目次
1 総論
2 パワハラ関係
3 パワハラに関する懲戒処分の最高裁判例
4 関連記事その他
1 総論
(1) 職場におけるパワーハラスメントとは,職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって,②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより,③労働者の就業環境が害されるものであり,①から③までの要素を全て満たすものをいいます(厚生労働省HPの「2020年(令和2年)6月1日より、職場におけるハラスメント防止対策が強化されました!」参照)。
(2) 職場で発生しやすいハラスメントとしては,セクシュアルハラスメント(セクハラ),パワーハラスメント(パワハラ),マタニティハラスメント(マタハラ),アルコールハラスメント(アルハラ)及び時短ハラスメント(ジタハラ)があります(弁護士法人ALG&Associates HPの「職場でのハラスメントを防止するために取るべき対応策」参照)。
パワの方は仕事との絡みがあるからまだ言い訳が聞きやすいんやけど、セクの方は基本職場に必要ない行為やからフォローしにくい。
しかも、迎合的言動にすぎないってことで同意も同意誤信の弁解も通りにくい。
当職に言わせると、職場の異性に手を出すってのは自殺行為に等しい。 https://t.co/6NtlZ3kNZJ— 弁護士A (@NOlHT1yemE0873v) September 4, 2024
以前は
裁判所の周囲に
お手頃な定食屋、ちょこっと引っかけられる角打ち的なお店もあった①昼休みが1時間→45分化
②コロナでの飲み会文化衰退
③パワハラセクハラ気にして課や係、支部での職員同士の楽しい飲み会淘汰でほとんど閑古鳥に
さみしい時代
昔はアフター 5の裁判所職員も楽しかった
— 霞・錦・中目・学大・高松のスーツ副管 (@NavyBodySuit) October 14, 2024
2 パワハラ関係
(1) 派遣のミカタHPの「パワハラ防止法はなぜできた?法制定の歴史と判例を紹介」には以下の記載があります。
ハラスメントという言葉が広く知られるきっかけとなったひとつが、1970年代にアメリカで「セクシャルハラスメント(いわゆるセクハラ)」という性的嫌がらせを意味する造語が誕生したことです。その10年後となる1980年代には、日本でもセクハラという言葉を耳にするようになりました。
日本では、それまでにも性別に端を発した言動が問題にはなっていたものの、それが「セクハラ」という名前であると認知されたことで社会問題となり、今では多くの人に認知されることになりました。
(2) 東弁リブラ2022年6月号に「どう変わる?ハラスメント対応-労働者の人権保障と企業価値の向上に向けて-」には,「パワハラが生じた場合の企業のリスク」として以下の記載があります(同書8頁)。
パワハラの加害者は,自身が行っているのはあくまで注意・指導や通常のコミュニケーションの範疇であるなど,パワハラを行っているという認識がないことが多いため,人前でもパワハラに該当するような言動を行っていることが多い。そのような場合,被害者従業員のみではなく,被害者従業員が日々怒鳴られているのを見聞きしている第三者も含めた従業員の業務能率が低下したり,人財流出やブラック企業のレッテルが貼られるなどのレピュテーションリスクにつながる,場合によっては訴訟に発展するなど,企業には様々なリスクが生じ得る。そのため,企業としては,パワハラについて早期に適切な対応をとることが重要となる。
これは同感。中国で仮に日本の酷いパワハラをしたら、部下が殴ってきたり、物を投げてきたり、刃物を振り回したりしてくるような社会の緊張感があった(銃が無いからアメリカよりマシかも)。退職勧奨などは最たるもので激怒されたら何されるか分からないから、意外と穏やかに進めていた。 https://t.co/J5yP6d0cuy
— 向井蘭 (@r_mukai) April 22, 2022
(3) あかるい職場応援団HPに「ハラスメントに関する法律とハラスメント防止のために講ずべき措置」が載っています。
弁護士事務所でのパワハラを目の当たりにしてきた(自分がやられたこともあるし、やられてる人を目の当たりにしたこともある)身としては、精神的に追い込む行為ほど残酷なことはない。そして人をメンタルサンドバッグにすることを当然の権利と思っている人がいることも知っている。
— 福岡の弁護士 水野遼 (@mizuno_ryo_law) August 15, 2022
(4) 厚生労働省HPの「精神障害の労災認定」に載ってある「精神障害の労災認定基準」によれば,心理的負荷が「強」となる「◯ 上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた」として以下の記載があります。
【「強」である例】
・ 上司等から、治療を要する程度の暴行等の身体的攻撃を受けた場合
・ 上司等から、暴行等の身体的攻撃を執拗に受けた場合
・ 上司等による次のような精神的攻撃が執拗に行われた場合
・ 人格や人間性を否定するような、業務上明らかに必要性がない又は業務の目的を大きく逸脱した精神的攻撃
・ 必要以上に長時間にわたる厳しい叱責、他の労働者の面前における大声での威圧的な叱責など、態様は手段が社会通念に照らして許容される範囲を超える精神的攻撃
・ 心理的負荷としては「中」程度の身体的攻撃、精神的攻撃等を受けた場合であって、会社に相談しても適切な対応がなく、改善されなかった場合
ガチのパワハラは、教育したところで自覚しないし治らない #現場猫 pic.twitter.com/Oso3BUBIy2
— からあげのるつぼ (@karaage_rutsubo) February 13, 2021
当職の執筆記事が掲載されました。
パワハラ申告時、事実確認失敗のデメリット6つhttps://t.co/aWBVsrUvzE
— 友永隆太/弁護士/人事労務 (@tomonaga_ben) November 30, 2022
3 パワハラに関する懲戒処分の最高裁判例
(1) 最高裁令和4年6月14日判決は,地方公共団体の職員が暴行等を理由とする懲戒処分の停職期間中に同僚等に対して行った同処分に関する働き掛けを理由とする停職6月の懲戒処分が裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用した違法なものであるとした原審の判断に違法があるとされた事例です。
(2) 最高裁令和4年9月13日判決は,部下への暴行等を繰り返す行為をした地方公共団体の職員が地方公務員法28条1項3号に該当するとしてされた分限免職処分が違法であるとした原審の判断に違法があるとされた事例です。
これまで改善指導の機会がなかった(同様の処分歴がない)という事情は、下級審だとめちゃくちゃ重視されるんだけど、最高裁は、H27.2.26(セクハラ)、R4.9.13(パワハラ)ともに、この要素の考慮が限定的である姿勢を示していますね。てか、いい大人なんだから、悪いことは自分で気付くだろ。
— venomy (@idleness_venomy) September 14, 2022
私は、パワハラ研修では、
「部下を指導する際には、『相手』を主語にしないでください。相手の『行動』を主語にして指導してください。」と必ずお伝えしています。
これだけで、日常の指導が人格非難と評価を受ける危険性は格段に下がります。— 友永隆太/弁護士/人事労務 (@tomonaga_ben) September 13, 2022
一般にパワハラ事件は証拠に残りにくいのですが、このような形でやり取りの直後に発言内容を特定したメールやチャットを作ることで証拠が保存できます。また、返信があると更に固い証拠となります。
抗議が難しければ、敢えて卑屈に「精進して会社に貢献できるよう努力します」と添えるのもアリです。 https://t.co/tORde4qDcg— 薩摩弁 (@skrjmkrkn) March 30, 202
近時の裁判例において、セクハラを理由とした降格処分を争った従業員につき、顛末書で一応反省の弁は述べるものの、相手も悪い的なことを書いていた点が「何が悪いのか、本当にわかってる?ちゃんと反省してる?」と裁判所のお怒りに触れて、降格処分有効となった例もございます(東京地判R5.12.15)。 https://t.co/moiIARZPyP
— 弁護士リチャードソン (@Richaso_Law) August 23, 2024
「私が申告したことは絶対にバレないようにハラスメント加害者を罰してほしい」という方法は、法令において容認されている仕組みなわけですが、ぶっちゃけ「どうやって」というお話でございますね。教科書的ではない妙案を模索中ですが、この小動物の浅知恵では、なんともならんところです。むう。 https://t.co/vRhJQiqepH
— 弁護士リチャードソン (@Richaso_Law) March 7, 2025
4 関連記事その他
(1) 厚生労働省HPに以下の資料が載っています。
・ 健康に配慮した飲酒に関するガイドライン
・ 「就活ハラスメント防止対策企業事例集を作成しました!~学生向けの周知コンテンツも公開しました~」(令和5年3月7日付)
・ 「職場におけるハラスメントの防止のために(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント)」
→ 各種ハラスメントの防止に関するパンフレット,事業主指針,施行通達等が載っています。
(2) 以下の記事も参照してください。
・ 昭和51年の30期前期修習で発生した,女性司法修習生に対する司法研修所裁判教官等の差別発言問題(教官等の弁明が正しいことを前提として厳重注意で終了した事件)
とても分かりやすくまとめられています。日本初のセクハラ裁判は平成元年。まさに、セクハラは平成がのこした宿題!(3)まで全部読んでほしいので、ツリーにします。
特集セクハラ(1)平成がのこした宿題 日本初の“セクハラ”裁判を振り返る – 記事 | NHK ハートネット https://t.co/s048sotIbD
— 雇用のヨーコ (@koyounoyooko) November 30, 2018
昭和51年の30期前期修習で発生した,女性司法修習生に対する司法研修所裁判教官等の差別発言問題(教官等の弁明が正しいことを前提として厳重注意で終了した事件)https://t.co/AsXypAZhgQ https://t.co/XA0WMsc8jW
— 弁護士 山中理司 (@yamanaka_osaka) September 9, 2020
怒らない人=優しい人ではなく、怒らない人=他人に感情と時間を使うのがもったいないと思ってる人である場合が多い。怒る人は怒るというステップを踏んで反省の機会を与えてくれるが、怒らない人は知らない内に失望して秒速で君の元を去るので気付いた時には見捨てられてる。怒らない人には要注意だ。
— Testosterone (@badassceo) July 29, 2021
経営やってるとイラついて激しく怒りたくなる事が多いもの。そうなった場合は『怒りを一晩寝かせてみる』と良い。もし翌朝も昨日と同じくらい怒ってる時は呼び出して徹底的に怒って良いと思っている。ただ多くの場合は翌朝になると『まぁ大した事ない』と冷静になってるものだ。怒らない経営が最良だ。
— Tyler444 (@Tyler_consul) January 16, 2023
嘘をつかれると、横並びで他にも嘘があったのでは?となるので、その辺を確認する作業が膨大になるのよね。
作業ミスであれば原因を深掘りして確認範囲をある程度絞れるのだけど、嘘をつかれるとそうはいかない。 https://t.co/2v8kcep4XV
— あんどれ@DBエンジニア (@boss_kintore) January 21, 2023
ハラスメントは防止こそが王道ではあるのですが、ハラスメントを受けていると「感じる」ことまでは、制御しきれないわけで。ゆえに今やハラスメント「申告」への対策を考えるべき時代かと存じます。そんな感じの記事を書いてみましたので、よろしければご参照くださいませ。https://t.co/q2xtRzLMAR
— 弁護士リチャードソン (@Richaso_Law) April 24, 2023
不同意性交等罪の刑法改正案が可決成立の見込みなので、男女交際に係る「今後の心得」みたいなものをちょっと考えてみまましたので、ブログにUPしました。
※パッと考えただけなので、もっとほかにもこんなのがあるとか、これはないやろとかあるかもですがご容赦ください。https://t.co/UM8E9cUYnC— 向原総合法律事務所 弁護士向原 (@harrier0516osk) June 16, 2023
パワハラやってるヤツって自意識が無いんだよね。自分がどれだけ酷いことをやってるか気づいていない。それどころか真面目にやっていると思いこんでいる。 そういうやつに仕事回しちゃダメだよ。真面目に頑張ってる人に仕事与えてほしい。技術があっても心が無いのは致命的だよ。
— にーやん (@240eukrante) April 20, 2022