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mintsを安全に使うための事務所内チェックリスト―入力・PDF・提出・認証・補助者(AI作成)

目次

mintsには,フォームの自動保存がない,提出後に利用者自身では訂正できない,補助者の操作が親ユーザの操作として扱われるといった特徴がある。
これらは裁判所・mintsが公表する運用又はシステムの仕様であり,改善を待つ間も,利用者側で事故を防ぐ体制を組む必要がある。

本記事では,事故を防ぐために事務所内で決めておくとよい事項を,入力・保存,ファイル,提出・訂正,認証・アカウント,補助者の運用の五つに分けて整理する。

第1 入力・保存

①フォームは自動保存されないので,こまめに「保存」ボタンを押す。
②申立ての趣旨・理由は,字数制限(趣旨400字・理由10000字)とタブ混入エラーを避けるため,最初から別PDFで用意し,フォームに長文を直接貼り付けない。
③全角・半角の指定はフィールドごとに厳格なので,入力前に整えておく。
④一時保存データの保持は最終保存から1か月であることを前提に,作成期間を見込む。
⑤当事者と代理人の合計が10名以内なら,当事者情報CSVファイルではなく新規申立てフォームに入力する。
⑥請求の趣旨・原因をPDFで提出するときは,当事者情報をフォームにだけ入力し,PDFに当事者の表示を残さない。
⑦「法人番号」欄には国税庁が指定する13桁の法人番号を入力し,商業登記簿の12桁の会社法人等番号を入力しない。

一時保存とタイムアウトの詳細は,mintsの一時保存とセッションタイムアウトで説明している。

第2 ファイル(PDF)

①「記録」にアップロードするPDFはA4又はA3のみである。
レターサイズやスキャンの寸法ずれは弾かれるので,用紙サイズをページ単位で確認する。
②Word・Excel等は「記録外」でしか扱えない。
訴え提起の段階では原則すべてPDF化する。
③1回のアップロードは合計200MBまでである。
超える場合は複数回に分ける。
④ファイル名に丸囲み数字等の特殊文字を使わない(タイムスタンプが表示されなくなる)。
⑤アカウント関係でマイナンバーカードをアップロードしない。
⑥マスキングは墨消し機能で文字情報自体を削除し,保存後に検索とコピーで読めないことを確認する。
⑦Word・Excelから提出用PDFを作るときは,mints操作マニュアル別紙3の手順で「ドキュメントのプロパティ」を含めずに保存し,保存後のPDFのプロパティに作成者名等が残っていないことを確認する。Word側でプロパティを削除しただけでは,PDFに作成者名が残ることがある。
⑧同じ名前のファイルは同時にアップロードできない(mints操作マニュアル別紙2・52番)。同じ回に提出するファイルの名前が重複していないかを確認する。

第3 提出・訂正

①「提出」は不可逆であり,提出後は自分で直せないので,提出前に必ずプレビューで確認する。
②誤提出に気付いたときは,裁判所資料に従い,誤提出先の事件担当部へ速やかに連絡する。開庁中に即時の意思疎通を要するときは電話を優先することが考えられるが,全国一律の電話義務と断定しない。
休日・夜間は消去対応ができないことに留意する。
③「被告の数」欄は当事者欄と別入力なので,両者を必ず突き合わせ,被告の表示漏れを防ぐ。
④提出後は,記録一覧に対象ファイルが反映されたことまで確認する。
⑤期限直前は,ポップアップの表示だけで法的な到達時を断定しない。

⑥新規申立てでは,新規申立一覧のステータスが「提出済」となり,「受理日」及び「受付番号」が表示されたことを確認する。
⑦「申立ダウンロード」で,受付番号及び受理日時が記載された提出済みの申立書を保存し,実際に提出した添付ファイル及び納付情報と同じ案件フォルダに保管する。担当者は,確認日時を案件管理表に記録する。
⑧証拠を提出した後は,記録一覧の「番号」欄が証拠説明書の号証欄と一致しているかを確認する。mintsの証拠番号欄に入力した番号は裁判所が編集することがある(mints操作マニュアル69頁)ため,後日記録一覧を開いたときにも確認する。
⑨裁判所だけに見てもらうつもりの上申書等は,「記録外」を選んでも相手方が閲覧できるので,mintsへアップロードする前に係属する裁判所に提出方法を確認する。
⑩委任を受けた訴訟代理人は,答弁書等を原則としてmintsで提出する。書面提出を検討するときは,民事訴訟法132条の11第3項の例外事由と民事訴訟規則52条の14の添付書面を確認する。
⑪新法適用事件では,裁判所ウェブサイトの新しい証拠説明書の書式を使い,証拠番号は準備の手引29頁のルールに沿って付ける。
⑫システム送達をしない場合に裁判所から出力書面の提出を求められたら,速やかに提出する。
⑬期日に出頭するときは,記録を確認するためのパソコンを持参する(準備の手引22頁)。

第1の⑤から⑦まで及び第3の⑨から⑬までは,最高裁判所事務総局民事局の「フェーズ3後の民事訴訟手続における留意点」(令和8年8月31日)が,施行後の提出に見られる例として注意を促している事項である。
詳しくは,mintsで裁判所が注意を促している誤りで説明している。

第4 認証・アカウント

①裁判所Q&Aは,二要素認証に共用番号を使うことを推奨していない。法律事務所の運用案として,短時間の複数回認証による制限を避けやすい専用番号をアカウントごとに割り当てる。
一人の事務職員が複数の補助者アカウントを持つ場合も,全てのアカウントに同じ番号を登録しないようにする。
#押下で認証できない機種の可能性に備え,別番号も確保しておく。
②士業者は登録番号を登録しておくと,1年未利用による自動削除を回避できる。
弁護士登録番号は,アカウント設定画面の「士業者登録番号」欄に入力する(日本弁護士連合会の会員向け案内は,登録番号が99999の場合は半角で「B99999」と入力する例を示している。)。
③弁護士等の登録住所は事務所住所とし,末尾に「(送達場所)」と入力する。
④氏名・生年月日・住所は登録後に自分で変更できないため,初期入力を慎重に行う。

第5 補助者(事務職員)の運用

①補助者に操作を任せる場合でも,補助者が電子判決書等を閲覧・ダウンロードした時点で送達の効力が生じ,控訴期間などが進行することを,事務所内で共有しておく。
②補助者は弁護士とほぼ同一の操作ができ,その操作は弁護士本人の行為として扱われるため,誰が・いつ・どのファイルを扱うかの運用ルールをあらかじめ定めておく。
③補助者が不要になった場合(事務職員の離職等)は,速やかに自分のアカウント設定から補助者IDの登録を解除する。
④対応表にパスワード,確認コードその他の認証情報を記載しない。
⑤共同受任する弁護士やアソシエイト弁護士を,他の弁護士の補助者として登録しない。

第6 事務所内で決めておく事項

項目決めておく内容
提出操作の担当誰が最終の「提出」ボタンを押すか
通知メールの受信誰が受け取り,誰へ転送するか,振り分けルールをどうするか
送達通知の確認自動振り分け・自動転送・AIによる分類を使う場合も,裁判所からの送達通知を誰が当日に原文で確認するか
閲覧・ダウンロードの報告補助者が送達対象を開いたとき,いつ誰へ報告するか
期限計算の担当送達の効力発生日から期限を計算するのは誰か
期限の再計算期限を計算した人とは別に,送達・告知の日と期間の末日を計算し直すのは誰か(mintsは控訴期間の末日を表示しない。準備の手引35頁)
共同受任者の届出共同受任する代理人全員が事件情報に関連付けられ,各自でシステム送達を受ける旨の届出をしたかを誰が確認するか(入力担当者が他の代理人の届出欄をオンにしても,その代理人本人の届出にはならない。準備の手引13頁・14頁)
決定・命令の通知予定日が知らされない決定・命令の通知を誰が毎日確認するか(準備の手引35頁。即時抗告期間は告知から1週間)
二要素認証の端末どの番号を使い,故障・機種変更時に誰が対応するか
記録の保存受付結果,納付情報及び提出ファイルをどこへ保存するか
判決書・和解調書等の保存受領した電子判決書,電子決定書,和解調書等を受領日に事件フォルダへ保存するのは誰か(和解では和解調書のアップロードから1週間が経過した日以降に,判決では控訴があると確定前に,事件情報との関連付けが解除されることがある。準備の手引36頁)

通知メールの種類と振り分け設定は,mintsから届く通知メールの種類と読み方で説明している。
決定・命令を受け取るときの期限の管理は,mintsで決定・命令を受け取るときで説明している。

第7 mints側のセキュリティ対策と事務所側に残る管理責任

mints側について,最高裁判所は,ISMAP制度の評価を受けたクラウドサービスの利用,保存データの改変・削除対策及び暗号化,TLSによる通信暗号化,パスワードの複雑性並びにSMSによる二要素認証を公表している。
もっとも,これらは,法律事務所の端末,メール,認証情報,補助者権限,案件フォルダ,バックアップ又は期限管理まで裁判所が管理することを意味しない。
法律事務所側では,端末更新,画面ロック,マルウェア対策,アカウント棚卸し,補助者解除,提出済みファイルの保存及び事故時の連絡手順を別に定めておく必要がある。
詳しくは,mintsのセキュリティ対策と法律事務所の責任分界で説明している。

第8 関連記事

①システムとしてのmintsの論評
②mintsの補助者アカウント
③mintsの制限値まとめ
④mintsで誤アップロードした場合
⑤PDFのマスキング(黒塗り)の正しい方法
⑥mintsのシステム送達と期限管理
⑦訴訟行為の追完(民事訴訟法97条)
⑧mintsで決定・命令を受け取るとき
⑨mints提出用PDFの作り方
⑩mintsで証拠を提出する方法
⑪mintsで裁判所が注意を促している誤り
⑫mints(ミンツ)とは―料金・対象事件・登録・ログイン・提出・送達の実務Q&A

出典・参考資料

①最高裁判所事務総局民事局「民事訴訟フェーズ3に向けた準備の手引」
②mints「mints操作マニュアル」バージョン2.3(令和8年7月15日改訂)69頁,別紙2,別紙3
③mints「mintsご利用に関するQ&A」
④最高裁判所事務総局民事局「フェーズ3後の民事訴訟手続における留意点」(令和8年8月31日。日本弁護士連合会の会員専用サイトに掲載されたもの)
⑤最高裁判所「民事裁判書類電子提出システム(mints)のセキュリティ対策概要」(令和8年4月)
⑥民事訴訟法132条の11
⑦民事訴訟規則52条の14