第1 この記事の対象と結論
本記事は,令和5年司法試験論文式試験の刑事系科目第1問(刑法)について,模範解答と,出題の趣旨・採点実感から独自に抽出した49項目及び5段階の重みを示す。問題文の中心は,詐欺の実行着手,強盗致傷の因果関係,共謀の射程と故意の錯誤,公務に対する業務妨害である。
重み5は13項目であり,着手の説明と時点の対応,介在行為を含む因果関係,共謀の射程を先に検討する順序,妨害対象の特定と指定結論の両立に関わる。重みは法務省の公式配点ではない。第4で評価表を示し,第5で答案と各項目の対応を解説する。
設問1では,欺罔の一部開始を要する説明から③,密接行為から着手を認める説明から⑤を例示する。設問2では乙・丙に強盗致傷等,甲に詐欺未遂の共同正犯を認める一つの構成を採る。設問3では6の威力業務妨害を否定し,7の偽計業務妨害を肯定するための二つの説明を示す。許容される説明の全てを累積して書くことが必須という意味ではない。
第2 評価項目の示し方と重み付けの基準
1 評価項目の示し方
一つの項目に一つの判定対象を置き,答案で何を評価するかを示した。番号は1~49を通し,従前のR番号(R01~R49)を対応確認のため併記する。「必須」「高評価」「誤りの回避」「許容分岐」の区分は重みとは別であり,重み5の高評価事項や条件付き分岐が,全答案に必須になるわけではない。
根拠列の頁は各PDFの頁を示す。出題の趣旨は刑事系第1問の設問別説明,採点実感は同問の設問別評価に対応する。「直接記載なし」は,同問の対象範囲を実読して直接対応する記載を確認しなかったことを意味する。「間接」は,一般的な評価要求を個別事実へ適用して整理した事項である。一般的な指摘6事項は別掲し,49項目と重み合計へ重複算入しない。
2 5段階の重み付けの基準
①重み5:採点実感が評価の分かれ目とした事項,又は答案の骨格そのもの。
②重み4:出題の趣旨が検討を求め,採点実感も取り上げた事項。
③重み3:どちらか一方が明示する中核の理由付け。
④重み2:一方が軽い表現で触れる補強の事項,又は典型的な誤りとして指摘された事項。
⑤重み1:一方が控えめに触れるだけの事項。
本記事の独自分析であり,法務省の項目別配点・予測得点ではない。段階ごとの件数の割当ては行わない。根拠資料の記述の強さと項目の役割を見て判断する。
第3 本問の概要
甲らは警察官を装い,Aに預金を現金化して自宅へ持ち帰らせ,訪問して現金を預かる計画を進める。設問1は,現金の交付要求前に詐欺未遂を認める論拠と,①~⑥のうち着手を認める時点及びそれ以前との実質的相違を説明する問題である。
設問2では,Bから詐取する計画の実行者乙・丙が,甲に無断で緊縛強盗へ手段を変える。Bは解放後,足のしびれが残った状態で立ち上がって転倒・負傷する。甲,乙及び丙の罪責を検討するが,住居等侵入罪と特別法違反は除外されている。
設問3は,丁がDの追跡を妨げる6と,虚偽通報で応援警察官5名を別の警戒へ転用させる7について,前者の業務妨害を否定し,後者を肯定する説明を求める。6の威力該当性及び公務執行妨害の暴行・脅迫がないことは前提である。自説の結論だけを答える問題ではない。
第4 評価項目と重み
1 設問1⑴―詐欺未遂を認める説明
| 番号 | 評価項目 | 重み | 出題の趣旨 | 採点実感 |
|---|---|---|---|---|
| 1 (R01) | 欺罔行為を財物の処分・交付に向けられた行為として定義する 【必須】 | 4 | 14頁・設問1:財物交付に向けられたものである必要がある | 1頁・設問1:実行行為で ある欺罔行為の意義 |
| 2 (R02) | 詐欺の手段限定を踏まえ構成要件的制約を要するかを明示する 【必須】 | 5 | 15頁・設問1:構 成要件的制約の要否の相関関係 | 1頁・設問1:構成要件的制約の要否 |
| 3 (R03) | 実行行為前の密接行為から着手を認める場合,未遂処罰根拠から具体的規範を導く 【許容分岐】 | 5 | 14頁・設問1:実 行行為の開始前に未遂罪の成立が認められる | 1頁・設問1:具体的規範を定立して論じる必要 |
| 4 (R04) | 欺罔の一部開始を要する構成では交付要求以外の重要なうその欺罔性を説明する 【許容分岐】 | 5 | 14頁・設問1:欺罔行為の一部を開始している必要がある | 1頁・設問1:何をもって 処分行為に向けられた交付の判断の基礎となる重要な事項 |
| 5 (R05) | 段階的な複数のうそと最終的な交付要求を一つの犯行計画として位置付ける 【必須】 | 4 | 14頁・設問1:段階を踏みながら進められる詐欺事犯の特徴 | 1頁・設問1:複数のうそを積み重ねながら |
| 6 (R06) | 手段限定を無視して一般的な着手基準だけで結論付けない 【誤りの回避】 | 2 | 14頁・設問1:欺罔行為を手段として限定している犯罪 | 1頁・設問1:実行の着手の一般的な判断基準の み |
| 7 (R07) | 欺罔の定義だけから未遂成立へ飛躍せず着手基準との関係を示す 【誤りの回避】 | 2 | 15頁・設問1:欺罔行為の意義,詐欺未遂罪の成立を認める論拠 | 1頁・設問1:欺罔行為と実行の着手時期との関係 |
| 8 (R08) | 平成30年判決の重要事項・直接つながるうそ・危険増大という理論構成を踏まえる 【高評価】 | 4 | 15頁・設問1:被害者に現金の交付を求め る行為に直接つながる嘘 | 2頁・設問1:趣旨や理論構成を理解し |
2 設問1⑵―着手時点とそれ以前との差
| 番号 | 評価項目 | 重み | 出題の趣旨 | 採点実感 |
|---|---|---|---|---|
| 9 (R09) | (1)で定立した規範と同じ規範を具体的事実に適用する 【必須】 | 5 | 15頁・設問1:先に定立した規範と整合する当てはめ | 2頁・設問1:先に定立した規範との関係 |
| 10 (R10) | 着手時点より前に着手を認めない実質的理由を説明する 【必須】 | 5 | 15頁・設問1:それより前の時点との実質的相違 | 2頁・設問1:それより 前の時点との実質的相違 |
| 11 (R11) | ①に被害者への直接の働き掛けがないことを評価する 【必須】 | 3 | 15頁・設問1:Aに対する直接の働き掛けはない | 直接記載なし。 |
| 12 (R12) | ②の虚偽を将来のうそを信じさせる前提と評価する 【必須】 | 4 | 15頁・設問1:今後の虚言をAに信じさせるための前提 | 直接記載なし。間接(2頁・設問1⑵):事実の法的意味と先に定立した規範との対応を求める記述から整理。 |
| 13 (R13) | ③の捜査必要性の虚偽を現金交付判断の前提に結び付ける 【必須】 | 4 | 15頁・設問1:現金を乙らに引き渡 す際の判断の前提 | 2頁・設問1:具体的にいかなる影響を与える行為 |
| 14 (R14) | ③の現金持帰り指示を交付への直接連絡と危険増大に結び付ける 【必須】 | 4 | 15頁・設問1:現金の交付を求め る行為に直接つながる | 2頁・設問1:200 万円を乙及び丙に交付するという結果 |
| 15 (R15) | ③では預金引出しの実現が不確定な点も評価する 【高評価】 | 3 | 15頁・設問1:未だ不確定な要素 | 直接記載なし。 |
| 16 (R16) | ④の危険の進行と甲らの新たな行為の不存在を区別する 【必須】 | 4 | 15頁・設問1:甲らが何らかの行為を行ったものではない | 直接記載なし。間接(2頁・設問1⑵):事実の法的意味と先に定立した規範との対応を求める記述から整理。 |
| 17 (R17) | ⑤の訪問予告を後続要求への密接性と交付危険増大で評価する 【必須】 | 4 | 16頁・設問1:現金を交付する危険性を高める | 直接記載なし。間接(2頁・設問1⑵):事実の法的意味と先に定立した規範との対応を求める記述から整理。 |
| 18 (R18) | ⑥をドアさえ開けば交付要求に至る段階として評価する 【高評価】 | 3 | 16頁・設問1:玄関ドアを開けさえすれば | 直接記載なし。 |
| 19 (R19) | 事実を列挙するだけでなく規範に対する法的意味を示す 【誤りの回避】 | 2 | 15頁・設問1:具体的事実の持つ意味を規範との関係で評価 | 2頁・設問1:事実が持つ法的 意味を特段論じることなく |
| 20 (R20) | (1)の規範説明と(2)の当てはめを分け,一般的罪責の羅列にしない 【誤りの回避】 | 2 | 14頁・設問1:論拠(設問1⑴) | 2頁・設問1:一般的 な罪責を論じるかのように |
3 設問2―乙・丙の罪責
| 番号 | 評価項目 | 重み | 出題の趣旨 | 採点実感 |
|---|---|---|---|---|
| 21 (R21) | 緊縛による反抗抑圧とBの現金の強取を強盗構成要件に当てはめる 【必須】 | 4 | 16頁・設問2:強盗罪の構成要件に該当 | 3頁・設問2:強盗罪の構成要件に該 当すること |
| 22 (R22) | 傷害の原因行為が強盗の手段である緊縛と特定する 【必須】 | 4 | 16頁・設問2:強盗の手段である暴行 | 3頁・設問2:緊縛行為が強盗の手段そのもの |
| 23 (R23) | Bの制止違反という介在事情を含む因果関係の問題を把握する 【必須】 | 5 | 16頁・設問2:Bの行為が寄与して発生した傷害結果 | 3頁・設問2:Bの行為が介在しているという因果関係 |
| 24 (R24) | 因果関係の判断規範を立てて事実に適用する 【必須】 | 4 | 16頁・設問2:因果関係の有無を論述する | 4頁・設問2:判断の基準となる規範を定立 |
| 25 (R25) | 緊縛・しびれ・転倒・傷害という経過を具体的に評価する 【必須】 | 4 | 16頁・設問2:足のしびれからくる転倒 | 3頁・設問2:緊縛行為が強盗の手段 |
| 26 (R26) | 強盗の手段から生じた傷害では機会性の検討を不要とする 【必須】 | 4 | 16頁・設問2:強盗の機会性 を検討するまでもなく | 3頁・設問2:機会説を論じる 必要はない |
| 27 (R27) | 機会説を手段説より原因行為を拡張する説明として理解し無用に展開しない 【誤りの回避】 | 2 | 直接記載なし。 | 3頁・設問2:強盗の手段 説よりも原因行為を拡張する |
4 設問2―甲の罪責と答案の配分
| 番号 | 評価項目 | 重み | 出題の趣旨 | 採点実感 |
|---|---|---|---|---|
| 28 (R28) | 共謀の射程を故意の錯誤より前に独立の問題として検討する 【必須】 | 5 | 16頁・設問2:当初の共謀に基づくものとして罪責を負うか否か | 3頁・設問2:共謀の射程の問題 |
| 29 (R29) | 共同正犯の処罰根拠から共謀に基づく行為かの判断規範を導く 【高評価】 | 5 | 直接記載なし。 | 3頁・設問2:共同正犯の処罰根拠等から |
| 30 (R30) | 意思連絡の内容と犯行態様の差を射程の事実として評価する 【必須】 | 4 | 16頁・設問2:意思連絡の内容 | 3頁・設問2:犯行態様が異なる |
| 31 (R31) | 同じ被害者・同じ300万円という目的と動機の連続性を射程判断に用いる 【高評価】 | 4 | 16頁・設問2:動機の 同一性・連続性 | 3頁・設問2:同じ被 害者から,より確実に金銭を奪う |
| 32 (R32) | 甲が現金を用意させた寄与が変更後犯行でも利用されたことを評価する 【高評価】 | 4 | 16頁・設問2:行為の影響, 関与の程度 | 3頁・設問2:甲が用意させた300 万円 |
| 33 (R33) | 当初から甲も分配に含める計画と現実の分配を射程判断に用いる 【高評価】 | 4 | 16頁・設問2:甲がこの分配を受けている | 3頁・設問2:当初から奪った300万円を甲と山分け |
| 34 (R34) | 過去の詐欺の反復や甲の予見可能性から射程否定の反対構成も評価する 【許容分岐】 | 3 | 16頁・設問2:甲が全く予見できなかった点 | 直接記載なし。 |
| 35 (R35) | 保護法益・態様の差と新たな話合いだけで射程否定に飛躍しない 【誤りの回避】 | 2 | 直接記載なし。 | 3頁・設問2:のみを指摘して |
| 36 (R36) | 共謀の射程を肯定した場合に38条2項の抽象的事実の錯誤を検討する 【必須】 | 5 | 16頁・設問2:刑法第38条第2項 | 3頁・設問2:共謀に基づくものとして罪責を負うと解した場合 |
| 37 (R37) | 射程否定後に他者の実行を帰責する故意既遂犯の錯誤論を当然に続けない 【誤りの回避】 | 2 | 直接記載なし。 | 3頁・設問2:罪責を負 わないと結論付けたにもかかわらず |
| 38 (R38) | 先行する甲との詐欺共謀について未遂と既遂を正確に区別する 【必須】 | 3 | 直接記載なし。 | 3頁・設問2:詐欺未遂罪の共謀共同 正犯が成立し得る |
| 39 (R39) | 中心的法解釈を手厚くし明白な成立要件を簡潔に処理する 【高評価】 | 3 | 直接記載なし。 | 4頁・設問2:答案全体の バランス |
5 設問3―公務の業務該当性
| 番号 | 評価項目 | 重み | 出題の趣旨 | 採点実感 |
|---|---|---|---|---|
| 40 (R40) | 6の妨害対象をDの乙逮捕という公務と特定する 【必須】 | 5 | 17頁・設問3:警察官Dの乙を逮捕しようとする | 4頁・設問3:警察官Dの乙を逮捕しようとする |
| 41 (R41) | 7の妨害対象を5名の本来の乙追跡逮捕と特定する 【必須】 | 5 | 17頁・設問3:虚 偽通報がなければ遂行されていたはずの公務 | 4頁・設問3:警 察官5名による乙を追跡し,逮捕しようとする |
| 42 (R42) | 強制力による自力排除可能性から公務の業務該当性の範囲を根拠付ける 【必須】 | 5 | 17頁・設問3:妨害に対 する自力排除力 | 4頁・設問3:自力排除 力を持つ公務 |
| 43 (R43) | 6を強制力行使の段階にある公務として業務該当性を否定する 【必須】 | 4 | 17頁・設問3:強制力を行使する権力的公務 | 4頁・設問3:強制力を行使する権力的公務 |
| 44 (R44) | 7を未だ強制力行使の段階にない本来の公務として業務に含める説明をする 【許容分岐】 | 4 | 17頁・設問3:未だ強制力を行使する段 階にない | 4頁・設問3:未だ強制力を行使す る段階にない公務 |
| 45 (R45) | 偽計には自力排除力がなく全公務を233条の業務に含める説明をする 【許容分岐】 | 4 | 17頁・設問3:すべての公務が業務妨害罪の「業務」に含まれる | 4頁・設問3:すべての公務が含まれる |
| 46 (R46) | 偽計で全公務を保護する構成でも威力では一部公務を除く理由を示す 【必須】 | 4 | 17頁・設問3:一定の公務のみが業務妨害罪によって保護 | 5頁・設問3:威力による妨害につ いては |
| 47 (R47) | 規範定立と公務の具体的性質への当てはめを区別する 【高評価】 | 3 | 17頁・設問3:理由を説得的に論述 | 5頁・設問3:規範定立と当て はめを区別 |
| 48 (R48) | 威力該当性は与件として扱いその否定で6不成立を説明しない 【誤りの回避】 | 2 | 17頁・設問3:丁の「威力」 | 5頁・設問3:「威力」であることを否定 |
| 49 (R49) | 6否定と7肯定を一つの規範又は手段別の根拠で両立させる 【必須】 | 5 | 16頁・設問3:一方については業務妨害罪の成立を肯定 | 4頁・設問3:一定の結論を導くための法解釈 |
6 答案全体
答案全体に関する次の6事項は,個別争点の49項目とは別の確認事項である。重みを新たに割り当てず,件数・重み合計へ算入しない。手書きの判読可能性は掲載文章から判定できない。
| 番号 | 評価項目 | 重み | 出題の趣旨 | 採点実感 |
|---|---|---|---|---|
| G1 | 基本概念・論点間の体系的な関係を理解する | ― | 直接記載なし。 | 5頁・一般的な指摘:刑法の基本概念の理解 |
| G2 | 規範と事実の法的意味を接続して論理的な結論を導く | ― | 直接記載なし。 | 1頁・一般的な指摘:その導出過程が論理性を保持 |
| G3 | 用語・漢字を正確に記載する | ― | 直接記載なし。 | 5頁・一般的な指摘:基本的用語の漢字に誤記 |
| G4 | 判読できる大きさと丁寧な文字で記載する | ― | 直接記載なし。 | 5頁・一般的な指摘:大きめで読みやすい丁寧な文字 |
| G5 | 判例の具体的事実と結論までの理論構成を理解する | ― | 直接記載なし。 | 6頁・一般的な指摘:結論に至るまでの理論構成 |
| G6 | 判例の体系的位置付け・射程・理論的課題を検討する | ― | 直接記載なし。 | 6頁・一般的な指摘:規範の体系上の位置付け,その射程 |
7 重みの分布
重み5は13項目,重み4は21項目,重み3は7項目,重み2は8項目,重み1は0項目である。総項目数は49,重みの合計は186である。負例・条件付きの許容分岐も含む単純合計であり,公式配点,合格可能性又は科目間の難易度を示さない。
重み5の対応番号は,2・3・4・9・10(着手の理論と当てはめ),23(介在行為を含む因果関係),28・29・36(共謀の射程と錯誤の検討順序),40・41・42・49(妨害対象,自力排除力と指定結論の両立)である。具体的な答案箇所は第5の解説で示す。
第5 模範解答
1 答案の前提と表記
対象は令和5年司法試験論文式試験・刑事系科目第1問(刑法,配点100)である。刑事系科目の実施日である令和5年7月15日当時の法令・判例を基準とする。現行法の刑名等へ置き換えていない。
設問1・3は自説の選択ではなく,指定された結論を導く説明を求める。設問2は甲,乙,丙の罪責を問うが,住居等侵入罪と特別法違反は検討対象から除かれている。以下の答案は5484字(見出し・「以上」を含み,改行を除く)であり,複数の説明を区別して示すため,実際の答案では採用した構成を中心に分量を調整することができる。
甲の罪責については,共謀の射程を肯定した上で,詐欺と強盗の構成要件の実質的重なりを否定する一つの構成を採用する。公式資料は特定の最終結論を唯一の正解として指定していない。逮捕致傷,収益分配及び罪数の記載は,公式に直接示された評価項目を補う独立の法律構成である。
答案の階層は1→(1)→アとし,問題提起,規範,当てはめ,結論の順を基本とする。平成30年判決の法廷意見と補足意見は区別する。以下は完成版答案の実質的な論述を維持し,見出し・句読点・数字を形式に合わせて整えたものである。
2 答案
1 設問1
(1) 交付要求前の詐欺未遂を認める説明
甲らは現金交付を求めるうそを述べていない。その前に詐欺の着手を認める説明として,次の二構成がある。
ア 実行行為の一部開始を要求する構成要件的制約を維持しつつ,詐欺の実行行為である欺罔行為を,財物交付の判断の基礎となる重要事項について相手方を錯誤に陥らせる行為と捉える説明が考えられる。交付要求は欺罔の不可欠な文言ではない。相手方が財物を交付するかを決める上で重要な事実を偽り,予定された交付へ向けて錯誤を形成する行為も,財物交付に向けられた欺罔行為となり得る。
本件では,甲の警察官への成り済まし,預金口座が不正に利用されているとの説明,捜査のため現金を用意させる説明が,後に訪問する乙らへ現金を預ける必要性を信じさせる基礎となる。したがって,要求文言の有無ではなく,交付に向けた一連の欺罔の一部開始に着手を認める。
イ 欺罔行為を現金交付の要求を含む行為に限定しつつも,未遂の成立にはその開始を必ずしも要しないと解し,構成要件的制約を認めない説明がある。すなわち,その実行行為に密接な行為を開始し,財産侵害の現実的危険が生じた時点に実行の着手を認める説明が考えられる。未遂の処罰根拠は既遂結果を生じさせる危険にあるから,構成要件的行為そのものの開始まで常に待つ必要はない。先行行為が後続の欺罔を確実・容易にし,計画の進行に特段の障害がなく,時間的・場所的にも近接する場合には,密接性と客観的危険を認め得る。
もっとも,詐欺は「人を欺いて財物を交付させ」るという手段を限定した犯罪である。単に現金取得の意思があることや,財物を取得する一般的な危険だけでは足りない。具体的計画に照らし,予定された欺罔行為への時間的・場所的接近,そこまでに必要な行為,相手方の錯誤や現金準備の状況を検討し,欺罔による交付という結果の現実的危険を認める必要がある。この限定を付すことで,手段・態様の限定と交付要求前の着手を両立できる。
(2) 着手時点とそれ以前との相違
ア 第一の説明によれば,③に着手を認める構成が考えられる。③では,甲が預金口座の不正利用と捜査の必要性を偽り,全額を引き出して自宅に持ち帰り,再度電話するよう告げている。捜査の必要性は後に現れる警察官へ現金を預ける理由となり,全額を現金化して交付場所である自宅へ移動させる指示は交付要求に直接つながっている。これらは交付判断の前提となる重要事項を偽り,現金交付の危険を高める行為であり,単に将来の犯行を準備する行為と異なり,現金交付に向けた錯誤の形成を開始している。
①は標的選定であって,Aに働き掛けてもいない。②は,警察官の名前と電話番号を登録させ,今後の連絡を信用させるための行為である。しかし,その内容だけでは預金や現金を捜査のために扱う必要性を伝えておらず,具体的な財物交付の判断を誤らせる重要事項にまで及んでいない。③には,この準備的な信頼形成から,予定された財物交付の必要性に結び付く欺罔への実質的変化がある。
イ 第二の説明によれば,⑤に着手を認める構成が考えられる。⑤では,Aが現金200万円を自宅に持ち帰ったことを甲が確認し,これから警察官が向かうとうそを告げている。既に現金は交付場所に集積され,Aは捜査の必要性を信用しており,残るのは約1時間後の訪問と預かり要求である。訪問告知は,その要求を直ちに受け入れさせるための行為として密接であり,欺罔による交付の危険を現実的に高める。
これに対し,③ではまだAによる引出し,持帰り,再連絡が必要で,現金が用意されるかも確定していない。④で現金は在宅となるが,それはAの行為であり,その状態だけから甲の新たな実行着手を導くことはできない。⑤では,この準備完了を確認した上で訪問を告知した点に,それ以前との実質的相違がある。⑥は⑤から予定された訪問であり,Aがドアを開ければ直ちに交付要求を述べる段階に至っている。⑤の時点でも予定された訪問まで約1時間で特段の障害はなく,密接性と危険が認められるので,⑥まで待つ必要はない。
なお,平成30年3月22日最高裁判決は,重要なうそを段階的に重ね,交付要求に直接つながるうそを含む一連の行為が即時交付の危険を著しく高めたことから,要求文言前の着手を認めた。補足意見は,実行行為に先行する密接行為の開始から着手を説明する。両者の理由を同一のものとして混在させず,採用した説明と着手時点を対応させる。
2 設問2
(1) 乙及び丙の罪責
乙丙は,甲とBに対する詐欺を共謀し,その計画に基づき甲が電話をしている。Bが現金300万円を自宅に用意し,甲が警察官の訪問を告げた時点までには,設問1で述べた理由から詐欺の着手がある。甲の架電は共同計画の実行であるから,乙丙にもその着手が帰属する。しかし,Bが現金を交付した事実はなく,詐欺は未遂にとどまる。
その後,乙丙は緊縛による奪取を共謀し,道具を準備してB宅に押し入り,手足を縛り,口を塞いで倒し,現金を持ち去った。
強盗罪の暴行は,財物取得に向けられ,相手方の反抗を抑圧する程度のものであることを要する。高齢で一人暮らしのBに対し,2人がその手足と口を拘束する行為は,抵抗や助けを求めることを困難にし,反抗を抑圧するに十分である。両名はその状態を利用し,Bがテーブル上に置き占有していた現金300万円を奪っている。Bの交付行為がなくとも強取に当たり,山分けするための取得であるから,不法領得の意思及び故意もある。両名には強盗罪の共同正犯が成立する(60条,236条1項)。
また,Bの手足を違法に緊縛し,その身体活動の自由を直接奪ったことは逮捕に当たり,乙丙には逮捕罪の共同正犯も成立する(60条,220条)。
Bは,約2時間後に緊縛を解かれた後,残存する足のしびれのため転倒して全治2週間の頭部打撲を負っている。両名の緊縛とこの傷害との因果関係が問題となる。
刑法上の因果関係は行為の危険が結果に現実化した場合に認められる。介在事情の異常性,行為との関係,結果への寄与から,独立した別の危険による結果かを判断する。
長時間手足を縛られると,足がしびれ,解放後に立ち上がって転倒する危険がある。本件でも緊縛からしびれ,立上がり時の転倒,頭部打撲へとつながっており,緊縛の危険が結果に現れている。
確かに,Cは,Bが一度ふらついたため座らせ,そのままでいるよう指示した。Bはこれに反して1分後に立ち上がっているから,その自主的行動が結果を招いたとの反論がある。しかし,被害直後に盗まれた物を確認しようとすることは著しく異常な行動ではない。しかも,わずか1分後でしびれが残り,そのしびれが直接転倒を引き起こしている。Cの制止違反に一定の寄与があっても,緊縛による危険から独立した新たな危険が結果を生じさせたとはいえない。因果関係は否定されない。
緊縛は強盗の手段である暴行そのものであり,その暴行から傷害結果が生じた以上,乙丙には強盗致傷罪の共同正犯が成立する(60条,240条前段)。結果発生が財物取得・退出後であることは,緊縛と傷害の因果関係の問題と区別すべきである。原因行為を強盗の手段以外へ拡張する機会説を持ち出す必要はない。同じ因果関係から,逮捕致傷罪の共同正犯も成立する(60条,221条)。
強盗致傷罪と逮捕致傷罪は,強取の暴行と身体拘束が同じ緊縛行為からなるため観念的競合と解する(54条1項前段)。先行する詐欺未遂は電話による別個の欺罔に基づき,その後に別の強盗計画へ切り替えているので,上記各罪と併合罪と解する(45条)。
(2) 甲の罪責
甲は標的選定,架電,現金準備,実行指示を担い,利益の3分の1を得る立場にある。Bに対する詐欺の共謀・正犯性が認められる。
乙丙は,甲の指示を受けた後,無断で詐欺から強盗へ手段を変更した。まず,変更後の行為が甲との共謀に基づくものかを判断し,その射程を肯定した場合に,甲の故意でその犯罪をどこまで帰責できるかを検討する。共謀の射程と故意の錯誤は別の問題である。
共同正犯が他者の行為にも責任を負うのは,共同実行の意思の下で互いを利用・補充し,それぞれが結果へ因果的に寄与するためである。したがって,手段に変更があっても,意思連絡の内容,目的・動機及び侵害法益の同一性,当初の関与が変更後の実行へ与えた影響を検討し,その行為が当初の共同目的を実現する共同遂行と評価できるかによって射程を判断する。
甲らは従来詐欺を繰り返し,今回も詐欺を指示しており,乙丙が新たに緊縛強盗を話し合ったことは射程否定の方向に働く。強盗の身体への暴力は甲の了解した方法を超える。しかし,乙丙が狙うのは同じBの同じ300万円であり,より確実に取得するための手段変更である。甲がBに現金を自宅へ用意させたことは,変更後の強盗でも直接利用され,標的選定と欺罔による甲の寄与は失われていない。乙丙も初めから甲を含めた3人で分配する計画を維持し,実際にそうしている。共同目的と役割利用の連続性は強く,財物取得の行為自体は当初の共謀の射程内と解する。
ただし,これは甲が強盗の故意を有することを意味しない。甲は乙丙からいつもどおりだまし取ったとの虚偽報告を受けているから,分配によって強盗を事後に承認したとはいえない。甲の認識は詐欺にとどまり,実現した強盗との間に抽象的事実の錯誤がある。
38条2項は,重い罪の事実を認識しない者をその重い罪で処断することを禁じる。異なる構成要件の認識と実現がある場合,法益及び行為態様などから構成要件が実質的に重なる範囲が認められれば,その限度で故意既遂犯を認め得る。しかし,他人の財物の不法取得という一般的な一致だけでは足りない。
詐欺は錯誤に基づく被害者の処分行為によって財物を取得するのに対し,強盗は反抗を抑圧して意思に反する奪取を行う。詐欺と強盗の間には,窃盗と強盗のような構成要件的な包含関係もない。甲は交付意思を形成させて預けさせることだけを認識しており,無同意の奪取を認識していない。この手段・態様の差を考慮して実質的重なりを否定し,甲に強盗致傷又は窃盗の故意既遂犯は認めない。
もっとも,甲自身の欺罔によって詐欺には既に着手しており,手段変更を知らない甲の詐欺の故意と共同計画はなお存続しているから,詐欺未遂罪の共同正犯は残る。Bの身体を拘束する共謀・認識はなく,逮捕致傷罪の共同正犯も成立しない。収益分配の受領は元の共同犯行への関与者としてのものであり,別個の盗品譲受けを重ねて処罰しない。甲の罪責は詐欺未遂罪の共同正犯となる。
3 設問3
(1) 検討の対象
6の威力該当性と95条の暴行・脅迫の不存在は前提であり,業務妨害否定の理由をここに求めない。7の虚偽通報は偽計であり,妨害対象は5名の本来の乙追跡・逮捕である。一定の公務を業務妨害罪の保護対象とする理由を以下のように説明できる。
(2) 妨害手段によって保護範囲を分ける説明
強制力を行使する権力的公務については,その強制力により妨害を排除でき,暴行又は脅迫による妨害には95条による保護もある。そこで,威力業務妨害罪の「業務」から強制力を伴う公務を除くと説明できる。6の令状に基づく逮捕はその公務であり,丁の立ちはだかりには警察官が強制力によって対処できるため,234条による重ねた保護を必要としない。
これに対し,偽計による妨害は,事情を誤認させることによって公務の遂行を阻害するものであり,強制力があってもその行使によって虚偽を看破し,妨害を排除できるわけではない。95条も偽計を対象にしていない。そのため,偽計業務妨害罪の「業務」には強制力を伴うものを含めすべての公務が入ると説明する。
7では,警察官5名は虚偽通報を真実と受け止め,通り魔事件への警戒に当たらざるを得なくなっている。追跡逮捕の権限があっても,虚偽通報による任務の転用を強制力で排除することはできないから,233条による保護が必要となり,丁に偽計業務妨害罪が成立する。
(3) 強制力行使の段階によって区別する説明
別の説明として,強制力を行使する権力的公務は妨害を自力で排除し得るため業務から除き,それ以外の公務を業務に含める見解から,各公務の具体的な行使段階を区別することが考えられる。警察官の公務だから常に権力的と分類するのではなく,妨害された公務が実際に強制力を行使する段階にあるかを問う。
6では,Dは令状による逮捕のため乙に接近し,逃げた乙を直ちに追おうとしている。その場で丁が道を塞いでいるのであり,Dの公務は目前の逮捕を実現する強制力行使の段階にある。こうした威力はその公務の自力排除力で排除し得るため,業務として保護しない。
7では,5名はDの応援要請を受けて乙を追跡・逮捕しようとしていたが,虚偽通報のため別の警戒へ転用されている。妨害されたのは虚偽通報に対する警戒そのものではなく,通報がなければ遂行したはずの乙の追跡逮捕である。この段階では5名が現に乙に対して強制力を行使しておらず,虚偽通報の妨害をその強制力によって排除することもできない。この具体的公務を未だ強制力行使の段階にない業務と評価し,233条の保護対象に含めれば,偽計業務妨害罪の成立を肯定できる。
以上の各説明は指定された結論を導く別の構成であり,両方を不可欠の要件として累積させるものではない。
以上
3 出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説
(1) 答案と評価項目の対応
設問1の(1)ア・イで2・3・4を回収し,欺罔の一部開始を要する説明と,その前の密接行為から着手を認める説明を分ける。(2)ア・イで9・10に対応し,③又は⑤に至る前の段階との差を,規範に結び付けて説明する。
設問2(1)の因果関係の部分が23に対応する。緊縛から残存するしびれ,立上がり,転倒,傷害への連鎖を示し,Cの制止に反したBの行動が独立した危険かを検討する。同(2)は28・29・36に対応し,共同正犯の処罰根拠→共謀の射程→射程肯定後の抽象的事実の錯誤の順で述べる。
設問3(1)で40・41の本来の追跡・逮捕を特定し,(2)・(3)で42・49に対応する。妨害手段による区別と強制力行使の段階による区別をそれぞれ説明し,6否定・7肯定を一つの説明内で導く。以上13項目は骨格又は評価の分かれ目であるが,許容分岐3・4等をどの答案でも両方書く必要があるという意味ではない。
(2) 設問1―規範と時点を対応させる
項目1~20に対応する。③や⑤という番号だけでは足りず,現金化の指示が交付判断へ与える作用,現金準備の不確定性,④がAの行為であること,訪問告知と残る要求との近接性を説明する。平成30年判決の法廷意見が一連のうそについて判断したことと,補足意見が密接行為の理論から説明したことを区別する。
(3) 設問2―因果関係と共謀の射程を分ける
項目21~39に対応する。強盗の手段たる緊縛から傷害が生じる構成では,機会説へ飛ばず,介在行為を含む因果関係を論じる。甲については,方法変更や新たな話合いだけで射程を否定せず,現金準備への寄与と分配計画の継続も評価する。射程を否定する別構成も許されるが,その後に乙・丙の実行を当然に帰責して故意既遂犯の錯誤論を続けない。射程を肯定しても,重い罪の故意が当然に認められるわけではない。
(4) 設問3―本来の公務と自力排除力を特定する
項目40~49に対応する。7の対象は虚偽通報への警戒活動ではなく,通報がなければ遂行した本来の追跡・逮捕である。偽計について全公務を業務に含める説明を採る場合も,威力で一部公務を除く理由が必要である。6の威力を否定して指定結論を導くことは,問題文の前提に反する。
(5) 答案の弱点と扱わなかった事項
本答案は複数の許容説明を示すため5484字(見出し・「以上」を含み,改行を除く)であり,実際の答案では採用する構成を選び分量を調整できる。甲に詐欺未遂を認める結論や,乙・丙の逮捕致傷,収益分配及び罪数は,公式資料が唯一の正解と指定したものではなく,独立の法律構成である。同型の判決原文による裏付けが確定したとの説明はしていない。住居等侵入罪・特別法違反は設問の指定により扱わない。
第6 関連記事
1 同じ年度の司法試験の別の模範解答
①公法系第1問(憲法)
②公法系第2問(行政法)
③民事系第1問(民法)
④民事系第2問(商法)
⑤民事系第3問(民事訴訟法)
⑥刑事系第2問(刑事訴訟法)
⑦令和5年度司法試験論文式試験の主要7科目の模範解答
2 本問の模範解答と関連する山中弁護士ブログの記事
①特殊詐欺は現金の交付要求前でも詐欺未遂になるか―最高裁平成30年3月22日判決と実行の着手
②特殊詐欺の受取役が強盗へ変更した場合の指示役の責任
③強盗後に被害者が転倒・負傷した場合の強盗致傷罪
④刑事弁護の判例引用チェック―法廷意見・補足意見・原審判断・未判断事項を分ける
関連実務記事は論点整理のための案内であり,試験実施日後の法令・判例を答案の基準へ混ぜるものではない。
第7 出典及び確認状態
1 公式資料
①法務省・令和5年司法試験問題(刑事系科目)
②法務省・令和5年司法試験論文式試験出題の趣旨
③法務省・令和5年司法試験の採点実感(刑事系科目)
④法務省・令和5年司法試験の実施日程
2 法令
e-Gov法令検索・刑法(令和5年7月13日施行版):刑事系科目の試験実施日である令和5年7月15日を基準に,本文で用いる条文を確認した。現行法の刑名等へ置き換えていない。
3 裁判例
①最高裁平成30年3月22日第一小法廷判決(平成29年(あ)第322号):PDF全6頁を実読。法廷意見の着手判断は3~4頁,補足意見は5~6頁である。
②東京高裁・虚構の殺人予告による警察官の業務妨害に関する判決原文:PDF全3頁を実読。本来の業務と具体的妨害に対する自力排除可能性に関する参考であり,裁判年月日・事件番号をここでは確定していない。
4 確認状態
令和8年10月4日に,問題PDF2~4頁,出題の趣旨の13頁末尾の対象見出し及び14~17頁の刑事系第1問部分,採点実感1~6頁の刑事系第1問部分を実読した。資料の頁・節と,評価項目としての独自整理を分ける。評価表の「直接記載なし」はこの範囲での確認結果であり,資料一般に存在しないとする意味ではない。
出題の趣旨が参照する平成16年3月22日決定は,公式説明を確認したが判決原文は未取得である。公開検索で原文を発見できなかったことと,判例が存在しないことは異なる。判例秘書の原文は未閲覧である。共謀の射程,詐欺と強盗の実質的重なり及び罪数について,完全に同型の判決原文による裏付けは確定していない。
設問の要求は公式資料の記載,条文・確認済み判示は一次資料の確認結果,本件への当てはめや補足した法律構成は本記事の判断である。法務省の内部配点及び掲載答案の公式得点は不明である。