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親族・相続

遺産確認の訴えとは――当事者・確認の利益・対象財産・主張立証(AI作成)

第1 遺産確認の訴えが必要となる場面

1 「何を分けるか」を民事訴訟で確定する手続

2 判決で決まる事項と決まらない事項

第2 遺産分割その他の手続との区別

1 家庭裁判所の遺産分割との役割分担

2 別の訴訟物を選ぶべき争い

3 調停前置と管轄

第3 全共同相続人の参加と当事者の確定

1 固有必要的共同訴訟

2 相続分全部譲渡と一部当事者に対する取下げ

3 第三者が権利を主張する場合

第4 確認の利益を判断する基準

1 現実の争いと抜本的解決の必要性

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遺産分割前に預貯金を払い戻す二つの方法―民法909条の2と仮分割の仮処分(AI作成)

第1 結論

1 二つの方法

2 通常の検討順序

第2 預貯金が遺産分割の対象となるまでの経緯

1 最高裁判例

2 平成30年相続法改正

第3 民法909条の2による金融機関での払戻し

1 払戻限度額

(1) 各預貯金債権についての計算
(2) 一金融機関当たり150万円の上限

2 計算例

3 金融機関に提出する資料

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相続回復請求権とは――表見相続人,共同相続人,5年・20年の時効と取得時効(AI作成)

第1 相続回復請求権の基本構造

1 民法884条が定める特別の時効

2 独立した一つの訴えではないこと

3 遺産分割との区別

第2 誰が誰に対して問題となるか

1 真正相続人と包括受遺者

2 表見相続人と単なる無権利者

3 共同相続人に適用される条件

4 共同相続人から財産を取得した第三者

第3 5年と20年の消滅時効

1 侵害を知った時から5年

2 相続開始から20年

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自筆証書遺言の訂正・破棄・隠匿と相続欠格事由(AI作成)

第1 訂正・破棄・隠匿を判断する順序

1 同じ外形でも主体によって法的効果が異なること

2 判断のために先に確定する事実

第2 自筆証書遺言の訂正方法と方式違反の効果

1 現行民法968条3項の訂正方法

2 方式違反があっても遺言全体が当然に無効となるわけではないこと

3 第三者による加筆は遺言の効力と相続欠格を分けて考えること

第3 遺言者本人による破棄と遺言の撤回

1 民法1024条の故意の破棄

2 文面全体への赤色斜線を破棄とした最高裁判例

3 公正証書遺言及び法務局保管遺言との違い

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自筆証書遺言の偽造と相続欠格――遺言無効との違い,立証方法及び裁判例(AI作成)

第1 この記事が扱う問題

1 遺言無効と相続欠格は別の問題である
2 最初に確認すべき結論

第2 遺言無効,相続欠格及び刑事責任の違い

1 偽造された自筆証書遺言はなぜ無効となるか
2 偽造者が相続欠格者となるための追加立証
3 刑事事件の成否及び有罪判決は別問題である

第3 民法891条5号の要件

1 偽造及び間接偽造
2 変造及び方式の補充
3 破棄及び隠匿
4 不当な相続利益を得る目的

第4 主要裁判例が示す判断の分岐

1 最高裁昭和56年4月3日判決――方式を補充した場合
2 最高裁平成9年1月28日判決――不当利益目的がない場合
3 広島高裁平成14年8月27日判決――間接偽造
4 さいたま地裁平成20年9月24日判決――日付の書込み

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秘密証書遺言の作成方法,効力,検認及び令和8年改正(AI作成)

第1 秘密証書遺言の位置付け

1 内容を秘密にしたまま存在を明確にする遺言であること

2 利用件数が少ないこと

第2 現行法による作成方法

1 民法970条1項の4段階

2 本文の日付と訂正

3 口がきけない者及び成年被後見人の特則

第3 遺言本文の作成者である「筆者」

1 パソコンを実際に操作した者が筆者となること

2 専門家の指示で事務職員が入力した事案

第4 証人,費用及び保管

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自筆証書遺言の押印―必要な印と押し方・令和8年改正(AI作成)

第1 現在は自筆証書遺言に押印が必要である

1 本記事の対象と結論

2 現行民法968条の三つの押印

3 令和8年改正は成立したが未施行である

第2 実印・認印・指印・花押の扱い

1 実印でなく認印でも足りる

2 指印は押印に当たる

3 花押やサイン様の略号は押印にならない

4 本人以外が物理的に押した場合

5 押印を全く欠く遺言の例外は極めて狭い

第3 押印の場所・複数枚・押印時期

1 氏名の直下が安全だが法定の場所ではない

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相続させる遺言と特定財産承継遺言――違い,効力,登記及び遺言執行者の権限(AI作成)

第1 「相続させる」遺言と特定財産承継遺言の関係

1 結論――両者は重なるが,同じ意味ではない
2 法定の成立要件
3 「相続させる」という語だけでは決まらない

第2 最高裁平成3年判決が確立した直接承継の仕組み

1 遺産分割方法の指定と解する原則
2 相続開始時の直接承継
3 相続放棄及び遺言と異なる分配

第3 特定遺贈,相続分の指定及び包括遺贈との区別

1 特定遺贈との違い
2 相続分の指定との違い
3 包括遺贈との違い

第4 第三者対抗要件と相続登記

1 旧法下では登記なく第三者に対抗できた
2 現行民法899条の2
3 相続登記申請義務と登録免許税

第5 遺言執行者の権限は旧法と現行法で異なる

1 平穏な未登記事案を扱った最高裁平成7年判決
2 妨害登記を扱った最高裁平成11年判決

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相続放棄の3か月はいつからか――熟慮期間の起算点,伸長及び期限経過後の申述(AI作成)

第1 相続放棄の「3か月」の意味

1 死亡日から一律に3か月ではない

2 本記事の対象

第2 原則的な起算点

1 死亡と自己の相続人性を知った時

2 後順位相続人

3 共同相続人ごとの個別計算

第3 3か月の計算方法

1 初日不算入と暦による計算

2 期限管理に必要な日付

第4 相続財産を後から知った場合

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限定承認と税金――みなし譲渡,準確定申告,相続税及び住民税(AI作成)

第1 限定承認の税務を理解するための基本構造

1 限定承認が制限するのは相続債務の責任である

2 税金を三つの層に分ける

第2 民法上の手続と税務申告の期限

1 限定承認は共同相続人全員で行う

2 3か月,4か月及び10か月を別々に管理する

第3 死亡時のみなし譲渡所得課税

1 課税対象は相続財産全部ではない

2 課税時点は限定承認申述の受理日ではなく相続開始時である

3 財産超過でもみなし譲渡課税は適用される

4 相続開始時の時価を相続税評価額で代用しない

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遺産分割と未支給年金――相続財産性,受給順位及び手続(AI作成)

第1 この記事が扱う未支給年金1 結論と対象2 未支給年金と遺族年金の違い第2 未支給年金が遺産分割の対象にならない理由1 相続ではなく法定遺族の固有の権利であること2 最高裁平成7年11月7日判決3 遺産分割協議書での扱い第3 誰が未支給年金を請求できるか1 親族の範囲と順位2 同順位者が複数いる場合3 法定の遺族がいない場合第4 生計同一をどのように判断するか1 同居だけで決まる要件ではないこと2 立証に用いる資料3 裁判例が示す判断の分かれ目(1) 別居していても生計同一が認められた例(2) 長期別居で生計同一が否定された例(3) 法律婚と事実婚が競合した例第5 死亡前入金,死亡後入金及び過払の区別1 死亡月分までの未払額2 口座への入金時点で結論が変わること第6 相続放棄及び請求者死亡1 通常の未支給年金と相続放棄2 先順位者が請求前に死亡した場合第7 請求手続,時効及び税務1 請求書及び基本資料2 本人が生前に年金請求をしていなかった場合3 消滅時効4 相続税と所得税第8 制度名によって結論が変わる例外1 旧共済年金の一部2 企業年金,確定拠出年金及び個人年金保険第9 実務上の確認順序第10 出典・参考資料1 法令2 裁判例3 行政資料4 文献第1 この記事が扱う未支給年金
1 結論と対象

通常の国民年金及び厚生年金保険について,受給権者が死亡した時点で未払となっている死亡月分までの年金は,遺産分割の対象となる相続財産ではない。国民年金法19条及び厚生年金保険法37条が,死亡時に受給権者と生計を同じくしていた一定範囲の遺族に,自己の名で請求する固有の権利を与えているためである。

したがって,法定相続人であることだけでは請求できず,反対に,相続人でなくても法定の親族範囲,生計同一及び順位を満たせば請求できることがある。遺産分割協議によって,日本年金機構に対する受給順位を入れ替えたり,生計同一でなかった相続人を請求者にしたりすることはできない。

本記事は,令和8年8月9日現在の国民年金及び厚生年金保険を中心に扱う。旧共済年金,企業年金,確定拠出年金及び個人年金保険は制度ごとに結論が異なるため,第8で別に説明する。

本記事は一般的な法制度及び手続の情報を提供するものであり,個別案件についての法律相談又は税務相談ではない。具体的な事情に即した相談は,「遺言・相続のお問い合わせ」から可能である。

2 未支給年金と遺族年金の違い

未支給年金は,死亡した受給権者に死亡月分まで支給されるべきであった年金について,支払時期又は手続の関係で未払となっている部分である。これに対し,遺族基礎年金及び遺族厚生年金は,被保険者等の死亡を支給事由として遺族に発生する別の給付であり,受給者の範囲,年齢要件,生計維持要件及び失権事由も異なる。

特に,未支給年金で必要なのは原則として「生計同一」であり,遺族年金で問題となる「生計維持」と同じではない。生計維持に関する年収850万円未満等の収入要件を,未支給年金の生計同一要件へそのまま当てはめることはできない。遺族厚生年金の生計維持要件そのもの(収入要件のライン,別居,内縁・重婚的内縁関係及びDVによる別居等の限界事例)については,「遺族厚生年金の生計維持要件——収入,別居,内縁及びDV別居の限界事例」で扱っている。

第2 未支給年金が遺産分割の対象にならない理由
1 相続ではなく法定遺族の固有の権利であること

民法896条は,被相続人の一身に専属するものを除き,相続人が被相続人の権利義務を承継すると定める。しかし,国民年金法19条及び厚生年金保険法37条は,この相続の一般原則とは別に,法定の遺族が自己の名で未支給年金を請求する仕組みを設けている。

この違いは,誰が受け取るかを決定する基準に表れる。遺産であれば相続人,遺言,法定相続分及び遺産分割が問題となるのに対し,未支給年金では親族範囲,死亡時の生計同一及び政令上の順位が問題となる。

2 最高裁平成7年11月7日判決

最高裁平成7年11月7日第三小法廷判決(平成3年(行ツ)第212号,民集49巻9号2829頁)は,国民年金法19条1項が一定の遺族に未支給年金の支給を請求する固有の権利を与えたものであり,死亡した受給権者の未支給年金請求権が相続の対象になるものではないと判示した。本判決は,未支給年金を遺産分割から外す現在の実務の出発点である。

また,本判決は,法定遺族が行政庁への請求及び支給決定を経て具体的な支給を受ける仕組みを重視し,死亡した受給権者本人が提起していた年金支給請求訴訟を遺族が当然に承継することも否定した。受給権者に未払分があったという事実だけから,相続人が当然に金銭債権を承継するわけではない。

3 遺産分割協議書での扱い

遺産分割協議書では,通常の未支給年金を遺産目録に計上し,特定の相続人が相続するという書き方を避けるのが法的構造に合う。記載が必要であれば,「未支給年金は法令上の受給権者が別途請求する」旨を確認事項として置き,遺産そのものの分配条項と区別する方法が考えられる。

もっとも,受領者が家族関係への配慮から他の親族へ金銭を渡すことや,遺産全体の合意解決の中で別の財産配分を調整することまで禁止されるわけではない。ただし,それは未支給年金の受給権を遺産分割した結果ではなく,別個の合意又は金銭移転であるため,合意内容及び税務上の扱いを分けて検討する必要がある。

第3 誰が未支給年金を請求できるか
1 親族の範囲と順位

平成26年4月1日以後に受給権者が死亡した場合,請求できるのは,死亡時に受給権者と生計を同じくしていた①配偶者,②子,③父母,④孫,⑤祖父母,⑥兄弟姉妹,⑦これら以外の三親等内の親族である。順位もこの順であり,先順位者がいるときは後順位者に請求権は生じない。

平成26年3月31日以前の死亡では,その他の三親等内の親族への拡張前の規定が適用される。古い判例又は実務書に「兄弟姉妹まで」と記載されていても,現在の死亡事案へそのまま用いることはできない。

配偶者には,法律上の婚姻届がある者だけでなく,社会通念上夫婦としての共同生活が認められる事実婚の配偶者が含まれ得る。ただし,法律婚配偶者と事実婚の配偶者が競合する場合は,法律婚の実体,経済的援助,接触状況及び共同生活の実態を具体的に確認する必要がある。

2 同順位者が複数いる場合

同順位者が2人以上いる場合,その1人による請求は全員のために全額についてしたものとみなされ,その1人への支給は全員に対してしたものとみなされる。日本年金機構への請求及び支払は代表者1人にまとめられるが,早く請求した者が全額を終局的に取得するという意味ではない。

法令は,同順位者間の最終的な内部取得割合を明記していない。堀勝洋『年金保険法〔第5版〕』355頁~356頁は頭数による均等を説くが,この点を直接判断した公開裁判例は確認できないため,代表受領者は他の同順位者を確認し,分配方法を記録しておくことが安全である。

3 法定の遺族がいない場合

親族範囲,生計同一及び順位を満たす者がいない通常の国民年金・厚生年金では,未支給年金が相続人一般へ回る仕組みはない。相続人が存在しても,法定の未支給年金受給者に該当しなければ,その相続人は請求できない。

この結論は,旧共済年金の一部又は確定拠出年金の死亡後5年経過時の扱いとは異なる。年金証書,年金コード及び支給元を確認し,単に「年金」という名称だけで判断しないことが重要である。

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遺産分割調停・審判の管轄,移送と自庁処理(AI作成)

第1 調停と審判の管轄は異なる

1 基本的な区別

2 同じ裁判所で当然に続くわけではない

第2 遺産分割調停の管轄

1 相手方住所地と複数の相手方

2 住所がない場合又は住所が知れない場合

3 調停の合意管轄

4 相続開始地は調停の法定管轄ではない

第3 遺産分割審判の管轄

1 相続開始地の家庭裁判所

2 審判の合意管轄

3 寄与分事件との関係

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大阪家裁後見センター――組織の位置付け,沿革及び独自の運用実務(AI作成)

第1 この記事が扱う対象と検索意図
第2 大阪家裁後見センターの組織的な位置付け
第3 沿革――発足から現在までの展開
第4 大阪独自の制度① 総合支援型後見監督人
第5 大阪独自の制度② 市民後見人へのリレー
第6 本人死亡後の後見等監督
第7 法定後見と任意後見の優劣が問題となった裁判例

1 大阪高裁決定平成14年6月5日
2 大阪高裁決定平成24年9月6日
3 福岡高裁・高松高裁・水戸家裁の裁判例

第8 後見人等の解任事由と後見法改正の動き
第9 東京家裁後見センターとの異同
第10 後見人等に交付されるハンドブックが示す日常の運用
出典

第1 この記事が扱う対象と検索意図
大阪家庭裁判所には,成年後見関係事件(後見開始,保佐開始,補助開始及び任意後見監督人選任の各申立事件並びにその後の監督事務)を集中的に扱う部門があり,実務上「大阪家裁後見センター」と呼ばれている。この記事は,大阪家裁後見センターの組織上の位置付け,発足からの沿革,及び他庁にはみられない独自の運用実務を,大阪家庭裁判所自身が作成した公文書に基づいて整理するものである。

中心的な資料は,大阪弁護士会報「月刊大阪弁護士会」に平成29年から連載されている「大阪家裁後見センターだより」である。これは大阪家庭裁判所家事第4部が執筆する連載であり,司法行政文書開示請求によって全51回分の原本を確認することができた。あわせて,同センターの組織的位置付けを示す司法行政文書,関連する裁判例及び現行の民法・家事事件手続法の条文を確認した上で,東京家庭裁判所後見センターとの異同にも触れる。連載の第1回から第41回までは,内容ごとに並べ替えた上で書籍化されており(大阪家庭裁判所後見センター編『大阪家庭裁判所後見センターだより』(大阪弁護士協同組合,2025年)。以下「書籍版」という。),本記事は書籍版も参照している。書籍版は,原則として初出当時の運用を記載したもので,書籍化の際に一部を修正・加筆したものである(書籍版1頁)。
第2 大阪家裁後見センターの組織的な位置付け
「後見センター」は通称であり,正式な組織上の名称は大阪家庭裁判所家事第4部である。この点は,大阪家裁自身が作成した複数の司法行政文書のレターヘッドで確認できる。たとえば,平成30年7月付けで書記官室が作成した本人死亡後の監督に関する説明文書には「大阪家庭裁判所家事第4部(後見センター)」と記載され,令和元年7月付けの相続財産管理人選任事件に関する説明文書には「大阪家庭裁判所家事第4部財産管理係書記官室」と記載されている。

これらの記載から,家事第4部は,後見等関係事件を担当する後見センターと,相続財産管理人選任等の事件を担当する財産管理係という,少なくとも二つの係を内包する部であることが分かる。東京家庭裁判所の後見関係事件を扱う部門(家事第一部第二係)も,同じ家事第一部の中に財産管理を扱う第一係とハーグ条約関係事件を扱う第三係を置く構成になっており,後見と財産管理を同一部内の別係が分担するという組織設計は両庁に共通している(東京家裁後見センターの詳細については後掲リンク先の記事を参照)。

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身元保証人等がいない場合の入院拒否は医師法19条違反か――応招義務と高齢者等終身サポート事業の規制(AI作成)

第1 この記事が対象とする問題と検索意図

1 検討の対象と時点

第2 医師法19条の応招義務と身元保証人の不存在

1 医師法19条1項の「正当な事由」
2 平成30年通知――身元保証人等がいないことのみを理由とする入院拒否
3 令和元年通知――応招義務の法的性質
4 介護保険施設における並行規律

第3 身元保証人・身元引受人・連帯保証人の法的性格

1 身元保証ニ関スル法律は入院患者に適用されない
2 入院保証書の連帯保証条項と極度額規制
3 医療同意権限との峻別
4 成年後見人が身元保証人欄への署名を求められたとき

第4 身元保証等高齢者サポート事業の規制の展開

1 日本ライフ協会の経営破綻と消費者委員会の建議
2 総務省行政評価局による実態調査
3 高齢者等終身サポート事業者ガイドラインの策定
4 身元保証契約と死因贈与契約を組み合わせた契約をめぐる規律

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後見監督人とは――選任基準,職務,責任及び令和8年改正による制度再編(AI作成)

第1 後見監督人とは何か

1 この記事が扱う範囲と時点
2 後見監督人,保佐監督人,補助監督人及び任意後見監督人の関係

第2 選任の基準と実務の運用

1 条文上の選任基準
2 選任される事案の実情
3 選任率の低さという構造的な課題

第3 後見監督人の職務と権限

1 後見人の事務の監督及び後任選任の請求
2 同意権とこれを欠く行為の取消し
3 利益相反行為における被後見人の代表
4 急迫の事情がある場合の処分

第4 報酬,辞任及び解任

1 報酬
2 辞任
3 解任

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東京家庭裁判所後見センター――組織上の位置付け,沿革及び運用実務(AI作成)

第1 この記事が扱う対象

1 対象とする組織及び一次資料

第2 組織上の位置付け

1 正式名称は家事第一部第二係である
2 所在地及び立川支部後見係との分担

第3 沿革――2003年の開設からの推移

1 2003年開設時の実情
2 管理事件数の増加と2016年の内閣府への報告

第4 後見監督の事務プロセス
第5 後見人・後見監督人の選任基準

1 成年後見人の選任について
2 成年後見監督人の選任について

第6 後見人の「裁量」の範囲
第7 近時の運用変化――令和7年から令和8年

1 全国統一書式の導入と身上保護事務の報告

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成年後見事件における親族の意向の取扱い――選任,職務遂行及び解任の各場面における法的地位(AI作成)

第1 この記事が扱う対象

1 検討の対象と時点
2 対象とする文献の基本情報

第2 後見人の選任における親族の法的地位

1 選任の考慮要素(民法843条4項)
2 陳述及び意見の聴取の対象(家事事件手続法120条)
3 選任の結果に対する不服申立ての不存在(家事事件手続法123条)

第3 後見人の職務遂行と親族――「他人」という整理

1 意思尊重及び身上配慮義務の対象(民法858条)
2 判例タイムズ掲載論文が示す実務上の整理

第4 解任の場面における親族の位置づけ
第5 家庭裁判所の運用における転換――「身近な親族」を優先する選任方針

1 平成31年専門家会議が示した選任の基本的考え方
2 第二期成年後見制度利用促進基本計画における権利擁護支援チーム

第6 令和8年改正後の位置づけと他の場面との比較

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成年後見人等の報酬額の目安――大阪家裁の基準,令和7年全国実績及び申立手続(AIリライト)

第1 成年後見人等の報酬を考える前提

1 家庭裁判所が本人の財産から支給する額を定める

2 「めやす」「全国実績」「助成上限額」は別の数字である

第2 大阪家庭裁判所の報酬額のめやす

1 成年後見人等の基本報酬

2 成年後見監督人等の基本報酬

3 付加報酬及び複数選任

4 他の家庭裁判所の取扱い

第3 令和7年の全国集計から見た実際の報酬額

1 集計の対象と注意点

2 財産額別の代表的な分布

3 平均額33万4737円の位置付け

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遺産管理人とは――遺産分割調停・審判中の選任要件と権限(AIリライト)

第1 この記事でいう遺産管理人

1 家事事件手続法200条1項の財産の管理者

2 名称が似ている制度との違い

第2 遺産管理人の選任要件

1 遺産分割事件の係属と本案審判の蓋然性

2 財産管理の必要性

3 選任の必要性を基礎付ける例

(1) 保存・管理が行われていない例

(2) 中立的な管理が必要となる例

(3) 賃料の開示をめぐる紛争

第3 申立て,審理及び不服申立て

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相続財産管理人選任申立ての手引

1 令和5年4月改正より前の取扱いに関するものですが,相続財産管理人選任申立ての手引を以下のとおり掲載しています。

・ 相続財産管理人選任申立ての手引(申立てを検討している人向けの説明文書)
・ 相続財産管理人選任申立ての手引(民法918条2項用)
・ 相続財産管理人選任申立ての手引(成年後見人・保佐人・補助人用)
・ 自治体向け財産管理人選任事件申立てQ&A(令和元年11月改訂の,大阪家庭裁判所家事第4部財産管理係書記官室の文書)

2 「大阪家裁後見センターだより」も参照してください。

3 令和5年4月1日以降の相続財産清算人の手続については,次の記事で整理しています。
・ 相続人がいない場合の相続財産清算人
・ 相続財産清算人の権限外行為許可
・ 相続財産清算人による不動産の任意売却

個人事業主の離婚と財産分与――事業用財産の画定,得意先,分与の方法及び課税(AI作成)

第1 この記事が扱う範囲1 対象と,法人を設立している場合との違い2 令和6年民法改正による前提の変化第2 分与の対象となる財産の画定1 名義が個人に集中することの帰結2 家計と事業の区分3 事業用の負債第3 得意先及び営業権1 得意先名簿を現物で分与した例2 営業権を計上する場合の考え方第4 基準時及び評価第5 分与の方法と事業の継続1 現物共有を避けるべき理由2 代償金による清算と分割払い第6 課税上の取扱い1 分与した側に譲渡所得課税が生ずること2 譲渡所得税を分与の相当性の判断で考慮した例3 棚卸資産及び事業用固定資産第7 年金及び共済1 個人事業主本人には分割すべき厚生年金がないこと2 小規模企業共済等の取扱い第8 婚姻費用及び養育費における収入の認定第9 資料の収集,保全及び手続上の留意点1 情報開示命令2 財産分与請求権に基づく債権者代位3 分与を求める財産の一部について裁判をしないことは許されないこと第10 出典・参考資料1 法令・通達2 裁判例3 公的資料4 文献

第1 この記事が扱う範囲

1 対象と,法人を設立している場合との違い

本記事は,法人を設立せずに事業を営む個人事業主が離婚する場合の財産分与を扱う。商店,飲食店,工務店,農業,個人開業の医院,士業の事務所その他,業種や規模を問わず,事業の主体が個人であることに共通する問題を対象とする。

会社を経営している場合との最も大きな違いは,法人格による遮断がないことである。会社の財産は法人に帰属するから原則として分与の対象とならず,実務の標準的な処理は配偶者が保有する株式を評価して算入することで足りる。これに対して個人事業では,店舗,機械,車両,在庫及び売掛金のいずれも名義が個人に属するから,出発点において事業用の財産が分与の対象に含まれることになる。したがって争点は,事業用の財産が対象となるかどうかではなく,どこまでを事業として切り分けられるか,事業を継続させながらどのように清算するか,及び得意先のような無形の価値を計上するかに移る。

会社を設立している場合の対象性,評価及び会社法上の制約は経営者の離婚と自社株式の財産分与で,役員報酬の認定や債権者との関係は経営者の離婚をめぐる四つの局面で,それぞれ扱っている。住宅ローンを夫婦で分担する「ペアローン」に固有の論点はペアローンを組んだ夫婦の離婚と財産分与で扱っている。本記事の作成にはAIを用いており,引用する法令はe-Gov法令検索により,裁判例は裁判所ウェブサイト又は判例秘書により,それぞれ内容を確認している。本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり,個別の事案に対する法的助言ではない。

2 令和6年民法改正による前提の変化

民法等の一部を改正する法律(令和6年法律第33号)は令和8年4月1日から施行されている。改正後の民法768条2項ただし書は,家庭裁判所に対する協議に代わる処分の請求について「離婚の時から五年を経過したとき」を限界とし,同条3項は考慮すべき事情を列挙した上で,「この場合において,婚姻中の財産の取得又は維持についての各当事者の寄与の程度は,その程度が異なることが明らかでないときは,相等しいものとする」と定める。

個人事業の事案でこの後段が持つ意味は,会社を経営している場合と同じではない。事業主の側は,事業用の資産は自らの才覚と労働によって形成したものであると主張することが多いが,改正によって寄与の程度を等しいとする推定が条文上置かれた結果,その主張は「異なることが明らかである」といえる事情を示す立場からのものになる。他方で,配偶者が青色事業専従者として現に稼働してきた事案では,推定を維持する側が有利になる。

経過措置は請求期間だけが例外とされている。同法附則2条が改正後の民法の規定を施行前に生じた事項にも適用する旨を定める一方,同法附則4条は,施行日前に離婚した場合の財産の分与に関する処分を請求することができる期間の制限について,なお従前の例によるものとしている。施行日前に成立した離婚では請求期間は従前どおり2年である一方,寄与の程度に関する推定は及ぶという非対称が生ずる。なお,離婚時の年金分割の請求期限も,令和7年年金制度改正法(令和7年法律第74号)により同じ令和8年4月1日から2年ではなく5年とされているから,離婚の時期を確認した上で二つの期限を併せて把握することになる。

第2 分与の対象となる財産の画定

1 名義が個人に集中することの帰結

民法762条1項は,夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産を特有財産とし,同条2項は,夫婦のいずれに属するか明らかでない財産を共有に属するものと推定する。個人事業では事業用の口座も事業用の不動産も事業主個人の名義であるから,名義だけを手掛かりにして特有財産と共有財産を仕分けることはできない。婚姻期間中に事業から得た収益によって取得した資産は,名義が事業主個人であっても婚姻中に取得した財産として分与の対象となるのが原則であり,これを対象から外そうとする側が,取得の時期及び原資を示して特有財産であることを主張立証することになる。

婚姻前から営んでいた事業を婚姻後も継続している場合には,婚姻時点で存在していた事業用資産と,婚姻後に事業の収益で取得した資産とを区別する必要がある。もっとも,機械や車両のように更新を繰り返す資産や,日々出入りのある事業用預金については,婚姻時点の残高がそのまま特有財産として残存していると認定できる場面は限られる。開業時の帳簿,確定申告書及び固定資産台帳をさかのぼって取得の経緯を示せるかどうかが,実際上の分かれ目になる。

2 家計と事業の区分

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個人事業主の離婚と婚姻費用及び養育費――確定申告書からの総収入の認定,減価償却費の取扱い及び回収方法(AI作成)

第1 この記事が扱う対象

第2 自営業者の総収入は確定申告書の「課税される所得金額」から組み立てる

1 出発点となる書類と最も多い誤り
2 「課税される所得金額」に加算する項目
3 社会保険料控除だけを加算しない理由
4 必要経費そのものを争う場合

第3 減価償却費――令和4年の二つの高等裁判所決定

1 二者択一という枠組み
2 減価償却費を加算した例
3 減価償却費を加算しなかった例
4 分岐点はどこにあるか

第4 給与所得と事業所得が併存する場合の換算

第5 確定申告書が信用できない場合の収入認定

第6 高額所得の個人事業主

1 算定表の上限
2 基礎収入の修正計算

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昭和55年以前に開始した相続の法定相続分――時期区分と改正前民法900条の割合(AI作成)

第1 この記事が扱う相続と,適用される法の決め方1 相続分は相続開始時の法によって定まる2 適用される法の時期区分第2 昭和55年改正が設けた分水嶺1 改正法附則の経過措置2 改正された条文の内容3 e-Gov法令検索で経過措置を確認するときの限界第3 昭和23年1月1日から昭和55年12月31日までの法定相続分1 配偶者と血族相続人の割合2 同順位の相続人が数人あるときの割合3 昭和37年改正が変えたものと変えなかったもの第4 応急措置法が適用される相続の相続分第5 旧民法の遺産相続における相続分1 遺産相続人の順位2 庶子及び私生子の相続分第6 代襲相続の範囲が三段階に変わること第7 嫡出でない子の相続分と違憲決定の射程第8 地域による適用法の違い第9 相続分の計算に連動する制度1 遺留分2 寄与分3 相続税法上の相続分と配偶者の税額軽減第10 計算の手順と誤りやすい点1 計算の手順2 誤りやすい点3 計算した相続分が争われた場合出典・参考資料1 法令2 裁判例3 公文書・歴史資料4 文献

第1 この記事が扱う相続と,適用される法の決め方

1 相続分は相続開始時の法によって定まる

相続登記が長期間されないまま放置された不動産や,先代・先々代の名義のままになっている土地について遺産分割や相続登記を進めるときは,被相続人が死亡した日を基準として,その当時に施行されていた法律による法定相続分を計算しなければならない。現行の民法900条1号は,子及び配偶者が相続人であるときの相続分を各2分の1と定めているが,この割合が適用されるのは昭和56年1月1日以後に開始した相続に限られる。本記事は,昭和55年12月31日以前に開始した相続について,どの時期にどの割合が適用されるのかを,官報に掲載された公布時の条文にさかのぼって整理するものである。作成に当たっては,AIを用いて官報,国会会議録及び裁判所ウェブサイトの原資料を通読し,条文の文言と数値を原典と逐語で照合した。

この整理の出発点となる経過措置は二つある。一つは,民法及び家事審判法の一部を改正する法律(昭和55年法律第51号)附則第2項であり,「この法律の施行前に開始した相続に関しては、なお、第一条の規定による改正前の民法の規定を適用する」と定める。もう一つは,民法の一部を改正する法律(昭和22年法律第222号)附則第25条第1項であり,「応急措置法施行前に開始した相続に関しては、第二項の場合を除いて、なお、旧法を適用する」と定める。相続分は,相続人の範囲と同じく相続開始時に施行されていた法によって決まり,その後の改正によって遡って変わることはない。

本記事は,被相続人が日本人であり日本法が準拠法となる場合を対象とする。被相続人が外国人であるときは相続の準拠法は本国法であり,最高裁判所第二小法廷昭和37年8月10日判決は,大韓民国人について昭和31年当時に生じた遺産相続の相続人を,当時の同国の慣習によって認定している。在日韓国・朝鮮人が被相続人である事案の相続人調査については在日韓国・朝鮮人の相続人調査で扱っている。また,相続人の範囲そのもの,すなわち家督相続と遺産相続の区別,家督相続人が選定されなかった場合の処理及び家附の継子の相続権については旧民法が適用される相続の相続人の特定で扱っているため,本記事は相続人が確定した後の割合の計算に対象を絞る。

2 適用される法の時期区分

相続開始日によって適用される法は,次の5期に分かれる。境界となる日付は,いずれも各法律の施行期日に関する規定から導かれる。

相続開始日適用される法昭和22年5月2日以前旧民法(明治31年法律第9号として公布された民法第四編親族・第五編相続)。家督相続又は遺産相続昭和22年5月3日から同年12月31日まで日本国憲法の施行に伴う民法の応急的措置に関する法律(昭和22年法律第74号)及び旧民法の遺産相続に関する規定昭和23年1月1日から昭和37年6月30日まで民法(昭和22年法律第222号による改正後のもの)昭和37年7月1日から昭和55年12月31日まで民法(昭和37年法律第40号による改正後のもの)昭和56年1月1日以後民法(昭和55年法律第51号による改正後のもの)

各境界日の根拠は次のとおりである。応急措置法の附則は「この法律は、日本國憲法施行の日から、これを施行する。」と定めるから,同法は憲法施行日である昭和22年5月3日から適用される。昭和22年法律第222号附則第1条は「この法律は、昭和二十三年一月一日から、これを施行する。」と定める。昭和37年法律第40号附則第1項は「この法律は、昭和三十七年七月一日から施行する。」と定め,昭和55年法律第51号附則第1項は「この法律は、昭和五十六年一月一日から施行する。」と定める。なお,応急措置法の附則には失効期日を定める規定が置かれておらず,同法及び同時期の関係法律の整理に関する法律にも同法を廃止する条項は見当たらないが,新民法の施行によって相続に関する規律が引き継がれた結果,昭和23年1月1日以後に開始した相続には新民法が適用される。

第2 昭和55年改正が設けた分水嶺

1 改正法附則の経過措置

民法及び家事審判法の一部を改正する法律は,昭和55年5月17日に公布され,官報同日付本紙第15994号5頁に掲載された。その附則は7項から成り,相続分の計算に直接かかわるのは次の2項である。

1 この法律は、昭和五十六年一月一日から施行する。

2 この法律の施行前に開始した相続に関しては、なお、第一条の規定による改正前の民法の規定を適用する。

この経過措置は,改正後の規定を施行前に開始した相続へは一切及ぼさないという完全な不遡及を定めるものである。したがって,被相続人が昭和55年12月31日に死亡した相続と,翌日である昭和56年1月1日に死亡した相続とでは,遺産分割や相続登記を現在行うとしても,適用される相続分の割合が異なる。

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令和7年10月1日施行の公証人手数料令改正――公正証書作成手数料の新旧対照,引下げ項目及び経過措置(AI作成)

目次

第1 この記事が扱う対象

1 改正の特定と施行日
2 委任の構造

第2 改正の全体像

第3 法律行為に係る公正証書の作成手数料

第4 新設された3か条

1 死後事務委任に関する公正証書(18条の2)
2 信託に関する公正証書(22条の2)
3 電磁的記録の提供(40条の2)

第5 養育費に関する定期給付の上限

第6 個別の手数料額の改定

1 公正証書の作成に関するもの
2 執行文,送達,交付及び閲覧に関するもの
3 デジタル化に伴う技術的な改正

第7 据え置かれた手数料

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経営者の離婚をめぐる四つの局面――役員報酬と婚姻費用,譲渡制限株式の売買価格決定,債権者による取消し及び婚姻後の夫婦間契約(AI作成)

第1 この記事が扱う範囲1 対象及び時点2 令和6年民法改正の経過措置は請求期間だけが例外であること3 同じ日に施行された年金分割の請求期限の伸長第2 役員報酬と婚姻費用及び養育費1 標準算定方式と基礎収入の割合2 同族会社の役員の総収入をどう認定するか3 過去に遡る分担と,財産分与による清算4 いったん定めた分担額を争う方法5 資料を出させる手段としての情報開示命令6 執行の段階で認められている特例第3 譲渡制限株式の売買価格の決定1 現物分与から価格決定に至る道筋2 申立て,審理及び鑑定3 非流動性ディスカウントをめぐる二つの最高裁決定4 二つの決定の関係をどう読むか第4 債権者及び破産管財人から見た財産分与1 詐害行為とならないのが原則であること2 取消しの範囲と,慰謝料の取扱い3 分与者が破産した場合の財産分与金4 婚姻費用の分担に関する債権を被保全債権とする場合5 破産法上の否認をめぐって見解が分かれている点第5 民法754条の削除と婚姻後の夫婦間契約1 削除された規定と,判例による限定2 削除の理由と,法制審議会答申からの経緯3 婚姻の届出前にする夫婦財産契約の制約4 婚姻後にする合意の設計5 自社株式及び株主間契約への影響出典・参考資料1 法令2 裁判例3 公的資料4 文献5 ウェブ資料
第1 この記事が扱う範囲
1 対象及び時点

非上場会社を経営する者の離婚では,自社株式が財産分与の対象となるか,どのように評価するかが最大の争点になる。もっとも,実際の事件で決着を左右するのはそれだけではない。株式の評価額とは別に毎月の収入が問題になる局面,分与を現実に実行しようとして会社法上の手続に突き当たる局面,分与を第三者である債権者や破産管財人がどう見るかという局面,そして紛争が生じる前に合意で備える局面がある。本記事は,この四つを条文及び判決文に即して整理する。自社株式そのものの対象性,評価及び課税は経営者の離婚と自社株式の財産分与で扱っているため,本記事では重複しない範囲に絞る。本記事の作成にはAIを用いており,引用する法令はe-Gov法令検索により,裁判例は裁判所ウェブサイトにより,それぞれ内容を確認している。本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり,個別の事案に対する法的助言ではない。

2 令和6年民法改正の経過措置は請求期間だけが例外であること

民法等の一部を改正する法律(令和6年法律第33号)は令和8年4月1日から施行されている。財産分与に関しては,民法768条2項ただし書が家庭裁判所に対する請求の期間を「離婚の時から五年」とし,同条3項が考慮すべき事情を列挙した上で「この場合において,婚姻中の財産の取得又は維持についての各当事者の寄与の程度は,その程度が異なることが明らかでないときは,相等しいものとする」と定めた。実務上の疑問は,施行日より前に成立した離婚にこれらの規定が及ぶかであるが,この点は同法の附則が明文で処理している。

附則2条は「第一条の規定による改正後の民法(以下「新民法」という。)の規定は,この附則に特別の定めがある場合を除き,この法律の施行前に生じた事項にも適用する。ただし,同条の規定による改正前の民法(附則第六条において「旧民法」という。)の規定により生じた効力を妨げない」と定め,原則として遡って適用することを明らかにする。その上で,附則4条が「施行日前に離婚し,又は婚姻が取り消された場合における財産の分与に関する処分を家庭裁判所に請求することができる期間の制限については,なお従前の例による」として,請求期間だけを例外に切り出している。したがって,施行日前に離婚した事案では請求期間は従前どおり2年であるのに対し,寄与の程度を相等しいものとする同条3項後段は,施行日前に成立した離婚の財産分与についても適用されることになる。改正の効果を一律に「施行日以後の離婚に適用される」と説明すると,この非対称を落とすことになる。

3 同じ日に施行された年金分割の請求期限の伸長

財産分与と並んで請求期限が伸長されたのが,離婚時の年金分割である。厚生年金保険法78条の2第1項ただし書は,標準報酬の改定又は決定の請求について「当該離婚等をしたときから五年を経過したときその他の厚生労働省令で定める場合に該当するときは,この限りでない」と定める。これは令和7年年金制度改正法(令和7年法律第74号)による改正で,日本年金機構の案内によれば施行日は令和8年4月1日であり,同日前に離婚等をした場合は従前どおり2年以内に請求する必要がある。

この改正には立法の経緯がある。令和6年民法改正の際に参議院法務委員会が付した附帯決議(令和6年5月16日)は,その第13項において,「本法により離婚時の財産分与に係る請求期限が二年から五年となることを踏まえ,二年となっている離婚時の年金分割に係る請求期限の延長について早急に検討を行うこと」と述べていた。財産分与と年金分割は,同じ日に,5年へ伸長する点でも施行日前の離婚を従前どおりとする点でも同じ構造で揃ったことになるから,離婚の相談では二つを対にして期限を確認することになる。

第2 役員報酬と婚姻費用及び養育費
1 標準算定方式と基礎収入の割合

婚姻費用及び養育費の算定は,現在,令和元年12月23日に公表された司法研究(平成30年度司法研究「養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究」)が提案した改定標準算定方式・算定表によっている。同研究の概要によれば,総収入から公租公課,職業費及び特別経費を控除した基礎収入の割合は,給与所得者でおおむね54パーセントから38パーセント,自営業者でおおむね61パーセントから48パーセントとなり,いずれも高額所得者ほど割合が小さくなる。子の生活費指数は0歳から14歳までが62,15歳以上が85である。自営業者については課税される所得金額を総収入とする点が給与所得者と異なる。

給与所得者を含む算定表全体の選び方,読み方,計算式及び特別事情については,婚姻費用算定表の見方,計算方法と特別事情(AI作成)で説明している。

同研究の概要には,「本研究の発表は,養育費等の額を変更すべき事情変更には該当しない」との記載もある。既に定められた養育費等の額について,算定方式が改定されたこと自体を理由に変更を求めることはできないという趣旨であり,改定の前後をまたぐ事案では確認しておく必要がある。

2 同族会社の役員の総収入をどう認定するか

経営者の事案に固有の難しさは,総収入の認定にある。婚姻費用及び養育費の算定実務を扱う文献は,同族会社の取締役について,代表取締役でない場合であっても「その収入額をその意思で変更することができる立場にあることが多く,その報酬額は,税金対策など様々な事情の影響を受けやすい」と指摘し,源泉徴収票では不十分と思われる事情がある場合には,源泉徴収票のほかに確定申告書等を提出させ,会社の営業内容をも検討すべきであるとする(松本哲泓『婚姻費用・養育費の算定』73頁)。給与所得者であれば源泉徴収票で足りるという前提が,経営者の事案では成り立たないということである。

もっとも,これは相手方が資料を任意に提出することを前提とした議論である。会社の決算資料や役員報酬の決定過程を示す資料は会社が保有しており,経営に関与していない配偶者の側で当然に入手できるものではない。相手方が提出しない場合にどうするかが,実務上の本題になる。

役員報酬の減額が争われた裁判例として,広島高等裁判所平成22年6月24日判決(平成21年(ネ)第569号,裁判所ウェブサイト)がある。夫は,離婚訴訟の原審で自らの年収を1641万円として養育費を主張していたが,本人尋問が行われた口頭弁論期日に,夫が取締役を務める会社の常務会で経費削減を理由に取締役報酬を28.57パーセント減額する決議がされたとする議事録を提出し,減額後の収入で算定すべきであると主張した。同判決は,会社の決算書類が提出されておらず,大幅な減額を要するほど業績が悪化したことを認めるに足りる客観的な証拠がないことなどから,この決議は「本件訴訟における養育費の算定において,その高額化を免れるために意図的に作出されたものとの疑いが残る」として減額を認めず,減額前の年収1641万円を養育費算定上の総収入とした。係争中の役員報酬の減額に対しては,減額の時期と訴訟の経過との関係や,業績を示す決算書類の提出の有無を具体的に指摘することが有効であることを示す例である。

3 過去に遡る分担と,財産分与による清算

婚姻費用の分担については,古くから二つの取扱いが確立している。第一に,最高裁判所大法廷昭和40年6月30日決定(昭和37年(ク)第243号,民集19巻4号1114頁)は,婚姻費用の分担に関する処分の審判が憲法32条及び82条に違反しないとした上で,「家庭裁判所は,審判時から過去に遡つて,婚姻費用の分担に関する処分をすることができる」と判示した。別居後に請求を怠っていた期間についても,遡って分担を求める余地がある。

第二に,最高裁判所第三小法廷昭和53年11月14日判決(昭和53年(オ)第706号,民集32巻8号1529頁)は,「離婚訴訟において裁判所が財産分与を命ずるにあたつては,当事者の一方が婚姻継続中に過当に負担した婚姻費用の清算のための給付をも含めて財産分与の額及び方法を定めることができる」と判示した。婚姻費用という毎月の収入の問題と,自社株式を含む財産分与という蓄積の問題は,別々の手続に分かれてはいるものの,金額の決定においては接続する。なお,最高裁判所第一小法廷令和2年1月23日決定(平成31年(許)第1号,民集74巻1号1頁)は,婚姻費用分担審判の申立て後に当事者が離婚したとしても婚姻費用分担請求権は消滅しないとしており,離婚成立によって過去分の請求が失われるわけではない。もっとも,過当に負担した婚姻費用の清算を財産分与の額に取り込むには,清算の対象となる財産の額が定まっていることが前提になる。自社株式について,対象を確定する時点と評価する時点をどのように分け,どのような評価方法によるかは,経営者の離婚と自社株式の財産分与の第4で扱っている。

4 いったん定めた分担額を争う方法

経営者の事案では,別居直後に取り交わした合意の金額が,後に判明した実際の収入と大きく食い違うことがある。この場合に,合意の無効を民事訴訟で確認してから審判に進むという道筋が考えられるが,最高裁判所第一小法廷令和7年9月4日判決(令和6年(受)第239号,民集79巻6号2637頁)は,これを否定した。同判決は「夫婦間における婚姻費用の分担の内容を定める合意の無効確認を求める訴えは,確認の利益を欠くものとして不適法である」と判示している。

その理由として同判決が挙げるのは,婚姻費用の分担義務が「その時々で変動する夫婦の収入,生活状況等の影響を受け得るもの」であり,「婚姻費用の分担の内容は,婚姻費用合意によって,以後,固定されるものではなく,適時に新たな形成があり得るものである」という点である。そのため,婚姻費用分担審判の手続において合意の成否が争われ,合意と異なる分担の内容を形成することを求める主張がされた場合,家庭裁判所は合意の存否,効力及び内容のみならず夫婦の収入,生活状況等の一切の事情を踏まえて新たに分担の内容を形成することになり,別途民事訴訟で合意の効力が確定されていないからといって,これが妨げられるわけではないとされた。同判決の事案は,夫の当時の年収について実際の額よりも低廉な額を前提として月額16万円とする合意がされ,後の審判が月額29万円等の支払を命じたというものであり,収入を低く示して合意を取り付けたと疑われる場面での争い方を示している。争う場は民事訴訟ではなく婚姻費用分担審判である,というのが実務上の帰結になる。

5 資料を出させる手段としての情報開示命令

令和6年改正で新設された家事事件手続法152条の2は,この分野で最も実務的な意味を持つ規定である。同条1項は,夫婦間の協力扶助に関する処分,婚姻費用の分担に関する処分及び子の監護に要する費用の分担に関する処分の各審判事件について,家庭裁判所が必要があると認めるときは,申立てにより又は職権で,当事者に対し「その収入及び資産の状況に関する情報を開示することを命ずることができる」と定める。同条2項は,財産の分与に関する処分の審判事件について,「その財産の状況に関する情報を開示することを命ずることができる」と定める。

さらに同条3項は「前二項の規定により情報の開示を命じられた当事者が,正当な理由なくその情報を開示せず,又は虚偽の情報を開示したときは,家庭裁判所は,十万円以下の過料に処する」と定めており,開示しないこと自体に制裁が用意された。会社の決算資料や役員報酬の実額を相手方が抱えたまま出さないという,経営者の事案に特有の状況に対して,正面から手当てをした規定である。もっとも,命ずるかどうかは家庭裁判所の判断であり,過料の額も10万円以下であるから,これだけで資料が必ず出るとまでは言えない。実務的には,まず情報開示命令の申立てをした上で,出てこない場合に調査嘱託その他の手段を検討するという順序になる。同条2項による財産の状況の開示は,自社株式の評価資料が相手方に偏在する事案でも同じ役割を果たす。資料が出た後に評価が争いとなって鑑定を実施する場合に,費用の負担及び鑑定結果に従う旨の合意をあらかじめ得ておくという調停実務の扱いは,経営者の離婚と自社株式の財産分与の第4の2で扱っている。

6 執行の段階で認められている特例

婚姻費用及び養育費については,執行の段階でも一般債権と異なる扱いがされている。民事執行法151条の2は,民法760条の婚姻費用分担義務や民法766条の子の監護に関する義務等について確定期限の定めのある定期金債権を有する場合において,その一部に不履行があるときは,「当該定期金債権のうち確定期限が到来していないものについても,債権執行を開始することができる」と定める。将来分について改めて申立てを繰り返す必要がないということである。また,同法152条3項は,これらの義務に係る金銭債権を請求する場合には差押禁止の範囲を4分の3から2分の1に読み替えるものとしており,給与債権からの回収可能額が広がる。

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公正証書遺言を作成した公証人と連絡が取れない場合の方式遵守の立証方法(AI作成)

第1 この記事が扱う対象

1 検討の対象と時点
2 方式遵守の主張立証責任は遺言の有効を主張する側にある
3 遺言公正証書は公文書であること

第2 公証人と連絡が取れなくなる場面

1 公証人法上の身分の変動
2 記憶がない場合と証言を拒絶する場合

第3 原本及び附属書類の所在

1 封印と引継ぎ
2 保存期間
3 附属書類の範囲と7年の保存期間
4 原本の二重保存と滅失時の措置

第4 資料を取得する手順

1 遺言検索システムによる特定
2 閲覧,謄本及び正本の請求
3 訴訟上の証拠収集手段

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経営者の離婚と自社株式の財産分与――対象性,評価,分与方法及び課税(AI作成)

第1 本記事の対象と令和6年民法改正による前提の変化

1 対象及び射程

2 民法768条の改正――寄与の程度の推定と請求期間

3 民法754条の削除

第2 自社株式は財産分与の対象となるか

1 名義と特有財産――民法762条の構造

2 会社の設立時期による区別

第3 会社名義の財産に及ぶ場合――裁判例が示す三つの段階

1 原則――法人格が別である以上,会社財産は対象とならない

2 資産収益関係を考慮に入れる

3 個人営業と同視する

4 資産及び負債を通算する

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公正証書遺言に関する遺言無効確認請求訴訟の要件事実――請求原因,抗弁及び再抗弁の分配(AI作成)

第1 この記事が扱う対象

1 検討の対象と時点
2 主張立証責任の三層構造

第2 請求原因は訴訟要件を基礎付ける事実である

1 訴訟物と請求の趣旨
2 請求原因の4つの要件事実
3 遺言者の生存中は訴えを提起できない

第3 抗弁は遺言の成立要件である

1 立証責任が遺言の有効を主張する側にある
2 令和7年9月30日以前に作成された公正証書遺言
3 令和7年10月1日以後に作成された公正証書遺言
4 証人の立会い
5 口授
6 筆記,読み聞かせ及び署名押印
7 公正証書遺言が有効であるという抗弁の記載例

第4 再抗弁は遺言の無効事由である

1 遺言能力の欠如
2 民法総則の規定による無効及び取消し

(続きを読む...)公正証書遺言に関する遺言無効確認請求訴訟の要件事実――請求原因,抗弁及び再抗弁の分配(AI作成)

被相続人の財産を調べる方法―相続人が被相続人の死亡後に行う財産・債務調査(AI作成)

◯山中弁護士への事件のご相談・ご依頼は「遺言・相続のお問い合わせ」から可能です。

第1 相続財産調査の目的と最初に管理する期限

1 全国一括検索だけでは調査は完結しない
2 3か月の熟慮期間を調査より先に管理する

第2 最初にそろえる権限資料と手掛かり

1 相続人と遺言を確定する
2 自宅,郵便物及び税務資料から候補表を作る

第3 財産・債務の種類ごとの調査方法

1 預貯金,貸金庫及び銀行取引

(1) 相続時預貯金口座照会で所在候補を探す
(2) 判明した金融機関へ残高と取引履歴を個別照会する

2 不動産

(1) 所有不動産記録証明で全国の登記記録を検索する
(2) 名寄帳と固定資産税資料を併用する

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アルツハイマー型認知症と公正証書遺言の無効主張-診断名と重症度の区別(AI作成)

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目次

第1 本記事の対象と結論の要点

1 アルツハイマー型の診断だけでは無効にならない
2 既存記事との役割分担
3 争点は作成時点の程度に絞り込まれる

第2 診断名と重症度を区別する

1 診断名は重症度を語らない
2 処方薬の適応範囲から重症度の上限を検討する
3 バイオマーカーは重症度の判定に用いない
4 生物学的な診断基準への移行がもたらす影響

第3 進行性を前提とした立証と反論

1 進行速度から作成時点の程度を推認する
2 「作成当日は状態が良かった」との反論への対応
3 入院中の出来事は重症度の裏付けとして弱い

第4 認知機能検査及び認定資料の限界

1 カットオフ値だけでは判断されない
2 合計点よりも遂行機能と言語性記憶に着目する

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死後事務委任契約の効力,内容及び作成時の注意点(AI作成)

第1 死後事務委任契約の役割
1 死後の事務を生前に委ねる契約であること
2 契約が特に有用となる場面

第2 本人の死亡後も契約が存続するための法的根拠
1 民法653条は当事者の別段の合意を妨げないこと
2 相続人による解除には限界があり得ること
3 契約の有効性と対外的な実行可能性は異なること

第3 委任できる事務と権限上の限界
1 典型的な死後事務
2 死亡届,火葬及び埋葬
(1) 死亡届を提出できる者
(2) 火葬及び埋葬の手続

3 賃貸住宅の解約及び残置物の処理
(1) 解除事務と残置物処理事務を分ける
(2) 指定残置物と非指定残置物を区別する
(3) 換価代金,費用及び残額を精算する
(4) モデル条項の対象外となる場面

4 相続財産,税務,預貯金及びデジタル遺品
(1) 相続財産の処分
(2) 税務及び預貯金
(3) デジタル遺品

第4 遺言,任意後見及び祭祀承継との使い分け

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遺品整理業者の許可・選び方と相続放棄・残置物処理の注意点(AI作成)

第1 遺品整理業者に一つの包括免許はない
1 名称ではなく実際の作業で規制が決まる
2 許可・権限の早見表
3 民間資格は法令上の許可を代替しない

第2 家庭ごみの運搬には市町村の一般廃棄物許可が必要である
1 家庭の遺品は通常,一般廃棄物となる
2 依頼者と許可業者の直接契約を確認する
3 「全部買取」でも実態が不要物なら廃棄物になり得る
4 家電と内装撤去は別工程として扱う

第3 買取と訪問契約には別の消費者保護規制がある
1 買取には古物商許可と処分権限の確認が必要である
2 自宅での買取は訪問購入となり得る
3 見積りのための訪問と契約締結の依頼は同じではない
4 免責条項と解約料にも限界がある

第4 遺品を処分できる者と相続放棄のリスク
1 共同相続人の一人だけで全部を処分できるとは限らない
2 相続放棄を考える者は売却・持帰り・費用充当を止める
3 裁判例は物の価値と行為の範囲を個別に見ている
4 緊急時は保存と記録を優先する

第5 賃貸住宅の残置物を家主が直ちに処分することはできない
1 残置物条項があっても自力救済は許されない
2 モデル契約は入居者の生前の委任を前提とする

第6 特殊清掃は免許名より安全管理の実質を見る

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令和8年成年後見制度改正と関係法律61本の整備(AI作成)

目次

第1 令和8年改正の対象と現在の適用関係

1 二つの法律を分けて読む必要がある
2 公布済みであるが成年後見部分は未施行である
3 改革の出発点は包括的な権利制限の縮小である

第2 法定後見を補助へ一元化する仕組み

1 判断能力の三類型から必要な権限の選択へ移る
2 三つの権限は効果が異なる
3 必要性がなくなれば能力回復前でも終了できる
4 意思尊重と任意後見の位置付けも変わる

第3 関係法律整備法が行う五つの接続

1 身分名称の削除と接続先の選択
2 民事訴訟は身分から訴訟能力の個別判断へ移る
3 会社法,信託法及び消費者契約法への影響
4 福祉,医療及び行政手続は一般的な医療同意権を設けない

第4 法律第46号が整備する61法律
第5 旧後見,旧保佐及び旧補助の経過措置

1 旧後見及び旧保佐は一律に新制度へ移らない

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移行型の任意後見契約―通常委任からの移行,濫用防止及び令和8年改正(AI作成)

目次

第1 移行型の任意後見契約とは何か

1 本記事の対象

2 二つの委任契約を組み合わせる仕組み

3 将来型及び即効型との違い

第2 現行法下での開始と終了

1 通常委任の開始

2 任意後見を開始する条件と申立て

3 任意後見監督人の選任後

4 通常委任をいつ終了させるか

第3 移行型に固有の危険

1 公的監督へ移らない移行不全

2 包括的代理権と事後検証の困難

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レビー小体型認知症患者の公正証書遺言の無効主張方法(AI作成)

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目次

第1 本記事の対象と結論の骨格

1 問われるのは診断名ではなく,遺言の内容と結果を弁識する能力である
2 公正証書であることは遺言能力を保証しない
3 令和5年改正後の条文構造
4 総論記事との役割分担

第2 レビー小体型認知症の医学的特徴

1 診断基準の構造
2 中核的特徴としての認知の変動
3 変動の実測値は秒単位から分単位である
4 変動するのは注意と覚醒であり,遺言能力の中身ではない
5 視空間認知障害と読み聞かせ・閲覧の限界
6 抗精神病薬に対する重篤な過敏性
7 せん妄との重畳
8 診断バイオマーカーとその精度
9 改訂長谷川式及びMMSEは本症の障害を過小評価する

第3 遺言能力に関する裁判例の判断枠組み

1 医学的判断と法的判断の二層構造
2 認知機能検査の点数の扱い

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家族信託(民事信託)が難しい4つの理由-設計・税務・実務インフラ・制度選択(AI作成)

AIで作成した本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり,特定の個別事案に対する法的助言ではありません。実際の設計・受任に当たっては,個別の事実関係と最新の法令・裁判例を確認してください。

目次

第1 本記事の対象と射程

1 本記事が扱う「4つの難所」と,現実化した具体的リスク
2 用語の整理――民事信託・家族信託・商事信託

第2 難所その1――設計を誤ると,信託の一部無効や終了制限条項の効力が問題となる

1 任意規定を基調とする制度構造
2 遺留分潜脱と公序良俗による一部無効――東京地方裁判所平成30年9月12日判決
3 「防御的」設計がかえって潜脱と評価されるリスク
4 信託の終了を制限する条項――最高裁令和8年6月17日決定

第3 難所その2――税務が私法とは別に動き,想定外の税負担が生じる

1 受益者等課税の原則と,他益信託化による課税
2 受益者連続型のフル評価課税と相続税額の加算
3 信託した収益不動産の損失は損益通算も繰越しもできない
4 非課税措置・特例の適用可否は制度ごとに異なる

第4 難所その3――口座を開けず信託が機能せず,専門職が責任を負う

1 民事信託には商事信託と同じ行政監督がない

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相続放棄と生前贈与スキームの限界(AI作成)

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目次

第1 本記事の対象と結論の要旨

1 問題の所在
2 結論の要旨——「相続放棄の脚」と「生前贈与の脚」
3 前提となる制度の骨格

第2 相続放棄それ自体は債権者に覆されにくい

1 相続放棄は詐害行為取消権の対象とならない
2 相続放棄の効力は登記なくして生ずる
3 遺産分割協議との違い

第3 攻撃はもっぱら生前贈与に向かう

1 詐害行為取消権
2 破産手続における否認権
3 国税徴収法39条の第二次納税義務
4 贈与が完成していないという問題(名義預金)

第4 負担からの解放という目的の限界

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国庫帰属した不動産のその後──相続土地国庫帰属法と民法959条による帰属後の管理・処分の実務(AI作成)

相続又は遺贈により取得した不要な土地を国に引き取ってもらう相続土地国庫帰属制度が令和5年4月27日に施行され,制度の利用は年々増えている。もっとも,弁護士が依頼者に助言する際に見落とされがちなのは,土地が国庫に帰属した「その後」に何が起きるのか,という点である。本記事は,不動産が国庫に帰属した後の管理・処分の法的枠組みと実際を整理し,弁護士が手続の選択及び依頼者への説明を行う際の検討事項を示すものである。個別の事案では,土地の物理的状況及び権利関係により結論が異なる。

目次

第1 国庫帰属した不動産をめぐる二つの系統と本記事の射程

1 相続土地国庫帰属法による帰属と民法959条による帰属の区別
2 帰属後はいずれも「普通財産」として管理・処分される

第2 相続土地国庫帰属法により帰属した不動産のその後

1 帰属の時期と管理機関
2 帰属後に残る法的リスク──承認の取消しと損害賠償責任
3 帰属した不動産の管理・処分の実際と評価方法

(1) 売却実績と帰属地の性質
(2) 簡易な評価手法と段階的な価格の見直し

第3 普通財産としての管理・処分の法的枠組み

1 処分の手段と貸付・交換・譲与・信託
2 適正な対価の原則と競争入札・随意契約

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旧民法が適用される相続の相続人の特定 ― 家督相続・遺産相続の区別と新民法附則の経過措置(AI作成)

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目次

第1 旧民法が適用される相続と本記事の射程

1 相続人の特定に適用する法は相続開始時の法である
2 旧民法・応急措置法・新民法の時代区分

第2 旧民法における相続の二本立て

1 家督相続
2 遺産相続
3 二本立ての区別が相続登記に与える影響

第3 昭和22年5月3日以後の相続と現行法附則の経過措置

1 応急措置法期の相続の位置づけ
2 家督相続人が選定されなかった場合の処理
3 応急措置法施行中に開始した相続と分配請求権

第4 家附の継子の相続権

1 嫡出子と同一の権利義務を有するための要件
2 分配請求権と適用除外

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別荘地管理費と不当利得―最高裁令和7年6月30日判決の射程(AI作成)

第1 本判決の事案と判旨
1 事案の概要
2 判旨

第2 本判決の判断枠組み
1 民法703条による受益,損失及び法律上の原因の欠如
2 契約自由の原則と区分所有法の団体的枠組みとの関係

第3 各専門的観点からの検討
1 不動産鑑定の観点――経済的価値と「相当と認められる額」
2 マンション管理の観点――共益費とフリーライダー
3 不動産取引実務の観点――管理契約の承継と重要事項説明
4 土木・造園技術の観点――基盤インフラ維持業務の評価
5 会計・原価計算の観点――損失と原資減少
6 民法・不当利得法の観点――費用利得と契約自由

第4 本判決の射程と限界
1 本判決が前提とした限定的事実
2 従前の裁判例及び学説との関係
3 他の共用管理関係への波及の可否

第5 実務上の検討
1 請求する側の主張立証
2 争う側の反論
3 「相当と認められる額」をめぐる立証
4 依頼者からの事情聴取事項

第6 結論を左右し得る不確実な要素

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相続の法定単純承認(民法921条)の実務――処分・熟慮期間の徒過・背信的行為の要件と主張立証(AI作成)

◯山中弁護士への事件のご相談・ご依頼は「遺言・相続のお問い合わせ」から可能です。

目次

第1 法定単純承認の意義と本記事の検討範囲

1 3類型と単純承認の効果
2 実務上の意味と本記事の範囲

第2 相続財産の処分(921条1号)

1 処分に当たるための主観的要件
2 「処分」の範囲と保存行為・短期賃貸借の除外
3 実務上問題となる支出・行為

(1) 葬儀費用・墓石・仏壇の負担
(2) 預貯金の払戻しと相続債務の弁済
(3) 遺産分割協議への関与

第3 熟慮期間の徒過(921条2号)

1 熟慮期間の起算点と繰下げ
2 再転相続における起算点
3 徒過後の錯誤による救済

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負動産としての別荘地―管理費請求・固定資産税・手放す手続の実務(AI作成)

第1 別荘地が「負動産」となる仕組みと本記事の対象
第2 別荘地の管理費をめぐる法律関係
1 管理費を請求する法律構成
ア 管理契約に基づく請求
イ 不当利得に基づく請求
ウ 区分所有法に基づく請求

2 最高裁令和7年6月30日判決
3 リゾートマンションの管理費・修繕積立金
4 更地の別荘地と区分所有法の「団地」規定

第3 別荘の保有に伴う固定資産税
1 別荘は住宅用地特例の対象外である
2 別荘とセカンドハウスの区別
3 別荘等所有税(法定外普通税)

第4 別荘地を手放す手続の選択
1 相続放棄と放棄後の管理責任
2 相続土地国庫帰属制度
3 売却・寄付・有料の引取り
4 譲渡及び相続税務上の留意点

第5 管理不全と空家等対策特別措置法
第6 事情聴取・立証・相手方の反論と判断手順
1 依頼者からの事情聴取事項
2 管理費請求事件の主張・立証と想定される反論
3 手続選択と追加確認を要する事項

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成年後見人の医療行為の同意(AI作成)

目次第1 問題の所在と結論1 本記事が扱う問題2 結論の要旨第2 現行法における後見人の権限と医療同意1 民法が定める後見人の権限の範囲2 医的侵襲への同意が代理になじまないとされる理由3 実務書が紹介する限定的肯定説4 受診の付添いと後見事務の区別第3 行政ガイドラインが示す実務の到達点1 身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定のガイドライン2 意思決定支援を踏まえた後見事務のガイドライン3 人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスのガイドライン4 看取り介護の同意書を求められたとき第4 個別の特別法における関与規定1 精神保健福祉法の医療保護入院2 予防接種法の「保護者」と同意の取得3 母体保護法・臓器移植法・感染症法・医療観察法第5 本人の同意能力と緊急時の対応1 医療同意能力は行為能力とは別に判断されること2 緊急時に本人の同意を得られない場合3 身元保証人・身元引受人の問題との区別第6 立法の動向と令和8年改正が残した課題1 利用促進法と基本計画による対応2 法制審部会における検討と立法の見送り3 令和8年改正後に残る課題第7 弁護士が相談を受けたときの実務的検討1 相談類型に応じた手続の選択2 依頼者・関係者から聴取すべき事項3 同意書要求への対応と関連する場面第8 出典・参考資料1 法令2 裁判例3 公的資料4 文献
第1 問題の所在と結論
1 本記事が扱う問題

認知症,知的障害又は精神障害により判断能力が低下した本人について,手術,輸血,内視鏡検査その他の身体への侵襲を伴う医療(以下「医的侵襲」という。)が必要になる場面は多い。
このとき,医療機関が成年後見人に対して同意書への署名を求めることがあり,後見人が対応に迷って弁護士に相談する例は少なくない。

本記事は,後見人自身,病院を顧問する立場又は本人の家族から相談を受ける弁護士を念頭に,成年後見人の医療同意に関する現行法の枠組み,行政ガイドラインが示す実務の到達点,個別の特別法における関与規定,本人の同意能力及び緊急時の扱い,並びに令和8年の法改正を含む立法の動向を,条文及び公的資料に即して整理するものである。
基準日は令和8年9月19日であり,法令は同日現在のe-Gov法令検索で確認した条文による。

2 結論の要旨

現行の民法は,成年後見人に対し,本人に代わって医的侵襲に同意する権限(医療同意権)を与える明文を置いていない。
厚生労働省及び最高裁判所等が関与して作成された複数の行政ガイドラインも,医療同意は成年後見人等の業務に含まれないという立場を明示している。

もっとも,精神保健福祉法の医療保護入院や予防接種法など,個別の特別法が特定の場面で後見人・保佐人又は「保護者」を関与主体として定めている例があり,これらは一般的な医療同意権を認めたものではない。
両者を区別して考える必要がある。
予防接種については,令和6年度から高齢者の新型コロナワクチンがB類疾病の定期接種になり,令和8年9月1日には予防接種実施規則の同意の方法が改正されたため,成年後見人の関与の仕方を改めて確認する必要がある。
後見・保佐を廃止して補助に一元化する令和8年の民法改正でも,医療同意権は創設されなかった。

第2 現行法における後見人の権限と医療同意
1 民法が定める後見人の権限の範囲

成年後見人の代理権について,民法859条1項は,後見人が「被後見人の財産を管理し,かつ,その財産に関する法律行為について被後見人を代表する」と定めている。
民法858条は,後見人が生活,療養看護及び財産の管理に関する事務を行うに当たり,本人の意思を尊重し,その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならないと定めるが,これは一般的な義務を定める規定であり,特定の権限を積極的に付与する規定ではない。

後見人の権限が明文で拡張されている例外は,成年被後見人の死亡後の事務に関する民法873条の2である。
同条は,必要があるときに,相続財産の保存に必要な行為,弁済期の到来した債務の弁済及び死体の火葬又は埋葬に関する契約の締結(火葬・埋葬の契約は家庭裁判所の許可を要する。)をすることができると定める。
このように死後事務については明文の手当てがされているのに対し,生前の医的侵襲への同意については,これに対応する規定が置かれていない。

療養看護に関する事務の代理として,診療契約(医療契約)や入院契約の締結,医療費の支払,診療情報の受領やカルテの開示請求を行うことは,財産に関する法律行為又はその付随事務として後見人の権限に含まれると考えられる。
しかし,契約を締結することと,その履行として実施される個々の医的侵襲に同意することは別の問題である。
本記事では,前者は後見人の事務に含まれるが,後者は含まれないと整理する。

受診に必要な保険資格の確認に関し,電子証明書の期限切れや資格確認書の取扱いについては,別稿「成年後見人のマイナンバーカード管理」で整理している。

2 医的侵襲への同意が代理になじまないとされる理由

医的侵襲への同意は,本人の身体という一身専属的な法益の処分であり,日本国憲法13条に由来する自己決定権の行使としての性質を持つ。
財産に関する法律行為の代理を予定した民法859条1項の枠組みには,このような判断は含まれないと解される。

この自己決定権の性質は,裁判例にもあらわれている。
最高裁平成12年2月29日判決・民集54巻2号582頁は,宗教上の信念から輸血を拒否する固い意思を有する患者について,医師が他に救命手段がない場合には輸血する方針を採っていることを説明せず手術・輸血をした事案において,「意思決定をする権利」を奪われたことによる精神的苦痛について不法行為責任を認めた。

(続きを読む...)成年後見人の医療行為の同意(AI作成)

成年後見人の解任理由(AI作成)

目次第1 成年後見人の解任とは1 この記事の対象と基準日2 解任・辞任・欠格の区別3 誰が解任を求めることができるか(請求権者と職権)第2 解任事由――民法846条の3類型1 条文の構造2 不正な行為3 著しい不行跡4 その他後見の任務に適しない事由5 なぜ解任事由は限定されているか第3 保佐人・補助人・任意後見人などへの広がり第4 解任の手続1 別表第一の審判事件2 後見人の陳述聴取3 審判前の保全処分(職務執行停止・職務代行者)4 不服申立て(即時抗告)第5 解任の効果第6 数字で見る後見人の不正(最高裁の実情調査)第7 令和8年改正による解任事由の見直し1 見直しの背景2 改正の内容3 既存の成年後見人への適用第8 出典・参考資料1 法令2 裁判例3 公的資料4 文献5 関連記事
第1 成年後見人の解任とは
1 この記事の対象と基準日

成年後見人が法律上その職を離れるのは,本人(成年被後見人)の判断能力の回復による後見開始の審判の取消し等のほかは,辞任又は解任による。
もっとも,大阪家庭裁判所後見センターは,第二期成年後見制度利用促進基本計画の下で,専門職が関与すべき課題が解決した後に親族や市民後見人へ交代することや,専門職の追加選任を積極的に検討しており(大阪家庭裁判所後見センター編『大阪家庭裁判所後見センターだより』(大阪弁護士協同組合,2025年)169頁~180頁),交代は例外的な出来事ではなくなっている。
後見人に一定の事由があるときは,家庭裁判所が後見人を「解任」してその職を解くことができる。
本記事は,成年後見人の解任について,根拠となる民法846条の解任事由(3類型),解任を求めることができる者,家庭裁判所での手続,解任の効果,実務上の不正の実情,そして令和8年に成立した改正法による見直しまでを,条文と公的資料に即して整理するものである。
保佐人・補助人・任意後見人にも同じ枠組みが及ぶ点は第3で扱う。
基準日は令和8年9月19日であり,法令は同日現在のe-Gov法令検索で確認した条文による。

2 解任・辞任・欠格の区別

成年後見人が交代する場面は,「辞任」「解任」「欠けた場合の選任」の3つの規定の組合せで整理できる。
いずれも家庭裁判所が関与し,後見人が自由に辞めたり,本人や親族が自由に交代させたりできる仕組みにはなっていない。

①辞任(民法844条)は,後見人の側から離脱する場合である。
「正当な事由があるとき」に,家庭裁判所の許可を得て任務を辞することができる。
後見人が職業上の必要から遠隔地に転居して事務に支障が生じた場合,老齢・疾病で事務に支障が生じた場合,本人やその親族との間に不和が生じた場合などが,正当な事由の例として想定されている。
ただし,前記の書籍170頁は,後見人等が本人やその親族と適切に信頼関係を構築できていない場合について,安易な辞任は認められない一方,その後見人等に事務を続けさせることが本人の利益に適うともいい難いとして,本人の意向,後見人等と本人・親族との関係,事務遂行上の課題の有無と内容,後任候補者の適格性などを総合的に考慮して判断するとしている。
同書171頁は,専門職が関与すべき課題が解決又は消滅し,事務を引き継げる親族等や市民後見人がいる場合にも,一般に正当な事由が認められるとしている。
辞任の手続,後任の選任及び市民後見人へのリレーは,成年後見人等の辞任と交代――正当な事由,後任選任の同時申立て,市民後見人へのリレーで扱っている。
大阪弁護士会高齢者・障害者総合支援センター編『【全訂版】成年後見人の実務2023』(大阪弁護士協同組合,2023年)124頁は,弁護士後見人の場合には,弁護士登録の抹消のほか,任官や期限付き公務員となった場合なども正当な事由として考えられるとしている。
②解任(民法846条)は,後見人の意思に反してでも,家庭裁判所がその職を解く処分である。
本記事の中心で,一定の解任事由が必要である。
③欠けた場合の選任(民法843条2項)は,解任や辞任などで後見人が欠けたときに,家庭裁判所が職権又は請求によって新たな後見人を選任するものである。

辞任と解任は,「後見人自身の意思に沿うかどうか」で区別される。
後見人は本人保護のために家庭裁判所から選ばれた者であり,自由な辞任も一方的な交代も認めると本人の利益を害するおそれがあるため,辞任には「正当な事由」,解任には後述の「解任事由」がそれぞれ要求されている。

3 誰が解任を求めることができるか(請求権者と職権)

民法846条は,解任を求めることができる者を,後見監督人,被後見人本人,その親族,検察官に限定している。
これに加えて,家庭裁判所が職権で(請求を待たずに)解任することもできる。
後見人の事務は家庭裁判所や後見監督人が監督しており(民法863条),監督の過程で問題が把握された場合に職権発動につながる。

市区町村長は,条文上,解任そのものの請求権者としては挙げられていない。
もっとも,成年後見の申立て自体は市区町村長申立ての事案が多く,実務では,本人・親族からの情報や監督を通じて家庭裁判所の職権解任が働くことになる。

(続きを読む...)成年後見人の解任理由(AI作成)

成年後見人による横領──親族後見人と第三者後見人の比較を中心に(AI作成)

目次第1 後見人の財産管理義務と横領の責任構造1 この記事の対象と基準日2 善管注意義務と家庭裁判所の監督3 横領が生じさせる責任の全体像第2 刑事責任──業務上横領罪と親族相盗例の不準用1 罪名と適用条文2 親族相盗例の準用を否定する最高裁決定3 準用否定の射程と未確定の領域第3 民事責任と被害の回復1 損害賠償・不当利得と使い込みの利息2 相続人による追及と回収の限界3 弁護士後見人の横領に備える二つの仕組み第4 監督者の責任──後見監督人と家庭裁判所1 後見監督人の職務と責任2 家庭裁判所の監督と国家賠償第5 統計から見た親族後見人と第三者後見人1 選任割合と不正発生の逆転構造2 家庭裁判所管内別の親族比率3 統計を用いる際の留保第6 不正防止の制度と令和8年改正1 後見制度支援信託・後見制度支援預貯金2 利用促進法と後見人交代の柔軟化第7 弁護士の実務対応1 手続選択──解任・監督人選任・財産調査2 依頼者からの事情聴取と証拠の収集3 想定される相手方の主張と対応第8 出典1 法令2 裁判例3 統計・公的資料4 文献5 関連記事
第1 後見人の財産管理義務と横領の責任構造
1 この記事の対象と基準日

本記事は,家庭裁判所から選任された成年後見人が被後見人の財産を横領した場合の刑事・民事の責任及び監督者の責任と,その予防・是正・回復のための実務対応を,親族後見人と第三者(弁護士,司法書士,社会福祉士等の専門職)後見人の違いに着目して整理するものである。
基準日は令和8年9月19日であり,法令は同日現在のe-Gov法令検索で確認した条文による。

2 善管注意義務と家庭裁判所の監督

成年後見人は,被後見人の財産を管理し,その財産に関する法律行為について被後見人を代表する(民法859条1項)。
その権限行使に当たっては,民法869条が委任に関する644条を準用しており,後見人は善良な管理者の注意をもって事務を処理する義務を負う。
この義務は,後見人が被後見人と親族関係にあるか否かによって区別されない。

横領の予防・発見・是正を支える手続的な仕組みも,民法に置かれている。
後見人は,就職後遅滞なく財産の調査に着手し,1箇月以内に財産目録を作成しなければならず,後見監督人があるときはその立会いがなければ効力を生じない(民法853条)。
後見監督人又は家庭裁判所は,いつでも後見人に事務の報告若しくは財産目録の提出を求め,又は事務若しくは財産の状況を調査することができ,家庭裁判所は必要な処分を命ずることができる(民法863条)。
居住用不動産の売却,賃貸,抵当権設定その他これらに準ずる処分には,家庭裁判所の許可を要する(民法859条の3)。
この許可の対象と審理は,居住用不動産処分の許可で扱っている。

これらの規定は,後見人による財産の私的流用を制度的に抑止し,発覚後の是正を可能にするための基礎である。
横領の局面では,これらの規定が事後的な責任追及の前提事実(義務違反の有無,監督の履践状況)としても機能する。

3 横領が生じさせる責任の全体像

後見人による横領は,3つの責任を生じさせる。
第一に,後見人自身の刑事責任(業務上横領罪)である。
第二に,後見人自身の民事責任(損害賠償及び不当利得返還)である。
第三に,監督にあたる後見監督人又は家庭裁判所の責任(善管注意義務違反又は国家賠償)である。

親族後見人と第三者後見人とで結論が分かれ得る局面は,主として次の点にある。
刑事における親族相盗例の準用の可否,民事における被害回復の実効性(横領者の資力及び被害弁償の仕組みの有無),そして選任の母数と不正発生の統計的な分布である。
以下,この順序で検討する。

第2 刑事責任──業務上横領罪と親族相盗例の不準用
1 罪名と適用条文

後見人は,被後見人の財産を継続的に管理する立場で金銭その他の財物を占有する。
そのため,これを不法に領得する行為は,原則として業務上横領罪に当たる。
刑法253条は,業務上自己の占有する他人の物を横領した者を10年以下の拘禁刑に処すると定め,単純横領を定める刑法252条1項(5年以下の拘禁刑)よりも重い法定刑を置いている。
占有を伴わない権限濫用によって本人に財産上の損害を与える類型は背任(刑法247条)の問題となるが,管理下の金銭を費消・領得する典型的な事案は横領として捉えられる。

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法定養育費と養育費債権の先取特権の違い―子1人当たり月額2万円・8万円と使い分け(AI作成)

第1 法定養育費と先取特権は別の制度である第2 どの記事を確認すべきか1 養育費を決めずに離婚した場合2 養育費の取決めはあるが支払われない場合3 これから養育費を取り決める場合第3 手続選択の早見表第4 令和8年4月1日を基準に適用を分ける第5 関連記事第6 出典

法定養育費は,養育費を取り決めずに離婚した場合の暫定的な請求権であり,子1人当たり月額2万円である。
養育費債権の先取特権は,成立した養育費等の回収を強化する優先権であり,子1人当たり月額8万円まで及ぶ。
本記事は,二つの制度の違いと,取決め・債務名義の有無に応じて最初に確認すべき手続を整理する。

第1 法定養育費と先取特権は別の制度である

法定養育費と養育費債権の先取特権は,同じ民法改正によって新設され,令和8年4月1日に施行された別の制度である。
両制度は併存し得るため,法定養育費にも先取特権が及ぶ場合がある。

両制度の金額も異なる。
法定養育費は子1人当たり月額2万円であり,先取特権が及ぶ上限は子1人当たり月額8万円である。
2万円は通常の養育費の標準額又は最低額ではなく,8万円は養育費の認定額又は支払額そのものではない。

比較事項
法定養育費
子の監護費用の先取特権

根拠
民法766条の3
民法306条3号・308条の2

役割
取決めがない間の請求権を発生させる
発生済みの定期金債権の回収を強化する

主な場面
令和8年4月1日以後に養育費を決めずに離婚した場合
養育費等に確定した支払期限があり,未払となった場合

省令上の額

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日本の証券会社で米国株式を保有する人の相続と米国連邦遺産税――課税範囲・条約による軽減・配偶者と生前対策(AI作成)

◯山中弁護士への事件のご相談・ご依頼は「遺言・相続のお問い合わせ」から可能です。
◯「日本の証券会社経由で米国株式を保有していた場合の相続手続(AI作成)」も参照してください。
◯日本に居住する個人が,国内の証券会社の外国株式取引口座を通じて米国株式を保有したまま死亡した場合,日本の相続税だけでなく,米国連邦遺産税(federal estate tax)の適用が問題となる。
米国連邦遺産税は,米国の市民でも居住者でもない者(nonresident alien。以下「NRA」という。)については,米国に所在する財産に限って課される。
そこで,同じ「米国株式に関係する資産」であっても,個別株式,米国籍の上場投資信託(ETF),米国外を設立地とするファンド,米国債,現金のいずれであるかによって,課税範囲が分かれることになる。

本稿は,この課税範囲の判定,日米相続税条約による軽減の内容と限界,並びに配偶者が承継する場合及び生前における対応という,資産設計に関わる論点を扱う。
これに対し,相続人の確定,日本の相続税の納税義務者の判定と「住所」の認定,国外財産の評価と邦貨換算,証券会社における名義書換えの手続,及びIRS移転証明書(Transfer Certificate)制度の具体的な構造については,別稿「日本の証券会社経由で米国株式を保有していた場合の相続手続」で扱っており,本稿ではこれらの手続面には立ち入らない。
検討の対象は,被相続人及び相続人がいずれも日本に住所を有する日本人が,国内の証券会社を通じて米国法人が発行する株式等を保有していた場合とし,米国の証券会社に直接口座がある場合,米国不動産を保有する場合,及び米国の市民権又は居住歴を有する者に固有の論点は扱わない。

目次

第1 米国連邦遺産税の課税範囲

1 課税の基本構造
2 米国株式・ETF・投資信託の所在

(1) 個別株式の所在
(2) ETF・投資信託の所在——米国籍と外国籍の分岐

3 米国所在とされない財産

第2 基礎控除・税率と日米相続税条約による軽減

1 条約を用いない場合の控除と税率
2 条約による統一控除の按分と計算例

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葬儀・火葬の実施(AI作成)

本記事は,人の死亡後に行われる葬儀・火葬・埋葬・改葬をめぐって弁護士が扱う法律問題を,行政法(墓地埋葬法),民法(祭祀財産の承継・費用),社会保障法(生活保護の葬祭扶助)及び公衆衛生(感染症法)の各領域にわたって整理するものである。火葬・埋葬の許可手続,遺骨の帰属と引渡し,葬儀費用の負担,引き取り手のない遺体への対応,散骨などの新しい弔い方を対象とする。個別の宗教的作法や葬祭サービスの内容そのものは扱わないが,葬儀社との契約の当事者,クーリング・オフの可否及び契約をめぐる裁判例は第4の5で扱う。

目次

第1 本記事の対象と火葬・葬儀をめぐる紛争の全体像
第2 火葬・埋葬・改葬の手続と行政上の許可

1 「埋葬」「火葬」「改葬」の定義と火葬までの流れ
2 24時間以内の火葬禁止とその例外
3 改葬の許可と墓地・火葬場の管理者

第3 遺骨と祭祀財産の帰属

1 祭祀財産承継の枠組み(民法897条)
2 遺骨の帰属
3 祭祀承継者の決定基準と家庭裁判所の審判
4 遺骨引渡請求における主張立証と証拠

第4 葬儀費用の負担

1 負担者に関する明文の不存在と考え方の対立
2 名古屋高裁平成24年3月29日判決の考え方
3 香典・葬式費用の先取特権・相続税との関係
4 求償の法律構成と立証・相手方の反論

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相続発生時のNISA口座の取扱い(AI作成)

◯山中弁護士への事件のご相談・ご依頼は「遺言・相続のお問い合わせ」から可能です。

目次

第1 制度の骨格――NISA口座は名義人の死亡でどうなるか

1 NISAが非課税とするのは所得税等であり,相続税は非課税とならないこと
2 名義人の死亡によるNISA口座の廃止と,相続人のNISA口座への引継ぎ不可

第2 所得税の取扱い――みなし譲渡・非課税・取得価額

1 死亡は「払出し事由」であり,死亡日の価額で譲渡があったものとみなされること
2 死亡日までの含み益は非課税,含み損は切り捨てられること
3 相続人の取得価額は死亡日の終値となること――所得税法60条の例外

第3 相続税の取扱い――相続財産としての評価

1 相続財産としての評価方法
2 相続税評価額と所得税の取得価額との相違
3 取得費加算の特例と準確定申告の要否

第4 相続人が複数いる場合――遺産分割の要否と移管

1 上場株式・投資信託受益権は当然分割されないこと
2 移管先口座の選択と現物移管の実務

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証券口座の相続――準共有・遺産分割・移管手続と税務の実務(AI作成)

◯山中弁護士への事件のご相談・ご依頼は「遺言・相続のお問い合わせ」から可能です。

目次

第1 証券口座内の資産の法的性質――当然分割か準共有か

1 可分債権の当然分割という原則
2 株式・投資信託受益権・個人向け国債は当然分割されない

(1) 株式
(2) 委託者指図型投資信託受益権及び外国投資信託受益権
(3) 個人向け国債

3 相続開始後に生じた元本償還金・収益分配金
4 共同相続された株式から生じた配当金支払請求権
5 預貯金に関する判例変更と到達点

第2 遺産分割前の権利行使・管理と手続選択

1 準共有物の管理・保存・変更
2 共有株式の議決権行使と権利行使者の指定
3 遺産分割前の単独払戻し(民法909条の2)の射程
4 手続選択の分岐

第3 証券会社における相続手続の実務

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