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修習給付金

司法修習期間中の旅費(AI作成)

第1 旅費支給の法的根拠
第2 司法修習期間中の旅費に関する最高裁判所の説明
第3 国の旅費事務の一般的な仕組み
第4 関連記事
第5 出典

1 法令
2 裁判例
3 公的資料

第1 旅費支給の法的根拠
司法修習期間中に司法研修所や実務修習庁会へ赴くための旅費が,どのような法的根拠で,どのような区分に基づいて支給されているかを説明する。
分野別実務修習の旅費に関する各期の事務連絡や,旅費一般の取扱いを定めた内部文書そのもの(原資料)は,司法修習生の旅費に関する文書で確認できる。

司法修習生は,国家公務員法上の国家公務員に該当しない。
裁判所法は,裁判官以外の裁判所職員(第四編第二章)と司法修習生(同編第三章,66条から68条)とを区別しており,国家公務員法2条3項が列挙する特別職一覧にも司法修習生は含まれていない。
この理解は,最高裁判所昭和42年4月28日第二小法廷判決(昭和38年(オ)第5号,民集21巻3号759頁,裁判所ウェブサイト)でも前提とされている。
同判決は,国家公務員等退職手当法上の国家公務員該当性が争点となった事案において,次のとおり判示した。
「しかるに、司法修習生は、司法試験に合格した者が裁判官、検察官又は弁護士となる資格を取得するための修習を行なうものであつて(昭和二三年最高裁判所規則第一五号司法修習生に関する規則四条参照)、国の事務を担当するものでないこと、また、裁判所法が司法修習生と国家公務員法上の国家公務員であること明らかな「裁判官以外の裁判所職員」とを区別する規定を設けており(第四編第二章及び第三章参照)、司法修習生に関する規則二条も、司法修習生が国家公務員法上の国家公務員でないことを前提として、「司法修習生は、最高裁判所の許可を受けなければ、公務員となる……ことができない。」と規定していること等に徴すれば、司法修習生は、退職手当法にいう国家公務員ではないといわざるを得ない。」
同判決は,旅費についても「修習期間中は、国庫から一定額の給与を受けるほか、暫定手当、扶養手当等の諸手当や「公務のため旅行する国家公務員等」として司法研修所入所、滞在などに必要な旅費の支給を受けることになつており(裁判所法六七条二項、裁判官の報酬等に関する法律附則一四条、裁判官の報酬等の応急的措置に関する法律八条、九条、裁判官報酬等暫定規則一条、国家公務員等の旅費に関する法律参照)」と述べている。
国家公務員に該当しない司法修習生に旅費が支給される根拠は,国家公務員等の旅費に関する法律3条5項の「第一項、第二項及び前項の規定に該当する場合を除くほか、他の法律に特別の定めがある場合その他国費を支弁して旅行させる必要がある場合には、旅費を支給する。」という規定である。

この理解は,平成28年度(最情)答申第26号(平成28年9月1日答申)でも確認できる。
同答申は,司法修習生名簿の一部開示の可否が主たる争点であるが,苦情申出人が「司法修習生は旅費法に基づく支給を受けているから公務員等に相当する」と主張したのに対し,次のとおり判断している。
「この点につき,苦情申出人は,司法修習生が国家公務員等の旅費に関する法律に基づく支給を受けていることをもって,司法修習生が「公務員等」に相当すると主張するが,同法は,国家公務員以外の者に対して旅費を支給することがあることを規定しているのであるから(同法3条5項参照),上記主張は採用の限りでない。」

(続きを読む...)司法修習期間中の旅費(AI作成)

司法修習生の移転給付金―対象となる転居,路程別の支給額,7日以内の移転届及び対象外例(AI作成)

第1 移転給付金の要点第2 移転給付金の支給要件1 法律及び規則上の位置付け2 現に住所又は居所を移転したこと3 修習に伴う移転であること第3 対象となる移転と路程別の支給額1 実際の旧居と新居の間の距離ではない2 路程別の支給額第4 移転届は原則として修習開始日から7日以内である1 期限の起算日2 第79期の主な届出期限3 電子届出と郵送の期限判定4 事前届出はできない5 証明書類第5 寮,実家,ホテル,同居及び対象外例1 司法研修所の寮への入寮及び退寮2 実家その他の自宅等への移転3 ホテル等への長期滞在4 司法修習生同士の同居5 対象外となる移転の例第6 住居給付金との違いと関連記事第7 出典1 法令及び最高裁判所規則2 最高裁判所及び司法研修所の運用資料
第1 移転給付金の要点

移転給付金は,司法修習生が修習に伴って住所又は居所を移転する必要があると認められ,現に移転した場合に,最高裁判所が定める路程に応じた定額を支給する制度である(裁判所法67条の2第5項)。
確認すべき点は,①修習に伴う移転の必要性,②現実の移転及び③期限内の移転届であり,住民票の異動,入寮手続又は引越費用の負担だけで支給が決まるものではない。

移転届は,原則として,移転の原因となった修習の開始日から7日以内に届け出る必要があり,開始日は算入しない。
この期限を過ぎたときは,住居給付金のように支給開始が後ろにずれるのではなく,原則として,当該移転について移転給付金が支給されない。

本記事は,令和8年8月29日現在の法令及び最高裁判所が公表している第79期向け「修習給付金案内」に基づく。
第80期以降の届出方法及び日程は,各期の最新案内で改めて確認する必要がある。

第2 移転給付金の支給要件
1 法律及び規則上の位置付け

裁判所法67条の2第5項は,司法修習生が修習に伴って住所又は居所を移転する必要があると認められる場合に,その移転について移転給付金を支給し,その額を路程に応じて最高裁判所が定めるとしている。
司法修習生の修習給付金の給付に関する規則10条ないし12条は,①路程に応じた別表の定額,②移転の実情の届出及び③最高裁判所による事実確認と支給認定を定めている。

したがって,移転給付金は,実際に支払った引越代を領収書どおりに精算する制度ではない。
修習に必要な移転であると認定された場合に,実際の引越費用の多寡にかかわらず,所定の路程区分による定額が支給される。

2 現に住所又は居所を移転したこと

第79期向け「修習給付金案内」は,支給対象者を,修習に伴う移転の必要性が認められ,かつ,現に移転して移転給付要件を具備し,移転届により移転の実情を届け出た者としている。
形式的に住所の記載を変更しただけでは足りず,生活の本拠又は現実の滞在場所を移した実情が必要となる。

住所だけでなく居所の移転も対象となり得るため,賃貸住宅への転居だけを対象とする制度ではない。
もっとも,住宅の種類を問わず,修習に伴う必要性と現実の移転について確認を受けることになる。

3 修習に伴う移転であること

現実に転居していても,その転居が導入修習,分野別実務修習,集合修習又は対象となる選択型実務修習に伴って必要となったものでなければ,移転給付金の対象とはならない。
個人的な都合による住替えや,修習場所から遠ざかる転居は,実際に引越費用が発生していても対象外となり得る。

第3 対象となる移転と路程別の支給額
1 実際の旧居と新居の間の距離ではない

第79期向け「修習給付金案内」が示す路程は,実際の旧居から新居までの距離ではなく,修習区分ごとに定められた次の起点と終点との間の路程である。
この違いは,転居先の住所だけから支給額を計算できないことを意味する。

対象となる移転

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司法修習生の住居給付金――支給要件,7日以内の住居届,寮・実家・親名義及び二重家賃(AI作成)

第1 この記事の対象と結論

第2 支給要件と1給付期間3万5000円

1 三つの支給要件
2 配偶者・父母等の住宅
3 支給額と日割計算

第3 住居届(新規)の7日期限

1 要件具備日
2 電子届出と郵送
3 契約書が届かない場合
4 期限後の届出と支給開始
5 実務修習開始時の特例

第4 寮,実家及び契約名義

1 司法研修所の寮
2 自宅・実家
3 親名義契約の原則と例外
4 共同名義・ルームシェア

第5 二重家賃と住居給付金

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修習給付金に関する大阪地裁令和4年12月22日判決に対する控訴理由書

目次
第1部 控訴理由書
第2部 関連記事その他

第1部 控訴理由書
・ 修習給付金についての所得税更正処分取消請求事件に関する大阪地裁令和4年12月22日判決(正本認証込で53頁あります。なお,担当裁判官は51期の徳地淳,54期の新宮智之及び新60期の太田章子)に対する控訴理由書(令和5年2月14日付)の本文は以下のとおりです。
・ 控訴審で提出した甲123ないし甲142を掲載しています。

第1 本件給付金が所得税法上の学資金に該当することの補充主張
1 基本給付金が学資金に含まれると解したとしても,学資金という文言の通常の意味内容から乖離するとまではいえないことの補充主張
(1) 「学資」と「学費」とでは,登録商標における「商品及び役務の区分」が全く異なること
ア 「学資」という文言を含む登録商標40例のうち,39例は「第36類」(金融,保険及び不動産の取引)であり,残り1例は「第16類」(紙,紙製品及び事務用品)である(甲119)。
    これに対して「学費」という文言を含む登録商標5例のうち,2例だけが「第36類」であり,残り3例は「第35類」(広告,事業の管理又は運営,事務処理及び小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供),「第41類」(教育,訓練,娯楽,スポーツ及び文化活動)又は「第42類」(科学技術又は産業に関する調査研究及び設計並びに電子計算機又はソフトウェアの設計及び開発)である(甲120)。
    つまり,「学資」という文言を含む登録商標と「学費」という文言を含む登録商標とでは,商標法施行令2条及び別表が定める「商品及び役務の区分」が全く異なるといえる。
(2) 「学資」と「学費」とでは,現実の使用場面が全く異なること
ア 「学資」というキーワードでグーグル検索した場合における上位10位以内の検索結果はすべて学資保険に関するものである(甲123の1)。
    これに対して,「学費」というキーワードでグーグル検索した場合における上位10位以内の検索結果はすべて教育資金に関するものであって(甲123の2),両者の間に共通する検索結果は全く存在しない。
イ グーグル検索において1頁に表示する件数を50件に増やした上で(甲124参照),「”学資”」というキーワードでグーグルの限定検索をした場合における上位50件以内の検索結果の9割以上が学資保険に関するものであり,残りは学資ローン(生活費等にも使えるローン)等である(125の1)。
    これに対して,「”学費”」というキーワードでグーグルの限定検索をした場合における上位50件以内の検索結果の9割以上は入学金,授業料その他の学納金に関するものであって(甲125の2),両者の間に共通する検索結果は全く存在しない。
ウ そのため,「学資」と「学費」とでは,現実の使用場面が全く異なるといえる。
(3) 原判決のように大辞泉及び広辞苑だけに基づいて学資金の意義を判断することが不当であること
ア 乙6が解説するところの「生存保険の一種。子供の教育資金の準備を目的とする。教育保険。」という意味での学資保険は,教育費の確保を目的として昭和47年9月1日に創設された当時の郵便局の学資保険(甲142の2)だけを意味するものにすぎない。
    つまり,貯蓄重視型と保障重視型の2種類が存在するなど多種多様な現在の学資保険(甲119及び甲128参照)はおろか,平成6年1月1日に創設された郵便局の育英年金付学資保険(甲126・160頁及び161頁,並びに甲142の3)まで説明したものですらない。
イ 学資保険は創設当時から生死混合保険としての養老保険(甲126・131頁,甲127及び甲142の2)の一種であって生存保険ではないから,乙6の解説は創設当時の学資保険の正しい解説ですらない。
ウ そのため,原判決30頁及び31頁のように,四半世紀以上前の資料である大辞泉の記事(乙8),及び平成6年1月1日より前の郵便局の学資保険に関する不正確な解説に準拠した広辞苑の記事(乙6及び乙9)に基づいて学資金の意義を判断することが不当であることは明らかである。
(4) 原判決のように学生等の生活費を「学資」という言葉で表現することは一般的ではないと判断することが不当であること
ア 確かに,昭和47年9月1日の創設当時,郵便局の学資保険における「学資」は教育費を意味していたようである(甲142の2)。
    しかし,創設時から半世紀以上が経過した現在のかんぽ生命の学資保険の場合,満期保険金のことを「学資金」と説明している(甲140)ところ,その「学資金」には,①「大学入学時」の学資金準備コース及び②「小・中・高+大学入学時」の学資金準備コースの場合,「ひとり暮らしをする場合の初期費用」(例えば,アパート・マンションの敷金・礼金,及び家財道具の購入費用)が含まれている(甲141の1及び甲141の2)し,③「大学入学時+在学中」の学資金準備コースの場合,「学生生活の諸費用」(例えば,教材費,クラブ・サークル活動費及び交通費・交際費)並びに「仕送りをする場合の費用」(例えば,アパート・マンションの家賃,水道光熱費及び食費)が含まれている(甲141の3)。
    それゆえ,かんぽ生命の学資保険における「学資金」は,学生等の生活費を含むことは明らかである。
    そして,かんぽ生命の学資保険も含めて,使い道の制限がない学資保険の満期保険金(甲119)に対しては所得税又は贈与税が課税される(甲68)ことからも分かるとおり,学資保険の場合,非課税所得としての学資金とは全く異なる意味で「学資」という文言が使用されている。

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修習給付金は必要経費のない雑所得であるとした国税不服審判所令和3年3月24日裁決

目次
1 国税不服審判所の裁決の判断内容
2 本件裁決に基づき,新65期以降の法曹関係者について追加の所得税等が発生すること
(1) 71期以降の法曹関係者の全員について追加の所得税等が発生すること
(2) 修習専念資金の貸与を受けていた71期以降の法曹関係者について追加の所得税等が発生すること
(3) 修習資金の貸与を受けていた新65期ないし70期の法曹関係者について追加の所得税等が発生すること
3 令和3年3月時点の国税不服審判所長等
(1) 本件裁決時の本部所長等
(2) 本件裁決に関する合議体
4 関連記事その他

1 国税不服審判所の裁決の判断内容
・ 国税不服審判所令和3年3月24日裁決(令和3年4月9日送達)(以下「本件裁決」といいます。)の「4 当審判所の判断」(リンク先の11頁(PDF12頁)以下)は下記のとおりであって,結論として,修習給付金は必要経費のない雑所得であり,かつ,修習専念資金の利息相当額も雑所得であると判断しました(見出しを太字にしています。)。
・ 争点は以下の三つでした。
① 本件給付金は,所得税法上の学資金に該当し,非課税所得となるか否か。
② 本件費用は,雑所得の金額の計算上必要経費に算入できるか否か。
③ 本件利息相当額は,所得税法上の学資金に該当し,非課税所得となるか否か。

(1) 認定事実
    請求人提出資料、原処分関係資料並びに当審判所の調査及び審理の結果によれば、以下の事実が認められる。
イ 司法修習生の給費制及び貸与制に係る制度改正等の経緯について
    司法修習生の給費制は、昭和22年に導入され、司法修習生には、その修習期間中、国庫から一定額の給与(扶養手当、調整手当、住居手当、通勤手当、期末手当及び勤勉手当を含む。)が支給され、当該給与は、給与所得として所得税の課税対象とされていた。
しかし、司法制度改革による財政資金の活用等の理由から、給費制は平成23年10月末に廃止され、同年11月から、申請による給費制相当額の貸与制(修習資金、月額230,000円。以下「旧貸与制」という。) となった。
    旧貸与制は、その後の改正(平成29年法律第23号による裁判所法の一部改正、平成29年11月1日施行)により、同日以後、給費制(修習給付金)及び貸与制(修習専念資金)の併存制度に改められ、司法修習生には、その修習のため通常必要な一定の期間(1年間) 、一律の修習給付金(うち基本給付金の額は月額135,000円。司法修習生の修習給付金の給付に関する規則第2条第1項)を給付することに加え、なお必要な場合には、申請による無利息での修習専念資金(月額100,000円。司法修習生の修習専念資金の貸与等に関する規則第3条第1項)の貸付けを行うこととされた。
ロ 基本給付金及び修習専念資金の額の決定経緯等について
平成29年11月の裁判所法の改正に際し、同法を所管する法務省大臣官房司法法制部が同年1月に作成した説明資料( 「裁判所法の一部を改正する法律案【説明資料】」と題する資料)には、基本給付金及び修習専念資金の額の決定経緯について、要旨以下のとおり記載されている。
(イ) 基本給付金の額
    基本給付金の額は、生活実費及び学習費等に関する司法修習生の生活実態等を考慮して決定されたものであり、これに関する日本弁護士連合会が第68期の司法修習生を対象に実施した「修習実態アンケート」の結果によれば、以下のとおり、修習期間中に生活実費及び学資金として、月額おおむね135,000円程度の支出がされている。
A 生活実費(合計約94,000円)
・食費(約40,000円)

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修習給付金の課税関係に関する審査請求の理由書

   司法修習生の修習給付金は非課税所得であると主張した更正の請求に対し,とある税務署長から,令和元年12月20日付で,更正の請求に対する更正すべき理由がない旨の通知を受けましたから,令和2年2月18日付で,国税不服審判所長に対する審査請求書を提出しました。
   その関係で,審査請求の理由書を以下のとおり貼り付けています(金額の明細を記載している別紙「審査請求人の収支の一覧表」は除いています。)。

第1 事案の概要
   本件は,審査請求人が,大阪地裁配属の第71期司法修習生であることに基づき平成30年中に支給された合計155万7000円の基本給付金(甲22参照)について,司法研修所の公式見解(甲2)に従い,その全額が雑所得の総収入金額に該当することを前提に平成30年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告(以下「本件確定申告」という。)を平成31年2月21日にした後,
   ①基本給付金は学資金に該当し,非課税所得である点で総収入金額に算入すべきではないこと,及び②仮に基本給付金が学資金に該当せずに非課税所得でなかったとしても,通勤交通費のほか,書籍代,名刺代,学習費及び衣服購入費等は基本給付金に係る雑所得の総収入金額から必要経費として控除すべきところ,本件確定申告に際して雑所得の計算上,通勤交通費しか必要経費として控除していなかった点で雑所得の金額が過大になっていることを主張して,◯◯税務署長に対し,平成31年3月20日に更正の請求をした(甲3)ところ,
   ◯◯税務署長から,令和元年12月20日付で,基本給付金は必要経費のない雑所得であることを主たる理由として,更正の請求に対して更正をすべき理由がない旨の通知を受けた(甲1)ため,これを不服として審査請求をしたという事案である。

第2 基本給付金は学資金に該当し,非課税所得である点で総収入金額に算入すべきではないこと
1 学資金としての性質を有すること
(1)ア 修習給付金は,基本給付金,住居給付金及び移転給付金からなるものである(裁判所法67条の2第2項)。
   そして,基本給付金とは,司法修習生がその修習期間中の生活を維持するために必要な費用をいい(裁判所法67条の2第3項),月額13万5000円とされている(司法修習生の修習給付金の給付に関する規則2条1項)。
イ ところで,法務省大臣官房司法法制部の説明によれば,基本給付金の月額は,日弁連が第68期司法修習生を対象に実施した修習実態アンケートにおいて,修習期間中における生活実費が月額9.4万円であり,学資金が月額4.0万円であり,合計の支出が月額約13.5万円であったという司法修習生の生活実態等の事情を総合考慮するなどして決定されたとのことである(甲5末尾1頁及び2頁,並びに甲6)。
   また,基本給付金は,司法修習生の通常の支出のうち,社会保険料,所得税・住民税等,勉強会参加費を除く交際費,奨学金返済費用,教養娯楽費(旅行費・月謝類等。ただし,書籍費を除く。),理美容・嗜好品等,自動車等関係費,仕送り金,家具家電・衣服購入費等まで満たすものとは考えられていない(甲5末尾2頁及び3頁参照)。
   そのため,基本給付金は,修習期間中の最低限の生活費及び教育費に充てるという趣旨で国から司法修習生に支給される金員であるといえる。
(2) 学資金(所得税法9条1項15号)とは,一般に,学術又は技芸を習得するための資金として父兄その他の者から受けるもので,かつ,その目的に使用されるものをいうと国税庁は解釈している(甲4)のであって,学術又は技芸を習得するために直接必要な費用だけが学資金であると国税庁が解釈しているわけではない。
   そのため,学術又は技芸の習得に専念する目的で使用される生活費も学資金に含まれるといえる。
(3) 甲南大学法科大学院は,A種特待生(入学試験にきわめて優秀な成績で合格した者)に対し,学費(授業料及び施設設備費)の全額免除だけでなく,月額15万円もの給付金を支給している(甲7の1・3頁)ところ,その趣旨は生活費及び教育費であると思われる。
   また,令和2年度以降に入学した,住民税非課税世帯又はこれに準ずる世帯に属する国立大学の大学生の場合,一定の条件を満たすことで,授業料及び入学金の全額を免除された上で,日本学生支援機構から学資支給金(いわゆる給付型奨学金)を生活費として支給される予定である(甲7の2)。
   そして,これらのように学費の負担を前提としていない大学院生又は大学生に対して生活費等として支給される奨学金は,学資金として非課税所得であると思われる。
(4) 政府は,令和2年1月現在,今後の目標として,修士課程から博士課程に進学した大学院生のうち約5割が,学内奨学金などで月15万円から20万円の生活費相当額を受給できる状況の実現を目指しているところである(甲8)。
   そして,このような学内奨学金は学資金として非課税所得であると思われる。
(5) 法務省大臣官房司法法制部は,司法修習生の「罷免」は「退学」に対応し,「修習の停止」(司法修習生の身分は保有するが,一定期間修習をさせない処分)は「停学」に対応すると説明している(甲5末尾10頁及び11頁)ことからしても,司法修習生の身分は学生に類似するところがあるといえる。
(6) そのため,学費の負担を前提としていない司法修習生に対して最低限の生活費及び教育費として支給される基本給付金は,学資金としての性質を有するといえる。
2 金額規模等を理由に学資金から除外される理由はないこと
(1) 司法研修所がある埼玉県の,平成29年10月1日改定の最低賃金である時給871円(甲9)で1週間当たり40時間(法定労働時間であることにつき労働基準法32条1項)働いた場合,871円×40時間×30日/7日=14万9314円となるから,月額13万5000円の基本給付金は埼玉県の最低賃金を下回る金額である。
   また,基本給付金の13万5000円という金額は,住居費の支出を伴わない第68期司法修習生の平均的な生活費(甲5末尾4頁)等を参考に設定された金額であるから,担税力がないといえる。
(2) 修習資金の貸与を受けなかった新65期ないし第70期司法修習生が家賃を払って一人暮らしをしていた場合,両親等の扶養義務者から生活費及び教育費という趣旨で月額17万円以上の仕送りを受けていた事案がごく普通にあったと思われる。
   そして,それらの仕送りについて,相続税法21条の3第1項2号の「扶養義務者相互間において生活費又は教育費に充てるためにした贈与により取得した財産のうち通常必要と認められるもの」を超えるとして贈与税が課税された事例があるとは思えないことからしても,3万5000円の住居給付金をあわせた月額17万円という修習給付金の金額規模は,「扶養義務者相互間において扶養義務を履行するため給付される金品」(所得税法9条1項15号所定の非課税所得)と比べて特に大きいわけではない。
(3) 平成28年度税制改正において所得税法9条1項15号が改正され,通常の給与に加算して受ける学資金が非課税とされた結果,医学生等に対する修学等資金の債務免除益は,通常の給与に加算して受ける学資金に該当するものとしてすべて非課税となった(甲10参照)。

(続きを読む...)修習給付金の課税関係に関する審査請求の理由書

修習給付金の課税関係に関する大阪国税局の見解

目次
第1 修習給付金の課税関係に関する大阪国税局の見解
第2 関連記事その他

第1 修習給付金の課税関係に関する大阪国税局の見解
・ 修習給付金の課税関係に関する大阪国税局の見解を示すものとして,大阪国税局課税部個人課税課審査指導係が作成した,「R1.9.4司法修習生が受ける修習給付金に係る課税関係について」の本文は以下のとおりです(反対説については,「修習給付金の課税関係に関する審査請求の理由書」を参照してください。)。

【事案概要】
    当時司法修習生(現・弁護士)であった納税者は修習給付金の給付を受けており、これについて7万円程度の必要経費を控除し雑所得として確定申告書を提出した。その後、当該修
習給付金は学資金にあたり非課税である旨の内容を記載した「事情説明書」及び領収書等を添付した更正の請求書を通知弁護士に委任し提出した。また、「事情説明書」において予備
的主張として修習給付金は必要経費を伴う雑所得である旨主張している。更に、税務署からの求めに応じて「事情説明書(2)」(証拠書類の説明)及び「事情説明書(3)」(追加の証拠書類及び説明並びに旅費及び移転給付金は非課税である旨の追加主張)を追加提出している。
    なお、修習給付金について司法研修所事務局総務課・経理課が発行する「修習給付金案内」のp27において、「修習給付金のうち基本給付金及び住居給付金は、所得税法上の「雑所得」に該当するため、確定申告の対象となります。・・・必要経費として控除することができる経費はありません」と記載がある。
【問題点】
    納税者が主張する司法修習生が支給を受ける給付金が非課税となるか、又は、雑所得の計算上必要経費と認められるものはあるか。
【検討】
   修習給付金は支給目的から①移転給付金②住居給付金③基本給付金に分かれている。

1 修習給付金の非課税該当性について
(1) 移転給付金、旅費及び住居給付金について
ア 移転給付金について
    納税者は、旅費及び移転給付金は国家公務員等の旅費に関する法律(以下、国家公務員等旅費法という。) (同法1条参照)が、司法修習生が二級の職務に相当するとした上で、司法修習生に準用されていることから、司法修習生としての採用は所得税法9①四の就職にあたり、司法修習は同号の職務に当たると言え、所基通9-3に挙げられる運賃や移転料に該当するため非課税である旨主張する。
    これについて所得税法9①四は「給与所得を有する者が勤務する場所を離れてその職務を遂行するため旅行をし、若しくは転任に伴う転居のための旅行をした場合又は就職若しくは退職をした者若しくは脂肪による退職をした者の遺族がこれらに伴う転居のための旅行をした場合に、その旅行に必要な支出に充てるため支給される金品で、その旅行について通常必要であると認められるもの」と定めている。
    これを本件についてみるに、移転給付金は給与でないことは明らかであるが、納税者の主張する国家公務員等旅費法に関する法律が、司法修習生が二級の職務に相当するとした上で司法修習生に準用されている事実はなく、高等長官、地方・家庭所長あて事務総長依命通達(改正平成26年経監第1524号)の「内国旅行の旅費について」において司法修習生が二級の職務に相当するとした記載があり、これにより当該旅費及び移転給付金は国家公務員等旅費法に準じて支給されているものであり、裁判所HPにおいても司法修習生は国家公務員に準じる立場である旨記載がある上、就職と言う字句が表すところは職業に就く、すなわち一般に生計を維持するために行う仕事に従事することを指すことから、司法修習生としての採用は就職と解することはできない。
    ところで、移転給付金は司法修習生がその修習に伴い住所又は居所を移転することが必要と認められる場合に支給するものであり、そうであれば当該給付金は、生活維持のためではなく、修習を受けるために移転費用の実費相当額が支給されるものと観念できることから収入と経費が一致し、結果として課税対象とはならないこととなる。
イ 旅費について
    司法修習について給与支払を受けていない修習生が支給を受ける当該旅費は所法9①四の「給与所得を有する者」に該当せず、転居のための旅行にも当たらないため非課税とはならない。ところで、当該納税者が支給を受ける旅費には交通費、日当、日額旅費等が含まれているのであるが、旅費業務に関する標準マニュアルVer.2-0 (各府省等申合せ2016年12月)において交通費は実際に支出した額、日当は目的地内を巡回するための交通費がおおむね半分を占め(内国旅行においては、鉄道賃等を実費支給し、目的地内巡回交通費相当分の交通費は支給しない)、もう半分は旅行中の昼食や官署への電話代を含み、日額旅費は交通費や日当に代えて長期間の研修、講習、訓練その他これらに類する目的のための旅行について財務大臣がこれを支給することを適当と認めて指定する旅費である旨規定されている。これについて旅費各内容を見るに、これらの支給は所得税法に定める利子所得ないし一時所得のいずれにも該当しない所得であると言えることから、全て雑所得の計算上総収入金額となり、これらに係る支出は実費相当額が支給されたものであると観念できるためその支出した旅費が必要経費となるのであるから結果として所得は発生しないこととなる。
ウ 住居給付金について
    住居給付金について当該納税者は受給していないため所得区分の判断は不要であるが、強いて判断を行うとすれば、毎月定額で支払われ、一時に支払われるものでなく、他の8種の所得のいずれにも該当せず、非課税規定のいずれにも当てはまらないため雑所得であると考えられ、住居費として支出される金額は所法45①一の家事費であり、雑所得の計算上必要経費に算入することはできない。
(2) 基本給付金について
ア 学資金としての性質を有するか

(続きを読む...)修習給付金の課税関係に関する大阪国税局の見解

司法修習生の旅費及び移転給付金から課税所得が生じない理由(AIリライト)

第1 結論と用語の整理

1 旅費及び移転給付金から課税所得は生じない
2 「非課税所得」と「課税所得が生じないこと」は異なる

第2 課税所得が生じない仕組み

1 所得税法9条1項4号を直接の根拠とはしない
2 雑所得の総収入金額と必要経費が一致する
3 最高裁判所の説明と税務当局の説明には表現上の差がある
4 源泉徴収,確定申告及び所得税の有無は別の問題である

第3 裁判例及び公表裁判資料の到達点

1 奈良地裁令和5年2月14日判決及び大阪高裁令和5年9月21日判決
2 大阪地裁令和4年12月22日判決及び大阪高裁令和5年7月26日判決
3 最高裁令和5年12月22日決定の意味

第4 移転給付金の現行制度

1 法的根拠と支給要件
2 届出期限と証明書類
3 現行の支給額

(続きを読む...)司法修習生の旅費及び移転給付金から課税所得が生じない理由(AIリライト)

修習給付金制度を創設した平成29年の裁判所法改正法に関する,参議院法務委員会における国会答弁資料

目次
第1 修習給付金制度を創設した平成29年の裁判所法改正法に関する,参議院法務委員会における国会答弁資料
第2 関連記事その他

第1 修習給付金制度を創設した平成29年の裁判所法改正法に関する,参議院法務委員会における国会答弁資料
1 平成29年4月18日の,元榮太一郎参議院議員(自民党)の以下の質問に対するもの
① 修習給付金制度の導入に至った理由及びその背景について,法務当局に問う。
② 今回の制度設計に当たり,どのような検討により,基本給付金を月額13.5万円,住居給付金を月額3.5万円とする制度としたのか,給費制下の支給額と比較して低いのではないか,法務当局に問う。
③ 今回新たな給付制度を導入しつつ,貸与制を併存させる理由は何か,貸与制の内容日打て見直しをするのか,法務当局に問う。
④ 現行貸与制下の司法修習生に対して救済措置を講ずるべきではないか,法務当局に問う。
⑤ 基本給付金の額を検討するに当たって,修習期間中の交通費は考慮されたのか,法務当局に問う。
⑥ 法曹資格取得までの期間を短縮するため,法科大学院修了前に司法試験の受験を可能とし,4月から司法修習を開始できるようにすべきと考えるが,法務当局の見解を問う。
⑦ 司法修習期間が1年間と短期間である中,懲戒的措置として戒告を設ける意味はあるのか,法務当局に問う。
⑧ 今後とも,法曹の魅力を高め,法曹人材を確保するための不断の検討を続けるべきではないか,法務大臣の所見を問う。

2 平成29年4月18日の有田芳生参議院議員(民進党)の以下の質問に対するもの
① 本改正法案の立法目的は何か,法務大臣に問う。
② 本改正法案により,法曹志望者は増えるのか,法務当局に問う。
③ 司法試験出願者数の推移について,法務当局に問う。
④ 法曹志望者が減少した理由について,どのように考えるか,法務当局に問う。
⑤ 法科大学院の課程を修了したことを要件とする現行司法試験の受験資格を見直すべきではないか,法務当局に問う。
⑥ 法科大学院修了者の司法試験合格率が,予備試験合格者の司法試験合格率より大幅に低いのは,司法試験法第5条違反ではないか,法務当局に問う。
⑦ 有為な法曹人材の確保に向けた法務大臣の決意を問う。

3 平成29年4月18日の,真山勇一参議院議員(民進党)の以下の質問に対するもの

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修習給付金制度を創設した平成29年の裁判所法改正法に関する,衆議院法務委員会における国会答弁資料

目次
第1 修習給付金制度を創設した平成29年の裁判所法改正法に関する,衆議院法務委員会における国会答弁資料
第2 関連記事その他

第1 修習給付金制度を創設した平成29年の裁判所法改正法に関する,衆議院法務委員会における国会答弁資料
1 平成29年3月21日の,安藤裕衆議院議員(自民党)の以下の質問に対するもの
① 司法修習生に対する経済的支援が給費制から貸与制に変わった理由,そして,今回,給付金制度を新設した理由について,法務当局に問う。
② 課税関係について,なぜ給費制下の給与所得から,給付金は雑所得に変わるのか,年金や健康保険は国民年金や国民健康保険ということだが,これもなぜ給費制下の取扱いと変わるのか,法務当局に問う。
③ 大学の給付型奨学金も今国会で法案が提出されているが,司法修習生で奨学金と修習資金の両方の貸与を受けるとかなりの負債を負うことになる。65期から70期までの司法修習生の救済策について,法務当局に問う。
④ 法曹志望者の減少理由をどのように考えているか,法務当局に問う。
⑤ 弁護士になっても就職できない,また収入が低いという減少が現れており,それが有為な法曹人材の確保のため,今後法務省としてどのように取り組むのか,法務大臣に問う。

2 平成29年3月21日の,國重徹衆議院議員(公明党)の以下の質問に対するもの
① 修習給付金制度の導入の理由について法務当局に問う。
② 平成27年6月の法曹養成制度改革推進会議決定に基づき修習給付金制度の制度設計を担った法務省では,どのような検討により,基本給付金を月額13.5万円,住居給付金を月額3.5万円とする制度設計をしたのか,法務当局に問う。
③ 今後の修習給付金の金額水準の見直しの在り方につき,制度設計を担った法務省としてはどのように考えているのか,法務当局に問う。
④ 修習給付金について,給付型奨学金等とは異なり,司法修習生に一律に支払う理由につき,法務当局に問う。
⑤ 司法修習生の懲戒的措置に関する規程の整備として,罷免以外に修習の停止及び戒告を設ける理由につき,法務当局に問う。
⑥ 修習停止の期間中に修習給付金は支給されるのか,法務当局に問う。
⑦ 昨年12月の法務省,最高裁判所及び日本弁護士連合会の確認にある「修習の成果の社会還元を推進するための手当て」に関する検討状況につき,法務当局に問う。
⑧ 法曹志望者が大幅に減少している中,今後の法曹養成制度の改革に向けた決意につき,法務大臣に問う。

3 平成29年3月22日の,井出庸生衆議院議員(民進党)の以下の質問に対するもの
① 司法修習生の実務修習地についてどのように決まるのか,希望は通るのか,法務大臣に問う。
② 司法修習生の修習先に応じた経済的負担を把握するため,司法修習生の経済的負担につき,アンケートなどの実態調査はしているのか,法務大臣に問う。

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生活保護と修習給付金・修習専念資金の比較―同一世帯・同一時点での試算(AI作成)

第1 比較の前提と結論

1 基準日,世帯及び地域

2 月額だけで優劣を決められないこと

第2 生活保護の算定方法

1 世帯単位の差額支給

2 生活扶助,住宅扶助及び医療扶助

3 届出と返還等

第3 修習給付金と修習専念資金

1 基本給付金及び住居給付金

2 修習専念資金の申請,保証及び返還

第4 3人世帯の現行基準による試算

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修習給付金と最低賃金・物価・技能実習生賃金との比較(AIリライト)

第1 最低賃金と比較する際の前提

1 最低賃金法の適用ではなく生活保障水準の比較であること
2 地域と時間数を固定しなければ月額を比較できないこと

第2 修習給付金と現在の最低賃金・物価

1 基本給付金,住居給付金及び移転給付金
2 埼玉県最低賃金の推移
3 仮定時間別の比較
4 全国加重平均最低賃金及び消費者物価
5 制度導入時の支給等一覧

第3 税務及び社会保険を含めた比較

1 修習給付金は雑所得として扱われること
2 給与所得との比較
3 健康保険及び年金

第4 技能実習生の賃金との比較

1 技能実習生は雇用契約に基づく労働者であること
2 令和6年外国人雇用実態調査の賃金

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司法修習生の給費制,貸与制及び修習給付金(AIリライト)

第1 司法修習生に対する経済的支援の三つの時期

1 71期から始まった修習給付金と給費制・貸与制

2 現行の修習給付金及び修習専念資金

3 修習給付金の税務上及び社会保険上の取扱い

第2 給費制の導入と定着

1 昭和22年の給費制導入

2 司法官試補及び弁護士試補が合体したものとしての司法修習生

3 昭和23年の裁判官の報酬等に関する法律の制定

4 給費制時代の給与

5 平成10年の裁判所法改正

第3 給費制の廃止と貸与制への移行

1 平成16年の裁判所法改正

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修習給付金の税務上の取扱いと課税を争う手続(AI作成)

第1 修習給付金の種類と現在の税務上の取扱い

1 三種類の修習給付金

2 基本給付金及び住居給付金

3 移転給付金

第2 基本給付金の課税を争った裁決及び裁判例

1 国税不服審判所令和3年3月24日裁決

2 大阪地裁判決及び大阪高裁判決

(1) 学資としての非課税

(2) 必要経費

(3) 修習専念資金の利息相当額

3 最高裁令和5年12月22日決定と判決の射程

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修習給付金の必要経費――平成30年当時の見解とその後の裁決・裁判例(AI作成)

第1 現在の取扱い及び本記事の範囲1 基本給付金の必要経費は認められていないこと2 本記事が扱う範囲3 三種類の修習給付金を区別する必要があること第2 雑所得の必要経費に関する所得税法の仕組み1 雑所得であることだけでは必要経費の存在は決まらないこと2 個別対応費用及び一般対応費用3 家事費及び家事関連費との関係第3 平成30年当時の必要経費算入説1 修習専念義務と支出との関係を重視した見解2 必要経費として想定された支出3 給与所得者及び事業所得者との比較の限界第4 必要経費を否定した裁決及び裁判例1 国税不服審判所令和3年3月24日裁決2 大阪地裁令和4年12月22日判決3 大阪高裁令和5年7月26日判決及び最高裁決定4 奈良地裁から大阪高裁に至る別系列の判決第5 交通費等と領収書の取扱い1 交通費及び書籍代の支出自体が否定されたわけではないこと2 移転給付金及び修習に伴う旅費を分けること3 領収書を保存すれば必要経費になるわけではないこと第6 裁決・判決に対する学説上の批判1 基本給付金が雑所得なら必要経費を伴うとする見解2 判決の理由付けが不明確であるとの批判3 学説上の批判と現在の申告実務を区別すること第7 出典・参考資料1 法令2 司法研修所の案内3 裁決及び裁判例4 文献

第1 現在の取扱い及び本記事の範囲

1 基本給付金の必要経費は認められていないこと

現在の申告実務では,基本給付金について必要経費を控除しない取扱いが出発点となる。
最高裁判所司法研修所事務局の第79期司法修習生の修習給付金案内18頁は,基本給付金及び住居給付金を所得税法上の雑所得として確定申告の対象とし,「必要経費として控除することができる経費はありません」と案内している。
また,基本給付金を直接扱った大阪地裁令和4年12月22日判決及び大阪高裁令和5年7月26日判決は,交通費,書籍代等の必要経費算入を否定した。

もっとも,最高裁第二小法廷令和5年12月22日決定は上告受理申立てを不受理としたものであり,必要経費について独自の実体判断を示したものではない。
大阪高裁判決が当該事件で確定したことと,最高裁がその理由を判例として示したこととは区別する必要がある。

2 本記事が扱う範囲

本記事は,基本給付金を雑所得とした場合に,司法修習のための交通費,転居費,書籍代その他の支出を必要経費として控除できるかを扱う。
平成30年当時に提示された必要経費算入説の根拠と,その後の裁決・裁判例による判断,なお残る学説上の批判を区別して整理する。

修習給付金の種類,現在の申告方法及び住民税等を含む全般的な取扱いについては,修習給付金の税務上の取扱い―司法研修所の案内,裁判例及び確定申告(AIリライト)を参照されたい。
更正の請求,審査請求及び取消訴訟の期限と手続については,修習給付金の税務上の取扱いと課税を争う手続(AI作成)に譲る。

3 三種類の修習給付金を区別する必要があること

裁判所法67条の2は,修習給付金を基本給付金,住居給付金及び移転給付金に区分している。
第79期案内18頁は,基本給付金及び住居給付金を雑所得として申告対象とする一方,移転給付金を申告対象外としている。

大阪地裁及び大阪高裁が直接判断したのは基本給付金であり,住居給付金の必要経費を直接判示したものではない。
したがって,住居給付金については,司法研修所の現行案内が必要経費なしとしていることと,基本給付金事件の判決の直接の射程とを分けて理解する必要がある。

第2 雑所得の必要経費に関する所得税法の仕組み

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修習給付金は非課税所得か―裁判例と学説上の議論(AI作成)

第1 現在の結論とこの記事の対象

1 現在の申告実務

2 基本給付金の非課税学資金該当性に対象を絞ること

第2 所得税法上の非課税学資金

1 所得税法9条1項15号

2 給与又は対価でないことだけでは非課税とならないこと

第3 基本給付金を非課税学資金とする見解の根拠

1 司法修習の教育課程としての性格

2 生活費を学資から除外できるか

3 他の給付との取扱差と憲法14条

第4 基本給付金の課税を争った裁決及び裁判例

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修習給付金の税務上の取扱い―司法研修所の案内,裁判例及び確定申告(AIリライト)

第1 修習給付金に関する現在の案内

1 この記事で扱う範囲
2 修習給付金の種類及び金額

第2 基本給付金及び住居給付金

1 基本給付金は雑所得であり,学資金非課税には当たらないとされたこと
2 修習に要した費用は基本給付金の必要経費には当たらないとされたこと
3 住居給付金について裁判例の射程を分けること

第3 移転給付金及び司法研修に伴う旅費

1 所得税法9条1項4号による非課税ではないこと
2 実費弁償収入と必要経費が同額になること

第4 修習専念資金

1 貸与元本は所得ではないこと
2 無利息貸与による経済的利益は雑所得になるとされたこと
3 申告義務を説明した司法行政文書の存否

第5 確定申告及び翌年度の負担

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修習給付金制度等に関する規則案についての司法研修所事務局長の説明

〇染谷武宣司法研修所事務局長は,平成29年7月12日の第33回司法修習委員会において以下の説明をしています(ナンバリング及び改行を追加しました。)。

1 先般の通常国会において,法曹人材確保の充実・強化の推進等を図るために,司法修習生に対し修習給付金を支給する制度の創設などを行うことを内容とする裁判所法のー部を改正する法律が成立し,今年11月1日から施行されることになった。
   これを受け,最高裁判所では,関連する最高裁判所規則の制定あるいは改正の作業を行ってきた。本日は,改正法と規則案の概要について御説明をし,現時点での規則案について御意見をお聞きしたい。

2(1) まず,裁判所法改正の概要から御説明する。今回の法改正は大きく分けて修習給付金制度の創設と司法修習生に対する懲戒に関する規定の整備の二つを内容とするものである。
(2)   修習給付金制度創設の目的,立法理由について,国会で答弁されたところを若干紹介すると,近年,法曹志望者が大幅に減少しており,新たな時代に対応した質の高い法曹を多数輩出していくためにも,法曹志望者を確保していくということが喫緊の課題になっており,特に,法学部生に対する法曹志望に関するアンケート調査でも,貸与制も含めた法曹になるための経済的負担というところが不安要素のーつとして現れていて,平成27年6月の法曹養成制度改革推進会議決定においても,司法修習生に対する経済的支援の在り方を検討することが求められたことから,今般,法曹人材確保の充実・強化の推進等を図るために修習給付金制度が創設されたということである。
(3) 修習給付金は,修習のため通常必要な期間として最高裁判所が定める期間において支給されるものである。
具体的には,司法修習生全員にー律に支給される基本給付金,自ら居住するために住宅を借り受けて家賃を支払っている場合に支給される住居給付金,修習に伴って住所又は居所を移転する必要が認められる場合に支給される移転給付金の3種類からなる。
   これらの給付金の額は最高裁判所が定めるとされており,これから御説明する規則案で具体的な金額を定めているが,同金額は立法の立案過程の段階から念頭に置かれて議論が進んできたものであり,国会でもその旨答弁されたところである。
(4) なお,現行の貸与制については,この修習給付金制度の創設に伴い,貸与額を見直した上で併存させることになった。
   また,裁判所法改正により,名称が従前の修習資金から修習専念資金と変更された。

3 続いて,懲戒に関する規定の整備について御説明する。
これは,品位を辱める行状その他の司法修習生たるに適しない事由が認められる場合に,現在は罷免しか定められていないところ,これに加えて,修習の停止又は戒告の処分をすることができるようにするという内容である。
   それらの処分に該当する事由等については最高裁判所が定めるとされており,これも後ほど規則案のところで御説明する。
   今回の裁判所法改正に伴う最高裁判所規則の制定・改正としては,修習給付金関係で新規の規則を制定するほか,現行のニつの規則,貸与の関係の規則と司法修習生に関する規則をー部改正することとしている。

4(1) まず,司法修習生の修習給付金の給付に関する規則案から御説明する。
   この規則は,修習給付金の額,支給要件,支給手続等を定めている。
   現時点での具体的な条文案については,資料64を御覧いただきたい。
(2) 基本給付金の額については,2条1項のとおり,月額13万5000円を支給することとしている。
   月額といっても,正確には,修習開始日から原則 1か月ずつの期間を取っていき,これを給付期間と呼び,このーつの給付期間ごとに13万5000円ということになる。
   1か月に満たない最後の給付期間や,後ほど御説明する修習停止の期間については,その部分を控除して日割計算で支給額を計算することになる。
(3) 住居給付金については,4条2項で月額3万5000円を支給することとしている。
   先ほど御説明した基本給付金と同様に,日割計算になる場合があるほか,4条3項各号にも日割計算になる期間が定められている。
   特に,導入修習あるいは集合修習の期間中に司法研修所の寮あるいは自宅等に居住した場合には,この期間については.住居給付金は支給されないこととなる。
(4) 移転給付金については,10条,別表になるが,最高裁判所の定める路程,簡単にいえば距離に応じた定額を支給することとしており,具体的な支給額は別表で定めるという関係になる。
   そして,具体的な距離の取り方については,採用時に住んでいた場所を管轄する地方裁判所と司法研修所との間,あるいは司法研修所と実務修習を行う地方裁判所との間を基準として計算することを予定している。
   そして,住居給付金と移転給付金については,法律が定める要件を備えた司法修習生が届け出ると,これに基づいて支給されるという仕組になっている。

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司法修習生の給費制・貸与制・修習給付金制度の比較(AIリライト)

第1 司法修習生への経済的支援は三段階である

第2 給費制(新64期及び現行65期まで)

1 給与及び各種手当

2 給与所得と確定申告

第3 新65期から70期までの修習資金貸与制

1 給与も給付金もない無利息貸与

2 保証及び返還

第4 71期以降の修習給付金と修習専念資金

1 基本給付金・住居給付金・移転給付金

2 修習専念資金による補完

3 制度創設後の金額据置き

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月額3万5000円の住居給付金の根拠

1 平成29年3月22日の,井出庸生衆議院議員(民進党)に対する国会答弁資料7頁に以下の記載があることから,月額3万5000円の住居給付金は,生活保護法における単身世帯の住居扶助額に合わせたのだと思います。

・ 司法修習生が住宅を借り受け,家賃を支払っている場合には,住居給付金として月額3.5万円を支給することを予定。
   この金額は,法曹人材確保の充実・強化の推進を図るという制度の導入理由のほか,ほかの給付制度との比較(注),司法修習生の生活実態その他の諸般の事情を総合考慮して決定したものである。
(注)生活保護法における単身世帯の住居扶助額の全国平均は月額3万4,542円。
   なお,国家公務員については,一般職の職員の給与に関する法律に基づき,住居手当については,月額2万7,000円を上限として支給される。

2 生活保護の総合情報サイトに「各都道府県別住宅扶助上限額」(平成27年7月改正後のもの)が載っています。

3 「司法修習生の修習給付金及び修習専念資金」も参照して下さい。

月額13万5000円の基本給付金の根拠

目次
1 国会答弁資料の記載
2 法律案説明資料の記載
3 関連記事

1 国会答弁資料の記載
◯ 平成29年3月22日の衆議院法務委員会における国会答弁資料には,以下の趣旨の記載があります。
・ 日弁連が実施した第68期司法修習生の修習実態アンケート結果によれば,修習生の実務修習期間中の標準的な1か月の支出状況は,平均支出月額が約18万1000円であり,
・ このうち,住居費の支出を要しない自宅等からの通所者の平均支出月額が約13万5000円,
・ うち,アパートを借りるなどして住居費の支出を要する者の平均支出月額が約20万7000円となっている。

2 法律案説明資料の記載
・ 「裁判所法の一部を改正する法律案【説明資料】」(平成29年1月付の,法務省大臣官房司法法制部の文書)の「修習給付金及び修習専念資金の金額について」には,13万5000円の基本給付金に関して,以下の記載があります(ナンバリングを追加しました。)。
(1) 日本弁護士連合会が第68期の司法修習生を対象に実施した「修習実態アンケート」によれば,以下のとおり,修習期間中に生活実費及び学資金として月額おおむね13.5万円程度の支出がされている。
(内訳)
① 生活実費(合計約9.4万円)
・ 食   費(約4.0万円)
・ 交 通 費(約0.9万円)
・ 情報通信費(約0.9万円)
・ 水道光熱費(約1.0万円)
・ 就職活動費(約1.1万円)
・ 諸雑費(医療費・衣服費等)(約1.5万円)
※ アンケートに回答した全ての司法修習生の平均値。なお,食費及び水道光熱費については,回答中75%を占める住居費支出のある司法修習生の平均値。
② 学資金(合計約4.0万円)
・ 学 習 費(約1.0万円)
・ 書 籍 代(約0.8万円)
・ OA機器購入費(約1.2万円)
・ 勉強会参加費(約1.0万円)
※ 学習費についてはアンケートに回答した全ての司法修習生の平均値。勉強会参加費は,アンケート結果の交際費(2.7万円)のうち,業務時間外に庁舎や会議室等で行う弁護士等との勉強会の参加費用として日弁連が推計した金額。書籍代及びOA機器購入費は,法曹に必要な能力の修得に資する関連書籍・判例集等やパソコン本体・周辺機器等の初期投資費用を月割で按分した金額として,日弁連が推計した金額
(2) 基本給付の額については,以上のような生活実費及び学習費等に関する司法修習生の生活実態(注1)のほか,法曹人材確保の充実・強化の推進等といった修習給付金制度の導入理由(注2),貸与制との連続性(注3),類似の給付・貸付制度(別紙「生活費等の給付・貸付制度」参照)との均衡等を総合考慮したうえで決定されたものである。

(続きを読む...)月額13万5000円の基本給付金の根拠

司法修習生の修習給付金の名称に関する説明

○修習給付金の名称に関する説明が書いてある,法務省が作成した「「修習給付金(仮称)」の名称について」の本文は以下のとおりです。
○「司法修習生の修習給付金及び修習専念資金」も参照して下さい。

1 名称に「給付金」を用いる理由
   司法修習生に対して支給される渡し切りの金銭(修習給付金(仮称))の名称については,用例上,「手当」又は「給付金」を用いることが考えられる。このうち,「手当」については,一般的には,「労働・勤務などの報酬として与える金銭。また,基本的な給料などのほかに支給する金銭。」(広辞苑)を意味するものとされており,用例上も,「児童手当」など給与ではない支給金の名称に用いられる例もあるものの,「期末手当」「住居手当」など,基本的には本給に付随する給与の名称に用いられる例が多い。これに対し,「給付金」は,犯罪被害者等給付金(犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律)や,「老齢年金生活者支援給付金」(年金生活者支援給付金の支給に関する法律)など,支給対象者の生活を支援する等の目的で無償で支給される金銭の名称として用いられる例が多く,反対に,給与の名称として用いられている例は見当たらない。
   司法修習生は,公務員ではなく,国に対して何らかの職務を行う立場にはなく,本改正法案により司法修習生に支給される渡し切りの金銭(修習給付金) は,(司法修習生の生活支援を通じて)修習専念義務を確保するために,修習資金の一部として支給されるものであり,司法修習生の給与として支給されるものではない。このような修習給付金の性格及び上記の用例によれば,修習給付金の名称に「給付金」を用いることにつき,用例上問題はないと考えられる。
   また,修習給付金の支給額については,現在,修習期間中の約1年間にわたり,月額10万円から20万円の範囲内の金額を支給する方向で調整が進められている。他の給付金制度としては,①雇用保険を受給できない求職者が公共職業訓練等を受講することを容易にするため,当該求職者に対し,訓練期間(概ね3月から1年)中,月額10万円を支給する職業訓練受講給付金制度(職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律)や,②雇用保険に加入している育休取得中の者に対し,子が1歳(両親が取得する場合は1歳2か月)に達するまでの間,賃金の一定割合(50%ないし67%)の金額を支給する育児休業給付金制度(雇用保険法)等がある。

2 「修習給付金」の名称を用いる理由
   法令上の「給付金」の名称については,犯罪被害者等給付金(犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律),特定B型肝炎ウイルス感染者給付金(特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法)のように,その支給の客体に着目した名称,職業訓練受講給付金(職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律),育児休業給付金(雇用保険法)のように,支給対象者が置かれた状況に着目した名称のほか,老齢年金生活者支援給付金(年金生活者支援給付金の支給に関する法律),被害回復給付金(犯罪被害財産等による被害回復給付金の支給に関する法律)のように,その支給目的に着目した名称があると考えられる。
   本改正法案による給付金については,司法修習を実施している司法修習生に対して支給されるものであり,「修習資金」(本改正法案による改正前の裁判所法第67条の2)との平灰も考慮して,支給対象者が置かれた状況に着目して「修習給付金」との名称にした。

司法修習生の修習給付金の導入理由等

目次
第1 司法修習生の修習給付金の導入理由等
第2 給費制から給付制に至るまでの経緯の概要に関する国会答弁
第3 関連記事

第1 司法修習生の修習給付金の導入理由等
・ 修習給付金の導入理由等が書いてある,法務省が作成した「修習給付金(仮称)について」の本文は以下のとおりです。
1 制度内容
    司法修習生全員に対し,修習給付金(仮称)を支給する制度を導入する。
    なお,現行の貸与制については,貸与額等を見直した上で,新設する上記制度と併存させる。
2 導入理由
(1)   司法修習生の修習専念義務を担保するための財政的措置の経緯
    戦後,法曹三者を統一的に養成する司法修習制度の創設に伴い,司法修習生に対し国が給与を支給する制度(給費制)が導入された。
    その後,司法制度改革のー環として,新たな法曹養成制度の整備に伴い,平成16年,給費制に代えて,国が修習資金を無利息で貸与する制度 (貸与制)を導入する裁判所法改正法案が成立した。貸与制は,平成22年議員立法により,その施行がー年延期された後,新65期司法修習生(平成23年11月修習開始)から開始されている。加えて,最高裁判所において,第67期司法修習生(平成25年11月修習開始)から,分野別実務修習開始時における転居費用の支給,集合修習期間中に司法研修所内の寮への入寮を希望する者のうち通所圏内に住所を有しない者への入寮に関する配慮,兼業許可基準に関する運用の緩和の措置が実施されている。
(2)   貸与制導入時からの状況の変化
    平成16年裁判所法改正時の貸与制導入時には,その立法理由として,司法制度改革推進計画(平成14年3月19日閣議決定)において,「平成22年ころには司法試験の合格者数を3, 000人程度とすることを目指す」とされたことを前提に,①新たな法曹養成制度の整備に当たり,司法修習生の増加に実効的に対応できる制度とする必要があること,②新たな法曹養成制度の整備や日本司法支援センター(法テラス)の創設,裁判員制度の導入等,新たな財政負担を伴う司法制度改革の諸施策を進める上で,限りある財政資金をより効率的に活用し,司法制度全体に関して国民の理解が得られる合理的な国民負担(財政負担)を図る必要があること,③公務員ではなく公務にも従事しない者に国が給与を支給するのは現行法上異例の制度であること等を考慮すれば,給費制の維持について国民の理解を得るのは困難であることが挙げられていた。
    しかしながら,①の点については,司法試験の年間合格者数3, 000人目標は現実性を欠くものとして「法曹養成制度改革の推進について」(平成25年7月16日法曹養成制度関係閣僚会議決定)において事実上撤回されており平成27年度の司法修習生数は1,787人と,給費制下の平成22年度(2, 124 人)よりも少なくなっている。
    また,②の点についても,司法制度改革関連予算については,貸与制創設当初には想定されていなかった上記3,000人目標の撤回や法科大学院の統廃合等(平成17年度のピーク時には74校あったが,平成28年5月現在,32 校が学生の募集を停止しており,学生の募集をしているのは42校のみ)を背景に平成22年度(567億円)をピークに減少傾向にあり,平成28年度予算では約450億円程度にまで減少している。
    このように,貸与制創設当初は想定されていなかった様々な事情を背景として,現時点では,貸与制導入時から大きな事情の変化が認められる。
    なお,③の点についても,導入予定の制度は,貸与制を前提とするものであり,給与を支給する給費制を復活させるものではなく,制度の連続性・整合性は維持されており,必ずしも妥当しない。
3 司法修習生に対する追加的な支援措置の必要性
    司法修習生の貸与制の導入を1年延期する平成22年裁判所法改正後,法曹養成フオーラムにおいて法曹の所得調査が実施され,同調査結果等に基づき貸与制を基本とすることが決定された。しかしながら,本年3月,法務省が日弁連・最高裁の協力の下で実施した法曹の所得調査では,弁護士の所得が平成22年の調査時に比べ明らかに減少しており,特に,貸与制導入以降の新65期以降の若手弁護士の所得は,例えば,登録1年の弁護士の所得については58期(平成18年分)では平均値が690万円,中央値が600万円であったのに対し,67期(平成27年分)では平均値が327万円,中央値が317万円となるなど,所得の低い層が拡大している。このように,貸与制を基本とすることの前提とされた弁護士の経済状況についても大きな変化が認められており,現行のような貸与制をそのまま継続すれば,返済に窮する弁護士も出てくるおそれもあり,その安定的な運用に支障を来すおそれがある。
    また,法曹志望者数についても,法科大学院志願者数は平成16年当時は7万2,800人であったのが本年には僅か8, 278人に減少し,適性試験の志願者数も平成15年当時は5万9, 393人であったのが本年には僅か3, 535人に減少するなどしており,こうした傾向に歯止めをかけ,法曹志望者を確保することが喫緊の課題である。「経済財政運営と改革の基本方針2016(本年6月2日閣議決定)や「未来への投資を実現する経済対策」(本年8月2日閣議決定)も,「司法修習生に対する経済的支援を含む法曹人材確保の充実・強化等…を推進する」ことを求めている。
    法務省・文科省が共同で本年9月~10月に実施した法学部生に対するアンケートにおいても,「法曹等を志望するに当たって感じている不安や迷いは何ですか」という質間に対し,制度的な要因の中では最も多くの学生が「司法修習の1年間,貸与制の下で給与の支給を受けられない」ことを1位に挙げている。また,日弁連のアンケートによれば,68期司法修習生の回答者の約65%が司法試験や法曹を目指すに当たり,経済的不安を感じており,進路選択を迷ったと回答しており,進路選択に迷った者のうち約20%が司法修習の辞退を考えたことがあり,うち約71%がその理由として「貸与制に移行したことによる経済的不安」を挙げている。このような法曹志願者数の減少は,法曹の給源である法曹志願者や司法修習生の質の低下を招き,ひいては有為な法曹の減少につながりかねないものであるから,公共的・公益的使命を有する法曹の役割の重要性に鑑み,経済的不安による法曹志望の阻害要因の除去を図るため,司法修習生に対し,修習給付金(仮称)を支給することとし,併せて法曹の資格要件としての司法修習の確実な履践を担保し,その実効性の更なる確保を図るための方策を導入するとともに,司法修習を終えた者の公益性を高めるための措置を設けることとしたい。
法務省作成の,令和元年6月18日の参議院文教科学委員会の国会答弁資料

早稲田ロースクール教授の須網隆夫氏が、法律時報4月号で、司法修習生への給費制復活に反対している。
法曹志望の学生は、こういう早稲田の姿勢をよく見た上で、本当にローに入るのか、入るとしてどのローに入るのかを考えるべき。
ロー生や修習生、弁護士がどうなろうか、知ったことか、のようだ。

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修習給付金制度が創設されるまでの経緯

○修習給付金制度が創設されるまでの経緯は以下のとおりです(衆議院HPの「議案審議経過情報」(裁判所法改正法案)及び「議案審議経過情報」(平成29年度一般会計予算)参照)。
○内閣提出法律案につき,原案作成から公布までの流れが内閣法制局HPの「法律の原案作成から法律の公布まで」に載っています。

平成25年
6月26日
   「法曹養成制度検討会議取りまとめ」(平成25年6月26日付)の「法曹養成課程における経済的支援」において,貸与制を前提とした上で,①分野別実務修習開始時における転居費用の支給,②集合修習期間中の入寮及び③兼業許可に関する従来の運用の緩和を実施すべきいう趣旨のことが記載されました。
7月16日
   「法曹養成制度改革の推進について」(平成25年7月16日法曹養成制度関係閣僚会議決定)2頁の「法曹養成課程における経済的支援」において,①分野別実務修習開始時における転居費用の支給,②集合修習期間中の入寮及び③兼業許可に関する従来の運用の緩和を実施することが期待されるという趣旨のことが記載されました。
平成27年
6月30日
   「法曹養成制度改革の更なる推進について」(平成27年6月30日法曹養成制度改革推進会議決定)6頁に,「法務省は、最高裁判所等との連携・協力の下、司法修習の実態、司法修習終了後相当期間を経た法曹の収入等の経済状況、司法制度全体に対する合理的な財政負担の在り方等を踏まえ、司法修習生に対する経済的支援の在り方を検討するものとする。」と記載されました。
平成28年
6月2日
   「経済財政運営と改革の基本方針2016~600兆円経済への道筋~」(平成28年6月2日閣議決定)(いわゆる骨太方針です。)28頁(PDF36頁)に,「(前略)法科大学院に要する経済的・時間的負担の縮減や司法修習生に対する経済的支援を含む法曹人材確保の充実・強化(中略)を推進する。」と記載されました。
8月2日
   「未来への投資を実現する経済対策」(平成28年8月2日閣議決定)22頁(PDF28頁)に,「(2)若者への支援拡充、女性活躍の推進(中略)・法科大学院に要する経済的・時間的負担の縮減や司法修習生に対する経済的支援を含む法曹人材確保の充実・強化等の推進(法務省、最高裁判所、文部科学省)」と記載されました。
11月4日
・   遅くともこの日までに,裁判所法の一部を改正する法律案について内閣法制局の予備審査が開始しました(「裁判所法の一部を改正する法律案(仮称)について」(平成28年11月4日付)参照)。
・ 裁判所法の一部を改正する法律案新旧対照条文のうち,初期段階のもの(手書きの記載は内閣法制局参事官の手によるものと思われます。)を掲載しています。実際に成立した,裁判所法の一部を改正する法律の条文と全く異なります。
12月8日
   平成29年度司法試験の願書受付が終了しました(法務省HPの「平成29年司法試験の実施について」掲載の「実施日程」参照)。
12月19日
・   法曹三者の幹部が集まって,司法修習生に対する経済的支援策を確認して,これを発表しました(平成28年12月19日付の確認事項。なお,法務省HPの「司法修習生に対する経済的支援について」のほか,フォトニュース「司法修習生に対する新たな経済的支援策について法曹三者で確認しました(平成28年12月19日)」)。
・ 法務省大臣官房司法法制部長,最高裁判所事務総局総務局長及び日本弁護士連合会事務総長が「確認事項」を作成しました。
12月22日
   平成29年度予算政府案が閣議決定されました(財務省HPの「平成29年度予算」参照)。
平成29年
1月20日
   平成29年度予算案が衆議院予算委員会に付託されました。
2月1日

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司法修習生に給料はあるか―修習給付金の支給額・手取り,税金,国保・年金及び扶養判定(AIリライト)

平成29年11月に始まった修習給付金制の下では,司法修習生(71期以降)に支給されるのは給与ではなく,基本給付金,住居給付金及び移転給付金からなる修習給付金である。基本給付金は給付期間ごとに13万5000円であり,住居給付金は要件を満たす場合に給付期間ごとに3万5000円である。
修習給付金のうち基本給付金と住居給付金は雑所得に当たり,確定申告の対象となるが,給与のような源泉徴収は行われない。したがって,振込額から所得税等を差し引いた「手取り」が定められているわけではなく,所得税・住民税,健康保険料及び国民年金保険料は別途負担することになる。移転給付金は所得税の課税対象外である。
この記事は,司法修習生本人とその家族に向けて,修習給付金の支給額と「手取り」の考え方,健康保険・年金・税金・扶養判定を,法令及び所管機関の公表資料に基づいて整理する(令和8年8月29日時点)。

目次

第1 修習給付金と司法修習生の位置づけ

1 給費制から貸与制を経て修習給付金制へ
2 修習給付金の3種類と金額

第2 健康保険——裁判所共済組合には加入できない

1 裁判所共済組合に加入できない理由
2 家族の健康保険の被扶養者になることは通常難しい
3 国民健康保険への加入手続

第3 年金——国民年金の第1号被保険者になる
第4 修習給付金の税務上の取扱い

1 基本給付金・住居給付金は雑所得
2 移転給付金は課税されない
3 必要経費として差し引けるか
4 住民税と確定申告

第5 会社を退職して修習生になる場合の健康保険の選び方

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修習資金の返還の猶予

目次
第1 総論
1 修習資金の返還猶予事由
2 修習資金の返還猶予の手続等
3 返還期限の猶予申請における添付資料の例
4 その他
第2 平成24年の裁判所法改正
1 裁判所法67条の2第3項の改正前後の条文
2 追加された裁判所法附則5項
第3 関係条文
1 司法修習生の修習専念資金の貸与等に関する規則(平成21年10月30日最高裁判所規則第10号)
2 修習資金貸与要綱
第4 関連記事その他

第1 総論
1 修習資金の返還猶予事由
(1) 以下の場合,修習資金の返還を猶予してもらえます(裁判所法67条の2第3項前段)。
① 災害,傷病その他やむを得ない理由により返還が困難となったとき
② 修習資金を返還することが経済的に困難であるとき
(2) ②につき,具体的には,返還期限前1年間(修習資金貸与要綱20条1項)について,(a)奨学金等の返済を控除した後の給与収入が300万円以下である場合,又は(b)奨学金等の返済を控除した後の事業所得が200万円以下である場合をいいます(司法修習生の修習資金の貸与等に関する規則7条の2)。
2 修習資金の返還猶予の手続等
(1) 修習資金の返還猶予のための申請は毎年行う必要があります(修習資金貸与要綱28条3項及び4項)。
(2) 修習資金の返還猶予は最大で5年間です(修習資金貸与要綱28条5項)。
(3) 修習資金の返還猶予基準を事後的に満たさなくなった場合(例えば,奨学金等の返済を控除した後の事業所得が200万円を超えた場合),それまでの猶予分とあわせて修習資金を返還しなければならないと思います。
3 返還期限の猶予申請における添付資料の例
裁判所HPの「ガイド~据置期間・返還期間中の手続について~」の「第6 返還期限の猶予について」には,以下の記載があります(タイトルを太字表記にしています。)。
※ 添付資料の例は次のとおりです。
ア 災害の場合
被災証明書等,所得証明書等,申述書
イ 傷病の場合

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