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勤務条件付き奨学金・従業員の学費は非課税か―返還免除,通常給与への加算及び源泉徴収の確認(AI作成)

奨学金を一定期間の勤務によって免除する制度では,「勤務の対価だから必ず課税」「授業料だから必ず非課税」のいずれも判断の出発点として十分ではない。会社・病院の人事,経理,法務と税理士が確認すべき条件を,令和8年10月10日に確認した法令及び国税庁資料に基づいて整理する。

第1 学資金の使途と非課税の条件を分ける

所得税法9条1項15号は,「学資に充てるため給付される金品」を非課税所得としつつ,給与その他対価の性質を有する給付について複雑な除外と例外を置いている。支出の名称だけでなく,誰が,誰の学資のために,どの関係に基づいて給付するのかを確定する必要がある。

給与所得者が使用者から受ける場合には,通常の給与への加算か,役員又は一定の親族等の学資かを順に確認する。勤務条件が付いていることだけで,この例外の検討を終えてはならない。

第2 通常の給与を学資金へ付け替えない

国税庁No.2588及び所得税基本通達9-14は,通常の給与へ上乗せして支給する学資金と,本来支払う給与を減らして学資金という名目へ置き換える給付を区別している。後者は非課税にならない。

制度導入前後の給与規程,雇用契約,給与明細及び賞与算定を照合し,学費支援のために通常給与を減額していないかを確認する。授業料の領収書があるだけでは,給与の付け替えを否定する証拠として十分ではない。

法人では,役員本人の学資や,役員・使用人と特別の関係にある者の学資が除外の問題となる。個人事業者についても別の除外がある。所得税法施行令29条と制度対象者の属性を照合する。No.2588には特別関係者自身も使用人で,その者だけを対象としない場合の取扱いがあるが,親族が従業員であれば無条件で非課税という意味ではない。

第3 貸与・返済免除・返済支援は別々に確認する

1 使用者が貸与した奨学金の免除

国税庁の従業員に貸与した奨学金の返済免除に関する質疑応答は,資格取得に必要な授業料等を会社が学校へ直接払い込み,一定期間の勤務によって返済を免除する制度を扱っている。役員を除く従業員を対象とし,給与を減額しないという事実関係の下で,免除益の非課税を認めている。

現金を新たに手渡す場合だけが学資金となるわけではない。学資に使われた貸与金の返済免除も検討対象となる。ただし,生活費や他の借入れの返済等が混在する制度へ,この結論をそのまま移すことはできない。

2 他の団体の奨学金返済を支援する場合

奨学金返済に充てる給付に関する国税庁の質疑応答は,学資に使われた奨学金について,県が貸与財団へ直接送金し,債務残高を超えない支援を扱っている。資金の使途と返済への充当が確保された事例として読むべきであり,本人に自由に使える現金を支給する全制度の非課税を保証する資料ではない。

制度の名称よりも,元の借入れが何に使われ,誰へ送金され,残高と照合できるかが重要である。県の制度,会社の福利厚生,採用時の一時金を同じ給付として処理しない。

第4 貸与者・雇用者・免除時点を記録する

学生時代の貸与,入社,資格取得,勤務期間の満了及び免除決定を,一つの時系列へ記録する。貸与した者と雇用した者が同じか,免除時に誰の給与所得者であるかも確認する。給与その他対価の性質の有無と,使用者からの学資金についての非課税条件を別々に検討するためである。

県が複数の医療機関での勤務を条件とする制度については,名古屋国税局の文書回答資料に,貸与した県自身の下での勤務を条件としない点などが説明されている。この資料の別紙には照会者の見解も含まれるため,病院が自ら貸与する制度と事実関係を比較して用いる。

貸与時の雇用関係だけ,又は免除時の勤務条件だけを一つ抜き出して判断せず,適用年分の条文と実際の契約を組み合わせる必要がある。

第5 制度設計と免除決定で残す資料

人事は,対象資格・学校・対象者,給与との関係及び勤務条件を規程と個別契約へ記録する。経理は,学校への送金,領収書,貸与元帳,返済残高,免除額及び給与台帳を対応させる。法務と税理士は,給付の性質,対象者の属性,免除時の事情及び非課税判断の根拠を確認する。

免除を決定する前に,①学資への実際の使用,②通常給与への加算,③役員・親族等の除外,④貸与者と雇用者の関係,⑤免除の効力発生日と額を確認する運用が有用である。これは本記事の運用提案であり,国税庁が一律に指定した社内手続ではない。

退職時の返還条項,賃金からの控除及び労働契約上の有効性は,税務上の非課税とは別に検討する。税務署が非課税の取扱いを示しても,契約全体の有効性まで認めたことにはならない。

第6 過大な源泉徴収をしていた場合

非課税の給付から誤って税額を控除した場合は,支払者と受給者との精算,支払者から国への誤納額還付,受給者本人の年分の所得税を分ける。詳しくは源泉所得税に関するメモ書きを参照されたい。

給与所得の非課税判断と民事上の請求先を検討する例として,令和6年司法試験租税法第2問の模範解答と評価項目がある。同記事は試験指定の当時法を扱い,本記事は現在の制度設計・事実確認を扱う。

第7 資料の位置付け

法令の根拠は所得税法9条1項15号及び施行令29条,行政解釈は所得税基本通達9-14・9-15と上記国税庁資料である。No.2588の表示基準日は令和8年4月1日,2件の質疑応答の表示基準日は令和7年8月1日である。照会事例の事実条件を外した一般化は避け,対象年分・契約・使途・対象者に変更があれば改めて判断する。