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令和2年度司法試験刑事系第1問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した68項目と5段階の重み付け(AI作成)

令和2年司法試験の刑法問題では、正当な債権回収と恐喝、預金債権と犯罪被害金、二段階の殺害計画と早期に発生した死亡を、法的段階ごとに区別する必要がある。以下では公式資料から独自に抽出した評価項目と、一貫した法律構成による模範解答を示す。

第1 この記事の対象と結論

本問の早見表
項目内容
対象令和2年度 刑事系第1問
問題・基準時問題文と設問の指定及び第7の出典・確認範囲による。問題の与件と指定された法令の時点を前提とする。
資料出題の趣旨・採点実感に基づく分析。版・対象範囲・留保は第7の確認状態を参照。
評価項目68項目(重み5:6項目)
重みの合計268(本記事独自の整理であり,公式の配点ではない。)
答案の字数4567字(答案部分の見出しを含み,空白・改行を除く可視文字数)
判例・法改正の留保第7の法令・裁判例と資料の範囲を参照。既存の確認日・参照頁・未確認部分の留保を引き継ぐ。
年度別の案内令和2年司法試験論文式試験の主要7科目の模範解答と評価項目(AI作成)

対象は令和2年司法試験論文式・刑事系科目第1問である。問題文、出題の趣旨、採点実感を参照した。基準時は試験実施日の令和2年8月15日である。

評価項目は68件、重み5は6件である。模範解答は、設問1で600万円の利益恐喝、設問3で600万円の銀行詐欺、500万円の横領、2項強盗殺人及び時計の窃盗を認める。銀行詐欺と横領は観念的競合、これと強盗殺人・窃盗は併合罪とする。結論が一つに指定されている問題ではなく、許容される別構成を評価表と解説で区別する。

5はその設問の判断を大きく分ける核心,4は結論を理由付きで支える主要な論証・当てはめ,3は通常押さえる法的処理・事情の評価,2は論証を補強する説明・個別事情・補助的注意,1は補充的な引用・記述範囲の確認を示す。
重みは本記事の独自分析であり,法務省の公式配点・予測得点ではない。

第2 評価項目の示し方と重み付けの基準

1 評価項目の示し方

各項目は一つの判定対象を原則として、答案の何が書かれていれば充足するかを示した。番号は記事全体で連続する。必須・高評価・負例(誤りの回避)・許容分岐を重みと分ける。条件付きの項目を全答案への累積要求にはしない。これは法務省の公式採点基準・配点・得点表ではない。

根拠欄の頁はPDFの物理頁である。出題の趣旨は第1問の14~18頁、採点実感は第1問の1~5頁を対象とした。「記載なし」はこの関連範囲を読んだ結果であり、資料未読や到達不能を意味しない。引用は改行等の空白を除いて原文と照合した。重み・原子化は独自の整理である。

2 5段階の重み付けの基準

5はその設問の判断を大きく分ける核心,4は結論を理由付きで支える主要な論証・当てはめ,3は通常押さえる法的処理・事情の評価,2は論証を補強する説明・個別事情・補助的注意,1は補充的な引用・記述範囲の確認を示す。
重みは本記事の独自分析であり,法務省の公式配点・予測得点ではない。

第3 本問の概要

1 問題文と事実関係

甲はAから500万円の貸金回収を依頼され、暴力団組員を装ってBに600万円を送金させた。設問1は600万円説と100万円説の双方を述べ、甲の罪責を決める問題である。金額の差を違法性阻却だけで説明してはならない。

甲は全額を自己の借金返済に流用し、Aへの返還を免れるため睡眠薬で眠らせてから有毒ガスで殺す計画を立てた。ガス発生はやめたが、薬が未知の心臓疾患を悪化させてAが死亡した。立去り前には時計を持ち出している。

設問2は事例2の5・6・8・9だけを前提に、殺人既遂否定を導く具体的事実を三つと各理由を簡潔に示す。設問3は事例2の甲の罪責を自説で論じ、銀行払戻し、横領、睡眠薬投与と死亡、時計、罪数を扱う。住居侵入・特別法違反と事例1との罪数は除外される。

2 設問が求めること

設問が求めること
設問立場・対象指定・仮定・除外答えるべき到達点
設問1事例1の甲の罪責600万円説・100万円説の双方を述べる。財産損害の理解を区別し,自説と権利行使の違法性の検討から罪責を確定する。
設問2殺人既遂を否定する具体的事実と理由事例2の5・6・8・9だけを前提に,三つを簡潔に示す。各事実を実行行為・因果関係・故意等の既遂否定の理由へ個別に対応させる。
設問3事例2の甲の罪責を自説で検討住居侵入・特別法違反と事例1との罪数は除外する。設問2の既遂否定を当然の前提にしない。払戻し・横領・睡眠薬と死亡・時計を,採用構成に応じた残る責任と罪数まで閉じる。

第4 評価項目と重み

1 設問1

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
1錯誤が畏怖の一材料にすぎないと示し、詐欺・恐喝を区別する。

415頁・設問1
「畏怖の念を生じさせる一材料」
3頁・設問1
「畏怖の念を生じさせる一材料」
2害悪告知として脅迫の意義を示し、組員派遣の告知を評価する。

415頁・設問1
「「脅迫」の意義を正確に示した上で」
3頁・設問1
「構成要件要素全般に関する理解」
3Bの畏怖から送金、甲の利益取得へ至る因果関係を示す。

415頁・設問1
「Bの「畏怖」」
3頁・設問1
「同罪の構成要件要素全般」
4現金移転と預金債権取得を区別し、1項・2項の選択を理由付ける。

415頁・設問1
「Bと甲との間に現実の現金移転がない」
2頁・設問1
「客体が財物に該当」
5恐喝の故意と利益取得の意思を、送金時の認識に即して検討する。

315頁・設問1
「主観的構成要件要素についても検討する必要」
記載なし
6600万円説を個別財産侵害の構成で説明する場合は,個別財産の侵害・損害の捉え方から説明する。

415頁・設問1
「同罪を個別財産に対する罪と捉えた上」
1頁・設問1
「客観的構成要件要素に関する法解釈上の問題」
7100万円説を実質的損害の構成で説明する場合は,弁済による500万円の債務消滅と実質的損害から説明する。

415頁・設問1
「実質的には100万円の限度」
1頁・設問1
「「財産上の損害」の要否及びその内容」
8両説の対立を保護法益・財産損害の客観的構成要件の問題として整理する。

515頁・設問1
「恐喝罪の保護法益の内容」
1頁・設問1
「客観的構成要件要素に関する法解釈上の問題」
9権利行使の違法性阻却を、超過請求・緊急性・必要性・相当性から検討する。

415頁・設問1
「必要性も相当性もない」
1頁・設問1
「違法性阻却の観点」
10両説を述べた上で、自説の理由と甲の罪責を確定する。

414頁・設問1
「甲に成立する財産犯について検討」
1頁・設問1
「自説としてどのような構成でいかなる結論」
11600万円説の別構成として、占有の適法性・要保護性を問わない説明を示す。
条件:個別財産説に代えて占有保護説を採用する場合

415頁・設問1
「債務者の占有の適法性や要保護性を問わず」
記載なし
12100万円説の別構成として、遅滞債務額を保持する正当利益の欠如を示す。
条件:実質的損害説に代えて適法保持利益説を採用する場合

415頁・設問1
「適法に保持する正当な利益を欠く」
記載なし
13被害額の違いを違法性阻却の当てはめ変更だけで説明しない。

415頁・設問1
「構成要件に該当するといえるか否か」
1頁・設問1
「専ら違法性阻却の観点」
14組員・債権額の虚偽だけから詐欺既遂を認めない。

315頁・設問1
「一材料にとどまっているため」
3頁・設問1
「詐欺既遂罪の成立は認め難い」
15反抗抑圧の具体的根拠なく強盗罪へ飛躍しない。

3記載なし3頁・設問1
「反抗抑圧に足りる程度の脅迫は認め難く」

2 設問2

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
16一般的な医薬品・通常は生命危険のない混入量という第一の事実を特定する。

416頁・設問2
「病院で処方される一般的な医薬品」
1頁・設問2
「①の事実に着目して実行行為性又は実行の着手」
17第一の事実につき、危険判断資料又は計画評価の立場を示して実行行為性・着手を否定する。

416頁・設問2
「犯行計画を考慮しない立場」
1頁・設問2
「①の事実に着目して実行行為性又は実行の着手」
18心臓疾患を一般人も甲も認識できなかったという第二の事実を特定する。

416頁・設問2
「一般人は認識できず,甲も知らなかった」
1頁・設問2
「②の事実に着目して因果関係」
19第二の事実につき、相当性の判断資料を限定する立場から因果関係を否定する。

416頁・設問2
「一般人が認識し得た事情及び行為者が特に認識」
3頁・設問2
「被害者の特殊事情を判断資料に含めるべきか」
20当該量の薬では死亡しないと思ったという第三の事実を特定する。

416頁・設問2
「死亡する認識・予見を欠いていた」
1頁・設問2
「③の事実に着目して故意」
21第三の事実につき、第一行為への殺意又は重大な因果経過錯誤から故意を否定する。

416頁・設問2
「客観的な因果経過と甲の認識する因果経過」
3頁・設問2
「故意を否定するための理論構成」
22三つの事実を区分し、一事実ごとに既遂否定の理由を対応させる。

516頁・設問2
「1個の事実に対応する理由を逐一」
1頁・設問2
「複数の事実を一括せず」
23自説に拘束されず、理論根拠・他説批判へ広げず要点を簡潔に示す。

316頁・設問2
「要点を簡潔に示すのが肝要」
1頁・設問2
「他説への批判まで論じる必要はなかった」
24中止犯の成立を理由に殺人既遂を否定しない。

4記載なし3頁・設問2
「中止犯が成立することが殺人既遂罪の成立を否定する理由とならない」
25判断資料の範囲を示さずに諸事情総合だけで因果関係を否定しない。

416頁・設問2
「判断資料から除かれ」
3頁・設問2
「諸般の事情の総合的判断によって」

3 設問3・払戻し

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
26銀行窓口の払戻請求・現金受領について1項詐欺の成否を検討する。

416頁・設問3・払戻し
「1項詐欺罪の成否が問題」
3頁・設問3・払戻し
「1項詐欺罪の成否が問題となること」
27犯罪による入金でも銀行に対する有効な預金債権があると押さえる。

416頁・設問3・払戻し
「有効な預金債権を取得している」
1頁・設問3・払戻し
「銀行に有効な預金債権を取得している」
28欺罔の意義を示し、犯罪被害金という事情が払戻許否の重要事項か検討する。

516頁・設問3・払戻し
「払戻し許否の判断の基礎となる重要な事項」
3頁・設問3・払戻し
「事情を適切に評価している答案はごく一部」
29払戻請求が犯罪被害金ではない旨を表示するか、挙動による欺罔を検討する。

417頁・設問3・払戻し
「挙動による欺罔」
記載なし
30犯罪被害金である旨の告知義務の有無を根拠とともに示し、不作為による欺罔を検討する。

417頁・設問3・払戻し
「不作為による欺罔」
記載なし
31詐欺を肯定する場合、対象額を設問1の恐喝被害額と整合させる。
条件:銀行詐欺を肯定する場合

417頁・設問3・払戻し
「同罪の客体は恐喝罪の被害額に限定」
1頁・設問3・払戻し
「設問1における結論との整合性」

4 設問3・横領

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
32銀行払戻し・Cへの費消について、横領罪の成否を検討する。

417頁・設問3・横領
「被害額を500万円とする横領罪の成否」
2頁・設問3・横領
「横領罪の成否を論じる必要」
33Aからの委託関係・所有帰属を示し、客体を500万円に限定する。

517頁・設問3・横領
「Aに交付すべき500万円に限定」
3頁・設問3・横領
「その客体が500万円に限定される」
34横領行為を特定し、その行為に対応する預金金員又は現金を客体とする。

417頁・設問3・横領
「どの行為を「横領」行為と捉えるか」
3頁・設問3・横領
「検討対象となる行為と客体の特定」
35選択した横領行為の時点の法律上又は事実上の占有を具体化する。

417頁・設問3・横領
「自己の占有する他人の物」
2頁・設問3・横領
「甲名義口座の預金又は払い戻した現金」
36全額を自己の借金返済に用いる決意を、不法領得の意思・横領の故意に結び付ける。

317頁・設問3・横領
「自己の借金返済に充てるため」
記載なし

5 設問3・睡眠薬と死亡

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
37第一・第二行為を一体化するか、第一だけを実行行為とするかを選び理由付ける。

417頁・設問3・睡眠薬と死亡
「一連の殺人行為」
2頁・設問3・睡眠薬と死亡
「第1行為のみを実行行為として構成するのか」
38死亡と財産的利益の双方が計画より早く実現したことを故意既遂の問題とする。

417頁・設問3・睡眠薬と死亡
「Aの死亡結果及び財産上の利益」
3頁・設問3・睡眠薬と死亡
「死亡結果及び財産上の利益の移転」
39第一行為が第二を確実容易にするため必要不可欠であることを評価する。
条件:一体評価を採用する場合(採用)

417頁・設問3・睡眠薬と死亡
「確実かつ容易に行うために必要不可欠」
3頁・設問3・睡眠薬と死亡
「判断要素を前提として」
40眠らせた後の計画遂行に特段の障害がないか、準備状態から評価する。
条件:一体評価を採用する場合(採用)

417頁・設問3・睡眠薬と死亡
「障害となるような特段の事情」
3頁・設問3・睡眠薬と死亡
「判断要素を前提として」
41時間的・場所的近接性を、隣接駐車場と直ちに戻る計画から評価する。
条件:一体評価を採用する場合(採用)

417頁・設問3・睡眠薬と死亡
「時間的場所的に近接している」
3頁・設問3・睡眠薬と死亡
「判断要素を前提として」
42比較判例の薬物の危険性と本件の通常無害な量との相違を射程判断に反映する。
条件:一体評価を採用する場合(採用)

417頁・設問3・睡眠薬と死亡
「使用した薬物の性質」
記載なし
43予見できない心臓疾患の存在を踏まえ、薬の作用と死亡との因果関係の有無を理由付きで検討する。

417頁・設問3・睡眠薬と死亡
「因果関係の有無について具体的に検討」
2頁・設問3・睡眠薬と死亡
「因果関係の有無」
44着手認定だけで故意既遂とせず、一連の行為への殺意と経過の相違を説明する。

517頁・設問3・睡眠薬と死亡
「その目的を遂げた」
3頁・設問3・睡眠薬と死亡
「なぜ故意既遂犯の成立を認める論拠となるのか」
45強盗の暴行を有形力・物理力の行使として定義する。

418頁・設問3・睡眠薬と死亡
「有形力・物理力の行使」
3頁・設問3・睡眠薬と死亡
「強盗罪にいう「暴行」に該当するか否か」
46薬理作用による暴行を、ワイン飲用への同意の範囲・錯誤との関係から判断する。
条件:第一行為自体の暴行を肯定する場合(採用)

418頁・設問3・睡眠薬と死亡
「錯誤に基づく無効な同意」
2頁・設問3・睡眠薬と死亡
「その意義に遡って具体的に論じる」
47強盗の手段として第一行為の薬の作用を、本件の睡眠状態に具体的に当てはめる。
条件:暴行肯定の場合(採用)

418頁・設問3・睡眠薬と死亡
「薬剤の作用を有形力と見ること」
記載なし
48債務の法的消滅と、請求が事実上著しく困難になる経済的利益を区別する。
条件:強盗肯定の場合(採用)

518頁・設問3・睡眠薬と死亡
「財産上の利益の意義を正確に示した上」
2頁・設問3・睡眠薬と死亡
「財産上不法の利益を得」
49相続人・証明資料・事情を知る者を挙げ、500万円返還請求の困難化を認定する。
条件:強盗肯定の場合(採用)

418頁・設問3・睡眠薬と死亡「具体的事実を摘示して当てはめ」2頁・設問3・睡眠薬と死亡
「Aに相続人がいないこと等」
50利益免脱の意図と殺意を、一連の行為開始時から結果への認識として検討する。
条件:強盗肯定の場合(採用)

417頁・設問3・睡眠薬と死亡
「主観的構成要件要素を検討」
3頁・設問3・睡眠薬と死亡
「同罪の実行行為及び故意」
51第一行為だけを実行行為とする場合、第二行為の留保・因果錯誤から故意を検討する。
条件:第一行為だけを実行行為とする場合

418頁・設問3・睡眠薬と死亡
「第2行為を留保していたこと」
2頁・設問3・睡眠薬と死亡
「第1行為のみを実行行為」
52暴行否定の構成では、飲用行為の有形力性又は同意を根拠に示す。
条件:暴行を否定する場合

418頁・設問3・睡眠薬と死亡
「Aが同意しているという理由」
記載なし
53第二行為の暴行と第一行為を一体評価する代替構成を理由付ける。
条件:第一行為自体の暴行肯定に代えて採用する場合

418頁・設問3・睡眠薬と死亡
「第1行為と第2行為を一連の実行行為と捉える」
記載なし
54殺人・強盗の着手を否定する場合、殺人予備・強盗予備の成否を検討する。
条件:該当する実行着手を否定する場合

418頁・設問3・睡眠薬と死亡
「殺人予備罪,強盗予備罪」
2頁・設問3・睡眠薬と死亡
「殺人予備罪,強盗予備罪」
55既遂・着手否定の構成では、残る傷害(致死)・過失犯等の罪責を一貫して閉じる。
条件:既遂又は実行着手を否定する場合

418頁・設問3・睡眠薬と死亡
「傷害(致死)罪,(重)過失傷害罪」
2頁・設問3・睡眠薬と死亡
「傷害(致死)罪,(重)過失傷害罪」
56返還免脱を財物限定の昏酔強盗の客体にして「2項昏酔強盗殺人」としない。

4記載なし4頁・設問3・睡眠薬と死亡
「昏酔強盗罪の客体が財物に限られている」
57設問2の既遂否定を当然の前提にせず、設問3では自説を示す。

4記載なし4頁・設問3・睡眠薬と死亡
「設問2での記述を所与の前提」

6 設問3・時計

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
58奪取意思が薬投与後に生じたと特定し、通常の昏酔強盗と区別する。

418頁・設問3・時計
「奪取意思が生じた時期が第1行為後」
記載なし
59窃盗構成では、生存するAの占有を侵害する持出しを評価する。
条件:窃盗構成を採用する場合(採用)

418頁・設問3・時計「客観的構成要件」4頁・設問3・時計
「奪取時点で,Aが生存」
60窃盗構成では、換金・遊興費目的を故意・不法領得の意思に結び付ける。
条件:窃盗構成を採用する場合(採用)

318頁・設問3・時計「主観的構成要件」記載なし
612項強盗殺人を認める場合、同一機会のAの財産侵害として1項強盗殺人に包摂する余地を扱う。
条件:2項強盗殺人肯定の場合。別罪説でも対立の位置付けを示す

418頁・設問3・時計
「1項強盗殺人罪の成否を検討する余地」
記載なし
62奪取時の生存を無視して死者の占有論を展開しない。

3記載なし4頁・設問3・時計
「死者の占有が腕時計に及ぶか否か」

7 設問3・罪数

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
63成立犯罪間の罪数を理由付きで確定し、事例1との罪数を含めない。

418頁・設問3・罪数
「罪数を論じる必要」
記載なし

8 答案全体

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
64四つの行為群を落とさず、各行為の規範・事実・効果をバランスよく論じる。

414頁・答案全体
「それぞれ検討させ」
3頁・答案全体
「各行為をまんべんなく検討」
65選択した法律構成・客体・被害額・主観を答案全体で矛盾させない。

416頁・答案全体
「理論構成をすることができるか」
4頁・答案全体
「論理的に矛盾のない論述」
66低優先の論点を抑え、中核に字数を配分する。

3記載なし(16頁の簡潔な記述の指示は設問2に係るもの)2頁・答案全体
「厚く論じるべきものと簡潔に論じるべきもの」
67基本犯の手段で死亡した構成に不要な強盗の機会性論を長く加えない。
条件:基本犯の手段により死亡した構成(採用)

2記載なし3頁・答案全体
「強盗の機会性の有無について論じる必要はない」
68規範を示さず事実を列挙して結論だけを書く論証パターンにしない。

4記載なし2頁・答案全体
「その事実が持つ法的意味を特段論じず」

9 重みの分布

重み5=6件、4=53件、3=8件、2=1件、1=0件。総数68件、重み合計268である。重み5の6件は第1に示した番号に対応し、表の各根拠欄で骨格又は評価の分かれ目に当たる理由を示した。代替構成や負例は適用条件に応じて扱う。

第5 模範解答

1 答案の前提と表記

以下は試験当時の刑法を前提にした約4567字(空白・改行を除く)の答案である。番号は設問ごとに1、(1)の順とし、判例の理由を本件へ適用する箇所は自説の推論を含む。設問2の既遂否定は指定された説明であり、設問3の結論を拘束しない。

2 答案

第1 設問1

1 恐喝罪と詐欺罪の区別

財産交付の原因が錯誤に基づく判断か、畏怖かによって区別する。Bは債権額が500万円と知っており、600万円という虚偽を信じてはいない。甲が暴力団組員だという誤信も、要求を拒否すれば本人や家族に危害が加えられるとの畏怖を生じさせる一材料である。交付を決めた原因は畏怖であり、詐欺既遂ではなく恐喝罪を検討する。

恐喝の脅迫とは、相手方を畏怖させるに足りる害悪の告知をいう。組員をB宅に行かせるとの告知は、本人・家族の身体等に対する害悪を暗示し、これに当たる。ただし、電話での告知の態様から反抗を抑圧する程度とまではいえず、強盗罪には当たらない。Bは現に畏怖して翌日600万円を送金し、その結果甲の口座残高が増えている。

Bから甲へ現金が移転したのではなく、甲は銀行に対する預金債権を得たので、財産上の利益を対象とする2項恐喝罪(刑法249条2項。以下、法名省略)が問題となる。甲は脅迫によって送金させることを認識し、その利益を取得する意思も有する。

2 被害額についての二つの立場

(1)600万円説

恐喝罪を個別財産に対する罪と解すれば、畏怖によって処分させられた600万円相当の財産を失ったこと自体が損害である。500万円の債務が消滅しても、その対価的利益を控除して個々の財産侵害を消すことはできず、被害額は600万円となる。占有の適法性・要保護性を問わず、恐喝手段による占有侵害全体を保護対象とする説明も考えられる。

(2)100万円説

これに対し、財産上の損害を経済的・実質的に捉え、交付に伴う債務消滅を考慮する立場では、甲はAから回収権限を与えられ、Bもその旨の通知を受けているため、送金のうち500万円は有効な弁済となる。600万円の財産減少と500万円の債務消滅を差し引けば損害は100万円である。また、履行遅滞中の500万円を保持する正当な利益をBは欠き、超過分だけに法益侵害があると説明する余地もある。

(3)私見と違法性

債権が存在しても、債務者の個々の財産を威迫によって処分させることを許すべきではない。私は個別財産説から600万円説を採る。両説の違いは、客観的構成要件における保護法益・財産損害の理解の違いであり、同じ脅迫を一方では適法、他方では違法と評価し直す問題ではない。

その上で、権利行使としての違法性阻却(35条)も否定される。甲には500万円の回収権限があるが、請求額は100万円を超過し、暴力団を装って危害を恐れさせる緊急性・必要性もなく、手段の相当性を欠く。甲には600万円について2項恐喝罪が成立し、手段となった脅迫は別罪としない。

第2 設問2

1 第一の事実は、睡眠薬が一般的な医薬品であり、混入量は特殊な心臓疾患がなければ生命に対する危険が全くないこと、である。一般人に認識できない特殊事情を危険判断から除き、後の殺害計画を考慮せず第一行為自体を判断する立場では、生命侵害の現実的危険がなく、殺人の実行行為性又は実行の着手を否定できる。

2 第二の事実は、特殊な心臓疾患を一般人は認識できず、甲も知らなかったこと、である。相当因果関係の判断資料を、行為時に一般人が認識し得た事情及び行為者が特に認識した事情に限定する立場では、疾患を判断資料から除く。通常なら生命危険のない投与から死亡が生ずることに相当性を認めず、因果関係を否定できる。

3 第三の事実は、甲が当該量の睡眠薬ではAが死亡しないと思っていたこと、である。死亡を生じさせた第一行為への認識を独立に判断する立場では、その行為による死亡の認識・予見がなく、殺人の故意を否定できる。又は、予定したガスによる死亡と実際の薬による死亡との相違を重大な因果経過の錯誤とする構成も考えられる。

これらは、それぞれの立場から既遂否定を導く説明であり、相互に累積するものでも、設問3で当然に採用する自説でもない。

第3 設問3

1 銀行での払戻し

(1)詐欺罪

振込みの原因関係に問題があっても、甲と銀行との間には600万円の有効な預金債権が成立する。しかし、権利の存在と払戻しの際の欺罔の有無は別問題である。欺罔とは、財産処分の判断の基礎となる重要事項について相手方を錯誤に陥らせる行為をいう。

本件入金は恐喝の被害金である。銀行にとって、これを直ちに払い戻して被害回復を困難にし、関係者との紛争を招くか、それとも由来を確認するかは、払戻許否を決める重要事項である。誤振込について告知義務を認める考え方は参考になるが、本件は誤振込ではないから、その結論を当然には援用できない。本件では、甲自身が犯罪によって入金させたこと、銀行との預金取引において、その事情を秘したまま払戻しを受ければ銀行による適切な判断を妨げることを根拠に、信義則上の告知義務を認めるべきである。

単なる払戻請求の挙動だけから、あらゆる入金原因が適法だとの表示があるとするのは広すぎる。他方、この具体的な告知義務に反して犯罪由来を秘した請求は、不作為による欺罔に当たる。Fは犯罪被害金であることを知らず通常の払戻しとして現金を交付したと評価でき、欺罔・錯誤・交付の因果関係がある。甲もこれを認識して現金を自己のものとして用いる意思を有する。設問1の自説では全額が恐喝被害金であるから、600万円について1項詐欺罪(246条1項)が成立する。

(2)横領罪

横領とは、委託された占有に背いて、権限なく所有者でなければできない処分をすることをいう。Aのために回収した500万円は、特定目的の委託金としてAの所有に帰属する。自己名義口座への入金でも、甲はAのために保管し、払戻権限により預金として預けられた金員を法律上占有する。

甲は入金確認後、全額を自己のCへの弁済に充てると決意して払戻しを受けた。その払戻行為を横領行為と捉える。客体は、この時点の預金金員中の500万円であり、払戻し後の現金と混同しない。自己の債務返済のためAの権利を排除する処分に着手・完了しており、故意及び不法領得の意思もある。超過分100万円はAから委託されたものではない。

知人から個別に依頼された回収であり、反復継続する保管業務を示す事実はないから、単純横領罪(252条1項)が成立する。その後のCへの交付は既に横領した金員の費消であり、横領を重ねて認めない。

2 睡眠薬投与とAの死亡

(1)殺人の実行行為と着手

第一行為を睡眠薬投与、第二行為をガス吸入とする。第一行為は通常なら生命危険がないが、犯行計画を踏まえ、第二行為と密接に結び付く一連の殺害行為として評価すべきかが問題となる。

第一行為が第二を確実かつ容易にするため必要不可欠であり、成功後の計画遂行に特段の障害がなく、両行為が時間的・場所的に近接するときは、第一の開始時点で殺人に至る客観的危険を認め得る。本件では、数時間覚醒しない状態にしてガスを確実に吸わせるため投与が必要であり、致死量のガスを発生させる薬剤等は隣接駐車場の車内に準備済みで、直ちに取りに戻る予定だった。取戻しの手順は残るが、その遂行を妨げる特段の事情はない。

クロロホルム事件の第一行為は、それ自体にも相当高い生命危険があったのに対し、本件の通常の投与量にはそれがない。したがって同事件の結論を機械的に移すことはできない。しかし、着手の根拠は、第一行為単独の致死性だけでなく、具体的計画における両行為の密接性にある。準備済みの致死的な第二行為へ直結する上記事情から、一連の実行行為として投与時の着手を認める。

(2)因果関係と故意

Aは投与により心臓疾患が急激に悪化して死亡した。薬の摂取がなければこの死亡はなく、別の独立した原因が介在したのでもない。被害者の身体に特殊事情があっても、身体への薬の作用とその事情とが相まって死亡を生じさせた以上、因果関係を認める。一般人も甲も疾患を知らなかったことは、その作用を否定するものではない。

さらに、着手があるだけで殺人既遂になるのではなく、実行行為に対応する故意が必要である。甲は第一行為だけで死ぬとは思わず第二行為を予定したが、一連の行為を通じてAを殺す確定的な意思を既に有していた。第一行為を単なる独立した無害な行為に分断しない以上、その殺意は実行行為の開始時に存在する。予定したAの死亡が、自ら開始した身体への作用によって早期に実現したという経過の相違は、一連の行為への殺意を失わせる重大な錯誤ではない。よって殺人既遂を認める。

(3)2項強盗の手段と利益

強盗の暴行は、反抗を抑圧するに足りる有形力・物理力の行使である。Aはワインを自ら飲んでいるが、薬を混ぜられたことを知らず、数時間意識を失う身体作用には同意していない。通常の飲用への同意を、その薬の作用への同意にまで広げることはできない。錯誤に基づく無効な同意を利用して薬理作用を生じさせたことは、身体に対する物理力の行使であり、覚醒できない状態は反抗抑圧に足りる。債務免脱を目的とするこの投与は2項強盗(236条2項)の暴行となる。利益を財物限定の昏酔強盗(239条)の客体とするものではない。

財産上の利益には、債務が法的に消滅しなくても、請求が事実上不可能又は著しく困難となる利益が含まれる。Aには相続人がおらず、元の債権の証明資料もなく、これを知る者はA・B・甲だけである。Bが知っているのは元の貸金・弁済であって、甲の流用後の返還関係の全てではない。Aを失わせることで、500万円の返還請求は著しく困難になる。債務の当然消滅ではなく、この経済的利益を認める。

死亡と利益取得の双方が予定の第二行為より早く生じているが、甲には投与開始時から殺意と500万円の返還を免れる意思があり、その手段としての暴行が両結果を生じさせた。甲には2項強盗殺人罪(240条後段)が成立する。殺人・強盗を別に重ねない。

(4)中止

甲は怖くなってガス発生をやめたが、薬の身体作用は既に開始していた。救命等の結果防止措置をとらず現に死亡しており、未遂を前提とする43条ただし書の中止減免はない。

3 腕時計と罪数

Aは時計の持出し時には生存し、睡眠中でも自宅の机上の時計への占有を失わない。甲は投与後に時計を発見して換金・遊興費目的を生じ、ポケットに入れてAの占有を排除したので、故意及び不法領得の意思がある。時計取得のために昏酔させたのではなく、通常の昏酔強盗は成立しない。

ただし、先行行為に2項強盗殺人を認める以上、同じAの財産を同一機会に侵害したことを理由に、時計の取得も1項強盗殺人として包摂する構成は考えられる。私は、財物取得の意思が後発し、取得のため新たな暴行・脅迫を加えず、既存の睡眠状態を利用したにとどまる点を重視する。同一の被害者・機会というだけで財物取得まで先行暴行の目的と同視することはせず、時計について別に窃盗罪(235条)を認める。

銀行詐欺罪とAに対する横領罪は、同一の払戻行為によって異なる被害者の財産を侵害するので観念的競合(54条1項前段)となる。これと、その後の2項強盗殺人罪及び時計の窃盗罪は行為が別であり、併合罪(45条前段)である。事例1の罪責及びそれとの罪数、住居侵入・特別法違反は論じない。

以上

3 出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説

評価項目と答案の対応表

評価項目の番号と答案の参照箇所を示す。
各番号の重み・具体的な適用条件は評価表に従い,採用しない別構成を一律に要求しない。

評価項目と答案の対応(番号ごとの参照)
番号重み評価項目答案の該当箇所・留保
14錯誤が畏怖の一材料にすぎないと示し、詐欺・恐喝を区別する。答案第1の1
24害悪告知として脅迫の意義を示し、組員派遣の告知を評価する。答案第1の1
34Bの畏怖から送金、甲の利益取得へ至る因果関係を示す。答案第1の1
44現金移転と預金債権取得を区別し、1項・2項の選択を理由付ける。答案第1の1
64600万円説を個別財産侵害の構成で説明する場合は,個別財産の侵害・損害の捉え方から説明する。答案第1の2
74100万円説を実質的損害の構成で説明する場合は,弁済による500万円の債務消滅と実質的損害から説明する。答案第1の2
85両説の対立を保護法益・財産損害の客観的構成要件の問題として整理する。答案第1の2
94権利行使の違法性阻却を、超過請求・緊急性・必要性・相当性から検討する。答案第1の2(3)
104両説を述べた上で、自説の理由と甲の罪責を確定する。答案第1の2
114600万円説の別構成として、占有の適法性・要保護性を問わない説明を示す。 条件:個別財産説に代えて占有保護説を採用する場合答案第1の2。占有保護説という別構成。答案第1の2(1)で比較する。
124100万円説の別構成として、遅滞債務額を保持する正当利益の欠如を示す。 条件:実質的損害説に代えて適法保持利益説を採用する場合答案第1の2。適法保持利益説という別構成。答案第1の2(2)で比較する。
164一般的な医薬品・通常は生命危険のない混入量という第一の事実を特定する。答案第2の1~3
174第一の事実につき、危険判断資料又は計画評価の立場を示して実行行為性・着手を否定する。答案第2の1~3
184心臓疾患を一般人も甲も認識できなかったという第二の事実を特定する。答案第2の1~3
194第二の事実につき、相当性の判断資料を限定する立場から因果関係を否定する。答案第2の1~3
204当該量の薬では死亡しないと思ったという第三の事実を特定する。答案第2の1~3
214第三の事実につき、第一行為への殺意又は重大な因果経過錯誤から故意を否定する。答案第2の1~3
225三つの事実を区分し、一事実ごとに既遂否定の理由を対応させる。答案第2の1~3
264銀行窓口の払戻請求・現金受領について1項詐欺の成否を検討する。答案第3の1(1)
274犯罪による入金でも銀行に対する有効な預金債権があると押さえる。答案第3の1(1)
285欺罔の意義を示し、犯罪被害金という事情が払戻許否の重要事項か検討する。答案第3の1(1)
314詐欺を肯定する場合、対象額を設問1の恐喝被害額と整合させる。 条件:銀行詐欺を肯定する場合答案第3の1(1)。銀行詐欺肯定の場合。本答案は設問1の自説と同じ600万円を対象とする。
324銀行払戻し・Cへの費消について、横領罪の成否を検討する。答案第3の1(2)
335Aからの委託関係・所有帰属を示し、客体を500万円に限定する。答案第3の1(2)
344横領行為を特定し、その行為に対応する預金金員又は現金を客体とする。答案第3の1(2)
354選択した横領行為の時点の法律上又は事実上の占有を具体化する。答案第3の1(2)
374第一・第二行為を一体化するか、第一だけを実行行為とするかを選び理由付ける。答案第3の2(1)
384死亡と財産的利益の双方が計画より早く実現したことを故意既遂の問題とする。答案第3の2(2)
394第一行為が第二を確実容易にするため必要不可欠であることを評価する。 条件:一体評価を採用する場合(採用)答案第3の2(1)。条件・構成の選択は評価項目欄及び従来の解説による。別構成を累積要求しない。
404眠らせた後の計画遂行に特段の障害がないか、準備状態から評価する。 条件:一体評価を採用する場合(採用)答案第3の2(1)。条件・構成の選択は評価項目欄及び従来の解説による。別構成を累積要求しない。
414時間的・場所的近接性を、隣接駐車場と直ちに戻る計画から評価する。 条件:一体評価を採用する場合(採用)答案第3の2(1)。条件・構成の選択は評価項目欄及び従来の解説による。別構成を累積要求しない。
424比較判例の薬物の危険性と本件の通常無害な量との相違を射程判断に反映する。 条件:一体評価を採用する場合(採用)答案第3の2(1)。条件・構成の選択は評価項目欄及び従来の解説による。別構成を累積要求しない。
434予見できない心臓疾患の存在を踏まえ、薬の作用と死亡との因果関係の有無を理由付きで検討する。答案第3の2(2)
445着手認定だけで故意既遂とせず、一連の行為への殺意と経過の相違を説明する。答案第3の2(2)
454強盗の暴行を有形力・物理力の行使として定義する。答案第3の2(3)
464薬理作用による暴行を、ワイン飲用への同意の範囲・錯誤との関係から判断する。 条件:第一行為自体の暴行を肯定する場合(採用)答案第3の2(3)。条件・構成の選択は評価項目欄及び従来の解説による。別構成を累積要求しない。
474強盗の手段として第一行為の薬の作用を、本件の睡眠状態に具体的に当てはめる。 条件:暴行肯定の場合(採用)答案第3の2(3)。条件・構成の選択は評価項目欄及び従来の解説による。別構成を累積要求しない。
485債務の法的消滅と、請求が事実上著しく困難になる経済的利益を区別する。 条件:強盗肯定の場合(採用)答案第3の2(3)。条件・構成の選択は評価項目欄及び従来の解説による。別構成を累積要求しない。
494相続人・証明資料・事情を知る者を挙げ、500万円返還請求の困難化を認定する。 条件:強盗肯定の場合(採用)答案第3の2(3)。条件・構成の選択は評価項目欄及び従来の解説による。別構成を累積要求しない。
504利益免脱の意図と殺意を、一連の行為開始時から結果への認識として検討する。 条件:強盗肯定の場合(採用)答案第3の2(3)。条件・構成の選択は評価項目欄及び従来の解説による。別構成を累積要求しない。
514第一行為だけを実行行為とする場合、第二行為の留保・因果錯誤から故意を検討する。 条件:第一行為だけを実行行為とする場合第5の3(採用しない構成の解説)。第一行為だけを実行行為とする別構成。第5の3で扱い,本答案は一連の行為と評価する。
524暴行否定の構成では、飲用行為の有形力性又は同意を根拠に示す。 条件:暴行を否定する場合第5の3(採用しない構成の解説)。暴行否定の別構成。第5の3で扱い,本答案へ累積要求しない。
534第二行為の暴行と第一行為を一体評価する代替構成を理由付ける。 条件:第一行為自体の暴行肯定に代えて採用する場合第5の3(採用しない構成の解説)。第二行為の暴行との一体評価による別構成。本答案は第一行為自体の暴行を認める。
544殺人・強盗の着手を否定する場合、殺人予備・強盗予備の成否を検討する。 条件:該当する実行着手を否定する場合第5の3(採用しない構成の解説)。着手を否定する場合の予備の検討。本答案は着手を認めるため累積しない。
554既遂・着手否定の構成では、残る傷害(致死)・過失犯等の罪責を一貫して閉じる。 条件:既遂又は実行着手を否定する場合第5の3(採用しない構成の解説)。既遂・着手を否定する場合の残余責任。本答案の既遂の結論と累積しない。
594窃盗構成では、生存するAの占有を侵害する持出しを評価する。 条件:窃盗構成を採用する場合(採用)答案第3の3。条件・構成の選択は評価項目欄及び従来の解説による。別構成を累積要求しない。
603窃盗構成では、換金・遊興費目的を故意・不法領得の意思に結び付ける。 条件:窃盗構成を採用する場合(採用)答案第3の3。条件・構成の選択は評価項目欄及び従来の解説による。別構成を累積要求しない。
6142項強盗殺人を認める場合、同一機会のAの財産侵害として1項強盗殺人に包摂する余地を扱う。 条件:2項強盗殺人肯定の場合。別罪説でも対立の位置付けを示す答案第3の3。2項強盗殺人肯定を前提とする包摂構成。答案第3の3で比較し,本答案は時計の窃盗を別罪とする。
644四つの行為群を落とさず、各行為の規範・事実・効果をバランスよく論じる。第5の3(採用しない構成の解説)
654選択した法律構成・客体・被害額・主観を答案全体で矛盾させない。第5の3(採用しない構成の解説)
672基本犯の手段で死亡した構成に不要な強盗の機会性論を長く加えない。 条件:基本犯の手段により死亡した構成(採用)第5の3(採用しない構成の解説)。条件・構成の選択は評価項目欄及び従来の解説による。別構成を累積要求しない。

設問1の中心は、個別財産と実質的損害の違いを構成要件の問題として示す点にある。設問2は3事実と実行行為・因果関係・故意を個別に対応させる。設問3では有効な預金債権だけで詐欺を否定せず、犯罪被害金の重要性、挙動、告知義務を分けて論じる。模範解答は不作為による欺罔を肯定する構成を採ったが、銀行の個別の取引規定・実務を実証したものではない。否定説でもこの問題を具体的に検討する必要がある。

横領は払戻しを実行行為とし、預金として預けられた金員と法律上の占有を対応させた。Cへの交付を実行行為とする別構成なら、客体はその時点の現金、占有は現実の所持となる。どちらもAに交付すべき500万円に限られる。

クロロホルム事件は、一連の殺人行為の着手と故意既遂をそれぞれ論じた。通常無害な本件の投与量との相違を検討し、着手の認定だけで故意既遂へ飛躍してはならない。第一行為だけを実行行為とする構成、強盗の暴行を否定する構成も許容される。その場合には採用説に応じて予備・傷害(致死)・過失犯などの残る責任を検討する。肯定説の結論と併せて全ての犯罪を成立させるものではない。

時計は投与後に奪取意思が生じるため通常の昏酔強盗と区別する。ただし先行する2項強盗殺人との同一機会の財産侵害として1項強盗殺人を検討する余地もあり、後発意思だけで窃盗が唯一の構成になるわけではない。模範解答は別罪説の理由を述べて窃盗を採った。

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1 同じ年度の司法試験の別の模範解答

令和2年司法試験知的財産法第1問の模範解答と評価項目:
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2 同じ科目の別の年度の記事

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第7 出典及び確認状態

1 公式資料

法務省・問題PDF(全6頁中2~3頁)、出題の趣旨(全45頁中14頁の刑事系第1問から18頁の同問末尾まで)、採点実感(全13頁中1~5頁)。公式結果ページと採点実感一覧のリンクを照合した。試験日は延期後の日程による。

2 法令

e-Gov法令API・刑法の令和2年4月1日施行版で、35・38・43・45・54・199・201・203~205・235~237・239・240・243・246・249・252・253条等を確認した。後の拘禁刑への変更を試験当時へ適用していない。

3 裁判例

4 確認状態

公式資料の状態
資料状態確認範囲・留保
問題実読済み原記事の資料記録に基づく。今回,新たな公式資料の閲覧はしていない。
出題の趣旨実読済み原記事の確認記録に基づく。対象の版・頁・関連範囲は原記事から保持した記録による。
採点実感実読済み原記事の確認記録に基づく。関連範囲,資料間の相違と未確認部分の留保は原記事から保持した記録による。

公式資料の本問に関する記載、上記判例原文及び試験当時の条文は確認した。原典の判示と、本問への適用・重み付けは区別する。銀行の告知義務と二段階行為の一体評価、時計の別罪・包摂の判断には解釈上の分岐がある。判例秘書は未検索であり、検索未実施を裁判例不存在の根拠にしない。実際の配点・得点や合格可能性は確認できない。