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令和6年度司法試験民事系第3問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した55項目と5段階の重み付け(AI作成)

第1 この記事の対象と結論

本記事は,令和6年司法試験の論文式試験のうち,民事系科目第3問(民事訴訟法)を対象として,法務省が公表した「出題の趣旨」及び「採点実感」から評価項目を抽出し,これを踏まえた模範解答を示すものである。
本記事の模範解答及び評価項目は,生成AI(Claude)が作成し,法令(e-Gov法令検索)及び判決原文(裁判所ウェブサイト)で確認したものである。

作成の手順は,次のとおりである。
①公式の出題の趣旨・採点実感を読まずに,問題文と法令・判決原文だけから答案(未読復元版)を作り,内容を固定した。
②固定した後に公式資料を読み,評価項目を抽出して,未読復元版と照合した。
③照合の結果を踏まえて,本記事の模範解答(完成版)を作った。

本問の各設問の結論は,次のとおりである(設問2及び設問3は,公式資料が複数の結論を許容している)。
①設問1:X1による訴訟担当は,明文なき任意的訴訟担当として認められる。
②設問2:本件陳述について裁判上の自白は成立しない(Yの立場からの主張)。
③設問3:本件では前訴での主張の期待可能性がなかったとはいえず,前訴判決の既判力によって解除権行使の主張を遮断することが相当である。

評価項目は55項目で,重み5から重み1までの5段階で重み付けした(重みの合計は167点)。
本記事の評価項目は,公式資料から本記事が独自に抽出したものであり,法務省の公式の採点基準ではない。
重みも本記事が付けたもので,法務省の配点ではない。

第2 評価項目の示し方と重み付けの基準

1 評価項目の示し方

評価項目は,設問ごとに,答案を読むだけで「書けている/書けていない」を判定できる単位に分けた。
採点実感が不十分な答案として指摘した事項は,正しい書き方の項目の裏返しであればその項目にまとめ,独立の注意点であれば「〜しない」の形の項目にして,同じ5段階の中で重みを付けた。
公式資料が複数の構成を許容している論点は,結論ではなく,その構成を検討したかを項目にした(「許容される別の構成」と表示した)。
出題の趣旨及び採点実感の欄には,公式資料の頁(各PDFの印字頁)と,該当箇所の短い引用を示した。
引用は,PDFから抽出した文字列と機械的に照合した。

2 5段階の重み付けの基準

重みは,公式資料の書きぶりの強さから本記事が付けたものであり,法務省の配点ではない。
①重み5:答案の骨格そのもの,又は採点実感が評価の分かれ目(優秀・良好・一応の水準・不良の区別)とした事項
②重み4:出題の趣旨が検討を求め,採点実感も取り上げた事項
③重み3:どちらか一方が明示する中核の理由付け,又は評価を大きく下げる誤り
④重み2:一方が軽い表現で触れる補強の事項,又は典型的な誤りとして指摘された事項
⑤重み1:一方が控えめに触れるだけの事項,又は許容される別の構成

第3 本問の概要

本問の事案は,Aから建物を賃借していたYに対し,Aを相続して建物を共有し,賃貸人の地位を承継したX1,X2及びX3が,賃料不払を理由に賃貸借契約を解除して建物の明渡しを求めるというものである。
遺産分割協議では,契約の更新,賃料の徴収・受領,明渡しに関する訴訟上・訴訟外の業務をX1が自己の名で行うことが取り決められていた。
配点の割合は,設問1から設問3まで35:35:30である。
問題文は,「令和6年1月1日現在において施行されている法令」に基づいて答えることを求めている。

設問1は,X1のみが原告となる方法として,任意的訴訟担当の意義及び明文なくして認められるための要件を,最高裁昭和45年11月11日大法廷判決(民集24巻12号1854頁)を踏まえて説明させ,本件でX1による訴訟担当が認められるかを,同判例の事案との異同に留意して検討させるものである。

設問2は,第1回弁論準備手続期日が,裁判官の示唆により,信頼関係の破壊を基礎付ける事実関係について当事者双方が口頭で自由に議論する場とされていたところ,Yが「妻が本件建物で料理教室を無償で開いた」旨を述べ(本件陳述),Xらが準備書面で使用目的違反の自白として援用したという場面で,Yの立場から,自白が成立しないこと又は撤回が許されることを,いずれかの立場を選んで論じさせるものである。

設問3は,Xらの請求を棄却する判決が確定した後,Yが基準時前に有料の株式投資セミナーを本件建物で開催していたことが判明したという場面で,用法遵守義務違反を理由とする解除権行使の主張が前訴判決の既判力によって遮断されるかを,遮断の根拠から検討させるものである。
問題文の会話は,「基準時後の形成権行使」という観点を退け,「別の観点から」の検討を求めている。

第4 評価項目と重み

1 設問1(任意的訴訟担当)

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
1任意的訴訟担当の意義(権利主体の授権に基づき第三者が訴訟追行権を得て当事者適格を取得する)を述べる414頁「任意的訴訟担当の意義を述べた上」22頁「第三者がその授権に基づいて当事者適格を取得する場合をいう」
2明文なき任意的訴訟担当を認める問題点(弁護士代理原則・訴訟信託禁止の潜脱のおそれ)を簡潔に述べる3―22頁「明文なき任意的訴訟担当を認める問題点を簡潔に述べた答案は高く評価…」
3訴訟担当の前提要件として被担当者(権利主体)からの授権が必要であることを要件として挙げる414頁「前提要件として担当者に対する授権が必要であることを明らかにし」22頁「授権の存在を前提(要件)とすることを挙げた答案は少なかった」
4明文なく許容される要件として,弁護士代理原則(54条1項)及び訴訟信託の禁止の潜脱とならないこと(非潜脱要件)を示す514頁「弁護士代理原則(民事訴訟法第54条第1項)及び訴訟信託の禁止の潜…」―
5明文なく許容される要件として,訴訟担当を認める合理的必要があること(合理的必要性)を示す514頁「訴訟担当を認める合理的必要があること」22頁「合理的必要性の要件については、挙げている答案と挙げていない答案と…」
6選定当事者の30条の規定から任意的訴訟担当の一般的な意義を導いたり,明文なき任意的訴訟担当と選定当事者を混同したりしない2―22頁「明文なき任意的訴訟担当と選定当事者を区別できていないもの」
7訴訟担当と訴訟上の代理,訴訟委任と訴訟信託を混同せず,弁護士代理原則の根拠に弁護士法72条を挙げない2―22頁「弁護士代理原則の根拠条文として弁護士法第72条を挙げる」
8授権の当てはめで,遺産分割協議及びXらの取決めの具体的事実に言及する4―22頁「遺産分割協議及びXらの取決めの具体的事実に言及することなく」
9非潜脱要件の当てはめで,判例が潜脱なしとした要素(訴訟追行権だけでなく実体上の管理権も併せ有すること)に言及し,本件のX1への授権に同様の事実があるかを検討する514頁「その要素(実体上の管理権の有無)に言及しつつ検討することが期待さ…」22頁「訴訟物に関連する実体上の管理権や対外的な業務執行権とともに訴訟追…」
10合理的必要性について,判例が非潜脱要件を満たせば特段の事情がない限り合理的必要性を欠かないと判示したことを踏まえる414頁「非潜脱要件を満たす場合には特段の事情がない限り合理的必要性を欠く…」22頁「前記判例の事案においてなぜ合理的必要性が問題なく肯定されているか…」
11合理的必要性の事情として,X1が本件賃貸借契約の賃貸人の1人であることを評価する214頁「X1が本件賃貸借契約についての賃貸人の1人であること」―
12X1単独の訴え提起による目的達成の可能性(担当によらずとも明渡しを実現できるのではないか)を検討する314頁「X1単独の訴え提起による目的達成の可能性」―
13X2及びX3の意向(時間的・経済的負担から当事者となることを望まない)が合理的必要性を基礎付けるかを検討する214頁「X2及びX3の意向が合理的必要性を基礎付ける事情となり得るか」―
14Xらが3名と少数であり,選定当事者制度の利用や弁護士代理人への委任で足りるのではないかを検討する314頁「選定当事者制度の利用やXらが弁護士代理人に委任することで足りるの…」―
15判例との異同を踏まえて合理的必要性の有無を具体的に検討する414頁「前記判例との異同を踏まえつつ、合理的必要性の有無について具体的に…」22頁「前記判例との異同を指摘し」
16判例の合理的必要性の根拠として指摘される,団体の目的遂行のための業務上の必要性・構成員共同の利益に類する事情が本件にあるかを検討する114頁「団体の目的遂行のための業務上の必要性があったという点」―
17問題文が指摘する「固有必要的共同訴訟ではない」という前提を無視しない2―22頁「固有必要的共同訴訟に当たらないことが問題文で指摘されているにもか…」

2 設問2(裁判上の自白)

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
18裁判上の自白の意義を簡潔に述べる(事実一致の陳述とする説,又は争わない旨の意思を表明する弁論としての陳述とする説)414頁「当事者が、その訴訟の口頭弁論又は弁論準備手続においてする、相手方…」23頁「相手方の主張する自己に不利益な事実を争わない旨の意思を表明する、…」
19自白の意義と要件の双方を論述する2―23頁「意義と要件は重複する部分もあるがその双方について論述することが期…」
20弁論準備手続における陳述も自白に含まれること(自白の争点圧縮機能と弁論準備手続の目的)を踏まえる315頁「弁論準備手続の中でされた陳述にも自白が成立し得ると一般的に解され…」23頁「弁論準備手続における陳述も自白に含まれるとするのが一般である」
21本件陳述とXらの援用が先行自白に該当し得ることを指摘する514頁「Yのした本件陳述がいわゆる先行自白に該当し得ることを前提に」24頁「本件陳述とその援用が先行自白に該当し得ることを的確に指摘できてい…」
22本件陳述がされた第1回弁論準備手続期日の目的や実施方法に着目して,自白該当性(又は撤回可能性)を検討する515頁「第1回弁論準備手続期日の目的や実施方法に着目して」24頁「自白該当性や撤回可能性について十分に検討できていた答案は、それほ…」
23弁論準備手続の趣旨・目的を正しく示す(争点整理,争点に関する自由な議論の促進。迅速化だけ,口頭弁論より劣るとしない)415頁「争点に関する当事者間の自由な議論を促進するという弁論準備手続の目…」24頁「訴訟の迅速化だけを目的として挙げるもの」
24自白のどの要件を欠くのか(又は撤回の既存の枠組みのどこに位置付けるのか)を明らかにし,自由な議論の予定から一足飛びに結論しない515頁「一足飛びに、同期日では自白はおよそ成立しない」24頁「せめて自白のどの要件を欠くことになるのか」
25(許容される別の構成)意思表明説に立ち,争わない旨の意思の表明又は不利益性の認識がなかったとして自白の成立要件を欠くと構成する215頁「不利益性についての認識があったとはいえないとして自白の成立要件を…」―
26(許容される別の構成)同期日の発言を自白と扱わない,又は撤回を自由とする事前の黙示的合意があったと構成する215頁「事前の黙示的合意があったとすることが考えられる」24頁「撤回を認めることの合意があったとみなすことができるとして」
27(許容される別の構成)撤回制限の根拠(不要証の信頼・禁反言)から,本件では相手方の信頼が働いておらず撤回は趣旨に反しないと構成し,既存の撤回要件との乖離を検討する215頁「不要証との相手方の信頼はそもそも働いておらず」24頁「自白の撤回が制限される根拠(信義則・禁反言)を挙げた上」
28(許容される別の構成)事実一致説に立ちつつ,先行自白の不意打ちの危険から相手方主張との一致がないとする114頁「先行自白の持つ問題点(不意打ちの危険)」―
29撤回の要件のうち反真実・錯誤による構成は本問では困難であることを踏まえる115頁「本問の場合にこれに該当すると構成するのは困難ではないかと思われる」24頁「錯誤と反真実という要件から検」
30自白の対象に間接事実が含まれるか,不利益性の判断基準といった中心でない論点に重点を置かない214頁「自白の対象事実に間接事実が含まれるかといった論点について、本問と…」23頁「前者は、本件陳述が主要事実となるのであれば検討の必要がない論点」
31特に根拠なく料理教室開催の事実を信頼関係破壊の間接事実とし,自白の対象にならないとして済ませない314頁「料理教室開催の事実を信頼関係破壊に関する間接事実とした上」24頁「本件陳述が間接事実の自白であるとしている答案も少なからず見られた」
32ノンコミットメントルールや自由な議論の予定から,早急に自白不成立・撤回自由と結論付けない215頁「早急に結論付けることも題意に沿ったものとはいえず」24頁「一足飛びに本件陳述は自白に該当しない」
33「自己に不利益でないから」「別の争点に関する陳述だから」という理由で自白不成立としない2―24頁「「本件陳述が自己に不利益でないから」」
34いずれかの立場を選び,両方の立場を並列して書かない2―27頁「両方の立場を並列して書いている答案」
35弁論主義の意義や趣旨を冗長に述べない1―23頁「弁論主義の意義や趣旨などを冗長に述べる答案」
36根拠を挙げずに「不意打ちになり酷だから撤回できる」としない2―24頁「「不意打ちになり酷だから撤回できる」」
37単に「弁論準備手続では自白が成立しない」として具体的な論述を欠くことをしない3―25頁「単に弁論準備手続においては自白が成立しないなどとして」

3 設問3(既判力による遮断)

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
38前提として,本件訴えと後訴の訴訟物が同一であり,既判力により基準時前の用法遵守義務違反の主張が遮断されるのが通常であることを押さえる416頁「本件訴えと後訴の訴訟物が同一であること」25頁「基準時前の用法遵守義務違反の主張が遮断されると通常考えられること…」
39既判力の基準時が口頭弁論終結時であることを根拠とともに簡潔に説明する216頁「既判力の基準時が口頭弁論終結時であることを根拠とともに簡潔に説明」―
40遮断効(消極的作用)が後訴裁判所に対する拘束力(積極的作用)を前提に認められることを示し,既判力の作用と結び付けて根拠を論じる416頁「後訴の裁判所に対する拘束力(積極的作用)を前提として認められるも…」25頁「既判力の作用(消極的作用)と結び付けて検討できていた答案は少なく」
41遮断の制度的根拠(蒸し返し防止,勝訴者の紛争解決に対する合理的期待の保護,法的安定性の確保等)を挙げる516頁「勝訴者の紛争解決に対する合理的期待の保護、法的安定性の確保等」25頁「蒸し返し防止といった制度的効力(法的安定性の確保、勝訴当事者の権…」
42正当化根拠(前訴で十分な主張立証の機会が与えられたのに行使しなかった以上,遮断されてもやむを得ない=手続保障と自己責任)を内容とともに述べる416頁「前訴において十分な主張立証の機会が与えられていたにもかかわらず」25頁「マジックワードだけ示して内容について説明していない答案も相当数見…」
43既判力が「確定」判決の効力であることに言及する2―25頁「既判力が「確定」判決の効力であることに言及できていない答案も少な…」
44遮断を否定するアプローチとして期待可能性説(前訴での主張立証がおよそ期待できなかった事実には遮断効が生じない)を挙げる516頁「前訴における主張立証がおよそ期待できなかった事実については前訴確…」25頁「期待可能性説)を挙げることが期待されるが」
45期待可能性説への批判(制度的効力からの慎重さ,338条1項5号との境界の曖昧化,後訴の審理負担)を示す416頁「再審事由に関する民事訴訟法第338条第1項第5号からすれば」26頁「反対説として期待可能性説を挙げた上、それに対して的確な批判を加え…」
46自己の立場(期待可能性説を採る場合)について判断基準を定立し,説得的に展開する(例外を認めない場合は事実から遮断相当の根拠を丁寧に示す)516頁「自己の立場を説得的に展開し、判断基準を定立することが期待される」26頁「遮断効の根拠を踏まえて例外要件を定立し、丁寧に当てはめをすること…」
47既判力の縮減が制度的効力と鋭い緊張関係にあることを意識し(Yの訴訟代理人の視点),期待可能性なしの場合を厳格に解する4―25頁「期待可能性なしとされる場合を厳格に解し、結果として本問では期待可…」
48期待可能性の欠如を単純に無過失と同視し,本件セミナー開催を単に知らなかったことで期待可能性がないと安易に認定しない3―25頁「期待可能性の欠缺を単純に無過失と同視し」
49手続保障・自己責任を指摘するだけで「本問では手続保障がないから遮断されない」という大雑把な検討に終始しない316頁「程度の大雑把な検討に終始している答案」25頁「表面的な検討に終始しているものであった」
50「基準時後の形成権行使の可否」(請求権に内在・付着する瑕疵か否か)の観点から遮断の可否を論じたり,反対説としてその趣旨で言及したりしない517頁「「解除権は前訴確定判決の判断に内在付着する瑕疵である(ない)から…」26頁「「請求権に付着する(内在する)瑕疵」という点から検討」
51判決理由中の判断の拘束力(信義則等)を検討しない217頁「判決理由中の判断の拘束力(信義則等)を検討している答案」―
52遮断効の根拠を重複する訴えの提起の禁止(142条)と混同しない(矛盾判断の防止・訴訟経済・応訴負担を挙げない)2―25頁「重複する訴えの提起の禁止(法第142条)と混同」
53「紛争の一回的解決」等のマジックワードだけで内容を説明せずに済ませない2―25頁「マジックワードだけ示して内容について説明していない」
54問題文から読み取れない事実を当てはめに使わない2―26頁「問題文から読み取れない事実を当てはめに供している答案」
55釈明義務違反・法的観点指摘義務違反に基づく既判力の縮小構成を採らない(本問では基礎となる事実がない)117頁「釈明義務違反や法的観点指摘義務違反に基づいて既判力が縮小する」―

4 重みの分布

55項目の内訳は,重み5が10項目,重み4が12項目,重み3が8項目,重み2が20項目,重み1が5項目であり,重みの合計は167点である。

設問重み5重み4重み3
設問1353
設問2323
設問3452
設問重み2重み1項目数重みの合計
設問1511755
設問2932053
設問3611859

設問ごとの重みの合計は,設問1が55点,設問2が53点,設問3が59点である。
配点の割合(35:35:30)と比べると設問3がやや大きいが,これは,採点実感が設問3で評価の分かれ目となる事項(遮断効の根拠,期待可能性説と判断基準,形成権の観点からの検討を避けること)を多く挙げているためである。

重み5の項目は,番号4・5・9・21・22・24・41・44・46・50の10項目である。
設問1では非潜脱要件・合理的必要性の要件とその判断の中心(実体上の管理権),設問2では先行自白の指摘・期日の目的と実施方法への着目・欠ける要件の特定,設問3では制度的効力・期待可能性説・判断基準の定立と,「基準時後の形成権行使」の観点から論じないことが,これに当たる。

第5 模範解答

1 答案の前提と表記

答案は,令和6年1月1日現在において施行されている法令に基づく。
民事訴訟法の条文は法令名を付けずに条番号だけで示し,他の法令には法令名を付けた。
字数は改行を除いて約4,900字である。
見出しは「1→(1)→ア」の順とした。

2 答案

1 設問1について

(1) 課題1について
ア 訴訟物たる権利関係について当事者適格を有するのは,原則としてその管理処分権を有する権利主体である。もっとも,第三者が他人の権利関係について自己の名で訴訟を追行し,判決を受ける資格を有する場合がある(訴訟担当)。そのうち,権利主体(被担当者)が訴訟追行権を第三者(担当者)に授与し,担当者がその授権に基づいて当事者適格を取得するものを任意的訴訟担当という。担当者が受けた判決の効力は被担当者に及ぶ(115条1項2号)。選定当事者(30条)はその明文の例である。
イ では,明文がない場合にも任意的訴訟担当は認められるか。
 確かに,授権があれば被担当者の意思に反しないから,自由に認めてよいとも思える。しかし,訴訟代理人は原則として弁護士に限られ(54条1項本文),訴訟行為をさせることを主たる目的とする信託は禁止される(信託法10条)。授権さえあれば誰でも他人の権利について自己の名で訴訟を追行できるとすれば,資格のない者が他人の訴訟に介入して本人の利益を害することを防ぐこれらの制限が,容易に潜脱される。
 思うに,当事者適格は,誰に訴訟を追行させ,誰に対し本案判決をすることが紛争の解決にとって必要かつ有意義かという観点から決すべきものであり,30条は任意的訴訟担当が許される原則的な場合を示したにとどまる。よって,①被担当者による授権があることを前提に,②弁護士代理の原則及び訴訟信託の禁止を回避・潜脱するおそれがなく(非潜脱要件),かつ,③これを認める合理的必要がある場合には,明文がなくても任意的訴訟担当は許されると解する(判例同旨・最大判昭和45年11月11日)。
 同判決は,組合規約に基づき業務執行組合員に自己の名で組合財産を管理し,組合財産に関する訴訟を追行する権限が授与されている場合には,単に訴訟追行権のみが授与されたのではなく,実体上の管理権,対外的業務執行権とともに訴訟追行権が授与されているから②を満たし,特段の事情のない限り③も欠かないとした。②の判断の中心は,担当者が訴訟物に関連する実体上の管理権を併せ有するか否かにあり,②を満たせば③は原則として肯定され,特段の事情の有無が問題となる。

(2) 課題2について
ア 本件では,遺産分割協議において,本件契約の更新,賃料の徴収及び受領並びに本件建物の明渡しに関する訴訟上・訴訟外の業務をX1が「自己の名で」行うと取り決められ,X2及びX3も,X1単独で訴訟を提起してほしいと述べている。授権がある(①)。
イ この取決めは,訴訟追行だけを切り離して委ねたものではなく,本件契約の更新や賃料の徴収・受領という実体上の管理権をX1に委ね,その一環として訴訟上の業務を委ねたものである。現にX1は本件契約の現状を調べて賃料の未払を把握している。判例の事案の規約が請負代金の請求・受領や財産管理の権限を定めるものであったのと同様に,X1は訴訟物に関連する実体上の管理権を併せ有している。よって,非潜脱要件を満たす(②)。
ウ そうすると,特段の事情のない限り合理的必要性は肯定されるところ,特段の事情はあるか。
 確かに,判例の事案は継続的な団体である組合の業務執行組合員が団体の目的遂行のために業務を執行していたものであるのに対し,本件は共同相続人間の遺産分割協議による取決めにすぎない。また,明渡請求権はX1単独でも行使でき,Xらは3名と少数であるから,X1単独で訴えるか,X2及びX3が選定当事者の選定をし,又は弁護士に訴訟委任をすれば足り,任意的訴訟担当による必要はないとも思える。
 しかし,X1が自己の請求権だけで訴えても,判決の効力はX2及びX3に及ばず(115条1項1号),Yは同じ明渡しについて重ねて訴えられるおそれを負い,紛争は全員の間で解決しない。また,X2及びX3は,明渡しには賛成しつつ,時間的・経済的負担を理由に自ら当事者となることを望んでいない。選定当事者の制度は原則的な場合を示すにとどまるし,弁護士に委任しても当事者として訴訟に関与する負担は残る。さらに,X1自身も持分3分の1を有する共同賃貸人であり,訴訟の対象は,判例の組合財産と同様に,Xら共同の利益に関するものである。X1に追行させれば一回の訴訟でXら全員とYとの間の紛争が解決され,これはYにとっても利益である。団体性の有無は,管理権に付随して訴訟追行権が授与されているという判例の理由を左右しない。よって,特段の事情はなく,合理的必要性がある(③)。
エ したがって,X1による訴訟担当は,明文なき任意的訴訟担当として認められる。

2 設問2について

(1) 裁判上の自白の意義について,口頭弁論又は弁論準備手続においてする,相手方の主張と一致する自己に不利益な事実の陳述とする見解がある。しかし,自白が裁判所を拘束し(179条参照),原則として撤回できないのは,弁論主義の下で当事者が争わないと表明した事実は判決の基礎とされるべきであり,また,これにより証明を要しなくなったと信頼した相手方を保護すべきだからである。そうであれば,自白の核心は争わない旨の当事者の意思の表明にある。
 よって,裁判上の自白とは,相手方の主張する自己に不利益な事実を争わない旨の意思を表明する,弁論としての陳述をいうと解する。その要件は,①口頭弁論又は弁論準備手続における弁論としての陳述,②相手方の主張との一致,③自己に不利益な事実(相手方が証明責任を負う事実),④主要事実であることであり,①には争わない旨の意思の表明が含まれる。
 なお,自白は争点を圧縮する機能を持ち,弁論準備手続は争点及び証拠の整理を目的とする(168条)から,弁論準備手続における陳述も原則として自白となり得る。

(2)ア 本件では,Yが先に料理教室の開催を陳述し,Xらが準備書面でこれを使用目的違反という別の解除原因の主要事実として援用しているから,本件陳述はいわゆる先行自白として,②ないし④を満たし得る。問題は,本件陳述が争わない旨の意思を表明した弁論としての陳述といえるか(①)である。
イ 第1回弁論準備手続期日は,賃料支払の書証が提出されていなかったため,裁判官の示唆により,信頼関係の破壊を基礎付ける事実関係の存否について当事者双方が「口頭で自由に議論」し,その結果を踏まえて第2回期日以降に準備書面を提出して具体的な争点を確定することとされた期日である。弁論準備手続は,争点に関する当事者間の自由な議論を通じて真の争点を絞り込むことを目的とし,その初期の段階で当事者が実情を率直に述べることが期待される。この期日の設定に当事者双方が応じた以上,争点確定までの発言は確定的な主張として扱わないとの黙示の合意が,裁判所及び当事者の間にあったといえる。
ウ 本件陳述は,この期日のテーマに沿って,X1夫婦が料理教室に毎回参加しながら賃料の話が一切出なかったという,信頼関係が破壊されていないことを基礎付ける事実(Yに有利な事実)として述べられた。Yは,使用目的違反という別の争点について争わない意思を表明したのではなく,その陳述が自己に不利益に働くことも認識していなかった。また,Xらも同じ合意の下にあったから,本件陳述によって証明を要しなくなったと信頼すべき地位になく,援用は合意に反する。
エ 確かに,Xらからは,相手方の主張と一致する不利益な事実の陳述であれば意思を問わず自白が成立するとの反論が考えられる。しかし,当事者の意思に反して先行自白の拘束を認めることは,陳述した当事者に対する不意打ちとなり,自白の拘束力の根拠を欠く。また,自由な議論の場でされたことだけで自白を否定するのではなく,①の意思の表明が欠ける理由として,期日の目的,黙示の合意,陳述の趣旨を挙げるものである。

(3) したがって,本件陳述について裁判上の自白は成立しない。

3 設問3について

(1) 既判力(114条1項)は,確定判決の主文に包含された判断が後訴で通用する効力である。その基準時は,当事者が事実資料を提出できる最終時点である事実審の口頭弁論終結時である(民事執行法35条2項参照)。既判力は,後訴裁判所が基準時における権利関係について前訴判決の判断を前提としなければならないという積極的作用を持ち,これを前提に,当事者が基準時前の事由に基づいてその判断を争う主張を排斥する消極的作用(遮断効)を持つ。
 後訴の訴訟物は本件訴訟と同一の賃貸借契約終了に基づく明渡請求権であるから,本件判決の既判力が作用し,基準時前の事由である本件セミナーの開催に基づく用法遵守義務違反の主張は,原則として遮断される。

(2) では,遮断効の根拠は何か。
 遮断効の制度的な根拠は,基準時前の事由による蒸し返しを許さないことで,勝訴当事者の紛争解決に対する合理的期待を保護し,法的安定性を確保する点にある。そして,それが敗訴当事者に正当化されるのは,前訴で十分な主張立証の機会が与えられていたのに,これを行使しなかった以上,その結果は自己の責任として甘受すべきだからである(手続保障と自己責任)。

(3) そこで,正当化根拠から,前訴での主張立証がおよそ期待できなかった事由については遮断効が生じないとする見解(期待可能性説)が考えられる。
 しかし,これには,既判力の制度的効力を害するとの批判がある。338条1項5号は,刑事上罰すべき他人の行為により攻撃防御方法の提出を妨げられた場合でさえ,再審の訴えにより,かつ有罪判決の確定等の要件(同条2項)を満たして初めて確定判決を覆せるとしている。単なる期待可能性の欠如で既判力が作用しないとすれば,再審制度との境界があいまいになる。また,後訴裁判所が期待可能性の有無を審理しなければならず,審理負担も重くなる。
 思うに,遮断効の正当化根拠からすれば,主張がおよそ期待できなかった事由まで遮断することは相当でない。しかし,制度的効力及び再審制度との均衡からすれば,例外は厳格に解すべきである。よって,基準時前の事由を当事者が知らず,かつ,その事由が相手方の隠蔽等により当事者の支配の及ばない状況にあったなど,前訴での主張が客観的におよそ期待できなかったと認められる場合に限り,遮断効は生じないと解する。単に知らなかったことや,知らなかったことに過失がなかったことだけでは足りない。

(4) 本件では,XらがYによる本件セミナーの開催に気付いたのは,本件判決の確定後である。
 しかし,本件セミナーは,令和3年1月から令和5年1月まで,有料で月一,二回の割合で,本件建物において継続的に開催されていた。前訴の係属中(令和4年1月の提訴から令和5年4月の口頭弁論終結まで)も,その大半の期間にわたって開催されており,Yがこれを隠蔽したといった事情は問題文に現れていない。
 また,前訴では,Yが第1回口頭弁論期日から信頼関係の破壊の事実がないと主張しており,Yによる本件建物の使用状況は,信頼関係の破壊を基礎付ける事情として,Xらが調査し主張すべき事柄であった。しかも,X1は本件契約の管理を委ねられ,現に本件契約の現状を調べている。
 確かに,居住用建物の内部の使用状況を賃貸人が日常的に把握するのは容易でないとも思える。しかし,それは期待可能性を低くする事情にすぎず,2年にわたり継続的に開催された有料のセミナーについて,前訴での主張がおよそ期待できなかったとまではいえない。Yの立場からみても,前訴で賃料不払による解除を争って勝訴したYが,同じ明渡請求について基準時前の事情による蒸し返しを受けないことへの期待は保護に値する。

(5) したがって,本件では前訴での主張の期待可能性がなかったとはいえず,本件判決の既判力によってXらの解除権行使の主張を遮断することが相当である。よって,後訴は請求棄却となる。
以上

3 出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説

(1) 設問1

出題の趣旨は,任意的訴訟担当の意義を述べた上で,前提要件としての授権と,明文なくして許容されるための非潜脱要件(弁護士代理原則・訴訟信託の禁止)及び合理的必要性を示すことを求めている。
採点実感によれば,授権を要件として挙げた答案は少なかった。
課題2で差がつくのは,判例が非潜脱要件を肯定した理由,すなわち業務執行組合員が訴訟追行権だけでなく実体上の管理権も併せ有していたことを,本件の遺産分割協議の取決めに当てはめられるかである。
合理的必要性については,判例が「特段の事情」がない限り肯定されると判示したことを踏まえ,X1単独の提訴で足りないか,選定当事者の利用や弁護士への委任で足りないか等の事情を,判例の事案との異同から検討することが求められている。

(2) 設問2

出題の趣旨は,本件陳述がいわゆる先行自白に該当し得ることを前提に,自白の意義・要件と第1回弁論準備手続期日の目的・実施方法とを結び付けて論ずることを求めている。
自白の意義については,相手方の主張と一致する自己に不利益な事実の陳述とする見解と,相手方の主張する自己に不利益な事実を争わない旨の意思を表明する弁論としての陳述とする見解がある。
本記事の答案は後者に立ち,期日の設定を黙示の合意と性質決定して,意思の表明の欠如に結び付けた。
撤回が許されるとの立場を選ぶ場合は,撤回の合意や,撤回制限の根拠(相手方の不要証への信頼・禁反言)から構成することになるが,既存の撤回要件との乖離を説明する必要がある。
採点実感は,自由な議論が予定されていたことから一足飛びに結論を出す答案,ノンコミットメントルールを持ち出して早急に結論を出す答案,間接事実の自白の論点に重点を置く答案,両方の立場を並列する答案を,評価しないとしている。

(3) 設問3

出題の趣旨は,訴訟物の同一性と基準時前の事由の遮断を前提とした上で,遮断効の根拠を,既判力の基準時,積極的作用を前提とする消極的作用,制度的効力(蒸し返しの防止,勝訴者の合理的期待の保護,法的安定)及び正当化根拠(主張立証の機会と自己責任)から述べ,その上で期待可能性説とこれに対する批判を踏まえて判断基準を定立することを求めている。
期待可能性説への批判としては,制度的効力からの慎重論のほか,刑事上罰すべき他人の行為により攻撃防御方法の提出を妨げられた場合でさえ再審(338条1項5号)によるとされていることとの均衡,後訴の審理負担が挙げられている。
採点実感は,期待可能性なしとされる場合を厳格に解し,本問では期待可能性がないとはいえないとした答案を高く評価し,期待可能性の欠如を単純に無過失と同視して安易に認定する答案を慎重さを欠くとしている。
また,「基準時後の形成権行使の可否」,すなわち解除権が請求権に内在する瑕疵か否かという観点からの検討は,問題文の指示を無視したものとして評価されない。

(4) 未読復元版から直した点

未読復元版で最も大きく外れたのは,設問3で,会話が退けた「基準時後の形成権行使」の観点(取消権について最高裁昭和55年10月23日判決,建物買取請求権について最高裁平成7年12月15日判決の類型論)を,原則論と反対説の論拠に使ったことである。
次に,期待可能性の判断基準を「相当の注意を尽くしても知り得なかった」という無過失型にし,当てはめを緩やかにした点である。
このほか,既判力の基準時の理由と積極的作用・消極的作用,期待可能性説への具体的な批判(338条1項5号,審理負担),設問2の自白の定義の対立と黙示の合意の構成,設問1の合理的必要性の反対方向の事情(単独提訴,弁護士への委任)を補った。
本記事の評価項目による独自の計算では,未読復元版が5段階の重みで評価項目を満たした割合は約8割(設問3だけでは約3分の2)であった。
この数値も法務省の配点・得点ではない。

(5) 答案作成上の重要点

①会話の中で「別の観点から」等と退けられた構成は,反対説の論拠としても使わない(設問3)。
②判例を「踏まえて」と指定されたときは,判例が要件を充足するとした理由(本問では実体上の管理権の併有)を本文で言い換え,当てはめの軸にする(設問1)。
③必要性の要件は,代替手段(単独提訴,選定当事者,弁護士への委任等)で足りない理由を一つずつ示す(設問1)。
④手続の場面や目的を踏まえる設問では,自由な議論の予定から一足飛びに結論を出さず,自白のどの要件を欠くのか(又は撤回のどの枠組みに当たるのか)を明示する(設問2)。
⑤効力の根拠を問われたら,定義・基準時・作用から書き,制度的根拠と正当化根拠の二層で示す(設問3)。
⑥制度的効力の例外は,単に知らなかったことや無過失だけで認めず,相手方の立場からの反論を問題文の事実で検討する(設問3)。

第6 関連記事

1 同じ年度の司法試験の別の模範解答

①令和6年度司法試験公法系第1問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した40項目と5段階の重み付け(AI作成)
②令和6年度司法試験公法系第2問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した52項目と5段階の重み付け(AI作成)
③令和6年度司法試験民事系第1問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した60項目と5段階の重み付け(AI作成)
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⑥令和6年度司法試験刑事系第2問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した28項目と5段階の重み付け(AI作成)
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③別件判決・先行訴訟の準備書面は後訴でどう使われるか――既判力,裁判上の自白,証拠価値及び証拠説明書
④令和7年度司法試験公法系第1問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した40項目と5段階の重み付け(AI作成)

第7 出典及び確認状態

1 公式資料

①法務省「令和6年司法試験問題」の「民事系科目」(論文式試験問題集[民事系科目第3問])
②法務省「令和6年司法試験の結果について」の「論文式試験出題の趣旨」(民事系科目〔第3問〕は13頁~17頁)
③法務省「令和6年司法試験の採点実感」の「民事系科目」(第3問は21頁~27頁)

2 法令

いずれもe-Gov法令検索で,令和6年1月1日時点の本文を確認した。
①民事訴訟法(30条,54条1項,114条1項,115条1項,168条,179条,247条,338条)
②信託法(10条)
③民事執行法(35条2項)
④民法(594条1項,616条)

3 裁判例

いずれも裁判所ウェブサイトの判決原文で確認した。
①最高裁昭和45年11月11日大法廷判決(昭和42年(オ)第1032号)民集24巻12号1854頁
②最高裁昭和55年10月23日第一小法廷判決(昭和55年(オ)第589号)民集34巻5号747頁
③最高裁平成7年12月15日第二小法廷判決(平成4年(オ)第991号)民集49巻10号3051頁

4 確認状態

(1) 公式資料と一次資料の区別

公式資料の記載一次資料での確認状態
最高裁昭和45年11月11日大法廷判決の非潜脱要件・合理的必要性,管理権の併有を主な理由とすること,特段の事情がない限り合理的必要性を欠かないこと判決原文で文言を確認確認済み
判例の合理的必要性の根拠として,団体の目的遂行のための業務上の必要性や構成員共同の利益を挙げる指摘判決原文にこの語はない(判決は事案として共同企業体の目的・規約を示すのみ)。出題の趣旨も「指摘もある」と紹介公式資料の記載のみ
弁護士代理原則(民事訴訟法54条1項),再審事由(338条1項5号)e-Gov法令検索で令和6年1月1日時点の本文を確認確認済み
弁論準備手続の目的(争点及び証拠の整理)民事訴訟法168条の文言を確認。「争点に関する自由な議論の促進」は条文の文言ではなく,運用・学説上の整理一部確認済み
自白の定義の対立,ノンコミットメントルール,期待可能性説とこれへの批判学説の整理であり,学説の原典は確認していない公式資料の記載のみ

(2) 残る不明点

①賃貸借契約の解除権を前訴の基準時後に行使した場合の既判力による遮断を正面から判断した最高裁判例は,裁判所ウェブサイトの裁判例検索では見当たらなかった(不存在の証明ではない)。
本問の公式資料も,この点の判例には触れていない。
②期待可能性説の判断基準の定式(本記事の答案の「客観的におよそ期待できなかった」「相手方の隠蔽等」)は,公式資料と学説の整理に基づくものであり,判例上の基準ではない。
③期日の設定に当事者が応じたことで黙示の合意が成立するかについて,判例は確認していない。
④本記事の評価項目の一致判定と重みは本記事の判断であり,採点者によって評価が分かれ得る。