○修習給付金の名称に関する説明が書いてある,法務省が作成した「「修習給付金(仮称)」の名称について」の本文は以下のとおりです。
○「司法修習生の修習給付金及び修習専念資金」も参照して下さい。
1 名称に「給付金」を用いる理由
司法修習生に対して支給される渡し切りの金銭(修習給付金(仮称))の名称については,用例上,「手当」又は「給付金」を用いることが考えられる。このうち,「手当」については,一般的には,「労働・勤務などの報酬として与える金銭。また,基本的な給料などのほかに支給する金銭。」(広辞苑)を意味するものとされており,用例上も,「児童手当」など給与ではない支給金の名称に用いられる例もあるものの,「期末手当」「住居手当」など,基本的には本給に付随する給与の名称に用いられる例が多い。これに対し,「給付金」は,犯罪被害者等給付金(犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律)や,「老齢年金生活者支援給付金」(年金生活者支援給付金の支給に関する法律)など,支給対象者の生活を支援する等の目的で無償で支給される金銭の名称として用いられる例が多く,反対に,給与の名称として用いられている例は見当たらない。
司法修習生は,公務員ではなく,国に対して何らかの職務を行う立場にはなく,本改正法案により司法修習生に支給される渡し切りの金銭(修習給付金) は,(司法修習生の生活支援を通じて)修習専念義務を確保するために,修習資金の一部として支給されるものであり,司法修習生の給与として支給されるものではない。このような修習給付金の性格及び上記の用例によれば,修習給付金の名称に「給付金」を用いることにつき,用例上問題はないと考えられる。
また,修習給付金の支給額については,現在,修習期間中の約1年間にわたり,月額10万円から20万円の範囲内の金額を支給する方向で調整が進められている。他の給付金制度としては,①雇用保険を受給できない求職者が公共職業訓練等を受講することを容易にするため,当該求職者に対し,訓練期間(概ね3月から1年)中,月額10万円を支給する職業訓練受講給付金制度(職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律)や,②雇用保険に加入している育休取得中の者に対し,子が1歳(両親が取得する場合は1歳2か月)に達するまでの間,賃金の一定割合(50%ないし67%)の金額を支給する育児休業給付金制度(雇用保険法)等がある。
2 「修習給付金」の名称を用いる理由
法令上の「給付金」の名称については,犯罪被害者等給付金(犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律),特定B型肝炎ウイルス感染者給付金(特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法)のように,その支給の客体に着目した名称,職業訓練受講給付金(職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律),育児休業給付金(雇用保険法)のように,支給対象者が置かれた状況に着目した名称のほか,老齢年金生活者支援給付金(年金生活者支援給付金の支給に関する法律),被害回復給付金(犯罪被害財産等による被害回復給付金の支給に関する法律)のように,その支給目的に着目した名称があると考えられる。
本改正法案による給付金については,司法修習を実施している司法修習生に対して支給されるものであり,「修習資金」(本改正法案による改正前の裁判所法第67条の2)との平灰も考慮して,支給対象者が置かれた状況に着目して「修習給付金」との名称にした。