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mintsを利用できる裁判所と対象事件―旧法事件,少額訴訟,支払督促及び対象外手続(AI作成)

第1 この記事が扱う対象

1 結論

mints(民事裁判書類電子提出システム)は,令和8年5月21日以後に訴えが提起された民事訴訟事件について,事件の種類を問わず利用できる。したがって,簡易裁判所の少額訴訟を含む一方,同日前に提起された事件には旧制度の条件が残り,民事執行,倒産,労働審判,人事訴訟及び家事事件は同日のオンライン化の対象外である。

利用できるかを判断するときは,①手続の種類,②最初の申立日,③控訴又は抗告では原審事件の申立日,④旧法事件では双方の代理人選任及び利用希望の有無,の順に確認する必要がある。裁判所名だけで判定すると,新法事件と旧法事件又は民事訴訟と他の手続を取り違える。

2 管轄裁判所とmintsの対象は別問題である

mintsを利用できることは,どの裁判所に申し立てるかを変更しない。第一審が簡易裁判所か地方裁判所か,どの地域の裁判所が管轄するかは,裁判所法,民事訴訟法その他の管轄規定によって決まり,その裁判所に対する提出方法としてmintsを選択することになる。

裁判所の民事事件Q&Aは,令和8年5月21日以後に提起された民事訴訟事件では事件の種類を問わず利用できると説明している。全面施行後は,一部の指定裁判所だけに限定された試行システムとして理解すべきではない。

申立先は,次の順序で確認する。

① 事件の種類と訴額を確認する。通常の民事訴訟では,訴額140万円を超えない請求は原則として簡易裁判所の第一審の裁判権に属するが,行政事件訴訟に係る請求は除かれる。不動産に関する訴訟では,140万円以下の場合も地方裁判所に第一審の裁判権があるため,金額だけで提出先を決めない(裁判所法24条1号・33条1項1号)。訴額は訴えで主張する利益により算定し,請求を併合する場合は合算の要否も確認する(民事訴訟法8条・9条)。

② 土地管轄,管轄合意及び専属管轄を確認する。被告個人の住所,法人の主たる事務所等による普通裁判籍に加え,義務履行地,不法行為地等の管轄原因を確認する。契約に管轄条項がある場合は,対象となる法律関係,指定された裁判所及び書面・電磁的記録による合意の有無を確認し,法令による専属管轄の定めも照合する(同法4条・5条・11条・13条)。

③ 本庁・支部及び事件別の取扱いを確認する。裁判所の大阪府内の管轄区域表は,事件の種類によって表と提出先が異なる場合があること,行政事件は本庁のみで取り扱うことを案内している。住所に対応する行だけでなく,表の冒頭の注意書きと,提出予定庁の事件別案内まで確認する。

④ 以上により特定した提出先と,mintsに入力した裁判所名及び申立種別を照合する。新規申立ての入力・添付・提出後の確認は,mintsで訴訟を提起する方法を参照されたい。控訴等では書面を受け付ける裁判所と審理する裁判所が異なるため,控訴・上告・上告受理申立ての提出先を別に確認する。

第2 令和8年5月21日以後の民事訴訟

1 簡易裁判所から上級審まで利用できる

新法が適用される民事訴訟では,簡易裁判所,地方裁判所,高等裁判所及び最高裁判所に対する法令上の書面による申立て等を,民事訴訟法第132条の10に基づいて電子提出できる。電子申立ては,申立事項が裁判所のファイルに記録された時に到達したものとみなされるため,単に送信操作を開始した時又はファイルを選択した時では足りない。

ただし,特定の裁判所への提出先を誤ってもmintsが管轄を補正するわけではない。新規申立てでは提出先,事件種別及び手数料を確認し,係属後の提出では事件一覧から該当事件を選ぶ必要がある。

2 通常訴訟と少額訴訟

簡易裁判所の少額訴訟で扱う60万円以下の金銭請求も対象である。mints操作マニュアル2.3版は,新規申立画面で提出先種別を簡易裁判所,事件種別を少額として,少額訴訟の回数を入力する操作を説明している。

少額訴訟は原則として1回の期日で審理を終える手続であり,同じ簡易裁判所で同一年に利用できる回数にも制限がある。mintsを利用できることによって,少額訴訟の要件又は審理方法が変わるものではない。

3 控訴事件及び抗告事件

控訴事件又は抗告事件について新旧法を分ける基準は,上級審への申立日だけではなく,原審事件の申立日である。知的財産高等裁判所のmints利用案内も,令和8年5月20日までに申立てがされた事件と同月21日以後に申立てがされた事件を分ける際,控訴事件及び抗告事件は原審事件の申立日を基準とすると明記している。

したがって,令和8年5月21日以後に控訴したという事実だけから,新法事件であると判断することはできない。第一審の事件記録又は裁判所の案内で,最初の申立日を確認する必要がある。
控訴,上告及び上告受理申立てを実際に行う場合の提出先,不変期間,理由書の期限及び手数料は,mintsで控訴・上告・上告受理申立てをする方法―提出先,不変期間,手数料及び旧法事件の区分(AI作成)で整理している。

4 mintsで申し立てる民事雑事件

最高裁判所事務総局民事局の「民事訴訟フェーズ3に向けた準備の手引」45頁は,令和8年5月21日から全面デジタル化された民事雑事件の主要例として,移送,除斥又は忌避,訴訟救助,閲覧等制限・秘匿,文書提出命令及び証拠保全の各申立てを挙げている。
これらはmintsを利用する対象となるが,提出入口は一律ではない。

手続裁判所資料で確認できる提出場所補足
移送の申立て係属事件の記録一覧のアップロード画面で,ファイル種別を「関連事件の申立て」とする基本事件から提出する。
除斥又は忌避の申立て同手引45頁は対象事件であることを示すが,同40頁~41頁の対応表には個別の提出場所の記載がない申立先及び提出入口を担当書記官に確認する。
訴訟救助の申立て訴え提起と同時の場合は新規申立てフォームの「添付書類」,係属後は記録一覧の「関連事件の申立て」申立時期によって入口が異なる。
閲覧等制限・当事者間秘匿の申立て訴訟係属中は記録一覧の「関連事件の申立て」mintsで閲覧等制限を申し立てる方法も参照されたい。
文書提出命令の申立て係属事件の記録一覧の「関連事件の申立て」基本事件から提出する。
証拠保全の申立て訴え提起前の証拠保全は,新規申立てフォームで申立種別を「その他」とする同手引41頁が明示する訴え提起前の申立てについての取扱いである。

同手引40頁~41頁は,提出場所又は申立種別を誤っただけで直ちに申立てが不適法になるものではないとしつつ,裁判所の確認に時間を要して速やかな対応ができないことがあると説明している。
期限のある申立てでは,手数料の有無だけで新規申立てと関連事件の申立てを分けず,同手引の対応表及び担当書記官の案内を確認すべきである。

同手引45頁の「証拠保全の申立て」は,同頁が民事雑事件として挙げる手続である。
これに対し,仮差押え又は仮処分等の民事保全事件は,同頁において遅くとも令和10年6月から全面デジタル化される別の手続として整理されているため,両者を混同してはならない。

5 当事者の変動及び第三者の関与に関する申立て

当事者が交代し,又は第三者が訴訟に関与する場面の申立ても,提出入口が一律ではない。
参加の形態によって,新規申立てフォームから出すものと,係属事件の記録一覧から出すものとに分かれる。

手続裁判所資料で確認できる提出場所補足
独立当事者参加の申立て新規申立てフォーム 申立種別:訴えの提起同手引40頁。訴えの提起と同じ入口である。
補助参加の申立て新規申立てフォーム 申立種別:その他同手引41頁。係属事件からは提出しない。
訴訟告知書記録一覧のアップロード画面 ファイル種別:主張同手引41頁。基本事件から提出する。
受継申立て記録一覧のアップロード画面 ファイル種別:主張同手引41頁。基本事件から提出する。

訴訟告知は,その理由及び訴訟の程度を記載した書面を裁判所に提出してしなければならない(民事訴訟法53条3項)。
補助参加は,訴訟の結果について利害関係を有する第三者がするものである(同法42条)。
受継は同法124条1項の中断事由がある場合の手続であるが,同条2項により訴訟代理人がある間は訴訟手続が中断しないため,代理人が選任されている事件では,当事者の死亡等があっても直ちに受継申立てを要するわけではない。

これらの申立てについて,裁判所の公表資料で確認できるのは提出場所までである。
補助参加人又は承継人のmintsアカウントを事件情報へどのように関連付けるかは,同手引及びmints操作マニュアルでは確認できないため,担当書記官に確認する。

第3 令和8年5月20日以前の旧法事件

1 経過措置による利用条件

旧法事件については,全面施行前のmints規則及び細則が廃止された後も経過措置がある。裁判所の民事裁判手続のデジタル化ページによれば,令和8年5月20日以前に訴えの提起等がされ,①当事者双方に委任を受けた訴訟代理人があり,②双方がmintsの利用を希望するなど従前の条件を満たす事件では,旧規則に基づく電子提出を継続できる。

反対に,本人がmintsのアカウントを取得しているだけでは旧法事件を利用対象にできない。また,双方に代理人がいても一方が利用を希望しない場合は,旧法事件についてmintsで提出できない。

2 旧法事件と新法事件を同じ事務所で扱う場合

同じ利用者の事件一覧に新法事件と経過措置による旧法事件が並ぶことがあるが,提出,直送,受領書及び送達の扱いは同一ではない。事件番号だけでなく,原審の申立日と裁判所から示された運用を確認し,旧法事件の書面を新法事件と同じ取扱いで提出しないことが必要である。施行日,義務者及び紙提出の例外は,mintsの義務化はいつからかを参照されたい。

旧法事件に対する反訴及び訴えの変更の提出方法は,mintsで反訴・訴えの変更をする方法で,新法事件の提出先・追加手数料と分けて説明している。

第4 支払督促で利用できる三つの経路

1 mints,督促手続オンラインシステム及び紙

支払督促は通常の民事訴訟とは別の督促手続であるが,令和8年5月21日以後は,裁判所の支払督促案内が示すとおり,①mints,②督促手続オンラインシステム,③書面,のいずれかで申し立てることができる。従来の専用オンラインシステムがmintsへ一本化されたわけではない。

督促手続オンラインシステムは利用できる請求類型に制限があるため,どちらのオンライン経路を使うかは,同システムの公式案内で対象類型,電子署名その他の要件を確認して決める必要がある。

支払督促の申立方法の選択,申立先,申立てに必要な情報及び書類,費用,督促異議並びに仮執行宣言については,mintsによる支払督促で詳しく説明している。

2 督促異議

令和8年5月21日以後に申し立てられた支払督促については,債務者もmintsで督促異議申立書を提出できる。もっとも,支払督促又は仮執行宣言付支払督促に対する異議期間は,オンライン提出を選択しても延長されないため,送達された書面に記載された期限と提出先を優先して確認すべきである。

第5 同日のmints対象外である手続

1 対象外手続の一覧

裁判所の制度概要は,令和8年5月21日に施行された民事訴訟のオンライン化の対象外として,民事執行,倒産,労働審判等の非訟手続,人事訴訟及び家事事件を挙げている。これらは令和10年6月までにオンライン申立て等の対象となる予定であり,民事訴訟と施行時期が異なる。

労働審判手続を構成する労働審判員の任命,事件指定,議決権,除斥及び守秘義務については,「労働審判員の任命,役割,権限及び裁判例(AI作成)」で整理している。

手続令和8年5月21日時点のmints利用補足
新法適用の民事訴訟利用できる事件種類を問わない
旧法適用の民事訴訟条件付き双方代理人及び双方の利用希望等が必要
少額訴訟利用できる簡易裁判所の事件種別として申立てる
支払督促利用できる専用オンラインシステム及び紙も併存する
民事執行・倒産・労働審判同日の対象外令和10年6月までにオンライン化予定
執行文付与の申立て債務名義がデータの事件は電子申立てが義務特例執行文付与申立事件として令和8年5月21日から義務化されている
人事訴訟・家事事件同日の対象外民事訴訟と別の施行段階である

2 電子化された債務名義との区別

新法事件の判決書等は電子的に作成され,その後の強制執行で電子化された債務名義を利用する仕組みも始まっている。しかし,電子判決書を利用できることと,民事執行の申立て自体がmintsの対象であることは別である。

もっとも,執行文付与の申立ては例外である。債務名義に係る電磁的記録が裁判所のファイルに記録されている執行文付与申立事件(特例執行文付与申立事件)については,令和8年5月21日から訴訟代理人等に電子申立ての義務があり,mintsで申し立てる(令和5年整備法による改正後の民事執行法附則5条~7条)。
大阪地方裁判所が作成した操作説明資料③21頁も,改正民訴法の施行後は,債務名義がデータである事件の執行文付与申立てについて訴訟代理人の電子申立てが義務であるのに対し,強制執行の申立て自体は改正民事執行法の施行までは書面によることを図で示している。
したがって,「民事執行は対象外である」という整理を,執行文付与の申立てにまで及ぼしてはならない。判決後の手続については,電子化された債務名義と強制執行で整理している。

第6 公式入口と問い合わせ先

1 公式ページを経由する

mintsの公式入口は,裁判所のmints案内及びmints公式サイトである。裁判所はなりすましサイトに注意を促し,裁判所ウェブサイトの正しいURLが`https://www.courts.go.jp/`から始まることを明示しているため,検索広告又は類似するドメインから本人情報を入力しない方が安全である。

なお,mintsの利用には利用規約への同意が前提となる。利用規約の主要な条項(禁止事項,アカウント管理義務,免責条項等)はmints利用規約を読む|禁止事項・アカウント管理・免責条項で扱った。

2 登録と係属事件の問い合わせ先を分ける

アカウントの新規登録は最寄りの地方裁判所又は簡易裁判所に届け出ることができる。他方,既に係属している事件の招待キー,事件との関連付け,提出期限又は利用できないキーについては,通知書又はメールに記載された係属裁判所の担当部・係へ問い合わせるのが適切である。利用者区分ごとの登録手順は,mintsの登録方法を参照されたい。制度全体と電子提出の実務は,mintsの実務解説Q&Aも参照されたい。

TreeeSの先行導入地域,全庁導入の目標時期及びmintsとの切替えは,TreeeS(ツリーズ)とは―mintsとの違い,導入時期,アカウント及び法律事務所の準備(AI作成)を参照されたい。
旧法事件を含む期日請書の提出場所,ファイル区分,押印及び提出期限は,mintsで期日請書を提出する方法で説明している。

みなし提起,先行手続,併合を含む新旧法の判定基準は,mintsの新法事件と旧法事件の見分け方で詳しく説明している。

裁判所ごとに異なる運用案内の調べ方は裁判所ごとに異なるmintsの運用案内の調べ方,支払督促の督促異議と仮執行宣言の期間は支払督促の督促異議と仮執行宣言で,それぞれ説明している。

出典・参考資料

1 法令・規則

民事訴訟法(平成8年法律第109号)第4条・第5条・第8条・第9条・第11条・第13条,第42条・第53条,第109条の2ないし第109条の4,第124条,第132条の10ないし第132条の13(e-Gov法令検索)

民事訴訟規則第52条の9ないし第52条の17(最高裁判所)

裁判所法(昭和22年法律第59号)第24条第1号・第33条第1項第1号(e-Gov法令検索)

2 裁判所資料

①最高裁判所「民事裁判手続のデジタル化

②最高裁判所「裁判手続 民事事件Q&A

③最高裁判所事務総局民事局「民事訴訟フェーズ3に向けた準備の手引(令和8年6月19日版)」40頁~42頁及び45頁

④知的財産高等裁判所「民事裁判書類電子提出システム(mints)の利用について

⑤裁判所「支払督促」及び「督促手続オンラインシステム

⑥最高裁判所「mints操作マニュアル~当事者ユーザ編~2.3版」(令和8年7月15日改訂)39頁・84頁~85頁

⑦裁判所「大阪府内の管轄区域表」(管轄区域及び事件別取扱いの案内。市町村名等の表示は平成30年9月1日現在。令和8年8月31日確認)

⑧大阪地方裁判所「改修後mints操作説明資料③(準備書面等のアップロード~電子執行文付与)」(令和8年3月18日時点。情報公開請求により取得した文書)21頁