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ニカラグア事件とは|反政府勢力への武器供与・武力行使・不干渉原則(AI作成)

第1 ニカラグア事件が示した三つの区別

軍事的・準軍事的活動事件(ニカラグア対米国)は,反政府勢力への支援をめぐり,①武力行使禁止,②不干渉原則,③武力攻撃を区別した。援助が違法かを判断する際には,この三つを同じ概念として扱わないことが重要である。

本記事は,違法性阻却事由を除き,武器供与そのものがどの原則に関係するかを整理する。

第2 武力行使禁止原則

国連憲章2条4項は,加盟国に対し,国際関係において,他国の領土保全又は政治的独立に対する武力の威嚇又は行使を慎むよう求める。ICJは,この禁止が条約上の規則であるだけでなく,慣習国際法としても存在するとした。

友好関係原則宣言(国連総会決議2625)も,他国の政府転覆を目的とする不正規軍又は武装集団の組織・援助等を慎む義務を示している。

第3 不干渉原則

不干渉原則は,各国が自由に決定すべき政治・経済・社会・文化体制などについて,強制的に介入することを禁ずる。政府の転覆を目的として反政府勢力を支援する行為は,政治制度の選択へ強制的に介入する性質を持つ。

ニカラグア事件本案判決は,コントラへの訓練,武装,装備,資金供与,補給その他の支援を,不干渉原則に違反するものとした。人道援助と軍事的支援は区別される。

第4 反政府勢力への武器供与

ICJは,他国の反政府勢力に武器を供与する行為を,武力の行使に当たり得る支援として扱った。武器は反政府勢力の軍事活動を直接可能にするため,単なる政治的支持や資金援助よりも武力行使との結び付きが強い。

したがって,他国政府を打倒する目的で,その国内の武装組織へ武器を供与する事例では,国連憲章2条4項及びこれと並行する慣習国際法上の武力行使禁止に違反すると論じるのが中心となる。

第5 資金援助との違い

ニカラグア事件は,反政府勢力への資金供与について,それだけで武力行使に当たるとはしなかった。他方,政府転覆を目的とする支援である以上,不干渉原則に違反し得る。

答案では,「支援」という一語で一括せず,武器,訓練,装備,情報,兵站,資金,人道援助を分け,各行為が武力行使と不干渉のどちらに当たるかを検討する。

第6 武力行使と武力攻撃は同じではない

国連憲章51条の個別的・集団的自衛権は,「武力攻撃」が発生した場合を扱う。ICJは,最も重大な形態の武力行使である武力攻撃と,それより軽い武力行使を規模・効果によって区別した。

反政府勢力への武器・兵站等の援助は,武力行使又は不干渉違反になり得るが,それだけで当然に武力攻撃と同一視されるわけではない。設問が武力行使禁止違反だけを問う場合,自衛権の発動要件まで混同しない。

第7 反政府勢力の行為の国家への帰属とは別問題である

支援国自身による武器供与が違法かという問題と,反政府勢力が行った個々の攻撃を支援国の行為として帰属させられるかという問題は別である。

前者は支援国自身の行為を評価する。後者は,反政府勢力に対する国家の支配・指示の程度などを検討する。武器供与の事実が認められている設問で,帰属の立証がないことを理由に支援国自身の違反まで否定してはならない。

第8 答案の組み立て方

  1. 国連憲章2条4項と慣習国際法上の武力行使禁止を示す。
  2. 他国政府の打倒という支援目的と,武器供与という軍事的手段を認定する。
  3. ニカラグア事件を踏まえ,武器供与は武力行使に当たり,不干渉原則にも違反すると評価する。
  4. 資金援助だけの場合,武力行使と不干渉の結論が分かれ得ることを補足する。
  5. 武力攻撃,自衛権,反政府勢力の行為の帰属とは区別する。

第9 関連記事

戦間期の戦争放棄と国連憲章体制の関係は,不戦条約の内容,成立経緯及び現在の全締約国(AI作成)を参照されたい。ICJの管轄権と多国間条約留保は,ICJ選択条項受諾宣言とは|相互主義・留保・条約法と慣習国際法(AI作成)で整理している。

第10 出典

① Repertory of Practice of United Nations Organs, Article 2(4)。
② Military and Paramilitary Activities in and against Nicaragua (Nicaragua v. United States of America),Jurisdiction and Admissibility, Judgment of 26 November 1984; Merits, Judgment of 27 June 1986。
③ ICJ, Summary of the Judgment of 27 June 1986。
④ General Assembly resolution 2625 (XXV), Friendly Relations Declaration。