目次
第1 この記事の対象1 失踪宣告と不在者財産管理人を選ぶ前に2 期間と日付の見取り図第2 失踪宣告の要件と死亡とみなされる日1 普通失踪と危難失踪2 7年が経てば自動的に死亡扱いになるわけではない第3 申立人と申立先1 申立てができる人2 申立先の家庭裁判所第4 必要書類と申立書の準備1 標準的な添付書類2 申立書と経過の整理第5 費用と納付する時期第6 申立てから確定後の届出まで1 申立てと家庭裁判所の調査2 公告と届出の催告3 審判の確定と証明書4 市区町村への失踪届第7 よくある質問1 申立てから何か月で終わるのか2 警察への届出だけで失踪宣告になるのか3 相続人が行方不明なら,失踪宣告を待つしかないのか4 失踪宣告後に本人の生存が分かったらどうするのか第8 関連記事と出典1 関連記事2 法令・公的資料
第1 この記事の対象
家族などの生死が長く分からないときは,家庭裁判所の失踪宣告によって,その人を法律上死亡したものとみなすことができる。
本記事は,日本国内で申立てを検討する人に向けて,制度の選び方から,要件,申立先,資料・申立書の準備,費用,審判確定後の届出までを整理する。
要件となる生死不明の期間,死亡したものとみなされる日,申立て後の手続に要する期間は,それぞれ異なる。
費用・書式は,令和8年11月1日に確認した裁判所の公開案内に基づく。
1 失踪宣告と不在者財産管理人を選ぶ前に
最初に,必要なのが「死亡したものとみなすこと」なのか,「行方不明者の財産を管理し,遺産分割等を進めること」なのかを整理する。
確認点失踪宣告不在者財産管理人制度の役割生死不明の者を法律上死亡したものとみなす不在者の財産を管理する相続との関係死亡とみなされる時点に応じて相続関係を判断する管理人が家庭裁判所の許可を得て,不在者に代わり遺産分割協議に加わる方法がある最初に整理すること生死不明の期間,危難の有無,死亡とみなされる時点管理が必要な財産と,遺産分割等で行おうとする行為
不在者財産管理人を選ぶ場合は,相続人が行方不明の場合の不在者財産管理人で,所在調査,選任,権限外行為許可,管理の終了までを確認されたい。
制度の根拠は,民法25条・28条・30条・31条及び裁判所の家事事件Q&A・第14で確認できる。
2 期間と日付の見取り図
確認するもの内容取り違えないもの申立ての要件となる期間普通失踪は7年間。危難失踪は危難が去った後1年間の生死不明申立てから結果が出るまでの期間死亡とみなされる時点普通失踪は7年間が満了した時。危難失踪は危難が去った時審判日・確定日・戸籍への届出日申立て後の催告期間普通失踪は3か月以上,危難失踪は1か月以上調査や確定までを含む総所要期間即時抗告の期間原則として2週間。起算点と抗告できる者は第6の3で説明する審判書の到着だけによる確定の判断確定後の失踪届裁判を請求した者が,確定日から10日以内に届け出る死亡とみなされる日から数える期限
第2 失踪宣告の要件と死亡とみなされる日
1 普通失踪と危難失踪
不在者の生死が7年間明らかでないときは,利害関係人の請求により,家庭裁判所が失踪宣告をすることができる。
これが普通失踪である。
戦地に臨んだ者,沈没した船舶の中に在った者その他死亡の原因となるべき危難に遭遇した者については,戦争が止んだ後,船舶が沈没した後又はその他の危難が去った後,1年間生死が明らかでない場合にも失踪宣告をすることができる。
これが危難失踪である(民法30条)。
種類要件となる生死不明の期間死亡とみなされる時点普通失踪生死が7年間明らかでないその7年間が満了した時危難失踪死亡の原因となる危難が去った後,1年間生死が明らかでない危難が去った時
死亡とみなされる時点は民法31条による。
危難失踪では,要件となる危難が去った後の1年間と,死亡したものとみなされる「危難が去った時」を分けて確認する。
単に長く連絡がないという説明だけで判断せず,最後に生存を確認した時期,その後の連絡や調査の経過,危難に遭遇した場合はその事情を資料と対応させて整理する。
2 7年が経てば自動的に死亡扱いになるわけではない
7年間が経過しただけで,失踪宣告がされたことにはならない。
利害関係人が申し立て,家庭裁判所の審理と審判の確定を経る必要がある(民法30条,家事事件手続法74条・148条)。
死亡とみなされる日と,親などが死亡した日との先後によって,誰が相続人になるかが変わる場合がある。
申立てを決める前に,行方不明となった経緯と,関係する相続の時系列を並べて確認する。
相続人の変動,相続税の申告期限・財産評価,取消し及び外国が関わる場合の詳しい説明は,失踪宣告と相続・相続税に分けている。
第3 申立人と申立先