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訴訟行為の追完(民事訴訟法97条)―控訴期間を過ぎた場合の救済,送達日の誤認,通知メールの見落とし及び事務所内の事務処理(AI作成)

第1 本記事の対象

1 扱う問い

本記事は,控訴期間のような不変期間を過ぎてしまった場合の救済である訴訟行為の追完(民事訴訟法97条)を扱う。
追完が認められるのはどのような場合か,送達された日を取り違えた場合やシステム送達の通知メールを見落とした場合はどうなるか,法律事務所内の受付処理や自動化した仕組みの誤りは救済されるかを,条文と最高裁判所の判例に即して整理する。
法令の内容は,令和8年9月13日時点で確認したものである。

2 結論の要旨

追完ができるのは,当事者の責めに帰することができない事由によって不変期間を守れなかった場合に限られ,その事由が消滅した後1週間以内にしなければならない。
最高裁判所は,公示送達のために訴訟が起きたこと自体を知らなかった場合や,所属弁護士会が送達受取人として送達日を実際と違う日で記録していたために訴訟代理人が送達日を取り違えた場合について,責めに帰することができない事由に当たることを認める方向の判断をしている。
他方で,訴訟を起こされたことを知りながら判決の有無を調べなかった場合や,訴訟代理人の過失,同じ法律事務所に常勤する弁護士や書生・事務員による受領・取次ぎの誤りによって期間を守れなかった場合には,追完を認めていない。
したがって,法律事務所が自ら設計し運用する受付処理や自動化の仕組みの誤りは,追完では救われない前提で運用を組むのが安全だと考えられる。

第2 不変期間と追完の規定

1 不変期間とは何か

裁判所は,法定の期間又は裁判所が定めた期間を伸長し又は短縮することができるが,不変期間については伸縮できない(民事訴訟法96条1項)。
不変期間については,遠隔の地に住所又は居所を有する者のために付加期間を定めることができるにとどまる(同条2項)。
代表的な不変期間は,控訴期間(判決書等の送達を受けた日から2週間,同法285条),上告期間(同法313条による準用),即時抗告期間(裁判の告知を受けた日から1週間,同法332条)及び再審期間(再審の事由を知った日から30日,同法342条1項)である。

2 民事訴訟法97条の文言

(1) 現行の条文

民事訴訟法97条1項は,「当事者が裁判所の使用に係る電子計算機の故障その他その責めに帰することができない事由により不変期間を遵守することができなかった場合には、その事由が消滅した後一週間以内に限り、不変期間内にすべき訴訟行為の追完をすることができる。ただし、外国に在る当事者については、この期間は、二月とする。」と定める。
同条2項は,「前項の期間については、前条第一項本文の規定は、適用しない。」と定めており,追完のための1週間も裁判所が伸縮することはできない。

(2) 令和8年5月21日の改正で加わった例示

e-Gov法令検索の時点指定で比べると,令和8年5月20日時点の97条1項には「裁判所の使用に係る電子計算機の故障」という文言がなく,令和8年5月21日時点の条文から加わっている。
これは民事裁判手続のIT化に伴う改正であり,同じ言い回しは,訴訟代理人のオンライン提出義務を解除する同法132条の11第3項にも使われている。
もっとも,この文言は例示であり,裁判所側のシステム故障以外の事由でも,当事者の責めに帰することができないものであれば追完の対象になる。

3 追完の仕方

追完は,期間内にすべきであった訴訟行為そのもの(控訴であれば控訴の提起)をすることで行う。
後記第3の2の最高裁判所昭和46年4月20日判決は,原審が「訴訟行為追完の申立もない」として控訴を却下したのに対し,追完事由があることが原判決の認定事実からうかがえる以上,追完事由を主張するかどうかについて釈明を求めるべきであったとして,原判決を破棄している。
実務上は,期間経過後に提出する控訴状等に,責めに帰することができない事由の内容と,その事由が消滅した日(通常は判決を知った日)を具体的に記載し,裏付け資料を添えておくことが考えられる。

第3 最高裁判所の判例に見る追完の成否

以下の判例の多くは,平成8年の民事訴訟法全面改正前の159条(現行97条に当たる規定)の下のものである。
旧159条は,当事者が「其ノ責ニ帰スヘカラサル事由ニ因リ不変期間ヲ遵守スルコト能ハサリシ場合」に追完を認めており(最高裁判所昭和42年2月24日判決の裁判要旨による),現行97条1項と同じ構造である。
裁判所ウェブサイトで判示事項又は裁判要旨に「追完」を含む最高裁判所の民事判例を調べた範囲では,平成8年改正後の97条について追完の成否を判示したものは見当たらなかった。

1 公示送達で訴訟を知らなかった場合

(1) 追完を認めた例

最高裁判所第二小法廷昭和36年5月26日判決(昭和33年(オ)第226号,民集15巻5号1425頁)の事案では,被告に対する訴状,期日呼出状及び判決正本がすべて公示送達され,被告は訴訟が起きたことも判決が言い渡されたことも知らなかった。
被告は,判決に基づく強制執行で自己所有の自動車の競売期日が指定された後に初めて判決を知り,直ちに判決正本を受領して控訴した。
最高裁判所は,特段の事情が認められない限り,責めに帰することができない事由によって控訴期間を守れなかったものとして追完を認めるべきであるとした原審の判断を正当とした。

最高裁判所第二小法廷昭和42年2月24日判決(昭和41年(オ)第935号,民集21巻1号209頁)は,被告の法定代理人が住民登録をした場所に住んでおり,原告も訴え提起の直前にその場所で債務の履行について折衝していたのに,住所が不明であるとして公示送達が申し立てられ,判決正本まですべて公示送達された事案である。
被告の法定代理人が控訴期間の経過後に初めて判決を知り,直ちに控訴したときは,責めに帰することができない事由により不変期間を守れなかった場合に当たり,控訴は適法であるとされた。

最高裁判所第三小法廷平成4年4月28日判決(平成2年(オ)第1228号,集民164号395頁)は,原告が被告と和解の交渉を続け,和解の成立も予想できる状況にありながら,被告が海外に渡航して不在である旨を告げられていた期間中に,それまでの経緯を伏せたまま公示送達の許可を得て勝訴判決を得た事案である。
被告も訴えが起こされることは予想できず,住民票を移さなかったのも原告の粗暴な言動を恐れたためであったなどの事情から,被告の控訴の追完は許されるとして,原判決を破棄し差し戻した。

(2) 追完を認めなかった例

最高裁判所第三小法廷昭和54年7月31日判決(昭和54年(オ)第46号,集民127号325頁,判例タイムズ399号126頁,判例時報944号53頁)は,同じく公示送達の事案であるが,追完を認めなかった。
この事案では,原告の代理人が,別件訴訟で面識のあった被告側の弁護士に対し,被告の住所が分からず書類を送達できないと伝え,被告とその弁護士は訴訟が起こされていることを知っていた。
最高裁判所は,いずれ不利益な判決が言い渡されることを十分に予想できたのに,何の調査もしないまま控訴期間を過ぎたのは重大な怠慢であり,判決の送達が公示送達によったからといって,責めに帰することができない事由によるものとはいえないとした原審の判断を相当とした。

以上の各判例では,公示送達であったことそのものではなく,訴訟が起きたことを知り得たかどうかや,公示送達に至った経緯が結論を分けていると考えられる。

2 送達受取人の受領記録の誤りで送達日を取り違えた場合

(1) 事案

最高裁判所第三小法廷昭和46年4月20日判決(昭和45年(オ)第513号,集民102号501頁)の事案では,訴訟代理人の弁護士が,所属弁護士会の規則に基づいて同会を送達場所・送達受取人に指定しており,第一審判決正本も同会の送達部を通じて受け取った。
同会の送達部には,執行官から書類を受け取った日ではなく,弁護士への送付等の処理を終えた日を送達日として扱う慣行があり,判決正本の欄外には実際の送達日より2日遅い日付が受送達日として押印されていた。
代理人はその日付を送達日と信じ,そこから2週間以内に控訴したが,実際の送達日から数えると控訴期間を過ぎていた。

(2) 判断

最高裁判所は,送達の効力は弁護士会が執行官から判決正本の交付を受けた日に生じたとする原審の判断を是認した。
その上で,代理人が弁護士会の定めた制度を利用して同会を送達受取人に指定し,その事務の取扱いを信頼してきたことに責められるべき点はなく,同会が民事訴訟法の規定と食い違う取扱いをすることは代理人には全く予想できなかったとして,送達受取人である同会に過失があったとしても,直ちに代理人に過失があったとはいい難いとした。
そして,控訴人が責めに帰することができない事由によって不変期間を守れなかったことは原判決の認定事実からうかがうことができるとし,追完事由について釈明を求めずに控訴を却下した原判決を破棄して,事件を原審へ差し戻した。
裁判所ウェブサイトの判示事項は「控訴期間の不遵守が訴訟代理人の定めた送達受取人の過失に基づくものであつても、当事者の責に帰すべからざる事由によるものであるとされた事例」である。
最高裁判所が自ら追完を適法と判断したのではなく,追完事由の審理を尽くさせるために差し戻したものである点に注意を要する。

3 訴訟代理人や法律事務所の事務員の過失

(1) 訴訟代理人の過失

最高裁判所第三小法廷昭和24年4月12日判決(昭和23年(オ)第108号,民集3巻4号97頁)は,訴訟代理人の故意又は過失によって不変期間を守れなかった場合は,当事者本人に過失がなくても,追完が認められる場合には当たらないとした。
最高裁判所第三小法廷昭和40年6月8日判決(昭和39年(オ)第1388号,集民79号385頁)も,控訴を提起する代理権を持つ訴訟代理人が控訴をすることができた場合には,本人が自ら控訴しようとして控訴状の託送を頼んだ第三者の事故で期間を守れなかったとしても,追完は認められないとした。

(2) 法律事務所内での受領と取次ぎ

最高裁判所第二小法廷昭和27年8月22日判決(昭和26年(オ)第45号,民集6巻8号707頁)の事案では,訴訟代理人の弁護士が主宰する法律事務所に常勤し,その指揮命令を受けて法律事務に従事していた別の弁護士が,送達報告書の受領者欄に訴訟代理人の記名押印をして裁判所に持参し,原判決正本の交付を受けた。
最高裁判所は,この送達は訴訟代理人に対する送達として適法であるとした上で,上告期間を過ぎたのはその弁護士が判決正本を受け取ったことを訴訟代理人に告げなかったためであり,裁判所書記官の誤った言明によって受領の事実の判明が遅れたという事情があったとしても,その弁護士の責任を少しも軽くするものではないとして,追完を認めず,上告を却下した。

最高裁判所第三小法廷昭和41年5月31日判決(昭和40年(オ)第94号,集民83号657頁)の事案では,判決正本が弁護士事務所に送達され,弁護士に雇われた書生が送達報告書の受領者欄に弁護士の記名押印をして受け取った。
書生は同じ建物にある別の会社の従業員に取次ぎを頼んで帰郷し,弁護士はその従業員から受け取った日に送達があったものと思って上訴期間を過ぎた。
最高裁判所は,この送達は補充送達として有効であり,判示の事情の下では,期間の徒過は責めに帰することができない事由によるものに当たらないとした。

最高裁判所第三小法廷昭和41年5月17日判決(昭和40年(オ)第1000号,集民83号527頁)は,第一審判決の送達を受けた弁護士事務所の事務員がてんかんの発作を起こして入院したため,訴訟代理人の弁護士が判決正本を見たのが控訴期間の経過後であった事案で,控訴の追完は許されないとした。
最高裁判所第一小法廷昭和25年9月21日決定(昭和25年(ク)第70号,民集4巻9号433頁)も,第三者の住居に置いた抗告代理人の事務所に原決定正本が送達され,代理人がその第三者から受け取ったのが抗告期間の経過後であったという事由は,責めに帰することができない事由とは認められないとした。

前記第3の2の昭和46年判決と昭和41年5月31日判決は,どちらも弁護士が送達日を実際より遅い日と思い込んだ事案であるが,結論が逆になっている。
前者の誤りは弁護士の外にある弁護士会の制度の中で起き,後者の誤りは弁護士事務所の中の受領と取次ぎの過程で起きた点が,結論を分けたと考えられる。

4 郵便の遅れ

(1) 予想できる程度の遅れ

最高裁判所第一小法廷昭和23年5月6日判決(昭和23年(オ)第6号,民集2巻5号109頁)及び最高裁判所第二小法廷昭和39年11月6日判決(昭和39年(オ)第484号,集民76号7頁)は,郵送の遅延は,当時の事情に照らし当事者の予想できない程度のものでなければ,不変期間を守れなかったことの救済理由にならないとした。

(2) 予知できない遅れの疑いがある場合

最高裁判所第三小法廷昭和39年9月15日判決(昭和37年(オ)第1019号,集民75号231頁)は,大阪市内の郵便局に書留速達で出した控訴状が名古屋市内の裁判所に届くまで4日かかった事案で,予知できない事情による延着の疑いがあるのにその事情を調べずに控訴を却下したのは審理不尽であるとした。
最高裁判所第三小法廷昭和55年10月28日判決(昭和54年(オ)第613号,集民131号37頁)も,年末に長崎市内の郵便局から書留速達で出した控訴状が福岡高等裁判所に翌年1月1日に届いた事案で,追完事由の存否について十分な職権調査をせずに控訴を却下したのは違法であるとした。
現在は,訴訟代理人が控訴状等を提出するときはmintsによる電子提出が原則となっている(民事訴訟法132条の11第1項1号)が,本人が紙で提出する場合には,郵便の日数に余裕を持たせる必要がある。

第4 システム送達と追完

1 システム送達の効力が生じる時

電子情報処理組織による送達(いわゆるシステム送達)は,送達を受ける旨の届出をしている者に対し,閲覧又は記録ができる措置をとり,その旨の通知を発する方法で行われる(民事訴訟法109条の2第1項)。
その効力は,①送達を受けるべき者が閲覧をした時,②その使用する電子計算機のファイルに記録をした時,③通知が発せられた日から1週間を経過した時のいずれか早い時に生じる(同法109条の3第1項)。
訴訟代理人のようにオンライン提出の義務を負う者に対しては,届出がなくてもシステム送達をすることができ,この場合は通知を発する必要がなく,③の1週間は措置がとられた日から数える(同法109条の4)。
補助者による閲覧と送達の効力,通知メールの実際及び控訴期間の管理は,mintsのシステム送達と期限管理で説明している。

2 閲覧等ができない期間の不算入

送達を受けるべき者がその責めに帰することができない事由によって閲覧又は記録をすることができない期間は,前記③の1週間に算入しない(民事訴訟法109条の3第2項)。
この規定が問題にしているのは閲覧又は記録をすることができなかったかどうかであり,通知メールを見落とした場合や,通知メールが迷惑メールのフォルダに振り分けられていた場合でも,mintsにサインインして閲覧できる状態にあったのであれば,同項の対象にはならないと考えられる。
また,同項は送達の効力が生じる時期を後ろへずらす規定であり,送達の効力が生じて控訴期間が進行した後の救済は,97条の追完によることになる。

3 通知メールの見落としと追完

システム送達の通知メールを見落として控訴期間を過ぎた場合に,それが責めに帰することができない事由に当たるかを正面から判断した最高裁判所の判例は,本記事の調査の範囲では見当たらなかった。
前記第3の3の各判例は,同じ事務所の弁護士や書生・事務員が判決を受け取った後の連絡や取次ぎの誤り,事務員の急病による遅れを,追完の理由と認めていない。
この考え方からすると,事務所のメールの設定や確認の遅れによって判決を知るのが遅れた場合も,追完は認められにくいと考えられる。
通知メールの種類と振り分けの設定例は,mintsから届く通知メールの種類と読み方で説明している。

第5 事務所内の事務処理と自動化の誤り

1 判例から読み取れること

前記第3の2の昭和46年判決で代理人が救われたのは,誤りが代理人の外にある弁護士会の制度の中で起き,その取扱いが代理人には予想できなかったからである。
これに対し,前記第3の3の各判例は,事務所に常勤する弁護士が判決正本の受領を訴訟代理人に告げなかった場合や,書生による取次ぎの誤り,事務員の急病のように,事務所の中で起きた事情を追完の理由と認めていない。
法律事務所が導入した郵便物・ファクシミリ・電子メールの自動仕分けの仕組みで,受け取った日を誤って記録したり,書類を別の事件のフォルダに保存したりした場合も,事務所の中の事務処理の問題であり,書生や事務員による取次ぎの誤りと同じように扱われる可能性が高いと考えられる。
したがって,こうした誤りは追完では救われない前提で運用を組むのが安全である。

2 知的財産高等裁判所平成31年3月18日判決(特許法の「正当な理由」)

知的財産高等裁判所平成31年3月18日判決(平成30年(行コ)第10004号)は,外国の出願人の特許出願について,国内の特許事務所のサーバーがランサムウェアに感染したため,現地の代理人からの出願審査請求の指示メールを受信できなかったと主張された事案である。
判決は,感染の事実を認定しないまま,仮に感染していたとしても,当時の特許法48条の3第5項の「正当な理由」は認められないとした。
その理由として,指示をメールで受ける運用であった以上,受信できなかった可能性を考えて出願人側に確認すべきであったのにそれをしなかったこと,送受信ができなかったのは1週間ほどで,その後期限まで1か月弱あったこと,代理人である特許管理人の事情も出願人側で考慮されることを挙げている。

これは民事訴訟法97条ではなく特許法の規定についての判断である。
また,特許法48条の3第5項は,e-Gov法令検索の時点指定で比べると令和5年4月1日から改められ,現在は,故意に期間内に出願審査の請求をしなかったと認められる場合を除き,経済産業省令で定める期間内に限り請求をすることができる形になっているから,特許の場面でもこの判決の基準がそのまま使われるわけではない。
もっとも,事務所のシステム障害で受信できなかった期間があるときに,その期間を特定し,送られた物がないかを確認すべきであったとした点は,民事訴訟の期間管理にも参考になると考えられる。
同判決の事案と,法律事務所がランサムウェアの被害を受けたときの期限管理は,法律事務所がランサムウェアに感染したときの期限管理で説明している。

3 事務所で決めておくこと

以上を踏まえると,期間に関わる書類の受付については,次の事項を事務所で決めておくことが考えられる。
①郵便物・ファクシミリ・電子メールの受領日時は,機械が処理を終えた時刻ではなく,実際に受け取った時刻で記録する。
②判決書,決定書,期日呼出状その他期間の起算点になる書類とmintsの送達通知は,自動仕分けや人工知能による分類の確信度にかかわらず,人が当日に原文で確認する。
③補助者がmintsで送達対象を閲覧し又はダウンロードしたときは,その日時を担当弁護士に報告する。
④期間の末日は,担当者と別の者の2人で計算する。
⑤メールサーバーの障害やコンピュータウイルスの被害で受信できない期間が生じたときは,その期間を特定し,裁判所や相手方に送られた物がないかを確認する。

第6 追完の期間も過ぎた場合

判決の送達が有効である限り,追完の期間も過ぎた後に控訴で争うことはできず,残るのは再審である。
再審の事由は民事訴訟法338条1項に列挙されており,その3号は「法定代理権、訴訟代理権又は代理人が訴訟行為をするのに必要な授権を欠いたこと。」である。
再審の訴えは,判決の確定後に再審の事由を知った日から30日の不変期間内に提起しなければならず,判決の確定から5年を経過したときは提起できないが,338条1項3号の事由のうち代理権を欠いたことを理由とする場合にはこれらの期間制限は適用されない(同法342条)。

最高裁判所第一小法廷平成4年9月10日判決(平成3年(オ)第589号,民集46巻6号553頁)は,訴状が有効に送達されず,被告とされた者が訴訟に関与する機会のないまま判決が確定した場合には,旧民事訴訟法420条1項3号(現行338条1項3号に当たる規定)の再審事由があるとした。
同判決は,判決正本は有効に送達されて控訴がされなかった場合でも,被告がこの再審事由を現実に知ることができなかったときは,控訴で主張しなかったことを理由に再審を否定する同項ただし書は適用されないとしている。
最高裁判所第三小法廷平成19年3月20日決定(平成18年(許)第39号,民集61巻2号586頁)は,補充送達を受けた同居者等と受送達者との間に事実上の利害対立があるだけでは送達の効力は妨げられないが,その同居者等が書類を渡さず,受送達者が訴訟を知らないまま判決がされたときは,338条1項3号の再審事由があるとした。
補充送達の有効性と再審事由の関係は,民事訴訟の送達――補充送達,付郵便送達,公示送達及びシステム送達でも説明している。

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第8 出典・参考資料

1 法令

民事訴訟法(e-Gov法令検索)96条・97条・109条の2・109条の3・109条の4・132条の11・285条・313条・332条・338条1項・342条
特許法(e-Gov法令検索)48条の3第5項

2 裁判例

最高裁判所第一小法廷昭和23年5月6日判決(昭和23年(オ)第6号,民集2巻5号109頁)
最高裁判所第三小法廷昭和24年4月12日判決(昭和23年(オ)第108号,民集3巻4号97頁)
最高裁判所第一小法廷昭和25年9月21日決定(昭和25年(ク)第70号,民集4巻9号433頁)
最高裁判所第二小法廷昭和27年8月22日判決(昭和26年(オ)第45号,民集6巻8号707頁)
最高裁判所第二小法廷昭和36年5月26日判決(昭和33年(オ)第226号,民集15巻5号1425頁)
最高裁判所第三小法廷昭和39年9月15日判決(昭和37年(オ)第1019号,集民75号231頁)
最高裁判所第二小法廷昭和39年11月6日判決(昭和39年(オ)第484号,集民76号7頁)
最高裁判所第三小法廷昭和40年6月8日判決(昭和39年(オ)第1388号,集民79号385頁)
最高裁判所第三小法廷昭和41年5月17日判決(昭和40年(オ)第1000号,集民83号527頁)
最高裁判所第三小法廷昭和41年5月31日判決(昭和40年(オ)第94号,集民83号657頁)
最高裁判所第二小法廷昭和42年2月24日判決(昭和41年(オ)第935号,民集21巻1号209頁)
最高裁判所第三小法廷昭和46年4月20日判決(昭和45年(オ)第513号,集民102号501頁)
最高裁判所第三小法廷昭和54年7月31日判決(昭和54年(オ)第46号,集民127号325頁,判例タイムズ399号126頁,判例時報944号53頁)
最高裁判所第三小法廷昭和55年10月28日判決(昭和54年(オ)第613号,集民131号37頁)
最高裁判所第三小法廷平成4年4月28日判決(平成2年(オ)第1228号,集民164号395頁)
最高裁判所第一小法廷平成4年9月10日判決(平成3年(オ)第589号,民集46巻6号553頁)
最高裁判所第三小法廷平成19年3月20日決定(平成18年(許)第39号,民集61巻2号586頁)
知的財産高等裁判所平成31年3月18日判決(平成30年(行コ)第10004号)