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mintsの制度と基本操作は全国共通である。
しかし,各裁判所又は専門部が,事件類型に応じた個別の運用案内を公表し,又は当事者に個別の指示をすることがある。
そのため,申立て前には,裁判所ウェブサイトの共通資料だけでなく,提出先又は係属裁判所のウェブサイトと,事件係属部からの指示も確認する必要がある。
本記事では,個別の運用案内をどこで探すか,複数の案内が食い違って見えるときに何を照合するか,そして案内の優先関係が分からないときにどうするかを説明する。
第1 案内を読むときに照合する六つの点
個別の案内を読むときは,次の六つを照合する。
①対象裁判所・担当部
②事件類型
③新法事件か旧法事件かの区分
④正式提出か補助データの提供か
⑤法律上の義務か裁判所の協力依頼か
⑥資料の改訂時点
これらが一致しない案内を,そのまま自分の事件へ当てはめない。
第2 性質の異なる三つの資料の例
同じ「mintsの案内」に見えても,性質が異なる。
| 資料・時点 | 対象と内容 | 読み分ける点 |
|---|---|---|
| 民事訴訟法132条の11(現行法) | 同条所定の訴訟代理人等による電子申立て義務と,電子提出できない場合の例外を定める | 法律上の義務であり,裁判所の協力依頼とは性質が異なる。対象者・対象事件と法定の例外を確認する |
| 大阪地方裁判所知的財産権部「編集可能な電子データ等の提供のお願い」(令和8年6月改訂) | 第21・26民事部への提出書類について,Word・Excel等の提供を求め,mints利用時は「記録外」へのアップロードを案内する | 正式な書面提出に加えるデータ提供の依頼である。全国一律のWord提出義務や,正式提出の代替と扱わない |
| 知的財産高等裁判所「民事裁判書類電子提出システム(mints)の利用について」 | 新旧法別の利用条件や,閲覧等制限を訴え提起時・係属中の初回・2回目以降に申し立てる場合の提出先等を案内する | 当該裁判所の対象事件と申立ての段階を照合する。異なる段階の提出方法をそのまま当てはめない |
第3 優先関係を掲載場所や日付だけで決めない
資料の掲載場所,詳しさ又は日付だけで優先関係を決めてはならない。
同じ事件区分・手続段階についての説明かどうかを確認する。
法令と個別案内の関係や,複数の案内の適用関係が不明なときは,資料名と該当箇所を示して担当書記官に確認する。
「詳しく書いてある方が新しい」「後に出た資料が優先する」という読み方は誤りを招く。
法律上の義務は個別案内で緩められず,反対に,個別案内の協力依頼を法律上の義務と読み替えることもできない。
第4 個別案内が出やすい場面
次の場面では,全国共通の資料だけで判断せず,係属裁判所の案内を確認する。
①知的財産権部その他の専門部に係属する事件。
②閲覧等制限・当事者間秘匿を伴う事件(提出先の事件情報が分かれることがある)。
③旧法事件でmintsを利用する場合(双方に代理人があり双方が利用を希望する等の条件がある)。
④控訴事件・抗告事件(原審事件の申立日を基準とする取扱いが案内されることがある)。
⑤編集可能データ(Word・Excel)の提供を求められる事件。
⑥音声・動画を提出する事件(反訳書の要否が案内されることがある)。
第5 確認の手順
①提出先又は係属裁判所のウェブサイトで,mintsに関する案内の有無を確認する。
②案内があれば,第1の六点を照合し,自分の事件が対象かどうかを判定する。
③複数の案内が食い違って見えるときは,どちらが法令に基づく義務でどちらが協力依頼かを区別する。
④判断がつかないときは,資料名と該当箇所を特定した上で担当書記官へ確認する。
⑤確認した資料名,改訂時点及び確認日を事件記録へ残す。
正式PDFと記録外データの扱いはmintsで準備書面を提出する方法で,閲覧等制限の提出手順はmintsで閲覧等制限を申し立てる方法で説明している。
担当書記官への電話を優先する場面と技術窓口との使い分けは,mints利用事件で書記官に電話連絡すべきケースで説明している。
第6 関連記事
①mintsに関する弁護士向けQ&A
②mintsを利用できる裁判所と対象事件
③mintsの新法事件と旧法事件の見分け方
④mintsで閲覧等制限を申し立てる方法
⑤mints利用事件で書記官に電話連絡すべきケース
出典・参考資料
①民事訴訟法(平成8年法律第109号)132条の11
②裁判所「改正民訴法等に関する参考資料」
③大阪地方裁判所知的財産権部「編集可能な電子データ等の提供のお願い」
④知的財産高等裁判所「民事裁判書類電子提出システム(mints)の利用について」
⑤裁判所「民事裁判手続のデジタル化に関する準備の手引」