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暗号資産で支給する役員退職給与―時価譲渡・原価・過大給与・仮装経理(AI作成)

第1 結論

法人が保有する暗号資産を役員退職給与として移転した場合,現金支給ではないという理由で法人税の所得計算から外れるものではない。
移転時の時価で役員に経済的利益を供与したものとして,①暗号資産の譲渡損益,②役員退職給与の損金算入限度,③隠蔽又は仮装による経理の有無を別々に計算する。

第三者の口座を経由させ,又は販売手数料等の名目で記帳しても,実際の受領者,株主総会決議,移転経路及び役務の有無から取引の実質を認定する。

第2 暗号資産の移転は時価で把握する

1 法人税法22条2項

法人税法22条2項は,有償又は無償による資産の譲渡等に係る収益を益金の額に算入する。
役員に資産を現物で給付した場合,資産の時価による譲渡と役員への給与支給を組み合わせて把握する。

暗号資産の時価は,移転時点,取引所,市場流動性,取引数量及び売買価格の異常値を確認して算定する。
帳簿価額又は法人が取得した当時の価格をそのまま給付額にするものではない。

2 設例

法人が帳簿価額1単位1万円の暗号資産200単位を役員へ移転し,移転時の時価が1単位10万円であったとする。
時価総額は2000万円,帳簿価額は200万円であり,資産の譲渡に係る収益と原価の差額は1800万円となる。

会計上の表示方法にかかわらず,税務上は時価による資産移転と,2000万円の役員退職給与の損金算入可否を分けて検討する。

第3 役員退職給与の損金算入

1 退職の事実と支給決議

役員退職給与は,役員の退職により支払われる給与である。
退職の事実,株主総会等の決議,支給基準及び実際の資産移転を確認する。

名目上辞任しても実質的に同じ職務を続けている場合,又は支給決議と異なる者へ資産が移転した場合は,退職給与該当性自体を再検討する。

2 不相当に高額な部分

法人税法34条2項及び同法施行令70条2号は,役員の業務に従事した期間,退職の事情,同業種・同規模法人の支給状況等に照らし,不相当に高額な部分を損金不算入とする。

在任期間だけでなく,常勤・非常勤,担当業務,経営への寄与,従前の役員給与,退職理由及び同業比較資料を収集する。
株主総会決議があること又は本人が受領に同意したことだけで,税務上の相当額が確定するものではない。

第4 隠蔽又は仮装による役員給与

法人税法34条3項は,法人が事実を隠蔽し,又は仮装して経理することにより役員へ支給する給与を損金不算入とする。
実際は役員への退職給与であるのに,取引先への販売手数料と記帳し,取引先口座を経由して役員へ移転した場合は,同項の問題が生じる。

この規定は,不相当に高額な部分だけでなく,隠蔽又は仮装により支給した給与の額を対象とする。
過大役員退職給与の論点だけで計算を終えず,仮装経理が認定される範囲を別に検討する。

第5 第三者口座を経由した場合の証拠

①暗号資産取引所の法人・第三者・役員各口座の名義及び取引履歴
②トランザクションID,日時,数量及び送付先アドレス
③株主総会議事録,退職慰労金規程及び算定資料
④販売手数料の契約,請求書,役務提供及び対価の対応
⑤法人の総勘定元帳,補助元帳,暗号資産台帳及び税務申告調整
⑥役員の所得税申告,源泉徴収及び受領後の処分

第三者に実在する役務があったか,第三者が暗号資産を自由に処分できたか,最初から役員へ移す合意があったかを時系列で確認する。

第6 仕訳と税務計算を分ける

販売手数料として仕訳されていても,その勘定科目だけで損金算入は決まらない。
税務上の取引を認定した上で,時価譲渡収益,暗号資産の原価,役員退職給与及び損金不算入額を別表で調整する。

暗号資産の期末評価,譲渡損益の計算方法及び移転時の源泉徴収等は,保有する暗号資産の種類及び具体的な支給方法に応じて別途確認する。

第7 出典

①e-Gov法令検索「法人税法」22条,34条
②e-Gov法令検索「法人税法施行令」70条
③国税庁「No.5202 役員等に対する経済的利益」
④税務大学校「法人税法(基礎編)令和8年度版」
⑤国税庁「暗号資産に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」