大阪家裁後見センターだより

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目次
1 大阪家裁後見センターだより
2 相続財産管理人選任申立ての手引
3 遺産管理人が選任される場合
4 成年後見人等の報酬額の目安
5 相続税に関する納税の猶予(参考)
6 関連記事その他

1 大阪家裁後見センターだより
(1) バックナンバーは新しい順に以下のとおりです。
第31回:後見人等の交代
第30回:総合支援型後見監督人の運用の在り方等
第29回:総合支援型後見監督人の運用の在り方等
第28回:総合支援型後見監督人の運用の在り方等
第27回:後見監督人の事務の留意点
第26回:初回財産目録等の作成・提出を求める趣旨,作成・提出する際の具体的な留意点
第25回:説明等報告書面の提出を求める背景や趣旨,後見センターの立場から提出が期待される書面の内容
第24回:未成年者について,未成年後見人選任を申し立てる場合,及び成年後見等開始を申し立てる場合
第23回:成年被後見人となるべき者による後見開始の申立て
第22回:本人死亡後の後見センターへの報告,及び居住用不動産処分許可申立ての留意事項
第21回:本人死亡後の監督に関する運用の概要,及び郵便物等の回送嘱託制度
第20回事件処理の在り方の見直し,後見等開始申立て及び後見人等の事務に関わる際のお願い(留意事項),並びに非開示希望の申出
第19回:火葬契約等の締結の許可及び預貯金の払戻しの許可,並びに収支予定表作成時の留意点
第18回:後見等開始に係る保全処分,後見センターの分室化
第17回:居住用不動産の処分についての許可の申立て
第16回:診断書の書式の改定等の経緯,診断書等に関連する後見等開始申立ての留意点
第15回:後見人等の辞任
第14回:定期報告の際の留意点・続き
第13回:定期報告の際の留意点
第12回:本人意思尊重義務,親族間紛争がある場合の意思決定支援
第11回:後見人等に求められる身上監護事務の内容及びその報告の在り方
第10回:任意後見と法定後見の関係
第 9回:任意後見監督人選任の申立てに関して,裁判官の立場から見た留意点
第 8回:本人死亡後相続人等への財産引継ぎまでの具体的な事務の流れ
第 7回:本人死亡後相続人等への財産引継ぎまでの監督(①後見人等による民法918条2項に基づく相続財産管理人選任の申立てに関する手続,及び②管理財産が少額の事案における後見事務終了までの流れ)
第 6回:本人死亡後の監督に関する運用の概要(①後見人等の管理計算報告・相続財産引継事務に関する原則,及び②管理計算報告・引継の流れ)
第 5回:変革期にある後見事件において,今後家庭裁判所が弁護士に期待すること,受理面接省略類型
第 4回:不正行為が疑われる事案において追加選任された専門職後見人の事務,専門職後見人の複数選任事案における留意点
第 3回円滑化法に基づく回送嘱託及び死後事務
第 2回
:自主報告方式における定期報告の監督,不正防止の観点から見た後見等監督人事務のあり方
第 1回:後見等監督についての基本的理念~本人意思の尊重と不正行為防止の両立のために~
(2) 大阪家裁後見センターだよりは,大阪弁護士会の広報誌である「月刊大阪弁護士会」2017年5月号から2,3ヶ月に一回ぐらいのペースで掲載されるようになりました。

2 相続財産管理人選任申立ての手引
・ 相続財産管理人選任申立ての手引(申立てを検討している人向けの説明文書)
・ 相続財産管理人選任申立ての手引(民法918条2項用)
・ 相続財産管理人選任申立ての手引(成年後見人・保佐人・補助人用)
・ 自治体向け財産管理人選任事件申立てQ&A(令和元年11月改訂の,大阪家庭裁判所家事第4部財産管理係書記官室の文書)


3 遺産管理人が選任される場合
(1) 遺産分割調停の申立てがされている場合において,以下のような事情がある場合,「財産の管理のため必要があるとき」に当たるということで,審判前の保全処分として,遺産管理人が選任されます(家事事件手続法105条1項及び200条1項)。
① 共同相続人が,何らかの事情で遺産の管理をすることができない場合
② 遺産を管理する共同相続人が,他の相続人の同意を得ずに遺産を費消,廃棄,毀損している場合
③ 遺産を管理している共同相続人が,地代,家賃等の賃料の取立てをしない場合
④ 遺産を管理している共同相続人が,家屋の修繕等をしない場合
⑤ 共同相続人の一人が,他の共同相続人を無視して管理している場合
→ 管理している相続人の管理が不適切であり,後日の遺産分割方法に影響を及ぼすためです。
⑥ 遺産を管理する共同相続人が,過去において,他の相続人の同意を得ずに遺産を費消していた場合
→ 過去において遺産を費消したことは,遺産の管理自体の不適切さを推認させる事情となるためです。
(2) 「第3版 家庭裁判所における遺産分割・遺留分の実務」201頁ないし214頁に,遺産管理人に関する詳しい説明があります。


4 成年後見人等の報酬額の目安
・ 大阪家裁HPに載ってある「成年後見人等の報酬額のめやす」(平成25年11月)には「2 基本報酬」以下の記載があります。
(1) 成年後見人
    成年後見人が,通常の後見事務を行った場合の報酬(これを「基本報酬」と呼びます。)のめやすとなる額は,月額2万円です。
    ただし,財産管理額(預貯金及び有価証券等の流動資産の合計額)が高価な場合には,財産管理事務が複雑,困難になる場合が多いので,管理財産額が1000万円を 超え5000万円以下の場合には基本報酬額を月額3万円~4万円,管理財産額が5 000万円を超える場合には月額5万円~6万円とします。
    なお,継続的な財産管理権が付与された保佐人,補助人も同様です。
(2) 成年後見監督人
    成年後見監督人が,通常の後見事務を行った場合の報酬(基本報酬)のめやすとなる額は,財産管理額が5000万円以下の場合には月額1万円~2万円,管理財産額が5000万円を超える場合には,月額2万5000円~3万円とします。
    なお,保佐監督人,補助監督人,任意後見監督人も同様です。
 
5 相続税に関する納税の猶予(参考)
(1) 被後見人について支払困難な相続税の未払金が存在するときに相続税の申告期限を過ぎている点で延納(相続税法38条)を利用できない場合(相続税法39条1項)であっても,国税通則法46条2項2号に基づき1年間の納税の猶予を申請できると思いますし,やむを得ない理由があるといえれば,更に1年間の納税の猶予を申請できると思います(国税通則法46条7項)。
(2) 納税の猶予が認められた場合,最大で2年間の分割納付となりますし(国税通則法46条4項・8項参照),担保を徴することにより被後見人の生活の維持に著しい支障を与えると認められる点で特別の事情がある(国税通則法46条5項ただし書,国税通則法基本通達46条関係14(3))といえれば,無担保で納税の猶予が認められると思います。

6 関連記事その他
(1)ア 大阪弁護士会総合法律相談センターHPに,ひまわり設立15周年記念誌(平成26年2月)が載っています。
イ 「ひまわり」というのは,平成10年5月に設立された,大阪弁護士会高齢者・障害者総合支援センターの愛称です。
(2) 初めて後見人となられた親族後見人の後見事務全般について,監督を行うほか,積極的・能動的に指導・助言・相談対応を行い,親族後見人を総合的に支援する後見監督人のことを,大阪家庭裁判所では「総合支援型後見監督人」と呼んでいます(大阪家裁HPの「総合支援型後見監督人の選任の運用開始について」(令和4年2月)参照)。
(3)ア 裁判所HPに「「意思決定支援を踏まえた後見事務のガイドライン」について(意思決定支援ワーキング・グループ)」が載っています。
イ 厚生労働省HPに「身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン及び事例集」が載っています。
ウ 川上司法書士事務所HPに「成年後見人の本人死亡後における死後事務について」が載っています。
(4) 時効の期間の満了前6箇月以内の間に精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者に法定代理人がない場合において,少なくとも,時効の期間の満了前の申立てに基づき後見開始の審判がされたときは,民法158条1項の類推適用により,法定代理人が就職した時から6箇月を経過するまでの間は,その者に対して,時効は,完成しません(最高裁平成26年3月14日判決)。
(5)ア 以下の資料を掲載しています。
・ 成年後見人等の選任及び報酬付与の在り方に関する文書(平成31年1月24日付の最高裁判所家庭局第二課長の書簡)
・ 後見等開始申立書等に関する統一書式等の電子データの送付について(令和元年5月31日付の最高裁判所家庭局第二課長の事務連絡)
・ 未成年後見人選任申立書等及び任意後見監督人選任申立書等に関する統一書式等の電子データの送付について(令和2年6月29日付の最高裁判所家庭局第二課長の事務連絡)
イ 以下の記事も参照してください。
・ 裁判所関係国賠事件
・ 後見人等不正事例についての実情調査結果(平成23年分以降)
・ 平成17年以降の,成年後見関係事件の概況(家裁管内別件数)

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