第1 この記事の対象と別表第二における位置づけ
1 この記事が扱う範囲
「永住者」と「定住者」は,いずれも出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という。)別表第二に定められた在留資格である。
しかし,両者の法的な性質は大きく異なる。
この記事は,条文,告示,出入国在留管理庁が公表するガイドライン及び審査要領,並びに裁判例に基づき,両資格の要件,在留期間の扱い及び相互の関係を整理するものである。
入管法は多数の在留資格を別表第一及び別表第二に定めている。
この記事では,そのうち身分・地位に基づく在留資格である別表第二の4類型を対象とし,特に「永住者」と「定住者」の異同に絞って説明する。
「日本人の配偶者等」及び「永住者の配偶者等」は,別表第二の他の2類型として第1の3で比較の対象に含める。
ただし,各資格固有の要件の詳細は別稿に譲る。
2 活動系(別表第一)と身分系(別表第二)の区別
入管法は,在留資格を,本邦において行うことができる活動に着目して定める別表第一と,本邦において有する身分又は地位に着目して定める別表第二とに分けている。
この区分の趣旨は,平成元年から平成2年にかけての入管法改正(平成2年6月1日施行)に際して,股野景親法務省入国管理局長が国会で説明したところによれば,永住者や日本人の配偶者等のように,日本において有する身分に基づく活動には特段の制約を伴わない者について,別表第一とは異なる定め方をしたことにある。
別表第二に属する在留資格には,就労の可否や職種を個別に確認する上陸許可基準(省令)が定められていない。
いずれも就労を含む活動の制限がない点で共通する。
永住者と定住者の違いは,この共通点を前提とした上で,在留期間の定めの有無という1点に集約される。
別表第二には,永住者,日本人の配偶者等,永住者の配偶者等及び定住者の4類型が置かれている。
3 別表第二4類型の比較
入管法別表第二は,各在留資格について「本邦において有する身分又は地位」を次のとおり定めている。
| 在留資格 | 別表第二の文言 | 在留期間 |
|---|---|---|
| 永住者 | 法務大臣が永住を認める者 | 定めなし |
| 日本人の配偶者等 | 日本人の配偶者若しくは特別養子又は日本人の子として出生した者 | 有期限(更新制) |
| 永住者の配偶者等 | 永住者等の配偶者又は永住者等の子として本邦で出生しその後引き続き本邦に在留している者 | 有期限(更新制) |
| 定住者 | 法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者 | 有期限(更新制) |
永住者だけが「法務大臣が永住を認める者」という表現になっており,在留期間の指定を伴わない。
これに対し,日本人の配偶者等,永住者の配偶者等及び定住者は,いずれも一定の期間を区切って在留を認める資格であり,期間が満了する前に更新の許可を受ける必要がある。
定住者が別表第二の他の2類型と異なるのは,配偶者又は子という身分関係そのものではなく,「特別な理由」という法務大臣の個別の考慮に基づいて資格が定まる点にある。
この「特別な理由」の外延を定めるのが,第3で説明する定住者告示である。
第2 「永住者」の在留資格
1 永住許可(入管法22条)の法的性質
永住者の在留資格を取得するには,入管法22条に基づく永住許可を受けなければならない。
同条1項は,在留資格を変更しようとする外国人で永住者の在留資格への変更を希望する者は,法務大臣に対し永住許可を申請しなければならないと定める。
出入国在留管理庁の審査要領は,永住許可について,「その後の生涯を本邦に生活の本拠をおいて過ごす者が想定されている」制度であると位置付けている。
その上で,「永住者の在留資格をもって在留する者は,在留活動に制限はなく,在留期間にも制限がないことから,永住許可に係る審査は言わば入管としては当該外国人の在留に関する最終の審査になる」ため,適切な審査を要するとしている。
永住許可は,他の在留資格への変更許可や在留期間の更新許可と異なり,一度許可を受ければ在留期間の定めのない終局的な地位を取得する点に特色がある。
2 永住許可の要件とガイドラインによる具体化
入管法22条2項は,永住許可の要件として,一号に素行が善良であること,二号に独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有することを掲げている。
その上で,柱書において,これらの要件のいずれにも適合し,かつ,その者の永住が日本国の利益に合すると認めたときに限り許可することができると定める。
世上「素行善良,独立生計,国益適合の3要件」と説明されることが多い。
しかし,条文上の号立ては素行善良及び独立生計の2つであり,国益適合は柱書に組み込まれた要件である。
同項ただし書は,申請人が日本人,永住許可を受けている者又は特別永住者の配偶者又は子である場合には,一号及び二号のいずれにも適合することを要しないとする。
この配偶者等に対する要件緩和は,昭和56年の入管法改正で導入されたものである。
当時の国会審議では,日本人等の配偶者又は子について,家族単位で安定した生活を営めるようにする趣旨であることが説明されている。
国益適合要件の具体的な判断基準は,出入国在留管理庁が公表する「永住許可に関するガイドライン」(令和8年2月24日改訂)によって明らかにされている。
同ガイドラインは,原則として引き続き10年以上本邦に在留していることを求める(このうち就労資格又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることを要する。)。
さらに,罰金刑や拘禁刑等を受けていないこと,納税,公的年金及び公的医療保険の保険料の納付並びに入管法上の届出等の公的義務を適正に履行していること等を要件として掲げる。
同ガイドラインは,申請時点で納税が済んでいたとしても,当初の納税期限内に履行されていなかった場合は原則として消極的に評価するとしている。
この運用は,永住許可申請における実務上の留意点として重要である。
このガイドラインは告示ではなく,出入国在留管理庁が審査の透明性向上のために策定・公表している行政の運用指針であり,官報告示としての形式は取っていない。
原則10年在留という年数基準は,平成10年2月の入国管理局内規の変更に起源がある。
ガイドライン自体は,平成18年3月31日付けで正式に策定・公表されたことが,国会審議において確認されている。
3 在留期間の定めがないことの意味
永住者は在留期間の定めがない資格である。
そのため,日本人の配偶者等や定住者のように一定期間ごとに在留期間の更新許可を申請する手続自体が存在しない。
出入国在留管理庁の審査要領も,永住者について「在留期間にも制限がない」ことを前提とした記載にとどまり,永住者本人の在留期間更新に関する審査基準は定めていない。
実務上,永住者が定期的に行う必要があるのは,在留カードそのものの有効期間の更新(16歳以上の者については発行から7年ごと)である。
しかし,これは在留カードという証明書の更新手続であって,在留資格そのものの審査ではない。
これに対し,永住許可の申請中,すなわちまだ永住者になっていない申請人については,他の在留資格変更許可申請と異なり在留期間の特例が適用されない。
このため,現に有する在留期間が経過すれば住民基本台帳から抹消されることになる。
この点は第7で改めて取り上げる。
4 永住者の在留資格が取り消される場合(令和6年改正)
永住者は在留期間の定めがない資格であるが,在留資格の取消し及び退去強制の対象から除外されているわけではない。
令和6年(2024年)の入管法改正により,入管法22条の4第1項に8号及び9号が追加された。
これにより,支払義務があることを認識しながらあえて公租公課の支払をしない場合等が,永住者の在留資格の新たな取消事由として定められた。
この改正の国会審議において,小泉龍司法務大臣は,取消事由に該当する場合であっても,永住者の定着性に配慮し,当該外国人が引き続き本邦に在留することが適当でないと認める場合を除いて,法務大臣が職権により永住者以外の在留資格への変更を許可することとしていると説明した。
その結果として,「ほとんどの場合は定住者の在留資格への変更を許可することになる」とも説明している。
丸山秀治出入国在留管理庁次長も,衆議院及び参議院の各法務委員会において,同様に「原則として法務大臣が職権により定住者の在留資格へ変更を行う」運用方針を繰り返し説明した。
すなわち,永住者の在留資格が取り消された場合の主要な受け皿として,定住者の在留資格が用意されていることになる。
なお,入管特例法に基づく特別永住者は,歴史的経緯を背景とした法的地位であることから,そもそもこの在留資格取消し制度の対象とはされていない。
国会審議では,平成31年(2019年)から令和5年(2023年)までの直近5年間の在留資格取消し件数のうち,永住者に対するものは各年0件から9件程度にとどまっていたとの指摘があった。
このことから,永住者に対する取消し自体がもともと少数にとどまる運用であったことがうかがえる。
第3 「定住者」の在留資格
1 定住者告示(平成2年法務省告示第132号)による類型
定住者の在留資格は,出入国在留管理庁の審査要領によれば,「他のいずれの在留資格にも該当しないものの,我が国において相当期間の在留を認める特別な事情があると法務大臣が判断した者を受け入れるために設けられたもの」である。
この「特別な理由」に該当する類型をあらかじめ列挙するのが,定住者告示である。
正式名称は「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の規定に基づき同法別表第二の定住者の項の下欄に掲げる地位を定める件」という(平成2年5月24日法務省告示第132号,最終改正令和3年10月28日法務省告示第220号)。
現行の号立ては次のとおりであり,二号は削除されている。
| 号 | 該当する地位の概要 |
|---|---|
| 一号 | 国際連合難民高等弁務官事務所が保護の必要性を認め我が国への定住を推薦した第三国定住難民及びその配偶者,子,父母,未婚の兄弟姉妹等 |
| 三号 | 日本人の子として出生した者の実子(日系3世に相当する者)であって素行が善良であるもの |
| 四号 | 三号に掲げる者の実子(日系4世の一部に相当する者)であって素行が善良であるもの |
| 五号 | 日本人の配偶者等又は一定の定住者の配偶者(配偶者定住者) |
| 六号 | 日本人,永住者,特別永住者又は一定の定住者の扶養を受ける未成年で未婚の実子 |
| 七号 | 日本人,永住者,特別永住者又は一定の定住者に扶養されて生活する6歳未満の養子 |
| 八号 | 中国残留邦人等及びその配偶者,実子等 |
素行が善良であることを要件とするのは,三号,四号,五号ハ及び六号ハに該当する場合のみである。
八号(中国残留邦人等の関係)には,素行善良要件が課されていない。
定住者告示に基づいて上陸許可時に定住者の資格を決定できるのは,この告示に該当する者に限られる。
2 告示に定めのない類型(告示外定住)
定住者告示は,該当する地位を網羅的に定めるものではない。
出入国在留管理庁の審査要領は,告示に定めのない場合であっても,個々の事情を考慮して定住者の在留を認める運用(告示外定住)があることを明らかにしている。
審査要領が挙げる主な類型は,難民又は補完的保護対象者として法務大臣の認定を受けた者,日本人,永住者又は特別永住者である配偶者と離婚した後も引き続き在留を希望する者,日本人の実子を監護・養育する者,日本人,永住者又は特別永住者との婚姻が事実上破綻した後も引き続き在留を希望する者等である。
告示外定住は,上陸許可の時点で決定することができない。
既に本邦に在留する外国人について,在留資格の変更許可等の際に個別に判断される。
実務でいう「離婚定住者」「死別定住者」は,この告示外定住の運用として扱われているものである。
定住者告示の条文自体に「離婚」や「死別」という文言が置かれているわけではない。
この点は,定住者告示の号立てを説明する古い記述の中に「特定の号が離婚定住者を定める」という誤った理解が見られることがあるため,注意を要する。
3 在留期間の更新
定住者は,日本人の配偶者等や永住者の配偶者等と同様に在留期間の定めのある資格である。
出入国在留管理庁の審査要領上,告示の号又は告示外定住の類型ごとに,5年,3年,1年又は6月の在留期間の運用が定められている。
更新の審査に当たっては,入管法上の届出義務の履行状況,納税,年金及び医療保険料等の公的義務の履行状況,学齢期の子がいる場合の就学状況,配偶者としての身分に基づく定住者については婚姻関係の継続の見込みが考慮される。
離婚調停中である場合や離婚の意思が明確である場合には,短期の在留期間が指定されることがある。
第三国定住難民(一号)及び中国残留邦人等の関係(八号関係)については,退去強制事由に該当しない限り原則として5年の在留期間で更新が認められる運用となっている。
第4 両者の関係――定住者から永住者へ,永住者から定住者へ
1 「定住者の在留資格で5年以上」という特則
永住許可の国益適合要件は,原則として引き続き10年以上の本邦在留を求める。
しかし,「永住許可に関するガイドライン」は,定住者の在留資格で5年以上継続して本邦に在留していることを,この原則の特則として定めている。
出入国在留管理庁の審査要領も同様に,「定住者」の在留資格を付与された後,引き続き5年以上本邦に在留していることで足りるとしている。
このことから,定住者から永住者への移行が制度上想定された経路であることが分かる。
ただし,この特則が及ぶのは本邦在留要件に限られる。
素行善良要件及び公的義務の履行等の他の要件は,別途満たす必要がある。
2 永住許可取消し後の受け皿としての定住者
第2の4で述べたとおり,令和6年改正後の運用方針では,永住者の在留資格が取り消された場合,法務大臣の職権により,原則として定住者の在留資格へ変更されることが予定されている。
定住者から永住者へという方向の移行が制度上の主要な経路として設けられている。
その一方で,永住者の地位を失った場合の受け皿としても定住者が位置付けられていることになる。
両資格は,在留期間の定めの有無という違いを挟んで,相互に行き来しうる関係にある。
国会審議では,配偶者であることを理由に素行善良要件及び独立生計要件を問わずに得た永住許可について,離婚後にこれを取り消すべきかという論点も取り上げられている。
永住者と定住者の関係をめぐる議論は,現在も続いている。
第5 裁判例に見る境界線
1 永住不許可処分が違法とされた事案
東京高等裁判所平成19年7月17日判決(平成19年(行コ)第25号,原審長野地方裁判所平成17年(行ウ)第17号)は,日系人の父を持つペルー国籍の女性について,法務大臣がした永住不許可処分を,裁量権の逸脱・濫用に当たるとして取り消した。
同判決は,入管法22条2項の各要件及び平成18年3月31日付け法務省入国管理局公表の「永住許可に関するガイドライン」を判断基準として用いた。
その上で,控訴人が親族一覧に実は日系人でない疑いのあった兄を実の兄として記載した点について,控訴人自身がそのように信じていたことを示す証拠があるとして虚偽記載の事実を否定した。
また,社会保険への未加入についても,届出・納付の義務が雇用主側にあることや,既に永住許可を得ていた控訴人の姉らも同様に未加入であった事実を踏まえた。
その結果,控訴人についてのみこれを理由に不許可とすることは平等原則に反し裁量権の逸脱・濫用に当たると判断した。
永住許可の審査における消極事情の評価方法及び平等原則の適用を具体的に示した数少ない先例である。
2 定住者の配偶者としての地位が争われた事案
東京地方裁判所平成14年2月19日判決(平成11年(行ウ)第262号)は,中国残留邦人の子孫である夫(定住者告示五号関係)と婚姻した中国籍の原告について,夫が密航者蔵匿罪により服役中であっても,夫の在留資格及び在留期間が形式的に残存している限り,従属配偶者である原告の在留期間更新を拒む理由はないとして,更新不許可処分を取り消した。
定住者の配偶者としての地位の存否を,本体となる配偶者の在留資格の存否を基準に判断する枠組みを示した事案である。
3 告示に定めのない類型該当性が争われた事案
東京高等裁判所令和5年11月2日判決(令和4年(行コ)第294号,原審は東京地方裁判所令和4年9月30日判決〔令和1年(行ウ)第461号〕)は,米国において有効に成立した同性婚の相手方である米国籍の男性について,日本人の男性のパートナーであることを理由とする定住者の在留資格への変更を求めた事案である。
判決は,我が国において同性婚が男女間の婚姻と同等の社会的実態を得るに至っているとはいえないとして,定住者告示に定めのない類型としての該当性を否定した。
その上で,これを認めなかった不許可処分について,法務大臣の裁量権の逸脱・濫用はないと判断した。
告示に定めのない類型の該当性が,法務大臣の広範な裁量に委ねられ,社会通念上の妥当性という基準によって審査されることを示す事案である。
4 定住者告示の要件改正の適法性が争われた事案
東京地方裁判所平成21年5月28日判決(平成19年(行ウ)第549号)は,日系3世のペルー国籍の男性について,定住者告示に「素行が善良であるもの」との要件を追加した平成18年法務省告示第172号による改正の適法性が問題となった事案である。
判決は,訴え自体は不適法として却下した。
しかし,理由中において,日系人及びその家族は,素行善良要件の追加後も,告示に該当しない一般の外国人に比べて優遇的な取扱いを受けていることに変わりはないとして,同改正が法務大臣の合理的な裁量の範囲内にあり,憲法14条1項にも人種差別撤廃条約にも違反しないと判断した。
定住者告示の内容を法務大臣が改正する裁量についても,司法審査の基準が及ぶことを示している。
第6 制度の沿革――なぜ「定住者」という資格が設けられたか
定住者の在留資格は,平成2年(1990年)6月1日に施行された入管法改正によって新設された。
同改正前は,法務大臣が特に在留を認める者(旧入管法4条1項16号)という包括的な裁量在留の枠組みの下で処遇されていた地位の一部が,この改正により独立の在留資格として切り出された。
改正法の施行に先立つ国会審議において,股野景親法務省入国管理局長は,日本人の子であるか,又は日本人の近親者を有する日系2世及び3世について,従来は法務大臣が特に在留を認める者として在留活動に制限を設けない扱いをしてきたと説明した。
その上で,改正法の下でも同様の事情を考慮して新たに定住者の在留資格を与え,就労を含む活動に入管法上の制限を設けないこととする旨を,改正法の施行日当日の答弁で明言している。
定住者の在留資格の創設が,日系人の受入れを主目的の一つとしていたことは,このように政府自身の答弁で確認できる。
他方,定住者告示に基づく地位の取得をめぐっては,不正な手段による取得を試みる例も生じている。
平成11年の国会答弁では,他人名義の旅券を用いて不法に入国した者が,中国残留邦人の子であるとする偽造の証明書を用いて日系2世を装っていた事例が取り上げられている。
このような不正取得のリスクは,定住者告示該当者について素行善良要件が課される号があることの背景の一つになっていると考えられる。
第7 手続上の注意点
1 永住許可申請中の在留期間の管理
永住許可の申請は,在留資格の変更許可申請の一種である。
しかし,出入国在留管理庁の審査要領によれば,他の在留資格変更許可申請とは異なり在留期間の特例が適用されない。
このため,永住許可申請中に現に有する在留期間が経過すると,住民基本台帳から抹消されることになる。
永住許可の審査には相応の期間を要することがある。
このため,申請人は,現有の在留期間が満了する前に,別途在留期間更新許可申請を行う必要がないかを確認しておく必要がある。
2 定住者の在留期間更新を怠った場合のリスク
定住者は在留期間の定めのある資格である。
期間満了前に更新許可を受けなければ,在留期間経過による不法残留となり,退去強制事由に該当することになる。
特に,配偶者としての身分に基づいて定住者の資格を得ている場合は,離婚又は死別により本体となる身分関係が失われた後の取扱いが,告示外定住として個別の判断に委ねられることになる。
このため,身分関係に変動が生じた場合には,在留期間の満了を待たずに,早期に在留資格変更許可申請等の要否を確認しておくことが望ましい。
第8 出典・参考資料
1 法令・告示
- 出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第7条,第22条,第22条の2,第22条の4,第24条及び別表第二
- 出入国管理及び難民認定法施行規則 第22条,第25条及び第56条
- 出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の規定に基づき同法別表第二の定住者の項の下欄に掲げる地位を定める件(平成2年5月24日法務省告示第132号,最終改正令和3年10月28日法務省告示第220号)
2 裁判例
- 東京高等裁判所平成19年7月17日判決(平成19年(行コ)第25号,永住不許可処分取消請求控訴事件)
- 東京地方裁判所平成14年2月19日判決(平成11年(行ウ)第262号,在留期間の更新を許可しない旨の処分取消請求事件)
- 東京高等裁判所令和5年11月2日判決(令和4年(行コ)第294号,在留資格変更不許可処分無効確認等請求控訴事件)
- 東京地方裁判所令和4年9月30日判決(令和1年(行ウ)第461号,前掲控訴審の原審)
- 東京地方裁判所平成21年5月28日判決(平成19年(行ウ)第549号,在留期間更新許可申請不許可処分無効確認請求事件)
3 公的資料
- 出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン」(令和8年2月24日改訂)
- 出入国在留管理庁「在留資格「定住者」」
- 出入国在留管理庁「入国・在留審査要領」(令和8年4月開示文書)第12編第2章第27節〔山中弁護士ブログ掲載版〕
- 出入国在留管理庁「入国・在留審査要領」(令和8年4月開示文書)第12編第2章第30節〔山中弁護士ブログ掲載版〕
- 国立国会図書館「国会会議録検索システム」中の関連答弁 股野景親法務省入国管理局長答弁(平成元年11月30日,参議院法務委員会第1号),同(平成2年6月1日,参議院法務委員会第4号),大鷹弘法務省入国管理局長答弁(昭和56年6月4日,参議院法務委員会第11号),杉山徳明出入国在留管理庁次長答弁(令和7年5月12日,参議院決算委員会第5号),小泉龍司法務大臣答弁(令和6年5月10日,衆議院法務委員会・厚生労働委員会連合審査会第1号),丸山秀治出入国在留管理庁次長答弁(令和6年5月28日,参議院法務委員会第14号),陣内孝雄法務大臣答弁(平成11年6月29日,参議院行財政改革・税制等に関する特別委員会第6号)