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争点整理後に新しい主張・証拠が出た場合―民事訴訟法157条・167条と却下申立て(AI作成)

第1 結論

争点整理後又は口頭弁論終結に近い時期に,新しい主張・証拠が出たというだけで,当然に却下されるわけではない。民事訴訟法157条1項による却下には,①時機に後れて提出したこと,②提出者に故意又は重大な過失があること,③その提出により訴訟の完結が遅延することが必要である。

相手方としては,「もっと早く出せたはずだ」と抽象的に述べるのではなく,入手時期,従前の釈明・争点整理,提出予告,必要となる反論・反証,再尋問又は追加鑑定及び予定していた審理終結への影響を一つの時系列で示す。

準備的口頭弁論又は弁論準備手続の終結後であれば,同法167条・174条により,整理手続終了前に提出できなかった理由の説明を求めることができる。説明の拒絶又は不合理な説明は,却下を自動的に生じさせるものではないが,時機後れ又は重大な過失を認定する資料となり得る。

第2 時機に後れた攻撃防御方法の三要件

民事訴訟法157条1項は,当事者が故意又は重大な過失により時機に後れて提出した攻撃又は防御の方法について,それにより訴訟の完結を遅延させることとなると認めたとき,裁判所が申立て又は職権で却下できると定める。

三要件は累積的に検討する。提出が遅く見えても,新たな証拠調べを要せず予定期日に弁論を終結できるなら,遅延要件を欠くことがある。反対に,法律構成だけの追加でも,相手方の防御のため審理続行が必要なら,攻撃防御方法として問題となり得る。

第3 「時機に後れた提出」を時系列で示す

次の時点を表にする。

  1. 主張又は証拠の基礎事実を知った時期
  2. 資料を入手できた時期
  3. 裁判所又は相手方が関連事項を指摘した時期
  4. 争点整理手続の開始・終結時期
  5. 証人・本人尋問,心証開示又は弁論終結の予定時期
  6. 実際の提出時期

「争点整理後」という形式だけでなく,その主張を前に出す合理的な機会が何回あり,なぜ利用されなかったかを示す。相手方の主張変更,後発事象又は裁判所の新たな釈明を契機とする場合は,その契機より前に提出できなかったことを確認する。

第4 故意又は重大な過失

故意又は重大な過失は,単なる遅れと同じではない。保有資料,依頼者からの情報,過去の準備書面,釈明事項,提出期限及び代理人内部の調査経過から,通常求められる注意を著しく欠いたかを評価する。

主張の基礎となる事実を当初から知り,関連資料も保有していたのに,争点整理と証拠調べが終わるまで合理的理由なく提出しなかった事情は,重大な過失を肯定する方向に働く。他方,後に初めて判明した事実,相手方の新主張への反論又は裁判所の求釈明を契機とする追加は,否定方向に働き得る。

第5 訴訟完結の遅延を具体化する

却下を求める側は,新主張・証拠を採用すると何が必要になるかを列挙する。

  • 依頼者又は第三者への追加事実調査
  • 反論準備書面及び反証の提出
  • 既に尋問した証人・本人の再尋問
  • 新たな証人,鑑定,検証又は文書送付嘱託
  • 専門委員その他の専門的説明
  • 弁論終結又は判決予定の延期

裁判所が公開する裁判例にも,弁論終結に近い新主張であっても,新たな証拠調べを要せず,相手方が速やかに対応して同じ期日に弁論終結できたため,訴訟遅延を認めなかった例がある。また,終盤に提出された陳述書でも,内容が本人の意見・心情にとどまり,訴訟完結を遅延させないとして却下申立てを退けた例がある。提出時期だけでなく,追加審理の有無が重要である。

第6 理由説明要求と提出期限徒過の説明

同法167条は,準備的口頭弁論終了後に攻撃防御方法を提出した当事者に対し,相手方が,終了前に提出できなかった理由の説明を求められると定める。同法174条は弁論準備手続の終結後について167条を準用し,同法178条は書面による準備手続について対応する説明制度を置く。

令和8年5月21日施行後の同法162条2項は,裁判所が定めた期間の経過後に準備書面又は証拠を提出する当事者に,期間を遵守できなかった理由を裁判所へ説明する義務を定める。これは,整理手続終了後に相手方が求める167条・174条の説明と,対象・相手方が異なる。

理由説明要求は,それ自体が却下決定ではない。説明内容を記録し,①提出可能時期,②提出者の帰責性,③追加審理の内容に結び付けて初めて157条1項の判断材料になる。口頭説明で終わらせず,準備書面又は期日調書に残る形を検討する。

第7 却下申立ての書き方

申立ては,次の順序で簡潔に記載する。

  1. 対象の特定:準備書面の頁・項,証拠番号及び新たな主張内容
  2. 時機後れ:いつ提出でき,いつ提出されたか
  3. 帰責性:提出者が知っていた事実・保有資料・釈明機会
  4. 遅延:反論,反証,再尋問等と必要な追加期間
  5. 理由説明:説明要求,回答の有無及び合理性
  6. 申立て:民事訴訟法157条1項による対象部分の却下

新しい請求の追加,訴えの変更,反訴又は独立当事者参加は,攻撃防御方法と同じ規律だけで処理できない。手続類型を先に確認する。

第8 新主張・証拠を提出する側の対応

提出側は,新しい主張・証拠の必要性を説明するだけでなく,前に提出できなかった理由と遅延を避ける具体策を同時に示す。基礎事実を知った日,資料取得日,相手方の新主張又は求釈明との関係及び従前主張との連続性を記載する。

新たな証拠調べが不要であること,相手方へ十分な準備期間を与えること,予定期日を維持できること,必要なら対象を限定することを提案する。説明に不正確な点があると,提出自体よりも帰責性の評価を悪化させるため,依頼者との確認記録を残す。

第9 実務チェックリスト

却下を求める側
① 対象主張・証拠を頁と番号で特定したか
② 提出可能時期と実際の提出時期を示したか
③ 故意・重大な過失の基礎事実を示したか
④ 必要な追加審理と延期期間を示したか
⑤ 理由説明を求め,回答を記録したか

提出する側
① 後発事情又は提出契機を示したか
② 従前主張との関係を示したか
③ 証拠の入手経過を示したか
④ 相手方の防御期間を確保したか
⑤ 審理遅延を避ける限定案を示したか

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第11 出典と調査範囲

① e-Gov法令検索「民事訴訟法」157条,162条,167条,174条,178条及び301条。
② 法務省「令和3年司法試験論文式試験出題の趣旨」及び同年の採点実感(民事系科目)
③ 裁判所ウェブサイト掲載判決(終盤の法律構成追加について,新たな証拠調べを要せず同一期日に弁論終結したため遅延要件を否定)。
④ 名古屋地裁判決(終盤提出の陳述書について訴訟完結の遅延を否定)。

令和8年9月24日,現行民事訴訟法,法務省公式資料及び裁判所ウェブサイトの判決全文を確認した。裁判所ウェブサイトには全裁判例が掲載されていない。今回のChromeセッションでは判例秘書の認証済み検索画面に入れなかったため,認証済みデータベースによる網羅検索は未実施であり,直接一致裁判例の全体像は未確認である。