転防止に関する法律により,税理士として行う一定の業務について,取引時確認,確認記録及び取引記録の作成・保存並びに疑わしい取引の届出が求められる。
もっとも,税務相談,税務書類の作成又は税務代理を行うすべての場面が一律に対象となるわけではなく,税理士として行う業務であるか,特定受任行為の代理等に当たるか,取引時確認を要する取引かを順に判定する必要がある。

令和6年4月1日からは,税理士等について取引時の確認事項が拡充され,疑わしい取引の届出義務も設けられた。
さらに令和9年4月1日からは,対面で写真付きICチップ搭載本人確認書類を用いる場合のICチップ情報の読取りなど,本人特定事項の確認方法が改められる。

本記事は,令和8年10月15日までに確認できた法令並びに国税庁及び警察庁の公表資料に基づき,税理士事務所が受任時から記録保存及び届出判断までを一つの流れとして整備するための基準を整理するものである。

第2 すべての税理士業務が対象ではない
1 税理士として行う業務であること

最初の判定は,税理士又は税理士法人が行う業務であって,税理士法2条又は48条の5に定める業務若しくはこれらに付随し,又は関連して行う業務かという点である。
税理士の立場と関係なく私的に行う業務や,税理士業務の顧客ではない親族のために行う相続財産の管理などは,この段階で犯罪収益移転防止法の適用対象から外れる。

2 特定受任行為の代理等であること

対象となり得るのは,①宅地又は建物の売買に関する行為又は手続,②会社の設立若しくは合併その他法人の組織,運営又は管理に関する行為又は手続,③現金,預金,有価証券その他の財産の管理又は処分について,顧客のために代理又は代行する業務である。
顧客の代理又は代行をしない税務相談だけの業務や,会計参与,取締役又は監査役など法人の機関として行う業務は,国税庁が示す特定受任行為の代理等の例には含まれない。

租税の納付についての代理又は代行,成年後見人としての業務及び財産価額が200万円以下の財産の管理又は処分など,政省令により除外される業務もある。
したがって,報酬額や顧客の属性だけで対象性を決めず,依頼内容と税理士が実際に行う行為を受任記録に具体的に残す必要がある。

第3 取引時確認を要する契約と取引
1 対象となる取引

特定受任行為の代理等を行う契約を締結するときは,取引時確認の要否を判定する。
対象となるのは,宅地又は建物の売買,会社等の設立又は合併等,200万円を超える財産の管理又は処分,マネー・ローンダリングの疑いがある取引その他顧客管理上特別の注意を要する取引である。

財産の管理又は処分に関する200万円の基準は,すべての税理士業務に共通する本人確認の免除額ではない。
不動産売買又は会社設立等は金額だけで対象外とはならず,マネー・ローンダリングの疑い又は特別の注意を要する事情があれば,通常の金額基準とは別に確認が必要となる。

2 ハイリスク取引

なりすまし又は本人特定事項の偽りが疑われる取引,特定国等に関連する取引その他法令上のハイリスク取引では,通常より厳格な確認が必要となる。
ハイリスク取引で200万円を超える財産の移転を伴う場合は,通常の確認事項に加え,疑わしい取引の届出要否を判断するために必要な限度で資産及び収入の状況を確認する。

なりすまし又は偽りが疑われるときは,当初に用いたものとは異なる本人確認書類又は確認方法で本人特定事項を再確認する。
本人確認書類の提示拒否,偽造の疑い,架空名義又は借名,実体のない法人,不自然な送付先又は経済合理性に乏しい取引は,形式的に一項目だけで結論を出すのではなく,他の保有情報と合わせて評価する。

第4 確認する事項
1 自然人

自然人について確認する基本事項は,氏名,住居及び生年月日から成る本人特定事項,取引を行う目的並びに職業である。

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マンション管理組合の税務―修繕積立金,駐車場・基地局収入,消費税及び申告実務(AI作成)

目次

第1 結論と本記事の対象第2 管理組合の納税主体と税目の見取り図1 法人化の有無と法人税法上の地位2 税目ごとに別の判定を行う第3 修繕積立金の税務1 管理組合が受け取る修繕積立金2 賃貸用区分所有建物の所有者が支払う修繕積立金3 自宅,兼用住宅及び法人所有の区別4 一時金,返還及び用途変更第4 駐車場・基地局等の収益事業1 駐車場の三つの運用類型2 基地局,屋上及び広告用スペース3 その他の入金を仕分ける4 区分経理と共通費の配賦第5 消費税とインボイス1 管理費・修繕積立金と対価性2 駐車場その他の施設利用3 納税義務と適格請求書発行事業者第6 源泉所得税,印紙税及び法人番号1 給与と専門家報酬の源泉徴収2 紙の契約書と印紙税3 法人番号の確認第7 地方税とマンション長寿命化促進税制1 法人住民税・事業税は所在地ごとに確認する2 大規模修繕後の固定資産税減額第8 申告開始時の実務1 収益事業の開始前に契約と会計を整理する2 保存すべき資料3 申告までの確認順序第9 別途検討を要する事項第10 出典1 法令2 国税庁等の公表資料3 裁判例・裁決及び国土交通省資料
第1 結論と本記事の対象

マンション管理組合の税務は,「管理組合が受け取る金銭」と「区分所有者が支払う金銭」を分けて考える必要がある。
通常の管理費及び修繕積立金は,共同管理のために構成員から集める金銭であり,管理組合にとって直ちに法人税の課税対象となる収益事業の収入ではない。
これに対し,外部者への駐車場貸付け,屋上・外壁の基地局又は広告用スペースの貸付け等は,法人税法上の収益事業に当たり得る。

区分所有者側では,自宅マンションの修繕積立金は家事上の支出であり,必要経費にはならない。
賃貸マンションについても,本来は実際の修繕が行われ,積立金が取り崩された年の必要経費となるが,国税庁が示す四つの要件を満たすときは,支払った年分の不動産所得の必要経費に算入できる。

法人税,消費税及び地方税では,同じ取引でも課税関係が異なる。
例えば,組合員だけに貸す駐車場は法人税の収益事業に当たらない場合がある一方,駐車施設の利用という対価関係が明確であれば,消費税の課税取引になり得る。
税目ごとに判定し,収益事業と共通管理の会計を区分することが実務の出発点となる。

本記事は,令和8年10月15日現在の法令及び公表一次資料に基づき,管理組合と区分所有者の双方について,修繕積立金,駐車場・基地局収入,消費税,源泉徴収,印紙税,地方税及びマンション長寿命化促進税制を整理する。
個別の結論は,管理規約,使用細則,契約書,相手方が組合員か外部者か,対価の内容及び所在地の条例によって変わる。

第2 管理組合の納税主体と税目の見取り図
1 法人化の有無と法人税法上の地位

区分所有法3条は,区分所有者全員で,建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成すると定める。
法人格のない管理組合であっても,規約,代表者,多数決による意思決定及び団体としての継続的な活動があれば,法人税法上の「人格のない社団等」に当たるのが通常である。
法人化した管理組合法人は,区分所有法47条13項により,法人税法上の公益法人等とみなされる。

人格のない社団等と公益法人等は,原則として,法人税法施行令5条に掲げる収益事業から生じた所得について法人税を負担する。
令和8年10月1日施行の現行法人税法では,この非課税範囲は同法6条に規定されている。
国税庁の過去の質疑応答に旧条番号が記載されている場合は,現行法の条番号と取り違えないようにする必要がある。

2 税目ごとに別の判定を行う
税目主な判定対象実務上の注意法人税収益事業から生じた所得か組合員向け共同管理と外部者向け事業を分ける消費税対価を得て行う資産の譲渡・貸付け・役務提供か法人税上の収益事業該当性とは一致しない源泉所得税給与又は対象となる個人報酬を支払うか法人格がなくても源泉徴収義務者になり得る印紙税課税文書を紙で作成したか取引の課税関係ではなく文書の記載内容で判定する法人住民税・事業税収益事業の有無及び自治体の条例均等割の減免は自治体ごとに確認する固定資産税各区分所有者の家屋及び敷地の課税長寿命化工事の減額は区分所有者側の制度である

同じ駐車場使用料でも,法人税では「収益事業か」,消費税では「対価を得て行う施設の貸付けか」をそれぞれ判断する。
一つの税目の結論を他の税目へそのまま移してはならない。

第3 修繕積立金の税務
1 管理組合が受け取る修繕積立金

管理規約及び総会決議に基づき,区分所有者から共用部分の将来の修繕のために集める修繕積立金は,構成員による共同管理のための内部的な負担である。
通常は,それ自体が法人税法施行令5条の収益事業の対価となるものではない。

ただし,名称だけで結論は決まらない。
外部者へ提供する役務の料金を「修繕積立金」等の名目で受け取る場合や,収益事業から生じた利益を修繕会計へ振り替えた場合は,実際の取引内容と収益事業との関係を確認する必要がある。

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海外オンライン売買で契約書がないとき―方式,代金返還と前払金の税務(AI作成)

目次

第1 契約の有効性と前払金の回収を先に確認する第2 書面がないことと,契約が成立していないことを分ける1 申込み・承諾と方式を別に確認する2 隔地間の契約では通知を発した地も確認する第3 CISGが適用される売買では書面不要原則と留保を確認する1 適用範囲と排除合意を先に確認する2 11条だけを読んで方式を確定しない第4 代金返還では,契約無効と解除を区別する1 当初から効力がない場合2 有効な契約を解除した場合第5 日本で訴えられるかは準拠法と別に判断する第6 前払金の返還債権を売掛金と同じに扱わない1 権利の状態と貸倒類型を照合する2 消費税と資料共有も別に確認する第7 関連記事と根拠資料
第1 契約の有効性と前払金の回収を先に確認する

海外の仕入先とメールやオンライン会議で取引を決め,代金を前払いした後に,署名した契約書がないことを理由に履行や返金を拒まれることがある。
この場合は,契約の成立・方式,返還請求の根拠と準拠法,請求先と回収可能性,税務処理を順に確認する。

本記事は,日本の法人が事業のために海外から物品を購入する場面を中心に,日本の裁判所で判断する場合の入口を整理する。
所有権移転の方式や消費者契約の特例を,同じルールで処理するものではない。
法令・公表資料の確認日は令和8年10月15日である。

第2 書面がないことと,契約が成立していないことを分ける
1 申込み・承諾と方式を別に確認する

まず,品目,数量,代金,納期等について,どの言明又は行為が申込みと承諾に当たるかを確かめる。
担当者の権限,約款の組入れ,契約書への署名を成立の条件とする合意も,資料に即して検討する。
メールが存在することだけで,すべての合意や権限が立証されたことにはならない。

日本民法が適用される場合,民法522条は申込み・承諾による成立と,法令に特別の定めがある場合を除いて書面等の方式を要しないことを定める。
外国の取引先との売買について,日本法が適用されるかを確認せずに書面不要原則を当てはめたり,署名書面がないだけで無効と決めたりしない。

2 隔地間の契約では通知を発した地も確認する

日本の裁判所では,契約の成立・効力について,通則法7条・8条により法選択と,選択がない場合の最密接関係地法を検討する。
方式は同法10条により別に判断し,成立準拠法の方式に加えて,行為地法に適合する方式の有効性も確認する。

法を異にする地に在る者の間で締結した契約には10条4項があり,成立準拠法の方式に加え,申込み又は承諾の通知を発した地の法のいずれかに適合する契約の方式が有効とされる。
申込みと承諾を切り離して,それぞれが各発信地の方式を必ず満たすと決めるものではない。
オンライン会議でも当事者が同じ国にいたか,異なる国にいたかを記録し,会社の登記国やメールのサーバー所在地だけで発信地を決めない。

10条はすべての取引に共通する救済規定ではなく,同条5項の除外や,消費者契約についての11条の特例もある。
事業のための仕入れと,個人が家族用に購入する取引を区別する。
外国の裁判所で判断される場合は,その国の抵触法と方式規定を別に確認する。

第3 CISGが適用される売買では書面不要原則と留保を確認する
1 適用範囲と排除合意を先に確認する

国際物品売買契約に関する国際連合条約(CISG)の1条は,営業所が異なる締約国にある場合等の適用範囲を定め,2条以下には除外がある。
6条の適用排除の合意も確認する。
主契約に日本法を指定したことだけで,条約を当然に排除したと扱わない。

買主が事業者であっても,家族用の贈答品の購入かどうかは別に確認する。
2条(a)は個人用・家族用・家庭用の購入を原則として除外する一方,売主がその用途を知らず,かつ,知っているべきでもなかった場合には例外を定める。

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未規制の排水物質による断水事故―民事責任,応急給水費用と賠償金の税務(AI作成)

目次

第1 この記事の要点第2 排水基準と民事上の注意義務第3 事故直後に保存する証拠第4 応急給水費用と営業損失の請求第5 復旧費用と賠償金の税務1 消費税の対価性を取引ごとに判定する2 法人税では支払側と受領側を分ける第6 弁護士と税理士が共有する資料第7 関連記事第8 出典及び確認範囲
第1 この記事の要点

排水基準が設定されていない物質が下流の浄水処理に影響し,取水停止や断水を招いた場合でも,基準の有無だけで民事責任は決まらない。
事故当時に把握できた危険と実行可能だった防止策を調べ,請求者自身の費用,因果関係及び金額を立証する必要がある。
さらに,復旧業者への支払と被害者への賠償は取引の性質が異なり,法人税と消費税を分けて検討する。

本記事の法令確認基準日は令和8年10月14日である。
一般の事業法人を中心とした確認手順を示すものであり,地方公共団体・公営企業の税務や個人の非課税・必要経費を同じ条件で扱うものではない。

第2 排水基準と民事上の注意義務

民法709条は,故意又は過失による権利又は法律上保護される利益の侵害について損害賠償責任を定める。
行政上の排水基準への適合と,この責任の成否は別に検討する。
未規制であることを理由に直ちに免責せず,当時の科学的知見,取り扱う物質の性質,下流の水利用,調査の可能性及び防止措置を確認する。
事故後に判明した知見だけから,事故前の予見可能性を判断することも適切ではない。

例えば,排出した物質自体と,浄水場の塩素処理で生じる副生成物とでは,確認すべき危険が異なる。
排出から流下,浄水処理,水質異常,取水停止に至る経過を,技術者の分析と施設の運転記録から説明する。
安全データシートだけで調査を終えず,得られる情報の範囲と限界も記録する。
これは個別事故への調査提案であり,化合の可能性があるだけで常に過失が認められるという意味ではない。

水質汚濁防止法19条の無過失責任には,有害物質の排出・地下浸透による現実の生命又は身体の侵害が必要である。
その侵害がない断水費用や営業損失だけを同条で請求することはできず,民法709条その他の根拠を検討する。
同法14条の2の事故時措置も,特定施設・指定施設等の区分,物質,排出態様及び被害のおそれという条文の要件に照らして確認する。
「排水基準がない」という一点から,事故時措置の対象外とも即断しない。

第3 事故直後に保存する証拠

流出源の停止,拡散防止,取水・給水の安全確保と,証拠の保存を並行して進める。
採水地点,日時,深度,採取・運搬方法,分析法及び定量下限を記録し,試料の再分析が可能な条件を分析機関と相談する。
専門的な試料保存条件を弁護士だけで決めない。

保存対象には,物質の購入・使用・廃棄記録,設備・配管図,点検記録,排水量,河川の流量,取水地点,浄水処理の条件,水質異常を検知した時刻及び取水停止の判断資料がある。
排出者が下流の浄水場を知っていたか,どの資料から知り得たかも別に整理する。
他の排出源や設備障害等の代替原因を検討し,測定値の一致だけで原因者を決めない。

第4 応急給水費用と営業損失の請求

水道事業者等が支出した費用では,給水車の手配・運行,拠点給水所,外部委託,購入水及び追加人件費を,実際の支払又は追加負担の資料と対応させる。
通常から発生する費用をそのまま事故による増加費用に含めず,期間,数量,必要性及び代替手段を説明する。

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建物の補修費を解決金で負担するときの消費税―消費税相当額,仕入税額控除と合意書の書き方(AI作成)

目次

第1 結論と本記事の前提第2 三つの支払関係を分ける第3 解決金が課税対象外になる根拠第4 消費税相当額を含む解決金の計算1 工事代金110万円と解決金110万円2 「税抜き」とだけ書くと支払総額が残る第5 支払会社の仕入税額控除と請求書1 損害補填の支払は会社の工事購入ではない2 直接払いと工事の発注者は一致するとは限らない第6 管理組合の工事支出と損害額第7 合意書で支払総額を確定する1 工事の税相当額も負担する場合2 100万円を最終合意額とする場合第8 複数社の負担割合と代表払い1 対外的な義務と内部負担を別に書く2 記帳では税相当額を仮払消費税等に分けない第9 工事代金・売買代金の減額は別に確認する第10 署名前と記帳前にそろえる資料
第1 結論と本記事の前提

管理組合が発注した補修工事の費用を,施工会社や分譲会社が損害の補填として負担する場合,管理組合へ支払う解決金そのものは,通常,消費税の課税対象外である。
ただし,補修業者に支払った消費税等相当額を含めて解決金を決めることはできる。
「解決金自体に消費税がかかるか」と「当事者が約束した支払総額に補修工事の消費税等相当額を含めるか」は,別の問題である。

支払う会社が,解決金の算定に含まれる消費税等相当額を,自社の仕入税額控除に使えるわけでもない。
まず,工事を受ける取引と,損害を補填する支払を分け,次に最終的な負担額を合意書で確定する必要がある。

本記事は,令和8年10月14日に確認した法令・国税庁資料に基づく一般的な整理である。
例示する甲管理組合,乙分譲会社,丙施工会社及び丁補修業者並びに金額は,すべて説明用の仮定である。
甲が丁へ補修を発注し,乙・丙がその費用に対応する独立した損害補填の解決金を甲へ支払う場面を基本とし,補修工事の再委託や元の売買代金の減額とは区別する。

第2 三つの支払関係を分ける

同じ補修に関係する金銭でも,誰が誰から何を受ける取引かによって,消費税の判断は変わる。
請求書や振込の名義だけを並べるのではなく,工事契約,合意書及び精算資料を対応させる。

支払関係金銭の実質消費税の判断甲から丁へ甲が発注した補修工事の代金通常の国内の補修サービスは課税取引。甲の控除可否は別に判定する。乙・丙から甲へ甲の損害を補填する解決金資産の譲渡等の対価でなければ課税対象外。補修費の税相当額を含む算定も可能。丙から乙へ乙が代表して支払った解決金の内部負担分の精算この精算だけでは工事や役務の購入にならない。別の役務の対価があれば区分する。

国税庁No.6153「役務の提供の具体例」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6153.htm)は,国内で事業者が対価を得て行うサービスの提供が課税対象となることを説明し,修繕をその例として挙げている。
補修業者の工事代金については,この工事取引として課税関係を確認する。

第3 解決金が課税対象外になる根拠

消費税法(https://laws.e-gov.go.jp/law/363AC0000000108)2条1項8号は,資産の譲渡等を「事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供」と定義し,同法4条1項が国内取引の課税対象を定めている。
管理組合が損害の補填として金銭を受け取るだけで,支払会社へ工事,物品又は役務を提供するのでなければ,通常はこの対価に当たらない。

消費税法基本通達5-2-5(https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shohi/05/02.htm)も,心身又は資産に加えられた損害に伴う損害賠償金について,「資産の譲渡等の対価に該当しない」とする。
国税庁No.6257「損害賠償金」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6257.htm)は,名称ではなく実質で判断すると説明している。
したがって,「補修費」「協力金」「解決金」という名前を変更するだけで課税関係は決まらず,実際の損害,工事の発注関係及び支払の内容を確認する。

この課税対象外の扱いは,一般に「不課税」と呼ばれる。
土地の譲渡や住宅の貸付けなど,法律により非課税とされる取引とは区別する。
また,消費税の課税対象外であることは,所得税・法人税まで免除されるという意味ではない。
不課税・非課税・輸出免税及び免税事業者の違いは,消費税の不課税・非課税・免税の違い―一覧表・具体例・免税事業者との区別(AI作成)で整理している。

第4 消費税相当額を含む解決金の計算
1 工事代金110万円と解決金110万円

丁の補修工事代金を税抜100万円,消費税・地方消費税を合わせた標準税率を10%と仮定すると,甲の支払額は110万円となる。
標準税率は,国税庁No.6303「消費税および地方消費税の税率」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6303.htm)で確認できる。

(続きを読む...)建物の補修費を解決金で負担するときの消費税―消費税相当額,仕入税額控除と合意書の書き方(AI作成)

賞与格差を争うときの証拠と請求―説明義務,賃金請求,損害賠償及び和解の税務(AI作成)

目次

第1 賞与格差の相談で最初に分けること第2 説明請求と回答を証拠にする第3 賞与の目的と実際の仕事を対応させる第4 賃金請求と損害賠償を別々に組み立てる第5 和解前に弁護士と税理士が確認すること第6 関連記事と出典
第1 賞与格差の相談で最初に分けること

本記事は,令和8年10月14日現在,直接雇用の短時間労働者又は有期雇用労働者が,通常の労働者との賞与格差を争う場合の資料整理と請求の組立てを説明する。
待遇差の説明を求めること,不合理な相違の是正を求めること及び具体的な金銭を請求することは,それぞれ根拠と確認事項が異なる。
派遣労働者や無期雇用のフルタイム労働者については,適用法と比較対象を別に確認する必要がある。

最初に,雇用契約書と更新書面から契約期間を,勤務表から所定労働時間を確認する。
次に,どの季の賞与について,誰又はどの雇用管理区分の通常の労働者と比較し,どの部分が違うのかを特定する。
「正社員は1.8か月,契約社員は0.5か月」といった倍率だけでなく,算定基礎となる基本給,対象期間,出勤率,査定及び既払額も並べる。

第2 説明請求と回答を証拠にする

短時間・有期雇用労働法14条2項は,求めに応じて,待遇の相違の内容・理由及び決定に当たり考慮した事項を説明する義務を事業主に課している。
就業規則に二つの支給月数が書いてあることと,なぜその差を設けたかを説明することは別である。
同条3項は,説明を求めたことを理由とする解雇その他の不利益取扱いを禁止している。

例えば,「令和8年夏季賞与について,私と同じ部署で同種の業務に従事する正社員との支給要件・算定方法の相違,その理由,賞与の目的及び決定時に考慮した職務・責任・配置変更等の事項を説明してください」と,対象を具体化して求めることが考えられる。
これは請求文の作成例であり,書面の提出だけが法律上許された説明請求の方法という意味ではない。
請求日,送付先,回答全文,交付資料,口頭説明の内容及び追加質問を保存する。

令和8年10月1日適用の改正ガイドライン6頁は,十分な説明がなかった事実も,不合理性を基礎付ける「その他の事情」として考慮され得るとしている。
説明不足だけで正社員と同額の支給が確定するわけではなく,賞与の目的と職務等の比較も必要である。
会社側の回答手順は,非正規社員から待遇差の説明を求められたときの回答手順と想定問答で説明している。

第3 賞与の目的と実際の仕事を対応させる

同法8条は,賞与等の待遇ごとに,その性質・目的に照らして適切な職務内容,職務内容・配置の変更範囲その他の事情を考慮する。
同法9条は,職務内容の同一性に加え,雇用関係が終了するまでの全期間における変更範囲の同一性が見込まれることを要する。
現在同じ作業をしていることだけで9条の全要件を満たすとは限らず,9条の要件を満たさなくても8条の検討は残る。

賞与には,業績への貢献,労務対価の後払い,功労報償,生活費の補助及び労働意欲の向上などの目的があり得る。
賞与規程,制度導入資料,計算表及び支給実績から,その会社の賞与が何に対応しているのかを確認する。
正社員人材の確保という目的を掲げるだけで,全額不支給又は大幅な倍率差が当然に正当化されるものではない。

確認する点主な資料比較の方法支給額と条件基本給・賞与明細,規程,勤怠・査定資料同じ季・対象期間の算定基礎,倍率,控除と既払額を対応させる職務と責任業務分担表,職務記述書,決裁資料,指導の記録中核業務,部下指導,緊急対応,決裁権限を具体的に比較する変更範囲異動規程,人事発令,転勤・昇進・登用の実績制度上の可能性と実際の運用を分けて確認する継続勤務と協議更新書面,勤務実績,説明回答,労使交渉記録更新,貢献,待遇決定の経緯と説明の一貫性を確認する

この表は,上記法令・ガイドラインを資料収集へ用いるための実務上の確認例である。
同僚の個人情報や会社の秘密資料を無断で持ち出す方法を前提とせず,本人に交付された資料と適法に利用できる記録を整理し,不足資料の取得方法を弁護士と検討する。

大阪医科薬科大学事件の最高裁令和2年10月13日判決は,旧労働契約法20条の事案で,職務・変更範囲の相違,特殊な配置事情,登用制度等を踏まえて賞与不支給の不合理性を否定した。
その結論を別の会社へ一律に当てはめず,自分の職務,指導実績,更新状況及び登用制度の有無との違いを検討する。

(続きを読む...)賞与格差を争うときの証拠と請求―説明義務,賃金請求,損害賠償及び和解の税務(AI作成)

損害賠償金・解決金を支払ったときの税務―個人事業主の重過失,法人の損金算入時期と保存資料(AI作成)

目次

第1 支払った賠償金が経費になるかは別に判断する第2 個人事業主―業務関連性と重過失を確認する第3 使用人の事故を事業主が負担する場合第4 法人―支払日と損金算入年度を分ける第5 返金,報酬返還と損害賠償を分ける第6 合意前に弁護士と税理士が対応させる資料第7 関連記事と出典
第1 支払った賠償金が経費になるかは別に判断する

業務上の事故について損害賠償金や解決金を支払っても,支払額の全額が当然に経費になるわけではない。
個人事業主では業務との関係と故意・重大な過失の有無を,法人では費用・損失の性質と計上する事業年度を,それぞれ確認する。
民事上の賠償義務,税務上の控除,受領者側の課税及び消費税は別の問題である。

本記事は,令和8年10月14日に確認した法令と国税庁の公表資料に基づく。
国税庁No.1710は令和8年4月1日現在法令等という表示の資料であり,通達は行政上の取扱いとして読む。

第2 個人事業主―業務関連性と重過失を確認する

所得税法37条1項は,必要経費の対象として「これらの所得を生ずべき業務について生じた費用」を定めている。
一方,同法45条1項8号は,一定の損害賠償金を必要経費に算入しないこととし,具体的な範囲を政令に委ねる。
所得税法施行令98条2項には,業務に関連して「故意又は重大な過失によつて他人の権利を侵害したことにより支払う損害賠償金」が含まれる。
業務上の支出であるという説明だけでは,この不算入の規定を乗り越えられない。

国税庁No.1710は,事業主自身が加害者の場合,業務と関係し,故意又は重大な過失がない事故の賠償金を事業所得の必要経費とする取扱いを説明する。
「解決金」「示談金」「見舞金」という名称でも,他人に与えた損害を補う金額であるかを実質から確認する。
例えば,個人で業務を受託した専門職が重大な過失による業務ミスの賠償をする場合,適用する所得区分と不算入の規定を併せて検討する。

重大な過失の判断では,職業,地位,事故当時の状況,侵害された権利及び取締法規等の具体的事情を調べる。
当事者が合意書に「重過失を認めない」と書いたことだけで,税務上の判断が決まるものではない。
弁護士は行為と注意義務の内容を資料から整理し,税理士はその資料を業務関連性・控除の規定と照合する。

第3 使用人の事故を事業主が負担する場合

No.1710は,使用人が加害者で,個人の事業主が賠償金を負担した場合についても説明している。
使用人の行為に関して事業主に故意又は重大な過失がある場合は,使用人にそれがなくても事業主の必要経費にならないとする。
反対に,事業主に故意又は重大な過失がない場合は,使用人の故意・重大な過失の有無を問わず,業務に関連するものは事業主の必要経費になると説明する。

業務に関連しない場合でも,家族従業員以外の使用人について雇用主の立場上やむを得ず負担したものという別の取扱いが示されている。
事故を起こした人と,実際に負担する人を分け,雇用関係,業務との関係及び事業主側の行為を確認する必要がある。
この所得税の説明を,法人や役員個人の負担の肩代わりへそのまま移すことはできない。

第4 法人―支払日と損金算入年度を分ける

法人が業務に関連する賠償金を負担する場合は,法人税法22条に沿い,費用・損失の性質と事業年度を検討する。
所得税法45条の個人に対する不算入の規定を,法人へそのまま適用するものではない。
法人であっても,事業との関係,負担の相当性,他人の個人的債務の肩代わり又は別段の定め等を確認するため,どのような支払でも損金になるとはいえない。

法人税法22条3項2号は,償却費以外の費用について,事業年度末までに債務の確定しないものを除いている。

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民事再生と滞納国税―納税・換価の猶予,スポンサー代金及び資金繰りを弁護士・税理士が確認する(AI作成)

目次

第1 民事再生でも滞納国税の納付原資が必要である第2 再生計画,国税の徴収及び議決権を分ける1 一般優先債権は随時弁済する2 再生手続開始だけで国税の滞納処分は止まらない3 国税の納付相談と計画案への投票は別である第3 分割納付の相談と法定の猶予を区別する1 相談中・申請中・許可済みを分ける2 申請による換価の猶予と職権による換価の猶予3 納税の猶予と「取引先が再生を開始した」場合第4 猶予期間と延滞税を別に計算する第5 スポンサーの提示額をそのまま弁済原資にしない1 入金と支払を時期別に並べる2 開始の見込みと計画遂行の見込みを分ける第6 弁護士と税理士が共有する資料第7 関連記事第8 出典
第1 民事再生でも滞納国税の納付原資が必要である

会社が民事再生を申し立てても,滞納国税が通常の借入金や買掛金と同じ割合で減額されるわけではない。
一般優先債権に当たる国税については,再生計画による再生債権の弁済とは別に,納税資金と納付時期を確かめる必要がある。
本記事は,法人の通常再生について,申立て前の準備からスポンサーへの事業譲渡までを想定し,弁護士と税理士が確認する事項を整理する。
地方税,社会保険料,個人再生及び会社更生は,それぞれの制度に即した別の検討を要する。

法令と国税庁資料の確認基準日は令和8年10月14日である。
第5の資金繰りの見方及び第6の資料整理は,条文と行政資料を踏まえた実務上の提案である。

第2 再生計画,国税の徴収及び議決権を分ける
1 一般優先債権は随時弁済する

国税徴収法8条は,国税優先の原則を定める。
一般の優先権がある国税の債権は,共益債権に当たるものを除き,民事再生法122条1項の一般優先債権となり,再生手続によらず随時弁済される(同条2項)。
一般優先債権は再生債権から除かれているので(同法84条1項),再生計画の再生債権者向けの減額条項だけで,この滞納国税の元本を減らすことはできない。

再生計画には,共益債権及び一般優先債権の弁済に関する条項も定めなければならない(民事再生法154条1項2号)。
「計画に納税予定を記載すること」と,「計画によって国税の権利を減額すること」は区別する必要がある。

2 再生手続開始だけで国税の滞納処分は止まらない

民事再生法39条1項が中止する強制執行等は,再生債権に基づくものを対象とする。
一般優先債権である国内の国税の滞納処分は,再生手続開始の決定だけでは中止されない。
同法122条4項による強制執行等の規律を,国税の滞納処分にそのまま当てはめることもできない。
納税資金の不足があるときは,税務署の徴収担当と協議し,後記の猶予制度の要件,申請及び許可の範囲を確認する。

3 国税の納付相談と計画案への投票は別である

民事再生法87条の議決権は,再生債権者に認められるものである。
一般優先債権としての国税を持つことだけでは,再生計画案の議決権は生じない。
税務署との納付協議が進んでも,銀行や取引先等の議決権者による計画案可決の見込みは,別に検討する必要がある。

第3 分割納付の相談と法定の猶予を区別する
1 相談中・申請中・許可済みを分ける

分割納付の相談をしただけで,納税の猶予又は換価の猶予が認められたものとして資金繰り表を作ることはできない。
国税庁の案内では,猶予が認められると猶予許可通知書が送付される。
相談記録,申請書控え及び許可通知書を分けて保管し,対象税目・金額・期間・分割納付日・担保・差押えの扱いを確かめる。

納税の猶予がされた国税については,国税通則法48条1項により,猶予期間内の新たな督促及び滞納処分は,交付要求を除き禁止される。

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合併による欠損金引継ぎと行為計算否認―TPR・PGM・大阪地裁令和8年判決からみる事業目的(AI作成)

目次

第1 適格合併と欠損金引継ぎの否認を分ける第2 最高裁判決の判断枠組み1 組織再編税制の規定の濫用2 個別制限と包括的否認第3 TPR事件―事業が新会社へ移った合併1 合併に伴う一連の処理2 東京高裁の判断第4 PGM事件―事業目的と手順の具体的合理性1 二段階の合併と欠損金2 税目的と事業目的の大小だけでは決まらない3 代替案と二段階の合併第5 大阪地裁令和8年判決―目的と手段の結び付き1 事業を切り出してから親会社へ合併2 事業承継がなければ常に否認されるわけではない3 フレッシュスタートという説明第6 3事件から何を比較すべきか第7 再編前に弁護士・税理士が残す資料1 各段階を同じ図と時系列で確認する2 目的と代替案を当時の資料で説明する3 実行前後の変更を再点検する第8 出典と適用時点
第1 適格合併と欠損金引継ぎの否認を分ける

合併が税務上の適格要件を満たし,欠損金引継ぎの個別制限にかからない場合でも,法人税法132条の2による行為計算否認が問題となり得る。
他方で,事業の移転・継続がないことや,税負担減少の効果が大きいことだけで,当然に否認されるわけでもない。
再編の手順,実際の事業目的,問題となる規定の趣旨及び個々の事実を検討する必要がある。

本記事は,TPR事件の東京高裁令和元年12月11日判決,PGM事件の東京高裁令和7年7月23日判決及び大阪地裁令和8年5月21日判決を比較する。
比較するのは,各下級審判決の事実認定と判示である。
各事件が扱った時点の法令を,現在の取引へそのまま当てはめることはできない。

第2 最高裁判決の判断枠組み
1 組織再編税制の規定の濫用

最高裁平成28年2月29日のヤフー事件及びIDCF事件の判決は,法人税法132条の2の不当性について,組織再編税制の各規定を租税回避の手段として濫用することによる税負担減少を問題とした。
行為又は計算が,通常は想定されない手順・方法に基づくものや,実態と乖離した形式を作り出すものとして不自然であるかを考慮する。
税負担減少以外に,その行為又は計算を行う合理的な理由となる事業目的等があるかも考慮する。

その上で,組織再編を利用して税負担を減らす意図があり,規定本来の趣旨・目的から逸脱した態様で適用を受け又は免れるものかを判断する。
税効果が生じたという結果だけを,濫用の判断に置き換えることはできない。
判断枠組みは,ヤフー事件最高裁判決10~14頁及びIDCF事件最高裁判決9~13頁を参照されたい。

2 個別制限と包括的否認

法人税法57条3項による欠損金引継ぎの制限と,132条の2による包括的否認は,検討する事項が異なる。
5年に関する支配関係の条件等を満たすことは重要であるが,それだけで再編の濫用審査を省略できるとは限らない。
5年の計算も,単に株式取得から合併まで5年を数えるのではなく,合併の日の属する事業年度開始の日を基準とする法定条件を確認する必要がある。

個別の適格要件,みなし共同事業要件,設立日基準及び引継制限の全体像は,組織再編税制の適格判定と欠損金の引継制限(AI作成)で整理している。

第3 TPR事件―事業が新会社へ移った合併
1 合併に伴う一連の処理

TPR事件では,親会社が完全子会社を適格合併して未処理欠損金額を引き継いだ。
合併に関連して,従業員は新会社へ移り,棚卸資産等が新会社へ譲渡され,製造設備等も新会社へ賃貸された。
旧子会社の事業は新会社にほぼ変化なく引き継がれ,親会社の欠損金引継ぎとの関係が問題となった。

2 東京高裁の判断

東京高裁令和元年12月11日判決は,納税者の控訴を棄却した。
5年超の条件を満たすことが包括的否認の適用を排除する趣旨であるとは解せず,一連の行為の不自然性,合理的な事業目的及び57条2項の趣旨との関係を検討した(国税庁公表PDF9~12頁)。
グループの事業改善という説明についても,その改善と問題の合併との具体的な結び付きが重要になる。

(続きを読む...)合併による欠損金引継ぎと行為計算否認―TPR・PGM・大阪地裁令和8年判決からみる事業目的(AI作成)

寄附金と仕入税額控除で結論が分かれる理由―大阪地裁令和8年5月21日判決と立証責任(AI作成)

目次

第1 同じ支出でも税目ごとに判断する第2 増仕切と受託品事故損とは何か1 販売価格を上回る精算2 価格の合意がある取引とない取引第3 法人税の寄附金該当性1 対価性と合理性を区別する2 国が寄附金に当たる部分を特定できなかった第4 消費税の仕入税額控除1 具体的な資産・役務と支払の対応2 控除を求める納税者の立証3 インボイスの保存問題との区別第5 判決の結論を整理する第6 弁護士・税理士が整理する資料1 取引ごとの台帳を作る2 要件・立証責任・金額を分ける3 法律判断と申告計算を共有する第7 出典と判決の位置付け
第1 同じ支出でも税目ごとに判断する

大阪地裁令和8年5月21日判決は,青果卸売業者が出荷者への精算で負担した販売価格との差額について,法人税の寄附金認定と消費税の仕入税額控除を別々に判断した。
寄附金として差額全額を扱う課税判断は認められなかった一方,仕入税額控除は認められなかった。
その理由を理解するには,支出の事業上の合理性,具体的な給付との対応,取引ごとの金額及び主張立証責任を分けて考える必要がある。

本記事は,公開された判決スキャンの裁判所の判断を中心に,弁護士と税理士が取引資料を整理する際の要点を説明する。
判決が扱った過年度の取引と,現在のインボイス制度における保存要件は,適用時点を区別して読む。
判決の提供元は栗原宏幸弁護士・税理士の公開記事であり,本記事では提供された判決本文のPDF実頁を示す。

第2 増仕切と受託品事故損とは何か
1 販売価格を上回る精算

原告は,出荷者から青果物の販売を委託され,販売代金から手数料等を差し引いて精算していた。
出荷者に示す仕切価格が実際の販売価格を上回る取引があり,原告はその差額を「受託品事故損」として処理していた。
判決では,増仕切に伴う過大受領手数料を差し引いた実質的な負担も区別して検討している。
帳簿上の名称や総額だけで,税務上の性質と対象額が決まるわけではない。

2 価格の合意がある取引とない取引

仕切価格の決まり方は一様ではなく,出荷時等に価格や指標が示される場合と,販売後の交渉によって価格が決まる場合があった。
判決は,取引先との関係や交渉内容によっては,価格の希望を超えた事実上の指値や仕切価格の合意があると考えられるとした。
非公式な合意でも,信頼関係の維持において意味を持つ場合がある(PDF30~35頁)。

他方で,価格合意に基づく負担と,販売成績の悪化を取引先に知らせず担当者が任意に補填する負担は,同じ事情で評価できない。
どの取引に合意があり,その合意がいつ,誰との間で成立し,いくらの負担を対象としていたかが重要になる。

第3 法人税の寄附金該当性
1 対価性と合理性を区別する

判決は,法人税法37条の寄附金について,民法上の贈与だけでなく,経済的に贈与と同視できる利益の移転を検討した。
具体的には,対価のない利益移転であることに加え,通常の経済取引として是認できる合理的な理由がないことを問題とした(PDF29~30頁)。

販売手数料を受け取ることや,商品の安定供給を得られるという抽象的な利益が,当然に差額負担の対価となるわけではない。
それでも,価格合意を守り取引関係を維持するために損失を負担することには,事業上の合理性が認められる余地がある。
給付の対価であることと,合理的な営業上の支出であることを,別々に説明する必要がある(PDF35~43頁)。

2 国が寄附金に当たる部分を特定できなかった

判決は,少なくとも事実上の指値や仕切価格の合意がある取引については,合理的理由がないという要件を欠き,その差額が寄附金に当たるとは認められないとした。
そして,寄附金該当性について被告国が主張立証責任を負うとした上で,合意のある取引とない取引の割合も,個別取引ごとの合意の有無も明らかでないと判断した。

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転勤に伴う処遇をどう設計するか―支度金,社宅,単身赴任と帰省費用(AI作成)

目次

第1 異動の判断と給付の設計を分ける第2 異動のケースと給付を対応させる1 初回・再転勤・帰任を区別する2 一時金・実費・継続補助を分ける第3 社宅の契約と本人負担を確定する1 家賃上限と負担率を組み合わせる2 税の賃貸料相当額を実際家賃と混同しない第4 単身赴任の開始・終了を事実で管理する第5 帰省費用の税務を行程ごとに見る1 移転旅費は通常必要な範囲を確認する2 業務旅行に付随する帰宅と私的帰省を分ける第6 帰任・再転勤・制度移行の負担を試算する第7 通知・精算・給与控除をつなぐ
第1 異動の判断と給付の設計を分ける

転勤に伴う費用は,移転時の一時金,実費精算,社宅,別居中の継続手当及び帰省費用に分けて設計する。
同じ転勤でも,単身赴任,家族帯同,会社命令型,本人希望型及び帰任では,異動の目的と必要な支援が異なる。
本稿は,給付の入口・計算・終了と税務上の確認を整理する。
本人希望型を現行規程の適用対象から外せるか,将来に向けて別制度を設ける方法及び会社都合と本人都合が混在する場合の扱いは,本人希望の転勤・勤務地変更と手当―会社命令型との区別,社宅・赴任旅費及び就業規則の改定(AI作成)で説明する。
以下の制度例は設計提案であり,法令・公式資料の確認基準日は令和8年10月21日である。

補助を設けたことだけで配転命令が有効になるわけではない。
職種・勤務地の限定合意や権利濫用は,配転命令(転勤命令)の有効性(AI作成)の問題として別に検討する。

第2 異動のケースと給付を対応させる
1 初回・再転勤・帰任を区別する

異動の決定日,赴任日,居住地の変更日,家族の同行日及び帰任日を記録する。
異動の間隔だけでなく,実際に転居費用が再び発生するかを確認する。
前の異動から短期間でも引越しが必要な場合と,同じ住居から勤務先だけが変わる場合を同じにしない。

2 一時金・実費・継続補助を分ける
給付定める事項移転費・支度金対象費用,対象者,定額又は実費,上限,申請及び重複精算社宅契約主体,対象住宅,会社の家賃上限,本人負担及び退去条件単身赴任手当別居の理由,家族の居住状況,開始・終了及び再確認帰省費用業務旅行との関係,対象行程,回数・上限,証憑及び税区分

支度金を給与額に連動させる場合でも,何の費用を補う制度なのかを説明できるようにする。
会社が直接支払った引越費用と本人への一時金が,同じ費用を二重に補っていないかを確認する。
制度上の支給義務と,税務上非課税となる範囲は別である。

第3 社宅の契約と本人負担を確定する
1 家賃上限と負担率を組み合わせる

会社の家賃上限,本人負担率,超過額の負担,駐車場・共益費・更新料及び敷金等を別に定める。
「会社負担は一定率」とだけ書くと,上限を超えた部分にも同じ率を適用するのかが曖昧になる。
家族人数や地域で上限を変えるなら,人数・地域の変更がいつ反映されるかも明示する。

2 税の賃貸料相当額を実際家賃と混同しない

国税庁No.2597によれば,使用人への社宅貸与では,税務上の賃貸料相当額と徴収額により給与課税の範囲を確認する。
賃貸料相当額の50%以上を徴収する場合の扱いも,実際の家賃の50%を徴収するという意味ではない。
会社の家賃上限や本人負担率とは別に,必要な固定資産税の課税標準額等を確認する。

同案内は,現金住宅手当や本人が直接契約する家賃の会社負担を,社宅貸与と区別して給与課税の対象とする。

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家族手当・住宅手当の支給基準―会社の扶養条件と税・社会保険を分ける(AI作成)

目次

第1 「扶養」を三つの制度に分ける第2 会社が支援する対象を文章にする1 家族の範囲と支給目的をそろえる2 住宅手当の条件を独立して定める第3 共働き・育児休業・別居を扱う第4 改正の年月と資料の期間を合わせる1 収入と所得を混同しない2 健康保険の変更を正しい対象に用いる3 税の施行日と対象年分を分ける第5 確認資料と個人情報を絞る第6 開始・終了・遡及精算を記録する第7 課税・割増賃金・待遇差を別に点検する
第1 「扶養」を三つの制度に分ける

家族手当を設計するときは,会社の支給条件,所得税の扶養控除等及び健康保険の被扶養者認定を区別する。
会社の手当は契約・規程に基づく処遇であり,税や健康保険の認定が変わっただけで支給義務が当然に発生又は消滅するとは限らない。
本稿は申請・認定・変更の事務を設計する方法を説明する。
制度例は一般的な設計提案であり,法令・公式資料の確認基準日は令和8年10月14日である。

区分確認する基準会社の家族手当対象家族,生計維持,申請,支給開始・終了及び例外の規程所得税対象年分の所得要件,親族・年齢等の要件及び申告内容健康保険今後の年間収入の見込み,続柄,同居・生計維持等の認定要件
第2 会社が支援する対象を文章にする
1 家族の範囲と支給目的をそろえる

子育て支援,家族の生活費の補助又は住宅費の補助のどれを目的とするかを先に決める。
配偶者,子,親等の範囲,年齢,学生の扱い,同居の要否,別居時の送金及び重複受給を規程にする。
「扶養している家族」という一語に頼ると,担当者ごとに違う認定が生じやすい。

税や健康保険の認定を支給条件に用いる場合は,どの制度のどの認定を参照するのかを特定する。
外部制度の改正に自動で連動させるのか,会社の基準を改定してから反映するのかも決める。
会社独自の条件を設ける場合には,その目的に合う条件か,契約・法令との関係で問題がないかを点検する。

2 住宅手当の条件を独立して定める

住宅手当は,借家・持家の別,契約名義,居住の事実,家賃負担及び社宅との併給を確認する。
家族手当の受給者と世帯主が同じとは限らず,健康保険上の扶養者とも必ずしも一致しない。
何を証明するための書類なのかを明示し,住民票の世帯主であることだけで経済的な負担を推定しない。

第3 共働き・育児休業・別居を扱う

会社の家族手当を夫婦のいずれか一方だけに支給するなら,主な生計維持者の判定期間,届出及び変更の方法を定める。
前年の給与だけを比べる方式では,転職,休業及び復職後の状態を反映できないことがある。
一時的な収入減少と継続的な変更を分ける扱いが考えられるが,会社の規程に根拠を持たせる必要がある。

日本年金機構の被扶養者の届出案内は,健康保険の共同扶養について今後の年間収入を見込む扱いを説明し,育児休業等による一時的な収入の逆転についての取扱いも示している。
これは健康保険の認定の説明であり,会社の家族手当にも同じ結論が当然に適用されるという意味ではない。

進学に伴う別居については,会社が同居を支給条件とするのか,学生の別居を例外とするのかを明示する。
就職,卒業,結婚及び送金の終了が起きたときに,いつ支給条件を再確認するかを定める。
健康保険では後期高齢者医療制度への移行による被扶養者の削除があるが,会社が高齢の親への生活支援を別に設けることとは区別する。

第4 改正の年月と資料の期間を合わせる
1 収入と所得を混同しない

(続きを読む...)家族手当・住宅手当の支給基準―会社の扶養条件と税・社会保険を分ける(AI作成)

道路・空港・自衛隊基地の騒音被害―差止め・損害賠償と和解金の税務(AI作成)

目次

第1 騒音を止める請求と,受けた損害を補う請求を分ける第2 訴訟形式は,求める措置を誰が実現できるかから考える1 道路管理者の事実行為と交通規制を区別する2 空港・自衛隊機の判決の対象を確認する第3 差止めと損害賠償では,同じ事情の重みが異なる1 受忍限度の判断を具体的な被害へ結び付ける2 公共性と対策の効果を別々に確かめる第4 自衛隊機の行政差止めでは,訴訟要件と本案を分ける1 事前救済が必要な被害かを検討する2 裁量逸脱・濫用の判断に進む第5 被害・公共性・軽減措置の資料を対応させる第6 騒音被害の和解金は,補填対象ごとに税務を確認する1 個人が受け取る心身損害の賠償と事業上の補填2 消費税と和解の内訳を整理する第7 相談時に持参する資料と関連記事第8 出典と説明の範囲1 法令・裁判例2 税務資料と実務上の応用
第1 騒音を止める請求と,受けた損害を補う請求を分ける

騒音被害の相談では,発生源,施設の管理者,求める措置,既に生じた被害を先に整理する。
将来の騒音を止める差止めと,過去の被害についての金銭賠償では,訴訟形式と判断の仕方が異なる。
和解で金銭を受け取る場合も,何を補う金銭かに応じて税務を確認する必要がある。

本記事は,公的な道路,国営空港が問題となった判例及び自衛隊機の運航を手掛かりに,請求と資料を組み立てる方法を説明する。
現在の空港の管理・運営主体,米軍機の運航,民間事業者や隣人による騒音は,それぞれの権限と請求先を確認して検討する。
参照する法令・公表資料の確認日は令和8年10月14日である。

第2 訴訟形式は,求める措置を誰が実現できるかから考える
1 道路管理者の事実行為と交通規制を区別する

道路の騒音対策には,遮音壁や舗装などの構造対策と,交通規制などの対策がある。
道路管理者に求める騒音防止がその管理上の措置でも実現できるか,別の行政機関の権限行使を必要とするかを,請求内容に即して検討する。
行政機関が関係することだけから,一律に民事訴訟を選べないと判断することはできない。

請求の検討では,「騒音を下げる」という目標を,設備の設置,舗装の変更,車両の通行規制,運航の制限などの措置へ分ける。
措置ごとに実施主体と法的権限を確かめると,請求先と訴訟形式を対応させやすくなる。
以下の表は,この確認を行うための整理である。

場面判例・制度から得られる手掛かり相談時に確かめる事項国等が管理する道路騒音防止の方法と道路管理上の措置を具体化する管理者,対策の種類,交通規制権限との関係当時の国営の基幹的空港大阪国際空港判決は空港管理権と航空行政権の不可分性を重視した現在の管理・運営主体,求める差止めの対象,権限行使との関係自衛隊機の運航厚木基地の判決は民事差止めの限界と行政訴訟による救済を示す対象となる運航,防衛大臣の権限,被害と訴訟要件
2 空港・自衛隊機の判決の対象を確認する

最高裁大法廷昭和56年12月16日判決は,当時の国営空港の管理権と航空行政権が不可分一体に行使されることを踏まえ,離発着の民事差止めを不適法とした。
現在の空港について検討するときは,この判決が扱った制度と,現在の管理・運営主体及び権限の配置を対応させる必要がある。

最高裁平成5年2月25日判決は,自衛隊機の運航を統括・規制する防衛庁長官の権限行使を公権力の行使と捉え,その取消変更等を求める民事差止めを不適法とした。
一方,最高裁平成28年12月8日判決では,防衛大臣の権限行使を対象とする法定抗告訴訟の差止めについて,訴訟要件と本案が判断されている。
対象が自衛隊機か米軍機かも区別する必要があり,米軍基地訴訟については米軍基地騒音訴訟の判例を参照されたい。

第3 差止めと損害賠償では,同じ事情の重みが異なる
1 受忍限度の判断を具体的な被害へ結び付ける

国道43号・阪神高速道路訴訟の最高裁平成7年7月7日判決(損害賠償)は,侵害の態様・程度,被侵害利益の性質・内容,公共性・公益上の必要性,被害の継続の経過,防止措置の有無・内容・効果等を総合して判断した。
国等が管理する公の営造物については,国家賠償法2条の設置・管理の瑕疵が問題となる。
被害の記載は,発生源に近いという事情に加え,睡眠,会話,生活や仕事への影響を,日時と資料に結び付けることが重要である。

公の道路については,道路の破損などの物理的な欠陥だけが,国家賠償法2条1項の瑕疵となるわけではない。
最高裁平成7年7月7日判決(損害賠償)は,供用目的に沿った利用に伴い,利用者以外の周辺住民に危害が及ぶ場合も含むとした(PDF1~2頁)。

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会社への不動産遺贈で確認する税金―みなし譲渡・受贈益・遺留分の精算(AI作成)

目次

第1 会社への遺贈を検討するときの確認事項第2 個人側のみなし譲渡と準確定申告第3 会社側の受贈益と資産の記録第4 遺留分の精算を別の段階として考える第5 弁護士と税理士が共有したい資料第6 関連記事第7 出典
第1 会社への遺贈を検討するときの確認事項

個人が自分の会社などに土地や建物を遺贈する場合,代金を受け取らなくても,遺贈する個人側の所得税と,受け取る会社側の法人税を確認する必要がある。
遺留分侵害額を金銭又は不動産で精算する場合には,その後の取引の課税関係も生じ得る。
本記事は,日本の通常の株式会社・合同会社などへの不動産遺贈を対象に,令和8年10月14日に確認した法令及び国税庁資料を基に,遺言作成と相続後の精算で確認すべき点を説明する。
公益法人への寄附・遺贈,国外の法人又は信託を用いる場合は,適用範囲や特例を別途検討する必要がある。

本記事が説明する通常の会社への不動産遺贈と,政治団体への遺贈又は公益信託への拠出とは,受領者の法的属性と適用される特例が異なる。
受領側に相続税・贈与税の非課税規定が適用されても,遺贈者側のみなし譲渡所得税の検討が終わるわけではない。

政治団体については,代表者交代,団体間の寄附,個人からの遺贈及び個人への財産移転を分けた政治団体の資金承継と相続税―代表者交代・寄附・遺贈と個人への移転を分ける(AI作成)(https://yamanaka-bengoshi.jp/2026/10/20/seiji-dantai-shikin-shoukei-souzokuzei/)を参照されたい。
公益信託の認可と所得税の非課税承認の違いは,公益信託への寄附・遺贈と税金―相続税・贈与税の非課税とみなし譲渡の承認手続(AI作成)(https://yamanaka-bengoshi.jp/2026/10/20/koueki-shintaku-kifu-izou-zeimu/)で説明している。

第2 個人側のみなし譲渡と準確定申告

所得税法59条1項1号は,法人に対する遺贈によって譲渡所得の基因となる資産が移転した場合,その時の価額に相当する金額で資産を譲渡したものとみなす。
したがって,会社から売買代金を受け取らないことだけを理由に,譲渡所得が生じないとはいえない。
通常の遺言は遺言者の死亡時に効力を生じるが,停止条件などがある場合には,効力発生時期を個別に確認する。

所得税法59条1項本文は「居住者の有する」資産の移転を定めているため,まず遺言者の所得税上の居住者区分を確認する。
居住者は,所得税法2条1項3号にいう国内の住所,又は現在まで引き続き1年以上の居所により判定され,外国籍であることだけで非居住者になるわけではない。
非居住者の遺贈,国外の不動産又は外国法人が関わる場合には,本記事の国内会社向けの説明から課税の結論を出さず,課税範囲と適用関係を個別に確認する。

所得税の計算では,移転時の価額,資産の取得費及び譲渡費用の資料を確認する。
相続税評価額や固定資産税評価額を,当然に譲渡所得の計算に用いる時価と同一視しない。
土地・建物については原則として分離課税の規定が適用されるため,総合課税の譲渡所得における50万円の特別控除や長期譲渡所得の2分の1の計算を一律に当てはめない。

死亡した人について確定申告を要する場合,所得税法125条などに基づく準確定申告を確認する。
国税庁は,相続人等が相続の開始を知った日の翌日から4か月以内に申告・納税すると説明し,相続人等には包括受遺者を含めている。
誰が申告・納税を行うかは,特定遺贈と包括遺贈の別,国税通則法5条の納税義務の承継及び各人の取得財産を確認して判断する。
不動産を受け取る会社と,申告・納税を担う者が同一とは限らないため,遺言を作る段階から納税資金と関係者への資料交付を検討することが望ましい。

第3 会社側の受贈益と資産の記録

法人税法22条2項は,無償による資産の譲受けに係る収益を,別段の定めがある場合を除き,益金の額に算入する。
会社が不動産の遺贈を受けた場合にも,個人側の所得税とは別に,受贈益とその計上時期を確認する必要がある。
個人側に所得税が生じたことだけで,会社側の受贈益がなくなるわけではない。

無償取得した資産の価額については,法人税法22条4項の公正妥当な会計処理の基準も踏まえて確認する。
税務大学校の平成25年の研究論文は,無償取得した固定資産について,公正な評価額を取得原価とする考え方を説明している。

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海外売掛金の債権譲渡・譲渡担保―準拠法,通知・対抗要件,支払先と貸倒処理(AI作成)

目次

第1 請求できる人と税務上の残高を先に確認する第2 契約の内部効と債務者・第三者への効力を分ける1 四つの法律関係を一つにしない2 譲渡担保は外部への効力を別に検討する第3 契約日,通知の到達日及び弁済日を分ける1 日本法の通知・承諾と第三者対抗要件2 登記だけで債務者へ請求できるとは限らない3 弁済が先なら債権の存否から確認する第4 複数の請求者が現れたときの支払先と供託第5 相殺後に残る債権を貸倒判断へ引き継ぐ1 相殺の成立と会計上の差引きは別である2 譲渡・担保化・供託も貸倒れと区別する第6 弁護士と税理士で共有する確認表第7 新法の公布と適用時期を混同しない第8 関連記事と出典1 関連記事2 出典
第1 請求できる人と税務上の残高を先に確認する

海外売掛金を譲渡したり,融資の担保にしたりすると,元の売主,譲受人及び担保権者の関係だけでなく,買主が誰に払えばよいかが問題になる。
日本法を契約の準拠法にしたことや,先に契約書へ署名したことだけで,すべての相手に権利を主張できるとは限らない。
法人税の貸倒損失を検討する場合も,その法人にどの債権がいくら残っているかを確認する必要がある。

本記事は,日本の法人が海外取引の売掛金を譲渡・担保化する場面を対象とする。
日本の裁判所で適用法を判断する場合の入口と,日本法が適用される場合の通知・対抗要件,弁護士と税理士で共有する資料を整理する。
法令・公表資料の確認日は令和8年10月14日であり,外国法の具体的内容や個別案件の税務処理を一律に決めるものではない。

第2 契約の内部効と債務者・第三者への効力を分ける
1 四つの法律関係を一つにしない

最初に,①売掛金を発生させた売買契約,②債権譲渡契約,③融資・担保設定契約,④債務者及び競合する譲受人等との関係を分ける。
売買契約の準拠法,譲渡契約の準拠法,担保設定契約の準拠法が同じとは限らない。
被担保貸金債権と,担保の目的となる売掛金も別の債権である。

日本の裁判所では,契約の成立・効力について,通則法7条による当事者の法選択を確認し,選択がない場合は8条を検討する。
一方,通常の債権譲渡の債務者その他の第三者に対する効力は,23条により,被譲渡債権について適用すべき法による。
譲渡契約で別の法を選んだことだけで,債務者や競合する第三者にもその法が適用されると扱わない。

2 譲渡担保は外部への効力を別に検討する

債権譲渡担保については,担保設定契約の当事者間の効力と,債務者・競合権利者に対する効力を区別する。
外部への効力をどの法で規律するかは,通常譲渡との共通性,担保の法的性質,客体債権との関係等を踏まえて検討する。
担保設定契約の選択法をそのまま競合する譲受人との優劣へ及ぼしたり,貸金債権の法を客体売掛金の法と取り違えたりしない。

外国の裁判所や倒産手続で権利を主張する場合には,その国の抵触法,公示制度及び手続も確認する。
日本の裁判所での準拠法判断を,外国でも同じになるという前提で用いない。
担保取得時には,第三債務者の所在地,資産所在地,実行予定地も現地専門家へ伝える。

第3 契約日,通知の到達日及び弁済日を分ける
1 日本法の通知・承諾と第三者対抗要件

通常の債権譲渡に日本法が適用される場合,民法467条により,譲渡人から債務者への通知又は債務者の承諾を確認する。
債務者以外の第三者への対抗には,確定日付のある証書による通知又は承諾が必要となる。
通知を作成・発送した日,確定日付,債務者への到達日を混同せず,契約日が早いことだけで優劣を決めない。

通知の名義,対象債権の特定,送付先,受領記録及び代理権を確かめる。
担保権者が送った実行通知を,譲渡人による適法な譲渡通知と当然に同視しない。

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借主が立退料を受け取るときの税金―所得区分・引越費用・明渡合意書の確認(AI作成)

目次

第1 個人の借主は,立退料の中身を先に確認する第2 明渡しのための給付と,損害賠償金を分ける1 正当事由を補う給付という位置付け2 引越費用の補填でも当然に非課税ではない第3 立退料の所得区分は三つに分けて検討する第4 一時所得の収入と,控除できる支出を混同しない1 実費を使ったことと非課税は別の問題2 特別控除と総所得への算入第5 年分,申告及び申告後の訂正を確認する第6 合意前に弁護士と税理士が共有する資料1 当初の請求と,最終的に合意した給付を分ける2 税務上の取扱いを当事者間の合意だけで決めない第7 関連記事第8 出典及び確認範囲
第1 個人の借主は,立退料の中身を先に確認する

個人が住居,店舗又は事務所を明け渡して立退料を受け取る場合,名目が「解決金」「移転費用」「慰謝料」であることだけでは,課税関係は決まらない。
国税庁は,借家権の消滅の対価,事業の収入又は必要経費の補填,その他の部分に分けて所得区分を示している。
合意する金額を決める前に,何を補う給付か,費用を控除できるか,どの年分で申告するかを整理することが重要である。

本記事は,個人の借主が受け取る金銭を対象とする。
貸主が支払う立退料の必要経費・取得費の処理,法人の受領及び公共事業の補償の特例は,対象となる制度が異なるため別に検討する。
基準日は令和8年10月14日であり,国税庁の令和8年4月1日現在法令等と,対象施行版の法令本文を参照する。

第2 明渡しのための給付と,損害賠償金を分ける
1 正当事由を補う給付という位置付け

普通建物賃貸借の更新拒絶・解約申入れでは,借地借家法28条が,建物の使用の必要性,従前の経過,利用状況,建物の現況等と,明渡しの条件又は引換えとして申し出る財産上の給付を考慮する。
そのような明渡しのための給付であることと,不法行為その他の事故による損害を賠償する給付であることは,判断の出発点が異なる。
民事上の立退料を算定する項目と,税務上の所得区分・費用控除の項目を,同じものとして自動的に扱わない。

2 引越費用の補填でも当然に非課税ではない

所得税法9条1項18号・施行令30条の損害賠償金等の非課税規定は,心身又は所定の資産損害等を対象とする。
建物を明け渡す合意のために受け取る金銭は,実際に引越費用を支払ったことだけで,事故による損害賠償金と同じ扱いになるわけではない。
一方,建物の不具合や事故による独立した損害の賠償が同じ支払に含まれる場合は,その部分の原因,損害の内容及び金額を別に確認する。

非課税の検討では,まず損害賠償金等の対象に該当するかを確認し,次に収入又は必要経費を補う部分の取扱いを調べる。
国税庁No.1700は,負傷による収益補償と,棚卸資産や事業上の必要経費の補填を区別している。
「収益補償だから全部課税」「損害賠償だから全部非課税」という一律の処理は避ける。

第3 立退料の所得区分は三つに分けて検討する

国税庁No.3155の整理は,次のとおりである。
総額をどれか一つへ機械的に分類するのではなく,実質の異なる部分があるかを確認する。

給付の性格国税庁が示す所得区分確認する資料借家権の消滅の対価に相当する部分総合課税の譲渡所得賃貸借契約,権利の内容,対価の算定根拠事業の休業等による収入又は必要経費を補う部分事業所得等休業期間,売上資料,継続する費用,補償計算書上記のいずれにも当たらない部分一時所得合意の目的,交渉経過,明渡条件,金額の根拠

所得税基本通達33-6は,借家権の消滅の対価に相当する部分と,それ以外の立退料を分けている。
居住用か事業用かだけで結論を決めず,何が失われ,何のために支払われる金銭なのかを確認する。
例えば,交渉前から廃業が決まっていた場合は,立退きによる休業の収入補償という説明が実際の経過に合うかを検討する必要がある。

第4 一時所得の収入と,控除できる支出を混同しない
1 実費を使ったことと非課税は別の問題

一時所得に分類される場合も,受取総額がそのまま課税計算の最終額になるわけではない。

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競争者とのOEM・共同製造は適法か―費用共通化・情報遮断・供給確保と会社分割の税務(AI作成)

目次

第1 販売を別々に続けても競争法の検討は必要である第2 契約によるOEMと企業結合の審査を分ける第3 市場・費用・余力は分母をそろえて確認する第4 秘密保持条項を情報の流れと接続する第5 第三者への供給条件と問題解消措置を検討する第6 共同新設分割の税務は別の要件表で確認する第7 実行の判断を資料と条件に結び付ける第8 関連記事第9 出典
第1 販売を別々に続けても競争法の検討は必要である

競争するメーカー同士が,相互に製造を委託し,又は部品の製造を共同会社に移す場合,販売価格を各社で決めるという条項だけで独占禁止法上の問題がなくなるわけではない。
製造の分担によって独立した生産能力が失われること,費用の主要部分が共通になること,受注情報が相手方へ流れること及び第三者への部品供給が不利になることを,計画の実態に即して確認する必要がある。

会社分割を用いる場合は,競争法上の審査と法人税の適格判定を別々に行う。
共同製造の効率化を説明できても,それだけで両方の条件を満たすわけではない。
本記事は令和8年10月14日に確認した公正取引委員会の掲載資料と税法・通達を基に,弁護士,税理士及び企業担当者が同じ事業計画を確認するための手順を示す。

第2 契約によるOEMと企業結合の審査を分ける

相互OEMの契約では,製造数量,設備又は取引先等について競争者同士が相互に事業活動を拘束する内容になっていないかを確認する。
不当な取引制限は契約の名称を問わず,独占禁止法2条6項・3条の要件に沿って判断する。
全量の製造を相手方へ移して自社の製造を中止する計画と,能力を残したまま一部だけを委託する計画では,失われる競争の程度が異なる。

共同新設分割による製造会社の設立では,同法15条の2による企業結合審査のほか,設立後の競争者間の契約・情報交換も検討する。
事前届出の要否と競争制限の実体判断は別の問題であり,届出対象外という理由だけで適法とはいえない。
届出対象の場合は,実行禁止期間を含め,事業日程と手続を対応させる必要がある。

計画の部分確認する事項最初に集める資料相互OEM全量依存,製造分担,独立した増産の余地委託数量,設備別の稼働率,自製継続計画部品の共同製造部品供給と完成品販売の両方への影響内製・外販別の数量,供給先,切替えに要する期間情報管理親会社間及び第三者の情報の流れデータ項目,報告先,アクセス権限,兼務者会社分割競争法審査と税務適格性の整合分割計画,資本関係図,資産負債・従業者の移転表

この表は実務上の確認方法であり,法令が一律に定めた提出書類の一覧ではない。

第3 市場・費用・余力は分母をそろえて確認する

商品の用途,性能,価格,需要者の選択及び供給者の転換可能性を確認し,商品と地域の範囲を決める。
完成品の販売市場と部品の供給市場は,名称や取引関係が近くても同じ市場とは限らない。
部品の自家消費と第三者への外販を区別し,完成品の販売シェアをそのまま部品外販市場のシェアとして使わない。
内製能力が外販へ転用できるかは,供給側の事情として別に検討する。

費用共通化の検討では,委託価格,原材料費,製造費及び完成品の販売価格を混同せず,何に対する割合かを明示する。
例えば部品費が製造費の半分という説明から,販売価格の半分も共通化すると計算してはならない。
共通化する範囲に加え,自製設備,独立した増産,仕入先の変更及び残る販売費用によって,値下げ競争を続けられるかを確認する。

公取委の令和3年度相談事例2は,窯業製品の一部について相互OEMを行う計画を扱う。
独立した販売,等量の製品交換,金銭のやり取りがないこと,製造費用が共通化しないこと,納入先・納入価格が相手方に分からないこと及び供給余力等を検討して,問題とならないと回答したものである。
一部委託という形式や,事例に現れる割合だけを取り出して,他の計画にも通用する適法基準とは扱わない。

第4 秘密保持条項を情報の流れと接続する

秘密保持条項で目的外利用を禁止しても,共同会社から親会社へ詳細な情報が常時届く運用であれば,販売の独立性を維持できるかは別に検討する必要がある。
販売価格,顧客名,将来の販売計画,製品別の供給数量及び第三者向けの部品価格を,製造に必要な情報と区別する。

(続きを読む...)競争者とのOEM・共同製造は適法か―費用共通化・情報遮断・供給確保と会社分割の税務(AI作成)