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弁護士の登録換えの請求―必要となる場合,手続,拒絶及び懲戒中の制限(AI作成)

第1 登録換えの意味と必要となる場合

1 登録換えの意味

弁護士法10条は,弁護士が所属弁護士会を変更するには,新たに入会しようとする弁護士会を経て,日本弁護士連合会(以下「日弁連」という。)に登録換の請求をしなければならないと定めている。登録換えは,弁護士資格を新たに取得したり,弁護士名簿の登録をいったん取り消して再登録したりする手続ではなく,弁護士名簿上の所属弁護士会を変更する手続である。

弁護士法は,10条,19条,36条及び62条では「登録換」と表記する一方,12条等では「登録換え」と表記している。本記事では,法令名や書類名を引用する場合を除き,一般に用いられている「登録換え」と表記する。本記事は,令和8年8月15日現在の法令,裁判例,公表資料及び弁護士会の案内を生成AIを用いて照合し,個別の登録換えに共通する制度を説明するものである。

2 法律事務所の移転と登録換え

弁護士法20条2項及び3項によれば,法律事務所は所属弁護士会の地域内に設けなければならず,弁護士は原則として2個以上の法律事務所を設けることができない。そのため,法律事務所を現在の所属弁護士会の地域外へ移転し,新たな弁護士会に所属しようとする場合は,登録換えが必要となる。

もっとも,制限されているのは法律事務所の所在地であり,弁護士が法律事務を取り扱う地域ではない。所属弁護士会の地域外で執務するだけで登録換えが必要になるわけではなく,弁護士法20条3項ただし書も,他の弁護士の法律事務所で執務することを妨げないと定めている。

また,東京都内には東京弁護士会,第一東京弁護士会及び第二東京弁護士会が併存するため,法律事務所の所在地を変更しないまま所属弁護士会だけを変更する登録換えもあり得る。登録換えを法律事務所の地理的移転だけで説明することはできない。

3 登録事項変更との区別

法律事務所を同じ弁護士会の地域内で移転する場合は,通常,登録換えではなく,法律事務所の移転及び登録事項変更の手続となる。弁護士法21条は,法律事務所を設け,又は移転したときは,直ちに所属弁護士会及び日弁連へ届け出ることを求めている。

大阪弁護士会の組織内弁護士向け案内も,勤務先の変更に伴う登録上の法律事務所の変更について,同会の地域内であれば登録事項変更,地域外であれば登録換えとして区別している。企業その他の組織に勤務する弁護士についても,登録上の法律事務所の所在地と所属弁護士会との関係を確認する必要がある。

第2 登録換えの手続と効力

1 旧所属会への届出と新所属会を経由する請求

弁護士は,登録換えを請求する旨を現在の所属弁護士会に届け出るとともに,新たに入会しようとする弁護士会を経て日弁連へ請求する(弁護士法10条1項及び2項)。旧所属会への届出と,新所属会を経由する日弁連への請求は,別の手続である。

旧所属会への届出は,同会の承認を受けるための申請ではない。新所属会は,提出書類を確認し,会則に基づく審査,面接又は常議員会の手続を行った上で,進達拒絶事由がないと判断したときは,登録換え請求を日弁連へ進達する。

2 提出書類

法務省が公表している日本弁護士連合会会則の20条は,日弁連に提出する基本書類として,①登録換え請求書,②弁護士法10条2項の届出に関する書面,③弁護士法12条2項の事項に関する書面を掲げている。

実際には,新所属会が定める入会申込書,履歴書,戸籍関係書類,身分証明書,誓約書,質問事項書,写真,紹介者又は推薦者に関する書類等が追加されることがある。例えば,愛知県弁護士会の登録換え案内は,紹介者2名による報告書を含む提出書類と,常議員会の審議後に日弁連へ進達する流れを掲載しているため,申込み前に新所属会の最新案内を確認する必要がある。

3 登録換えの効力発生日

登録換えは,旧所属会への届出,新所属会への書類提出又は新所属会の承認だけでは完了せず,日弁連が弁護士名簿上の登録換えを行った日に効力が生じる。弁護士法36条1項により,登録換えを受けた弁護士は当然に新所属会の会員となり,これによって旧所属会を退会するため,旧所属会からの退会のために別途登録取消しを請求する必要はない。

大阪弁護士会の案内も,日弁連から登録換え完了の通知があるまでは現在の所属弁護士会の会員であると説明している。所属会を前提とする届出,負担金その他の会員関係については,効力発生日を基準として処理する必要がある。

4 希望日,所要期間及び費用

登録換え希望日を記載できる場合であっても,希望日に当然に効力が生じるわけではない。東京弁護士会の弁護士登録手続日程は,日弁連の処理日程を踏まえた最短の登録予定日を示し,希望日を指定しても手続の進行により遅れる場合があるとしている。

所要期間,申込締切,面接の有無,必要書類,入会金及び会館負担金等は弁護士会ごとに異なる。令和8年8月15日取得時点の案内では,大阪弁護士会は通常1か月半から2か月程度,第二東京弁護士会はおおむね2か月としているが,不備の補正,面接,常議員会又は日弁連の審査日程によって延びることがある。

5 通知及び官報公告

弁護士法19条によれば,弁護士名簿の登録換えについて,日弁連は所属弁護士会へ通知し,官報で公告しなければならない。官報の登録換え欄には,登録番号,新所属会,旧所属会及び氏名等が掲載される。

第3 進達拒絶,日弁連による拒絶及び不服申立て

1 新所属会による進達拒絶

弁護士法12条によれば,新所属会は,弁護士会の秩序若しくは信用を害するおそれがある者等について,資格審査会の議決に基づき,登録換え請求の日弁連への進達を拒絶できる。登録換え請求前1年以内に同会の地域内で常時勤務を要する公務員であった者についても,同条2項所定の要件がある場合は同様である。

進達を拒絶するときは,請求人に理由を書面で通知しなければならない。また,新所属会が請求を受けてから3か月を経過しても日弁連へ進達しないときは,請求人は進達を拒絶されたものとみなして審査請求ができる。進達拒絶事由と資格審査会については,弁護士の登録及び登録換えの請求の進達拒絶事由,及び資格審査会でも整理している。

2 東京高裁昭和50年1月30日判決

東京高裁昭和50年1月30日判決(昭和48年(行ケ)第9号・裁決取消請求事件)は,大阪弁護士会による登録換え請求の進達拒絶を是認した日弁連の裁決を取り消した。同判決は,登録換えでは,新規登録と異なり請求人の弁護士資格そのものが問題になるわけではないため,登録換えを認めること自体が弁護士会の秩序又は信用を害する原因となるおそれがあるかを基準とすべきであるとした。

同判決は,請求人に依頼者への対応上の問題等があったとしても,登録換えを認めることと結び付かない事情を進達拒絶の理由とすることは,資格審査手続を懲戒手続の代わりに用いる結果となると指摘した。したがって,過去の行為に問題があるというだけで直ちに進達拒絶事由になるものではなく,登録換えを認めることとの具体的な関連が必要となる。

3 日弁連への審査請求と東京高裁への取消訴訟

新所属会による進達拒絶に対しては,日弁連へ審査請求をする。日弁連は,資格審査会の議決に基づいて裁決し,審査請求に理由があるときは,新所属会に進達を命じなければならない(弁護士法12条の2)。

新所属会が進達した場合でも,日弁連は,弁護士法12条1項又は2項の事由があり,登録換えを拒絶するのが相当であると認めるときは,資格審査会の議決に基づいて登録換えを拒絶できる(同法15条)。進達拒絶についての日弁連の審査請求棄却・却下又は日弁連による登録換え拒絶に対しては,弁護士法16条により東京高裁へ取消訴訟を提起できる。

日弁連が審査請求又は進達を受けてから3か月を経過しても裁決又は登録換えをしない場合も,棄却又は拒絶があったものとみなして訴えを提起できる。進達拒絶について訴訟の対象となるのは,新所属会の行為ではなく日弁連の裁決であり,弁護士法49条の3により,日弁連の処分又は不作為について更に行政上の審査請求をすることはできない。

第4 懲戒手続中の登録換えの制限

1 弁護士法62条1項の制限

弁護士法62条1項により,懲戒の手続に付された弁護士は,その手続が結了するまで,登録換え又は登録取消しを請求できない。この制限は,所属会の変更又は登録取消しによって懲戒手続の遂行及び処分の実効性が失われることを防ぐものである。

2 懲戒請求の提出と懲戒手続の開始

懲戒請求が所属会に提出されただけで,直ちに登録換えが禁止されるわけではない。弁護士法58条2項は,弁護士会が対象弁護士を懲戒の手続に付し,綱紀委員会に事案の調査をさせることを定めている。

東京高裁平成13年6月12日判決(平成12年(行ケ)第237号・裁決取消請求事件)は,改正前弁護士法の下で,綱紀委員会が調査を開始した時点を懲戒手続の開始時点と解した。現行法58条2項は「懲戒の手続に付し」と明記しているため,懲戒請求の提出,弁護士会による懲戒手続への付議及び綱紀委員会の調査開始を区別して説明する必要がある。

3 登録換え請求との先後及び手続の結了

日弁連調査室編著『条解弁護士法〔第5版〕』529頁は,登録換え請求書が新所属会へ提出された時点と,懲戒手続の開始時点の先後によって弁護士法62条1項の適用を判断する見解を示している。同書によれば,登録換え請求書の提出が先であれば,その後に懲戒手続が開始しても,既にされた請求が当然に同項違反となるものではない。

同書527頁~528頁は,対象弁護士に懲戒又は不懲戒の決定が通知された段階を基本的な結了時点と解する一方,懲戒請求者の異議申出等により決定が取り消され,綱紀委員会又は懲戒委員会へ差し戻された場合には,再び登録換えが制限されると説明している。これらは条文に手続の先後又は結了時点の詳細が明記されているものではないため,具体的な日程が問題となる場合は,関係する弁護士会及び日弁連に確認する必要がある。

第5 関連記事

弁護士登録の請求

弁護士の登録及び登録換えの請求の進達拒絶事由,及び資格審査会

弁護士会の懲戒手続

弁護士登録の取消し

第6 出典・参考資料

1 法令・会則

弁護士法(昭和24年法律第205号)10条,12条,12条の2,15条,16条,19条~21条,36条,49条の3,58条及び62条(e-Gov法令検索)

日本弁護士連合会会則20条(法務省掲載資料。令和2年6月1日現在の会則)

2 裁判例

東京高等裁判所昭和50年1月30日判決(昭和48年(行ケ)第9号・裁決取消請求事件,裁判所ウェブサイト)

東京高等裁判所平成13年6月12日判決(平成12年(行ケ)第237号・裁決取消請求事件,裁判所ウェブサイト)

3 文献

①日本弁護士連合会調査室編著『条解弁護士法〔第5版〕』弘文堂,令和元年,102頁~104頁,107頁~112頁,137頁~141頁,148頁~149頁,151頁~157頁,163頁,374頁及び525頁~529頁

4 弁護士会の実務案内

東京弁護士会「弁護士登録手続」(令和8年8月15日閲覧)

大阪弁護士会「入会を希望される方へ」(令和8年8月15日閲覧)

大阪弁護士会「組織内弁護士の登録手続」(令和8年8月15日閲覧)

第二東京弁護士会「弁護士登録・入会」(令和8年8月15日閲覧)

愛知県弁護士会「入会(登録換え)手続きのご案内」(令和8年8月15日閲覧)