源泉所得税に関するメモ書き

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目次
第1 総論
第2 給与支払事務所等の開設届出書
第3 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
第4 給与所得者の扶養控除等申告書
第5 源泉徴収制度の趣旨等
第6 源泉所得税の確定時期及び不納付加算税の確定時期及びその争い方
1 源泉所得税の確定時期及びその争い方
2 不納付加算税の確定時期及びその争い方
第7 源泉所得税の徴収・納付に過誤がある場合の取扱い
第8 e-Tax(SP版)を利用した源泉所得税の申告
第9 破産管財人の源泉徴収義務
第10 強制執行を受けた場合の源泉徴収義務 
1 最高裁平成23年3月22日判決に基づく取扱い
2 所得税法の関連条文
第11 債務名義に基づく支払をする場合の源泉徴収義務
第12 源泉徴収義務に関する最高裁判例の裁判要旨
第13 その他特殊なお金の支払と源泉徴収
1 未払の残業代及び付加金の支払と源泉徴収
2 従業員の交通事故の慰謝料と源泉徴収
3 出向社員に給料を支払う場合
第14 給与の計算サイト
→ Ke!san「給与所得の源泉徴収税額 令和2,3,4年(月額)」及び「賞与の源泉徴収税額」が載っています。
第15 関連記事その他

第1 総論
1 給与等の支払をする人は,その支払に係る金額について源泉徴収をする義務があり(所得税法6条),源泉徴収義務者といいます。
2 賞与に対する源泉所得税の額は,前月の給与と扶養親族の数によって決まります(転職Hacksの「令和3年税額表つき賞与(ボーナス)の所得税の計算方法」参照)。

第2 給与支払事務所等の開設届出書
1 給与の支払者は,新たに給与の支払事務を取り扱う事務所等を設けた場合(例えば,法律事務所の開業),その事実が生じた日から1か月以内に「給与支払事務所等の開設届出書」を提出する必要があります(所得税法230条)。
2 国税庁HPの「[手続名]給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出」に「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」が載っています。

第3 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
1 源泉所得税の納期の原則
・ 源泉徴収義務者が源泉徴収をした所得税及び復興特別所得税は,原則として,その源泉徴収の対象となる所得を支払った月の翌月10日までに併せて納付しなければなりません(所得税法181条)。
2 源泉所得税の納期の特例
(1) 給与の支給人員が常時10人未満である源泉徴収義務者については,「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出して承認を受けることで,7月10日及び翌年1月20日にそれぞれ半年分をまとめて納付すれば足りることとなります(所得税法216条)。
(2) この申請書を提出した日の属する月の翌月末日までに税務署長から承認又は却下の通知がない場合,その申請月の翌月末日において承認があったものとされ,その申請月の翌々月の納付分からこの特例が適用されます(所得税法216条,217条5項)。
 そのため,例えば,令和4年9月13日にこの申請書を提出した場合,同年10月末日までに税務署長から承認又は却下の通知がない場合,同日において承認があったものとされ,11月の納付分からこの特例が適用される結果,同年10月から同年12月までの源泉所得税については翌年1月20日までに納付すれば足りることとなります。

第4 給与所得者の扶養控除等申告書
1(1) 給与所得者は「扶養控除等申告書」を,その年の最初の給与の支払を受ける日の前日までに提出することになっています(所得税法194条1項)。
(2) 控除対象扶養親族であった人の就職,結婚などにより控除対象扶養親族の数が減少した場合など,年の中途で「扶養控除等申告書」の記載内容に変更があった場合には,その都度,「異動申告書」を提出することになっています(所得税法194条2項)。
2 国税庁HPの「[手続名]給与所得者の扶養控除等の(異動)申告」に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」及びその記載例が載っています。
3 濱田会計事務所HP「Q10 【令和3年分】「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」とは?記載方法は?」には以下の記載があります。
 給与所得者は、原則としてその年の最初(給与の支払を受ける日の前日までに)に提出します。例えば、令和3年分の「扶養控除等申告書」は、一般的に令和2年12月までに提出します。
 ここでの注意点は、記載する「扶養親族」等の判定は、1年後の12月末で行う点です。
 例えば、令和3年の扶養控除等申告書は、令和2年12月末に提出しますが、16歳以上の「控除対象扶養親族」は、令和3年12月31日現在の年齢が16歳以上、つまり、扶養控除申告書を提出する時点では15歳のお子さんがいる場合ですので、注意しましょう。
 なお、年途中で子供が生まれたり、配偶者のパート勤務等、「扶養家族」に異動があった場合は、随時「扶養控除等申告書」を会社に提出しなければいけません。
4(1) 従業員から扶養控除等申告書を提出してもらっていない場合,給与所得の源泉徴収税額表(月額表)の乙欄で源泉徴収をする必要があります。
(2)  国税庁HPに「令和4年分 源泉徴収税額表」が載っています。


第5 源泉徴収制度の趣旨等
1 東京高裁昭和49年9月26日判決(判例秘書に掲載)は,源泉徴収制度の趣旨に関して以下の判示をしています。
  源泉徴収制度の趣旨は、納税義務者の納税を容易ならしめるため、所得が納税義務者の手中に帰する以前の段階で徴収して税金の概算前払の方法で国が一応これを収納し、他日所得金額が明らかになってから、改めて納税義務者から納税させる代りに既に源泉徴収によって納付した右税額をもってこれに充て、もし不足があれば追加納付させ、余剰があれば還付して、納税義務者の事後納税によって生ずる煩雑な事務を軽減すること、他面、源泉徴収の方法によらないと容易に捕捉しがたい種類の収入を容易に捕捉してその支払の段階で支払者をして捕捉徴収させ、これによって国の所得調査の手数を省くこと等にあるものとされている。
2 最高裁平成23年1月14日判決は,以下の判示をしています。
  弁護士である破産管財人が支払を受ける報酬は,所得税法204条1項2号にいう弁護士の業務に関する報酬に該当するものというべきところ,同項の規定が同号所定の報酬の支払をする者に所得税の源泉徴収義務を課しているのは,当該報酬の支払をする者がこれを受ける者と特に密接な関係にあって,徴税上特別の便宜を有し,能率を挙げ得る点を考慮したことによるものである(最高裁昭和31年(あ)第1071号同37年2月28日大法廷判決・刑集16巻2号212頁参照)。


第6 源泉所得税の確定時期及び不納付加算税の確定時期及びその争い方
1 源泉所得税の確定時期及びその争い方
(1) 源泉所得税の徴収納付義務は,源泉徴収の対象となる所得等の支払の時に成立し(国税通則法15条2項2号),その成立と同時に特別の手続を要しないで納付すべき税額が確定します(国税通則法15条3項2号)。
  そのため,源泉所得税の納税の告知(所得税法36条1項2号)は,税額の確定した国税債権について納税義務者に履行を請求する行為(徴収処分)であり,源泉所得税の額を確定する行為(課税処分)ではありません。
  したがって,支払者は,源泉徴収義務の存否又は範囲を争って納税の告知に対する抗告訴訟を提起できるものの,これと併せて,又はこれと別個に,源泉徴収義務の全部又は一部の不存在確認の訴えを提起できます(最高裁昭和45年12月24日判決参照)。
(2) 源泉所得税は,原則として徴収した日の翌月10日が納期限となっているものの,源泉所得税の納期の特例の承認を受けていた場合,毎年7月10日及び翌年1月10日だけが源泉所得税の納期限となります(国税庁HPの「[手続名]源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請」参照)。
2 不納付加算税の確定時期及びその争い方
(1) 不納付加算税につき,源泉所得税を税務署の通知に基づいて納付した場合は源泉所得税の10%が課税され,税務署からの通知を受けることなく自ら納付した場合は源泉所得税の5%が課税されます(国税通則法67条)。
(2) 不納付加算税の納税義務は,本税である源泉所得税の法定納期限の経過の時に成立し(国税通則法15条2項14号),税務署長の賦課決定(課税処分)によりその納付すべき税額が確定します(国税通則法16条2項2号,32条)。
  そのため,支払者が不納付加算税の納税義務の存否又は範囲を争うためには,賦課決定に対する抗告訴訟を提起することが通常の争い方となるものの,賦課決定の無効を主張して納税義務の不存在確認の訴えを提起することもできます(最高裁平成23年1月14日判決の最高裁判所判例解説(法曹時報66巻1号214頁)参照)。
(3) 国税庁HPに「源泉所得税及び復興特別所得税の不納付加算税の取扱いについて(事務運営指針)」が載っています。


第7 源泉所得税の徴収・納付に過誤がある場合の取扱い
1 源泉所得税の徴収・納付に不足がある場合,不足分について,税務署長は源泉徴収義務者たる支払者から徴収し(所得税法221条),支払者は源泉納税義務者たる受給者に対して求償すべきものとされており(所得税法222条),また,源泉所得税の徴収・納付に誤りがある場合,支払者は国に対し当該誤納金の還付を請求することができ(国税通則法56条),他方,受給者は,何ら特別の手続を経ることを要せず直ちに支払者に対し,本来の債務の一部不履行を理由として,誤って徴収された金額の支払を直接に請求することができます(最高裁平成4年2月18日判決)。
2 国税庁HPの「タックスアンサーNo.2506 源泉所得税及び復興特別所得税を納め過ぎたとき」からすれば,受給者は,源泉所得税の納税地の所轄税務署長に「源泉所得税及び復興特別所得税の誤納額還付請求書」を提出することで,納め過ぎた源泉徴収税額の還付を請求することもできます。


第8 e-Tax(SP版)を利用した源泉所得税の申告
1(1) e-Tax(SP版)を利用した源泉所得税の申告の流れは以下のとおりです。
① タブレット又はスマホを使い,利用者識別番号及び暗証番号を入力してe-Tax(SP版)にログインをする。
② 「申請・納税」
→ 「徴収高計算書を提出する」
→ 「(一般)給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書」,「(納期特例分)給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書」又は「報酬・料金等の所得税徴収高計算書」と進む。
③ (「(一般)給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書」を選んだ場合)「提出先税務署」及び「内容の作成」を入力する。
・ 「内容の作成」に際し,「納期等の区分及び区分の選択」については,例えば,「令和4年9月分」及び「俸給・給料等」と入力する。
・ 「内容の作成」に際し,「支払年月日・人員・支給額・税額の入力」のうち,「納期等の区分」は入力済みとなっていて,「区分」につき,「報酬・給料等(01)」を選択した場合,「支払年月日」,「人員」,「支給額」及び「税額」を入力します。
 そのため,従業員全体の給料の支給額及び源泉徴収額を別にメモ書きしておいた方がいいです。
・ ネットバンキング等を利用する予定の場合,「所得税徴収高計算書用紙の送付の要否」は「否」でいいです。
④ 「送信」ボタンをタップする。
(2) 「(納期特例分)給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書」を選んだ場合,「人員」欄には,各月の実人員の合計数を記載する必要があるのであって,例えば,1月から6月まで毎月2人に給与を支払っている場合の人員は12人となります。
(3) 令和5年1月現在,私のパソコンでは「e-Taxソフト(WEB版)の構成に問題がある可能性がありますので、e-Taxソフト(WEB版)の事前準備セットアップを再度実行してください。」というエラーメッセージが出て解決方法がわからないため,タブレットで源泉所得税の申告を行いました。
2(1) インターネットバンキングを用いて源泉所得税を支払う場合,以下の番号を入力すればいいです。
① 国税庁の収納機関番号として00200を入力する。
② 納付番号として利用者識別番号(16桁の数字です。)を入力する。
③ 確認番号として納税用確認番号(e-taxの開始届出書を提出した際に設定した6桁の番号です。)を入力する。
④ 納付区分として受信通知(納付区分番号通知)に届いた納付区分を入力する。
(2) 国税庁HPに「e-Taxを利用して源泉所得税が納付できます!」が載っています。
(3) e-Taxに「納付区分番号を確認するには、どうすればいいですか。」が載っています。


第9 破産管財人の源泉徴収義務
1 最高裁平成23年1月14日判決によれば以下のとおりです。
① 弁護士である破産管財人は,所得税法204条1項2号の規定に基づき,自らの報酬の支払の際にその報酬について所得税を徴収し,これを国に納付する義務を負います。
② 弁護士である破産管財人の報酬に係る源泉所得税の債権は破産法148条1項3号の財団債権です。
③ 破産管財人は,破産債権である所得税法199条所定の退職手当等の債権に対する配当の際にその退職手当等について所得税を徴収し,これを国に納付する義務を負うものではありません。
2 最高裁平成23年1月14日判決の最高裁判所判例解説には以下の記載があります(法曹時報66巻1号211頁)。
  退職手当等の債権に対する配当についての本判決の考え方は,給与等の債権等,源泉徴収の対象となり得る他の破産債権に対する配当に関しても基本的に妥当し,また,現行破産法の下における破産債権に対する配当及び弁済許可に基づく弁済(現行破産法101条)に関しても同様に妥当するものと考えられる。さらに,現行破産法の下では,労働者の給料及び退職手当の請求権の一部が財団債権とされているが(現行破産法149条),これらの請求権のうち本来の性質が破産債権であるものについては,本判決の考え方が妥当し,破産管財人はその弁済について源泉徴収義務を負わないものと解される。


第10 強制執行を受けた場合の源泉徴収義務 
1 最高裁平成23年3月22日判決に基づく取扱い
(1) 給与等の支払をする者が,その支払を命ずる判決に基づく強制執行によりその回収を受ける場合であっても,上記の者は,所得税法183条1項所定の源泉徴収義務を負うのであって,給与等の債権者がその債務名義に基づいて民事執行法122条2項により弁済を受ける場合には,源泉徴収されるべき所得税相当額をも含めて強制執行をし,他方,源泉徴収義務者は,強制執行により支払った給与等につき源泉徴収すべき所得税を納付した上で,法222条に基づき求償することになります(最高裁平成23年3月22日判決)。
(2) 最高裁平成23年3月22日判決の裁判官田原睦夫の補足意見には「給与等の債権者による強制執行手続が複数回にわたって行われる場合には,給与等の支払義務者が第1回目の強制執行手続に基づいて支払った給与等に係る所得税の源泉徴収義務は,その支払によって具体的に発生することになるから,同税相当額は,それ以後に支払うべき金額から控除することができる。」と書いてあります。
(3) 最高裁平成23年3月22日判決は,給与等の支払が強制執行による場合における社会保険料の控除の問題については,何ら明らかにしていません(法曹時報65巻12号72頁参照)。


2 所得税法の関連条文
(1) 所得税法183条(源泉徴収義務)1項は以下のとおりです。
  居住者に対し国内において第二十八条第一項(給与所得)に規定する給与等(以下この章において「給与等」という。)の支払をする者は、その支払の際、その給与等について所得税を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月十日までに、これを国に納付しなければならない。
(2) 所得税法222条(不徴収税額の支払金額からの控除及び支払請求等)は以下のとおりです。
  前条の規定により所得税を徴収された者がその徴収された所得税の額の全部又は一部につき第一章から第五章まで(源泉徴収)の規定による徴収をしていなかつた場合又はこれらの規定により所得税を徴収して納付すべき者がその徴収をしないでその所得税をその納付の期限後に納付した場合には、これらの者は、その徴収をしていなかつた所得税の額に相当する金額を、その徴収をされるべき者に対して同条の規定による徴収の時以後若しくは当該納付をした時以後に支払うべき金額から控除し、又は当該徴収をされるべき者に対し当該所得税の額に相当する金額の支払を請求することができる。この場合において、その控除された金額又はその請求に基づき支払われた金額は、当該徴収をされるべき者については、第一章から第五章までの規定により徴収された所得税とみなす。


第11 債務名義に基づく支払をする場合の源泉徴収義務
1 最高裁平成23年3月22日判決に関する最高裁判所判例解説には以下の記載があります(法曹時報65巻12号73頁及び74頁参照)。
  使用者としては,源泉所得税を控除しない金額の支払を命ずる判決を受けたとしても,強制執行に至る前に,判決において命ぜられた金額から源泉所得税を控除した金額を労働者に支払うことはできる。そして,その支払時には,公法上源泉徴収義務が成立するから,この義務の履行のために私法上労働者には源泉徴収を受忍する義務が発生すると解され(法183条が労働基準法24条1項にいう法令の別段の定めに当たると解されていることは,このことを前提としているものと思われる。),源泉所得税を控除した金額の支払をもって,判決において命ぜられた給与等の全額について債務が消滅することになるのではないかと思われる。そうだとすると,使用者としては,判決段階における抗弁として,源泉所得税額の控除を主張することが認められないとしても,口頭弁論終結後の執行段階における異議事由として,源泉所得税を控除した金額の支払いの事実を主張し,請求異議の訴えを提起することができ(東京地決昭和62年6月9日・判時1236号153頁参照),求償の問題を避けることができるのではないかと思われる。
2(1)ア 給与等の債権者と債務者との間で,判決において支払を命じられた金員がいずれの所得であるかについて争いがある場合,源泉徴収税額が確定しないところ,結果として債務者による源泉徴収税額が多すぎた場合,債権者との関係では未払金が残りますから,請求異議の訴えにおいて全部勝訴判決を得ることはできません。
  また,給与等の債権者が,その支払を受ける時までに退職所得の受給に関する申告書(所得税法203条1項及び6項)を債務者に提出していない場合,債務者としては,20.42%の税率による源泉徴収義務を負うことになります(所得税法201条3項のほか,国税庁HPの「[手続名]退職所得の受給に関する申告(退職所得申告)」参照)。
  そのため,債務者が給与等の債権者との間で源泉徴収税額について合意できなかった場合,源泉徴収税額を含む全額を支払った上で,所得税法222条に基づいて求償する方が無難である気がします。
イ 給与等の債権者が取得するお金が,心身に加えられた損害に起因して取得する損害賠償金に該当する場合,非課税所得となる(所得税法9条1項18号)ために債務者が源泉徴収をする必要はないに対し,給与所得又は退職所得に該当する場合,債務者が源泉徴収をする必要があります。
  なお,心身に加えられた損害に起因して取得する損害賠償金の典型例は,交通事故の治療費,休業損害,入通院慰謝料,後遺障害逸失利益及び後遺障害慰謝料並びに相当の見舞金(葬祭料及び香典を含む。)です(所得税法9条1項18号,所得税法施行令30条及び所得税基本通達9-23参照)。
ウ 請求異議の訴えは,債務名義の存在を前提とし,その執行力の排除を目的とする訴えです(最高裁昭和40年7月8日判決)。
  そのため,判決その他の債務名義が作成されれば訴えを提起することができるのであって,執行文が付与されたこと,又は執行が開始されたことは,請求異議の訴えの要件ではないと思います。
(2) 労働基準法20条に基づく解雇予告手当は退職所得です(所得税法30条1項。所得税基本通達30-5)から,退職所得の受給に関する申告書を事前に受領していない場合,所得税のことだけを考えれば,20.42%の税率による源泉徴収をした上で支払うことが正しいこととなります(d’s JOURNAL「【弁護士監修・完全版】解雇予告手当の複雑な計算方法や支給ルール、流れを解説」参照)。


第12 源泉徴収義務に関する最高裁判例の裁判要旨
1 源泉徴収義務者の納付額は,所得税法の規定により,控除に当たる事項の申告に応じて計算されます(最高裁昭和29年2月23日判決)。
2 所得税法中源泉徴収に関する規定は憲法29条1項等に違反しません(最高裁大法廷昭和37年2月28日判決)。
3 給与等の受給者が,支払者により誤って所得税の源泉徴収をされた場合において,当該年分の所得税の額から右誤徴収額を控除して確定申告をすることはできません(最高裁平成4年2月18日判決)。
4 給与所得に係る源泉所得税の納税告知処分について,法定納期限が経過したという一事をもって,当該源泉所得税の納付義務を成立させる支払の原因となる行為の錯誤無効を主張してその適否を争うことが許されないとはいえません(最高裁平成30年9月25日判決)。


第13 その他特殊なお金の支払と源泉徴収
1 未払の残業代及び付加金の支払と源泉徴収
(1) 未払の残業代を支払う場合,残業代の本体については源泉徴収が必要です。
(2) 未払の残業代の遅延損害金は雑所得です(国税不服審判所平成22年4月22日裁決)から,源泉徴収は不要です。
(3) 未払の残業代に対する付加金(労働基準法114条)は一時所得です(所得税基本通達34-1(3))から,源泉徴収は不要です。
(4) 法律事務所エソラHPの「未払残業代の支払いと税金 」が参考になります。
2 従業員の交通事故の慰謝料と源泉徴収
・ 従業員が交通事故を起こした場合において事業主が当該事故の慰謝料を負担する場合,当該事故が,①会社の業務と関係ないものである場合,又は②従業員の故意又は重過失によるものである場合,原則として源泉徴収が必要です(所得税基本通達36-33のほか,「Q18 従業員が起こした自動車事故の慰謝料を会社が負担するとき」参照)。
3 出向社員に給料を支払う場合
(1) 出向社員の場合,給与を実際にその従業員に支給する会社において源泉徴収を行います(源泉所得税.com「Q32 出向社員への給与と源泉徴収」参照)。
(2) 法人税基本通達9-2-45及び9-2-46は,出向先法人が支出する給与負担金が出向者に対する給与として取り扱われる場合を定めています。



第14 給与の計算サイト
・ Ke!sanに「給与所得の源泉徴収税額 令和2,3,4年(月額)」及び「賞与の源泉徴収税額」が載っています。
・ 給与ねっと「給与計算Ver.2」を使えば,給料及び賞与の源泉所得税等を計算し,かつ,給料明細を作成できます。

第15 関連記事その他
1 給与所得に対する源泉徴収は昭和15年の所得税法改正によって導入されました(名古屋青年税理士連盟HP「源泉徴収制度の仕組みとその問題点」2頁)。
2 源泉徴収制度は憲法14条1項,18条及び29条に違反しません(最高裁大法廷昭和37年2月28日判決)。
3(1) 税理士法人松本HP「税務調査で指摘されやすい税務署が見る源泉所得税のポイントとは? 」が載っています。
(2) 柴田尚之税理士事務所HP「Q1-3 税務調査の担当部署について教えてください。」には「源泉所得税に関しては、 どんなに大規模な法人であっても、 国税局の調査部が担当することは無く、 すべて税務署の法人課税部門の源泉所得税部門等が調査を担当することになっています。」と書いてあります。
4 国内において給与の支払をする者は,支払の際に,給与の金額,源泉徴収税額など必要な事項を記載した支払明細書をその支払を受ける人に交付する必要があります(所得税法231条1項,所得税法施行規則100条1項)。
5 退職所得の受給に関する申告書は,税務署長から提出を求められるまでの間又は7年間,源泉徴収義務者が保存するものとされています(所得税法施行規則77条6項)。
6 マネーフォワードクラウド確定申告「源泉徴収の種類や注意点、フリーランスの場合も解説!」が載っています。
7 国税庁HPに以下の記事が載っています。
・ 令和4年版 源泉徴収のあらまし
・ 令和4年分 源泉徴収税額表
→ 例えば,給与所得の源泉徴収税額表(月額表)賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表及び源泉徴収のための退職所得控除額の表、課税退職所得金額の算式の表及び退職所得の源泉徴収税額の速算表が載っています。
8 以下の記事も参照してください。
・ 個人事業主の税金,労働保険及び社会保険に関するメモ書き
・ e-tax(国税電子申告・納税システム)に関するメモ書き
・ 年末調整に関するメモ書き

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