目次
第1 連携を考える場面とこの記事の対象1 手続が変わると担当と委任を確認する2 顧問契約だけで次の手続まで受任済みとしない第2 税務代理・不服申立ての代理・訴訟の補佐人1 税務代理と不服申立ての代理2 訴訟の補佐人は訴訟代理人と異なる3 税理士法人の受託と自然人の選任第3 税務調査から処分への移行1 資料,回答及び判断を分けて管理する2 修正申告前に争い方を確認する3 更正の請求が未処理・返送の場合の連携第4 不服申立てと取消訴訟の期間1 一般的な期間と例外2 裁決を待たずに提訴できる場合3 争うことと納付・徴収の停止を分ける第5 資料と期限を引き継ぐための記録1 移行時の引継ぎ項目2 依頼者の判断と費用を明らかにする3 資料を共有する目的と範囲を記録する第6 関連記事第7 出典
第1 連携を考える場面とこの記事の対象
1 手続が変わると担当と委任を確認する
税務調査への対応,課税処分への不服申立て及び裁判所への訴えは,手続も必要な準備も異なる。
帳簿や取引を把握している税理士と,法的争点や裁判手続を担当する弁護士が連携する場合には,誰がどの範囲を受任し,どの期限までに何を行うのかを具体化する必要がある。
本記事は,令和8年10月7日に確認した法令と公的資料に基づき,通常の国税の課税処分に関する連携の基本を整理する。
地方税,国税犯則調査,刑事手続及び滞納処分に固有の不服申立期間を網羅するものではなく,具体的な税額計算や個別事件の勝敗は扱わない。
2 顧問契約だけで次の手続まで受任済みとしない
記帳・申告又は調査対応の依頼が,審査請求や訴訟の受任まで含むかは,契約と委任内容による。
処分通知を受けてから新たな担当を探している間にも期間は進むため,争いが見込まれる段階で,移行先の担当,費用,判断の期限及び資料共有の方法を確認しておくのがよい。
以下の担当表や引継ぎ項目は,連携のための運用例である。
法定の様式や,職種ごとの排他的な業務分担を定めるものではない。
第2 税務代理・不服申立ての代理・訴訟の補佐人
1 税務代理と不服申立ての代理
税理士法2条1項1号の税務代理には,税務官公署に対する申告等や不服申立て,調査・処分に関する主張又は陳述についての代理・代行が含まれる。
税務代理をする税理士は,同法30条に基づき,権限を証する書面を提出する必要がある。
国税通則法107条は,不服申立人が弁護士,税理士その他適当と認める者を代理人に選任できると定める。
ただし,不服申立ての取下げと代理人の選任は特別の委任が必要であり,税理士法31条にも同旨の規定がある。
手続上の代理人資格と,税理士業務を業として行う場合の業務制限は,別の問題として確認する必要がある。
弁護士が税理士法51条の通知によって税理士業務を行う場合には,所属弁護士会を経由した国税局長への通知と,管轄区域を含む同条の条件を確認する。
弁護士であることだけを理由に,税務代理の手続や通知の確認を省略することはできない。
2 訴訟の補佐人は訴訟代理人と異なる
税理士法2条の2第1項は,租税に関する事項について,税理士が裁判所で補佐人として,弁護士である訴訟代理人とともに出頭し,陳述することを認めている。
この規定は,税理士が弁護士の訴訟代理人に代わって単独で訴訟を代理する制度ではない。
同条2項によれば,補佐人の陳述は当事者又は訴訟代理人が自らしたものとみなされる。
ただし,当事者又は訴訟代理人が直ちに取り消し,又は更正したときは例外となる。
税額計算の説明も主張の一部になり得るため,出頭前に,帳簿・計算表・準備書面の数値と事実の説明を照合し,確認した事実と推測を分けておくことが重要である。
3 税理士法人の受託と自然人の選任
税理士法48条の6は,税理士法人が,補佐人の事務を社員又は使用人である税理士に行わせる事務の委託を受けることを認める。
その場合は,委託者に,社員等の中から補佐人を選任させなければならない。
(続きを読む...)税務調査・審査請求・租税訴訟における弁護士と税理士の連携―依頼範囲,補佐人,資料及び期限の引継ぎ(AI作成)