メインコンテンツへスキップ

賃金・労働時間・休暇

減給の制裁の上限と解釈例規―労働基準法91条の「1回の額」・「総額」と,降格・出勤停止・賞与との違い(AI作成)

目次第1 労働基準法91条が定める二つの上限1 条文と本記事の対象2 「1回の額」と「総額」は別々の上限である3 平均賃金と賃金総額の算定4 計算例第2 「基本給の10%以内」型の規程の点検1 1件の非違行為について月々の割合で減給する定め2 上限を超える定めの効力と罰則3 モデル就業規則の規定例第3 同条の減給に当たる措置と当たらない措置1 職務の変更を伴う格下げと,職務をそのままにした降給2 出勤停止と昇給停止3 遅刻・早退の賃金控除と賞与からの減額第4 同条の制限を受けないことと懲戒処分の相当性第5 関連する山中弁護士ブログの記事第6 出典・参考資料1 法令2 裁判例3 行政解釈4 公的資料5 文献

第1 労働基準法91条が定める二つの上限

1 条文と本記事の対象

労働基準法91条は,「就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。」と定めている。
本記事は,同条の「1回の額」と「総額」の意味,平均賃金及び賃金総額の算定方法,並びに同条の制限を受ける措置と受けない措置の区別を,行政解釈に沿って説明するものである。
本記事で取り上げる行政解釈は,旧労働省の通達等であり,厚生労働省労働基準局編『労働基準法解釈総覧(改訂16版)』に収録されているものである。
本記事の記載は,令和8年9月11日時点の法令及び公表資料に基づく。

就業規則に定める制裁は減給に限られない。
「労働基準法の施行に関する件」(昭和22年9月13日発基第17号)は,就業規則に定める制裁は減給に限定されるものではなく,譴責,出勤停止,即時解雇等も,制裁の原因となる事案が公序良俗に反しない限り禁止する趣旨ではないとしている。
常時10人以上の労働者を使用する使用者は,表彰及び制裁の定めをする場合には,その種類及び程度に関する事項を就業規則に記載しなければならない(労働基準法89条9号)。
最高裁平成15年10月10日第二小法廷判決(フジ興産事件)も,「使用者が労働者を懲戒するには,あらかじめ就業規則において懲戒の種別及び事由を定めておくことを要する」としている。

2 「1回の額」と「総額」は別々の上限である

同条の上限は二つある。
一つは,1回の減給の額が平均賃金の1日分の半額を超えてはならないという上限であり,もう一つは,1賃金支払期の減給の総額がその期の賃金総額の10分の1を超えてはならないという上限である。
二つの関係について,行政解釈は,「法第九十一条は、一回の事案に対しては減給の総額が平均賃金の一日分の半額以内、又一賃金支払期に発生した数事案に対する減給の総額が、当該賃金支払期における賃金の総額の十分の一以内でなければならないとする趣旨である。」としている(昭和23年9月20日基収第1789号)。

この解釈例規の問いは,1件の非違行為について日を替え,又は月を替えれば減給を繰り返せるのではないかというものであった。
回答は,1回の事案に対する減給の総額を平均賃金の1日分の半額以内とするものであるから,1件の非違行為について減給を何回かに分け,又は複数の月にわたって続けても,その合計は平均賃金の1日分の半額を超えられない。
「10分の1」は,1賃金支払期に複数の非違行為があり,それぞれについて減給する場合に,その合計を抑える上限である。

3 平均賃金と賃金総額の算定

平均賃金は,算定すべき事由の発生した日以前3か月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を,その期間の総日数で除した金額である(労働基準法12条1項本文)。
賃金締切日がある場合は,直前の賃金締切日から起算する(同条2項)。

(続きを読む...)減給の制裁の上限と解釈例規―労働基準法91条の「1回の額」・「総額」と,降格・出勤停止・賞与との違い(AI作成)

昼休みの電話番・来客対応は労働時間になるか―休憩と残業代の判断・立証(AI作成)

第1 昼休みの電話番は,対応義務の実態で判断する第2 昼休み全体の待機と単発の対応を分ける1 電話が鳴らなくても待機義務が続く場合2 自由な休憩中に一度だけ対応した場合3 当番表がなくても実際の指示と運用を確認する第3 大星ビル管理事件の判断と昼休みへの射程1 実作業のない仮眠時間も労働時間とした理由2 契約上の手当と法定割増賃金は別に判断した第4 休憩不足と残業代を別々に計算する1 実労働時間が8時間を超えると必要な休憩も変わる2 勤務時間帯と実際の休憩による四つの設例3 25%割増の対象と既払額を確認する第5 当番の実態と時間をどの資料で示すか1 従業員は手元の資料から指示・時間・控除を具体化する2 会社は自動控除と実際の当番を照合する3 追加調査へ進む条件と調査を広げない基準第6 時効の確認と昼当番の運用改善1 賃金の時効と記録保存期間を混同しない2 会社は対応を引き継ぎ,勤務途中に休憩を確保する第7 出典1 法令2 裁判例3 所管行政機関の解説・Q&A・運用資料
第1 昼休みの電話番は,対応義務の実態で判断する

昼休み中に電話や来客への対応を求められ,労働から離れることが保障されていない場合は,実際に対応していない待機時間も労働時間となる。
厚生労働省も,昼当番として電話・来客対応をする時間は勤務時間に含まれ,昼休みが費やされた場合には別途休憩を与える必要があると説明している(昼当番に関するQ&A)。

ただし,本来自由に休める時間に単発の対応をした場合と,昼休み全体にわたり応答を求められた場合とでは,計上する時間の範囲が異なる。
①労働時間に含める範囲,②法定休憩の不足,③通常賃金及び割増賃金の不足を分けて確認する必要がある。

本記事は,令和8年8月31日現在の法令等を基に,民間事業場の通常の日中勤務を扱うものである。
公務員,管理監督者等の適用除外,変形労働時間制等に固有の問題は対象とせず,計算例は1日8時間・1週40時間制を前提とする。

第2 昼休み全体の待機と単発の対応を分ける
1 電話が鳴らなくても待機義務が続く場合

12時から13時まで電話当番を命じられ,電話が鳴れば直ちに応答しなければならない場合,通話が5分で終わったからといって,残り55分を当然に休憩とすることはできない。
食事ができたことや,その日に来客がなかったことだけでは,対応義務が解除されていたとはいえない。

厚生労働省の「労働時間の認定に係る質疑応答・参考事例集」問6も,電話・来客への対応が要求される場合には,実際の対応がない時間も労働時間に該当すると説明している。
客が途切れたときに休んでよいという運用でも,来店があれば即座に業務へ戻る必要があるなら,労働から離れることを保障した休憩ではないとされている(同資料20頁~21頁〔PDF27頁~28頁〕)。

2 自由な休憩中に一度だけ対応した場合

同じ問6は,外出等が自由で,電話・来客対応を義務付けられていなかった時間を休憩としている。
そのような休憩中に顧客対応を余儀なくされた場合には,その対応に要した時間を労働時間として扱うと説明している。

したがって,対応の前後に自由な休憩へ戻れたのか,対応後も電話のそばで待つよう求められたのかを区別する必要がある。
「1件電話を受けた」という事実だけから,昼休み全部又は通話時間だけのいずれかに決めることはできない。

なお,この参考事例集は,脳・心臓疾患及び精神障害の労災認定に用いる業務参考資料である。
休憩の実態を整理する参考にはなるが,それ自体が民事の賃金請求について裁判所を拘束する基準というわけではない。

3 当番表がなくても実際の指示と運用を確認する

労働時間適正把握ガイドラインは,明示又は黙示の指示による業務を労働時間とし,即時の業務対応を求められ,労働から離れることが保障されない待機も含めている(1頁~2頁)。
書面の当番表がなくても,受付に残るよう求められたことや,電話に出ないと注意されたことなど,実際の運用が問題となる。

反対に,別の担当者が応答し,本人は対応不要で自由に休めたのであれば,自分の判断で事務所に残ったというだけで労働時間にはならない。
外出の可否,応答しなかった場合の扱い,交代要員の有無及び上司の認識を組み合わせて確認するのが相当である。

第3 大星ビル管理事件の判断と昼休みへの射程
1 実作業のない仮眠時間も労働時間とした理由

最高裁判所第一小法廷平成14年2月28日判決(平成9年(オ)第608号・第609号,民集56巻2号361頁。大星ビル管理事件)は,ビル管理会社の従業員の仮眠時間を扱ったものである。
最高裁は,実作業をしていないことだけで使用者の指揮命令下から離れたとはいえず,労働からの解放が保障されているかによって判断するとした。

同事件では,仮眠室での待機と警報・電話等への即時対応が義務付けられ,実質的にその義務がないといえる事情もなかったため,仮眠時間全体の労働時間性が認められた(判決7頁~8頁)。
昼休みそのものの判決ではないが,対応のない時間にも役務提供の義務が続くかという判断の参考になる。

判決は,実作業の必要が生じることが皆無に等しいなど,実質的な義務付けがない場合も検討している。
ただし,ある日にたまたま電話が鳴らなかったことと,実質的に対応義務がなかったこととは別である。

2 契約上の手当と法定割増賃金は別に判断した

同判決は,労働基準法上の労働時間であることから,当然に労働契約所定の賃金請求権が生じるわけではなく,賃金についての合意内容を確認するとした。
一方で,明確な支払規定がないというだけで無給と解釈することも相当ではないと述べている(判決9頁)。

同事件では,月給や泊り勤務手当等を踏まえ,契約の定めだけに基づく追加の時間外勤務手当等の請求は認められなかったが,労働基準法13条・37条による法定割増賃金の支払義務は別に判断された。
昼当番についても,労働時間に当たるかを確定した後,雇用契約,賃金規程及び既払額を確認する必要がある。
月給制又は当番手当の支給があるという理由だけで,法定割増賃金の不足がないと判断することはできない。

主文は原判決を破棄して東京高裁へ差し戻すものであり,最高裁が請求額をそのまま全額認めたものではない(判決9頁~13頁)。

第4 休憩不足と残業代を別々に計算する
1 実労働時間が8時間を超えると必要な休憩も変わる

労働基準法34条1項・3項は,実労働時間に応じた休憩を勤務の途中に与え,自由に利用させることを求めている。
最低時間は次のとおりであり,終業後に休ませることを勤務途中の休憩の代わりにはできない。

(続きを読む...)昼休みの電話番・来客対応は労働時間になるか―休憩と残業代の判断・立証(AI作成)

業務内容が変わらない定年後再雇用社員の賃金水準の目安(AI作成)

第1 この記事が扱う対象と結論

1 対象と基準時
2 何%なら適法という基準はない
3 本記事における実務上の目安
4 市場相場と法的評価は別である

第2 現行法の判断枠組み

1 高年齢者雇用安定法は賃金率を定めていない
2 短時間・有期雇用労働法8条の均衡待遇
3 同法9条の均等待遇
4 説明義務と令和8年改正ガイドライン

第3 「業務内容が同じ」を分解する方法

1 作業だけでなく責任と権限を比べる
2 変更範囲は規程と実績の双方を見る
3 基本給を一つの性質に決めつけない

第4 主要裁判例が示すもの

1 長澤運輸事件――76%から80%は一般基準ではない
2 名古屋自動車学校事件――60%基準の否定
3 低い割合を認めた裁判例の読み方

(続きを読む...)業務内容が変わらない定年後再雇用社員の賃金水準の目安(AI作成)

退職時の定期代精算と最終給与からの控除(AI作成)

第1 結論と問題の分け方

1 定期代は当然には控除できない

2 実務上最も安全な方法

第2 返還義務の有無

1 通勤手当も賃金になり得る

2 支給方法によって結論が異なる

(1) 実費補填型

(2) 定額・固定給型

(3) 会社購入・現物交付型

(4) 複数月分の一括現金支給型

3 退職日と最終出勤日は区別する

4 規程がない場合と不当利得

(続きを読む...)退職時の定期代精算と最終給与からの控除(AI作成)

定年再雇用社員・嘱託社員に昇給・家族手当・住宅手当を正社員と同様に行う必要性(AI作成)

第1 この記事が扱う対象

1 検討する待遇と労働者の区分
2 同一労働同一賃金の規制の全体像と本記事の位置付け

第2 高年齢者雇用確保措置と待遇の適正化は別の規制体系である
第3 家族手当・住宅手当の不支給が許容された事例――長澤運輸事件

1 事案と最高裁判決の結論
2 住宅手当・家族手当に関する判示

第4 家族手当に類する手当の支給が必要とされた事例――日本郵便(大阪)事件

1 事案と最高裁判決の結論
2 扶養手当に関する判示

第5 家族手当・住宅手当の支給が必要となる場合の判断基準
第6 昇給を正社員と同様に行う必要性――名古屋自動車学校事件

1 最高裁判所令和5年7月20日判決が示した分析の視点
2 差戻控訴審・名古屋高等裁判所令和8年2月26日判決の認定
3 昇給の必要性を検討する際の着眼点

第7 令和8年10月1日施行の改正ガイドラインへの反映

(続きを読む...)定年再雇用社員・嘱託社員に昇給・家族手当・住宅手当を正社員と同様に行う必要性(AI作成)

特定技能1号に退職手当を支給しないことの法的リスク――同一労働同一賃金ガイドラインの改正と報酬同等性要件(AI作成)

第1 この記事の対象
第2 同一労働同一賃金ガイドラインにおける退職手当規定の新設

1 現行のガイドラインは退職手当の判断基準を示していない
2 令和8年10月1日施行の改正で退職手当の項目が新設される
3 パートタイマーへの退職手当支給は,この規律が想定する対応の一例である

第3 特定技能1号の報酬に関する入管法上の規律

1 特定技能雇用契約における報酬同等性の要件
2 「報酬」の範囲と退職手当の位置付け
3 比較対象となる「日本人労働者」の範囲

第4 パートタイマーには支給し特定技能1号には支給しない場合の検討

1 特定技能1号自身とパート有期法との関係
2 「その他の事情」の明確化が与える影響
3 入管法上の報酬同等性要件との関係
4 労働基準法3条との関係

第5 実務上の対応

1 待遇検討票に特定技能外国人を含める
2 報酬に関する説明書の作成における留意点

(続きを読む...)特定技能1号に退職手当を支給しないことの法的リスク――同一労働同一賃金ガイドラインの改正と報酬同等性要件(AI作成)

パートタイマーが正社員に転換する際の退職手当の取扱い――勤続年数の通算義務と同一労働同一賃金ガイドラインの改正(AI作成)

第1 この記事が扱う対象

1 検討の対象と時点
2 「正社員転換」と「無期転換」の違い

第2 通常の労働者への転換を定める規定

1 パート・有期法13条
2 転換推進措置の性質

第3 退職手当と不合理な待遇差の禁止

1 パート・有期法8条
2 メトロコマース事件最高裁判決

第4 転換時の勤続年数の通算

1 法律上の一律の義務はない
2 就業規則における設計例
3 インターネット上の誤った説明

第5 税務上の勤続年数の計算との違い

1 退職所得控除額の計算原則

(続きを読む...)パートタイマーが正社員に転換する際の退職手当の取扱い――勤続年数の通算義務と同一労働同一賃金ガイドラインの改正(AI作成)

残業代請求訴訟における仮執行宣言に基づく仮払い後の取扱い

目次
第1 仮払い日以降の遅延損害金は発生しないこと
1 「解除条件付きの弁済」という考え方
2 請求異議訴訟における取扱い
第2 源泉徴収のタイミングは「仮払い日」であること
1 所得の認識時期に関する最高裁の考え方
2 民事上の効力発生日との関係
3 従業員の逆転敗訴が確定した場合の処理
第3 源泉徴収の対象
1 総論
2 残業代の元本(給与所得)
3 遅延損害金(雑所得)
4 付加金(一時所得)
第4 未払残業代を「賞与」として源泉徴収することについて
1 原則的な取扱い
2 所得の帰属年分と賞与該当性の検討
3 従業員との関係で留意点
4 源泉徴収税額に関する合意が成立しなかった場合の対応
第5 賞与としての源泉徴収の方法
1 計算の前提
2 具体的な計算ステップ(前月の給与支払がない場合)
3 具体的な計算例
第6 その他

* 本ブログ記事はAIの出力内容をベースとしたものです。

第1 仮払い日以降の遅延損害金は発生しないこと

結論として、仮執行宣言付判決に基づく支払(以下「仮払い」という。)が元本に充当される以降、その充当された元本に対する仮払い日以降の遅延損害金は発生しないと解される。

(続きを読む...)残業代請求訴訟における仮執行宣言に基づく仮払い後の取扱い

労働者名簿,賃金台帳及び記録の保存(AIリライト)

第1 制度の概要と本記事の基準日1 本記事の対象2 各事業場ごとの作成義務第2 労働者名簿1 作成対象と訂正義務2 記載事項第3 賃金台帳1 作成及び記入の時期2 記載事項3 記載事項の例外及び補充4 様式と一体調製第4 電子データによる作成及び保存1 電子化に必要な機能2 本社等で一括管理する場合第5 労働関係記録の保存1 保存対象2 5年と3年の関係3 保存期間の起算日4 3年を超える保存の検討第6 違反に対する罰則1 30万円以下の罰金2 事業主に対する両罰規定第7 関連記事第8 出典・参考資料1 法令2 厚生労働省資料3 関連記事
第1 制度の概要と本記事の基準日
1 本記事の対象

本記事は,使用者が作成する労働者名簿及び賃金台帳の対象者,記載事項,様式,電子化並びに労働関係記録の保存期間を説明するものである。
内容は,令和8年9月2日現在の労働基準法及び労働基準法施行規則に基づく。

2 各事業場ごとの作成義務

使用者は,労働者名簿及び賃金台帳を,企業全体で一つではなく各事業場ごとに調製しなければならない(労働基準法107条及び108条)。
労働者名簿は日々雇い入れられる者を作成対象から除くのに対し,賃金台帳は日々雇い入れられる者についても作成する点が異なる。

第2 労働者名簿
1 作成対象と訂正義務

使用者は,各事業場ごとに,日々雇い入れられる者を除く各労働者について労働者名簿を調製しなければならない(労働基準法107条1項)。
記載事項に変更があった場合には,遅滞なく訂正しなければならない(同条2項)。

2 記載事項

労働者名簿の記載事項は,次のとおりである(労働基準法107条1項,労働基準法施行規則53条1項及び様式第19号)。
① 氏名
② 生年月日
③ 履歴
④ 性別
⑤ 住所
⑥ 従事する業務の種類
⑦ 雇入れの年月日
⑧ 退職の年月日及びその事由(退職の事由が解雇である場合は,その理由を含む。)
⑨ 死亡の年月日及びその原因

常時30人未満の労働者を使用する事業では,⑥の従事する業務の種類を記載する必要はない(労働基準法施行規則53条2項)。

第3 賃金台帳
1 作成及び記入の時期

使用者は,各事業場ごとに賃金台帳を調製し,賃金計算の基礎となる事項,賃金額その他の法定事項を,賃金支払の都度,遅滞なく労働者各人別に記入しなければならない(労働基準法108条及び労働基準法施行規則54条1項)。
給与計算システムにデータが存在するだけでは足りず,法定事項を各労働者について確認できる賃金台帳として整える必要がある。

2 記載事項

賃金台帳の記載事項は,次のとおりである(労働基準法施行規則54条1項)。

(続きを読む...)労働者名簿,賃金台帳及び記録の保存(AIリライト)

時間外労働,休日労働及び深夜労働と残業代請求(AIリライト)

目次

第1 この記事の対象と割増率の全体像1 対象範囲と基準日2 割増率と支払総額第2 労働時間に当たるか1 使用者の指揮命令下という基準2 待機,仮眠及び休憩中の対応3 労働時間の記録第3 法定労働時間と36協定1 1日8時間及び1週40時間2 36協定の役割と残業命令3 時間外労働の上限第4 時間外労働,休日労働及び深夜労働の区別1 法定内残業と法定時間外労働2 法定休日と所定休日3 深夜労働と割増率の重なり4 月60時間超と代替休暇第5 残業代の計算1 基本となる計算式2 基礎賃金から除外される手当3 出来高払制その他の請負制4 端数処理第6 適用除外と固定残業代1 管理監督者2 その他の適用除外と高度プロフェッショナル制度3 固定残業代の判断第7 未払残業代を請求するときの確認事項1 請求の基礎となる資料2 請求手段と停止基準3 消滅時効と付加金4 遅延損害金第8 関連記事第9 出典・参考資料1 法令2 裁判例3 所管行政機関の解説・運用資料
第1 この記事の対象と割増率の全体像
1 対象範囲と基準日

この記事は,労働基準法上の時間外労働,休日労働及び深夜労働の区別,割増賃金の計算並びに未払残業代を請求するときの確認事項を扱うものである。
調査の基準日は令和8年9月2日であり,同日現在の法令を前提とする。
実際の計算では,労働契約,就業規則,賃金規程,変形労働時間制等の有無及び各賃金支払期に適用される法令を個別に確認する必要がある。

一般に「残業代」と呼ばれるものには,所定労働時間を超えた労働に対する通常の賃金と,労働基準法37条による割増賃金とが含まれる。
所定労働時間を超えたからといって,直ちに法定の割増率が適用されるわけではない。

2 割増率と支払総額

次の表の「割増率」は通常の1時間当たり賃金へ上乗せする割合であり,「未払時の合計率」は通常の賃金部分も支払われていない場合の合計である。
既に月給等によって通常の賃金部分が支払われているかどうかにより,追加して支払う額は異なる。

労働の区分法定の割増率通常の賃金部分も未払の場合の合計率

法定内残業0%100%
月60時間以内の法定時間外労働25%以上125%以上
月60時間を超える法定時間外労働50%以上150%以上
法定休日労働35%以上135%以上
深夜労働25%以上125%以上
月60時間以内の法定時間外労働かつ深夜労働50%以上150%以上
月60時間を超える法定時間外労働かつ深夜労働75%以上175%以上
法定休日労働かつ深夜労働60%以上160%以上

法定休日には1日8時間という時間外労働の区分を重ねず,法定休日の35%と深夜の25%だけを必要に応じて重ねる。
月60時間の算定には法定休日労働の時間を含めない。
就業規則又は労働契約が法定率より高い率を定めている場合は,その定めも確認する必要がある。

第2 労働時間に当たるか
1 使用者の指揮命令下という基準

最高裁平成12年3月9日第一小法廷判決は,労働基準法上の労働時間を,労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間であるとした。
該当性は,労働契約,就業規則等の名称又は定めだけで決まるのではなく,労働者の行為を使用者の指揮命令下に置かれたものと客観的に評価できるかによって決まる。

(続きを読む...)時間外労働,休日労働及び深夜労働と残業代請求(AIリライト)

年次有給休暇の付与日数,取得方法,年5日義務及び時季変更権(AIリライト)

第1 年次有給休暇が発生する要件と日数1 6か月の継続勤務と8割以上の出勤2 通常の労働者の付与日数3 短時間労働者の比例付与4 出勤率の計算と出勤したものとみなされる日第2 労働者による年次有給休暇の取得1 年休は使用者の承認によって発生するものではない2 利用目的は原則として労働者の自由である3 半日単位年休と時間単位年休4 欠勤後の振替,退職前の取得及び労働義務のない日第3 使用者による年5日の取得義務1 対象となる労働者2 使用者の時季指定と労働者の意見3 年次有給休暇管理簿と罰則第4 計画年休1 労使協定で計画的に付与できる範囲2 年休が不足する労働者と計画日の変更3 所定休日及び会社休業日との区別第5 使用者の時季変更権1 事業の正常な運営を妨げる場合2 直前の申出と事後の時季変更3 代替要員の確保と具体的事情4 長期連続年休と集中的訓練第6 年休中の賃金,不利益取扱い,買上げ及び時効1 年休中の賃金2 不利益取扱い3 未取得年休の買上げ4 年休権の時効第7 労災保険の休業給付及び健康保険の傷病手当金との関係1 労災保険の休業補償給付等2 健康保険の傷病手当金第8 実務上確認すべき事項1 労働者が確認する事項2 使用者が確認する事項3 関連記事第9 出典1 法令2 行政資料3 裁判例
第1 年次有給休暇が発生する要件と日数
1 6か月の継続勤務と8割以上の出勤

本記事は,令和8年9月2日現在の法令及び公表資料に基づき,労働基準法上の年次有給休暇を整理したものである。
使用者は,雇入れの日から6か月間継続して勤務し,その期間の全労働日の8割以上出勤した労働者に,原則として10労働日の年次有給休暇を与えなければならない(労働基準法39条1項)。
雇用形態が正社員か,契約社員か,パートタイマーかによって,この権利の有無が決まるものではない。

継続勤務は,契約の形式だけでなく,実質的に使用関係が続いているかによって判断される。
そのため,有期労働契約が更新された場合や,同じ使用者の下でパートタイマーから正社員へ転換した場合も,実質的な使用関係が継続していれば,転換前の期間を通算するのが原則である。

2 通常の労働者の付与日数

週5日以上勤務する労働者,週所定労働時間が30時間以上の労働者又は年間所定労働日数が217日以上の労働者については,継続勤務年数に応じて次のとおり付与される(厚生労働省「年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています」)。

継続勤務年数6か月1年6か月2年6か月3年6か月4年6か月5年6か月6年6か月以上付与日数10日11日12日14日16日18日20日

各基準日前の1年間について8割以上出勤したときに,次の年の年休が発生する。
したがって,6か月経過時に10日が発生した後は,原則として1年ごとに出勤率と付与日数を判定する。

3 短時間労働者の比例付与

週所定労働日数が4日以下で,週所定労働時間が30時間未満の労働者には,週又は年間の所定労働日数に応じて比例付与が行われる。
法定の付与日数は次のとおりである。

週所定労働日数年間所定労働日数6か月1年6か月2年6か月3年6か月4年6か月5年6か月6年6か月以上4日169日~216日7日8日9日10日12日13日15日3日121日~168日5日6日6日8日9日10日11日2日73日~120日3日4日4日5日6日6日7日1日48日~72日1日2日2日2日3日3日3日

勤務日数が年度によって定まらない場合は,基準日における労働契約の内容を確認する必要がある。
また,週4日以下でも週所定労働時間が30時間以上であれば,比例付与ではなく通常の労働者の日数表が適用される。

4 出勤率の計算と出勤したものとみなされる日

出勤率は,原則として,出勤日数を全労働日で除して計算する。
業務上の負傷又は疾病による療養のために休業した期間,産前産後休業期間,育児休業・介護休業期間及び年次有給休暇を取得した日は,出勤したものとみなされる(労働基準法39条10項)。

使用者が正当な理由なく就労を拒否した期間について,最高裁平成25年6月6日判決は,無効な解雇によって就労できなかった日を全労働日と出勤日数の双方に算入すべきものとした(平成23年(受)第2183号・民集67巻5号1187頁)。
他方で,使用者の責めに帰すべき事由による休業日を含め,労働者に就労義務がなかった日を全労働日に含めるかは,休業の原因と法的性質を区別して判断する必要がある。

第2 労働者による年次有給休暇の取得
1 年休は使用者の承認によって発生するものではない

年休権は,労働基準法所定の要件を満たすことによって法律上発生する。
労働者が休む日を指定すると,使用者が適法に時季変更権を行使しない限り,その日の就労義務が消滅するのであり,使用者の承認を得て初めて年休になるものではない(最高裁昭和48年3月2日判決・昭和41年(オ)第848号・民集27巻2号191頁)。

もっとも,就業規則で年休申請の期限や手続を定めることは,使用者が事業運営への支障を検討するための合理的な範囲で認められる。
期限に遅れた申請が当然に無効になるわけではないが,直前の申請は,使用者が時季変更権を判断する余裕や代替要員を確保する可能性に影響する。

(続きを読む...)年次有給休暇の付与日数,取得方法,年5日義務及び時季変更権(AIリライト)

令和8年10月1日施行の改正同一労働同一賃金ガイドラインに基づき,民間企業で対応が必要な事項(AI作成)

第1 改正の対象と企業対応の出発点

1 令和8年10月1日に変わるもの
2 対象となる労働者を先に分類する
3 最初に作成すべき待遇一覧表

第2 新たに明記された六つの待遇と記載が拡充された待遇

1 六つの新規項目
2 賞与及び病気休職・病気休暇
3 六項目以外の待遇も点検する

第3 雇入れ時の明示と待遇差の説明方法

1 労働条件通知書等への追加事項
2 説明資料に必要な内容
3 説明不足が実体判断にも影響する

第4 待遇差を判断する法的枠組み

1 待遇ごとに性質・目的を認定する
2 規程と人事運用の実態を一致させる
3 抽象的な人材確保目的は免責理由にならない
4 定年後再雇用及び無期転換

(続きを読む...)令和8年10月1日施行の改正同一労働同一賃金ガイドラインに基づき,民間企業で対応が必要な事項(AI作成)