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株式併合による少数株主の締出し―差止め・決議取消し・買取請求・価格決定(AI作成)

第1 株式併合による締出しの仕組み

株式併合は,複数の株式を一株にまとめる手続である。
併合割合を大きく設定し,少数株主の持株を一株未満の端数にすると,その株主は株主の地位を失い,端数処理による代金を受け取ることになる。
公開買付け後のスクイーズ・アウトや非公開会社の株主整理に用いられる。

特別支配株主の株式等売渡請求(会社法179条以下)とは別制度である。
株式併合では株主総会の特別決議が必要であり,少数株主の救済条文も182条の3~5を中心に確認する。

第2 会社が守るべき手続

会社は,併合割合,効力発生日,効力発生日における発行可能株式総数等を株主総会で定める(会社法180条2項)。
端数が生じる場合,取締役は株主総会で併合割合の相当性を判断するために必要な事項を説明しなければならない(同条4項)。
決議は309条2項4号の特別決議による。

会社は効力発生日の20日前までに株主へ通知又は公告をし(181条),効力発生日の20日前から6か月間,併合に関する事前開示書類を本店に備え置く(182条の2)。
端数株式は競売等により換価され,代金が持株数に応じて交付される(235条が234条を準用)。

第3 少数株主の四つの争い方

第1は差止請求である。
株式併合が法令又は定款に違反し,株主が不利益を受けるおそれがあるときは,効力発生前に差止めを請求できる(会社法182条の3)。
決議後に準備していては効力発生日に間に合わないため,招集通知受領時から違反内容と保全の必要性を検討する。

第2は株主総会決議取消し等の訴えである。
招集手続・決議方法の法令定款違反又は著しい不公正などがある場合,原則として決議の日から3か月以内に決議取消しを求める(831条)。
差止請求と決議取消しは,効力発生前後の関係も含めて並行して検討する。

第3は反対株主の株式買取請求である。
所定の反対通知及び株主総会での反対等の要件を満たす株主は,公正な価格での買取りを請求できる(182条の4)。
請求期間は効力発生日の20日前から前日までであり,通知・反対・請求の各段階を落とさない。

第4は価格決定の申立てである。
会社と株主の間で効力発生日から30日以内に価格の協議が調わないときは,その後30日以内に裁判所へ価格決定を申し立てることができる(182条の5第2項)。

第4 目的・手続・価格を分ける

締出し目的があること,手続が違法又は著しく不公正であること,交付価格が低いことは別の論点である。
少数株主を排除する目的だけから直ちに決議が無効になるとは限らない。
他方,形式上の各手続だけを切り離して適法性を判断できない場合もある。

会社側は,併合の事業上の目的,代替手段,併合割合の理由,価格算定資料,利害関係の処理及び情報提供の経過を記録する。
株主側は,手続違反,議決権行使を困難にした事情,目的の不当性,算定前提及び比較対象取引を分けて主張する。

第5 決議方法が著しく不公正とされた裁判例

東京地裁令和4年11月28日判決(令和2年(ワ)第18534号,判例秘書L07732771)は,代表取締役が,自己単独で特別決議を行えない定款を違法な定足数変更決議によって変更し,その取消訴訟の3か月の提訴期間経過後に株式併合決議を行った事案で,決議方法が著しく不公正であるとして併合決議を取り消した。

東京高裁令和5年9月28日判決(令和4年(ネ)第5998号等,判例秘書L07820568)は原判決を維持した。
各招集通知に議題を記載せず開催直前に発送して,他の株主の出席・議決権行使を事実上困難にしたこと,株主の地位を失わせる重大な結果を具体的に知らせなかったことなど,一連の事情を評価した。

この裁判例は,個々の手続が形式上適法かだけでなく,先行する定款変更から併合決議までの一連の方法を検討すべきことを示す。
他方,具体的な経緯を重視した事例判断であり,すべてのキャッシュアウト目的の株式併合を否定したものではない。

第6 出典・参考資料

会社法180条~182条の6,234条,235条,309条2項4号,831条(e-Gov法令検索)
②東京地裁令和4年11月28日判決(令和2年(ワ)第18534号,金融・商事判例1702号45頁,判例秘書L07732771。
裁判所ウェブサイト未掲載)
③東京高裁令和5年9月28日判決(令和4年(ネ)第5998号・令和5年(ネ)第887号,判例タイムズ1522号123頁・金融・商事判例1702号36頁,判例秘書L07820568。
裁判所ウェブサイト未掲載)