令和2年司法試験の民事系科目第2問(商法)について,完成答案と,法務省の出題の趣旨・採点実感から独自に抽出した68項目を掲載する。重みは1~5の5段階で,法務省の公式採点基準・配点ではない。
第1 この記事の対象と結論
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 令和2年度 民事系第2問 |
| 問題・基準時 | 問題文と設問の指定及び第7の出典・確認範囲による。問題の与件と指定された法令の時点を前提とする。 |
| 資料 | 出題の趣旨・採点実感に基づく分析。版・対象範囲・留保は第7の確認状態を参照。 |
| 評価項目 | 68項目(重み5:6項目) |
| 重みの合計 | 267(本記事独自の整理であり,公式の配点ではない。) |
| 答案の字数 | 5259字(答案部分の見出しを含み,空白・改行を除く可視文字数) |
| 判例・法改正の留保 | 第7の法令・裁判例と資料の範囲を参照。既存の確認日・参照頁・未確認部分の留保を引き継ぐ。 |
| 年度別の案内 | 令和2年司法試験論文式試験の主要7科目の模範解答と評価項目(AI作成) |
対象は2020年8月13日実施の令和2年司法試験論文式・民事系第2問である。設問1では,非公開会社の新株発行を,通知・有利発行の説明・全員出席総会の治癒・無効原因の順で検討する。設問2では,優先株式だけの併合による不利益と,買取請求・差止め・決議取消しを検討する。
評価項目は68件,重み5は6件,重み合計は267である。以下の答案は設問1の発行無効,設問2の買取請求・差止め・決議取消しを認める構成を採る。全員出席総会の治癒及び差止めの解釈には許容される別構成もある。重み5の事項は第4の分布欄で公開表の番号から探せる。
第2 評価項目の示し方と重み付けの基準
1 評価項目の示し方
重要度は重み1~5で示す。
「注意」は誤りを避けるための項目の性質であり,別の重要度や独立した減点ではない。
元の番号・項目数・具体的な適用条件を維持し,採用しない別構成を全答案へ累積要求せず,同じ理解や誤りを重ねて評価しない。
記載なしは本問関連範囲を実読した結果を意味する。
一般的な答案作法及び独自の法律補足は,重み付き集計に含めない。
2 5段階の重み付けの基準
5はその設問の判断を大きく分ける核心,4は結論を理由付きで支える主要な論証・当てはめ,3は通常押さえる法的処理・事情の評価,2は論証を補強する説明・個別事情・補助的注意,1は補充的な引用・記述範囲の確認を示す。
重みは本記事の独自分析であり,法務省の公式配点・予測得点ではない。
重み1=0件,重み2=0件,重み3=11件,重み4=51件,重み5=6件。
総項目数N=68,重み合計W=267である。
この合計は単純合計であり,公式得点・難易度・合格可能性や全答案に要求する達成率へ換算しない。
第3 本問の概要
1 問題文と事実関係
非公開会社の甲社では,普通株式8万株をAが5万1000株,Bが2万9000株保有する。2億円を調達するため,1株4万円と評価された優先株式を2万円でP・Qへ各5000株発行した。総会通知に定款変更・新株発行の議題や議案は記載されず,総会で公正額が2万円だと説明され,Bは賛成した。設問1は発行後の5月14日にBが採る訴えと主張を問う。
設問2は発行が適法だったことを前提とする。優先株式は1株1000円の累積的参加的優先配当と全事項議決権を持ち,322条2項の省略定款がある。配当負担の軽減を目的に,優先株式だけを2対1で併合する決議がA・Bの賛成で可決された。Pは事前反対通知と総会反対をした。問われるのは具体的不利益と効力発生前の会社法上の手段であり,損害賠償は除外される。
2 設問が求めること
| 設問 | 立場・対象 | 指定・仮定・除外 | 答えるべき到達点 |
|---|---|---|---|
| 設問1 | 発行後のBの訴えと主張 | 5月14日時点。決議1・2を区別する。 | 取消事由と発行無効原因を接続し,治癒・虚偽説明・支配的利益を検討する。 |
| 設問2⑴ | 優先株主Pの具体的不利益 | 設問1の株式発行は適法と仮定する。 | 優先配当,議決権割合,少数株主権等の変化を具体化する。 |
| 設問2⑵ | 併合の効力発生前のPの会社法上の手段 | 種類株主総会の省略定款とPの反対通知等を前提とし,損害賠償は除外する。 | 買取請求・差止め・決議取消しを,それぞれの要件と効果へつなぐ。 |
第4 評価項目と重み
1 設問1・訴えと主張
| 番号 | 評価項目 | 重み | 出題の趣旨 | 採点実感 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 発行後の救済として828条1項2号の新株発行無効の訴えを挙げる。 | 4 | PDF9頁・民事系第2問。新株発行の無効の訴え。 | PDF7頁・民事系第2問。新株発行の無効の訴え。 |
| 2 | 非公開会社の発行無効の出訴期間が効力発生日から1年であり5月14日に未経過と示す。 | 4 | PDF9頁・民事系第2問。株式の発行の効力が生じた日から1年以内。 | PDF7頁・民事系第2問。株式の発行の効力が生じた日から1年以内。 |
| 3 | 決議取消事由を発行無効原因として主張し,3箇月の出訴期間内に発行無効訴訟を提起すべきとする立場を採る場合は,その期間も未経過と示す。 | 4 | PDF9頁・民事系第2問。当該決議の取消しの訴えの提訴期間内。 | PDF7頁・民事系第2問。当該決議の取消しの訴えの提訴期間内。 |
| 4 | 決議2の取消事由を募集事項決定の瑕疵として発行無効原因へつなぐ主張を特定する。 | 4 | PDF9頁・民事系第2問。募集事項を決定する株主総会の決議に取消事由があること。 | PDF7頁・民事系第2問。募集事項を決定する株主総会の決議に取消事由があること。 |
| 5 | 決議1の取消事由から,定款の定めのない種類株式の発行となる別の無効原因を特定する。 | 4 | PDF9頁・民事系第2問。定款の定めのない種類の株式の発行。 | PDF7頁・民事系第2問。定款の定めのない種類の株式の発行。 |
| 6 | 決議取消判決を先に確定させてから発行無効訴訟を起こす手順を採らない。 | 3 | 記載なし(本問の関連範囲を実読)。 | PDF7頁・民事系第2問。提訴期間が経過してしまう危険が大きい。 |
2 設問1・決議2の招集手続
| 番号 | 評価項目 | 重み | 出題の趣旨 | 採点実感 |
|---|---|---|---|---|
| 7 | 取締役会設置会社の書面通知で,議題である目的事項を通知する義務の条文連鎖を示す。 | 4 | PDF10頁・民事系第2問。株主総会の目的である事項。 | PDF8頁・民事系第2問。株主総会の目的である事項。 |
| 8 | 有利発行の議案概要の通知義務を施行規則63条7号ホまで示す。 | 4 | PDF10頁・民事系第2問。会社法施行規則第63条第7号ホ。 | PDF8頁・民事系第2問。会社法施行規則第63条第7号ホ。 |
| 9 | 目的事項・議案概要の通知欠落を831条1項1号の招集手続違反と評価する。 | 4 | PDF10頁・民事系第2問。株主総会の招集の手続の法令違反。 | PDF8頁・民事系第2問。株主総会の招集の手続の法令違反。 |
| 10 | 取締役会が議題を決定済みである本件に309条5項違反を認めない。 | 3 | 記載なし(本問の関連範囲を実読)。 | PDF8頁・民事系第2問。同法第309条第5項の違反はない。 |
| 11 | A・Bの全員出席を,招集手続の瑕疵の治癒を検討する発火事実として使う。 | 4 | PDF10頁・民事系第2問。全員出席総会による瑕疵の治癒。 | PDF8頁・民事系第2問。全員出席総会による瑕疵の治癒。 |
| 12 | 招集手続が出席・議事議決準備の機会を保障する趣旨を説明する。 | 4 | PDF10頁・民事系第2問。判例(最判昭和60年12月20日。 | PDF8頁・民事系第2問。準備の機会を与えることを目的。 |
| 13 | 全員が開催に同意して出席した総会の有効性を判例法理として示す。 | 4 | PDF10頁・民事系第2問。判例(最判昭和60年12月20日。 | PDF8頁・民事系第2問。株主全員がその開催に同意して出席。 |
| 14 | 治癒には瑕疵を認識した同意が必要かを理由とともに検討する。 | 4 | 記載なし(本問の関連範囲を実読)。 | PDF8頁・民事系第2問。株主が瑕疵を認識しつつ。 |
| 15 | 異議を述べず全員出席した事実から治癒を肯定する構成を説明する。 適用条件:治癒肯定を採る場合。主答案の対抗構成としても適用 | 4 | 記載なし(本問の関連範囲を実読)。 | PDF8頁・民事系第2問。株主全員(A及びB)が異議を述べず。 |
| 16 | 概要に有利発行の性質の表示まで必要とする立場から,Bの不知で治癒を否定する。 適用条件:この概要解釈を採る場合。主答案は治癒否定を採用 | 4 | 記載なし(本問の関連範囲を実読)。 | PDF8頁・民事系第2問。有利発行である旨が示されている必要がある。 |
| 17 | 概要は募集事項の表示で足りる立場から,Bの認識に基づき治癒を肯定する。 適用条件:この概要解釈を選択する場合のみ。主答案は不採用 | 4 | 記載なし(本問の関連範囲を実読)。 | PDF8頁・民事系第2問。払込金額等の募集事項が記。 |
| 18 | 全員出席総会の治癒を300条の招集省略そのものとして論じない。 | 3 | 記載なし(本問の関連範囲を実読)。 | PDF11頁・民事系第2問。会社法第300条の問題として論ずるもの。 |
3 設問1・決議2の説明と発行無効
| 番号 | 評価項目 | 重み | 出題の趣旨 | 採点実感 |
|---|---|---|---|---|
| 19 | 合理的評価額4万円に対する2万円の発行を有利発行と認める。 | 4 | PDF10頁・民事系第2問。引受人に特に有利な金額。 | PDF8頁・民事系第2問。有利発行に該当することは比較的明らか。 |
| 20 | 有利発行の該当性に紙幅を使いすぎず虚偽説明の法的評価を中心にする。 | 3 | 記載なし(本問の関連範囲を実読)。 | PDF9頁・民事系第2問。さほど厚く論ず。 |
| 21 | 199条3項の有利発行を必要とする理由の説明義務を示す。 | 4 | PDF10頁・民事系第2問。会社法第199条第3項。 | PDF8頁・民事系第2問。会社法第199条第3項。 |
| 22 | 199条3項を,株主が希薄化と資金需要を比較して判断する保障から論証する。 | 4 | PDF10頁・民事系第2問。取締役は株主総会の決議に際して。 | PDF11頁・民事系第2問。当該説明が要求される趣旨から論証。 |
| 23 | 2億円の調達が急務で他の方法がないという会社側の事情を評価する。 | 4 | PDF10頁・民事系第2問。2億円の資金調達が急務。 | PDF9頁・民事系第2問。2億円の資金調達が急務。 |
| 24 | 公正額2万円との虚偽とBの有利発行の不知を結び付けて評価する。 | 4 | PDF10頁・民事系第2問。公正な払込金額である旨の虚偽の説明。 | PDF9頁・民事系第2問。公正な払込金額である旨の虚偽の説明。 |
| 25 | 理由説明がされていないという立場では,認定の根拠を示して決議方法の法令違反とする。 適用条件:説明義務違反を採用する場合。主答案採用 | 4 | PDF10頁・民事系第2問。有利発行を必要とする理由を説明したものと評価。 | PDF9頁・民事系第2問。理由の説明(会社法第199条第3。 |
| 26 | 必要性の説明はあったと評価する構成を,会社の資金事情から理由付ける。 適用条件:説明義務充足を選択する場合のみ | 4 | 記載なし(本問の関連範囲を実読)。 | PDF9頁・民事系第2問。有利発行を必要とする理由を説明したと評価。 |
| 27 | 説明義務を満たすと仮定しても,重要事項の虚偽を決議方法の著しい不公正として検討する。 適用条件:説明義務充足という対抗構成への再反論として適用 | 4 | PDF10頁・民事系第2問。決議方法の著しい不公正。 | PDF9頁・民事系第2問。決議方法の著しい不公正。 |
| 28 | 虚偽説明を質問の有無が前提の314条の問題へ置換しない。 | 3 | 記載なし(本問の関連範囲を実読)。 | PDF11頁・民事系第2問。同法第314条の取締役の説明義務の問題。 |
| 29 | 発行無効原因を限定する法的安定性と,軽い取消事由との接続の問題を認識する。 | 4 | PDF10頁・民事系第2問。重大な法令違反。 | PDF10頁・民事系第2問。無効原因は,判例及び学説。 |
| 30 | 非公開会社の株主構成・持株比率維持という支配的利益の保護を根拠にする。 | 5 | PDF10頁・民事系第2問。持株比率の維持に係る既存株主の利益。 | PDF9頁・民事系第2問。持株比率の維持に係る既存株主の利益。 |
| 31 | 公開会社と非公開会社で発行手続と無効原因の扱いが異なる理由を示す。 | 4 | PDF10頁・民事系第2問。公開会社については。 | PDF11頁・民事系第2問。公開会社の場合と非公開会社の場合を区別。 |
| 32 | 特別決議欠缺の判例を,決議は存在するが取消事由のある本問へ理由を介して応用する。 | 4 | PDF10頁・民事系第2問。募集事項を決定する株主総会の決議を経てい。 | PDF9頁・民事系第2問。募集事項を決定する株主総会の決議の手続を経て。 |
| 33 | Bの形式的賛成と支配的利益を失うことへの真の同意を区別して本問を評価する。 | 4 | PDF10頁・民事系第2問。既存株主の意思に反してその支配的利益。 | PDF9頁・民事系第2問。真に同意しているとは評価。 |
| 34 | 取消事由が支配的利益へ影響しない場合は無効を否定する限定構成を理由付ける。 適用条件:限定構成により無効否定する答案の場合のみ | 4 | 記載なし(本問の関連範囲を実読)。 | PDF9頁・民事系第2問。支配的利益に影響を及ぼさないとき。 |
| 35 | 有利発行秘匿によりBの差止請求の機会が実質的に保障されなかったことを無効の補強にする。 適用条件:発行無効の補強ルートとして検討対象 | 3 | PDF10頁・民事系第2問。差し止める機会が実質的に与え。 | PDF10頁・民事系第2問。株式発行差止請求権を行使する機会。 |
| 36 | 非公開会社で募集事項公示が不要なのは総会手続を通じて知り得るためだという制度関係を示す。 | 3 | 記載なし(本問の関連範囲を実読)。 | PDF10頁・民事系第2問。募集事項の公示が要求されていない。 |
4 設問1・決議1の別ルート
| 番号 | 評価項目 | 重み | 出題の趣旨 | 採点実感 |
|---|---|---|---|---|
| 37 | 定款変更の目的事項通知欠落を決議1の招集手続違反とする。 | 4 | PDF10頁・民事系第2問。株主総会の目的である事項及び定款の変更。 | PDF10頁・民事系第2問。株主総会の目的である事項及び定款の変更。 |
| 38 | 定款変更議案の概要の通知欠落を,施行規則の要請と結び付ける。 | 4 | PDF10頁・民事系第2問。定款の変更に係る議案の概要。 | PDF10頁・民事系第2問。定款の変更に係る議案の概要。 |
| 39 | 決議1の治癒を決議2と区別し,Bが定款変更の通知欠落を知り同意したか判断する。 適用条件:決議1の瑕疵の治癒の判断に適用 | 4 | PDF11頁・民事系第2問。本件決議1に取消事由。 | PDF10頁・民事系第2問。本件決議1については瑕疵の認識がある。 |
| 40 | 決議1が治癒しない場合,定款にない種類の発行が無効原因となる理由を示す。 適用条件:決議1の取消事由を維持する枝にのみ適用 | 5 | PDF11頁・民事系第2問。定款の定めのない種類の株式の発行。 | PDF10頁・民事系第2問。定款の定めのない種類の株式の発行。 |
5 設問2⑴・不利益
| 番号 | 評価項目 | 重み | 出題の趣旨 | 採点実感 |
|---|---|---|---|---|
| 41 | Pの保有優先株式が5000株から2500株へ半減すると示す。 | 4 | PDF11頁・民事系第2問。株式の数が半減。 | PDF12頁・民事系第2問。株式の数が半減。 |
| 42 | 議決権割合が5000/90000から2500/85000へ低下すると算定する。 | 4 | PDF11頁・民事系第2問。議決権割合がどれほど縮減。 | PDF12頁・民事系第2問。具体的に算定。 |
| 43 | 優先配当総額が500万円から250万円へ半減すると説明する。 | 4 | PDF11頁・民事系第2問。優先配当額の総額も半減。 | PDF12頁・民事系第2問。優先配当額の総額も半減。 |
| 44 | 3%を要する少数株主権をP単独で行使できなくなると具体化する。 | 4 | PDF11頁・民事系第2問。一定の少数株主権。 | PDF12頁・民事系第2問。3%以上の議決権。 |
| 45 | 累積条項により未配当額を将来回収する利益にも影響し,不利益が大きいことを示す。 | 4 | PDF11頁・民事系第2問。累積条項。 | PDF12頁・民事系第2問。累積部分についても不利益。 |
| 46 | 参加的優先株式の残余配当への参加割合にも不利益が生じ得ると説明する。 | 3 | 記載なし(本問の関連範囲を実読)。 | PDF12頁・民事系第2問。累積的参加的優。 |
| 47 | Bが併合後に議決権3分の1超となりPが特別決議のキャスティングボートを失うことを示す。 | 3 | 記載なし(本問の関連範囲を実読)。 | PDF12頁・民事系第2問。キャスティングボート。 |
| 48 | 株数半減を議決権割合半減と取り違えない。 | 3 | 記載なし(本問の関連範囲を実読)。 | PDF12頁・民事系第2問。議決権割合は半分にはならない。 |
6 設問2⑵・買取請求
| 番号 | 評価項目 | 重み | 出題の趣旨 | 採点実感 |
|---|---|---|---|---|
| 49 | 116条による買取り・182条の3による差止め・決議取消しの三手段を区別する。 | 5 | PDF11頁・民事系第2問。反対株主の株式買取請求。 | PDF12頁・民事系第2問。本件株式併合について,差止請求。 |
| 50 | 322条2項の定款によって種類株主総会が省略されることを明示する。 | 4 | PDF11頁・民事系第2問。種類株主総会の決議を要しない旨。 | PDF12頁・民事系第2問。種類株主総会の決議を要しない旨。 |
| 51 | 省略定款がある種類株主の損害を116条1項3号イの買取りで調整する制度構造を示す。 | 4 | PDF11頁・民事系第2問。会社法第116条第1項第3号イ。 | PDF12頁・民事系第2問。同法第116条第1項第3号イ。 |
| 52 | 116条の損害を及ぼすおそれを設問2⑴の具体的不利益に当てはめる。 | 4 | PDF11頁・民事系第2問。本件優先株式の株主に損害を及ぼすおそれ。 | PDF12頁・民事系第2問。本件優先株式の株主に損害を及ぼすおそれ。 |
| 53 | Pの事前反対通知と総会反対から116条2項の反対株主性を認める。 | 4 | PDF11頁・民事系第2問。「反対株主」に該当。 | PDF12頁・民事系第2問。事前の反対通知と株主総会での反対。 |
| 54 | 端数が生じないため182条の4を使えないことと116条の利用可能性を別に判断する。 | 4 | 記載なし(本問の関連範囲を実読)。 | PDF13頁・民事系第2問。1株に満たない端数は生じない。 |
7 設問2⑵・差止めと取消し
| 番号 | 評価項目 | 重み | 出題の趣旨 | 採点実感 |
|---|---|---|---|---|
| 55 | 182条の3の法令・定款違反と不利益のおそれを別々の要件として示す。 | 4 | PDF11頁・民事系第2問。差止事由である法令違反。 | PDF13頁・民事系第2問。差止事由である法令違反。 |
| 56 | 差止めの不利益のおそれを配当・議決権・少数株主権の変化で具体的に認定する。 | 4 | PDF11頁・民事系第2問。設問2⑴の解答。 | PDF13頁・民事系第2問。設問2⑴の解答。 |
| 57 | 普通株主A・Bが他の株主と共通しない特別利益を得ることから特別利害関係人性を論ずる。 | 5 | PDF11頁・民事系第2問。他の株主と共通しない特別の利益。 | PDF13頁・民事系第2問。他の株主と共通しない特別の利益。 |
| 58 | 優先配当権の縮減という目的と普通株主・優先株主の利益を比較して著しい不当性を評価する。 | 5 | PDF11頁・民事系第2問。優先配当権を実質的に縮減することを目的。 | PDF13頁・民事系第2問。優先配当権を実質的に縮。 |
| 59 | 特別利害関係人の議決権行使による著しく不当な決議を831条1項3号の取消事由とする。 | 4 | PDF11頁・民事系第2問。会社法第831条第1項第3号。 | PDF13頁・民事系第2問。会社法第831条第1項第3号。 |
| 60 | 瑕疵のない決議を求める180条2項から取消事由を併合の法令違反へ架橋する。 適用条件:取消事由から直ちに差止めを導く構成に適用。完成版はこれを主位採用 | 5 | PDF11頁・民事系第2問。瑕疵のない株主総会の決議による決定を求める。 | PDF13頁・民事系第2問。瑕疵のない株主総会の決議による決定を求める。 |
| 61 | 優先配当権縮減目的の不当な併合を権利濫用の法令違反とする構成を示す。 適用条件:権利濫用構成を採用する場合のみ | 4 | PDF11頁・民事系第2問。権利濫用の法令違反。 | PDF13頁・民事系第2問。権利濫用の法令違反。 |
| 62 | 善管注意義務が差止規定の法令に含まれるという前提と,不当な利益移転回避義務を説明する。 適用条件:善管注意義務構成を採用する場合のみ | 4 | PDF11頁・民事系第2問。株主間の不当な利益移転。 | PDF13頁・民事系第2問。株主間の不当な利益移転。 |
| 63 | 実質的権利内容変更として322条1項1号・3項ただし書を類推する構成を示す。 適用条件:この類推構成を採用する場合のみ | 4 | 記載なし(本問の関連範囲を実読)。 | PDF13頁・民事系第2問。同法第322条第1項第1号及び第3項ただし書。 |
| 64 | 取消判決前には法令違反にならないという反対解釈を示し,主位構成との違いを明確にする。 適用条件:主答案の反論として適用。反対解釈自体も許容 | 4 | PDF11頁・民事系第2問。実際に本件決議3が取り消されない限り。 | PDF13頁・民事系第2問。実際に本件決議3が取り消されない限り。 |
| 65 | 効力発生前の決議取消訴訟は,発生後の併合無効主張の前提にもなると説明する。 | 4 | PDF12頁・民事系第2問。効力が発生した後。 | PDF13頁・民事系第2問。効力が発生した後。 |
| 66 | 株主平等原則を利用する場合は異なる種類株式への適用・類推の射程を論ずる。 適用条件:109条構成を採用する場合のみ | 3 | 記載なし(本問の関連範囲を実読)。 | PDF14頁・民事系第2問。本件にも(類推)適用されるかどうか。 |
| 67 | 定款による省略の利益と種類株主の不利益を買取請求も含め体系的に説明する。 | 4 | 記載なし(本問の関連範囲を実読)。 | PDF14頁・民事系第2問。どのように利害調整をしているか。 |
| 68 | Pの立場の主張と多数決濫用を検討せず救済を一律否定しない。 | 4 | 記載なし(本問の関連範囲を実読)。 | PDF14頁・民事系第2問。多数決の濫用等を考慮することなく。 |
8 答案全体
一般的な確認事項として,設問の立場・動詞・基準時を保ち,条文の要件・事実・効果を結び付け,法律構成と訴訟手段を区別する。これは独立の重み付き項目ではなく,68件の集計へ加えない。
9 重みの分布
| 重み | 項目数 | 加重値 |
|---|---|---|
| 1 | 0 | 0 |
| 2 | 0 | 0 |
| 3 | 11 | 33 |
| 4 | 51 | 204 |
| 5 | 6 | 30 |
| 合計 | 68 | 267 |
総項目数N=68,重み合計W=267である。重み5は68項目中6項目(約8.8%)である。加重値は重みと項目数の積であり,法務省の配点ではない。
「司法試験の過去問」カテゴリーの他記事と同じ5段階の基準により,各項目を個別に判断した。この分布は,同年度の主要7科目をまとめたハブ記事の商法欄と一致する。整合させるのは判断基準と集計方法であり,他科目・他年度の件数や割合に合わせた調整は行わない。許容分岐と負例を含む一覧の集計であり,一答案に全ての分岐を要求するものではなく,公式得点・難易度・合格可能性を表すものでもない。
主な評価項目は次のとおりである。条件付きの番号40・60は,その構成を採る場合の骨格であり,全ての許容答案へ同時に要求するものではない。
番号1:発行後の救済として828条1項2号の新株発行無効の訴えを挙げる。
番号4:決議2の取消事由を募集事項決定の瑕疵として発行無効原因へつなぐ主張を特定する。
番号5:決議1の取消事由から,定款の定めのない種類株式の発行となる別の無効原因を特定する。
番号11:A・Bの全員出席を,招集手続の瑕疵の治癒を検討する発火事実として使う。
番号21:199条3項の有利発行を必要とする理由の説明義務を示す。
番号24:公正額2万円との虚偽とBの有利発行の不知を結び付けて評価する。
番号30:非公開会社の株主構成・持株比率維持という支配的利益の保護を根拠にする。
番号32:特別決議欠缺の判例を,決議は存在するが取消事由のある本問へ理由を介して応用する。
番号40:決議1が治癒しない場合,定款にない種類の発行が無効原因となる理由を示す。(決議1の取消事由を維持する枝にのみ適用)
番号42:議決権割合が5000/90000から2500/85000へ低下すると算定する。
番号43:優先配当総額が500万円から250万円へ半減すると説明する。
番号49:116条による買取り・182条の3による差止め・決議取消しの三手段を区別する。
番号51:省略定款がある種類株主の損害を116条1項3号イの買取りで調整する制度構造を示す。
番号55:182条の3の法令・定款違反と不利益のおそれを別々の要件として示す。
番号57:普通株主A・Bが他の株主と共通しない特別利益を得ることから特別利害関係人性を論ずる。
番号58:優先配当権の縮減という目的と普通株主・優先株主の利益を比較して著しい不当性を評価する。
番号59:特別利害関係人の議決権行使による著しく不当な決議を831条1項3号の取消事由とする。
番号60:瑕疵のない決議を求める180条2項から取消事由を併合の法令違反へ架橋する。(取消事由から直ちに差止めを導く構成に適用。完成版はこれを主位採用)
重み5の項目は,番号30,番号40,番号49,番号57,番号58,番号60の6項目である。
各項目の具体的な適用条件は評価表に従い,不採用の別構成を累積要求しない。
第5 模範解答
1 答案の前提と表記
試験日である2020年8月13日当時の会社法と判例を基準とする。設問2の約2年後という仮想時系列も,後年法へ切り替えない。答案は「1→(1)→ア」の順で,採用構成・反論・効果まで示した。答案文字数は改行・空白を含め5,337字,空白を除いて5,259字である。
2 答案
1 設問1
(1)Bの提起すべき訴えと主張
甲社は公開会社でない株式会社である。本件株式発行の効力は令和2年4月10日に生じているから,Bは甲社を被告として新株発行無効の訴えを提起する(会社法828条1項2号・2項2号,834条2号)。Bは発行後も株主であり,非公開会社の出訴期間である効力発生日から1年は,5月14日には経過していない。甲社の本店所在地を管轄する地方裁判所に専属管轄がある(835条1項)。
無効原因として,①募集事項を決定した本件決議2の取消事由,②定款を変更した本件決議1の取消事由により,本件発行が定款に定めのない種類株式の発行となることを,区別して主張する。決議は現実に存在するので,招集手続・決議方法の瑕疵を決議不存在又は当然無効に置き換えることはできない。
決議取消しの出訴期間を潜脱することは許されないから,決議の取消事由を発行無効原因として主張するには,決議の日から3箇月以内に発行無効の訴えを提起することを要すると解する。3月25日から5月14日までは3箇月以内であり,この制限にも適合する。決議取消判決の確定を待ってから発行無効の訴えを起こす必要はなく,その手順では1年の期間を徒過する危険がある。必要なら決議取消しの訴えを併せて提起するが,主たる救済は発行無効である。
(2)本件決議2の取消事由
ア 招集手続の瑕疵
取締役会設置会社では書面による招集通知に,会議の目的事項を記載しなければならない(299条2項2号・4項,298条1項2号)。また,有利発行の募集に係る議案の概要も記載する必要がある(298条1項5号,会社法施行規則63条7号ホ)。議題である「新株式発行の件」と,株数・払込額等を内容とする議案の概要とは別の通知事項である。本件通知はいずれも欠くから,831条1項1号の招集手続の法令違反がある。なお,取締役会では議題が決定されているため,取締役会が決定した目的事項以外の決議を禁ずる309条5項への違反ではない。
もっとも,A・Bという株主全員が出席し,議案に賛成しているため,全員出席総会による瑕疵の治癒が問題となる。招集手続は全株主に開催及び議題を知らせ,出席と議事・議決の準備の機会を保障するためのものである。そのため,全員が開催に同意して出席し,総会の権限に属する事項を決議した場合には,招集手続の欠缺があっても決議は有効に成立する(最判昭和60年12月20日)。これは全員出席総会の判例法理であり,事前に招集手続を省略する300条の要件を直接当てはめる場面ではない。
全員が異議を述べず審議した以上,治癒を肯定する考え方もある。しかし,手続によって保障される準備機会を放棄したといえるには,瑕疵を認識して開催に同意することが必要であると解する。さらに,有利発行の議案概要には,公正額より低額で発行する性質が分かる内容を含むべきである。募集事項の数値だけでは,株主は議案が自らの財産的・支配的利益に与える影響を判断できないからである。
Bは当日に初めて議案を知り,2万円が専門機関の合理的評価額だという虚偽の説明を受けたため,本件が有利発行であることを知らなかった。したがって,有利発行の概要を事前に通知しなかった瑕疵を認識して,その保護を放棄したとはいえず,決議2の招集瑕疵は治癒しないと解する。
イ 有利発行における理由説明
中立的専門機関が合理的に算定した1株4万円から,払込期日までに価値の著しい変動はない。その半額の2万円は,引受人P・Qに特に有利な払込金額である。そこで取締役は,その金額で募集する必要性を株主総会で説明しなければならない(199条3項)。株主の質問を前提とする314条とは異なり,この義務は質問がなくても生じる。
Cは2億円の資金調達が急務であり,他の方法が事実上ないと説明した。この説明から募集の必要性は理解でき,低額発行をしなければP・Qが引き受けないという事情は会社にとって重要である。しかし,199条3項は,株主が有利発行による希薄化を認識し,会社の資金需要と自己の利益への影響を比較して賛否を決める機会を保障する。公正額4万円と払込額2万円の隔たりを隠し,2万円が公正額だと説明するだけでは,有利発行を必要とする理由を説明したとは評価できない。よって,決議2には決議方法の法令違反という取消事由がある(831条1項1号)。
仮に,資金需要及び他の調達方法の不存在を述べたことで199条3項の説明は果たしたと解しても,株主の議決権行使を左右する公正価値について虚偽を述べ,Bの賛成を得たことは,決議方法の著しい不公正に当たる。同号による取消事由は,この構成でも認められる。
Aの5万1000株は8万株の63.75%であり,Bの反対があれば,募集事項決定に必要な3分の2以上の賛成を得られない(199条2項,309条2項5号)。虚偽説明によりその判断を誤らせた瑕疵は重大で,決議への影響も否定できないから,法令違反について831条2項の裁量棄却は認められない。著しい不公正を理由とする場合も同項の対象ではない。
(3)本件決議2の瑕疵と発行無効
発行後の組織・取引の安定のため,新株発行の無効原因は限定される。公開会社では発行は原則として取締役会の資金調達行為に位置付けられ,有利発行に必要な特別決議の欠缺も当然には無効原因とならない。これに対し,非公開会社は株主構成・持株比率の維持という支配的利益を重視し,第三者割当てには原則として株主総会の特別決議が必要である。必要な特別決議を欠く発行は,この利益を侵害する重大な法令違反として無効原因になる(最判平成24年4月24日)。
本件では特別決議が現実にされており,決議欠缺の判例をそのまま適用できない。そこで,取消事由の内容がBの支配的利益への真の同意を害するかを検討する。Bは有利発行であることを知らず,公正額による発行と誤認して賛成した。公正額なら発行は5000株で足りるのに,本件では1万株を発行している。Bの割合は発行前の36.25%から約32.22%となり,特別決議の阻止にも関係する地位を失う。虚偽による賛成を,この希薄化への真の同意とは評価できない。したがって,決議が存在しても株主の意思に反して支配的利益を害した重大な瑕疵があり,無効原因を認めるべきである。
また,非公開会社では総会手続を通じて募集事項を知り得るため,原則として別の募集事項公示を要求していない。本件では有利発行が秘匿され,Bに差止請求の機会が実質的に保障されなかった。公示の欠缺による差止機会の喪失を重視する最判平成9年1月28日の趣旨も,無効を認める補強となる。単に取消事由があるから無効になるのではなく,この実質的侵害が理由である。
(4)本件決議1の別の無効原因
定款変更についても目的事項と議案概要の通知を要する(299条4項,298条1項2号・5号,施行規則63条7号チ)。本件通知はこれらを欠くため,招集手続違反がある。ただし,決議1の概要は優先株式の内容等を定款に定めるものであり,決議2の有利発行の説明とは区別しなければならない。
Bは当日,定款変更が事前通知されなかったことを知りながら議案の審議に応じ,賛成した。決議1については瑕疵を認識した開催同意を認め,治癒すると解する。決議2の虚偽が決議1への同意も害したとのBの反論も可能だが,本答案では両者の保護対象を区別する。この立場では②の無効原因は認められない。
反対に治癒を否定するなら,決議1の取消事由により,優先株式の内容を定める有効な定款の根拠がなくなる。種類株式の内容は定款で定めなければならず(108条2項),定款にない種類の株式を発行することは会社の株式制度の基礎に反するため,独立の無効原因となる。いずれにしても,本答案では①によってBの発行無効請求を認める。認容判決の確定により発行は将来に向かって効力を失い,その効力は第三者にも及ぶ(838条,839条)。
2 設問2⑴
(1)経済的な不利益
Pの優先株式は5000株から2500株になる。1株1000円の配当優先額が変わらないため,Pの優先配当総額は毎年度500万円から250万円へ半減する。しかも不足額が翌年度以降に累積するから,直ちに配当がない年度でも,その額を将来回収する利益が損なわれるおそれがあり,不利益は大きい。既に具体的な配当債権として成立したものが,併合だけで遡って減額されるとはいえない。
優先額を配当した後の残余にも株数に応じて参加するため,Pの参加割合は5000/90000から2500/85000へ低下する。会社全体の優先配当負担の減少によって残余自体が増える場合もあるので,残余配当額が必ず半減するのではないが,分配上の相対的地位は悪化する。
(2)共益権の不利益
優先株式にも全ての決議事項について議決権がある。併合後の総株式数は8万5000株だから,Pの議決権割合は約5.56%から約2.94%へ低下する。株数半減と割合半減は異なる。定款による要件緩和がなければ,Pは単独で3%を要する総会招集請求(297条),業務・財産状況の検査役選任申立て(358条),会計帳簿閲覧請求(433条)を行使できなくなる。
Bの割合は29000/85000で約34.12%となり,3分の1を超える。従前Aは特別決議を成立させるのにP又はQの賛成を得る方法があったが,併合後はBが反対すると,P・Qが賛成してもA側は3分の2に届かない。Pは特別決議についてのキャスティングボートも失う。
3 設問2⑵
(1)反対株主の株式買取請求
甲社の定款は322条2項により優先株式について種類株主総会の決議を不要とするため,同条3項本文により,併合について同条1項2号の決議は不要である。しかし,その省略による会社運営の利益と種類株主の不利益を調整するため,116条1項3号イは,省略定款のある種類株主に損害を及ぼすおそれがある併合について買取請求を認める。
Pには前記の配当・議決権の不利益があり,事前に反対通知をして総会でも反対したから,同条2項1号イの反対株主に当たる。よって,Pは効力発生日の20日前から前日までに株数を明らかにして,自己の優先株式を公正価格で買い取るよう請求できる(同条5項)。価格の協議が調わなければ117条2項に従い裁判所に価格決定を申し立てる。5000株が2500株となるので端数はなく,182条の4の買取りは使えないが,116条の請求は別に可能である。
(2)差止請求
Pは182条の3に基づき併合をやめるよう請求することも考えられる。要件は併合の法令・定款違反と不利益のおそれである。後者は前記のとおり満たす。種類を選んで併合できること(180条2項3号),及び省略定款があることから,種類株主総会の不存在だけで前者を肯定することはできない。
しかし,普通株主A・Bは,優先配当負担の減少により普通株主への分配を増やし,議決権割合も高めるという,優先株主と共通しない利益を得る。そのため決議3について特別の利害関係を有する。A・Bにも議決権はあるが,その行使によって著しく不当な決議がされた場合は取消事由となる(831条1項3号)。
甲社の資金繰り改善には必要性があるものの,本件は専ら優先配当権を実質的に縮減するため,優先株式だけを併合するものである。P・Qの反対を押し切って優先利益を半減させ,共益権まで弱める一方で,A・Bは株数を維持したまま利益を受ける。優先株主に負担を集中してその犠牲により普通株主の利益を増す決議は著しく不当であり,同号の取消事由が認められる。
確かに,取消判決が確定するまでは決議が有効であることから,現段階では併合の法令違反がないとの反論がある。しかし,180条2項が併合の基礎として要求するのは瑕疵のない総会決議であり,差止制度は実行前に違法な組織行為を防ぐものである。上記取消事由のある決議に基づく併合も同項に反すると解さなければ,取消判決を待つ間に事前救済が失われる。よって,本答案では取消原因を併合の180条2項違反へ結び付け,Pの差止請求を認める。
(3)決議取消しの訴え
Pは株主として甲社を被告に,決議3の日から3箇月以内にその取消しの訴えを提起できる。取消事由は前記の特別利害関係人の議決権行使による著しい不当性であり,831条2項の裁量棄却の対象ではない。A・Bの賛成8万株は全9万株の3分の2を超えるので,単なる特別決議の多数不足を理由とするものではない。
取消判決によって併合の基礎が失われれば,併合後にもその無効を主張する前提になるため,効力発生前から取消しを求める実益がある。ただし,提訴だけで併合が停止するわけではない。Pが株主地位を維持して併合を阻止したい場合は取消し・差止めを,公正価格で退出したい場合は買取請求を用いる。
以上
3 出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説
評価項目と答案の対応表
評価項目の番号と答案の参照箇所を示す。
各番号の重み・具体的な適用条件は評価表に従い,採用しない別構成を一律に要求しない。
| 番号 | 重み | 評価項目 | 答案の該当箇所・留保 |
|---|---|---|---|
| 1 | 4 | 発行後の救済として828条1項2号の新株発行無効の訴えを挙げる。 | 答案1(1) |
| 2 | 4 | 非公開会社の発行無効の出訴期間が効力発生日から1年であり5月14日に未経過と示す。 | 答案1(1) |
| 3 | 4 | 決議取消事由を発行無効原因として主張し,3箇月の出訴期間内に発行無効訴訟を提起すべきとする立場を採る場合は,その期間も未経過と示す。 | 答案1(1) |
| 4 | 4 | 決議2の取消事由を募集事項決定の瑕疵として発行無効原因へつなぐ主張を特定する。 | 答案1(1) |
| 5 | 4 | 決議1の取消事由から,定款の定めのない種類株式の発行となる別の無効原因を特定する。 | 答案1(1) |
| 7 | 4 | 取締役会設置会社の書面通知で,議題である目的事項を通知する義務の条文連鎖を示す。 | 答案1(2) |
| 8 | 4 | 有利発行の議案概要の通知義務を施行規則63条7号ホまで示す。 | 答案1(2) |
| 9 | 4 | 目的事項・議案概要の通知欠落を831条1項1号の招集手続違反と評価する。 | 答案1(2) |
| 11 | 4 | A・Bの全員出席を,招集手続の瑕疵の治癒を検討する発火事実として使う。 | 答案1(2) |
| 12 | 4 | 招集手続が出席・議事議決準備の機会を保障する趣旨を説明する。 | 答案1(2) |
| 13 | 4 | 全員が開催に同意して出席した総会の有効性を判例法理として示す。 | 答案1(2) |
| 15 | 4 | 異議を述べず全員出席した事実から治癒を肯定する構成を説明する。 適用条件:治癒肯定を採る場合。主答案の対抗構成としても適用 | 答案1(2)。治癒肯定の対抗構成。答案1(2)はこれに応答して治癒を否定する。 |
| 16 | 4 | 概要に有利発行の性質の表示まで必要とする立場から,Bの不知で治癒を否定する。 適用条件:この概要解釈を採る場合。主答案は治癒否定を採用 | 答案1(2)。条件・構成の選択は評価項目欄及び従来の解説による。別構成を累積要求しない。 |
| 17 | 4 | 概要は募集事項の表示で足りる立場から,Bの認識に基づき治癒を肯定する。 適用条件:この概要解釈を選択する場合のみ。主答案は不採用 | 第5の3(別構成の扱い)。答案1(2)。本答案が採用しない概要解釈。別構成として第5の3を参照する。 |
| 19 | 4 | 合理的評価額4万円に対する2万円の発行を有利発行と認める。 | 答案1(2) |
| 21 | 4 | 199条3項の有利発行を必要とする理由の説明義務を示す。 | 答案1(2) |
| 22 | 4 | 199条3項を,株主が希薄化と資金需要を比較して判断する保障から論証する。 | 答案1(2) |
| 23 | 4 | 2億円の調達が急務で他の方法がないという会社側の事情を評価する。 | 答案1(2) |
| 24 | 4 | 公正額2万円との虚偽とBの有利発行の不知を結び付けて評価する。 | 答案1(2) |
| 25 | 4 | 理由説明がされていないという立場では,認定の根拠を示して決議方法の法令違反とする。 適用条件:説明義務違反を採用する場合。主答案採用 | 答案1(2)。条件・構成の選択は評価項目欄及び従来の解説による。別構成を累積要求しない。 |
| 26 | 4 | 必要性の説明はあったと評価する構成を,会社の資金事情から理由付ける。 適用条件:説明義務充足を選択する場合のみ | 答案1(2)。説明義務充足の対抗構成。答案1(2)の仮定的検討を参照する。 |
| 27 | 4 | 説明義務を満たすと仮定しても,重要事項の虚偽を決議方法の著しい不公正として検討する。 適用条件:説明義務充足という対抗構成への再反論として適用 | 答案1(2)。条件・構成の選択は評価項目欄及び従来の解説による。別構成を累積要求しない。 |
| 29 | 4 | 発行無効原因を限定する法的安定性と,軽い取消事由との接続の問題を認識する。 | 答案1(3) |
| 30 | 5 | 非公開会社の株主構成・持株比率維持という支配的利益の保護を根拠にする。 | 答案1(3) |
| 31 | 4 | 公開会社と非公開会社で発行手続と無効原因の扱いが異なる理由を示す。 | 答案1(3) |
| 32 | 4 | 特別決議欠缺の判例を,決議は存在するが取消事由のある本問へ理由を介して応用する。 | 答案1(3) |
| 33 | 4 | Bの形式的賛成と支配的利益を失うことへの真の同意を区別して本問を評価する。 | 答案1(3) |
| 34 | 4 | 取消事由が支配的利益へ影響しない場合は無効を否定する限定構成を理由付ける。 適用条件:限定構成により無効否定する答案の場合のみ | 答案1(3)。無効否定の別構成。第5の3で扱い,本答案の結論へ累積しない。 |
| 35 | 3 | 有利発行秘匿によりBの差止請求の機会が実質的に保障されなかったことを無効の補強にする。 適用条件:発行無効の補強ルートとして検討対象 | 答案1(3)。条件・構成の選択は評価項目欄及び従来の解説による。別構成を累積要求しない。 |
| 37 | 4 | 定款変更の目的事項通知欠落を決議1の招集手続違反とする。 | 答案1(4) |
| 38 | 4 | 定款変更議案の概要の通知欠落を,施行規則の要請と結び付ける。 | 答案1(4) |
| 39 | 4 | 決議1の治癒を決議2と区別し,Bが定款変更の通知欠落を知り同意したか判断する。 適用条件:決議1の瑕疵の治癒の判断に適用 | 答案1(4)。条件・構成の選択は評価項目欄及び従来の解説による。別構成を累積要求しない。 |
| 40 | 5 | 決議1が治癒しない場合,定款にない種類の発行が無効原因となる理由を示す。 適用条件:決議1の取消事由を維持する枝にのみ適用 | 答案1(4)。決議1の治癒を否定する場合の別ルート。答案1(4)は反対構成として検討する。 |
| 41 | 4 | Pの保有優先株式が5000株から2500株へ半減すると示す。 | 答案2(1) |
| 42 | 4 | 議決権割合が5000/90000から2500/85000へ低下すると算定する。 | 答案2(2) |
| 43 | 4 | 優先配当総額が500万円から250万円へ半減すると説明する。 | 答案2(1) |
| 44 | 4 | 3%を要する少数株主権をP単独で行使できなくなると具体化する。 | 答案2(2) |
| 45 | 4 | 累積条項により未配当額を将来回収する利益にも影響し,不利益が大きいことを示す。 | 答案2(1) |
| 49 | 5 | 116条による買取り・182条の3による差止め・決議取消しの三手段を区別する。 | 答案3(1) |
| 50 | 4 | 322条2項の定款によって種類株主総会が省略されることを明示する。 | 答案3(1) |
| 51 | 4 | 省略定款がある種類株主の損害を116条1項3号イの買取りで調整する制度構造を示す。 | 答案3(1) |
| 52 | 4 | 116条の損害を及ぼすおそれを設問2⑴の具体的不利益に当てはめる。 | 答案3(1) |
| 53 | 4 | Pの事前反対通知と総会反対から116条2項の反対株主性を認める。 | 答案3(1) |
| 55 | 4 | 182条の3の法令・定款違反と不利益のおそれを別々の要件として示す。 | 答案3(2) |
| 56 | 4 | 差止めの不利益のおそれを配当・議決権・少数株主権の変化で具体的に認定する。 | 答案3(2) |
| 57 | 5 | 普通株主A・Bが他の株主と共通しない特別利益を得ることから特別利害関係人性を論ずる。 | 答案3(2) |
| 58 | 5 | 優先配当権の縮減という目的と普通株主・優先株主の利益を比較して著しい不当性を評価する。 | 答案3(2) |
| 59 | 4 | 特別利害関係人の議決権行使による著しく不当な決議を831条1項3号の取消事由とする。 | 答案3(2) |
| 60 | 5 | 瑕疵のない決議を求める180条2項から取消事由を併合の法令違反へ架橋する。 適用条件:取消事由から直ちに差止めを導く構成に適用。完成版はこれを主位採用 | 答案3(2)。条件・構成の選択は評価項目欄及び従来の解説による。別構成を累積要求しない。 |
| 61 | 4 | 優先配当権縮減目的の不当な併合を権利濫用の法令違反とする構成を示す。 適用条件:権利濫用構成を採用する場合のみ | 答案3(2)。権利濫用による別構成。第5の3で扱い,本答案は180条2項を主位とする。 |
| 62 | 4 | 善管注意義務が差止規定の法令に含まれるという前提と,不当な利益移転回避義務を説明する。 適用条件:善管注意義務構成を採用する場合のみ | 答案3(2)。善管注意義務による別構成。第5の3で扱い,本答案へ累積要求しない。 |
| 63 | 4 | 実質的権利内容変更として322条1項1号・3項ただし書を類推する構成を示す。 適用条件:この類推構成を採用する場合のみ | 答案3(2)。322条類推の別構成。第5の3で扱い,出題趣旨の必須事項へ格上げしない。 |
| 64 | 4 | 取消判決前には法令違反にならないという反対解釈を示し,主位構成との違いを明確にする。 適用条件:主答案の反論として適用。反対解釈自体も許容 | 答案3(2)。差止めを直ちに認めない対抗構成。答案3(2)はこれに応答する。 |
| 65 | 4 | 効力発生前の決議取消訴訟は,発生後の併合無効主張の前提にもなると説明する。 | 答案3(3) |
| 66 | 3 | 株主平等原則を利用する場合は異なる種類株式への適用・類推の射程を論ずる。 適用条件:109条構成を採用する場合のみ | 第5の3(採用しない構成の解説)。株主平等原則の別構成。第5の3を参照し,異なる種類への射程の説明を要する。 |
設問1の答案1(1)は番号1~6,1(2)は番号7~28,1(3)は番号29~36,1(4)は番号37~40に対応する。設問2⑴は番号41~48,設問2⑵の買取請求は番号49~54,差止め・取消しは番号55~68に対応する。採用しなかった許容枝を枠内答案への累積要求としない。
(1) 設問1の通知・説明・無効原因を分ける
番号8・38は議題だけでなく議案概要も通知する点である。取締役会で議題が決定されているため,通知欠落は299条等の違反であり,309条5項違反ではない(番号10)。全員出席総会は判例による治癒の問題で,300条の事前の招集省略と区別する(番号18)。瑕疵を認識した開催同意を要求するか,概要が有利発行の性質まで含むかにより,治癒を肯定する答案も可能である(番号14~17)。
完成答案は決議2の治癒を否定し,決議1の治癒は肯定する。決議1も治癒しないとするなら,定款にない種類株式の発行という別ルートを開く(番号40)。説明義務が履行されたとの構成も許容されるが,虚偽による決議方法の著しい不公正を別に検討できる(番号26・27)。発行無効原因を限定しつつ,既存株主の真の同意と支配的利益の侵害に即して判例を応用する。支配的利益に影響しないと評価して無効を否定する構成も,理由を備えれば許容される(番号34)。差止機会の喪失は独立の補強である(番号35・36)。
(2) 設問2の利益変化と救済
議決権の分母は9万株から8万5000株へ変わるので,Pの割合は半分ではない。3%の少数株主権の喪失,累積的・参加的配当の影響,Bの3分の1超によるキャスティングボートの喪失を区別する(番号42~48)。買取請求は端数のない場合も116条から認められる。省略定款は種類株主の救済を全て排除するものではない(番号50~54)。
差止めについては,本答案の180条2項への架橋のほか,優先配当権縮減目的の併合を権利濫用の法令違反とする構成(番号61),330条・民法644条の善管注意義務に株主間の不当な利益移転を避ける義務を含め,差止規定の「法令」に含める構成(番号62)も公式資料が挙げる。採点実感は,実質的に優先株式の権利内容変更の定款変更と同じであるとして,322条1項1号・3項ただし書を類推する構成も挙げる(番号63)。これは出題趣旨の必須事項へ格上げしない。
取消判決を得るまでは法令違反がないとして,直ちに差止めを認めない立場も許容される(番号64)。株主平等原則を用いるなら,内容の異なる種類株式の間にも109条1項が適用又は類推される理由を示す必要があり,単なる不公平という感想では足りない(番号66)。一答案で全構成を累積的に採用する必要はない。
(3) 答案の限界と扱わなかった事項
瑕疵認識を治癒の要件とする見解,及び取消原因を判決前の併合差止めに結び付ける見解は,本答案で採用した解釈である。公式資料は複数の構成を認めており,本稿の結論を唯一の公式解答とするものではない。大阪地判平成30年9月25日については判決原文の独立確認を終えていないため,本稿はそれを確認済みの判示として引用せず,瑕疵認識の必要性は制度趣旨から論証している。損害賠償は設問の除外指示に従い扱わない。
第6 関連記事
1 同じ年度の司法試験の別の模範解答
①令和2年司法試験公法系科目第1問の模範解答と評価項目。
②令和2年度司法試験公法系第2問の模範解答と評価項目。
③令和2年度司法試験民事系第1問の模範解答と評価項目。
④令和2年度司法試験民事系第3問の模範解答と評価項目。
⑤令和2年度司法試験刑事系第1問の模範解答と評価項目。
⑥令和2年司法試験刑事系第2問の模範解答と評価項目。
同年度の主要7科目の一覧と,科目別の評価項目数・重み5・5段階の分布は,令和2年司法試験論文式試験の主要7科目の模範解答と評価項目で確認できる。
令和2年司法試験知的財産法第1問の模範解答と評価項目:
https://yamanaka-bengoshi.jp/2026/10/18/r2-shihoushiken-chizai1-mohan-kaitou-hyouka-koumoku/
2 同じ科目の別の年度の記事
- ①令和7年度司法試験民事系第2問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した65項目と5段階の重み付け(AI作成)
- ②令和6年度司法試験民事系第2問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した64項目と5段階の重み付け(AI作成)
- ③令和5年司法試験民事系科目第2問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した43項目と5段階の重み付け(AI作成)
- ④令和4年度司法試験民事系第2問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した55項目と5段階の重み付け(AI作成)
- ⑤令和元年司法試験民事系第2問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した74項目と5段階の重み付け(AI作成)
3 本問の模範解答と関連する山中弁護士ブログの記事
①株式併合による少数株主の締出し―差止め・決議取消し・買取請求・価格決定。種類株式の不利益と救済手段を,本問との違いも意識して確認できる。
②株主総会の議題・議案の通知漏れ―取締役会決定と招集通知,全員出席総会を分けて確認する(AI作成)。本問で問題となる取締役会の議題決定と通知の区別,全員出席総会,有利発行の説明を,現行法による総会準備の確認手順として整理している。
第7 出典及び確認状態
1 公式資料
①令和2年司法試験論文式試験問題・民事系科目(PDF6~9頁が第2問)。
②令和2年司法試験論文式試験問題出題趣旨(PDF9頁の第2問から12頁の第3問直前)。
③令和2年司法試験の採点実感・民事系科目(PDF7~15頁が第2問)。
2 法令
①会社法・2020年4月1日施行版。3月の決議については2019年5月17日施行版も照合し,本稿で用いる本則の関連規定に差がないことを確認した。
②会社法施行規則・2018年3月26日施行版(第63条)。
3 裁判例
①最判昭和60年12月20日・全員出席総会(原文3頁全部)。
②最判平成24年4月24日・新株発行無効(法廷意見1~7頁を中心に全13頁確認。補足意見とは区別)。
③最判平成9年1月28日・公示欠缺と差止機会(原文2頁全部)。
4 確認状態
| 資料 | 状態 | 確認範囲・留保 |
|---|---|---|
| 問題 | 実読済み | 原記事の資料記録に基づく。今回,新たな公式資料の閲覧はしていない。 |
| 出題の趣旨 | 実読済み | 原記事の確認記録に基づく。対象の版・頁・関連範囲は原記事から保持した記録による。 |
| 採点実感 | 実読済み | 原記事の確認記録に基づく。関連範囲,資料間の相違と未確認部分の留保は原記事から保持した記録による。 |
Confirmed:問題文,当時の会社法及び施行規則,前記3判決の原文。Source statement:法務省の本問関連部分に記載された要求・評価・許容分岐。Inference:評価項目の原子化と重み,本答案の瑕疵認識・議案概要及び差止めの解釈。Unknown:採点実感が紹介する大阪地判平成30年9月25日の判決原文は独立に確認していない。公式資料の紹介を当該判決の原文確認と扱わない。この限界は治癒要件の判例帰属に関わるが,本答案は制度趣旨による自説として論証する。