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特別永住者とは――対象者・子孫の要件,出生後60日以内の申請及び永住者との違い

第1 特別永住者の意味

特別永住者とは、日本の植民地統治の終了と平和条約の発効に伴って日本国籍を離脱した人及びその子孫のうち、「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法」により日本で永住することができる人をいう。

本記事の基準日は令和8年8月29日であり,対象者の定義及び協定永住からの制度移行の説明を同年10月11日に補正した。
同年10月12日には,現行の特例法22条に基づき退去強制の要件を補足した。

特別永住者は、出入国管理及び難民認定法上の在留資格「永住者」と名称が似ているものの、制度の根拠、対象者及び手続が異なる。

第2 対象者

1 平和条約国籍離脱者

特例法2条1項は、平和条約の最初の効力発生日に日本国籍を離脱した人のうち、①昭和20年9月2日以前から引き続き日本に在留する人、又は②同月3日から平和条約発効日までに日本で出生し、その後引き続き日本に在留する人で、同項2号の実親の要件を満たす人を「平和条約国籍離脱者」と定義している。

②では、実親である父又は母の継続在留と、平和条約発効日における国籍離脱等の条件を確認する。出生前の親の死亡や発効前の死亡・国籍喪失についても同号に定めがあるため、本人の出生年月日だけで該当性を決めることはできない。

対象は、単に韓国、朝鮮又は台湾にルーツがあるというだけで決まるものではなく、本人又は先代の在留歴、戸籍・外国人登録の記録及び親子関係を確認する必要がある。

2 平和条約国籍離脱者の子孫

特例法上の子孫には、平和条約国籍離脱者の直系卑属として日本で出生し、その後も引き続き日本に在留する人など、同法2条所定の要件を満たす人が含まれる。

出生地や血縁だけで当然に特別永住者となるわけではなく、父母の地位、出生時期、出生後の在留状況及び申請の有無を個別に確認する必要がある。

第3 特別永住者となる主な経路

1 法律上当然に特別永住者となった人

平成3年11月1日の特例法施行時に、従前の協定永住者、法126-2-6該当者その他の法定区分に該当した人は、特例法3条により特別永住者とされた。

この経過措置は歴史的な在留資格を一つの制度に整理したものであり、現在の新規申請一般にそのまま当てはまるものではない。

協定永住は、昭和40年に署名された日韓法的地位協定と旧日韓特別法に基づく地位であった。特例法附則6条は旧日韓特別法を廃止し、3条1号ロは施行時の協定永住者を法定特別永住者の区分に含めた。協定の居住基準日(昭和20年8月15日)と、特例法2条の基準日・出生要件は異なる。詳しくは、日韓法的地位協定の全6条と協定永住・特別永住の関係を参照されたい。

2 出生その他の事由による申請

平和条約国籍離脱者の子孫が、出生その他の事由によって上陸手続を経ずに日本に在留することとなった場合、特例法4条による特別永住許可の対象となり得る。

出生その他の事由が生じた日から60日以内に申請したときは、同条2項により、出入国在留管理庁長官は特別永住を許可するものとされている。

申請は、居住地の市区町村の長を経由して行う。

60日という期間は、出生届の提出期間とは別に管理すべきであり、父母の国籍・地域表示だけで判断せず、市区町村又は地方出入国在留管理局に早めに確認する必要がある。

3 一定の在留資格からの申請

平和条約国籍離脱者又はその子孫で、入管法別表第二の在留資格のうち「永住者」以外の資格で在留する人は、特例法5条の要件を満たす場合、特別永住許可を申請できる。

具体的な該当性は、本人及び先代の在留歴を示す資料によって判断されるため、一般的な永住許可の要件だけを見て結論を出すことはできない。

第4 「永住者」との主な違い

①特別永住者は歴史的経緯に基づく特例法上の地位であるのに対し、永住者は入管法に基づき個別の永住許可を受けた人である。

②特別永住者には特別永住者証明書が交付され、永住者には在留カードが交付される。

③特別永住者証明書には常時携帯義務がないが、入国審査官、入国警備官、警察官等から提示を求められた場合の提示義務はある。

④再入国許可の最長期間は、特別永住者について通常許可が6年、みなし再入国が2年であり、一般の在留者より長い特例が設けられている。

⑤退去強制は、特例法22条1項の次の4類型に限定されている。
これは退去強制ができる場合を限定する規定であり、該当すれば必ず退去強制しなければならないとの規定ではない。

1号は、内乱・外患の罪によって拘禁刑以上の刑に処せられた場合である。
ただし、刑の全部の執行猶予の言渡しを受けた者及び刑法77条1項3号の罪により刑に処せられた者は除かれる。
2号は、刑法の国交に関する罪により拘禁刑に処せられた場合である。
3号は、外国の元首・外交使節・公館に対する犯罪行為により拘禁刑以上の刑に処せられ、法務大臣が、その行為によって日本国の外交上の重大な利益が害されたと認定した場合である。
この認定には、同条2項により、あらかじめ外務大臣との協議を要する。
4号は、無期又は7年を超える拘禁刑に処せられ、法務大臣が、その犯罪行為によって日本国の重大な利益が害されたと認定した場合である。

特に4号は、刑の種類・長さだけで成立するものではなく、重大な利益が害されたとの法務大臣の認定も必要である。
他方、特別永住者の地位は刑事責任を免除せず、退去強制を絶対に禁止するものでもない。
具体的な事件では、言渡しの内容、行為時の法令・経過措置及び各号の認定要件を確認する必要がある。

一般の永住許可の要件については、永住許可の要件・審査基準・必要書類を参照されたい。

特別永住者が日本の国籍を取得するには、法務大臣の帰化の許可を受ける必要がある。

日本で生まれた者で引き続き3年以上日本に住所若しくは居所を有し、又は父若しくは母(養父母を除く。)が日本で生まれたものは、国籍法6条2号により、住所条件(引き続き5年以上日本に住所を有すること)を備えなくても帰化の許可を受けることができる。

帰化が許可された場合は、帰化の日から14日以内に特別永住者証明書を返納しなければならない(特例法16条1項)。

帰化の手続及び令和8年4月からの審査の見直しは、帰化事件処理要領(令和8年7月17日付け法務省民事局長通達)の新旧対照で扱っている。

特別永住者であることは帰化の許否の判断でしんしゃくされる一つの事情にとどまるとした裁判例(東京地方裁判所平成27年2月6日判決)は、帰化不許可処分を争う方法で紹介している。

第5 確認すべき資料

特別永住者該当性を検討する際は、少なくとも、①本人及び父母・祖父母の特別永住者証明書又は旧外国人登録関係資料、②出生及び親子関係を示す戸籍・除籍・外国の身分登録資料、③日本での継続在留を示す資料、④過去の在留資格及び許可処分の記録を確認する必要がある。

国籍・地域表示の「韓国」「朝鮮」「台湾」は、それだけで特例法上の身分又は実体国籍を確定する資料ではない。

制度の歴史的背景については、在日韓国・朝鮮人及び台湾関係者の国籍・地域表示と在留上の地位を参照されたい。

第6 出典

① 日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法(e-Gov法令検索)

② 同法施行規則(e-Gov法令検索)

③ 出入国管理及び難民認定法(e-Gov法令検索)

④ 出入国在留管理庁「特別永住者証明書」

⑤ 出入国在留管理庁「新しい特別永住者証明書について」