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2026年改訂コーポレートガバナンス・コード|変更点・適用日・2027年7月末までの報告書対応(AI作成)

第1 改訂日と報告書の更新期限

1 2026年7月21日と2027年7月31日は別の期限である

2026年改訂コーポレートガバナンス・コードは,2026年7月21日に確定・公表されたものであり,改訂案の段階ではない。
東京証券取引所は,同日,改訂に伴う有価証券上場規程の一部改正を施行した。

これに対し,上場会社が2026年版コードに基づくコーポレート・ガバナンス報告書を提出する期限は,2027年7月31日である。
したがって,2026年7月21日はコード及び関連上場規程の施行日であり,2027年7月31日は改訂後のコードに基づく報告書の移行期限である。

時点上場会社との関係
2026年7月21日2026年版コードの確定・公表及び関連上場規程の改正施行
2027年3月を目途TDnetの入力欄を「コードの各原則に関する取組み」へ切り替える予定
2027年7月31日2026年版コードに基づくコーポレート・ガバナンス報告書の提出期限

2 コードと上場規程上の説明義務を区別する

コードの各原則は,それ自体が法的拘束力を有する規範ではない。
他方,東証の有価証券上場規程436条の3により,上場内国会社には,市場区分に応じて各原則を実施するか,実施しない場合にはその理由をコーポレート・ガバナンス報告書で説明することが求められる。

このコンプライ・オア・エクスプレインは,全原則の実施を一律に義務付ける仕組みではない。
会社の業種,規模,事業特性,機関設計その他の個別事情に照らして実施しない原則がある場合,その理由を具体的に説明することも予定されている。

市場区分ごとの対象範囲は,次のとおりである。

市場区分コンプライ・オア・エクスプレインの対象
プライム市場基本原則及び原則
スタンダード市場基本原則及び原則
グロース市場基本原則
解釈指針直接の対象外

グロース市場では基本原則だけが対象であるため,コード本文に「その他の市場の上場会社」と記載された原則があることと,当該原則についてグロース市場上場会社に説明義務が生じることとは区別しなければならない。

第2 2026年版コードの構造

1 補充原則を廃止し,4基本原則・26原則へ再編した

2021年版は,5個の基本原則,31個の原則及び47個の補充原則から構成されていた。
2026年版は,4個の基本原則及び26個の原則へ再編し,補充原則に代えて解釈指針を新設した。

構成2021年版2026年版
基本原則5個4個
原則31個26個
補充原則47個原則へ統合・再編
解釈指針なし基本原則及び一部の原則に新設

今回のプリンシプル化・スリム化は,経営者が中長期的な企業価値の向上に向けた取組みに注力できるよう,コードの中核となる事項を原則へ格上げし,重複する事項等を整理したものである。
コードは,対応コストや開示負担の軽減だけを目的とするものではなく,削除又は解釈指針へ移された事項の重要性が失われたと考えることも適切でないと明記している。

2 解釈指針は説明義務の対象外である

解釈指針は,原則の背景となる考え方,目的,ベストプラクティス又はグッドプラクティスの一つと考えられる方策を示し,各原則への実質的な対応を支援する資料である。
解釈指針自体はコンプライ・オア・エクスプレインの対象ではないが,上場会社には,各原則を実施するかどうかを検討する際に参照することが期待されている。

したがって,解釈指針の記載を一律の義務として扱うことも,説明義務の対象外であることを理由に検討から除外することも,いずれも正確でない。

第3 2026年改訂の主な変更点

1 成長の道筋と経営資源の配分

原則4-1は,取締役会の主要な役割・責務として,会社の目指すところを確立し,その実現に向けた成長の道筋を構築することを掲げた。
取締役会は,経営戦略又は経営計画の策定・公表に当たり,自社の資本コストを踏まえた収益計画及び資本政策の基本方針を示し,収益力・資本効率等に関する目標を提示することとされている。

目標の実現に向けて具体的に説明する対象には,設備投資,研究開発投資,人的資本への投資,知的財産等の無形資産への投資及び事業ポートフォリオの見直しが含まれる。
単に資本コストの数値を示すのではなく,どの経営資源をどこへ配分し,どのように成長へ結び付けるのかが問われる構成である。

2 独立社外取締役の質・数と取締役会の支援体制

原則4-10は,通常のプライム市場上場会社について,独立社外取締役を少なくとも取締役会の3分の1,その他の市場の上場会社について少なくとも2名選任すべきものとしている。
支配株主を有する会社については,プライム市場上場会社では少なくとも過半数,その他の市場の上場会社では少なくとも3分の1を,支配株主から独立性を有する独立社外取締役とする基準が置かれた。

したがって,2026年改訂によって,全てのプライム市場上場会社に独立社外取締役の過半数が一律に求められたわけではない。
過半数基準は支配株主を有するプライム市場上場会社について示されたものであり,解釈指針は,適切と考えられる場合には,独立性のある者で構成する特別委員会を設置する方法も示している。

原則4-14は,取締役会が実質的な審議を行うための情報提供,年間日程,審議事項及び審議時間の確保を重視している。
解釈指針は,取締役会事務局(コーポレートセクレタリー等)について,単なる会議運営事務にとどまらず,適切な審議事項の設定や社外取締役等への情報提供を能動的に支える機能を推進することが重要であるとしている。

3 サイバーセキュリティ等を含む全社的リスク管理

原則4-4は,取締役会が内部統制及び全社的リスク管理体制を適切に整備すべきものとしている。
解釈指針は,サイバーセキュリティリスク,地政学的要因によるサプライチェーン途絶リスク及び技術等の情報流出リスクへの対応を,リスク管理体制を整備する際の考慮事項として挙げた。

これらは例示であり,会社ごとのリスク評価に代わる固定的なチェックリストではない。
取締役会には,自社及びグループ全体の事業に即したリスク管理体制を構築し,その運用状況を監督することが求められている。

4 有価証券報告書の株主総会前開示

原則1-2は,株主総会で株主が適切な判断を行うため,有価証券報告書を株主総会開催日前に提出するなど,必要な情報を適確に提供すべきものとした。
解釈指針は,役員報酬や政策保有株式等の情報が含まれることから,有価証券報告書を株主総会開催日の3週間以上前に提出することが最も望ましいと考えられるとしている。

3週間以上前という時期は,解釈指針が示す最も望ましい対応であり,新たな一律の法定提出期限ではない。
金融庁及び東証の改訂趣旨資料も,現行実務では3週間以上前の開示が必ずしも容易でないことを認め,法制審議会における有価証券報告書と事業報告等の一体化,会社法上の監査と金融商品取引法上の監査の一元化等を並行して検討するとしている。

パブリックコメントでは,総会関係書類と有価証券報告書を並行して作成する負担,監査資源の不足及び開示品質への影響も指摘された。
現時点で早期開示が困難な会社は,3週間前という日数だけを形式的に追うのではなく,自社の作成・監査工程を確認した上で,原則1-2への対応を検討する必要がある。

第4 2027年7月末までの報告書対応

1 2021年版による定期更新も一時的に認められる

東証は,2027年7月31日までのコーポレート・ガバナンス報告書の定期更新について,2021年版コードに沿って更新することも差し支えないとしている。
この方法を選んだ場合でも,同期限までに,2026年版コードに基づく更新を別途行う必要がある。

2021年版コードに基づいて更新する場合は,「コードの各原則を実施しない理由」及び「コードの各原則に関する取組み」の双方に,次の文言を記載する。

コーポレートガバナンス・コード(2021年6月版)に基づき記載しています。

2 二つの記載欄を別々に点検する

「コードの各原則を実施しない理由」欄には,実施しない原則を項番等で具体的に特定し,提出日時点で実施していない理由を直接記載する。
他の開示書類に理由を記載している場合でも,外部資料へのリンクだけで代えることはできない。

「コードの各原則に関する取組み」欄には,各原則の実施状況,具体的な取組み,実施していると評価する理由及び特定の事項を開示すべき原則に関する内容を記載する。
この欄については,有価証券報告書,アニュアルレポート又は自社ウェブサイト等で内容を開示している場合,参照すべき箇所と閲覧方法を具体的に示す方法も認められている。

従来の欄名は「コードの各原則に基づく開示」であったが,2026年7月版記載要領では「コードの各原則に関する取組み」へ変更された。
TDnetの入力フォーマットは2027年3月を目途に切り替える予定であるため,切替えまでは従来名称の欄へ記載する。

3 旧コードの開示内容を新しい原則へ対応させる

東証の更新資料が示す主な対応関係は,次のとおりである。
ただし,改訂後の原則では開示文言も見直されているため,原則番号だけを置き換えず,2026年版の本文を確認する必要がある。

2021年版の開示原則2026年版の対応原則
原則5-1 株主との建設的な対話原則1-1
原則1-4 政策保有株式原則1-4
補充原則2-4① 中核人材の多様性原則2-2
原則2-6 企業年金のアセットオーナー機能原則2-4
原則3-1 情報開示の充実原則3-1
原則1-7 関連当事者間取引原則4-3
補充原則4-10① 指名・報酬委員会原則4-7
補充原則4-11①・③ 取締役会の構成・実効性評価原則4-13
補充原則4-14② 取締役等の研修方針原則4-15

東証資料では,サステナビリティについての取組み等,経営陣に対する委任の範囲,独立社外取締役の独立性判断基準及び取締役・監査役の兼任状況が,廃止される開示原則として整理されている。
もっとも,個別の開示原則が廃止されたことは,その事項が会社経営や投資家との対話において不要になったことを意味せず,他の原則,法定開示又は任意開示との関係を別途確認する必要がある。

第5 報告書更新の実務手順

1 現在の記載を2026年版へ対応付ける

最初に,現在のコーポレート・ガバナンス報告書の記載を,2026年版の基本原則及び原則へ対応付ける。
旧原則の番号を機械的に置き換えるのではなく,統合された事項,解釈指針へ移された事項及び開示原則から外れた事項を区別する必要がある。

各原則について,①実施済みで記載も十分であるもの,②実施済みであるが記載を改めるもの,③一部のみ実施しているもの,④実施しない理由を説明するもの,⑤取組み自体を再検討するものに分けると,更新作業の範囲を把握しやすい。

2 エクスプレインは提出日時点の状況に合わせる

将来の実施を決定している場合でも,報告書の提出日時点で実施していなければ,実施しない理由の説明対象に含まれる。
説明では,実施していない内容,自社にとって実施しないことが適切である理由,現在の代替的な取組み及び将来実施する場合の方針・時期を区別して記載することが考えられる。

「検討中」又は「今後対応する」という文言だけでは,会社の個別事情や現在の対応が分からない。
コードが求める能動的なエクスプレインに近づけるためには,業種,規模,事業特性,機関設計その他の事情と結論を結び付ける必要がある。

3 他の開示資料との不一致を確認する

報告書を更新するときは,有価証券報告書,事業報告,統合報告書,取締役会実効性評価及び自社ウェブサイトの記載と照合する。
同じ取組みについて,対象範囲,実施時期,数値又は方針が資料ごとに異なれば,投資者が会社の対応を正確に把握できないためである。

外部資料を参照させる場合は,URLだけを記載せず,リンク先のどの部分を参照すべきかを具体的に示す。
リンク先の変更又は廃止によって参照不能にならないかも,提出前に確認する必要がある。

4 2027年7月30日以前を社内提出目標とする

2027年7月31日は土曜日である。
東証FAQでは,夜間・休日の登録を避けるという一般的な注意は,開示指定日時を指定しないコーポレート・ガバナンス報告書には適用されず,登録後30分で自動的に縦覧に供されると説明されている。

もっとも,期限当日の休日登録へ依存することは,入力不備,システム保守又は社内承認の遅れに対応する余地を失わせる。
本記事では,2027年7月30日以前を社内提出目標とし,取締役会等での確認,TDnet入力,外部リンク及び最終更新日の点検を前倒しすることを基本形とする。

提出後にコード関係の記載内容が変わった場合,東証FAQは,誤記の場合を除き,定時株主総会後の定期更新時に変更することでも差し支えないとしている。
ただし,変更内容が投資者にとって重要であると考えられる場合には,変更後遅滞なく提出することが望まれる。

第6 改訂内容を読む際の注意点

2026年改訂については,次の区別を維持する必要がある。
①2026年7月21日の施行日と2027年7月31日の報告書更新期限は異なること
②解釈指針はコンプライ・オア・エクスプレインの対象外であるが,原則への対応を検討する際の参照資料であること
③独立社外取締役の過半数基準は,全てのプライム市場上場会社ではなく,支配株主を有するプライム市場上場会社について示された基準であること
④有価証券報告書の総会3週間以上前の提出は,解釈指針が示す最も望ましい対応であり,一律の法定期限ではないこと
⑤開示原則から外れた事項についても,その重要性が失われたとは限らないこと

会社法の制定後の企業統治,社外取締役及び株主総会制度の改正経緯については,会社法(平成17年法律第86号)の改正経緯参照。

第7 出典・参考資料

1 上場制度上の原則及び規則改正資料

東京証券取引所「コーポレートガバナンス・コード~会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のために~」(2026年7月版)3頁・8頁~9頁・17頁・19頁・22頁~25頁
東京証券取引所「コーポレートガバナンス・コード(2026年7月版)の公表について」(2026年7月21日)
東京証券取引所「コーポレートガバナンス・コードの改訂について」(制度要綱,規則改正新旧対照表及び更新資料)

2 金融庁・東京証券取引所の解説及び運用資料

金融庁・東京証券取引所「成長投資の促進に向けたコーポレートガバナンス・コードの改訂について」1頁~4頁(2026年7月21日)
東京証券取引所「コーポレートガバナンス報告書の更新について」2頁~4頁・9頁(2026年7月21日更新版)
東京証券取引所「コーポレート・ガバナンスに関する報告書 記載要領」(2026年7月版)
東京証券取引所FAQ「2026年のコード改訂を踏まえたコーポレート・ガバナンス報告書の更新は,いつまでに行えばよいですか。」(管理番号8315)
東京証券取引所「上場制度(内国株)・企業行動規範の概要」(有価証券上場規程436条の3に関する説明)
東京証券取引所「提出書類の概要・TDnet(縦覧書類の登録)での提出に係る留意事項」
東京証券取引所FAQ「コーポレートガバナンス・コードに関する記載内容に変更が生じた場合には,いつまでにガバナンス報告書を提出すれば良いですか。」(管理番号6927)

3 パブリックコメント

金融庁・東京証券取引所「コーポレートガバナンス・コード改訂に関するパブリックコメントの結果の概要」(2026年7月21日)
金融庁・東京証券取引所「提出された意見とそれに対する考え方」1頁~10頁・123頁~143頁(2026年7月21日公表,2026年8月3日提出者別意見一覧修正)