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支払督促の督促異議と仮執行宣言―期間,効果及び通常訴訟への移行(AI作成)

目次

支払督促は,裁判所書記官が債務者を審尋せずに発する。
そのため,債務者が争う手段として督促異議が,債権者が執行力を得る手段として仮執行宣言が,それぞれ用意されている。

督促異議は,仮執行宣言の前と後の二段階で申し立てることができ,いずれも2週間が基準となる。
仮執行宣言の申立てには,これとは別に「30日以内」という期間がある。

本記事では,支払督促の発付から確定までの各段階について,誰がいつ何をするのか,期間を過ぎるとどうなるのかを説明する。

第1 発付から確定までの流れ

段階主体期間
支払督促の発付・送達裁判所書記官
却下処分への異議債権者告知を受けた日から1週間(不変期間)
仮執行宣言前の督促異議債務者送達を受けた日から2週間以内
仮執行宣言の申立て債権者申し立てることができる時から30日以内
仮執行宣言後の督促異議債務者送達を受けた日から2週間(不変期間)
確定異議がなく,又は異議却下決定が確定したとき

第2 裁判所書記官の審査と却下処分

裁判所書記官は,支払督促の要件,管轄及び申立内容を審査し,債務者を審尋せずに支払督促を発する。
発付後,債権者には発付通知がされ,債務者には支払督促が送達される。

裁判所書記官は,申立てが支払督促の要件又は管轄に違反するとき,あるいは申立ての趣旨から請求に理由がないことが明らかなときは,申立ての全部又は一部を却下する。
却下処分に対する異議は,告知を受けた日から1週間の不変期間内に申し立てる必要がある(民事訴訟法385条)。

第3 仮執行宣言前の督促異議

1 申立先と期間

債務者は,仮執行宣言前であれば,支払督促を発した裁判所書記官が所属する簡易裁判所へ督促異議を申し立てることができる(民事訴訟法386条2項及び390条)。

支払督促には,送達を受けた日から2週間以内に督促異議を申し立てないときは債権者の申立てにより仮執行宣言をする旨が記録される。
裁判所も2週間以内の提出を案内しているため,異議を申し立てる場合はこの期間内に行う。

令和8年5月21日以後に申し立てられた支払督促については,郵送又は持参のほか,mintsによるオンライン提出も案内されている。

2 通常訴訟への移行

仮執行宣言前に適法な督促異議があると,支払督促は異議の限度で効力を失い,その請求について通常訴訟へ移行する。

移行先は請求額により決まる。
原則として,140万円以下の請求は支払督促を発した裁判所書記官が所属する簡易裁判所,140万円を超える請求はその所在地を管轄する地方裁判所となる(民事訴訟法395条,裁判所法33条1項1号)。

第4 仮執行宣言の申立て

1 2週間経過後から30日以内

債務者が支払督促の送達を受けた日から2週間以内に異議を申し立てず,かつ,支払をしないときは,債権者は仮執行宣言を申し立てることができる。

申立期間は,仮執行宣言を申し立てることができる時から30日以内である。
この期間内に申し立てなければ支払督促は効力を失う(民事訴訟法391条及び392条)。

「異議がなければいつでも申し立てられる」わけではない点に注意を要する。

2 手続費用と支払状況

仮執行宣言の申立てでは,手続の費用額を明らかにしなければならない(民事訴訟規則235条1項)。

申立後に債務者から一部の支払を受けた場合は残額について申し立て,全額の支払を受けた場合は支払督促を取り下げる。

mintsを利用する事件では,準備の手引において,仮執行宣言の申立書を事件情報の「記録一覧のアップロード画面」から「関連事件の申立て」として提出する方法が示されている。

申立書は,事件番号,最初の支払督促の送達日,異議の有無,支払の有無,残額及び手続費用を照合して作成する。

第5 仮執行宣言後の督促異議と効力

債務者は,仮執行宣言付支払督促の送達を受けた日から2週間の不変期間内であれば,督促異議を申し立てることができる。

ただし,仮執行宣言付支払督促が送達されると強制執行を申し立てることができるため,異議の申立てと執行停止の要否は別に検討する必要がある。

仮執行宣言付支払督促が債務者へ送達されると,債権者は別途,強制執行を申し立てることができる。
強制執行は自動的に開始されるわけではなく,預金,給与その他の対象財産に応じた執行手続を別に申し立てる必要がある。

仮執行宣言付支払督促に対する督促異議がなく,又は督促異議を却下する決定が確定したときは,支払督促は確定判決と同一の効力を有する(民事訴訟法396条)。

第6 当事者別の確認事項

1 債権者

①送達日と2週間の満了日を把握したか。
②仮執行宣言の申立期間(30日)の起算点と満了日を把握したか。
③手続費用額を明らかにしたか。
④一部弁済があった場合に残額で申し立てたか。
⑤督促異議があった場合の移行先裁判所と追加手数料を確認したか。

2 債務者

①送達日と2週間の満了日を確認したか。
②仮執行宣言前か後かを確認したか。
③請求の趣旨・原因,既払額,相殺その他の反論資料を確認したか。
④強制執行のおそれがある場合,執行停止の要否を検討したか。

期限の計算や執行停止の要件は個別事情で結論が変わり得るため,強制執行のおそれがあるときは早期の対応が必要である。

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出典・参考資料

民事訴訟法(平成8年法律第109号)385条・386条・390条・391条・392条・395条・396条
裁判所法(昭和22年法律第59号)33条
③民事訴訟規則235条
④裁判所「民事裁判手続のデジタル化に関する準備の手引