目次
第1 契約前に確認すること第2 管理委託,仲介及びサブリースを区別する1 誰が入居者の貸主になるか2 賃貸住宅管理業法の対象と登録第3 管理業務と追加費用を対応させる1 管理料に含まれる範囲を具体化する2 広告料を無制限に承諾しない第4 家賃,敷金及び報告を確認する1 家賃総額と実際の送金額を照合できるか2 分別管理と定期報告第5 修繕の承認と緊急対応を決める1 通常の修繕2 承認を待てない緊急対応第6 免責条項と保険加入義務を読む1 誰のどの行為について責任を制限する条項か2 保険で補償される損害と,管理会社への請求第7 契約更新,賃料改定及び交渉の権限を分ける第8 管理会社の変更と契約終了時の精算1 予告期間と解約金2 引継ぎの対象と期限第9 署名前に使う確認表第10 よくある質問1 標準契約書と違う条項は無効か2 管理会社へ任せれば貸主の責任はなくなるか3 管理会社を変える場合は入居者の賃貸借契約も終わるか第11 出典と関連記事
第1 契約前に確認すること
賃貸アパートの管理会社を選ぶときは,管理料率だけでなく,何を任せ,どの費用が別にかかり,事故や契約終了のときに誰が対応するかを確認する必要がある。
管理委託契約書,重要事項説明書,業務仕様書,料金表及び修繕の承認基準を一組で読み,説明と契約条件が一致しているかを確かめる。
本記事は,貸主が賃貸住宅の管理を委託するときの確認事項を,令和8年10月28日現在確認できる法令及び公開資料に基づいて整理するものである。
国土交通省の標準契約書は比較の手掛かりになるが,すべての条項がそのまま法律上強制されるものではなく,管理する物件と業務に合わせた合意が必要である。
署名前には,金額,送金日,承認基準及び予告期間などの空欄を埋めた最終版を受け取る。
別紙が契約内容に含まれる場合は,その名称と版,本文との優先関係も確かめ,署名した本文と同じ時点の資料を保管する。
第2 管理委託,仲介及びサブリースを区別する
1 誰が入居者の貸主になるか
通常の管理委託では,所有者が入居者との賃貸借契約の貸主であり,管理会社は契約で定めた仕事を受託する。
入居者募集の仲介は,賃貸借契約の成立に向けた別の業務である。
サブリースでは,事業者が所有者から建物を借り,入居者へ転貸する関係になるため,所有者と事業者の賃貸借条件を読む必要がある。
「家賃管理」「家賃保証」という名称だけで契約の仕組みを決めず,家賃を受け取る根拠,空室や滞納の負担,修繕の発注者及び契約終了後の入居者対応を確認する。
管理委託の変更と,サブリース契約の終了を同じ手続として扱わないことが重要である。
2 賃貸住宅管理業法の対象と登録
国土交通省は,賃貸住宅の維持保全を行う管理業について,管理戸数200戸以上の事業者に登録義務があると説明している。
200戸未満でも任意に登録でき,登録した事業者には登録業者としての規制が適用される。
家賃等の金銭管理だけを行う事業は,同法の賃貸住宅管理業の定義から除かれるため,受託内容も確認する必要がある。
登録業者については,契約締結前の重要事項説明と,締結後の契約条件を記載した書面交付を区別する。
法令上の説明対象の例外に当たる場合もあるため,すべての貸主・契約に同じ説明義務があると一律に判断せず,事業者の登録と相手方の属性を確認する。
第3 管理業務と追加費用を対応させる
1 管理料に含まれる範囲を具体化する
巡回,清掃,入居者からの連絡受付,家賃の回収,更新事務及び修繕の手配について,実施する仕事,頻度,対応時間及び報告方法を確認する。
「建物管理一式」という記載だけでは,夜間対応,法定点検の手配,又は実際の清掃まで含むかが分からないことがある。
管理料とは別に費用が生じる仕事は,発生条件,計算方法,消費税,支払時期及び事前承認の要否を料金表に対応させる。
新規契約,更新,賃料改定,退去立会い,原状回復及び広告について,同じ仕事を複数の名目で請求しないかも確認するとよい。
2 広告料を無制限に承諾しない
入居者募集の媒介報酬には宅地建物取引業法と報酬告示による規律があり,管理委託料とは区別して確認する必要がある。
「広告料」という名称が付いているだけで,媒介報酬の上限とは別に自由に請求できるわけではない。