第1 国税庁が公表する情報の全体像
1 法令等ページの区分
2 法令と行政内部の文書を分ける理由
第2 法令解釈通達と事務運営指針
1 法的根拠と平成10年の分類変更
2 両者の違い
3 現行の通達を確認する方法
第3 通達の法的効力と最高裁判例
1 納税者と裁判所を直接拘束しないこと
2 最高裁判例の展開
(1) 最高裁昭和33年3月28日判決
(2) 最高裁昭和43年12月24日判決
第1 国税庁が公表する情報の全体像
1 法令等ページの区分
2 法令と行政内部の文書を分ける理由
第2 法令解釈通達と事務運営指針
1 法的根拠と平成10年の分類変更
2 両者の違い
3 現行の通達を確認する方法
第3 通達の法的効力と最高裁判例
1 納税者と裁判所を直接拘束しないこと
2 最高裁判例の展開
(1) 最高裁昭和33年3月28日判決
(2) 最高裁昭和43年12月24日判決
目次
第1 前期損益修正を四つに分ける1 最初の四区分第2 会計上の処理1 過去の誤謬は修正再表示する2 見積り変更と後発的事由は過去の誤謬ではない3 会社計算規則に科目名が残ることの意味第3 税務上の処理1 申告当時から処理が誤っていた場合2 後日の解除,取消し又は返品等3 会計上の遡及処理と税務申告の関係4 更正の請求の期限第4 年度帰属を示す裁判例等1 後日の契約解除を当期の損失とした裁判例2 TFK事件とクラヴィス事件3 実際の収入と後の貸倒れを区別した最高裁判例第5 実務上の確認順序第6 関連記事第7 出典・参考資料1 法令・会計基準2 国税庁資料・通達3 裁判例・裁決4 文献5 関連記事
前期損益修正という言葉は,前期以前に関係する損益を当期に処理する場面を広く指して使われることがある。
しかし,会計上の過去の誤謬を訂正する問題と,法人税の過年度申告を直す問題は同一ではない。
さらに,過去の判断は当時の情報に照らして正しかったものの見積りの基礎が後に変わった場合や,契約の解除,取消し,返品又は債権の貸倒れが後に生じた場合も区別する必要がある。
本記事は,令和8年9月7日現在の法令,会計基準,国税庁資料及び公表裁判例を基準として,法人の決算と法人税を中心に整理するものである。
具体的な処理は,採用する会計基準,金額の重要性,申告年度,確定決算の内容及び後発的事由の証拠によって異なるため,個別案件では会計・税務の専門家による確認が必要である。
第1 前期損益修正を四つに分ける
1 最初の四区分
検討の出発点は,判明した差額を次の四つに分けることである。
①決算時に利用できた情報の不使用又は誤用による過去の誤謬
②新しい情報による会計上の見積りの変更
③当初は正しく処理した取引について後に生じた解除,取消し,返品,値引き又は貸倒れ
④法令の適用,収益・費用の年度帰属又は税額計算を誤った税務申告
①では会計上の修正再表示が問題となり,②は原則として変更した期間以後の会計処理となる。
③は後発的事由が生じた当期の損益となることが多く,④では修正申告又は更正の請求の要否を検討する。
帳簿上の仕訳名だけで結論を出さず,いつ,どの事実が存在し,決算時にどの情報を利用できたかを先に確定すべきである。
第2 会計上の処理
1 過去の誤謬は修正再表示する
企業会計基準第24号4項8号は,財務諸表作成時に入手可能な情報を使用しなかったこと又は誤用したことによる誤りを「誤謬」と定義する。
同項11号の「修正再表示」は,過去の財務諸表における誤謬の訂正を財務諸表に反映することをいう。
同基準21項により,過去の財務諸表における誤謬が発見された場合は,原則として修正再表示を行い,表示期間より前の累積的影響額を最も古い表示期間の期首の資産,負債及び純資産に反映する。
したがって,同基準を適用する企業について,過去の誤謬を発見したというだけで,その全額を当期の特別損失又は特別利益に計上するのが現在の原則ではない。
もっとも,重要性が乏しく修正再表示をしない誤謬は,内容に応じて当期の営業損益又は営業外損益に含める取扱いが示されており,重要性の判断を抜きに一律の処理をすることもできない。
既に公表した財務諸表自体の訂正期間及び訂正方法は,金融商品取引法その他の各開示制度によって別に判定する。
2 見積り変更と後発的事由は過去の誤謬ではない
企業会計基準第24号4項7号は,新たに入手可能となった情報に基づいて過去の見積りを変更することを「会計上の見積りの変更」と定義する。
同基準17項によれば,見積りの変更は,変更期間だけに影響するときは当該期間に,将来の期間にも影響するときは将来にわたって会計処理する。
決算時の情報に基づく見積りが合理的であったのに,その後の事情によって回収見込額等が変わった場合は,後知恵で過去の誤謬に置き換えてはならない。
契約が後に解除された場合や,商品が後に返品された場合も,解除又は返品の事実が当初から存在した誤りなのか,当初の処理後に新しく生じた事実なのかを区別する必要がある。
この区別は,会計処理だけでなく,後記の税務上の年度帰属にも直結する。
3 会社計算規則に科目名が残ることの意味
会社計算規則88条1項3号及び2項は,特別利益の例として前期損益修正益を,特別損失の例として前期損益修正損を掲げている。
もっとも,この表示科目が法令上残っていることは,企業会計基準第24号が過去の誤謬について定める修正再表示を排除するものではない。
どの財務報告制度と会計基準が適用されるかを確定し,誤謬の重要性を判定した上で,表示科目の可否を検討する必要がある。
第3 税務上の処理
1 申告当時から処理が誤っていた場合
法人税法22条は,各事業年度の益金と損金により所得金額を計算し,4項において,別段の定めがあるものを除き,一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算する旨を定める。
同法22条の2は,資産の販売等に係る収益の計上時期と収益額を定めている。
過年度の売上げを単純に計上し忘れた場合や,法令上その年度に損金算入できない額を控除した場合は,後の年度の前期損益修正だけで税務申告の誤りが解消するわけではない。
申告税額が過少であれば,国税通則法19条に基づく修正申告を検討する。
申告税額が過大であるなど同法23条1項の要件を満たす場合は,更正の請求を検討する。
会計上の修正再表示をしたという事実だけで税務上の過年度所得が自動的に変わるのではなく,対象年度の申告が税法に従っていたかを年度ごとに判定する必要がある。
2 後日の解除,取消し又は返品等
法人税基本通達2-2-16は,前事業年度以前に益金算入した取引について,当事業年度に契約の解除,取消し又は返品等が生じた場合,その事実に基づく損失額を当事業年度の損金に算入する取扱いを示す。
これは,当初の収益計上が正しかったにもかかわらず,後に新しい事実が生じた場面の年度帰属である。
当初から売上げが存在しなかった場合や,単なる記帳漏れを当期に振り替える場面とは異なる。
収益額が値引き等で変動する可能性を当初から見積もる場面については,法人税法22条の2及び法人税法施行令18条の2の適用関係も確認する必要がある。
すべての値引きや返金を通達2-2-16だけで処理できるわけではなく,当初の収益額の算定に反映すべき変動対価か,後に生じた解除等かを分けて検討する。
3 会計上の遡及処理と税務申告の関係
国税庁の「法人が『会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準』を適用した場合の税務処理について(情報)」は,会計上の遡及処理を行った場合の税務処理を事例形式で示している。
同資料の問5は,過年度に減価償却費の計上を失念したものの税務申告では償却限度額まで損金算入していた事例について,修正再表示後も課税所得に影響せず,当期の利益剰余金と法人税申告書別表五(一)との関係を調整することを示す。
同資料の問7は,過年度の売上計上漏れについて,会計上は修正再表示を行い,税務上は過年度の修正申告を行う例を示す。
このように,会計上の修正再表示,帳簿の利益剰余金,法人税申告書の別表調整及び修正申告・更正の請求は,別々に確認しなければならない。
一つの仕訳で会計と税務の双方が完結すると考えると,対象年度や別表五(一)の利益積立金額の連続性を誤るおそれがある。
4 更正の請求の期限
国税庁の法人税に係る更正の請求手続によれば,国税通則法23条1項による通常の更正の請求は,原則として法定申告期限から5年以内である。
同条2項の後発的事由に基づく更正の請求は,原則として所定の事実が生じた日の翌日から2月以内である。
ただし,後発的事由に関する期間内に請求したことと,過年度の申告税額が税法上過大であることとは別の要件であり,期間内であれば当然に減額更正されるわけではない。
第4 年度帰属を示す裁判例等
1 後日の契約解除を当期の損失とした裁判例
目次
0 総論
1 年末調整に際して給与所得の源泉徴収票を作成する場合
2 従業員が年の途中に退職した場合
3 源泉徴収票等の作成と提出の手引
4 法定調書合計表
5 給与支払報告書及び源泉徴収票の電子的提出の一元化とみなし提出
6 給与支払報告書の訂正
7 給与所得及び退職所得の源泉徴収票の計算サイト
8 関連記事その他
0 総論
国税庁ホームページのタックスアンサーNo.7400「法定調書の提出義務者」によれば,法定調書とは,所得税法,相続税法,租税特別措置法及び内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律の規定により,税務署への提出が義務付けられている資料をいう。給与所得の源泉徴収票は,この法定調書の一種であり,給与等の支払者が受給者ごとに作成し,一定範囲のものを所轄税務署へ提出するとともに,税務署への提出の要否にかかわらずすべての受給者本人に交付しなければならない書類である(所得税法226条1項)。
給与支払報告書は,記載内容が源泉徴収票とほぼ同一であるものの,市区町村(受給者の住所地)に提出するための書類であり,税務署提出用の法定調書合計表とは別の手続として整理されている。法定調書合計表は,給与所得の源泉徴収票をはじめとする複数種類の法定調書の提出状況を取りまとめて所轄税務署に提出する書類である。以下では,これらの作成・提出の実務を,令和7年度税制改正による源泉徴収票様式の改正まで含めて整理する。
1 年末調整に際して給与所得の源泉徴収票を作成する場合
従業員に給与等を支払った場合,給与所得の源泉徴収票を給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表と一緒に,翌年1月31日までに支払者の所轄税務署に提出する必要がある。令和8年12月31日以前に提出すべき給与所得の源泉徴収票の提出範囲は,年末調整をした受給者について,①法人の役員(現に役員をしていなくても,その年中に役員であった者を含む。相談役,顧問その他これらに類する方も含まれる。)はその年中の給与等の支払金額が150万円を超えるもの,②弁護士,司法書士,税理士等はその年中の給与等の支払金額が250万円を超えるもの,③これら以外の者はその年中の給与等の支払金額が500万円を超えるものに限られる(年末調整をしなかった受給者については別途の提出範囲が定められている。国税庁ホームページのタックスアンサーNo.7411「「給与所得の源泉徴収票」の提出範囲と提出枚数等」参照)。令和9年1月1日以後に提出すべきものからは提出範囲が拡大され,年末調整の有無や役員等の区分にかかわらず,年の中途で退職した人の給与等の支払金額が30万円以下である場合を除き,すべての受給者分が税務署への提出対象となる。ただし,後記5のみなし提出の特例を適用する場合は,給与所得の源泉徴収票及びその合計表を税務署へ別途提出する必要はない(所得税法226条6項,所得税法施行規則93条2項・95条の3)。
ただし,この税務署への提出範囲に該当するかどうかにかかわらず,給与等を支払ったすべての受給者(国内に住所又は1年以上居所を有する居住者である外国人従業員を含む。)に対しては,その年の翌年1月31日まで(年の中途で退職した受給者については,退職の日以後1か月以内)に,給与所得の源泉徴収票を交付する必要がある(所得税法226条1項)。この交付又は提出の義務に違反し,正当な理由なく源泉徴収票をその提出期限までに税務署長に提出せず,又は交付の期限までに支払を受ける者に交付しない場合(偽りの記載をして提出し,又は交付した場合を含む。)は,1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処せられる(所得税法242条5号,6号)。
市区町村に対しては,給与支払報告書(総括表)1枚及び給与支払報告書(個人別明細書)1枚を,翌年1月31日までに提出する必要がある。ビズ研HPに「【令和4年版】源泉徴収票・給与支払報告書テンプレート(無料・登録不要)」が掲載されている。大阪市の提出案内も,給与支払報告書(総括表)1枚及び個人別明細書1人につき1枚としている(大阪市「給与支払報告書について」参照)。
2 従業員が年の途中に退職した場合
目次
第1 特別徴収制度の総論
1 制度の趣旨
2 法的根拠となる条文
3 特別徴収の対象となる従業員の範囲と年度途中の切替え
4 森林環境税との一体徴収
5 特別徴収の対象外にできる場合
第2 特別徴収税額の通知及び納入
1 通知の時期と方法
2 電子データによる通知の受け取り
3 納入の期限
第3 特別徴収税額の納期の特例
第4 従業員が退職等をした場合の取扱い
1 給与所得者異動届出書の提出
第1 総論
第2 所得割及び均等割
第3 個人事業主本人の住民税の申告及び納付
1 確定申告書の提出による住民税申告の省略
2 普通徴収による年4回の納付
第4 令和3年度以降の住民税
第5 令和6年度以降の住民税
1 森林環境税の導入と均等割の内訳変更
2 令和6年度限りの定額減税
3 令和8年度分以降の給与所得控除等の見直し
第6 住民税等の計算サイト
第7 所得証明書
第8 関連記事その他
出典
第1 総論
住民税とは,毎年1月1日現在に住所がある都道府県及び市町村に対して納める税金であり,「道府県民税」(東京都は都民税)と「市町村民税」(東京23区は特別区民税)の2つから成る(マネーフォワードクラウド給与HPの「住民税が非課税になる条件と受けられる恩恵のポイントまとめ」参照)。個人事業主は,この住民税とは別に,道府県税である個人事業税も負担することがあるが,個人事業税については別稿「個人事業税に関するメモ書き」で扱うこととし,本稿では,個人事業主本人が負担する住民税(道府県民税及び市町村民税)を対象とする。
第2 所得割及び均等割
総務省HPの「個人住民税」によれば,個人住民税は,所得に応じた負担を求める「所得割」と,所得にかかわらず定額の負担を求める「均等割」の2つから成る。所得割の税率は,所得に対して10%(道府県民税4%,市町村民税6%。政令指定都市の区域内に住所を有する場合は道府県民税2%,市町村民税8%)とされており,前年の1月1日から12月31日までの所得により算定される(地方税法35条,38条,314条の3)。均等割は,個人住民税が「地域社会の会費」的な性格を持つことを反映したものであり,その標準税率は,道府県民税1,000円,市町村民税3,000円の合計4,000円である(地方税法38条,310条)。これに加えて,令和6年度以降は,個人住民税均等割と併せて,国税である森林環境税(年額1,000円)が徴収されており,住民1人当たりが実際に負担する均等割相当額の合計は5,000円となる(森林環境税の導入の経緯は後記第5の1で述べる。総務省HPの「個人住民税」参照)。
目次
0 総論
1 扶養控除等申告書
2の1 基礎控除申告書
2の2 配偶者控除等申告書
2の3 所得金額調整控除申告書
2の4 特定親族特別控除申告書
3 保険料控除申告書
4 住宅借入金等特別控除申告書
5 ふるさと納税及びワンストップ特例制度
6 年末調整の計算サイト
7 年末調整で過納額が出た場合の取扱い
8 関連記事その他
0 総論
国税庁ホームページの「給与所得者(従業員)の方へ(令和7年分)」には,年末調整を行う理由として次の説明がある。年末調整とは,源泉徴収された税額の年間の合計額と,年税額を一致させる精算の手続である。年末調整の対象となっているのは,原則として,勤務先に「扶養控除等申告書」を提出している人であるが,給与の収入金額が2,000万円を超える人など,一定の人は年末調整の対象とはならない。この精算の手続をするためには,「扶養控除等申告書」のほか,「基礎控除申告書」,「配偶者控除等申告書」,「特定親族特別控除申告書」,「所得金額調整控除申告書」,「保険料控除申告書」又は「住宅借入金等特別控除申告書」を勤務先に提出する必要がある。
年末調整の場合,以下の書類を従業員に提出してもらうこととなる。①扶養控除等申告書,②基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼特定親族特別控除申告書兼所得金額調整控除申告書,③保険料控除申告書,④住宅借入金等特別控除申告書の4種類である。②は令和6年分までは基礎控除・配偶者控除等・所得金額調整控除の3種類を統合した1枚の様式であったが,令和7年度税制改正で新設された特定親族特別控除(2の4参照)を加える必要が生じたため,令和7年分以後は上記の名称の4種類統合様式に変更されている。
オフィスステーションHPの「年末調整で必要な提出書類には、どのようなものがある?」には次の説明がある。年末調整では,さまざまな書類を集めたり,作成したりする必要がある。年末調整の計算に使った給与所得者の扶養控除等(異動)申告書などの書類は,税務署に提出する必要がない。しかし,給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表や源泉徴収票,支払調書,給与支払報告書は,税務署や市区町村などに提出する必要がある。
なお,令和7年度税制改正により,基礎控除・給与所得控除の引上げ,扶養親族等の所得要件の引上げ,特定親族特別控除の創設という大きな制度変更が行われ,令和7年分以後の年末調整の実務に直接影響している。さらに,令和8年度税制改正による基礎控除等の改正は,原則として令和8年12月1日に施行され,令和8年分以後の所得税に適用される。以下では,令和8年分の年末調整に適用される控除額と,月々の源泉徴収に適用される制度とを区別して説明する(国税庁「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について」参照)。
1 扶養控除等申告書
第1 総論
第2 給与支払事務所等の開設届出書
第3 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
1 源泉所得税の納期の原則
2 源泉所得税の納期の特例
第4 給与所得者の扶養控除等申告書
第5 令和6年分から令和8年分にかけての税制改正
1 令和6年分の定額減税
2 令和7年度税制改正
3 令和8年度税制改正
4 源泉徴収税額表及び扶養控除等申告書への影響
第6 源泉徴収制度の趣旨等
目次
第1 e-Taxの意味と現在のシステム1 e-Taxでできること2 eLTAXとの違い3 旧SP版はWEB版へ統合されたこと第2 目的に応じた入口の選び方1 個人の所得税等の確定申告2 申請・届出,源泉所得税及び納付3 ダウンロード型ソフト及び民間会計ソフト第3 利用開始前の準備1 利用者識別番号2 電子証明書及びマイナンバーカード3 電子署名を省略できる手続第4 申告等データの送信と添付書類1 作成,署名及び送信2 添付省略とPDF送信を区別すること3 受信通知で受付結果を確認すること第5 電子納税1 ダイレクト納付とインターネットバンキング等2 電子納税で入力する番号3 申告と納付は別の手続であること第6 e-Tax利用が控除又は義務に関係する場面1 令和8年分までの青色申告特別控除2 令和9年分からの65万円控除及び75万円控除3 大法人の電子申告義務第7 令和8年9月の国税システム更改1 利用停止期間2 処分通知等の電子交付3 接続先をIPアドレスで固定している場合第8 送信前後の実務チェック1 送信前2 送信後3 進行を止めるべき場合第9 沿革及び関連記事1 主な沿革2 関連記事第10 出典1 法令2 国税庁の資料3 関連記事
この記事は,令和8年9月7日現在の公表資料に基づき,国税電子申告・納税システムであるe-Taxの現在の入口,利用準備,申告・申請,添付書類,電子納税及び送信後の確認方法を整理するものである。
令和8年9月の国税システム更改及び令和9年分からの青色申告特別控除については,将来適用される事項を現在の取扱いと分けて説明する。
第1 e-Taxの意味と現在のシステム
1 e-Taxでできること
e-Taxは,所得税,消費税,贈与税,印紙税及び酒税等の申告,法定調書の提出,各種の申請・届出並びに国税の納付をインターネットで行うための国税電子申告・納税システムである。
税務署へ出向かずに手続を行える一方,利用できる手続及び端末は入口ごとに異なるため,最初に目的に合うソフト又はコーナーを選ぶ必要がある。
2 eLTAXとの違い
e-Taxは国税のシステムであり,地方税の電子申告・電子納税の共通窓口はeLTAXである。
法人住民税,法人事業税,給与支払報告書その他の地方税手続については,eLTAX(エルタックス)に関するメモ書きも確認する必要がある。
3 旧SP版はWEB版へ統合されたこと
国税庁は,令和6年5月に受付システム,従前のe-Taxソフト(WEB版)及びe-Taxソフト(SP版)を統合し,名称を「e-Taxソフト(WEB版)」に統一した。
旧WEB版及び旧SP版のログイン画面は廃止されており,現在のWEB版はパソコン,スマートフォン及びタブレットから利用できる。
したがって,旧SP版の画面を前提とする手順ではなく,現在のe-Taxソフト(WEB版)から操作する必要がある。
第2 目的に応じた入口の選び方
1 個人の所得税等の確定申告
個人が所得税,消費税又は贈与税の確定申告書を作成して送信する場合は,原則として確定申告書等作成コーナーを利用する。
e-Taxソフト(WEB版)の「確定申告を行う」からも同コーナーへ進むことができるが,申告内容によっては同コーナーを利用できず,ダウンロード型のe-Taxソフト等が必要となる場合がある。
2 申請・届出,源泉所得税及び納付
e-Taxソフト(WEB版)では,申請・届出,源泉所得税,納税関係及び納税証明関係等の手続を行うことができる。
パソコン版とスマートフォン・タブレット版では作成可能な手続が同一ではないため,各ソフト・コーナーの一覧で対象手続と利用端末を確認すべきである。
3 ダウンロード型ソフト及び民間会計ソフト
WEB版で作成できない手続,法人税申告その他の専門的な手続では,ダウンロード型のe-Taxソフト又はe-Tax対応の民間税務・会計ソフトを利用することがある。
民間ソフトで作成した拡張子「.xtx」の申告書等データは,対応するデータであればWEB版へ読み込み,電子署名を付して送信できる。
マイナンバーカードの読取りに対応したスマートフォンは,マイナアプリを用いてパソコン用のICカードリーダライタの代わりに利用できる。
第3 利用開始前の準備
1 利用者識別番号
e-Taxの利用には,原則として半角16桁の利用者識別番号が必要であり,マイナンバーカードを用いたWEB登録,開始届出書のオンライン提出,書面提出又は税理士による代理送信等によって取得する。
すでに利用者識別番号を持つ者が新しい開始届出書を提出して別の番号を取得すると,従前の番号は利用できなくなり,従前のメッセージボックスの内容も新番号へ引き継がれない。
番号又は暗証番号が分からない場合は,新規取得ではなく変更等届出の手続を検討すべきである。
目次
第1 本記事の対象第2 消費税の基本構造及び税率1 課税対象及び納税義務者2 不課税,非課税及び輸出免税3 現在の税率及び主な沿革第3 納税義務及び免税事業者1 基準期間の課税売上高2 基準期間だけでは決まらない場合第4 税抜経理方式及び税込経理方式第5 簡易課税制度1 適用要件及び計算方法2 事業区分及びみなし仕入率3 一般課税との比較及び届出期限の特例第6 中間申告及び中間納付1 中間申告の回数2 前年実績による方法及び仮決算による方法第7 インボイス制度及び令和8年度改正1 売手及び買手の基本的な取扱い2 少額特例その他の例外3 免税事業者等からの仕入れに係る経過措置4 2割特例及び3割特例第8 不動産取引及び仕入税額控除に関する注意点1 居住用賃貸建物2 最高裁令和5年3月6日判決2件3 帳簿及び請求書等の保存第9 弁護士・個人事業者向けの関連記事及び公式サイト1 関連記事との役割分担2 申告書の作成及び登録確認第10 出典・参考資料1 法令2 裁判例3 国税庁及び公正取引委員会の解説・Q&A4 文献
第1 本記事の対象
本記事は,令和8年9月7日現在の法令及び公表資料に基づき,個人事業者を含む事業者が確認しておきたい消費税の基本構造,納税義務,簡易課税,中間申告及びインボイス制度を整理するものである。
令和8年度税制改正は成立・公布されているが,令和8年10月1日以後の取引,令和8年10月1日以後に開始する課税期間,令和9年分又は令和10年分など,規定ごとに適用時期が異なる。
個別の取引については,取引日,課税期間,個人・法人の別,売手・買手の立場,国内取引か国外取引か,届出及びインボイス登録の状況を確認する必要がある。
本記事の金額・割合だけで,具体的な申告方法又は届出の要否を決めることはできない。
第2 消費税の基本構造及び税率
1 課税対象及び納税義務者
消費税は,国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡,資産の貸付け及び役務の提供等を原則として課税対象とするほか,外国貨物の輸入にも課される(消費税法4条)。
法律上の納税義務者は事業者又は外国貨物を保税地域から引き取る者であり,最終消費者が申告納税する制度ではない(同法5条)。
事業者が受け取る消費税相当額は,個々の取引の対価の一部であり,受け取った金額をそのまま国へ納付するものではない。
課税事業者の納付税額は,課税売上げに係る消費税額から,要件を満たす課税仕入れ等に係る消費税額を控除して計算する(同法30条)。
2 不課税,非課税及び輸出免税
消費税の課税要件を満たさない取引は不課税であり,課税対象となる取引のうち法令が列挙する土地の譲渡・貸付け,住宅の貸付け,社会保険医療等は非課税となる(消費税法6条及び別表第2)。
輸出取引等は課税対象であることを前提として税を免除する輸出免税であり,非課税取引とは仕入税額控除の取扱いが異なる(同法7条)。
損害賠償金,違約金,キャンセル料,立替金等は,名目だけで不課税又は非課税になるわけではない。
何らかの資産の譲渡又は役務提供の対価であるか,損害の補填にすぎないかなど,受領の原因と実質を確認する必要がある。
3 現在の税率及び主な沿革
目次
第1 所得税の確定申告とは1 確定申告の意義と復興特別所得税2 実務で参照される解説サイト第2 確定申告の種類と申告期限1 確定申告(所得税法120条1項)2 死亡による準確定申告(所得税法124条・125条)3 出国による準確定申告(所得税法126条・127条)4 申告手続に関する国税庁・国税局の運用第3 所得控除の種類及び限度額1 所得控除一覧2 令和7年度・令和8年度税制改正による主要な変更点(1) 基礎控除の時限的な引上げ(2) 特定親族特別控除の創設(3) 扶養親族等の所得要件の引上げ3 医療費控除,雑損控除及び寄附金控除は確定申告が必要4 所得区分に関する留意点第4 株式譲渡益課税制度1 特定口座と確定申告の要否2 上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除3 上場株式等の配当・譲渡所得に係る個人住民税の課税方式4 新NISAとの関係第5 外国税額控除1 制度の仕組みと日米租税条約2 外国税額控除に関する明細書の書き方3 投資信託等の分配時調整外国税相当額控除第6 所得税等の計算サイト第7 白色申告者の記帳義務等1 記帳義務・帳簿等保存義務の拡大(平成24年度改正)2 収支内訳書の添付等が必要となる場合(令和2年度改正)3 電子帳簿保存法による電子取引データ保存の義務化第8 その他の関連資料・判例1 法人税の青色申告承認取消処分に関する最高裁令和6年判決2 関連記事3 参考書籍出典
第1 所得税の確定申告とは
1 確定申告の意義と復興特別所得税
所得税の確定申告とは,毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた全ての所得の金額とこれに対する所得税等の額を計算し,申告期限までに確定申告書を提出して,源泉徴収された税金や予定納税で納めた税金等との過不足を精算する手続である(国税庁「所得税の確定申告とは」)。平成25年分の所得税から,東日本大震災からの復興を図るための施策に必要な財源を確保するため,復興特別所得税(税率2.1%)が所得税と併せて課され,申告・納付することとされている。
令和8年分の復興特別所得税の税率は2.1%である。令和8年3月31日に公布された所得税法等の一部を改正する法律(令和8年法律第12号)により,令和9年分以後は,基準所得税額の1%を課す防衛特別所得税が創設されるとともに,復興特別所得税の税率は1.1%に引き下げられ,その課税期間は令和29年分まで延長される。これらは大綱段階の案ではなく,令和9年1月1日施行の成立済みの改正である(防衛財源確保法5条の5・5条の9,復興財源確保法9条・13条,国税庁「防衛特別所得税の創設及び復興特別所得税の税率等の見直しに関するQ&A」参照)。
2 実務で参照される解説サイト
青色申告決算書(一般用)の具体的な記入方法については,個人事業主向けの実務解説サイトである「個人事業主メモ」の「青色申告決算書(一般用)の書き方・記入例」が参考になる。
第2 確定申告の種類と申告期限
所得税の確定申告には,通常の確定申告のほか,納税者が年の中途で死亡し,又は出国した場合の準確定申告があり,それぞれ申告期限が異なる。
1 確定申告(所得税法120条1項)
通常の確定申告は,その年の翌年の2月16日から3月15日までの間に行う必要がある(所得税法120条1項)。
2 死亡による準確定申告(所得税法124条・125条)
納税者が年の中途で死亡し,その年分について確定申告義務がある場合,その相続人は,相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月を経過した日の前日までに,被相続人のその年分の所得税について準確定申告をしなければならない(所得税法125条1項)。同法124条1項は,前年分の確定申告義務がある者が,翌年1月1日から申告期限までの間に申告をしないで死亡した場合について,相続人による前年分の申告を定める規定である。還付を受けるための死亡年分の申告は,同法125条2項に定められている。
死亡による準確定申告の要否,4か月の期限,必要書類,e-Tax及び相続税との関係については,準確定申告-4か月の期限・必要書類・書き方・e-Taxと相続税(AI作成)を参照されたい。
第1 労働保険の仕組み
1 労災保険と雇用保険
2 保険関係の成立と主な届出
第2 労働保険料
1 保険料の計算と負担
2 令和8年度の保険料率
3 年度更新と分割納付
4 メリット制
第3 労災保険
1 給付の対象
2 労働者の過失と給付制限
3 業務災害・通勤災害・複数就業者
4 事故発生後の報告と請求
5 第三者行為災害
6 特別加入
7 請求権の時効と不服申立て
8 業務上災害に関する主な裁判例
第4 雇用保険
第1 本記事の対象
1 労働基準法と労働契約法の役割
2 現行法,経過措置及び制度検討の区別
第2 労働条件の明示
1 労働条件通知書と雇用契約書
2 電子的な明示と令和6年4月施行の追加事項
第3 賃金の決定,変更及び支払
1 賃金を減額する場合の法的な経路
2 賃金支払の5原則とデジタル払い
3 賃金債権の譲渡と給与ファクタリング
第4 賃金請求権の消滅時効,付加金及び記録保存
1 賃金請求権は原則5年,当分の間3年
2 付加金の請求期間と記録保存期間
第5 労働者名簿,賃金台帳,出勤記録及び年休管理簿
1 「法定4帳簿」は便宜的な呼称であること
第1 不動産登記の基本原則
1 物権変動と登記
2 登記に公信力がないこと
3 登記官の審査
第2 登記記録の調査と最近の制度
1 登記記録の読み方
2 相続登記の申請義務
3 所有不動産記録証明制度
4 住所等変更登記の申請義務
第3 民法177条の第三者に関する判例
1 順次譲渡と元所有者
2 背信的悪意者
第4 中間省略登記に関する判例
1 当事者の同意を欠く直接請求
2 真正な登記名義の回復
3 登記申請を受任した司法書士の注意義務
目次
第1 記事の対象と期限の読み方1 対象2 法定納期限と実際の振替日第2 個人事業主本人の税金と社会保険料1 所得税等2 消費税等3 住民税・個人事業税・固定資産税4 国民年金・国民健康保険第3 従業員を雇う場合の税・労働保険・社会保険1 源泉所得税と住民税の特別徴収2 法定調書・給与支払報告書・償却資産申告3 労働保険4 健康保険・厚生年金保険第4 令和8年・令和9年の年間予定1 毎月確認する手続2 主な年次日程第5 必要経費・所得控除・預り金の区別第6 中途採用時に確認する資料第7 関連記事第8 出典・参考資料1 法令2 所管行政機関の解説・Q&A・運用資料(1) 国税庁(2) 厚生労働省・日本年金機構(3) 大阪府・大阪市
個人事業主が従業員を雇っている場合,本人の所得税等だけでなく,源泉所得税,住民税の特別徴収,労働保険及び健康保険・厚生年金保険の手続が重なる。
本記事は,期限の性質と支払額の会計上の区分を分けた上で,令和8年(2026年)から令和9年(2027年)春までの主な予定を整理するものである。
調査基準日は令和8年9月7日であり,令和8年分又は令和8年度の期限を中心に,令和9年春までに公表済みの日付を対象とする。
第1 記事の対象と期限の読み方
1 対象
本記事の年間予定は,大阪市内で事業を営む個人事業主が従業員を雇用し,源泉所得税及び住民税の納期の特例の承認を受け,労働保険事務を労働保険事務組合に委託している場合を中心とする。
所得税等及び消費税等について振替納税を利用する場合も併記するが,実際の対象税目,課税状況,従業員数,事業所所在地及び納付方法により必要な手続は異なる。
2 法定納期限と実際の振替日
法定納期限は,法令上定められた申告又は納付の期限である。
振替納税の日は法定納期限とは別の日であり,国税庁が対象年分ごとに公表するため,前年の日付をそのまま翌年に当てはめることはできない。
国税の申告・納付期限が土曜日,日曜日又は祝日等に当たるときは,原則としてその翌日が期限となる。
もっとも,労働保険事務組合への支払日は事務組合が指定する日であり,国への法定納期限又は口座振替日と一致するとは限らない。
第2 個人事業主本人の税金と社会保険料
1 所得税等
前年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告と納付は,原則として翌年3月15日までである。
令和7年分は令和8年3月16日が法定納期限であり,振替納税日は同年4月23日であった。
令和8年分は令和9年3月15日が法定納期限であり,振替納税日は令和9年4月中旬から下旬に設定される予定であるが,本記事作成時点では未公表である。
前年分の申告納税額等を基に計算した予定納税基準額が15万円以上となる者は,原則として所得税等の予定納税が必要となる。
令和8年分の通常の納期限は,1回目が令和8年7月31日,2回目が同年11月30日である。
2 消費税等
個人事業者の消費税及び地方消費税の確定申告と納付は,原則として翌年3月31日までである。
令和7年分の法定納期限は令和8年3月31日,振替納税日は同年4月30日であり,令和8年分の法定納期限は令和9年3月31日である。
直前の課税期間の確定消費税額が48万円以下である場合,中間申告は原則として不要であるが,任意の中間申告を選択できる場合がある。
48万円を超え400万円以下の場合は年1回,400万円を超え4800万円以下の場合は年3回,4800万円を超える場合は年11回の中間申告が必要となり,各中間申告対象期間の末日の翌日から2か月以内に申告及び納付をする。
3 住民税・個人事業税・固定資産税
大阪市における令和8年度の個人市民税・府民税・森林環境税の普通徴収の納期限は,令和8年6月30日,同年8月31日,同年11月2日及び令和9年2月1日である。
大阪府における令和8年度の個人事業税は,納税通知書に記載された税額を同年8月31日及び同年11月30日までに納付するのが通常であるが,税額等により納期が異なる場合がある。
大阪市における令和8年度の固定資産税・都市計画税の納期限は,令和8年4月30日,同年7月31日,同年12月25日及び令和9年3月1日である。
固定資産税及び都市計画税は土地又は家屋を所有する場合に関係し,償却資産を事業用に所有する場合は別に償却資産申告が必要となることがある。
4 国民年金・国民健康保険
国民年金保険料の毎月納付の期限は,対象月の翌月末日である。
口座振替には当月末振替や前納もあるため,実際の振替日は選択した方法を確認する必要がある。
大阪市の国民健康保険料を普通徴収で納付する場合,通常は6月から翌年3月までの10回に分けて納付する。
年金からの特別徴収となる場合もあり,年度途中の加入,所得変更又は資格喪失等により保険料及び納付回数が変わることがあるため,納付通知書を基準にする必要がある。
第3 従業員を雇う場合の税・労働保険・社会保険
1 源泉所得税と住民税の特別徴収
給与又は税理士・弁護士等への一定の報酬から源泉徴収した所得税等は,原則として支払月の翌月10日までに納付する。
給与の支給人員が常時10人未満であり,税務署長の承認を受けた場合,給与,退職手当及び一定の士業報酬に係る源泉所得税等について,1月から6月までの分を7月10日までに,7月から12月までの分を翌年1月20日までにまとめて納付できる。
住民税の特別徴収税額は,原則として給与から徴収した月の翌月10日までに納入する。
従業員が常時10人未満で大阪市の承認を受けた場合,6月から11月までに徴収した分は12月10日までに,12月から翌年5月までに徴収した分は翌年6月10日までに納入できる。
2 法定調書・給与支払報告書・償却資産申告
給与所得の源泉徴収票は,原則として翌年1月31日までに受給者へ交付する。
税務署に提出する給与所得の源泉徴収票及び支払調書には提出範囲があるため,受給者への交付義務と税務署への提出義務を区別する必要がある。
給与支払報告書は,原則として翌年1月31日までに受給者の1月1日現在の住所地の市区町村へ提出する。
令和9年1月1日以後に提出する給与支払報告書については,対応する給与所得の源泉徴収票を税務署へ提出したものとみなす制度が始まるため,国税庁の最新案内と電子申告システムの仕様を確認する必要がある。
大阪市内に事業用の償却資産を所有する者は,毎年1月1日現在の資産を申告する。
令和8年度申告の期限は令和8年2月2日であり,翌年度以後も大阪市が公表する申告の手引で提出期限を確認する必要がある。
3 労働保険
目次第1 この記事が扱う対象1 倒産事件の論点を混同しないこと2 実務で先に確定すべき時点と資料第2 所有権留保と自動車1 留保所有権を確認する四つの事項(1) 最高裁平成22年判決(2) 最高裁平成29年判決2 自動車の評価と提出資料3 公布済みで未施行の担保法制4 譲渡担保法が所有権留保をどう変えるか第3 継続的給付契約と財団債権1 供給拒絶を制限する破産法55条1項2 申立て後・開始前の給付3 財団債権と免責4 公共下水道使用料第4 法人破産における帳簿と電子データ1 法定保存期間2 受任直後の資料保全3 手続終了時の取扱い第5 支払不能と支払の停止1 両概念の違い2 受任通知に関する最高裁判例3 実務上の時系列表第6 否認権と詐害行為取消し1 否認類型を分けること2 第三者資金による弁済3 差押債権者への弁済4 回収額と費用対効果5 詐害行為取消しとの違い第7 破産財団,自由財産及び将来請求権1 破産財団の範囲2 自由財産からの弁済3 将来の死亡保険金請求権第8 租税等の請求権と交付要求1 租税債権の分類2 交付要求の性質と争い方第9 破産管財人の職務と敷金返還請求権の質権1 管財人の判断過程2 最高裁平成18年判決の三つの判断第10 個人再生の申立てと再生計画1 5000万円要件と債権額の計算2 上限超過時の弁済・免除と届出後の異議3 親族援助と個人再生における否認規定4 不当目的・不誠実申立て5 不正な方法による再生計画の成立6 倒産解除特約の効力第11 債権者企業の初動と私的整理1 信用不安を把握した債権者の初動2 法的整理と私的整理3 令和8年12月施行予定の早期事業再生制度第12 関連記事1 破産・免責2 強制執行第13 出典・参考資料1 法令2 裁判例3 公的資料4 文献5 企業法務の解説
第1 この記事が扱う対象
1 倒産事件の論点を混同しないこと
倒産事件では,破産,民事再生,私的整理及び個別執行が相互に関係する一方,それぞれの制度目的と法的効果は異なる。本記事は,実務で繰り返し問題となる論点について,現行法上の結論,事実確認の順序及び判例の射程をまとめるものである。
同じ金銭債権であっても,破産債権,財団債権,優先的破産債権又は非免責債権のいずれに当たるかで,届出,弁済及び免責の扱いが変わる。また,条文上の全国共通ルール,裁判所ごとの提出資料・運用,専門家の経験則及び施行前の新制度は,同じ確度の情報として扱うべきではない。
2 実務で先に確定すべき時点と資料
個別論点を検討する前に,①支払不能及び支払停止の時期,②破産手続開始の申立日,③開始決定日,④問題となる契約又は処分の成立日,⑤登記・登録その他の対抗要件具備時,⑥給付期間又は納期限を時系列にする必要がある。これらの時点を曖昧にしたままでは,所有権留保,継続的給付,相殺,否認及び租税債権のいずれも正確に分類できない。
法人事件では,会計データ,預金履歴,総勘定元帳,契約書,担保資料,固定資産台帳,在庫資料,従業員関係資料及び電子メール等を早期に保全する。個人事件でも,預金履歴,保険,自動車,不動産,退職金,家計及び親族間取引の資料を,名義だけでなく取得原資と実質的な管理状況まで確認する必要がある。
第2 所有権留保と自動車
1 留保所有権を確認する四つの事項
自動車の所有権留保では,①販売会社,購入者及び信販会社の契約関係,②破産手続又は再生手続開始時の所有者登録,③留保所有権が担保する債権の範囲,④保証履行又は立替払による権利移転の根拠を確認する。信販会社が関与しているという事実だけで,別除権を行使できるとは限らない。
自動車の価額が被担保債権残高を上回るときは,担保権者が別除権を行使できる場合であっても,余剰価値が破産財団に帰属し得る。契約解釈と対抗要件の問題を解決した後に,査定額,残債務,処分費用及び余剰の有無を別に計算する必要がある。
(1) 最高裁平成22年判決
最高裁第二小法廷平成22年6月4日判決(平成21年(受)第284号,民集64巻4号1107頁)は,販売会社に留保された所有権が立替払をした信販会社へ移転し,立替金等を担保する旨の三者間合意があった事案を扱った。同判決は,再生手続開始時に信販会社を所有者とする登録がなければ,販売会社名義の登録が残っていても,信販会社がその合意に基づく留保所有権を別除権として行使することはできないとした。
(2) 最高裁平成29年判決
最高裁第一小法廷平成29年12月7日判決(平成29年(受)第408号,民集71巻10号1925頁)は,販売会社に留保された所有権について,保証人が売買代金残額を保証履行し,法定代位した事案を扱った。同判決は,破産手続開始時に販売会社を所有者とする登録があるときは,保証人が留保所有権を別除権として行使できるとしたため,前記判決との違いは保証人という呼称だけでなく,権利移転の法的原因と登録の対応関係にある。
2 自動車の評価と提出資料
自動車を評価するときは,初度登録年月又は初度検査年月だけで機械的に無価値とせず,車種,年式,走行距離,損傷,装備,中古市場,ローン残高及び処分費用を確認する。各裁判所の申立資料には地域差と改訂があるため,事件係属裁判所の最新資料を確認し,必要に応じて複数の査定資料又は価格資料を提出するのが安全である。
電子車検証では,券面だけで所有者情報等の全部を確認できない場合がある。自動車検査証記録事項又は電子車検証のICタグ情報も取得し,登録名義と契約書の記載を照合する必要がある。
3 公布済みで未施行の担保法制
譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律(令和7年法律第56号。以下「譲渡担保法」という。)は,譲渡担保及び所有権留保の効力,対抗要件,実行並びに倒産手続上の扱いを成文化した。同時に成立した譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(令和7年法律第57号)は,動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律を改正し,動産・債権譲渡登記制度を見直す。両法は,令和7年5月30日に成立し,同年6月6日に公布された。
両法は,一部の規定を除き,公布の日である令和7年6月6日から起算して2年6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行される。同日を起算日とする2年6月の期間が満了するのは令和9年12月5日であるから,政令で定めることができる施行日の最終日も同日である。譲渡担保法の本則は,令和8年8月9日現在では施行されておらず,施行期日を定める政令も公表されていない。法務省の案内によれば,施行時には既存契約に関する経過措置も含めて再確認する必要がある。
したがって,現時点の事件は現行法及び前記最高裁判例により処理し,新法を現在の適用法として先取りしてはならない。他方,長期契約,集合動産担保及び施行日をまたぐ契約については,施行日,対抗要件及び経過措置を継続的に確認する必要がある。
4 譲渡担保法が所有権留保をどう変えるか
譲渡担保法のうち所有権留保契約を定めるのは第3章(109条から111条まで)である。同法109条1項は,所有権留保契約に基づく動産の所有権の留保は,所有権留保動産の留保買主等から留保売主等への引渡し(登記又は登録をしなければ権利の得喪及び変更を第三者に対抗することができない動産にあっては,留保売主等を所有者とする登記又は登録)がなければ第三者に対抗することができないとする。同法2条1号イ⑵は道路運送車両法による登録を受けた自動車を「登録自動車」と定義し,同条16号イは,所有権留保契約の目的となる動産から抵当権の目的とすることができるものを除きつつ,登録自動車をその除外の対象から外している。したがって,登録自動車の所有権留保では,留保売主等を所有者とする登録が対抗要件となる。
同法109条2項は,代金の支払債務又はその履行によって生ずる償還債務のみを担保する所有権留保について,引渡しがなくても第三者に対抗することができるという特則を置く。もっとも,同項の対象となる所有権留保動産からは登記又は登録を対抗要件とする動産が除かれているため,登録自動車はこの特則の対象から外れ,1項の原則に戻る。
同法110条は,留保買主等について再生手続開始の申立て又は更生手続開始の申立てがあったとき,及び留保買主等に再生手続開始の原因となる事実又は更生手続開始の原因となる事実が生じたときに所有権留保契約が解除される旨の特約並びにこれらを理由として留保売主等に解除権を付与する特約を,無効とする。ただし,対象は同法2条16号イの類型,すなわち売主が自ら代金債務等を担保するために所有権を留保する契約に限られ,買主の委託を受けた第三者が代金を支払って所有権を取得する同号ロの類型は含まれない。
同法111条1項は,第2章の規定のうち動産譲渡担保契約に係る部分を留保所有権に準用する。準用から除かれるのは第2章の一部の条及び款であり,第3節「破産手続等における譲渡担保権の取扱い」(97条から108条まで)は除かれていない。同法97条1項は,破産者が譲渡担保権設定者としてその目的である財産について権利を有し,かつ,その権利が破産財団に属する譲渡担保権を有する者について,破産法中破産財団に属する財産につき質権を有する者に関する規定を適用するとしているから,留保所有権を別除権として扱うことが条文上明らかになる。
もっとも,同法109条1項が登記又は登録を求める名義は,留保所有権を有する者である「留保売主等」(同法2条19号)である。保証債務を履行して法定代位した保証人について,販売会社を所有者とする登録のままで対抗要件を満たすといえるかは,条文の文言から一義的に定まらない。前記最高裁平成29年判決の結論が施行後も維持されるかは,施行に向けて公表される解説等で確認する必要がある。
第3 継続的給付契約と財団債権
目次
第1 この記事の対象と結論
第2 中央青山監査法人とカネボウ事件
1 中央青山監査法人の成立
2 カネボウの決算訂正と上場廃止
3 金融庁による業務の一部停止処分
第3 業務停止後の顧客・人員の移動
1 被監査会社への影響
2 あらた監査法人の発足とみすず監査法人への改称
3 日興コーディアルグループの会計問題
第4 監査業務の移管と自主解散
1 他の監査法人への移管方針
2 社員総会の解散決議
目次
1 公証人の任命状況
2 公証人の公募及び応募状況等
3 公証人の採用選考
4 元検事及び元判事については,応募すればほぼ全員が公証人に採用される理由
5 民間出身者からの応募が少ない理由
6 公証人ポストの事実上の任期
7 公証人の手数料収入
8 収支合同の公証役場
9 関連記事その他
* 「公証人の任命状況(2019年5月1日以降)→公証人への任命直前の,元裁判官,元検事等の経歴を記載したもの」,及び「公証人一覧」も参照してください。
1 公証人の任命状況
(1) 法務省民事局総務課公証係作成の「公証人の任命状況」を以下のとおり掲載しています。
・ 平成26年度から令和5年度まで
・ 平成25年度から令和4年度まで
・ 平成24年度から令和3年度まで
・ 平成23年度から令和2年度まで
・ 平成22年度から令和元年度まで
・ 平成21年度から平成30年度まで
* 「公証人の任命状況(平成26年度から令和5年度)及び指定公証人の数」といったファイル名です。
(2) 平成18年度以降の,公証人の定員,現在員,年齢別内訳及び前職別内訳は以下のとおりです(基準日は各年度の12月1日です。)。
令和4年度
定員:678人
現在員:506人
年齢別内訳:60歳以下が58人,61歳から65歳が271人,66歳から70歳が177人
前職別内訳:判事が138人,検事が205人,法務事務官等が163人
令和3年度
定員:678人