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公民館の自主講座で小説を翻訳・投影・配布できるか――著作権法35条・36条・38条・47条の6(AI作成)

第1 結論

市立公民館が組織的・継続的に行う非営利の自主講座であれば、著作権法35条の「学校その他の教育機関」に当たり、授業の過程で必要な限度の複製・公衆送信等が認められる余地がある。これに対し、市民の読書会やサークルが公民館の一室を借りて活動するだけなら、会場が公民館であることから直ちに35条の教育機関になるわけではない。

小説の翻訳、スクリーン投影、紙の配布、クイズへの利用及びオンライン送信は、それぞれ27条、22条の2、21条、36条及び23条の問題である。非営利・無料だから一括して自由になるのではない。35条、36条、38条及び47条の6の要件を、利用行為ごとに分ける必要がある。

第2 公民館と「公民館を借りる自主グループ」は別である

文化庁の「改正著作権法第35条運用指針」は、学校その他の教育機関を、組織的・継続的に教育活動を営む非営利の機関とし、公民館、博物館、図書館、生涯学習センター等を対象例に挙げる。他方、営利を目的として設置された塾、予備校、文化センター、企業内研修施設等は対象外とする。

重要なのは、誰が講座を設置・運営し、教育課程、講師、受講者及び会場を管理しているかである。市又は公民館が主催し、継続的な教育活動として位置付ける講座と、私的団体が公民館を単に会場として借りる集会は区別する。

会費又は200円程度の会場費を集めているかだけでは決まらない。営利性は一事情であるが、非営利であることだけで35条の「教育機関」になるわけではない。

第3 35条が使える場合

著作権法35条1項は、営利を目的として設置されたものを除く学校その他の教育機関で、教育を担任する者及び授業を受ける者が、授業の過程で必要と認められる限度において、公表された著作物を複製し、又は公衆送信等することを認める。ただし、著作物の種類・用途、複製部数、利用態様等に照らし、著作権者の利益を不当に害する場合は除かれる。

公民館の正規の講座が教育機関の授業に当たるとしても、小説1冊の全文を毎回配布する、市販教材の購入に代えて全員分を複製する、受講者以外も閲覧できるウェブサイトへ掲載するなど、権利者の市場と競合する利用は許されにくい。

必要性と分量は、講座の目的、対象箇所、受講者数、利用期間、アクセス制限及び市販物の入手可能性から判断する。出所を明示することは重要であるが、出所を示せば35条の限度を超えてもよいわけではない。

第4 36条の試験問題としての利用

著作権法36条1項は、公表された著作物を、入学試験その他の学識技能に関する試験又は検定の問題として、目的上必要な限度で複製・公衆送信することを認める。ただし、著作権者の利益を不当に害する場合は除かれ、営利目的の利用者には通常の使用料相当額の補償金支払義務がある。

講座の理解度を確認する簡単なクイズが、同条の「試験又は検定」に当たるとは限らない。裁判例は、試験の公正な実施のため、どの著作物を問題に利用するかを事前に秘密にする必要があり、そのため事前許諾が困難であることを重視する。

読書会で既に指定された小説から問題を作る場合、題材が秘密でないため36条の趣旨が妥当しにくい。35条が使える教育機関の授業なら35条を検討し、それ以外は引用又は許諾を検討する。

第5 38条の非営利・無料の上映等

著作権法38条1項は、公表された著作物について、営利を目的とせず、聴衆又は観衆から料金を受けず、実演家等に報酬が支払われない場合に、公に上演、演奏、上映又は口述することを認める。小説の原文をスクリーンに投影する行為は、画像として公に伝達する上映に当たり得る。

しかし、38条1項は紙への複製、データの配布、ウェブ掲載又は翻訳を一般的に認める規定ではない。また「公に」といえるかは、誰でも参加できるか、会員の範囲、人数、反復継続性等による。著作権法上の「公衆」には特定かつ多数の者も含まれるため、登録制であっても直ちに私的利用になるわけではない。

参加者が5人から10人程度であることだけで結論は決まらない。閉鎖的な少人数の私的集まりか、継続的に参加者を募集する講座かを事実に即して判断する。

第6 翻訳と47条の6

小説を日本語から外国語へ、又は外国語から日本語へ翻訳する行為は、著作権法27条の翻訳権の対象である。原文の上映が38条1項で許されても、38条だけを根拠に無許諾で翻訳文を作成・投影できるとは限らない。

著作権法47条の6は、一定の権利制限規定によって著作物を利用できる場合に、必要な翻訳等を認める。35条1項による授業利用には、同条を介して翻訳が認められる余地がある。他方、47条の6が列挙する規定に38条は含まれていないため、38条による非営利・無料の上映が許されることから翻訳まで当然に許されるわけではない。

引用として原文の必要な一節を示し、その範囲で翻訳を付す場合は、32条と47条の6を検討する。作品全体又は長い章の翻訳を配布・投影する場合は、原則として権利者の許諾を得る。

第7 投影・配布・オンライン送信を分ける

利用行為主な支分権主な検討規定
原文をスクリーンに投影上映権35条又は38条1項。必要性、非営利・無料、公衆性を確認する。
翻訳文を作成翻訳権27条。35条等が使えるときは47条の6も検討する。
紙で参加者に配布複製権35条、32条又は許諾。38条だけでは足りない。
限定サイトへ掲載公衆送信権35条2項の補償金制度、アクセス制限、必要期間を確認する。
クイズ問題として複製複製権等36条の秘密性・試験性、又は35条・32条を検討する。

第8 実施前のチェックリスト

①主催者は公民館・自治体か、私的な自主グループか。
②講座は組織的・継続的な非営利教育活動か。
③利用するのは原文か翻訳文か。
④投影、朗読、紙配布、メール送付、限定サイト掲載のどれを行うか。
⑤対象箇所、部数、受講者数、利用期間及びアクセス範囲は必要最小限か。
⑥市販の書籍・電子書籍・教材の購入に代わる利用になっていないか。
⑦試験・検定として題材を事前に秘密にする必要があるか。
⑧許諾が必要な場合、著作者、出版社、翻訳者その他の権利者を確認したか。

第9 出典・確認範囲

①e-Gov法令検索「著作権法」2条、21条、22条の2、23条、27条、32条、35条、36条、38条及び47条の6。
②文化庁「改正著作権法第35条運用指針」。
③文化庁「著作権制度の概要」。
④東京高裁平成12年9月11日決定(平成12年(ラ)第134号)。
⑤東京地裁平成15年3月28日判決(平成11年(ワ)第5265号)。

確認日:令和8年9月28日。個別の公民館事業が35条の教育機関に当たるかは、条例、事業計画、主催者、運営体制及び講座の実態を追加確認する必要がある。