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在留資格

特別永住者とは――対象者・子孫の要件,出生後60日以内の申請及び永住者との違い

第1 特別永住者の意味
第2 対象者

1 平和条約国籍離脱者
2 平和条約国籍離脱者の子孫

第3 特別永住者となる主な経路

1 法律上当然に特別永住者となった人
2 出生その他の事由による申請
3 一定の在留資格からの申請

第4 「永住者」との主な違い
第5 確認すべき資料
第6 出典

第1 特別永住者の意味

特別永住者とは、日本の植民地統治の終了と平和条約の発効に伴って日本国籍を離脱した人及びその子孫のうち、「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法」により日本で永住することができる人をいう。

本記事の基準日は令和8年8月29日である。

特別永住者は、出入国管理及び難民認定法上の在留資格「永住者」と名称が似ているものの、制度の根拠、対象者及び手続が異なる。

第2 対象者

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特別永住者の再入国許可――みなし再入国の2年,通常許可の6年及び地位喪失の注意点

第1 結論
第2 みなし再入国許可

1 利用の要件
2 2年以内の再入国

第3 通常の再入国許可
第4 期限を超えた場合の注意点
第5 出国前の確認事項
第6 出典

第1 結論
特別永住者が一時的に出国して従前の地位のまま再入国する方法には、みなし再入国許可と通常の再入国許可がある。

本記事の基準日は令和8年8月29日である。

みなし再入国許可の有効期間は原則として出国の日から2年であり、通常の再入国許可は許可される期間が最長6年である。

いずれも、旅券や特別永住者証明書を持って出国すれば無期限に帰国できる制度ではない。
第2 みなし再入国許可
1 利用の要件
有効な旅券及び特別永住者証明書を所持する特別永住者は、出国時に再入国の意思を表明することにより、原則として事前の再入国許可を受けずに出国できる。

実務上は、出国審査の際に再入国出国記録の所定欄を確認し、みなし再入国許可による出国であることを明確にする必要がある。

旅券を取得できない事情がある場合は、通常の再入国許可及び再入国許可書の取扱いを地方出入国在留管理局に確認する必要がある。

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「朝鮮籍」とは何か――「韓国」「朝鮮」の国籍・地域表示と実体国籍の違い

第1 「朝鮮籍」の意味
第2 「韓国」と「朝鮮」の違い

1 「韓国」の表示
2 「朝鮮」の表示

第3 表示と実体国籍を分けて考える必要性
第4 実体国籍を確認するための資料
第5 相続その他の法律実務への影響
第6 出典

第1 「朝鮮籍」の意味
一般に「朝鮮籍」と呼ばれるものは、日本の在留管理上の国籍・地域欄に「朝鮮」と表示されている状態を指す。

本記事の基準日は令和8年8月29日である。

「朝鮮」は朝鮮半島の出身地・地域を示す表示であり、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の国籍を示す表示ではない。

参議院に対する平成20年の政府答弁書も、「韓国」は国籍を表示するものとしつつ、「朝鮮」は朝鮮半島出身者及びその子孫についての地域表示であって、何らかの国籍を表示するものとして用いているものではないと説明している。
第2 「韓国」と「朝鮮」の違い
1 「韓国」の表示
在留管理上の「韓国」は、大韓民国の国籍を表示するものである。

したがって、「朝鮮」から「韓国」へ表示を変更する手続では、大韓民国の旅券、家族関係登録事項別証明書その他の国籍を示す資料が問題となる。
2 「朝鮮」の表示
「朝鮮」は、現在の国家の国籍名ではなく、歴史的に用いられてきた地域表示である。

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台湾人の国籍・地域表示――在留カード・住民票・戸籍,台湾旅券及び中華民国国籍の違い

第1 国籍と地域表示は同じものではない
第2 在留カード及び住民票の「台湾」
第3 戸籍の「台湾」
第4 台湾旅券の意味
第5 中華民国国籍及び台湾の戸籍
第6 歴史的な台湾関係者と現在の台湾出身者
第7 出典

第1 国籍と地域表示は同じものではない
台湾関係者については、①日本の在留管理上の国籍・地域表示、②住民票の記載、③戸籍の国籍・地域欄、④台湾旅券、⑤中華民国国籍及び台湾の戸籍を区別する必要がある。

本記事の基準日は令和8年8月29日である。

日本の行政書類に「台湾」と記載されていることは、その書類における地域表示を意味するのであって、それだけで日本政府による国家承認又は本人の実体国籍に関する全ての問題が決まるわけではない。
第2 在留カード及び住民票の「台湾」
在留カード及び特別永住者証明書の国籍・地域欄では、台湾の権限ある機関が発行した旅券等を所持する人について「台湾」と表示される取扱いがある。

住民票の国籍・地域欄も、在留カード等の記載を基礎として「台湾」と記載される場合がある。

これらは、日本の在留管理・住民記録における「国籍・地域」の表示であり、中華民国国籍の取得又は喪失そのものを決める制度ではない。
第3 戸籍の「台湾」
法務省は、戸籍の国籍・地域欄における地域名表記の取扱いを改め、令和7年5月26日以後、台湾出身者について「台湾」と記載できるようにした。

従前の戸籍で「中国」と記載されている場合も、一定の資料を添えて「台湾」への訂正を申し出る取扱いが示されている。

この改正は戸籍記載の地域名をより具体化するものであり、中華民国国籍法上の国籍を新たに付与し、又は日本の外国承認政策を変更する手続ではない。

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朝鮮人・台湾人はいつ日本国籍を失ったのか――外国人登録令,平和条約,昭和27年通達及び最高裁判例(AI作成)

第1 結論
第2 戦前の戸籍と日本国籍
第3 外国人登録令は国籍喪失を定めたものではない
第4 朝鮮関係者の日本国籍喪失
第5 台湾関係者の日本国籍喪失
第6 昭和27年通達の位置付け
第7 個別事案で確認すべき事項
第8 出典

第1 結論
朝鮮関係者と台湾関係者の日本国籍喪失日は同じではない。

本記事の基準日は令和8年8月29日である。

朝鮮関係者については日本国との平和条約が発効した昭和27年4月28日、台湾関係者については日本国と中華民国との間の平和条約が発効した同年8月5日が、それぞれ日本国籍喪失の基準日とされている。

もっとも、実際の個人については、戦前の戸籍上の帰属、終戦後の在留状況、婚姻・認知・養子縁組、国籍取得・喪失及び日本への帰化を確認する必要がある。
第2 戦前の戸籍と日本国籍
日本の統治下にあった朝鮮及び台湾の出身者は日本国籍を有していたが、内地の戸籍とは別の朝鮮戸籍又は台湾戸籍に編製されていた。

そのため、同じ日本国籍を有していた時期でも、戸籍上の所属、身分関係法及び戸籍事務は一様ではなかった。

戦後の国籍処理を理解するには、国籍だけでなく、どの戸籍に属していたかを確認する必要がある。
第3 外国人登録令は国籍喪失を定めたものではない
昭和22年5月2日に施行された外国人登録令は、その適用について、朝鮮人及び一定の台湾人を当分の間外国人とみなした。

しかし、この「外国人とみなす」という規定は外国人登録制度を適用するためのものであり、その施行日に日本国籍を喪失させる規定ではなかった。

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「永住者」と「定住者」の在留資格――許可要件,在留期間の更新及び相互の関係(AI作成)

第1 この記事の対象と別表第二における位置づけ

1 この記事が扱う範囲
2 活動系(別表第一)と身分系(別表第二)の区別
3 別表第二4類型の比較

第2 「永住者」の在留資格

1 永住許可(入管法22条)の法的性質
2 永住許可の要件とガイドラインによる具体化
3 在留期間の定めがないことの意味
4 永住者の在留資格が取り消される場合(令和6年改正)

第3 「定住者」の在留資格

1 定住者告示(平成2年法務省告示第132号)による類型
2 告示に定めのない類型(告示外定住)
3 在留期間の更新

第4 両者の関係――定住者から永住者へ,永住者から定住者へ

1 「定住者の在留資格で5年以上」という特則
2 永住許可取消し後の受け皿としての定住者

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「企業内転勤」の在留資格――グループ会社間異動の該当範囲と「企業内転勤2号」の新設(AI作成)

第1 この記事が扱う対象1 検討の対象と時点2 この記事の位置付け第2 「企業内転勤」とは何か1 入管法上の定義2 平成元年改正による新設の経緯3 他の在留資格との関係第3 上陸許可基準1 転勤直前の継続勤務要件(第1号)2 報酬要件(第2号)第4 「転勤」に該当するグループ会社間異動の範囲1 本店・支店間の異動2 親会社・子会社間の異動3 子会社間・関連会社への異動とその限界第5 本邦内で勤務先が変わる場合の取扱い第6 出向発生時の届出義務第7 在留期間の運用とその変遷第8 令和9年4月施行予定の「企業内転勤2号」第9 資格外活動・在留資格取消しのリスク第10 裁判例の状況出典・参考資料1 法令2 公的資料3 国会会議録

第1 この記事が扱う対象

1 検討の対象と時点

「企業内転勤」は,出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という。)別表第一の二に定める在留資格の一つであり,外国にある事業所から本邦にある事業所へ期間を定めて転勤する外国人を対象とする。

外資系企業やグループ会社が,海外の親会社・子会社・関連会社の職員を日本法人へ出向・転勤させる場面で用いられることが多い在留資格である。

本記事は,令和8年8月22日現在で確認できる入管法及び上陸基準省令の条文,出入国在留管理庁が公表する運用資料,国会審議の内容,並びに令和9年4月1日に施行が予定されている改正内容に基づき,この在留資格の該当範囲及び上陸許可基準を整理するものである。

出入国在留管理庁が作成した内部の審査基準である「入国・在留審査要領」(令和8年4月開示文書)第12編第2章第16節は,本記事が扱う在留資格の審査実務を最も詳細に記載した一次資料である。

当該文書は,出入国在留管理庁作成の「入国・在留審査要領」(令和8年4月の開示文書)で全編を掲載しているので,個別の条文や運用の詳細を原文で確認したい場合はそちらを参照されたい。

2 この記事の位置付け

以下では,まず在留資格の定義と平成元年改正による新設の経緯を確認し(第2),上陸許可基準の内容を条文に即して整理する(第3)。

次に,グループ会社間の出向・転籍を計画する法務担当者が最も判断に迷う,「転勤」に該当する会社間関係の範囲を審査要領に即して具体的に整理し(第4),本邦内で勤務先が変わる場合の取扱い(第5)を確認する。

さらに,出向発生時に必要となる届出義務(第6),在留期間の運用とその変遷(第7),令和9年4月1日に施行が予定されている「企業内転勤2号」の新設(第8),資格外活動・在留資格取消しのリスク(第9)を扱った上で,この在留資格に関する裁判例の状況(第10)を紹介する。

第2 「企業内転勤」とは何か

1 入管法上の定義

入管法別表第一の二の「企業内転勤」の項の下欄は,本邦において行うことができる活動を次のとおり定めている。

「本邦に本店,支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員が本邦にある事業所に期間を定めて転勤して当該事業所において行うこの表の技術・人文知識・国際業務の項の下欄に掲げる活動」。

すなわち,企業内転勤の在留資格で行うことができる活動そのものは,「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に係る活動と同一であり,両者の違いは,同一企業等の内部で海外の事業所から転勤してきた者として,本邦において期間を定めて(一定期間に限られて)勤務する点にある。

出入国在留管理庁の審査要領は,この在留資格を「企業活動の国際化に対応し,人事異動により外国の事業所から本邦の事業所に転勤する外国人を受け入れるために設けられたもの」と説明している。

2 平成元年改正による新設の経緯

「企業内転勤」は,出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律(平成元年法律第79号,同年12月15日公布,平成2年6月1日施行)により新設された在留資格である。

国会審議において,法務省入国管理局長であった股野景親政府委員は,「まず,『企業内転勤』という新しい在留資格を設けておりますが,これは必ずしも従来の四—一—一六—三というカテゴリーの中で考えられたものではなくて,新しくこういう発想法をもって,本邦とそれから外国との間の転勤ということについての在留資格というものを設けたという点が新しい着想でございます」と答弁しており,改正前の法4条1項16号(法務大臣が個別に在留を認める包括的カテゴリー)の単純な拡充ではなく,新たな発想に基づいて創設された資格であることが確認できる。

制度創設の当初,濫用(低賃金労働者の受入れの抜け道になるのではないか)への懸念が国会でたびたび示された。

これに対し股野局長は,「企業内転勤というものの在留資格は,その直前にございますところの技術,または人文知識・国際業務の項の活動ということと同じ内容のものとされております。そうしますと,これはすなわち,その人の技術ないし知識の程度というものがもう一定水準以上のものであるということが要件として求められているということがございますので,そこでただいま御指摘のような単純作業に属するような方たちというものはここには該当してこない」と答弁し,技術・人文知識・国際業務と同水準の要件を課すこと自体が濫用防止の歯止めになるとの説明を一貫して行った。

制度創設段階の想定では,法務省大臣官房審議官であった米澤慶治政府委員が「三年を超えない範囲内に限って日本に転勤してきて日本で活躍され」ることを前提とした基準を検討していると答弁しており,当初は3年以内の短期転勤が想定されていた点が注目される。

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「技術・人文知識・国際業務」と「特定技能」の違い――上陸許可基準の分岐点を条文で確認する(AI作成)

第1 この記事が扱う対象

1 検討の対象と時点
2 この記事の位置付け

第2 二つの在留資格の位置付けの違い

1 「技術・人文知識・国際業務」の制度の骨格
2 「特定技能」の制度の骨格――特定産業分野への限定
3 特定技能1号と2号の違い

第3 学歴による証明か,試験による証明か
第4 対象分野が限定されているか否か
第5 在留期間の上限と通算の考え方
第6 家族帯同の可否
第7 受入れ機関に課される支援体制の違い
第8 技能実習・育成就労との接続関係
第9 特定技能から技術・人文知識・国際業務への移行が想定されていないこと
第10 制度改正の最新動向
出典・参考資料

1 法令・省令
2 裁判例
3 公的資料

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特定技能所属機関に対する報告徴収及び立入検査――入管法19条の20の要件と技能実習制度との違い(AI作成)

第1 この記事が扱う対象

1 検討の対象と時点

第2 特定技能所属機関に対する報告徴収及び立入検査の法的根拠

1 入管法19条の20の条文
2 「報告徴収」と「立入検査」の区別
3 犯罪捜査のためのものと解してはならないという限定

第3 届出から欠格事由該当までの段階的な規律

1 特定技能所属機関の届出義務(19条の18)
2 指導及び助言(19条の19)
3 報告徴収及び立入検査を拒んだ場合の罰則(71条の4,76条の2)
4 改善命令(19条の21)
5 欠格事由への該当(特定技能基準省令2条1項4号リ)

第4 登録支援機関に対する規律との違い
第5 在留資格審査のための「実態調査」(入管法59条の2)との違い
第6 技能実習実施者に対する報告徴収及び実地検査――技能実習法に基づく別制度

1 技能実習法13条・14条の枠組み
2 罰則と両罰規定
3 特定技能の制度との対比

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「家族滞在」から「定住者」「特定活動」への在留資格変更――高等学校等卒業後の就労を目的とする運用(AI作成)

第1 「家族滞在」の子が高等学校等卒業後に働くために必要な手続
第2 在留資格「家族滞在」の内容と就労制限

1 該当する活動の範囲
2 資格外活動許可による週28時間の制限

第3 高等学校等卒業後の就労を目的とする在留資格変更

1 制度の法的な位置付け
2 「定住者」への変更の要件
3 「特定活動」への変更の要件
4 「定住者」と「特定活動」のいずれを選ぶか

第4 「特定活動」から「定住者」への在留資格変更
第5 この運用の沿革

1 平成27年の運用開始から令和6年の要件明文化まで

第6 令和8年の高等学校等就学支援金法改正との関係

1 支給対象を在留資格で区分する新要件
2 入管の在留資格変更とは別個の判断であること

第7 申請を検討する際の留意点

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申請取次者制度――「代理」と「取次ぎ」の違い及び依頼書と委任状の使い分け(AI作成)

第1 この記事が扱う対象

1 対象とする文書と時点
2 「代理」と「取次ぎ」という二つの制度

第2 入管法が定める「代理」

1 在留資格認定証明書交付申請の代理人
2 住居地の届出及び在留カードに係る代理

第3 施行規則が定める「取次ぎ」

1 取次ぎは書類提出という事実行為にとどまる
2 弁護士及び行政書士以外の者による書類作成の制限

第4 弁護士・行政書士が申請等取次者になるための届出手続

1 承認制ではなく届出制であること
2 届出済証明書とその有効期間
3 取次ぎができる範囲と出頭が免除される範囲

第5 「依頼書」と「委任状」は別の書面である

1 審査要領が定める「依頼書」の内容

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永住許可の要件――素行・独立生計・国益(居住年数10年)の基準と令和8年8月公表の改定案(AI作成)

第1 この記事が扱う対象
第2 「永住者」と「特別永住者」の違い
第3 永住許可の法律上の要件――入管法22条2項

1 条文と3要件の全体像
2 素行要件
3 独立生計要件
4 国益要件と居住年数(原則10年在留)

第4 居住年数要件の特例
第5 永住許可に関するガイドラインの位置付けと改定履歴
第6 永住者の在留資格が取り消される場合

1 現行の取消事由
2 令和6年改正法による新設事由
3 取消しに代わる職権による在留資格の変更

第7 令和8年8月公表の改定案――何が変わろうとしているか

1 独立生計要件の見直し案
2 国益要件に追加される新要素
3 居住年数特例の厳格化
4 意見募集の期間と施行予定

第8 永住許可の判断が争われた裁判例

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「日本人の配偶者等」の在留資格――婚姻の実体という審査基準と偽装結婚のリスク(AI作成)

第1 この記事が扱う対象
第2 「日本人の配偶者等」の在留資格とは

1 入管法上の位置づけ
2 該当する3つの類型

第3 審査の中心にある「婚姻の実体」という要件

1 法律上の婚姻だけでは足りないとした最高裁判決
2 「婚姻の実体」の中身と民法752条
3 夫婦関係が冷え込んでも直ちに資格を失うわけではない

第4 審査で疑いを招きやすい事情と示すべき資料

1 年齢差・交際期間・共通言語
2 国際結婚あっせん・出会い系サイトを介した出会い
3 離婚歴がある場合
4 提出書類の全体像

第5 偽装結婚と判断された場合の法的リスク

1 在留資格の取消し
2 退去強制と刑事責任
3 永住許可への影響

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「在留資格の取消し」制度――入管法22条の4の要件・手続と企業のリスク(AI作成)

第1 この記事が扱う対象
第2 在留資格の取消しとは何か――入管法22条の4の位置づけ
第3 取消事由10通りの内容(入管法22条の4第1項)

1 上陸許可等の取得過程における不正(第1号~第4号)
2 許可された活動を行っていないこと(第5号・第6号)
3 配偶者としての活動を行っていないこと(第7号)
4 住居地届出義務違反(第8号~第10号)

第4 公表統計からみる取消事由の実際の分布
第5 取消しの手続――意見聴取から通知まで
第6 取消し後の効果――出国準備期間と退去強制事由への接続
第7 企業(雇用主・受入れ機関)に生じ得るリスク

1 虚偽書類の提出が従業員本人の在留資格を失わせる構造(第3号)
2 不法就労助長罪(入管法73条の2)は過失でも成立する
3 営利目的等不正取得助長罪(入管法74条の6)との異同
4 採用時・雇用中に確認すべき事項

第8 裁判例の現況
第9 令和6年改正――永住者に対する取消事由の新設(施行前)

1 新設される取消事由の内容
2 入管庁の説明と弁護士会・国連人種差別撤廃委員会の異論

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「高度専門職」のポイント計算と優遇措置――永住許可要件緩和の法的性質(AI作成)

第1 この記事が扱う対象1 検討の対象と時点2 この記事の位置付け第2 「高度専門職」とはどのような在留資格か1 入管法上の定義とポイント制導入の経緯2 高度専門職1号イ・ロ・ハの活動類型と他の在留資格との重複第3 高度専門職1号のポイント計算1 学歴・職歴・年収・年齢による基本項目2 研究実績・資格・地位・特別加算による加点3 年収による足切り――1号ロ・ハの300万円未満0点ルール第4 高度専門職2号への移行第5 優遇措置の内容1 複合的な在留活動の許容・在留期間5年・優先処理2 配偶者の就労・親及び家事使用人の帯同3 永住許可要件の緩和とその法的性質第6 特別高度人材制度(J-Skip)と未来創造人材制度(J-Find)1 特別高度人材制度(J-Skip)の認定要件と優遇内容2 未来創造人材制度(J-Find)――別の在留資格である点に注意第7 実務上の留意点1 ポイントを「維持」することの意味2 不許可・不交付となった場合の争い方出典・参考資料1 法令・省令2 裁判例3 公的資料

第1 この記事が扱う対象

1 検討の対象と時点

「高度専門職」は,出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という。)別表第一の二に定める在留資格の一つであり,学歴,職歴,年収等を点数化するポイント制により,我が国の学術研究又は経済の発展に寄与すると見込まれる高度な能力を持つ外国人材を受け入れるためのものである。

本記事は,令和8年8月22日現在で確認できる入管法,高度専門職省令(平成26年法務省令第37号)及び特別高度人材の基準を定める省令(令和5年法務省令第25号)の条文,出入国在留管理庁が公表するポイント計算表・優遇措置の内容,並びに関連する裁判例の有無を確認した上で,ポイント計算の仕組みと優遇措置の内容を整理するものである。

なお,高度専門職省令は令和7年法務省令第45号により既に改正されているが,この改正の施行日は令和9年4月1日であり,本記事作成時点ではまだ施行されていない。したがって,以下で紹介する内容は,令和8年8月22日現在で効力を有する規定に基づくものであることに留意されたい。

出入国在留管理庁が作成した内部の審査基準である「入国・在留審査要領」(令和8年4月開示文書)第12編第9節「高度専門職」は,本記事が扱うポイント計算表及び優遇措置の運用を最も詳細に記載した一次資料である。

当該文書は,出入国在留管理庁作成の「入国・在留審査要領」第12編第9節「高度専門職」(令和8年4月の開示文書)として全編を掲載しているので,個別の条文や運用の詳細を原文で確認したい場合はそちらを参照されたい。

2 この記事の位置付け

以下では,まず「高度専門職」という在留資格の定義とポイント制導入の経緯を確認し(第2),高度専門職1号イ・ロ・ハのポイント計算表を項目ごとに整理する(第3)。

次に,1号での在留を経て移行する高度専門職2号の要件(第4),そして本記事の主題である優遇措置の内容を確認する(第5)。優遇措置のうち永住許可要件の緩和については,条文上の根拠と行政の運用指針との関係を整理する。

さらに,令和5年に導入された特別高度人材制度(J-Skip)及びこれとは別制度である未来創造人材制度(J-Find)を確認した上で(第6),ポイントの維持義務や不許可となった場合の争い方といった実務上の留意点を扱う(第7)。

第2 「高度専門職」とはどのような在留資格か

1 入管法上の定義とポイント制導入の経緯

入管法別表第一の二の「高度専門職」の項の下欄第一号は,「高度の専門的な能力を有する人材として法務省令で定める基準に適合する者が行う次のイからハまでのいずれかに該当する活動であって,我が国の学術研究又は経済の発展に寄与することが見込まれるもの」と定める。

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特定技能ビザの審査基準――分野別基準,技能実習からの移行,受入れ機関の基準(AI作成)

第1 「特定技能」という在留資格の位置づけ

1 制度創設の経緯と対象分野の拡大
2 特定技能1号と2号の違い

第2 対象産業分野と分野別基準の構造

1 分野該当性の判断方法
2 分野別運用方針・運用要領という基準体系
3 審査要領で確認できる分野特有の上乗せ要件の例

第3 特定技能1号の上陸基準――外国人本人に求められる要件

1 基本要件
2 技能水準・日本語能力水準の証明方法
3 通算在留期間の上限――原則5年,例外6年
4 保証金・違約金契約の不存在

第4 特定技能2号の上陸基準――1号との相違
第5 技能実習から特定技能への移行

1 技能実習2号良好修了の意義とみなし救済
2 移行に伴う実務上の留意点
3 移行支援を怠った監理団体の責任が問われた裁判例

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「経営・管理」の在留資格――令和7年10月16日改正後の上陸許可基準(AI作成)

第1 この記事が扱う対象第2 「経営・管理」の在留資格とは何か1 入管法上の定義2 「投資・経営」からの改称の経緯3 他の在留資格との関係第3 令和7年10月16日改正――何が変わったのか1 改正の骨格2 改正の理由として示された事情第4 現行の上陸許可基準1 事業所の存在(第1号)2 事業の規模(第2号)3 日本語能力(第3号)4 学歴又は経験(第4号)5 報酬(第5号)第5 事業所の実体をめぐる審査第6 複数の経営者・共同出資の場合の判断基準第7 事業の継続性の審査第8 既存の在留者に対する経過措置第9 改正をめぐる国会での議論第10 経営・管理該当性が争われた裁判例出典・参考資料1 法令・告示2 裁判例3 公的資料4 国会会議録第1 この記事が扱う対象

「経営・管理」は,出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という。)別表第一の二に定める在留資格の一つであり,本邦において事業の経営を行い又はその管理に従事する外国人を対象とする。この在留資格の上陸許可基準は,令和7年10月16日に大きく改正されており,改正前によく知られていた「資本金500万円以上」という要件は,改正後は存在しない。本記事は,令和8年8月22日現在で確認できる入管法及び上陸基準省令の条文(改正前後の対比を含む。),出入国在留管理庁が公表する運用資料,国会審議の内容,並びに関連する裁判例に基づき,現行の上陸許可基準の内容を整理するものである。

外国人が日本で事業所用の不動産を購入する場合の取得手続,規制及び税金は,外国人による日本の不動産購入―手続・規制・税金とOECD38か国比較を参照されたい。なお,不動産を取得したこと自体によって「経営・管理」の在留資格が認められるものではなく,本記事で説明する活動実態及び上陸許可基準を別に満たす必要がある。

出入国在留管理庁が作成した内部の審査基準である「入国・在留審査要領」(令和8年4月開示文書)第12編第2章第10節は,本記事が扱う在留資格の審査実務を最も詳細に記載した一次資料である。当該文書は,出入国在留管理庁作成の「入国・在留審査要領」(令和8年4月の開示文書)で全編を掲載しているので,個別の条文や運用の詳細を原文で確認したい場合はそちらを参照されたい。

第2 「経営・管理」の在留資格とは何か1 入管法上の定義

入管法別表第一の二の「経営・管理」の項の下欄は,本邦において行うことができる活動を次のとおり定めている。「本邦において貿易その他の事業の経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動(この表の法律・会計業務の項の下欄に掲げる資格を有しなければ法律上行うことができないこととされている事業の経営又は管理に従事する活動を除く。)」。出入国在留管理庁の審査要領によれば,この活動には,①本邦で事業の経営を新たに開始してこれを行い又は管理する活動,②本邦で既に営まれている事業に参画してこれを経営し又は管理する活動,③事業の経営者(法人を含む。)に代わって経営を行い又は管理に従事する活動の3類型が含まれる。事業の経営に従事する活動には代表取締役・取締役・監査役等の役員としての活動が該当し,事業の管理に従事する活動には部長・工場長・支店長等の管理者としての活動が該当するが,いずれも名目的な地位にとどまらず,経営又は管理に実質的に参画し,又は従事するものであることが求められる。

2 「投資・経営」からの改称の経緯

現行の「経営・管理」は,平成26年の入管法改正により,それ以前の「投資・経営」という在留資格を改組して設けられたものである。審査要領によれば,「投資・経営」の在留資格は,日米友好通商航海条約第1条1項が定める内国民待遇・最恵国待遇の規定その他の条約上の待遇を担保するため,外資が参入している企業の経営・管理業務に従事する外国人の受入れを目的として平成元年の法改正で創設された経緯を持つ。「投資・経営」という名称のとおり,外国人が我が国に投資していることが対象となる前提条件であり,これ以外の事業の経営や管理に従事する外国人は対象外とされていた。平成26年改正により,この投資要件は撤廃され,外国人若しくは外国法人が投資しているか,日本人若しくは日本法人のみが投資しているかを問わず,事業の経営又は管理に従事する外国人を広く対象とする「経営・管理」に改められた。

3 他の在留資格との関係

同じ活動内容が複数の在留資格に該当し得る場合の優先関係についても,審査要領が整理を示している。企業の経営活動や管理活動が自然科学又は人文科学の知識等を要する業務と重複する場合は,「技術・人文知識・国際業務」ではなく「経営・管理」を決定する。この振り分けの詳細は,「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で扱った他資格との関係の説明も参照されたい。弁護士,公認会計士等の資格を有しなければ行うことができないとされている事業の経営又は管理に従事する活動は「法律・会計業務」に該当するが,病院の経営に係る活動は,医師の資格を有する者が行う場合であっても「経営・管理」に該当する。日本法人の経営者に就任し,かつ日本法人から報酬が支払われる場合は,会議出席等の短期間の来日であっても「経営・管理」に該当し,「短期滞在」では入国できない。

第3 令和7年10月16日改正――何が変わったのか1 改正の骨格

「経営・管理」の上陸許可基準を定める上陸基準省令は,令和7年10月16日付けの改正省令(令和七年法務省令第五十号)により大きく改められた。改正前の基準では,事業の規模について,①経営・管理に従事する者以外の常勤職員を2人以上雇用していること,②資本金の額又は出資の総額が500万円以上であること,③これらに準ずる規模であること,のいずれかに該当すればよいという選択制が採られていた。これに対し改正後の基準では,常勤職員の雇用と,事業の用に供される財産の総額が3,000万円以上であることの両方を満たすことが必要になった。金額要件が500万円から3,000万円へ引き上げられただけでなく,選択制からいずれの要件も満たす必要がある構造に変わった点が実務上の影響として大きい。さらに,改正前には存在しなかった日本語能力要件(経営者又は常勤職員のいずれかがCEFR B2相当の日本語能力を有すること)と,学歴又は経営管理の実務経験に関する要件(経営管理関連分野の修士・博士・専門職学位,又は3年以上の経営管理経験)が新設された。新旧の条文は,第4で号ごとに対比して示す。

2 改正の理由として示された事情

出入国在留管理庁は,改正の理由について,許可基準が諸外国の同様の制度と比べて緩やかであり,移住の手段として悪用されているとの指摘があったこと,在留審査において事業の実態がないことが判明する事案が認められていたことを挙げている。参議院法務委員会(令和8年4月14日)における内藤惣一郎・出入国在留管理庁次長の答弁によれば,改正の検討に当たり令和6年末時点で「経営・管理」の在留資格を有する41,615人を対象に調査を行ったところ,資本金の額が3,000万円以上であった者は約4%にとどまっていたことが明らかにされている。同庁は,改正に先立ち令和7年8月20日に法務大臣の私的懇談会「出入国在留管理政策懇談会」で有識者の意見を聴取し,同年8月26日から9月24日までの30日間,意見公募手続(パブリックコメント)を実施して702件の意見を受け付けた。国会審議での賛否両論の内容は,第9で扱う。

第4 現行の上陸許可基準1 事業所の存在(第1号)

上陸基準省令の「経営・管理」の項第1号は,「申請に係る事業を営むための事業所が本邦に存在すること。ただし,当該事業が開始されていない場合にあっては,当該事業を営むための事業所として使用する施設が本邦に確保されていること」と定めている。この要件は令和7年10月改正の前後を通じて変わっていない。事業所の実体をめぐる審査の詳細は第5で扱う。

2 事業の規模(第2号)

第2号は,「申請に係る事業の規模が次のいずれにも該当していること」として,イ「その経営又は管理に従事する者以外に本邦に居住する常勤の職員(法別表第一の上欄の在留資格をもって在留する者を除く。)が従事して営まれるものであること」,ロ「申請に係る事業の用に供される財産の総額(資本金の額及び出資の総額を含む。)が三千万円以上であること」の両方への該当を求める。改正前の第2号は,イ「常勤の職員(同)が2人以上」,ロ「資本金の額又は出資の総額が500万円以上」,ハ「イ又はロに準ずる規模」のいずれかに該当すればよいとしていた。財産の総額には,事業所確保に係る経費,雇用する職員への1年間の給与等,事務機器購入費等の設備投資が含まれる。事業主体が法人である場合は,株式会社における払込済資本の額又は持分会社の出資の総額で判断し,登記事項証明書により実際の投下を確認する。個人事業の場合は,貸借対照表の資産の部の額から,事業に投下される財産が3,000万円以上であることを確認する。単なる預貯金は事業に投下される財産として扱われず,設備投資契約書や雇用契約書等により,実際に事業へ投下されることが見込まれることを確認する必要がある。

3 日本語能力(第3号)

第3号は,改正により新設された要件であり,「申請に係る事業の経営を行い,又は当該事業に従事する者(非常勤の者を除く。)のうちいずれかの者が,高度に自立して日本語を理解し,使用することができる水準以上の能力を有している者であって,かつ,申請人が当該事業の経営を行い又は当該事業の管理に従事する時において,本邦に居住することとしているものであること」と定める。審査要領によれば,「高度に自立して日本語を理解し,使用することができる水準以上の能力」とは,日本語教育の参照枠におけるB2相当以上の日本語能力であり,日本語能力試験(JLPT)N2以上,又はBJTビジネス日本語能力テストにおいて400点以上を得点した者が対象となる。次のいずれかに該当する場合は,試験による証明を要しない。①日本人,②特別永住者,③中長期在留者として20年以上本邦に在留している者,④本邦の大学を卒業し,又は本邦の高等専門学校若しくは専修学校の専門課程を修了した者(恒常的に外国語で授業を行う課程等を除く。),⑤我が国の義務教育及び高等学校を修了・卒業している者。参議院法務委員会(令和8年6月18日)における内藤惣一郎次長の答弁によれば,この日本語能力要件は,パブリックコメントの意見募集時点の改正案には含まれておらず,「近隣の住民等と日本語でコミュニケーションが取れることを担保する必要がある」等の意見を踏まえて省令案を修正する形で追加されたものである。

4 学歴又は経験(第4号)

第4号も改正により新設された要件であり,イ「経営管理に関する分野又は申請に係る事業の業務に必要な技術又は知識に係る分野において博士の学位,修士の学位又は専門職学位(外国において授与されたこれに相当する学位を含む。)を有していること」,ロ「事業の経営又は管理について三年以上の経験」のいずれかへの該当を求める。経営又は管理の経験には,本邦外での経歴のほか,起業準備を目的とする「特定活動」(貿易その他の事業の経営を開始するために必要な事業所の確保その他の準備行為を行う活動を指定されたもの)で在留していた期間も算入される。

5 報酬(第5号)

第5号は,「申請人が事業の管理に従事しようとする場合は,日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること」と定める。改正前の第3号後段と同内容であり,事業の経営に従事する場合(役員として経営に当たる場合)にはこの要件は適用されない。

第5 事業所の実体をめぐる審査

事業所の存在(第1号)に関する審査で実務上特に問題となるのは,名目的な事業所を排除する運用である。審査要領は,事業所は実際に事業が営まれている場所であることを要するとし,住所及び電話番号等のみを借り受け,電話にはオペレーターが対応し,郵便物を転送するなど,実際に経営又は管理を行う場所が存在しない「バーチャル・オフィス」等と称する形態は,事業所として認めないと明記している。月単位の短期間賃貸スペースや,容易に処分可能な屋台等の施設を利用する場合も,それを合理的とする特別の事情がない限り,事業所の確保の要件に適合しているとは認められない。賃貸借契約は,使用目的が事業用・店舗・事務所等の事業目的であることを明らかにし,契約者名義も当該法人等とすることが必要である。審査要領は,令和7年10月改正により事業規模要件が見直され常勤職員の雇用が必須となったことも踏まえ,「自宅兼事業所とするような形態は基本的に想定されず,独立して事業を営む事業所であることが客観的に見て明らかであることを必要とする」と述べており,改正が事業所要件の運用にも影響を及ぼしていることを示している。

もっとも,例外的な取扱いもある。独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)が運営する対日投資・ビジネスサポートセンター等のインキュベーションオフィスについては,独立区画でなくても,起業支援を目的として一時的に貸与されているものであれば事業所の確保の要件に適合するものとして扱われる。地方公共団体が実施する起業支援対象者についても,自治体がインキュベーション施設の賃料等を負担している場合,その負担額(年間最大200万円)を申請人の投下額に合算して3,000万円要件の充足を判定する取扱いがある。

第6 複数の経営者・共同出資の場合の判断基準

複数の外国人が同一の事業の経営又は管理に従事する場合,審査要領は,それだけの人数の者が経営又は管理に従事することが必要とされる程度の事業規模,業務量,売上げ,従業員数等がなければならないとした上で,次の3条件を満たす場合に,それぞれの外国人について該当性を認めるとしている。①事業の規模や業務量等の状況を勘案して,それぞれの外国人が経営又は管理を主たる活動として行うことについて合理的な理由が認められること,②経営又は管理に係る業務について,それぞれの外国人ごとに従事することとなる業務の内容が明確になっていること,③それぞれの外国人が経営又は管理に係る業務の対価として相当の報酬の支払を受けることとなっていること。共同出資で会社が運営される場合についても,同じ観点から確認を行い,申請に係る事業の用に供される財産の総額が基準と乖離していないことを確認するとされている。したがって,複数の外国人を経営者として並べるだけでは足りず,それぞれの業務分担と報酬が事業の規模に見合ったものであることを個別に示す必要がある。なお,入国・在留を認める役員の人数自体には制限がないが,この観点からの慎重な審査を要するとされている。

第7 事業の継続性の審査

上陸許可基準そのものではないが,「経営・管理」の在留資格該当性の判断において,事業の継続性は独立した重要な審査対象である。審査要領は,決定する在留期間の途中で事業が立ち行かなくなるなど在留活動が途切れることが想定される場合には,該当する活動を行うものと認められないとした上で,直近期の決算状況に応じた段階的な判断枠組みを示している。直近期末に剰余金がある場合,又は剰余金も欠損金もない場合は,事業の継続性に問題はない。直近期末に欠損金があるが債務超過となっていない場合は,事業計画や資金調達の状況を踏まえ,原則として継続性を認める。直近期末が債務超過であっても直近期前期末は債務超過でなかった場合は,中小企業診断士・公認会計士・税理士による改善見通しの評価書の提出を求めた上で継続性を判断する。直近期末及び直近期前期末の双方が債務超過である場合は,原則として継続性を認め難いが,増資や他企業による救済等の具体的な予定があればこれを考慮する。この場合でも,設立5年以内の新興企業については,独自性のある技術やサービスに基づき事業を成長させようとする過程での赤字であることを踏まえ,投融資の状況や製品・サービス開発の状況を示す資料により柔軟に判断するとされている。直近期及び直近期前期の双方で売上総利益がない場合は,増資等の具体的な予定がある場合を除き,原則として継続性が認められない。

第8 既存の在留者に対する経過措置

令和7年10月16日より前から「経営・管理」の在留資格で在留していた者に対しては,経過措置が設けられている。出入国在留管理庁の公表資料によれば,施行日から3年後に当たる令和10年10月16日までの間の更新申請については,改正後の基準に適合していないことのみを理由として不許可とはせず,事業の経営状況等を踏まえて許否を判断するとされている。もっとも,この経過措置は上陸基準省令自体の条項としてではなく,運用上のガイドラインとして示されたものである。参議院法務委員会(令和8年6月18日)における内藤惣一郎次長の答弁は,この点について「省令事項ではございませんが,出入国在留管理政策懇談会やパブリックコメントでいただいた御意見も踏まえて一定の配慮を行うべきと,ガイドラインにおいて対応を明らかにした」と説明している。永住許可申請及び高度専門職2号への移行については,改正後の基準への適合が前提とされており,経過措置の対象には含まれていない。

第9 改正をめぐる国会での議論

改正の是非については,国会審議において賛否両論が示されている。改正を推進する立場から,内閣総理大臣石破茂は,参議院決算委員会(令和7年6月9日)において,「民泊経営を口実に経営・管理の在留資格を取得し,我が国に移住する者が増えておるという御指摘がございます。この許可基準につきましては,今後,出入国在留管理庁において適切に見直しをいたしてまいります」と述べている。参議院外交防衛委員会(令和7年5月8日)における福原申子・出入国在留管理庁在留管理支援部長の答弁も,「経営・管理の在留資格に関する在留申請の中には,委員御指摘の民泊も含めまして,事業の実態が疑われるような事案もあるというふうに承知をしている」とし,実地調査や不許可処分等の対応を説明している。

これに対し,改正の急激さや遡及的な影響を批判する意見も示された。参議院法務委員会(令和8年4月14日)における打越さく良議員(立憲民主・無所属)は,「経営・管理の在留資格は昨年末時点で約四万一千六百人,資本金などが三千万円以上の方は全体の四%にとどまる」とした上で,「あと九六%のお店とか事業所を潰してどうするんでしょうか」と改正を批判した。同委員会(令和8年5月21日)で参考人として出席した近藤敦・名城大学法学部教授は,改正後「申請者が九六%減少したと最近報じられております」と指摘し,既存の経営者に改正後の基準を将来的に適用することは「信頼保護の原則」に反すると論じた。同参考人は,改正の根拠として政策懇談会で示された「韓国が資本金要件を500万円から3,000万円に引き上げた」という説明についても,韓国には資本金要件の異なる2つの在留資格制度(「貿易経営」と「企業投資」)が並存しており,比較対象の選定に誤りがあると指摘している。参議院法務委員会(令和8年5月14日)では,仁比聡平議員(日本共産党)が,大阪出入国在留管理局における具体的な事案(飲食店開業準備中の申請人について,建設資材や職人の不足による工事遅延のために保健所の営業許可取得が遅れたことを理由に在留期間更新が不許可とされた事案)を挙げ,運用の硬直性を問題視した。

近藤敦参考人が「報じられております」として紹介した申請件数の96%減という数値は,実際には出入国在留管理庁自身が国会で認めている。同じ参議院内閣委員会(令和8年4月14日)で,礒部哲郎・出入国在留管理庁在留管理支援部長は,「経営・管理」及び一部の「高度専門職」に係る在留資格認定証明書交付申請件数について,「令和七年五月一日から同年十月十五日までの五か月半の期間において月平均で約千七百件であったのに対し,基準改正日である令和七年十月十六日から令和八年三月三十一日までの五か月半の期間においては月平均で約七十件となっております」とし,「在留資格認定証明書交付申請件数は約九六%減となっておりまして,大幅に減少している状況にございます」と答弁した。もっとも同部長は,この数値が「通常の統計として作成しているものではな」く,「基準見直しの前後の状況を把握することを目的として概数として集計した」単純比較であると留保を付けている。

これらの国会答弁からは,出入国在留管理庁が把握している「経営・管理」の在留者数の推移も確認できる。同じ参議院内閣委員会における礒部部長の答弁によれば,「令和七年末現在,我が国において経営・管理の在留資格を持って在留する者の数は四万六千七百八十一人」であり,新規の申請件数が大幅に減少した後も,在留者総数自体は増加している。もっとも,この総数の増加が新規許可によるものか,既存在留者の更新によるものかは,同答弁からは判別できない。

第10 経営・管理該当性が争われた裁判例

「経営・管理」及びその前身である「投資・経営」の在留資格該当性が正面から争われた行政訴訟の公刊裁判例は多くないが,資格外活動該当性が争われた事案として,東京地方裁判所平成20年9月19日判決(平成19年(行ウ)第274号等)とその控訴審である東京高等裁判所平成21年1月29日判決(平成20年(行コ)第346号)がある。「投資・経営」の在留資格で在留していた外国人が,入国審査官から入管法24条4号イ(資格外活動)に該当する旨の認定を受け,異議申出も棄却された上で退去強制令書の発付を受けたことから,各処分の取消しを求めた事案である。判決は,「投資・経営」の在留資格を有する外国人が無許可の資格外活動を「専ら」行っているといえるか否かは,①本邦において開始し又は投資している事業の経営又は管理への従事の状況,②無許可で行われた資格外活動の状況・態様及びその就労等に至った経緯,③生活費の支出状況その他の諸事情を総合考慮し,本来の在留資格に係る事業の経営又は管理の遂行状況と資格外活動の状況・態様等を比較検討した上で,活動内容が本来の在留資格に対応する事業経営・管理以外の資格外活動に「実質的に変更されたもの」と認められるか否かの観点から判断するのが相当であるとした。本件では,会社への関与が事業の経営又は管理としての実質を相応に備えたものとは評価し難く,会社は実質的に休眠状態にあり,申請人が主にホステスとして稼働して生計を維持していたという事情の下で,資格外活動を専ら行っていたと認定し,請求をいずれも棄却した(控訴審も同旨)。

この判断枠組みは,名称こそ改正前の「投資・経営」についてのものであるが,事業の経営又は管理への従事が「実質」を備えているかを問う点で,現行の「経営・管理」の在留資格該当性の判断にも参考になる。もっとも,令和7年10月16日改正後の基準適合性を正面から扱った公刊の行政訴訟判決は,本記事の作成に当たって網羅的に検索した範囲では見当たらなかった。改正の施行から日が浅いことに加え,行政裁量が広範な分野であるため,不許可・不交付の多くが再申請等の形で処理され,訴訟にまで至らないまま解決している可能性があるが,この点を裏付ける統計資料までは確認できていない。

出典・参考資料1 法令・告示

①出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号)別表第一の二,2条の2,7条,20条,24条(e-Gov法令検索)
②出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令(平成2年法務省令第16号)「経営・管理」の項(令和7年10月16日改正後現行,e-Gov法令検索)

2 裁判例

①東京地方裁判所平成20年9月19日判決(平成19年(行ウ)第274号等,退去強制令書発付処分取消請求事件,裁判所ウェブサイト)
②東京高等裁判所平成21年1月29日判決(平成20年(行コ)第346号,退去強制令書発付処分取消請求控訴事件,裁判所ウェブサイト)

3 公的資料

①「経営・管理」の許可基準の改正等について(出入国在留管理庁,令和7年10月10日公表・同月30日更新)
②外国人経営者の在留資格基準の明確化について(出入国在留管理庁)
③出入国在留管理庁「入国・在留審査要領」(令和8年4月開示文書)第12編第2章第10節(山中弁護士ブログ掲載版)

4 国会会議録

①第217回国会参議院外交防衛委員会第11号(令和7年5月8日)福原申子出入国在留管理庁在留管理支援部長答弁(国立国会図書館国会会議録検索システム)
②第217回国会参議院決算委員会第9号(令和7年6月9日)石破茂内閣総理大臣答弁(国立国会図書館国会会議録検索システム)
③第221回国会参議院法務委員会第4号(令和8年4月14日)打越さく良議員質疑(国立国会図書館国会会議録検索システム)
④第221回国会参議院法務委員会第4号(令和8年4月14日)内藤惣一郎出入国在留管理庁次長答弁(国立国会図書館国会会議録検索システム)
⑤第221回国会参議院内閣委員会第3号(令和8年4月14日)礒部哲郎出入国在留管理庁在留管理支援部長答弁(在留者数,国立国会図書館国会会議録検索システム)
⑥第221回国会参議院内閣委員会第3号(令和8年4月14日)礒部哲郎出入国在留管理庁在留管理支援部長答弁(申請件数の増減,国立国会図書館国会会議録検索システム)
⑦第221回国会参議院法務委員会第8号(令和8年5月14日)仁比聡平議員質疑(国立国会図書館国会会議録検索システム)
⑧第221回国会参議院法務委員会第10号(令和8年5月21日)近藤敦参考人(名城大学法学部教授)意見陳述(国立国会図書館国会会議録検索システム)
⑨第221回国会参議院法務委員会第16号(令和8年6月18日)内藤惣一郎出入国在留管理庁次長答弁(経過措置,国立国会図書館国会会議録検索システム)
⑩第221回国会参議院法務委員会第16号(令和8年6月18日)内藤惣一郎出入国在留管理庁次長答弁(日本語能力要件の追加経緯,国立国会図書館国会会議録検索システム)

「技術・人文知識・国際業務」の在留資格――上陸許可基準と専攻・業務関連性の審査実務(AI作成)

第1 この記事が扱う対象

1 検討の対象と時点
2 この記事の位置付け

第2 「技術・人文知識・国際業務」とは何か

1 入管法上の定義
2 平成26年改正による統合の経緯
3 他の在留資格との関係

第3 上陸許可基準

1 学歴要件
2 情報処理技術者の特例
3 外国の文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする業務
4 報酬要件

第4 専攻科目と従事する業務内容との関連性

1 大学卒業者の場合
2 専修学校卒業者の場合

第5 特定技能・技能実習との違い

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在留資格の種類・手続・審査基準――入国・在留審査要領と関連記事一覧

第1 本記事の位置付け
第2 在留資格の全体像
第3 手続の種類から探す
第4 当ブログの個別解説記事から探す
第5 「入国・在留審査要領」の読み方
第6 「入国・在留審査要領」の開示PDF
第7 出典

第1 本記事の位置付け

本記事は,在留資格の種類,在留関係の主な手続,審査で確認される基本事項,当ブログの個別解説記事及び出入国在留管理庁作成の「入国・在留審査要領」をまとめて案内するハブ記事である。

在留資格に関する情報は,入管法の別表,法務省令,告示,出入国在留管理庁の公表資料及び内部の審査要領に分散している。

また,「どの在留資格に該当するか」という問題と,「認定,変更又は更新が許可されるか」という問題は,同一ではない。

本記事では,制度全体及び手続の入口を案内し,各在留資格の詳しい要件,裁判例及び実務上の論点は個別記事に委ねる。

以下の記載は,令和8年8月26日現在で確認できる法令及び出入国在留管理庁の公表資料に基づく。

もっとも,本記事で掲載している「入国・在留審査要領」は,令和8年4月の情報公開請求に対する開示文書である。

その後の法令改正及び運用変更が反映されているとは限らないため,具体的な申請では,e-Gov法令検索及び出入国在留管理庁の最新の案内も確認する必要がある。

在留資格ごとの提出書類及び申請案内は,出入国在留管理庁の「在留資格から探す」で確認できる。

第2 在留資格の全体像
1 活動に基づく在留資格

入管法別表第一の在留資格は,日本で行うことができる活動を基準とするものである。

具体的には,外交,公用,教授,芸術,宗教,報道,高度専門職,経営・管理,法律・会計業務,医療,研究,教育,技術・人文知識・国際業務,企業内転勤,介護,興行,技能,特定技能,技能実習,文化活動,短期滞在,留学,研修,家族滞在及び特定活動がある。

活動に基づく在留資格では,予定する活動が各在留資格の活動内容に該当するかを最初に確認する必要がある。

また,高度専門職,経営・管理,技術・人文知識・国際業務,企業内転勤及び特定技能等については,法務省令が定める上陸許可基準その他の要件も問題となる。

2 身分又は地位に基づく在留資格

入管法別表第二の在留資格は,日本で有する身分又は地位を基準とするものである。

具体的には,永住者,日本人の配偶者等,永住者の配偶者等及び定住者がある。

これらの在留資格には,別表第一のような就労活動の種類による制限はないが,身分又は地位への該当性や在留状況等について審査を受ける。

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