メインコンテンツへスキップ
       

問題社員対応の基本手順―事実確認・注意指導・改善機会・記録化から処分まで(AI作成)

第1 問題社員対応の出発点

1 「問題社員」は法律上の類型ではないこと

「問題社員」は,能力不足,勤務成績不良,勤怠不良,業務命令違反,ハラスメントその他の非違行為など,会社が対応を要すると考える事情を便宜上まとめた呼称であり,法令上の定義はない。
そのため,すべての事案に共通する法定の手順も存在せず,問題の性質,雇用契約,就業規則,労働協約及び本人の事情に応じて対応を組み立てる必要がある。

本記事では,無期雇用の従業員について会社が問題を把握してから,事実調査,注意指導,改善状況の確認,記録化及び処分の検討へ進む標準的な順序を説明する。
試用期間中の本採用拒否,有期労働契約の雇止め,私傷病休職,退職勧奨及び個別のハラスメント調査は,それぞれ固有の要件があるため,本記事だけで結論を出すことはできない。

定年退職後の再雇用は,通常の問題社員対応とは異なり,旧契約の終了,高年齢者雇用確保措置,新しい再雇用契約及び退職金規程の適用範囲を先に確認する必要がある。
再雇用後の退職金については,定年後再雇用で退職金が再度発生する場合―日本経営通信社事件と就業規則・再雇用手続(AI作成)を参照されたい。

2 最初に問題の種類と保護される事情を分けること

最初に,問題を「能力・成績」,「勤怠・業務命令」,「非違行為」又は「健康上の就業制限」のどれとして扱うのかを仮に分類する。
同じ結果が生じていても,必要な調査と対応は異なるからである。

①成果が不足している場合は,雇用契約上期待された職務と水準,評価資料,教育訓練及び改善可能性を確認する。
②遅刻,欠勤又は業務命令違反の場合は,勤務記録,指示の内容,指示の必要性,伝達方法及び従わなかった理由を確認する。
③横領,暴力,情報漏えい又はハラスメント等が疑われる場合は,証拠保全と関係者の安全を優先し,事実が確定する前に処分を決めない。
④病気又は障害が業務遂行に影響している可能性がある場合は,能力不足の記録だけを積み上げず,就業上の措置及び合理的配慮の検討へ分岐する。

妊娠,出産,育児休業,労働組合活動,公益通報又はハラスメント相談等に近接して不利益な措置を検討するときは,その事情を理由とする不利益取扱いの禁止に抵触しないかを先に確認する。
例えば,男女雇用機会均等法9条,育児・介護休業法10条,労働組合法7条,公益通報者保護法3条及び5条並びに労働施策総合推進法31条2項は,それぞれ保護対象と要件が異なるため,「別の問題行動もあった」というだけでは検討を省略できない。

第2 事実確認は結論を決める前に行うこと

1 調査対象を具体的な事実に置き換えること

「能力がない」,「協調性がない」,「態度が悪い」という評価だけでは,何を調査し,何を改善すべきかが明らかにならない。
まず,①いつ,②どこで,③誰が,④どの職務又は指示に関して,⑤何をし,又はしなかったか,⑥どのような結果が生じたかを特定する必要がある。

調査対象ごとに,根拠となる雇用契約,就業規則,業務手順,個別の業務命令又は通常期待される職務水準を対応させる。
会社が後から設定した基準や,他の従業員との相対順位だけで,直ちに問題行動又は能力不足を確定してはならない。

2 原資料を保全してから関係者を聴取すること

勤怠データ,業務日報,電子メール,チャット,成果物,苦情記録,防犯カメラ映像その他の客観資料は,保存期間の経過,通常運用による上書き又は関係者による削除が生じる前に保全する。
保全に際しては,原本又は元データを残し,取得日時,取得者,取得元及び複製の方法を記録する。

資料へのアクセスは,会社が適法に取得・利用できる業務資料の範囲で行う。
従業員の私物,私用アカウント又は健康情報まで当然に調査できるわけではなく,就業規則,情報管理規程,個人情報保護及び調査目的との関係を確認する必要がある。

事情聴取は,通常,申告者又は問題を把握した者,客観的な立場の関係者,対象者の順に行う。
もっとも,証拠隠滅,口裏合わせ又は安全上の危険が具体的に見込まれる場合には,順序,アクセス制限又は暫定的な配置を別途検討する。

3 本人の説明と反証の機会を確保すること

対象者には,回答できる程度に日時,場所,行為及び問題とされる規範を示し,認否,経緯,理由,関係資料及び関係者について説明を求める。
誘導的な質問を避け,会社の仮説と異なる説明も記録し,必要な裏付け調査を行う。

面談記録には,出席者,開始・終了時刻,質問と回答の要旨,提出資料及び後日確認する事項を記載する。
署名を求める場合も,署名しないことを直ちに事実の自認又は調査非協力と扱わず,記録案を交付して訂正申出の機会を設け,拒否の事実と本人の理由をそのまま残すのが相当である。

調査のための事情聴取と,懲戒処分を予定して行う弁明手続は目的が異なる。
前者を行っただけで,後者について就業規則又は労働協約が定める手続を省略できるとは限らない。

第3 注意指導は事実・基準・改善方法を示して行うこと

1 業務上の指導と懲戒処分を区別すること

注意指導は,問題を具体的に伝え,今後の業務を改善させるための業務上の措置であり,それ自体が当然に懲戒処分となるものではない。
ただし,会社が「譴責」,「戒告」その他の制裁として運用すれば,名称にかかわらず懲戒の根拠と相当性が問題となり得るため,文書の性質を曖昧にしない方がよい。

口頭注意だけで改善できる軽微な事項もあるが,繰り返しが問題となる事項,評価が分かれる事項又は将来の処分判断に関係する事項は,面談後に書面又は電子メールで内容を確認する。
その目的は,処分のための記録を作ることではなく,会社と本人が同じ事実と改善目標を認識しているかを確かめることにある。

長年見過ごしてきた行為をある時点から懲戒の対象にするときは,処分の前に,その行為がルールに反することを告げて是正の機会を与えておくことが特に重要になる。
違反を強く疑った後も注意指導をせずに観察・記録を続けて懲戒処分をしたことが,信義則に反し裁量権の逸脱・濫用に当たるとされた公務員の例は,長年黙認されてきた行為を懲戒処分できるか―注意指導をせずに観察・記録を続けた処分と門真市事件(大阪地裁令和8年3月30日判決)で扱っている。

2 指導書に含める内容

指導書又は面談記録には,少なくとも,①確認した具体的事実,②根拠となる職務,規程又は業務指示,③求める改善結果,④改善の方法,⑤会社が提供する指導又は支援,⑥確認期間と次回確認日,⑦改善しない場合に検討し得る措置を記載する。
「もっと努力すること」,「協調性を持つこと」など,達成したかを判断できない表現だけでは足りない。

能力や成績を指導するときは,担当職務,採用時に示した役割,経験,勤続期間及び従前の評価を踏まえ,現実に達成可能な基準を設定する。
数値目標を用いる場合も,会社が管理できない市況や他の従業員の成績だけで達成の可否を決めず,具体的な行動,成果物の品質,期限及び確認方法を併記する。

会社が懲戒処分までは行わず,書面による厳重注意又は業務上の指導を行う場合は,文書の性質を明確にし,確認した具体的事実,問題となる規程又は職場ルール,今後求める行動及び再発時に検討し得る措置を記載する。
受領欄は文書を受け取ったことの確認にとどめ,受領が記載事実又は法的評価の自認を意味しないことを明示する方法が考えられる。
本人が受領又は署名を拒んだ場合は,日時,同席者,提示方法及び本人が述べた理由を記録し,署名拒否だけを新たな懲戒事由又は事実の自認として扱わない。
厳重注意書の記載事項,報復禁止条項及び受領欄の書き方は,「厳重注意書の書き方―懲戒処分との違い,記載事項,報復禁止条項及び受領欄(AI作成)」で説明している。

3 指導の方法がハラスメントにならないようにすること

労働施策総合推進法31条に基づく厚生労働省指針は,客観的に見て業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導は,職場のパワーハラスメントに該当しないとしている。
他方,問題行動があっても,人格を否定する発言,見せしめのための叱責,必要性のない長時間の追及又は達成不能な要求は,指導という名称だけで正当化されない。

指導は,問題となる業務上の事実に絞り,場所,参加者,時間,頻度及び表現を必要な範囲に限定する。
指導担当者と対象者の関係が既に悪化している場合は,人事担当者等を同席させ,感情的な応酬を避けることが望ましい。

第4 改善機会の内容と期間は事案ごとに決めること

1 能力不足・勤務成績不良では改善可能性を検証すること

能力不足又は勤務成績不良を理由とする普通解雇について,法律が一律の改善期間を定めているわけではない。
しかし,労働契約法16条の客観的合理性及び社会通念上の相当性を判断する上で,会社が期待水準を明確にし,必要な指導を行い,改善可能性を確かめた経過は重要な事情となる。

セガ・エンタープライゼス事件の東京地裁平成11年10月15日決定は,当該就業規則の解雇事由を前提に,従業員が相対評価で下位にあり平均的水準に達していないことだけでは足りず,著しく労働能率が劣り,向上の見込みがないことを要するとした。
同決定は,人事考課が相対評価であるから考課順位が低いことだけでは著しく労働能率が劣るとはいえないとし,さらに体系的な教育・指導を実施して労働能率の向上を図る余地があったこと及び雇用関係を維持する努力をしたとは評価し難いことを挙げて,解雇を権利の濫用として無効と判断した(仮処分決定であり,主文で認められたのは賃金の仮払いである。)。

厚生労働省の「無期転換ルール及び多様な正社員等の労働契約関係の明確化に関する考え方と裁判例」も,能力不足解雇について,改善のための警告に加え,可能な範囲で教育訓練,配置転換又は降格等を行うことが紛争予防に資すると整理している。
もっとも,高度な専門性を伴う職務に限定して採用された者では,教育訓練や配置転換まで求められない場合があるとしており,すべての措置を機械的に尽くす義務があるという趣旨ではない。

能力不足・協調性不足による普通解雇で検討すべき評価基準,改善指導,配置転換及び解雇回避措置については,能力不足・協調性不足による普通解雇―改善指導・配置転換・解雇回避措置と裁判例(AI作成)で詳しく説明している。

最終評定が平均点調整や部門の評価分布によって決まる場合には,項目別の評価と調整前後の点を分け,低評定が生じた過程を確認する。
担当業務,案件の難易度,教育・支援及び成果を上げる機会の差も点検し,調整後の順位だけを具体的な能力不足又は非違行為へ置き換えない。
この点検は,会社の評価制度が設ける計算を検証するための方法であり,平均点調整自体を一律に禁止するものではない。

2 改善計画に必要な要素

改善計画では,①対象とする職務,②現状と期待水準の差,③実行すべき行動,④研修,手順書,同行指導又は確認者等の支援,⑤中間確認日,⑥最終確認日,⑦評価資料,⑧本人の意見を定める。
本人が計画に同意しない場合も,合理的な業務指示として実施できる範囲と,労働条件の変更として同意等を要する範囲を分けて検討する。

改善期間は,問題の重大性,職務習得に通常必要な期間,これまでの指導期間,会社が提供する支援,職位及び周囲への影響を基に定める。
「1か月」又は「3か月」といった数字を先に決めるのではなく,何を観察すれば改善の有無を判断できるかから逆算する必要がある。

評価時には,改善しなかった事実だけでなく,改善した点,会社側の支援が予定どおり行われたか,新たな事情及び本人の説明も記録する。
目標が途中で変わった場合は,変更理由,変更日及び新しい確認期間を明示し,後から達成不能な基準を追加しない。

3 改善機会を経ずに処分を検討する場合

横領,重大な暴力,意図的な情報漏えいその他一回でも企業秩序に重大な影響を及ぼす非違行為では,能力改善のための段階的指導を経ることが事案の性質に合わない場合がある。
この場合も,直ちに処分を決めるのではなく,事実認定,就業規則上の根拠,故意・過失,結果,過去の同種事例,弁明及び処分の均衡を検討する。

妊娠・育児休業等の保護される事情と近接する場合には,改善機会を与えなかった経過が別の意味を持つ。
東京地裁平成29年7月3日判決は,産前産後休業及び育児休業後の解雇について,会社が従前に専門家から段階的な注意・懲戒を経るよう助言を受けていたのに,復職後の勤務状況を確認せず,注意・指導及び改善の機会を与えないまま解雇したことなどを考慮して,解雇を無効としたものである。
これは育児休業からの復職という事案に即した判断であり,あらゆる能力不足事案に同じ手順を要求した判決として一般化すべきではない。

第5 記録化では事実と評価を分けること

1 同時記録に残す事項

問題の発生日に近い時点で,①日時,②場所,③関係者,④具体的な行為,⑤根拠資料,⑥業務への影響,⑦会社の対応,⑧本人の説明を記録する。
「反抗的」,「やる気がない」などの評価を書く場合は,その評価の根拠となる発言又は行動を併記する。

注意指導の記録には,伝えた内容だけでなく,本人がどのように理解し,どの点に異議を述べ,次回までに何を行うことになったかを残す。
改善計画の中間確認では,同じ様式を使い,評価基準が途中で変わっていないことを確認する。

上司へのメール等を処分の資料とする場合は,問題の一文だけでなく,指示や提案から返信までの往復,宛先・CC,実際に求められた行動及び業務への影響を保存する。
改善提案の内容,表現の礼節及び具体的な指示への不履行を分け,失礼な表現があったことだけから全てを命令違反と扱わない。

確認する経過対応させる資料と確認事項
行為と前後の応答原メール全文,添付,宛先・CC,指示・提案・質問への返信。抜粋だけで文脈を決めない
指示と履行求めた具体的行動,権限・根拠,期限,伝達,実際の実施状況及び業務への影響
当時の会社の認識把握者・把握日,注意指導の日時・内容,本人の応答,当該期間の人事評価とその尺度
後の処分までの経過新たな発見,調査,再発,既処分の有無,処分決定日及び対応を遅らせた理由

当時の標準的又は良好な評価と,後の「当時から重大な問題があった」という説明が食い違う場合は,対象項目,評価者の把握内容及び後に判明した事実を確認する。
評価点の意味は会社ごとの尺度によるため,例えば「3」を他社にも共通する標準評価と決めない。
この表は事実と資料を整理する実務上の方法であり,特定の評価点や注意回数を懲戒の法定要件とするものではない。

2 訂正履歴と原資料を残すこと

記録の誤りが判明した場合は,元の記録を消して作り直すのではなく,訂正日,訂正者,訂正理由及び訂正内容が分かる形で追記する。
電子データは,原本,作業用複製及び提出用資料を区別し,ファイル名,保存場所及びアクセス権限を管理する。

本人が面談記録への署名を拒んだ場合は,署名拒否の日時,その場にいた者及び示された理由を記録し,文書又は電子メールで記録案を交付する。
署名がないことと,指導又は面談がなかったことは同じではないが,交付の記録と本人の訂正申出を残すことで,後の認識違いを減らすことができる。

改善計画への署名又は同意を拒んだことと,具体的かつ適法な業務命令に従わなかったことは区別する必要がある。
後者を懲戒又は解雇の理由とする場合は,指示の内容,業務上の必要性,履行期限,伝達方法,拒否理由及び違反した場合の措置を明確にし,その経過を同時期の資料に残す必要がある。

成果物の見落としや誤った数値など,過去の評価の根拠事実を訂正することと,今後の改善計画を設けることは分ける。
誤りを認めた場合は,次の年度の参考とするだけでなく,当期の評定を見直すか,規程に従って給与・賞与・累積点等の記録へ反映するかを確認する。
根拠規程と賃金への接続は人事評価・能力等級の引下げと賃金減額,本人の確認・申立ての準備は人事評価に納得できないときの確認と再評価申立て―評価表,点数調整,給与・賞与への反映で説明している。

後日作成された指導メモ又は回顧的な報告書は,過去の対応を確認する手掛かりにはなるが,問題となる当日の言動を直接証明する資料とは限らないため,当時のメール,面談記録,人事評価その他の同時期の資料で裏付ける。
生成AIによる要約は整理又は検索の補助であり,原発言,原資料又は会社の正式な認定記録の代わりにはならないため,元資料への参照と人による確認を残す。

3 健康情報は労務記録と分けて管理すること

労働安全衛生法66条の4及び66条の5は,健康診断で異常所見がある労働者について,医師等の意見を聴き,必要に応じて就業場所の変更,作業の転換,労働時間の短縮等の措置を講ずることを定めている。
同法104条は,心身の状態に関する情報を健康確保に必要な範囲で収集し,収集目的の範囲で保管・使用することを原則としている。

障害者雇用促進法36条の3及び36条の4は,障害の特性に配慮した職務遂行上必要な措置と,本人の意向の尊重を定めている。
したがって,病名又は障害に関する情報を広く人事評価資料へ転記するのではなく,就業上必要な情報と評価記録を分け,閲覧者を限定する必要がある。

服務規律違反等が疑われる労働者自身から不眠等の健康不調の申告や診断書の提出があった場合も,内容を確認し,本人の説明と必要に応じた医師・産業医の意見を踏まえて,受診や業務負担の調整等を検討する。
口頭の申告だけで勤務を続けている場合も,配慮の申出がないことだけを理由に,就業上の支障や健康への危険がないと決めない。
人事担当者は,本人が述べた内容,仕事への具体的な影響,受診状況及び現在把握できる危険を確認し,対応と次の確認時期を記録することが望ましい。
面談時間の短縮,休憩,連絡方法の変更など,状況に応じた対応を検討し,新たな診断書や症状の悪化の申告があれば,それまでの判断を見直す。

診断書を受け取ったときは,病名,症状・治療,休業又は就業制限の意見,期間及び原因に関する記載の有無を分けて読む。
就業制限が書かれていないことを「通常勤務に支障なし」という医師の意見に読み替えず,業務上の判断に必要な事項が不足していれば,本人に確認し,必要に応じて本人の同意を得た主治医への照会や産業医等への相談を検討する。
照会では,担当業務,勤務時間及び作業負担を具体的に伝え,必要な配慮と見直し時期を確認する方法が考えられる。
診断書の全文や治療情報を関係部署へ一律に配布せず,健康確保に必要な情報と取扱担当者を絞る。

①治療・就業上の配慮,②問題行為の事実確認,③症状の原因に関する医学的な評価,④会社又は関係者の法的責任は,それぞれ分けて検討する。
診断書を無視することも,診断書だけで問題行為の有無,業務との因果関係又は法的責任の全てが確定したと扱うことも避け,記載内容と他の資料を照合する。

(1) 診断書に就業制限がない場合はどうするか

就業制限の記載がなく,本人への確認と実際の勤務状況から具体的な支障や危険も認められない場合は,通常勤務を基本として判断することが考えられる。
診断書の提出だけを理由に,一律に軽作業への変更,追加の診断書の提出又は主治医への照会まで行う必要があるというものではない。
ただし,無記載を医師による「通常勤務に支障がない」との積極的な意見へ読み替えず,会社が把握した具体的な危険を放置しない。

労働契約法5条と厚生労働省の施行通達第2の5は,職種,労務内容及び場所等の具体的な状況に応じた必要な配慮を求めている。
次の区分は,その考え方を業務上の判断に当てはめるための運用例であり,法定健診後の措置や障害に関する合理的配慮等の別の義務を免除するものではない。

確認できた状況会社の判断・対応
就業制限がなく,具体的な作業上の支障や危険もない通常勤務を基本とし,支障や医師の制限が生じた場合の連絡先を示す
不調の申告はあるが,仕事への影響が不明であるできない作業,困る作業及び安全上の支障を簡潔に確認する
運転や機械操作等に具体的な危険がある問題のある作業を一時調整し,必要な医学的意見を確認する
医師から具体的な制限が示された制限の内容・期間を業務と照合し,必要な調整と見直し時期を決める

確認は,例えば「現在の担当業務で,できない作業や安全上支障のある作業があれば,具体的に申し出てください。今後,医師から制限が示された場合や,仕事に具体的な支障が生じた場合も連絡してください」と伝える方法が考えられる。
具体的な支障や危険が確認されなければ,確認内容を記録して通常勤務を継続する判断が可能であり,抽象的な不安があるというだけで繰り返し同じ照会を重ねない。
主治医への照会が必要になる条件と質問事項は,主治医に何を伝え何を尋ねるかで説明している。

(2) 注意指導や配置転換まで中止する必要があるか

診断書の提出だけで,確認済みの問題行動に対する適切な注意指導や,業務上必要な適法な配置転換まで当然に中止・延期することにはならない。
健康上必要な対応と,問題行為の是正及び職場運営の判断を分け,実際に具体的な危険がある場合は面談方法や担当作業等を調整する。
受診や相談の申出そのものを不利益な判断の理由にせず,配置転換は命令権,職種等の限定合意,業務上の必要性及び本人の不利益等を別に確認する必要がある。

第6 再評価から処分・解雇まで

1 処分より軽い選択肢を先に再評価すること

事実確認と改善期間の終了後は,①指導の継続,②研修又は監督方法の変更,③担当業務の調整,④配置転換,⑤休職その他の健康対応,⑥懲戒処分,⑦普通解雇,⑧合意による雇用終了のどれが問題の性質に合うかを再評価する。
配置転換,降格又は賃金変更は,雇用契約,職務限定の合意,就業規則及び人事権の範囲によって可否が異なるため,「解雇より軽い」という理由だけで自由に行えるものではない。

退職勧奨は本人の自由な意思による合意を目指す手続であり,解雇又は懲戒処分とは区別する。
拒否後も多数回又は長時間にわたり退職を迫る方法は採らず,通常の指揮命令及び評価を退職同意の圧力として利用しない。
配置転換や降格と同じ機会に退職勧奨を行うと,配置転換等が退職を促す手段であったと主張される材料になるため,両者の時期と説明を分けることが考えられる。
退職勧奨が違法となる場合と面談の進め方は,退職勧奨の適法性と進め方―違法となる場合,諭旨退職・解雇との違い及び配転・降格との関係(AI作成)で扱っている。

面談中に「この条件なら辞める」など条件付き又は感情的な退職発言が出た場合は,前後の文脈,条件の内容,確定的な退職意思の有無及び希望する退職日を確認する。
その場の一言だけで辞職又は合意退職が成立したと即断せず,必要に応じて落ち着いて意思を確認し,確認内容を記録する。

2 懲戒処分の根拠と手続

労働契約法15条は,懲戒が行為の性質・態様その他の事情に照らして客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当と認められない場合は無効と定める。
また,最高裁平成15年10月10日判決(フジ興産事件)は,使用者が労働者を懲戒するには,あらかじめ就業規則に懲戒の種別及び事由を定め,その内容を労働者に周知させる手続が必要であるとした。

処分前には,①行為時に有効で周知された懲戒事由に該当するか,②就業規則又は労働協約所定の懲戒委員会,組合協議又は弁明手続を履践したか,③同じ行為を既に処分していないか,④過去の同種事例と均衡するか,⑤行為の重大性に対して処分が重過ぎないかを確認する。
減給の制裁を選ぶ場合は,労働基準法91条により,1件の非違行為に対する減給の合計が平均賃金の1日分の半額を超えてはならず(昭和23年9月20日基収第1789号),「基本給の○%以内を○か月」のように定めた規程をそのまま適用すると同条に反するおそれがある。
他方,職務に不適格であることを理由とする格下げに伴う賃金の低下や無給の出勤停止は,同条の減給には当たらないとされているが(昭和26年3月14日基収第518号,昭和23年7月3日基収第2177号),処分としての相当性は別に検討する必要がある。
減給の上限の詳細は,減給の制裁の上限と解釈例規―労働基準法91条の「1回の額」・「総額」と,降格・出勤停止・賞与との違い(AI作成)で扱っている。

就業規則等に弁明手続が定められていない場合に,弁明の機会を欠くことだけで懲戒が常に無効になるかについては,裁判例の判断が一様ではない。
東京高裁平成11年7月19日判決(時事通信社事件)は,問題となる事実が簡明で,会社が出社と話合いを促したのに本人が応じなかった等の事情の下では,専用の弁明機会を設けなかったことを重大な手続上の瑕疵とはしなかった。

他方,東京地裁令和6年2月21日判決(全日本吹奏楽連盟事件)は,事情聴取で本人が言い分を述べ,さらに書面で釈明を求められて回答していたことから,弁明の機会が十分に与えられたと評価した。
このため,少なくとも事実に争いがある場合又は重い処分を予定する場合には,処分対象事実と根拠規定を知らせ,資料提出を含む現実的な回答期間を設け,その内容を決定者が検討したことを記録するのが安全である。

最高裁平成8年9月26日判決(山口観光事件)は,懲戒当時に使用者が認識していなかった非違行為は,特段の事情がない限り,後から当該懲戒の有効性を根拠付ける理由にできないとした。
したがって,処分通知には,認定した事実,該当する規定,処分の種類及び効力発生日を特定し,調査未了の別件で理由を補わないようにする必要がある。

複数の懲戒事由を検討する場合は,行為ごとに,告知した日時・行為内容,適用規程,本人の回答,提出資料,補充確認及び認定結果を対応させる。
面談を実施したという記録だけで,全ての事由について説明の機会を与えたと扱わない。
規程が事実の告知と弁明を求めている場合に,後から別の行為を処分理由へ加えるなら,その行為も対象として所定の手続を履行したかを確認する。

処分前に告知漏れや重要な食違いが見つかったときは,対象を具体化し,必要な追加聴取や資料確認を行ってから決裁することが考えられる。
これは規程を確実に運用するための提案であり,弁明機会の欠如があらゆる懲戒を当然に無効にするという一律の基準ではない。

懲戒委員会等の手続を定めている場合は,委員の構成,審議した資料,本人の説明,決定の方法及び最終決裁を対応させる。
規程に会議名があることだけで実際に審議したとは扱わない。
利害関係のある者の審議参加をどう扱うかも,規程に従って確認し,必要に応じ制度上の対応を検討する。

処分後の復権や資格回復の規定がある場合は,将来の昇格制限の解除,資格の回復,過去の賃金の精算及び処分記録の利用・保存を分けて確認する。
一定期間が経過したことだけで,処分の効果,過去の減額及び記録が全て自動的になくなるとは推測しない。

3 普通解雇と懲戒解雇を混同しないこと

普通解雇は,労働契約法16条により,客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性が必要である。
懲戒解雇は,懲戒として同法15条の規制を受けるとともに,解雇として同法16条の規制も受ける。

常時10人以上の労働者を使用する事業場では,使用者は,労働基準法89条により,就業規則に退職に関する事項として解雇事由を記載し,制裁を定める場合にはその種類及び程度も記載しなければならない。
解雇を行う場合は,同法20条の解雇予告又は解雇予告手当を確認し,労働者から請求があれば,同法22条に基づく解雇理由証明書を遅滞なく交付する。

解雇予告又は予告手当は解雇の手続に関する制度であり,客観的に合理的な理由を欠く解雇を有効にするものではない。
また,有期労働契約の契約期間途中の解雇には,労働契約法17条1項の「やむを得ない事由」が必要であり,無期雇用の普通解雇と同じ基準で処理することはできない。

少額の売上金領得を例にした判断の順序

労働新聞社の美容室A事件の公開紹介と西川暢春弁護士の解説は,東京地裁令和6年10月15日判決について,美容師による4回・合計2000円の売上金領得を認定し,普通解雇を有効とした事例として紹介している。ここで扱われたのは普通解雇であり,懲戒解雇も当然に有効とする事例ではない。判決全文は未確認であるため,事件固有の事実・判断はこれらの資料による紹介として扱う。

少額の現金持出しが疑われる場合は,①本人が行った具体的な取引・持出しと金額を証拠から認定する,②認定した行為の反復性,故意,現金を扱う職務及び雇用継続への具体的な影響を確認する,③普通解雇か懲戒処分かを選び,適用される根拠・手続と処分の相当性を検討する,という順序で整理する。金額が少ないというだけで免責されるとも,一定額を超えれば解雇できるともいえない。

本人が否認したこと自体を持出しの証拠にせず,チップ,釣銭,承認済みの精算等の説明と客観資料を照合する。返還・弁償や事後対応を処分判断の事情とする場合も,まず行為を認定し,弁明・反証の機会を確保する必要がある。能力不足への教育・改善計画と,故意の財産侵害への対応は性質が異なるが,後者であっても事実確認と規程上の手続を省略できるわけではない。取引単位の調査方法は,社内調査のレジ現金の確認方法を参照されたい。

欠勤日数や遅刻回数を処分基準に定める場合にも,所定回数に達したことだけで解雇・懲戒の有効性を確定しない。
欠勤の理由,会社への連絡,指導・支援,実際の業務への影響及び法で保障された休業等を確認し,労働契約法15条・16条の要件と適用される解雇制限を検討する。
同じ勤怠コードが記録されていても,賃金の不就労控除,賞与評価及び懲戒の根拠は別に確認する。

4 複数の疑義を一括評価せず,事実ごとに立証すること

副業,休暇の申請,テレワーク制度の利用,勤務時間の申告及び経費精算等について複数の疑義が生じた場合でも,「全体として不自然である」という評価から直ちに懲戒事由を認定することはできない。会社は,問題とする行為ごとに,日時,場所,申請又は報告の内容,適用される規程,会社が把握した資料及び本人の説明を対応させ,どの事実が認定でき,どの事実が認定できないかを分ける必要がある。

調査表を作成する場合は,少なくとも次の項目を分けて記載する。

  • 会社が問題とする具体的な行為及びその日時
  • 根拠となる就業規則,テレワーク規程,休暇規程又は経費規程
  • 会社側の資料と,その取得元・取得日時・保存方法
  • 本人の認否,説明及び提出資料
  • 本人の説明を裏付け,又は弱める客観資料
  • 認定できる事実,認定できない事実及びなお不明な事実
  • 認定できた事実だけを前提とした処分の選択及び量定

認定できなかった疑いを,「ほかにも不正をしていた可能性がある」などとして処分を重くする方向へ用いるべきではない。他方,一つ一つの事実を認定した結果,複数の非違行為が認められる場合には,行為相互の関係,継続性及び改善可能性を含めて全体を評価することになる。複数の理由を列挙したこと自体によって重い処分が相当になるわけではなく,懲戒については労働契約法15条,解雇については同法16条の要件を満たすかをそれぞれ検討する必要がある。

処分の量定では,行為の故意・過失,金額及び回数,会社又は第三者に生じた損害,隠蔽の有無,調査への対応,訂正又は返金の有無,従前の注意指導及び過去の同種処分だけでなく,会社が定めた処分基準及び実際の運用も確認する。経費申請等の審査が長期間形式化していた場合は,それだけで不正が正当化されるものではないが,故意の認定,改善可能性及び処分の相当性を判断する事情になり得る。

テレワーク中に業務用パソコンの操作記録がない時間があっても,そのことだけから直ちに労務提供がなかったとはいえない。電話,オンライン又は対面の会議,外出,紙資料の検討,読書,企画・構想その他パソコンを操作しない業務があり得るためである。始業・終業記録,パソコンの使用記録,電子メール,チャット,予定表,電話記録,入退室記録,成果物,業務報告,顧客又は同僚の説明及び当該期間の評価・業績を相互に照合する必要がある。

厚生労働省の「テレワークモデル就業規則~作成の手引き~」も,情報通信機器の使用時間の記録が始業及び終業の時刻を反映している場合と,反映できない場合を区別し,後者では自己申告と客観的事実との著しい乖離を調査する方法を示している。したがって,ログは有力な調査資料になり得るが,単独で勤務実態又は故意を確定する資料とは限らない。

過去の言動を処分理由とする場合は,行為日と会社の把握日を分け,その後の注意指導,調査,評価,再発及び処分までの経過を確認する。
長く知りながら対応しなかった場合と,隠されていた事実が後に判明した場合を同じに扱わず,遅れた理由及び規程上の期限も点検する。
時間の経過だけで一律に懲戒権が消滅するとも,新たに注意すれば過去の行為を当然に処分できるとも扱わない。

既に処分した行為を再び独立の処分事由とする問題,過去の指導経過を新たな処分の量定資料にする問題及び処分後に別の理由を追加する問題は,区別して検討する。
当時の対応がなかった事実も記録に残し,処分を正当化するために過去の評価を遡って書き換えたり,不利な資料だけを集めたりしない。
相当性は,労働契約法15条に従い,行為の性質・態様その他の事情から具体的に判断する。

5 採用後又は解雇後に経歴詐称が判明した場合

経歴に事実と異なる記載があっても,直ちに懲戒解雇が有効になるわけではない。
採否,職務,賃金又は配置に影響する重要な経歴であるか,会社が何を質問し,どのような採用条件を示したか,実際の業務にどのような影響があるかを確認する必要がある。

別の理由による懲戒解雇後に経歴詐称が判明した場合,その事実を元の懲戒解雇の理由として後付けできるかと,新事実に基づく別個の解雇をするかは異なる。
元の処分理由,会社が新事実を知った時期,新たな意思表示の有無及び効力発生日を分けて時系列化する。詳しくは,採用後・解雇後に経歴詐称が判明した場合―懲戒解雇・普通解雇・理由の後付けと証拠(AI作成)で扱っている。

第7 段階別の確認事項

1 初動時

①評価語を具体的な行為又は結果に置き換えたか。
②能力,勤怠,非違行為又は健康上の問題のどれとして調査するかを仮に分類したか。
③妊娠・出産・育児休業,労働組合活動,公益通報又はハラスメント相談等の保護される事情を確認したか。
④消失し得る原資料を保全し,取得経路を記録したか。
⑤調査担当者に利害関係がなく,関係者の安全と秘密保持に配慮したか。

2 注意指導・改善期間中

①本人が回答できる程度に事実を示し,説明と資料提出の機会を設けたか。
②事実,期待水準,改善方法,会社の支援,確認日及び改善しない場合の措置を伝えたか。
③目標は担当職務との関係で合理的かつ判定可能か。
④指導の日時,内容,本人の応答及び改善状況を同時記録したか。
⑤健康又は障害の影響が疑われる場合に,能力評価だけを継続せず適切な手続へ分岐したか。

3 処分決定前

①就業規則,労働協約及び雇用契約上の根拠と所定手続を確認したか。
②有利・不利の双方の資料を検討し,未確認の事実を処分理由に含めていないか。
③本人の弁明を決定者が確認し,判断への影響を記録したか。
④過去の同種事例,一事不再理,遡及処分の禁止及び処分の均衡を確認したか。
⑤普通解雇,懲戒解雇,退職勧奨及び有期契約途中の解雇を区別したか。
⑥解雇を選ぶ場合に,労働契約法上の有効性と労働基準法上の予告・証明手続を別々に確認したか。

第8 関連する山中弁護士ブログの記事

就業規則とは―記載事項・作成届出・周知・変更・懲戒の基本(AIリライト)は,就業規則の作成,周知及び懲戒規定を確認する際の関連資料である。
中途採用における使用者側の留意点――募集・選考・内定・試用期間の実務(AI作成)は,中途採用者の職務内容と試用期間中の対応を扱っている。

逮捕されたら会社にばれるか-職場での逮捕,欠勤,懲戒及び解雇(AI作成)は,従業員が逮捕された場合の事実確認,欠勤及び処分の分岐を扱っている。
令和8年12月1日施行の改正公益通報者保護法に基づき,民間企業で対応が必要な事項(AI作成)は,公益通報を理由とする不利益取扱いと改正法対応を扱っている。

職場のハラスメント防止-種類・事業主の措置義務・主要最高裁判例(AIリライト)は,問題社員対応における指導とハラスメントの区別,事業主の措置義務及び関連する主要最高裁判例を確認する際の関連資料である。

減給の制裁の上限と解釈例規―労働基準法91条の「1回の額」・「総額」と,降格・出勤停止・賞与との違い(AI作成)は,減給の制裁の上限と,降格・出勤停止・賞与との違いを扱っている。
配転命令(転勤命令)の有効性―就業規則の根拠,職種・勤務地の限定合意と東亜ペイント事件の判断枠組み(AI作成)は,配転命令権の根拠,限定合意及び権利の濫用の判断枠組みを扱っている。
退職勧奨の適法性と進め方―違法となる場合,諭旨退職・解雇との違い及び配転・降格との関係(AI作成)は,退職勧奨が違法となる場合と面談の進め方を扱っている。

社員のミスやAIの使いすぎで会社が損害を受けたとき,本人に請求できるか―茨石事件・福山通運事件と労働基準法16条・24条(AI作成)は,ミスによって会社に生じた損害を社員に賠償させる場合の制限と,給料からの控除の可否を扱っている。

USB型フォレンジックツールを労務管理で利用する場合の法的注意点(AI作成)は,会社PCからログを取得する場合の個人情報,プライバシー,調査範囲及び証拠保全上の注意点を扱っている。

デジタル証拠の原本保全とハッシュ値-弁護士が解析前に残すべき記録(AI作成)は,取得したログ等について,原本,保全用複製及び作業用複製を区別し,取得経路と解析条件を記録する方法を扱っている。

横領等の非違行為を疑う場面における初動,証拠保全,事情聴取及び調査権限の限界については,社内で窃盗・横領が疑われたときの社内調査-初動,証拠保全,事情聴取及び調査の限界(AI作成)を参照されたい。

定年後再雇用で退職金が再度発生する場合―日本経営通信社事件と就業規則・再雇用手続(AI作成)は,定年時に退職金を支給した後も就労が続く場合の規程解釈,再雇用契約及び雇用管理上の注意点を扱っている。

「静かな退職」の社員に会社は何ができるか―最低限の勤務,業務命令違反及び勤務成績不良の区別(AI作成)は,残業命令・受診命令・通常業務外の作業命令等に従う義務と拒否した場合の懲戒,及び評価が低いだけの場合との区別を扱っている。

長年黙認されてきた行為を懲戒処分できるか―注意指導をせずに観察・記録を続けた処分と門真市事件(大阪地裁令和8年3月30日判決)(AI作成)は,長年黙認されてきた行為を注意指導なしに観察・記録して懲戒した処分が取り消された裁判例(門真市事件)と,懲戒の前に是正の機会を与える実務を扱っている。

同僚間の優越的な関係,調査中の暫定分離,厳重注意及び配置転換の組合せは,「同僚間のパワハラが疑われたときの会社対応―優越的な関係,事実調査,暫定分離,厳重注意及び配置転換(AI作成)」で説明している。

第9 出典・参考資料

1 法令・指針

①e-Gov法令検索「労働契約法」15条~17条
②e-Gov法令検索「労働基準法」20条,22条,89条及び91条
③e-Gov法令検索「労働安全衛生法」66条の4,66条の5及び104条
④e-Gov法令検索「障害者の雇用の促進等に関する法律」35条及び36条の3~36条の4
⑤e-Gov法令検索「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」9条,11条及び11条の3
⑥e-Gov法令検索「育児休業,介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」10条
⑦e-Gov法令検索「労働組合法」7条
⑧e-Gov法令検索「公益通報者保護法」3条及び5条
⑨e-Gov法令検索「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」31条(令和8年10月1日施行の令和7年法律第63号による改正前は30条の2)
⑩厚生労働省「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」(令和2年厚生労働省告示第5号)
⑪厚生労働省「テレワークモデル就業規則~作成の手引き~」(令和7年7月30日改訂)25頁~26頁

2 裁判例

①最高裁平成15年10月10日第二小法廷判決,平成13年(受)第1709号,集民211号1頁(フジ興産事件)
②東京地裁平成11年10月15日決定,平成11年(ヨ)第21055号(セガ・エンタープライゼス事件)
③東京高裁平成11年7月19日判決,平成10年(ネ)第2499号(時事通信社事件)
④東京地裁平成29年7月3日判決,平成27年(ワ)第36800号
⑤東京地裁令和6年2月21日判決,令和2年(ワ)第7409号,令和2年(ワ)第29307号及び令和3年(ワ)第11395号(全日本吹奏楽連盟事件)
⑥最高裁平成8年9月26日第一小法廷判決,平成8年(オ)第752号(山口観光事件)

3 公的資料

①厚生労働省労働基準局監督課「モデル就業規則(令和7年12月版)」86頁~89頁
②厚生労働省「無期転換ルール及び多様な正社員等の労働契約関係の明確化に関する考え方と裁判例」19頁~20頁
③こども家庭庁「こども性暴力防止法に基づく防止措置と労働法制等を踏まえた留意点」(令和8年4月)16頁~18頁

4 文献

①荒木尚志・安西愈・野川忍編『論点体系 判例労働法〈第2版〉2』(第一法規,2024年)69頁~71頁
②荒木尚志・安西愈・野川忍編『論点体系 判例労働法〈第2版〉4』(第一法規,2024年)713頁~714頁
③西川暢春『労使トラブル円満解決のための就業規則・関連書式作成ハンドブック』(日本法令,2023年)589頁~592頁,1126頁~1141頁
④厚生労働省労働基準局編『労働基準法解釈総覧(改訂16版)』(労働調査会,2021年)664頁~665頁