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親族・相続

法定養育費とは―請求要件,子1人当たり月額2万円及び支払期間(AI作成)

第1 法定養育費は取決めまでの暫定的な養育費である第2 請求できるための要件1 養育費の取決めがないこと2 離婚時から引き続き子を主として監護していること3 離婚等が令和8年4月1日以後であること第3 金額は子1人当たり月額2万円である1 子の数を乗じて計算する2 離婚月及び終了月は日割りとなる第4 いつからいつまで請求できるか1 離婚の日から請求できる2 三つのうち最も早い日に終了する第5 支払能力がない場合と家庭裁判所による調整1 義務者が支払を拒める場合2 後の養育費手続で免除又は猶予があり得る第6 請求と回収の進め方1 本来の養育費の取決めを並行して進める2 未払の場合は先取特権による担保権実行を検討する第7 確認すべき資料第8 出典

法定養育費は,令和8年4月1日以後に養育費を取り決めずに離婚した場合に,離婚時から子を主として監護する親が他方の親へ請求できる暫定的・補充的な養育費である。
金額は原則として子1人当たり月額2万円であり,本来の養育費の標準額又は最低額を意味しない。

第1 法定養育費は取決めまでの暫定的な養育費である

法定養育費は,養育費の取決めがない期間の空白を埋めるため,民法766条の3によって発生する請求権である。
養育費の合意又は家庭裁判所の審判が整うまでの当面の生活費を確保する役割を持つ。

法定養育費は,父母の収入や子の事情を踏まえて定める本来の養育費の標準額でも最低額でもない。
父母は,法定養育費の請求とは別に,協議,調停又は審判によって適正な養育費を定める必要がある。

第2 請求できるための要件
1 養育費の取決めがないこと

法定養育費は,父母が子の監護に要する費用の分担について定めないまま離婚した場合に問題となる。
離婚時に養育費の合意がある場合は,その合意に基づく養育費を請求することになり,法定養育費は発生しない。

取決めを文書にしていないだけで,口頭の合意が存在する場合に直ちに「取決めがない」とはいえない。
法定養育費を請求する前に,離婚時の協議内容,離婚届に伴って作成した書面,メールその他の記録を確認する必要がある。

2 離婚時から引き続き子を主として監護していること

請求できるのは,父母の一方であって,離婚時から引き続き未成年の子の監護を主として行っている者である。
単に親権者として指定されたかだけでなく,現実に誰が子を主として監護しているかが問題となる。

監護状況に争いがある場合は,同居状況,通学・通園,日常の世話,生活費の負担その他の具体的事情を整理する必要がある。
離婚後に監護者が変わった場合など,継続して主たる監護をしているといえるかが明確でない事案では,個別の検討を要する。

3 離婚等が令和8年4月1日以後であること

法定養育費は,令和8年4月1日より前の離婚には適用されない。
婚姻の取消し,裁判上の離婚及び認知にも民法766条の3が準用されるが,改正法附則3条2項により,いずれも施行日前に行われた場合には法定養育費は発生しない。

第3 金額は子1人当たり月額2万円である
1 子の数を乗じて計算する

法定養育費の額は,月額2万円に,離婚時から引き続き主として監護する未成年の子の数を乗じて計算する。
対象となる子が2人であれば月額4万円,3人であれば月額6万円である。

この金額は父母の収入に応じて作られた養育費算定表の金額ではない。
算定表による標準額と法定養育費の違いは,養育費算定表の見方,計算方法及び法定養育費との違い(AI作成)で説明している。

2 離婚月及び終了月は日割りとなる

法定養育費は毎月末に支払うものとされる。
離婚等の日が月の初日でない場合は,その月の初日から離婚等の日の前日までの日数に応じた額を控除する。
養育費の取決めが成立するなどして月の途中で請求期間が終わる場合も,終了日の翌日から月末までの日数に応じた額を控除する。

1日当たりの額は,月額をその月の日数で除して算定する。
実際の請求では,離婚日,終了事由が生じた日及び各月の日数を特定して計算する必要がある。

第4 いつからいつまで請求できるか
1 離婚の日から請求できる

法定養育費は,離婚の日から請求できる。
通常の養育費の過去分について実務上問題となる請求の始期とは制度が異なるため,区別が必要である。

通常の養育費の始期と法定養育費との関係は,養育費はいつから請求できるか―離婚後の過去分・法定養育費・調停申立ての始期(AI作成)で説明している。

2 三つのうち最も早い日に終了する

法定養育費を請求できる期間は,次の三つのうち最も早い日に終了する。
① 父母が協議によって養育費の分担を定めた日
② 養育費の分担について家庭裁判所の審判が確定した日
③ 子が成年に達した日

法定養育費は,適正な養育費が決まるまでの空白を埋める制度である。
月額2万円を長期間の最終的な養育費として固定する趣旨ではない。

第5 支払能力がない場合と家庭裁判所による調整
1 義務者が支払を拒める場合

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公正証書遺言の検索を弁護士が代理する方法-必要書類・委任状・謄本請求(AI作成)

目次第1 代理人弁護士による遺言検索の基本第2 依頼者の資格と必要書類1 誰を委任者とするか2 依頼者の資料と来所代理人の資料を分ける第3 委任状の書き方と職員が来所する場合1 検索と謄本の請求・受領を区別する2 職員が来所するときは権限のつながりを確認する第4 公証役場への申出と検索後の謄本取得1 最寄りの公証役場に連絡する2 判明した保管公証役場へ謄本等を請求する3 現行法の謄本等と正本等を区別する第5 費用と検索結果を受け取った後の注意1 無料の検索と有料の交付・閲覧を分ける2 該当なしと遺言の不存在・無効は同じではない3 相続手続の期限は検索と別に管理する第6 出典1 法令2 日本公証人連合会の制度Q&A3 各公証役場の手続案内・委任事項記載例4 裁判所の手続案内
第1 代理人弁護士による遺言検索の基本

相続人等から委任を受けた弁護士は,公証役場に公正証書遺言の検索を申し出ることができる。
準備する資料は,①遺言者の死亡と依頼者の資格を示す資料,②依頼者からの委任を示す資料,③来所する代理人の本人確認資料に分けると整理しやすい(世田谷公証役場「手続案内」)。

本記事は,令和8年9月4日現在の法令・公表資料に基づき,主として遺言者の死亡後に相続人を代理する場合の手順を説明するものである。
遺言の作成ではなく,既に作成された遺言の検索と,検索後の謄本等の取得を扱う。

日本公証人連合会の遺言検索Q&Aによれば,全国の公証役場で遺言公正証書の有無と保管公証役場を検索でき,最寄りの公証役場に申し出ることができる。
全国検索の対象は昭和64年1月1日以後に作成されたものであり,検索だけで遺言の内容まで分かるわけではない(銀座公証役場「FAQ」遺言検索)。

保存期間や検索制度全体については,公正証書遺言の保存期間及び検索方法を参照されたい。
以下では,代理利用で取り違えやすい委任者・来所者・請求先の違いに重点を置く。

第2 依頼者の資格と必要書類
1 誰を委任者とするか

遺言者の死亡後に検索を申し出ることができるのは,相続人等の利害関係人である。
弁護士が代理する場合も,まず依頼者がどの資格で申し出るのかを確認し,その資格を示す資料と委任状を準備する(日本公証人連合会のQ&A,世田谷公証役場の代理手続案内)。

相続人以外の者から依頼を受ける場合は,その者の利害関係を何によって示すかを,書類の取寄せに着手する前に申出先へ確認するのが適切である。
相続人向けの戸籍の案内を,受遺者等についてもそのまま当てはめることはできない。

遺言者の生存中は,遺言者本人が委任者となる場合に代理検索が認められる。
家族が将来の相続人になるという理由だけで,その家族から依頼を受けて検索する場合とは異なる(銀座公証役場「FAQ」,世田谷公証役場「検索等の委任状と必要書類等」)。

2 依頼者の資料と来所代理人の資料を分ける

次の表は,遺言者の死亡後に相続人を代理して来所する場合について,世田谷公証役場の案内に沿ってまとめた基本例である。
加古川公証役場の必要書類案内も,死亡・相続関係の資料に加え,委任状,依頼者の印鑑登録証明書,来所代理人の身分証明書類及び認印を挙げている。

確認すること準備する資料の基本例注意点遺言者の死亡死亡の記載がある除籍謄本等原本を準備し,別の死亡証明資料を使う場合は扱いを確認する依頼者の相続人資格相続関係が分かる戸籍謄本等必要な戸籍の範囲は相続関係によって異なる依頼者からの委任依頼者が実印を押した委任状遺言者と代理人を特定し,委任する手続を記載する委任者の印鑑依頼者の印鑑登録証明書原本世田谷の案内では来所日に発行後3か月以内来所する代理人の本人確認運転免許証・マイナンバーカード等依頼者ではなく,実際に来所する代理人の資料である来所代理人の押印認印世田谷の案内ではシャチハタでないもの

依頼者の印鑑登録証明書と,代理人の本人確認資料は,それぞれ確認する対象が異なる。
弁護士として来所する場合も,資格証明書による代替の可否を含め,利用する本人確認資料と委任状の取扱いを申出先へ確認しておく。

銀座公証役場のFAQは,相続人であることを示す資料として,戸籍謄本のほか法定相続情報一覧図も挙げている。
一覧図を利用する場合は,どの資料に代えることができるかを確認し,委任状や代理人の本人確認資料まで不要になったと扱わない。

戸籍の読み方と一覧図の作成方法は,法定相続情報一覧図の作成方法―戸籍謄本の読み方と相続人の確認で説明している。
検索のために必要な相続関係を,手元のどの資料で示せるかを確認してから,不足分を取得するとよい。

第3 委任状の書き方と職員が来所する場合
1 検索と謄本の請求・受領を区別する

世田谷公証役場の委任状案内は,検索する遺言者の氏名・ふりがな・生年月日を記載し,代理人の氏名・住所を本人確認書類どおりに記載するよう求めている。
遺言者の表示は戸籍等と照合し,依頼者自身の情報と取り違えないようにする。

銀座公証役場の委任事項記載例では,遺言検索と正本・謄本の交付請求について,別の例が示されている。
検索後の謄本取得まで依頼を受けるのであれば,検索だけでなく,謄本等の交付請求と受領を委任することも明示するのが確実である。

委任状を準備する際は,次の事項を申出先の様式と照合する。
①検索対象となる遺言者の氏名・ふりがな・生年月日
②委任者の氏名・住所と,遺言者との関係
③代理人の氏名・住所
④遺言検索,謄本等の交付請求及び受領のうち,委任する事項
⑤職員を復代理人として利用する場合の選任権限

検索前には証書番号や保管公証役場が分からない場合もある。
検索後の請求にも同じ委任状を使用できるか,判明した証書を特定する追加書類が必要かは,謄本を交付する公証役場へ確認する。

2 職員が来所するときは権限のつながりを確認する

銀座公証役場の遺言検索の委任事項例には,復代理人の選任に関する事項も含まれている。
弁護士が依頼者から委任を受け,事務所職員が復代理人として来所する場合には,依頼者から弁護士への委任と,弁護士から職員への権限付与をどの書類で示すかを確認する(同役場の委任事項記載例)。

職員が行うのが申出・受領なのか,単なる書類の持参なのかを明らかにし,職員の本人確認資料も含めて事前に役場と打ち合わせる。
弁護士を代理人とする委任状だけを職員に持たせれば足りると判断せず,実際に来所する人と,その人が行う手続に合わせて準備することが重要である。

第4 公証役場への申出と検索後の謄本取得
1 最寄りの公証役場に連絡する

まず,最寄りの公証役場へ,相続人の代理人弁護士として遺言検索を希望する旨を伝える。
その際,依頼者の資格,弁護士本人又は職員のどちらが来所するか,持参予定の資料を示し,予約の要否を確認する。

予約については,加古川公証役場は事前予約を求める一方,銀座公証役場のFAQは遺言検索の予約を不要としている。
全国一律の予約方法があるものとして準備せず,申出先の案内に従う。

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借地権付き建物の遺言と底地取得-混同後の効力と見直し(AI作成)

第1 底地取得後の遺言は見直すべきか第2 混同による借地権の消滅と例外1 地上権と賃借権では根拠条文が異なる2 抵当権との関係で消滅しない場合3 共同借地権と共有持分の取得4 未登記の底地取得後に第三者が登記した場合第3 誰がいつ底地を取得したか第4 以前の遺言は取得後の土地にも及ぶか1 建物・借地権の記載と土地所有権の関係2 残余財産条項によって承継先が分かれる問題3 遺贈の規定から土地や金銭への置換えを当然視しない第5 遺言条項の整え方1 取得済みの土地と建物を明記する2 将来の底地取得に備える条項3 旧遺言と残余財産条項を整える4 見直し時に確認する資料と配分第6 相続開始後に土地と建物の取得者が分かれた場合第7 出典1 法令2 裁判例3 実務資料・文献
第1 底地取得後の遺言は見直すべきか

借地権付き建物を特定の相続人に残す遺言をした後,遺言者が底地を買い取った場合には,土地所有権もその相続人に承継させる趣旨が明確か,遺言を見直すことを勧める。
借地権が混同によって消滅することと,買い取った土地が以前の遺言の対象に含まれることは,別の問題である。
底地取得だけから,土地も当然に同じ相続人へ移るとも,建物に関する条項を含めて遺言全体が効力を失うともいえない。

本記事の初稿は令和8年9月4日現在の法令を前提とし,未登記の底地取得後の二重譲渡に関する追記は同年10月2日に判例と現行法を確認した。
以下では,遺言者Tが「建物とその敷地の借地権を長男Aに相続させる」と定めた後の底地取得を扱う。
以下の条項案は,Aが相続開始時に相続人であることを前提とする。

借地権とは,建物所有を目的とする地上権又は土地の賃借権である(借地借家法2条1号)。
底地は,その借地権が設定された土地を地主の所有権の側から呼ぶものである。

第2 混同による借地権の消滅と例外
1 地上権と賃借権では根拠条文が異なる

借地権が地上権である場合,同じ土地の所有権と地上権が同一人に帰属すると,地上権は原則として消滅する(民法179条1項)。
土地所有者が,自分の土地を利用するための地上権を別に持ち続ける必要は通常ないためである。

借地権が賃借権である場合には,債権と債務が同一人に帰属する混同の規定が問題となる(民法520条)。
底地の取得に伴って賃貸人と賃借人の地位が同一人に帰属するかを確認するのであり,賃貸人の地位の移転・留保を定める民法605条の2や契約内容も点検する。
土地の所有権移転だけを見て,賃借権が必ず消滅したと判断することはできない。

2 抵当権との関係で消滅しない場合

最高裁昭和46年10月14日第一小法廷判決(昭和46年(オ)第582号,民集25巻7号933頁)は,土地賃借権が対抗要件を備え,その後に土地へ抵当権が設定されていた場合には,土地所有権と賃借権が同一人に帰属しても,民法179条1項ただし書の準用により賃借権は消滅しないとした。
抵当権があるという事実だけでなく,賃借権の対抗要件と抵当権設定の先後が重要である。

したがって,底地を購入するときは,土地の登記記録だけでなく,借地権の対抗要件をいつ備えたかも確認する。
借地権については,借地権者が土地上に登記された建物を所有することによる対抗力も認められている(借地借家法10条1項)。

3 共同借地権と共有持分の取得

借地借家法15条2項は,借地権が借地権設定者に帰した場合でも,他の者と共にその借地権を有するときは消滅しないと定める。
これは,土地の所有権と借地権の全部が一人に帰属する場合とは異なる。

また,底地の共有持分だけを購入した場合を,底地全部の取得と同じに扱うこともできない。
土地所有権の持分,借地権の持分及び建物の持分をそれぞれ分けて確認することが出発点となる。

4 未登記の底地取得後に第三者が登記した場合

借地人が地主から土地を買い受けても,所有権移転登記を得る前に地主が第三者へ重ねて譲渡し,第三者が登記を得る場合がある。最高裁昭和47年4月20日判決は,この場合,借地人の土地賃借権は混同で消滅したものとして第三者に対抗できなくなるわけではないとした。借地人の未登記所有権を第三者に対抗できるという判断ではなく,賃借権の存続を問題にする判例である。

第三者に土地賃借権を主張するには,その対抗要件も別途確認する。現行法では,借地上の建物に借地人名義の登記があるか等が重要である(借地借家法10条1項)。遺言の見直しでは,底地売買契約,所有権移転登記,建物登記及びその後の二重譲渡の有無を時系列で確認し,遺言者が相続開始時に土地を対抗できる地位にあるかを確かめる。

第3 誰がいつ底地を取得したか

遺言は原則として遺言者の死亡時から効力を生ずるため,底地取得がその前か後かで検討対象が変わる(民法985条)。
次の表は,停止条件等の特別な定めがなく,混同による消滅の例外にも当たらない通常の場面を,上記の条文と相続による承継の時期に沿って整理したものである。

底地を取得する者と時期
確認する問題

Tが生前に取得する
Tの借地権が消滅した後,死亡時に残る土地所有権と建物を,旧遺言がどの範囲で対象にしているか。

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相続した不動産を売却したときの譲渡所得-取得費・特例・遺産分割(AI作成)

目次

第1 相続後の売却で確認すること第2 譲渡所得と税率の基本1 売却代金から控除するもの2 被相続人の取得費と取得時期を引き継ぐ3 令和8年分の基本税率第3 取得費と譲渡費用を確認する1 取得費が分からない場合の5%の取扱い2 建物の減価と相続登記費用3 売却費用と遺産分割の弁護士費用第4 相続税の取得費加算1 対象者と売却期限2 加算額の計算と上限3 申告における適用手続第5 相続した空き家の特別控除1 対象となる家屋と相続人2 売却期限と耐震改修・取壊し3 1億円の判定と他の特例との関係第6 特例を比較する計算例第7 遺産分割の方法による違い1 換価分割では誰の所得となるか2 代償分割の代償金は取得費となるか3 限定承認は通常の相続と区別する第8 売却時期と申告書類1 契約日と引渡日を分けて確認する2 特例の資料を売却前からそろえる第9 出典・参考資料1 法令2 裁判例・裁決3 国税庁の通達・解説・質疑応答4 文献
第1 相続後の売却で確認すること

相続した土地や建物を売却するときは,相続税とは別に,売却による譲渡所得の計算が問題となる。
通常の相続では,被相続人の取得費と取得時期を引き継ぐため,相続時の評価額より安く売れても譲渡益が生じることがあり,相続直後の売却でも長期譲渡所得となることがある(所得税法9条1項17号・33条・60条)。

本記事は,令和8年9月4日現在の法令を基準として,個人が相続した国内の土地・建物を令和8年中に売却する場合を説明する。
通常の相続を中心に,取得費の確認,相続税の取得費加算,空き家の特別控除及び遺産分割との関係を扱い,限定承認については通常の相続と異なる点を示す。
不動産業者の商品としての不動産や法人の取引は対象としない。

第2 譲渡所得と税率の基本
1 売却代金から控除するもの

土地・建物の譲渡所得は,給与所得などと分けて課税される。
基本となる計算は,売却収入から取得費と譲渡費用を差し引き,適用できる特別控除があれば更に控除するというものである(租税特別措置法31条・32条)。

課税譲渡所得金額=譲渡収入金額-取得費-譲渡費用-適用できる特別控除額

土地・建物の分離課税では,総合課税の譲渡所得における50万円の特別控除や,長期譲渡所得の2分の1を所得に算入する計算をそのまま用いることはできない。
また,譲渡損失が生じても,居住用財産の一定の特例等を除き,給与所得など他の所得との損益通算はできない(同法31条・32条)。

2 被相続人の取得費と取得時期を引き継ぐ

通常の相続では,被相続人が土地・建物を購入した際の取得費を引き継ぐ。
相続税の評価額や相続時の時価に置き換える制度ではなく,建物については被相続人の所有期間を含めた減価償却の調整も行う(所得税法38条・60条,国税庁「相続や贈与によって取得した土地・建物の取得費と取得の時期」)。

長期・短期の区分でも,被相続人の取得時期を引き継ぎ,売却した年の1月1日における所有期間で判断する。
したがって,相続してから5年待つことが一律に必要となるわけではない。
反対に,被相続人が令和8年2月に購入した土地を相続人が売却する場合,令和13年1月1日における所有期間は5年以下であるから,令和13年中の売却は短期譲渡所得となり,令和14年以後の売却で長期譲渡所得となる(租税特別措置法31条2項・32条1項)。

借地権を有していた被相続人が底地を買い取っていた土地では,その土地の取得の日を,底地に相当する部分とその他の部分とで各別に判定する(所得税基本通達33-10)。
そのため,古くからの借地権に相当する部分は長期譲渡所得でも,相続開始の数年前に買い取った底地に相当する部分は短期譲渡所得となることがあり,収入金額と取得費も両部分に区分して計算する(所得税基本通達33-11の3・38-4の3)。

3 令和8年分の基本税率

売却年の1月1日における所有期間
区分
所得税
復興特別所得税
住民税
合計

5年を超える
長期譲渡所得
15%
所得税額の2.1%

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親族間で土地を使わせる場合の課税-使用貸借と相当の地代(AI作成)

第1 親の土地を無償で借りても,借地権の贈与税は原則としてかからない第2 固定資産税相当額を負担する場合も使用貸借に含まれる第3 通常の地代と相当の地代の違い1 相場の地代を払うだけでは権利金の問題が残る2 相当の地代はおおむね年6%を基準とする3 相当の地代に満たない場合と地代を引き下げる場合第4 相続時の土地評価と小規模宅地等の特例1 子の家や貸家があっても,使用貸借地は原則として自用地評価となる2 相当の地代を収受する土地の80%評価3 使用貸借でも居住用の特例を検討できる場合がある第5 同族会社など法人が関係する土地貸借1 個人間の取扱いをそのまま当てはめない2 土地の無償返還に関する届出書の役割3 土地と同族会社株式の評価,裁判例の示す範囲第6 親族間の契約を決める前に確認する事項1 親の所有地か借地か,従前の借地権があるか2 返還条件と毎年の税負担を契約に合わせて確認する3 内縁の配偶者への地代は所得税法56条だけで否認されない第7 出典1 法令2 国税庁の法令解釈通達3 国税庁の制度説明・手続案内4 裁判例

第1 親の土地を無償で借りても,借地権の贈与税は原則としてかからない

親の所有する土地に子が自分の家を建て,権利金も地代も支払わずに使用する場合,国税庁は,土地を使用する権利の価額を零として取り扱っている。
そのため,子に借地権相当額の贈与税は課されない一方,後に親の土地を相続するときは,原則として自用地の価額で評価する(国税庁「親の土地に子供が家を建てたとき」)。

本記事は,令和8年9月28日を基準に,親子その他の個人間で,建物の所有を目的として土地を使わせる場合を中心に説明する。
次の表は,権利金その他の特別な経済的利益の授受がない場合の基本的な違いである。

土地の使わせ方借りる側の取扱い貸す側の土地評価使用貸借使用権は零評価原則として自用地価額通常の地代による賃貸借権利金授受の慣行がある地域では,借地権の贈与が問題となる通常の貸宅地の評価相当の地代による賃貸借借地権設定による利益はないものとして扱う原則として自用地価額の80%

表の賃貸借に関する取扱いは,国税庁の相当の地代に関する通達の趣旨,1項,2項注及び6項による。
法人が当事者となる場合,既存の借地権がある場合及び小規模宅地等の特例については,それぞれ別の条件を確認する必要がある。
親の土地や建物を無償で使わせたことが,相続の際に民法上の特別受益に当たるかについては,実家に独身のまま無償で住み続けた子は特別受益者になるか―同居・別居・土地利用で分かれる判断で説明している。

第2 固定資産税相当額を負担する場合も使用貸借に含まれる

民法593条及び601条は,無償で使用・収益して契約終了時に返還する使用貸借と,賃料を支払う賃貸借を区別している。
親族間でも,契約書の表題だけでなく,地代,権利金及びその他の利益の授受を確かめることになる。

国税庁の「使用貸借に係る土地についての相続税及び贈与税の取扱いについて」1項は,土地の公租公課に相当する金額以下の授受があるにすぎない場合も,使用貸借に該当するとしている。
したがって,子が親にその土地の固定資産税・都市計画税相当額だけを支払っても,そのことだけで借地権の贈与税が生じるわけではない。
以下,この通達を「使用貸借通達」という。

反対に,毎月の地代がなくても,権利金や地代に代わる経済的利益を与えている場合は,同項の使用貸借には該当しない。
税額を少し超えたという数字だけで結論を出すのではなく,土地の使用の対価として何を約束し,何を支払っているかを検討する必要がある。
民法上,固定資産税相当額を超える地代や相場より安い地代が賃料に当たるかを判断した裁判例は,使用貸借と賃貸借の区別-固定資産税程度の支払,相場より安い地代・家賃は賃料かで整理している。

零評価になるのは,この土地使用権である。
親から土地の所有権そのものや建築資金の贈与を受ける場合まで,贈与税がかからないという意味ではない(相続税法,使用貸借通達1項)。

第3 通常の地代と相当の地代の違い

1 相場の地代を払うだけでは権利金の問題が残る

通常の地代とは,その地域の通常の賃貸借契約で支払われる地代である。
借地権設定時に権利金を授受する慣行がある地域で,権利金を払わず,通常の地代だけで借地権を設定すると,借地人が借地権相当の利益を受けたものとして,贈与税が問題となる。

これは,使用貸借の使用権を零評価とする取扱いとは異なる。
「無償では申し訳ないから相場の地代を払う」と決める前に,権利金の取扱いも含めて確認する必要がある(相当の地代に関する通達の趣旨及び2項注)。

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相続開始後の預貯金の払戻しと法定単純承認-相続放棄を検討するときの判断と対応(AI作成)

第1 預貯金を引き出した後でも相続放棄を検討できるか第2 払戻しが相続財産の「処分」になる場合1 債権を取り立てて自分のものとして受け取る行為2 死亡の認識と借金の認識は異なる第3 引き出した現金を使わず保管していた場合第4 葬儀費用と債務の支払をどう分けるか1 葬儀費用・仏壇・墓石に関する大阪高裁決定2 借金返済・生活費・立替金の取戻し第5 預貯金の仮払い制度と相続放棄1 銀行への単独払戻請求とATM出金の違い2 家庭裁判所による預貯金の仮取得第6 既に払戻しをした人が確認する資料と対応1 取引ごとに日付・原資・使途を記録する2 返金した場合と相続放棄後の保管第7 出典1 法令2 裁判例3 行政裁決4 裁判所の手続案内5 文献
第1 預貯金を引き出した後でも相続放棄を検討できるか

相続開始後に預貯金を払い戻した場合,相続放棄ができるかは,払戻しの方法,現金の保管・使途及び放棄との前後関係によって異なる。
相続財産を自分のものとして取得・処分したと評価されれば,民法921条の法定単純承認が問題となる一方,保存行為は除かれており,葬儀費用への支出について処分に当たらないとした裁判例もある。
本記事は,令和8年9月4日現在の法令を基準に,既に払戻しをした人が,相続放棄の可否を検討するための判断材料と初期対応を整理する。

先に確認するのは,承認・放棄を選ぶ熟慮期間である。
民法915条・938条によれば,相続放棄は,原則として自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に,家庭裁判所へ申述して行う。
払戻しの評価や財産調査に時間を要し,期間内に判断できない場合は,期限前に相続の承認又は放棄の期間の伸長を検討する。

第2 払戻しが相続財産の「処分」になる場合
1 債権を取り立てて自分のものとして受け取る行為

民法921条1号は,相続人が相続財産の全部又は一部を処分したときに,単純承認をしたものとみなす一方,保存行為等を除外している。
単純承認の効果は,引き出した金額だけに責任を負うというものではなく,被相続人の権利義務を無限に承継することである(民法920条)。

最高裁昭和37年6月21日第一小法廷判決(昭和36年(オ)第1029号,集民61号305頁)は,相続開始後,相続放棄前に,被相続人の売掛債権の一部3000円を取り立てて収受領得した行為を,相続財産の一部の処分に当たるとした(判決本文・PDF1頁)。
これは預金口座からの払戻しを直接判断した事件ではないが,相続した債権を回収して自分のものとして受け取る行為が問題となることを示している。
条文が「一部」の処分も対象とすることと併せると,少額であるというだけで当然に法定単純承認から除外されるとはいえない。

2 死亡の認識と借金の認識は異なる

最高裁昭和42年4月27日第一小法廷判決(昭和40年(オ)第1348号,民集21巻3号741頁)は,921条1号の適用には,相続人が自己のために相続が開始したことを知りながら処分したか,少なくとも被相続人が死亡した事実を確実に予想しながらあえて処分したことを要するとした(判決本文・PDF1頁~2頁)。
同判決は,行方不明中に財産を処分した後,死体の発見によってそれ以前の死亡が確認された事案を扱っている。ここでいう予想は,既に死亡した事実の認識についてのものであり,将来の死亡を予想していたというだけの話と混同してはならない。また,借金の存在を知らなければ処分してもよいとした判決でもない。

したがって,死亡と自己の相続開始を知って払戻しをした人について,「後から借金が見つかった」という事情だけで処分の問題が消えるとはいえない。
死亡を知った日,債務を知った日及び払戻日を分けることが,判例の要件に即した検討の出発点となる。

第3 引き出した現金を使わず保管していた場合

国税不服審判所令和2年4月17日裁決には,妻名義の口座に振り込まれた被相続人の報酬50万円について,妻が出金しても相続財産の処分に当たらないとした判断がある(公表裁決書抄4(3)ロ)。
入金は生前の契約に基づくもので,妻が故人名義の預金を解約して自分の口座に移した事案ではなかった。
裁決は,入金自体を妻による処分とはせず,出金後も現金を封筒に入れて保管し,一部でも費消した事実が認められないことを踏まえ,出金のみでは処分に当たらないとした。

この裁決は,国税の納付義務の承継をめぐる個別の行政判断であり,あらゆる預金払戻しについて「使わなければ単純承認にならない」とした最高裁判例ではない。
本記事では,入金の原因,誰の口座から出金したか,自己の財産への取込みや費消があったかを分けて確認するための参考事例と位置付ける。
未使用であると説明する場合も,残金の所在と保管経過を,取引履歴等と対応させて示すことが検討の助けとなる。

第4 葬儀費用と債務の支払をどう分けるか
1 葬儀費用・仏壇・墓石に関する大阪高裁決定

大阪高裁平成14年7月3日決定(平成14年(ラ)第408号,判例秘書の判例番号 L05720298)(裁判所HP未掲載)は,被相続人名義の貯金を解約し,葬儀費用や仏壇・墓石の購入費に充てた遺族の相続放棄申述を扱った。
同決定は,葬儀の社会的な必要性等を理由に,相続財産から葬儀費用を支出する行為は921条1号の処分に当たらないとした(理由第2・2(1)ア)。

仏壇・墓石については,葬儀費用の支払とはやや異なるとしつつ,相続債務を知らないまま購入した経緯,社会的に不相当に高額とは断定できないこと,費用の不足分を遺族が自己負担したこと等を考慮した。
その上で,貯金を解約して購入費の一部に充てた行為が,明白に相続財産の処分に当たるとは断定できないとした(理由第2・2(1)イ)。
したがって,葬儀・仏壇・墓石という使途を一括し,金額や経緯を問わず安全であると一般化することはできない。

また,同決定は,相続放棄の申述を却下した原審判を取り消して受理したものであり,受理によって放棄の有効性を確定するものではないことも明示している(理由第2・2(3))。
葬儀費用に関する領収書等は,申述時だけでなく,債権者が後の訴訟で放棄の効力を争う場合にも説明できるよう保管しておくのがよい。

この決定が判断したのは,相続人による葬儀費用等への支出が民法921条1号の処分に当たるかという点である。
元保佐人が本人の死亡後に支払う権限,病院の入院費を支払うこと又は債務超過の相続財産から特定の債権者だけへ弁済することを認めた裁判例ではない。
元保佐人の側の確認事項は被保佐人の死亡後に元保佐人は入院費・直葬費を支払えるかで扱っている。

2 借金返済・生活費・立替金の取戻し

故人の借金の返済や遺族の生活費への支出まで,前記決定によって一律に保存行為になるわけではない。
払戻金を自分の生活費として費消した場合は,相続財産の処分として問題になるため,支出目的の名称だけでなく,実際の支払先,内容及び原資を確認する。

遺族自身の資金で費用を立て替えた行為と,後から故人の預貯金を引き出して立替額を回収する行為も分けて検討する。
民法921条1号が対象とするのは相続財産の処分であり,後者については遺産からの支出が別に生じるからである。
本記事では,相続放棄を検討する人に対し,借金の返済や立替金の精算を新たに進める前に,債務の根拠と支出の原資を整理することを勧める。

第5 預貯金の仮払い制度と相続放棄
1 銀行への単独払戻請求とATM出金の違い

民法909条の2は,遺産分割前でも,各共同相続人が一定額の預貯金債権を単独で行使できる制度を定めている。
額は,対象となる預貯金の相続開始時の残高に3分の1と法定相続分を乗じて算定し,同一の金融機関に対する行使額の上限は法務省令による150万円である。
150万円は口座ごとに認められる上限ではない。

同条後段は,権利行使した預貯金債権について,その相続人が遺産の一部の分割によって取得したものとみなすと定めている。
この取得の効果もあるため,「仮払い」という呼び名や上限額だけから,相続放棄への影響がないと判断することはできない。

堂薗幹一郎ほか『逐条解説 改正相続法』(商事法務,2024年)85頁~86頁は,同条による権利行使である旨を金融機関に示すことを要し,死亡を秘してATMから預金を引き出す行為は同条による権利行使とはいえないと説明している。
したがって,単に150万円以内を引き出しただけで,法定の払戻制度を利用したことになるわけではない。

(続きを読む...)相続開始後の預貯金の払戻しと法定単純承認-相続放棄を検討するときの判断と対応(AI作成)

成年後見人のマイナンバーカード管理-電子証明書の更新・期限切れ・資格確認書(AI作成)

第1 カードと2種類の電子証明書を区別する1 用途と暗証番号の違い2 期限はカード本体と別に確認する第2 後見開始・住所変更で何が変わるか1 署名用の発行と既存証明書の失効は別問題である2 通常の住所変更と転入手続の未了を分ける第3 成年後見人による更新と暗証番号の再設定1 受付開始日と通知書の有無を確認する2 法定代理人の手続として持ち物を確認する第4 電子証明書が期限切れになったときの受診1 期限満了後の取扱いには期間と機能の制限がある2 資格確認書の交付対象と到達を確認する3 顔認証マイナンバーカードも選択肢となる第5 後見人と施設で管理方法を決める1 本人の意向・利用目的・受診手段を記録する2 カードの預かりと暗証番号の共有を分ける3 紛失したときと見つかったときの手順も決めておく第6 出典1 法令2 国・発行主体・保険者の説明資料3 自治体の手続案内4 関連記事5 文献

成年後見人がマイナンバーカードを管理する際は,カード本体と2種類の電子証明書を区別し,本人が使う機能と受診時に提示する書類を確認することが出発点となる。
電子証明書を更新する手続と,資格確認書によって受診を続ける方法を把握した上で,本人の意向や生活状況に応じて管理方法を選ぶ。

本記事は,令和8年9月4日現在(第5の3は同月11日現在)の公表資料に基づき,国内に居住する成年被後見人のマイナンバーカードを扱う。
成年後見人が法定代理人として行う手続を対象とし,保佐・補助・任意後見の個別の代理権に基づく手続は別に検討する。

第1 カードと2種類の電子証明書を区別する
1 用途と暗証番号の違い

マイナンバーカードには,署名用電子証明書と利用者証明用電子証明書を搭載できる。
大阪市の電子証明書の案内と東淀川区の暗証番号の案内による用途の違いは,次のとおりである。

対象主な用途暗証番号・確認事項カード本体券面による本人確認カード自体の有効期限を確認する利用者証明用電子証明書マイナポータルへのログイン,コンビニ交付,マイナ保険証数字4桁。顔認証マイナンバーカードでは設定しない署名用電子証明書電子申請等で電子文書に署名する大文字の英字と数字を組み合わせた6~16文字

数字4桁の暗証番号には,利用者証明用のほか,住民基本台帳用及び券面事項入力補助用もある。
同じ4桁であることだけでは用途を特定できないため,窓口に相談する際は,どの暗証番号が分からないのかを伝える。

2 期限はカード本体と別に確認する

J-LISの更新案内によれば,電子証明書の有効期限は原則として発行後5回目の誕生日であり,満了まで3か月未満となった日から満了日までに更新した場合は,発行後6回目の誕生日までとなる。
ただし,J-LISのFAQが示すカード自体の有効期限等による上限もあるため,一律に「発行日から5年間」と計算せず,実際の期限を確認する。

デジタル庁の案内では,カード本体の期限は券面に印字され,電子証明書の期限は券面に記入する扱いとされている。
電子証明書の記入がない場合は,カード本体の印字された期限で代用せず,市区町村窓口で確認する方法を検討する。

第2 後見開始・住所変更で何が変わるか
1 署名用の発行と既存証明書の失効は別問題である

大阪市は,成年被後見人には署名用電子証明書を原則として発行しないと案内している。
一方,公的個人認証法15条・34条の失効事由には,後見開始そのものは独立した事由として列挙されていない。
したがって,発行に関する取扱いから,既存の証明書が後見開始だけで当然に失効すると結論付けることはできない。

署名用の発行について,横浜市は,原則不発行としつつ,本人と法定代理人が一緒に窓口で申請した場合に限り発行すると説明している。
これに対し,川崎市の案内は,成年被後見人には発行できないという表現を用いている。
案内の記載に差があるため,横浜市の説明を全国共通の受付条件とせず,申請先へ本人の来庁可否と必要な利用目的を伝えて確認する。

2 通常の住所変更と転入手続の未了を分ける

J-LISのFAQは,氏名・住所等の変更により署名用電子証明書は失効するが,利用者証明用電子証明書はその変更だけでは失効しないと説明している。
法的には,署名用について,公的個人認証法12条・15条により,所定の変更を受けた機構の失効情報の記録が失効に結び付く。

利用者証明用も,転出届を出した後,転入届を行わずに転出予定日から30日を経過した場合などは別の失効事由となる(同法31条・34条)。
施設入所に伴って住所を移す際は,通常の住所変更による影響と,転入・カード継続利用の手続が済んでいるかを分けて確認する。

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遺言執行者が相続株式・有価証券を売却して分配する際の実務上の問題点(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と結論第2 遺言の対象と遺言執行者の権限1 遺言全文から換価対象を確定すること2 通知,財産目録及び相続人による妨害の防止第3 証券口座及び保有商品の調査1 口座開設先と保有残高を分けて調べること2 証券会社から取得する資料第4 証券会社における換価経路1 相続人名義口座へ移管してから売却する取扱い2 遺言執行者による換金分割用の取扱い第5 換価時期及び注文方法1 善管注意義務と相場変動2 売却方針を先に記録すること3 信託銀行が遺言執行者である場合第6 相続税評価額,取得費及び譲渡所得1 四つの金額を区別すること2 換価による譲渡所得を誰が申告するか3 NISAと取得費加算の特例第7 商品別の例外と分配・報告1 非上場株式,外国証券及び信用取引2 配当金等と換価代金の範囲3 換価代金の管理と相続人への報告出典・参考資料1 法令2 所管行政機関の解説・質疑応答及び研究資料3 証券関係機関及び金融商品取引業者の手続資料4 文献5 裁判例・判決紹介

第1 この記事の対象と結論

本記事は,令和8年9月4日現在の法令及び公開資料に基づき,被相続人名義の株式,投資信託,債券その他の有価証券を遺言執行者が換価し,その代金を相続人に分配する遺言の執行を扱う。
相続人が現物のまま有価証券を取得する場合や,遺言がなく遺産分割協議によって換価する場合は,直接の対象ではない。

なお,本記事は相続開始後に遺言執行者が有価証券を換価する場面を扱う。
遺言者が生前に目的の有価証券を売却済みである場合は,その銘柄が遺産に存在しないこと,売却代金又は移転先口座に遺言の効力が及ぶかを先に検討し,本記事の換価手続と区別する。
財産変動を含む全体の確認順序は,「遺言書の執行とは―見つけた後の検認,遺言執行者,財産別の手続及び執行できない場合」を参照されたい。

相続人から委任を受けた弁護士が,証券口座の調査,必要書類の収集,受入口座への移管及び売却を代理する一般的な手順は,「証券口座の相続手続を弁護士が代理する方法-口座調査,必要書類,移管・売却(AI作成)」で説明している。

有価証券の換価分配では,遺言執行者に民法上の処分権限があることと,証券会社が被相続人名義の口座で直ちに売却注文を受け付けることとは別問題である。
実際には,①遺言の対象と権限,②口座及び保有商品の全体像,③証券会社所定の換価経路,④売却時期及び注文方法,⑤譲渡所得の帰属及び分配可能額を順に確定する必要がある。

本記事では,換価方針を相場予測で決めるのではなく,遺言の文言,証券会社の手続,銘柄の流動性,税務上の取扱い及び相続人間の公平を確認した上で,判断時点の資料と理由を記録して執行することを基本形とする。
遺言執行者に関する一般的な相続人側の注意点は,「遺言執行者が指定されている場合の相続人の注意点」で説明している。

第2 遺言の対象と遺言執行者の権限

1 遺言全文から換価対象を確定すること

民法1012条1項は,遺言執行者が遺言の内容を実現するため,相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有すると定めている。
一方,遺言が特定の財産に関する場合,遺言執行者の権限はその財産についてのみ及ぶ(同法1014条1項)ため,「有価証券を売却する」という一節だけでなく,遺言全文から対象と目的を確定する必要がある。

なお,民法1014条3項が遺言執行者の払戻し・解約の権限を明文で定めているのは預貯金債権についてだけであり,株式・投資信託の売却・解約の権限は,換価を命じる遺言の内容や遺言で付与された権限によって決まる。
立案担当者の解説も,預貯金以外の金融商品について遺言執行者に解約権限があるかは解釈に委ねられるが,遺言者が明示又は黙示に意思表示をして遺言執行者に解約権限等を付与することは当然に可能であるとしている(堂薗幹一郎・野口宣大編著『一問一答 新しい相続法』商事法務,2019年,118頁~119頁)。

確認する事項は,①すべての有価証券を対象とするのか,特定の証券会社,口座又は銘柄に限るのか,②株式分割,合併,償還,再投資等によって形を変えた資産を含むのか,③外貨預り金,未収配当金,分配金及び株主優待を含むのか,④換価費用,遺言執行者報酬,債務及び税金をどこまで控除するのか,⑤誰にどの割合で分配するのかである。

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信託銀行に遺言執行者を辞退・辞任してもらう方法-相続開始後のメリット・デメリット(AI作成)

目次

第1 結論と本記事の対象

1 就任前は辞退の申入れ,就任後は家庭裁判所の許可が問題となること
2 調査基準日及び対象範囲
3 銀行サービスとしての「遺言信託」と信託法上の信託を区別すること

第2 辞退,辞任及び解任の違い

1 就職承諾前の「辞退」
2 就職承諾後の「辞任」
3 利害関係人による「解任」
4 遺言執行契約の精算と遺言上の指定は別問題であること

第3 信託銀行に辞退又は辞任してもらうメリット

1 未発生の遺言執行報酬を減らせる可能性があること
2 残る事務に適した担い手を選べること
3 既に大半の手続が終わっている場合に役割を絞れること

第4 信託銀行に辞退又は辞任してもらうデメリットとその限界

1 信託銀行でなければできない遺言執行は限られること
2 手続の遅延と二重費用は就職承諾後に問題となること

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家庭裁判所が選任した遺言執行者の報酬の目安-現行法と旧基準(AI作成)

目次

第1 結論と対象範囲第2 選任の審判と報酬付与の審判は別である1 家庭裁判所が遺言執行者を選任する場合2 選任時に報酬額まで当然に決まるわけではない第3 報酬の決まり方1 遺言に報酬の定めがある場合2 家庭裁判所が考慮する事情第4 旧日弁連報酬等基準規程による歴史的な参考額1 旧基準の内容2 旧基準を単純計算した場合3 現在の目安として使う場合の限界第5 誰が,いつ報酬を支払うか1 原則として遺言執行後に支払う2 報酬は相続財産の負担となる3 合意により報酬を定めて払戻金から差し引く場合第6 報酬付与の申立てで示すべき資料第7 関連記事第8 出典1 法令2 裁決3 裁判所及び法務省の資料4 職能団体の旧規程5 その他の文献

第1 結論と対象範囲

民法1018条は,家庭裁判所が選任した遺言執行者の報酬について,全国一律の金額表又は料率を定めていない。
家庭裁判所は,相続財産の状況その他の事情を考慮して報酬を定めるため,令和8年9月4日現在の法令及び確認できた公表資料からは,遺産額だけで個別の審判額を正確に予測することはできない。

実務書には,弁護士である遺言執行者について,平成16年4月に廃止された旧日弁連報酬等基準規程を参考にし,これを若干減額して決定していた時期があるとの記載がある。
旧基準を機械的に当てはめると,執行対象の価額が1000万円なら44万円,5000万円なら104万円,1億円なら154万円となるが,これは現在の家庭裁判所の基準額,最低額又は予測額ではない。

したがって,現在の報酬の見通しを立てる際は,遺産額に一定割合を掛けるだけでは足りない。
財産の種類及び評価額,執行した事務の内容,期間,難易度,紛争対応,支出した費用並びに執行結果を示す資料を準備するのが有用である。

本記事は,家庭裁判所が選任した遺言執行者に対する報酬付与を中心に扱う。
遺言で指定された専門家又は信託銀行の契約上の報酬は,家庭裁判所が定める報酬との違いを説明する範囲に限って取り上げる。

第2 選任の審判と報酬付与の審判は別である

1 家庭裁判所が遺言執行者を選任する場合

遺言執行者がいないとき,又はいったん就任した遺言執行者が辞任,解任又は死亡等によっていなくなったときは,家庭裁判所は,利害関係人の請求により遺言執行者を選任することができる(民法1010条)。
裁判所ウェブサイトの「遺言執行者の選任」も,申立人は相続人,遺言者の債権者又は受遺者等の利害関係人であり,申立先は遺言者の最後の住所地の家庭裁判所であると案内している。

2 選任時に報酬額まで当然に決まるわけではない

遺言執行者の選任は,家事事件手続法別表第一の104の項の事件であり,遺言執行者に対する報酬の付与は,同表105の項の別事件である。
したがって,家庭裁判所が遺言執行者を選任したという事実だけから,報酬額が確定したことにはならない。

報酬付与事件の管轄は,相続を開始した地を管轄する家庭裁判所にある(家事事件手続法209条1項)。
相続開始地は,被相続人の住所である(民法883条)ため,通常は遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てることになる。

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遺言と異なる遺産分割をしたい場合の調停手続-受遺者がいる場合の選び方(AI作成)

目次

第1 結論及び本記事の対象第2 遺産分割調停を利用できる場合1 分割すべき遺産が存在すること2 包括受遺者がいる場合3 包括受遺者と養子縁組無効確認の訴えの利益第3 遺言によって取得者が確定している場合1 特定遺贈及び特定財産承継遺言2 特定遺贈を放棄した場合第4 一般調停を利用する場合1 遺産に関する紛争調整調停2 親族関係調整調停3 調停不成立後の違い第5 遺言執行者及び関係者全員の同意1 遺言執行者がいる場合2 関係者全員が同意する場合第6 申立て前の手続選択1 状況ごとの手続2 最初に集める資料及び停止基準第7 遺言の存在を知らずに協議した場合第8 出典・参考資料1 法令2 裁判例3 裁判所及び所管行政機関の解説・質疑応答4 その他の文献
第1 結論及び本記事の対象

受遺者が遺言と異なる分け方を希望しているというだけで,遺産分割調停を利用できるわけではない。
最初に確認すべきことは,遺言によって対象財産の取得者が既に確定しているか,複数の共同相続人又は包括受遺者の間に分割すべき未分割遺産が残っているかである。

未分割遺産が残っている場合は遺産分割調停を利用する。
これに対し,遺言によって取得者が既に確定した財産を関係者全員の合意で組み替える場合は,遺産分割調停ではなく,一般調停である「遺産に関する紛争調整調停」を検討するのが基本となる。
親族間の感情的対立や関係修復が中心である場合には「親族関係調整調停」が候補になるが,遺産の帰属を組み替えること自体が目的であれば,「遺産に関する紛争調整調停」の方が事件の内容に即している。

本記事は,令和8年10月1日現在の民法,家事事件手続法,裁判所の手続案内,裁判例及び国税庁の質疑応答事例を基に,AIを用いて手続選択の分岐を整理したものである。
具体的な申立てでは,遺言の文言,受遺者の種類,遺贈の承認又は放棄,遺言執行者及び登記の状況によって結論が変わる。

第2 遺産分割調停を利用できる場合
1 分割すべき遺産が存在すること

民法907条は,共同相続人が,被相続人による遺産分割の禁止がない限り,協議によって遺産の全部又は一部を分割できることを定めている。
協議が調わない場合又は協議をすることができない場合には,各共同相続人は家庭裁判所に遺産分割を請求できる。

遺産分割の対象になるのは,取得者がまだ確定していない遺産である。
名古屋家庭裁判所の遺産分割調停の案内も,有効な遺言書がある場合は原則として遺言書の内容が優先され,遺言で遺産全部の取得者が指定されている場合には,一般に遺産分割の余地がないと説明している。
ただし,遺言の対象となっていない残余財産があれば,その部分は遺産分割の対象になり得る。

2 包括受遺者がいる場合

民法990条は,包括受遺者が相続人と同一の権利義務を有することを定めている。
複数の共同相続人又は包括受遺者の間に未分割遺産が存在する場合,包括受遺者も遺産分割手続の当事者となる。

裁判所の手続案内は,遺産分割調停の申立人として共同相続人及び包括受遺者を挙げ,すべての共同相続人及び包括受遺者を相手方又は申立人として手続に参加させる必要があるとしている。
一部の共同相続人又は包括受遺者を除外した合意では,遺産全体の分割を確定できない。

包括受遺者がいることだけで,当然に遺産分割調停を選択できるわけではない。
例えば,遺産全部が1人の包括受遺者に帰属し,包括遺贈が有効なままである場合には,複数人の間で分割すべき遺産が存在しない可能性がある。

3 包括受遺者と養子縁組無効確認の訴えの利益

最高裁平成31年3月5日第三小法廷判決(平成30年(受)第1197号)は,養親の相続財産全部の包括受遺者であることから直ちに養子縁組無効確認の訴えの利益が生じるとはいえないと判断した。包括受遺者が養子から遺留分請求を受け得るとしても,養子縁組の無効によって影響を受けるのは財産上の権利義務にすぎず,自己の身分関係上の地位に直接影響を受けるものではないからである。

民法990条により包括受遺者が相続人と同一の権利義務を有することと,身分訴訟の訴えの利益を有することは同じではない。他方,包括受遺者が別に法定相続人たる地位その他の身分上の地位を有し,縁組の無効がその地位へ直接影響する場合まで,一律に訴えの利益を否定した判決ではない。

そのため,相続・遺留分等の財産上の紛争と,身分関係の対世的確定を求める訴えを分け,求める最終結果に対応する手続を選択する必要がある。訴えの利益の判断順序,戸籍・遺言等の確認資料及び判例秘書の確認状況は,養子縁組無効確認の訴えの利益―包括受遺者・相続人と最高裁平成31年3月5日判決で整理している。

第3 遺言によって取得者が確定している場合
1 特定遺贈及び特定財産承継遺言

民法964条及び985条によれば,遺言者は遺言によって財産の全部又は一部を遺贈でき,遺言は原則として遺言者の死亡時に効力を生じる。

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相続放棄をしても受け取れる権利―保険金・年金・退職金の区別(AI作成)

第1 受け取れる権利と判断の基準
第2 生命保険金

1 受取人固有の死亡保険金
2 入院給付金・返戻金等との違い
3 人身傷害保険の死亡保険金

第3 死亡退職金
第4 未支給年金

1 国民年金・厚生年金
2 旧三共済・農林共済
3 故人口座への入金

第5 遺族年金・死亡一時金・労災給付

1 給付ごとの受給要件
2 死亡一時金と子の年金

第6 埋葬料・葬祭費・香典等
第7 慰謝料・祭祀財産・特定遺贈

1 遺族固有の慰謝料
2 祭祀財産
3 特定遺贈

第8 税金の取扱い
第9 受領前の確認と期限

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遺言書保管事実証明書・遺言書情報証明書の郵送請求―必要書類と手順(AI作成)

第1 どちらの証明書を請求するか

1 2種類の違いと郵送請求の基本

2 請求できる人と代理請求

第2 遺言書保管事実証明書の必要書類

1 基本となる添付書類

2 通知書などがある場合の省略

第3 遺言書情報証明書の必要書類

1 初回の請求と法定相続情報一覧図

2 関係遺言書保管通知と指定者通知の違い

3 数次相続・法人・法定代理人の追加書類

第4 請求書の作成から発送まで

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亡くなった家族の入通院先を調べる方法―遺族のレセプト開示とカルテの取得(AI作成)

第1 受診先が分からないときの調査順序

第2 当時加入していた医療保険を特定する

第3 遺族としてレセプトの開示を依頼する

1 請求できる遺族と必要書類

2 対象の指定,費用及び所要期間

第4 保存期間の「5年」をどう確認するか

第5 判明した病院・薬局から受診歴をたどる

1 病院・診療所の診療記録

代理人に依頼する場合の委任状
閉院・破産している場合

2 薬局の記録

3 介護の記録

第6 資料が出ない場合の確認と次の手段

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被相続人のスマホに関して,死亡直後に遺族がすべきこと(AI作成)

第1 死亡直後は端末の保管と携帯会社への連絡を並行する
第2 初期化と推測入力を避け,端末の状態を記録する
1 端末と関連資料の保管
2 ロック解除とデータ消去の違い

第3 回線の解約・承継と別契約の請求を分ける
1 携帯会社別の手続の入口
2 SMS認証,サブスク及び端末代金の確認

第4 Apple・Googleのデータ請求は端末解除とは別である
1 Appleの故人アカウント管理連絡先等
2 Googleのデータ請求と閉鎖の順序

第5 相続放棄を考えている場合とアクセス権限の注意点
1 財産調査,処分及び放棄後の保管
2 パスワードが分かっても利用権限は別に確認する

第6 スマホが開かない場合の調査と相談
1 郵便物・通帳・カード明細から調べる
2 専門的な調査へ進む条件

第7 出典
1 法令

(続きを読む...)被相続人のスマホに関して,死亡直後に遺族がすべきこと(AI作成)

法定相続情報一覧図の作成方法―戸籍謄本の読み方と相続人の確認(AI作成)

第1 戸籍を読み終えてから提出用の一覧図を作る1 法定相続情報一覧図は自分で作成できるか2 無料の公式テンプレートを選び,取得後の用途も確認する3 必要書類は何を準備するか第2 戸籍謄本の種類と読む欄を区別する1 現在戸籍・除籍・改製原戸籍の違い2 本籍・筆頭者・戸籍事項・身分事項の読み分け第3 出生から死亡までの戸籍をつなぐ方法1 新しい戸籍から一つ前の戸籍へ戻る2 三つの戸籍を照合する架空の作業例3 死亡日・届出日・旧字体を照合する第4 戸籍から相続関係を確認する1 配偶者・子・親・兄弟姉妹の順序2 代襲相続と数次相続は死亡の先後で分ける3 兄弟姉妹相続では父母双方の関係を追う4 相続放棄と廃除の記載を混同しない第5 確認した情報を一覧図へ転記する1 書く情報と転記元を対応させる2 続柄は被相続人を基準にし,住所は利用先を考えて選ぶ3 代襲の線と複数枚のつながりを確認する4 前婚の子がいる場合は前配偶者を性別で表示する第6 必要書類をそろえ,不足や読めない部分を解消する1 申出用の書類と広域交付の範囲2 未取得・判読不能・廃棄を区別する第7 申出前の点検と他の相続手続の期限1 戸籍から図へ,図から戸籍へ照合する2 相続放棄と相続登記は別に期限を管理する第8 出典・参考資料1 法令2 法務省・法務局の手続案内と記載例3 裁判所の手続案内4 自治体の戸籍解説・実務資料

第1 戸籍を読み終えてから提出用の一覧図を作る

法定相続情報一覧図は,亡くなった人と,戸籍の記載から確認できる相続人との関係をまとめる書面である。
相続人等が一覧図を作成して戸籍等とともに申し出ると,登記官が記載内容を照合し,認証文を付した写しを交付するのであり,戸籍の束を持参すれば法務局が図を作成してくれる制度ではない(不動産登記規則247条)。

作業は,①被相続人の出生から死亡までの戸籍をつなぐ,②各人の身分事項から相続関係を確認する,③証明書に基づいて一覧図へ転記する,という順序で進める。
本記事は,令和8年9月25日現在の法令・公表資料を前提に,現在の相続法が適用される相続について,戸籍の読解と転記の方法を説明するものである。

本記事では,調査中の親族関係,取得済みの戸籍及び未確認事項を書き込む作業メモを,法務局へ提出する一覧図とは分けることを基本形とする。
法定相続分の計算,遺産分割の合意内容,調査上の疑問及び戸籍から確認できない推測は内部メモに置き,提出用の一覧図には,法定の記載事項と法務局の記載例に沿った情報を記載する。

もっとも,改製,転籍,複数回の婚姻,前婚の子又は代襲相続があり,戸籍束が厚い事案では,各戸籍の種類,本籍・筆頭者,確認期間,前後の戸籍とのつながり及び一覧図の該当箇所を記載した客観的な戸籍チェック表を,任意の審査参考資料として付ける方法がある。
付ける場合は「審査参考資料(法定の添付書面ではない)」と明示し,内部的な法律判断を記載せず,申出書・一覧図の後,戸籍束の直前に置いて,不要とされたときに外せるよう分けておく。

一覧図は,誰が最終的にどの財産を取得するかまで証明するものではなく,遺産分割協議書や相続放棄を証する書類が別途必要となる場合がある。
従来どおり戸籍の束で相続手続を行う方法も利用できるため,提出先が少ない場合には,一覧図を取得する手間も含めて選ぶことになる(法務省民事局「法定相続情報証明制度について」平成30年4月1日改訂,2頁・PDF3頁)。

遺言の有無や内容も,一覧図の記載だけでは確認できない。
公正証書遺言の存在を調べる場合は,「公正証書遺言の保存期間と検索方法」を参照されたい。

公正証書遺言の検索で相続人資格を示す資料と,弁護士への委任に必要な資料の区別は,「公正証書遺言の検索を弁護士が代理する方法」で説明している。

1 法定相続情報一覧図は自分で作成できるか

法定相続情報一覧図は,相続人自身が戸籍等を確認して作成し,保管・交付を申し出ることができる。
作成した図と申出書,必要書類を登記所へ提出し,登記官の確認を受けて,認証文付きの写しを取得するという順序である。

市区町村の窓口で集める戸籍等と,法務局で交付される一覧図の写しは別の書類である。
自分で入力・手書きした図だけでは,法務局の認証文付きの写しにはならない(不動産登記規則247条,法務局の手続案内)。

2 無料の公式テンプレートを選び,取得後の用途も確認する

法務局の様式・記載例ページでは,次のような相続関係に応じたExcel様式と記載例PDF等が公開されている。

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保管証書遺言とは―令和8年民法等改正で新設された第4の遺言方式,成立要件及び施行時期(AI作成)

第1 保管証書遺言の位置付けと本記事の範囲

1 新設された第4の遺言方式であること
2 本記事の基準日及び対象範囲

第2 保管証書遺言の法的根拠及び新設の経緯

1 根拠法令
2 法制審議会における審議経過
3 制度創設の背景となった課題

第3 保管証書遺言の成立要件

1 署名等・口述と保管による効力発生(改正民法968条の2)
2 電磁的記録による作成と署名に代わる措置
3 遺言書保管官の意義
4 口がきけない者の特則(民法968条の3)

第4 作成手続の具体的な流れ

1 保管申請とオンライン利用
2 本人確認とウェブ会議の利用
3 財産目録の口述省略

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自筆証書遺言書保管制度―法務局の保管手続と検認不要のメリット(AI作成)

第1 自筆証書遺言書保管制度の対象及び最大のメリット

1 本記事の対象及び結論
2 制度の目的及び根拠法令
3 検認が不要になる仕組み

第2 遺言者本人による保管の申請

1 保管の申請ができる遺言書保管所
2 保管の申請の要件―本人出頭の原則
3 保管する遺言書の様式
4 保管後に遺言者ができること

第3 遺言者の死亡後に相続人等ができる手続

1 遺言書情報証明書の交付請求
2 遺言書保管事実証明書の交付請求
3 閲覧請求及び非表示措置の申出

第4 手数料
第5 通知制度

1 関係遺言書保管通知
2 指定者通知

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遺言執行者が指定されている場合の相続人の注意点――処分禁止,通知請求権及び解任手続(AI作成)

第1 この記事の対象と全体像
第2 処分禁止の内容と違反行為の効力

1 遺言執行者の就任と任務開始
2 相続人による処分等の禁止
3 違反行為の無効と善意の第三者保護
3の2 特定遺贈後に相続人が第三者へ売却した場合
4 相続人の債権者による権利行使への影響

第3 相続人が遺言執行者から受けられる通知と説明

1 任務開始の通知
2 相続財産目録の作成及び交付
3 通知が来ないときの催告

第4 遺言執行者がいても相続人ができること

1 特定財産承継遺言の対抗要件具備
2 遺産分割前の預貯金の払戻し制度との関係
3 遺留分侵害額請求は遺言執行者に対してする請求ではない

第5 遺言執行者に問題があるときの手続

1 処分制限は放置によって当然には外れない
2 解任請求の要件と管轄

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遺族厚生年金の生計維持要件——収入,別居,内縁及びDV別居の限界事例(AI作成)

第1 この記事が扱う対象
第2 生計維持要件の基本構造

1 根拠条文
2 生計同一要件と収入要件への分解
3 形式的な基準を修正する例外条項

第3 収入が基準額を超えている場合の限界事例

1 収入要件の4類型
2 死亡当時までの収入変動が考慮された事例

第4 同居していない場合の限界事例

1 同居していなくても生計同一と認められる場合
2 高齢の夫婦が別々の施設に入所した事例
3 複数の扶養者がいる場合

第5 DVを理由に別居している場合の限界事例

1 判断枠組みの見直し
2 別居から約13年後に死亡した事案

第6 内縁関係が絡む場合の限界事例

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遺留分侵害額請求の期限と手続―内容証明・交渉・調停・訴訟・必要書類(AI作成)

第1 この記事の対象と最初に行うこと

1 令和元年7月1日以後に開始した相続が対象である

2 請求額の確定より先に期限を確認する

3 内容証明から訴訟までの標準的な順序

第2 1年と10年の期限

1 知った時から1年

2 相続開始から10年

3 発送日ではなく到達時が問題となる

4 権利行使後の金銭債権も別に管理する

第3 内容証明郵便による権利行使

1 内容証明と配達証明の役割は異なる

2 通知書で特定する事項

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成年後見制度利用支援事業とは―後見人報酬・申立費用の自治体助成を比較する(AI作成)

第1 成年後見制度利用支援事業とは

1 制度の内容――申立費用と後見人等の報酬を市区町村が助成する
2 高齢者向けと障害者向けで法律上の位置づけが異なる

(1) 高齢者向け――介護保険法の任意事業
(2) 障害者向け――障害者総合支援法上の地域生活支援事業

第2 助成を受けられるのはどのような場合か

1 資力要件
2 対象となる申立人の範囲
3 後見人等が親族である場合の扱い

第3 実際にいくら助成されるか――7市の実例

1 報酬助成の上限額
2 申立費用の助成対象
3 申請期限に注意する

第4 自治体によってどれだけ違うか――全国調査からみる実態

1 助成制度自体がない自治体も存在する

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要介護認定の結果に納得できない場合の資料収集と争い方―認定調査票・主治医意見書・一次判定・二次判定の読み方(AI作成)

目次

第1 最初に確認すること

1 結論

2 結果だけでなく資料の流れを確認する理由

3 期間制限

第2 認定調査から処分までの資料の流れ

1 法定の手続

2 一次判定は最終結論ではない

3 処分時点と現在時点を分ける

第3 最初に集める資料

1 行政側の資料

2 大阪市の情報提供手続

3 本人側で作る資料

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遺留分侵害額請求の計算方法と請求を受けた側の対応―期限の許与・分割払い・遅延損害金(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と既存記事との役割分担1 令和元年7月1日以後に開始した相続を扱うこと2 旧法と変わった点と変わらなかった点3 既存記事との役割分担第2 遺留分を算定するための財産1 条文と算式2 相続人に対する贈与が10年に限られたこと3 負担付贈与と不相当な対価第3 遺留分を請求できる人と割合1 遺留分を請求できる人2 総体的遺留分と個別的遺留分3 相続人の組合せごとの遺留分割合4 複数の子・直系尊属、代襲相続及び養子5 相続放棄、相続欠格及び廃除6 相続開始前の遺留分放棄第4 遺留分侵害額1 民法1046条2項の算定式2 寄与分が反映されないこと3 承継債務を加算すること
4 死亡保険金の取扱い第5 遺留分侵害額請求を受けた側の確認事項1 回答前に保存する資料2 請求額を検証する順序3 受遺者・受贈者の負担限度と負担順序4 遺留分権利者承継債務を弁済した場合5 裁判所による期限の許与6 分割払いの合意と事実上の分割払い第6 遅延損害金と期間制限1 権利行使と履行請求を区別する2 遅延損害金の利率3 民法1048条の期間と発生後の金銭債権の時効4 請求を受けた側の回答順序第7 現物で解決する場合の課税1 代物弁済と譲渡所得2 相続税の更正の請求と修正申告第8 新法の解釈を示した裁判例がほとんどないこと第9 出典・参考資料1 法令2 裁判例3 公的資料4 文献

第1 この記事の対象と既存記事との役割分担

1 令和元年7月1日以後に開始した相続を扱うこと

民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律(平成30年法律第72号)の附則第2条は「この法律の施行の日(以下「施行日」という。)前に開始した相続については、この附則に特別の定めがある場合を除き、なお従前の例による。」と定める。
遺留分に関する改正規定は同法附則第1条ただし書の各号に掲げられておらず、法務省が公表する原則的な施行期日である2019年7月1日から施行された。
したがって、被相続人の死亡日が令和元年7月1日以後であれば、金銭の支払を求める遺留分侵害額請求として処理する。

判定の基準は相続開始日であって、判決の年でも権利行使の年でもない。
逆に、判決が令和6年や令和7年であっても、相続開始が施行日より前であれば旧法の遺留分減殺請求として処理される。

2 旧法と変わった点と変わらなかった点

改正の中心は、権利の性質が物権的効果から金銭債権へ変わったことである。
民法1046条1項は「遺留分権利者及びその承継人は、受遺者…又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる」と定める。
その結果、旧法で最も誤りが生じやすかった減殺率の分母の選択という問題は、計算の手順から消えた。

もっとも、変わらなかった部分も多い。
基礎財産の算式(1043条1項)は旧1029条とほぼ同文であり、負担の順序(1047条1項各号)も旧1033条から1035条までと同じ構造である。
遺留分の放棄に関する1049条は旧1043条と同文で、第2項の「共同相続人の一人のした遺留分の放棄は、他の各共同相続人の遺留分に影響を及ぼさない」という規律も維持されている。
実質的に変わったのは、後述する贈与の加算期間、負担の限度の条文化、価額弁償に代わる期限の許与の4点に整理できる。

3 既存記事との役割分担

旧法の計算方法そのものは旧法の遺留分減殺請求の計算方法―基礎財産・侵害額・減殺率と判例タイムズ1345号の計算シートで扱っている。
減殺の順序は旧法の遺留分減殺請求の順序―遺贈・死因贈与・生前贈与と通知の先後、遺産の評価時点は旧法事案の遺留分減殺請求における遺産の評価基準時で扱っている。
この記事は新法の金額の算定過程に絞り、旧法との違いが実務にどう表れるかを併せて示す。
1年・10年の期限,内容証明による通知,交渉,調停,訴訟及び必要書類は,遺留分侵害額請求の期限と手続―内容証明・交渉・調停・訴訟・必要書類で扱っている。

第2 遺留分を算定するための財産

1 条文と算式

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旧法の遺留分減殺請求の計算方法―基礎財産・侵害額・減殺率と判例タイムズ1345号の計算シート(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と既存記事との役割分担1 令和元年7月1日より前に開始した相続を扱うこと2 この記事が扱う範囲3 既存記事との役割分担第2 算定式と計算シート1 最高裁が示した算定式2 東京地方裁判所プラクティス委員会が提案した計算シート3 計算シートが選択した説第3 遺留分算定の基礎となる財産1 式と入力欄の対応2 生前贈与を加算する範囲3 金銭の贈与を相続開始時の貨幣価値に引き直すこと4 相続債務の控除5 相続税の申告書から数値を転記するときの注意第4 個別的遺留分額1 総体的遺留分率に法定相続分を乗じること2 計算シートの模擬事案が前提とする法定相続分第5 遺留分侵害額1 計算シートの算定順序2 未処理遺産を分配する基準第6 減殺額と減殺率1 減殺の対象となるのは遺留分超過受遺額であること2 受遺額からみた減殺率3 判決が用いた分母には幅があること4 持分を分数にするときの乗算第7 計算シートの用語が判決の別紙に現れること1 判決文に現れる計算シート由来の用語2 計算過程を検算する際の着眼点第8 出典・参考資料1 法令2 裁判例3 公的資料4 文献

第1 この記事の対象と既存記事との役割分担

1 令和元年7月1日より前に開始した相続を扱うこと

民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律(平成30年法律第72号)の附則第2条は「この法律の施行の日(以下「施行日」という。)前に開始した相続については、この附則に特別の定めがある場合を除き、なお従前の例による。」と定める。
遺留分に関する改正規定は同法附則第1条ただし書の各号に掲げられておらず、原則的な施行期日によることになる。
法務省は原則的な施行期日を2019年7月1日と公表しており、同法の公布日は平成30年7月13日である。
したがって、被相続人の死亡日が令和元年7月1日より前であれば、金銭債権化された遺留分侵害額請求ではなく、物権的効果を生ずる遺留分減殺請求として処理する。

判定の基準は相続開始日であって、判決の年でも権利行使の年でもない。
現に、判決日が令和6年や令和7年であっても、相続開始日が施行日前であるために旧法が適用される事案は珍しくない。

2 この記事が扱う範囲

この記事は、旧法の遺留分減殺請求において、基礎財産、個別的遺留分額、遺留分侵害額及び減殺率という四つの数値を、どの順序でどのように出すかという算定過程そのものを扱う。
個別の財産をどう評価するか、争点整理をどう進めるかといった問題は扱わない。

3 既存記事との役割分担

減殺の順序、すなわち遺贈・死因贈与・生前贈与のどれから先に減殺するかという問題は、旧法の遺留分減殺請求の順序―遺贈・死因贈与・生前贈与と通知の先後で扱っている。
遺産をいつの時点の価額で評価するかは旧法事案の遺留分減殺請求における遺産の評価基準時で、減殺の結果生じた共有関係をどう解消するかは改正前の遺留分減殺請求によって共有となった不動産の解消方法で扱っている。
相続開始後に遺留分減殺請求がされ,その後に換地処分があった土地の評価対象及び基準時は,相続後に遺留分減殺請求をし,その後に換地処分があった土地の評価基準時(AI作成)で扱っている。
この記事は、それらの前提となる金額の算出に絞る。
令和元年7月1日以後に開始した相続については権利の性質が金銭債権に変わっており、その計算方法は遺留分侵害額請求の計算方法―旧法の減殺請求と何が変わったかで扱っている。

葬儀費用を遺留分の計算から差し引けるかについては,通常の葬儀費用と被相続人の債務との区別,遺言・合意・生前契約及び相続税上の取扱いを,遺留分の計算で葬儀費用を差し引けるか-遺言・合意・相続税との違い(AI作成)で説明している。

第2 算定式と計算シート

1 最高裁が示した算定式

最高裁判所第三小法廷平成8年11月26日判決(民集第50巻10号2747頁)は、遺留分侵害額の算定について、被相続人が相続開始の時に有していた財産全体の価額に贈与した財産の価額を加え、その中から債務の全額を控除して基礎財産額を確定し、これに遺留分の割合と法定相続分の割合を乗じ、遺留分権利者が特別受益を得ているときはその価額を控除し、相続によって得た財産があるときはその額を控除して、負担すべき相続債務があるときはその額を加算するという順序を示している。
旧法の計算は、この四段階を順に踏むことに尽きる。

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令和8年成年後見制度改正で弁護士の後見業務は採算が悪化するか(AI作成)

目次

第1 結論と記事の対象

1 結論

2 この記事が扱う範囲

第2 1件当たりの継続収益を低下させる改正

1 必要な権限がなければ補助を開始しない仕組み

2 毎年の必要性確認と補助人の交代

3 任意後見監督人を選任しない場合

第3 報酬算定は令和8年改正だけでは説明できない

1 改正民法876条の19

2 令和7年4月に始まった報告書式の変更

3 報酬は二方向へ動き得る

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旧法の遺留分減殺請求の順序―遺贈・死因贈与・生前贈与と通知の先後(AI作成)

第1 この記事の対象と結論

1 令和元年7月1日より前に開始した相続を扱うこと
2 負担順序と通知順序は別の問題であること
3 既存記事との役割分担

第2 旧法が定める客観的な減殺順序

1 遺贈を生前贈与より先に減殺すること
2 複数の遺贈は目的価額に応じて減殺すること
3 相続人に対する遺贈の目的価額
4 複数の生前贈与は後の贈与から減殺すること
5 受贈者が共同相続人である場合の減殺額

第3 明文だけでは決まらない三つの論点

1 同時の贈与
2 贈与の先後を判断する基準時
3 死因贈与の位置付け

第4 相手方へ通知する時間的順序

1 客観的減殺額の範囲内では通知順を選べること
2 通知順によって負担を付け替えることはできないこと
3 複数の相手方へ早期に通知する実務上の理由

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旧法事案の遺留分減殺請求における遺産の評価基準時

目次

第1 結論
第2 旧法事案となる相続開始日
第3 遺留分算定の基礎財産は相続開始時に評価する

1 旧民法1029条及び1044条
2 大審院大正7年12月25日判決
3 金銭の生前贈与は相続開始時の貨幣価値に換算する
4 評価時点と財産の状態は分けて考える

第4 旧民法1041条の価額弁償は別の時点で評価する

1 相続開始時評価と価額弁償時評価は目的が異なる
2 現実の弁償時と事実審口頭弁論終結時
3 金銭判決には二段階の意思表示が必要である

第5 減殺請求前に目的物が処分された場合

1 最高裁平成10年3月10日判決
2 処分の時期及び内容を先に確定する

第6 遺産分割及び税務上の評価との区別

1 遺産分割の評価基準時とは異なる
2 相続税評価額がそのまま民法上の時価になるとは限らない
3 相続税の申告書に載る財産の範囲は基礎財産と一致しない

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有料老人ホームの前払金―返還額,死亡時の相続及び施設への確認方法(AI作成)

第1 前払金を調べるときの結論と順序

1 最初に確認すべき五つの資料
2 「5年未満なら一部返金」という表示だけでは金額が決まらない

第2 前払金の返還計算

1 入居後3か月以内に終了した場合
2 入居後3か月を超え,想定居住期間内に終了した場合
3 初期償却は常に無効ではない

第3 死亡時の返還金と相続

1 入居者が前払金を負担した場合
2 返還金受取人の指定がある場合
3 相続人が複数いる場合

第4 前払金に関する裁判例の到達点

1 受取人指定より実質的な負担者を重視した裁判例
2 非返還部分を有効とした裁判例
3 住替え時の再度の初期償却を無効とした裁判例

第5 施設へ資料と支払状況を確認する方法

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夫婦が子を1人ずつ監護する場合の婚姻費用-子の分属と双方負担の個別計算(AI作成)

第1 子が夫婦双方に分属する場合の結論

1 直接対応する婚姻費用算定表はない

2 標準算定方式へ戻って一度だけ配分する

第2 個別計算に用いる基礎収入と生活費指数

1 最初に夫婦それぞれの基礎収入を求める

2 子の生活費指数は監護世帯ごとに置く

3 二つの世帯の全員を一つの分母に入れる

第3 一般式と支払方向

1 記号と一般式

2 同じ年齢区分の子を1人ずつ監護する場合

3 双方の子の年齢区分が異なる場合

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婚姻費用算定表の結果がおかしいとき-収入・表・年齢・特別事情の確認順序(AI作成)

第1 この記事の対象と確認順序

1 「高すぎる・低すぎる」と感じる原因を分ける

2 算定表の基本的な見方との役割分担

第2 比較している金額をそろえる

1 表の月額,合意額,審判額及び実際の支払額は別である

2 令和8年の2万円及び8万円は算定表の金額ではない

第3 表と子の人数・年齢を確認する

1 婚姻費用は表10から表19までを使う

2 15歳以上の区分と固定額の変更を区別する

第4 収入の入れ方と資料の時点を確認する

1 縦軸と横軸,給与と自営の欄を確認する

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養育費算定表に入れる給与年収-手取り・額面・源泉徴収票,賞与・副業・転職時の扱い(AI作成)

第1 養育費算定表に入れる給与年収の結論と本記事の範囲

1 通常は源泉徴収票の「支払金額」を使う

2 手取り額と「給与所得控除後の金額」は使わない

3 手取り25万円の場合の養育費はいくらか
4 手取り30万円の場合も年収の確認が必要か

第2 源泉徴収票の支払金額に含まれる給与

1 賞与,残業代,歩合給及び課税手当

2 支払金額は一暦年の記録である

3 非課税通勤手当等を機械的に加算しない

第3 給与明細から現在年収を計算する場合

1 源泉徴収票だけでは現在収入を示せない場面

2 給与明細を年換算する確認順序

3 給与明細を何か月確認するかは一律ではない

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養育費算定表で子供3人はいくらか-表6~9の選び方と一人当たり額の計算(AI作成)

第1 子供3人という人数だけでは養育費は決まらない

1 算定表が示すのは収入と年齢に応じた標準額である

2 表6~9の帯は一人分ではなく3人分の合計である

第2 表6・表7・表8・表9の選び方

1 15歳以上の子供の人数で4表から選ぶ

2 令和元年版の表と指数を一組で用いる

第3 父母の収入から3人分の総額を読む方法

1 義務者の年収は縦軸,権利者の年収は横軸に当てはめる

2 交差する帯から3人分の合計額を定める

第4 3人分の総額から一人当たり額を計算する方法

1 総額に各人の生活費指数の割合を掛ける

(続きを読む...)養育費算定表で子供3人はいくらか-表6~9の選び方と一人当たり額の計算(AI作成)

遺言無効確認請求訴訟の確認の利益―生前提訴・特別縁故者・後の遺言・登記後の扱い(AI作成)

第1 遺言無効確認請求が許される理由

第2 確認の利益が問題となる場面

1 遺言者の生前に提訴する場合
2 生前贈与によって原告の取得分がないとの反論
3 特別縁故者となる可能性がある者
4 後の遺言がある場合
5 遺言に基づく登記が既にされた場合

第3 遺産確認の訴えとの違い

第4 提訴前の確認事項

第5 関連記事

第6 出典

遺言無効確認請求訴訟を提起するためには、遺言が無効であるという主張だけでなく、その確認を判決によって求める法律上の利益が必要である。

確認の利益は、原告の現在の権利又は法律上の地位に現実の不安・危険があり、その除去のために当該確認判決が有効かつ適切であるかという観点から判断される。

第1 遺言無効確認請求が許される理由

最高裁昭和47年2月15日判決(昭和43年(オ)第627号)は、遺言無効確認の訴えを、遺言が有効であれば生ずべき現在の特定の法律関係が存在しないことの確認を求める訴えと理解し、法律上の利益がある場合には適法となる旨を判示した。

したがって、訴状では、単に過去の遺言行為の無効を述べるだけでなく、当該遺言が有効であれば生ずる具体的な法律関係と、それによって原告に生じている不安・危険を示す必要がある。

第2 確認の利益が問題となる場面
1 遺言者の生前に提訴する場合

(続きを読む...)遺言無効確認請求訴訟の確認の利益―生前提訴・特別縁故者・後の遺言・登記後の扱い(AI作成)

遺言無効確認請求訴訟では誰を被告にするか―相続人・受遺者・遺言執行者と必要的共同訴訟(AI作成)

第1 基本的な考え方
第2 相続人及び受遺者
第3 遺言執行者
第4 遺言執行後の登記を争う場合
第5 相続人全員を被告にする必要があるか
第6 被告を決める前の確認事項
第7 関連記事
第8 出典

遺言無効確認請求訴訟では、遺言によって利益を受ける相続人若しくは受遺者又は遺言執行者が被告の候補となる。

もっとも、誰を被告にすべきかは、遺言の内容、執行の進行状況及び遺言無効確認以外に求める請求から逆算して決める必要がある。
第1 基本的な考え方
被告とすべき者は、当該遺言の有効性について原告と対立し、確認判決によって原告の法律上の不安・危険を除去できる者である。

そのため、遺言書に名前がある者を機械的に全員被告とするのではなく、誰が遺言の有効性を主張し、誰に遺言による権利又は権限が帰属しているかを確認する必要がある。
第2 相続人及び受遺者
遺言によって法定相続分を超える財産を取得する相続人又は遺贈を受ける者は、遺言の有効性について直接の利害を有するため、通常、被告の候補となる。

ただし、確認判決だけで紛争が終わらず、既にされた登記の抹消又は金銭の返還を求める必要がある場合は、その給付義務を負う者を相手方とする必要がある。
第3 遺言執行者
民法1012条は、遺言執行者が遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有すると定めている。

最高裁昭和31年9月18日判決(昭和29年(オ)第875号)は、相続人が遺言執行者を被告として遺言の無効を主張し、相続財産について自己が持分権を有することの確認を求めることができる旨を判示した。

したがって、遺言執行が終わっておらず、遺言執行者の権限と原告の権利が対立する場合、遺言執行者は被告の候補となる。
第4 遺言執行後の登記を争う場合
最高裁昭和51年7月19日判決(昭和51年(オ)第17号)は、遺贈の目的不動産について受遺者名義の所有権移転登記等が既にされた場合、抹消登記手続請求の相手方は遺言執行者ではなく受遺者であるとした。

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遺言無効確認請求訴訟は何年かかるか―審理期間の資料・長期化要因・併合事件(AI作成)

第1 結論
第2 審理期間に関する過去の研究
第3 訴訟が長期化する主な要因

1 遺言能力に関する資料の収集
2 証人尋問及び事実関係の対立
3 当事者が多い事件
4 控訴及び上告受理申立て

第4 併合されることがある請求
第5 期間を見積もる際の確認事項
第6 関連記事
第7 出典

遺言無効確認請求訴訟の審理期間は、遺言書の種類、争点、証拠の量、証人尋問の有無及び併合する請求によって大きく異なる。

本記事で確認した公開資料の範囲では、遺言無効確認請求事件だけを対象とする最新の公的な平均審理期間は確認できなかった。

過去の研究では1年以上2年未満が最も多いとされているものの、これは平成18年に公表された研究に基づく数字であり、現在の事件についての平均又は見通しとしてそのまま用いることはできない。
第1 結論
遺言無効確認請求訴訟が何年かかるかは、一律には答えられない。

もっとも、提訴前の資料収集、当事者及び請求の整理並びに証人候補者の検討を早期に行うことは、無用な長期化を避けるために重要である。

また、第一審判決までの期間だけでなく、控訴の可能性及び判決後に必要となる登記、金銭返還又は遺産分割の手続まで含めて見通しを立てる必要がある。
第2 審理期間に関する過去の研究
遺言無効確認請求訴訟に関するリンク集で引用した石田明彦ほか「遺言無効確認請求事件の研究(下)」判例タイムズ1195号86頁は、当時の事件について、審理期間は1年以上2年未満が最も多く、次いで6か月以上1年未満が多かったとしている。

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婚姻費用をすぐに受け取る方法-調停前の処分と審判前の保全処分の違い(AI作成)

第1 この記事が扱う場面

1 対象とする問い
2 本記事で扱わない事項

第2 調停中に生活費を確保する3つの方法
第3 調停前の処分

1 要件と性質
2 内容として婚姻費用の仮払を命じ得ること
3 効果と不服申立て

第4 審判前の保全処分の要件

1 審判又は調停の申立てと疎明
2 急迫の危険の具体例

第5 調停の申立てだけで審判前の保全処分を申し立てられるか
第6 審判前の保全処分の効果,執行及び不服申立て
第7 両制度の使い分け
第8 確認順序
出典

1 法令
2 文献

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婚姻費用はいつまで続くか-終期条項の法的性質と同居再開を仮装した支払回避(AI作成)

第1 この記事が扱う場面

1 対象とする問い
2 本記事で扱わない事項

第2 理論上の終期は婚姻の解消
第3 実務における終期条項の定め方とその法的性質
第4 別居状態の解消を仮装した支払回避への対応
第5 未成熟子の監護費用部分を含む場合の調整
第6 養育費の終期との異同
第7 確認順序
出典

1 法令
2 裁判例
3 文献
4 関連記事

第1 この記事が扱う場面

1 対象とする問い

婚姻費用の分担を審判・調停又は当事者間の合意で取り決める場合,その支払義務はいつまで続くのかを扱う。

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共同親権・共同監護の場合の養育費―監護日数・直接負担と算定表の限界(AI作成)

第1 本記事の対象範囲
第2 親権・監護者・監護の分掌という三つの異なる概念
第3 監護の分掌と養育費―判断の基本と具体的な算定を分ける
第4 養育費算定表は「主たる監護+金銭分担」が前提―共同監護への不適合
第5 監護日数が均等でも,養育費がゼロになるわけではない
第6 直接負担・現物負担という言葉の実際

6-1 確立した専門用語ではない
6-2 支払方法としての直接払い

第7 裁判例を参照するときに確認すること
第8 確認順序
出典

第1 本記事の対象範囲

本記事は,父母双方が親権者となる場合(共同親権),又は監護の時間・日数を父母で分担する場合(共同監護)に,養育費がどのように扱われるかを扱う。
養育費算定表そのものの基本的な読み方は,養育費算定表の見方,計算方法及び法定養育費との違い(AI作成)で,法定養育費及び養育費債権の先取特権は,法定養育費と養育費債権の先取特権(AI作成)で,共同養育計画書等の取決めの文書は,養育費の取り決め方―共同養育計画書・合意書・公正証書・調停調書の違い(AI作成)で,それぞれ説明している。
本記事は,これらを前提とした上で,監護の日数・態様が父母双方に分かれる場合に固有の論点に絞って説明する。

先に結論を述べると,共同親権の選択それ自体は,養育費の額を自動的に左右するものではない。
また,「監護日数の割合に応じて養育費を機械的に減額する全国統一の算式」は,日本には存在しない。
この2点を正確に理解することが,本記事全体の出発点となる。

第2 親権・監護者・監護の分掌という三つの異なる概念

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養育費算定表の上限を超える高額所得者の計算方法―年収2000万円超の裁判例と実務(AI作成)

第1 本記事の対象範囲
第2 養育費算定表の上限額
第3 婚姻費用と異なり,養育費に上限があるとされる理由
第4 上限説と,これに批判的な見解
第5 上限を超える場合の実務―特別の事情による加算
第6 上限があっても無制限ではない―大阪高等裁判所の裁判例
第7 確認順序
出典

第1 本記事の対象範囲

本記事は,義務者(養育費を支払う側)又は権利者の収入が,標準的な養育費算定表が想定する上限額を超えている場合に,養育費をどのように計算するかを扱う。
婚姻費用(別居中の夫婦間の生活費)について同様の場面を扱う内容は,高額所得者の婚姻費用(AI作成)で説明されている。
本記事は,同記事を踏まえた上で,養育費に固有の考え方に絞って掘り下げる。

養育費算定表そのものの基本的な読み方,及び法定養育費との違いは,養育費算定表の見方,計算方法及び法定養育費との違い(AI作成)で,私立学校・大学・留学の費用の加算方法は,私立学校・大学・留学の学費は養育費に加算できるか―標準教育費と超過分の計算(AI作成)で,それぞれ説明している。
本記事は,これらを前提とした上で,収入額そのものが上限を超える場面に絞って説明する。

第2 養育費算定表の上限額

裁判所が公表する標準的算定方式・算定表(令和元年版)は,養育費(表1~表9)について,義務者の年収の上限を,給与所得者2,000万円,自営業者1,567万円としている。
権利者の年収の上限は,給与所得者1,000万円,自営業者763万円である。
これらの数値は,裁判所が公表する表1(養育費・子1人表〔子0~14歳〕)の実物で,縦軸(義務者の年収)及び横軸(権利者の年収)の目盛りそのものとして確認できる。

総収入がこの上限を超える場合,公租公課,職業費,特別経費のいずれの割合も上限額以下の場合と同じであるとは限らないため,算定表をそのまま外挿して用いることはできない。
表1の場合,表が示す最も高い月額帯は,義務者の年収が上限(2,000万円)かつ権利者の年収が下限に近い場合で,月額24~26万円である。

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無職・退職・休職と潜在的稼働能力(AI作成)

第1 この記事が扱う場面

1 対象とする問い
2 本記事で扱わない事項

第2 実収入原則とその例外
第3 潜在的稼働能力を認定するための判断枠組み
第4 収入を推認する際に考慮される要素
第5 退職から再就職までの移行期間
第6 健康上・監護上の事情をどう評価するか
第7 既に相応の努力をして稼働している場合の限界
第8 自己都合による転職・退職の扱い

1 自己研鑽等を理由とする転職は容認されにくい
2 資格取得等,正当な理由がある場合は容認され得る
3 資産収入があることを理由に稼働しない場合

第9 親族企業等で給与額に本人の意向が影響する場合
第10 強制執行を免れる目的で退職した例
第11 賃金センサスの使い方
第12 確認順序
出典

1 法令
2 裁判例
3 文献

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養育費はいつから請求できるか―離婚後の過去分・法定養育費・調停申立ての始期(AI作成)

第1 本記事の対象範囲
第2 通常の養育費の始期―原則は請求時
第3 法定養育費という第二の始期―離婚の日から
第4 認知後の養育費―出生時か,認知の日か

4-1 通常の養育費―大阪高等裁判所平成16年決定
4-2 法定養育費―認知に準用された場合の始期

第5 離婚後の元配偶者という文脈―婚姻費用の「将来分」制約との違い
第6 離婚前の別居期間の監護費用の一括処理―離婚訴訟の附帯処分
第7 今すぐ動くべき理由
出典

第1 本記事の対象範囲

本記事は,養育費を「いつから」請求できるか,すなわち始期の問題を扱う。
養育費の始期には,性質の異なる複数のものが併存しており,これを整理せずに一つの原則だけで理解しようとすると誤解を招きやすい。

具体的には,①協議・調停・審判によって金額が定まる通常の養育費の始期,②令和6年民法等改正で新設された法定養育費(民法766条の3)の始期,③認知によって親子関係が生じた場合に,この①②それぞれにどのような影響が生じるか,④離婚前の別居期間中の監護費用を離婚訴訟の中で一括して処理できるかという4つの論点を扱う。

養育費の適正額の算定方法及び算定表の見方は,養育費算定表の見方,計算方法及び法定養育費との違い(AI作成)で,法定養育費及び養育費債権の先取特権の発生要件・金額・経過措置の詳細は,法定養育費と養育費債権の先取特権(AI作成)で,それぞれ説明している。
本記事は,これらを前提とした上で,「いつから」という一点に絞って掘り下げる。
養育費がいつまで支払われるかという終期の問題は,養育費は18歳・20歳・大学卒業のいつまでか―未成熟子と支払終期(AI作成)で別に説明している。

第2 通常の養育費の始期―原則は請求時

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家庭内別居・同居中の婚姻費用(AI作成)

第1 この記事が扱う場面

1 対象とする問い
2 本記事で扱わない事項

第2 婚姻費用は同居中でも請求できる
第3 家庭内別居の判断・立証
第4 計算上の課題

1 住居費の二重計上問題
2 光熱費等,同居ゆえに分離しにくい費目

第5 終期の実務上の表現
第6 有責性・請求開始時期との関係
第7 確認順序
出典

1 法令
2 裁判例
3 関連記事

第1 この記事が扱う場面

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養育費で相手の年収が分からない場合―収入資料・収入推計・裁判所での確認方法(AI作成)

第1 本記事の対象範囲
第2 まず法定養育費を請求できる―相手の年収が分からなくても
第3 情報開示命令―養育費事件でも使える収入開示の求め方

1 要件と対象
2 開示しない場合・虚偽開示の場合の効果

第4 調査嘱託・文書提出命令という手段
第5 収入資料の信用性が疑わしい場合―賃金センサスによる推計
第6 勤務先も分からない場合―先取特権を使った情報取得

1 先取特権があれば債務名義なしで動ける
2 給与情報を取得できる場合とできない場合

第7 離婚後に特有の注意点
第8 今すぐ動くべき理由
出典

第1 本記事の対象範囲
本記事は,養育費を請求する場面で,相手方(義務者)の年収が分からない場合に何ができるかを扱う。
離婚後は,別居中の婚姻費用の場面と異なり,相手方との日常的な接触が乏しく,源泉徴収票等の収入資料を得にくいことが多い。

源泉徴収票,給与明細等を入手済みであり,どの金額を算定表へ入れるかだけが問題となる場合は,養育費算定表に入れる給与年収で説明している。
本記事は,資料が得られない場合の取得方法,情報開示及び収入推計を担当する。

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高額所得者の婚姻費用(AI作成)

第1 この記事が扱う場面

1 対象とする問い
2 本記事で扱わない事項

第2 標準算定方式の上限額
第3 上限を超える場合の算定方法の全体像
第4 上限額をそのまま採用する方法
第5 基礎収入の割合を修正する方法・貯蓄率を控除する方法

1 基礎収入の割合を修正する方法
2 貯蓄率を控除する方法

第6 同居中の生活レベル等から算定する方法
第7 収入水準に応じた使い分け
第8 婚姻費用の月額に上限があるかという論点
第9 養育費との違い
第10 確認順序
出典

1 法令
2 裁判例
3 文献
4 関連記事

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私立学校・大学・留学の学費は養育費に加算できるか―標準教育費と超過分の計算(AI作成)

第1 本記事の対象範囲
第2 算定表に含まれている教育費と含まれていない教育費
第3 超過分を義務者に負担させるための要件
第4 超過分の計算方法―複数の考え方
第5 私立学校(幼稚園・小中高)の費用
第6 大学の費用

1 大学生の生活費指数と加算の基本的な考え方
2 国立大学の学費標準額という基準
3 子ども自身の奨学金・アルバイト収入の影響
4 医科・歯科大学等の高額な専門職学部

第7 海外留学の費用
第8 進学前にしておくべきこと
出典

第1 本記事の対象範囲

本記事は,子が私立学校,大学又は海外留学に進学・進学予定である場合に,その学費を養育費・婚姻費用へ加算できるか,加算できるとしていくら加算するかを扱う。

対象とする論点は,①養育費の算定表(標準算定方式)が既にどの範囲の教育費を織り込んでいるか,②織り込まれていない教育費を義務者に負担させるための要件,③加算額の具体的な計算方法,④私立学校・大学・海外留学という進学先ごとの考慮要素の違いである。

養育費の額の算定方法及び生活費指数の基本的な計算は,養育費算定表の見方,計算方法及び法定養育費との違いで説明している。
算定表の額に違和感がある場合の一般的な確認順序は,養育費算定表がおかしい?―高すぎる・安すぎると感じたときの確認方法と増減額で扱っており,本記事はこれと重複する範囲を避け,教育費の加算という論点に絞って掘り下げる。
子が成年に達した後も養育費の対象となるかという未成熟子性・支払終期の問題は,養育費は18歳・20歳・大学卒業のいつまでか―未成熟子と支払終期で扱っており,本記事は,子が引き続き養育費の対象となることを前提に,学費の加算額を検討するものである。

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婚姻費用に私立学校・大学の学費と高額医療費を加算できるか-特別費用の分担方法(AI作成)

第1 この記事が扱う場面

1 対象とする問い
2 本記事で扱わない事項

第2 標準算定方式に既に含まれている範囲
第3 特別費用を義務者に分担させるための要件
第4 超過分の分担方法をめぐる2つの考え方
第5 私立小中高等学校・幼稚園・塾の費用

1 基本的な考え方と按分の実例
2 高等学校等就学支援金の扱い

第6 大学の学費

1 未成熟子として扱われる期間
2 奨学金・アルバイト収入との関係
3 義務者が私立進学を承諾していない場合の扱い

第7 医科・歯科大学の学費と扶養義務の限界
第8 高額医療費

1 標準額を超える部分の按分
2 減額事情としても主張され得ること

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養育費は18歳・20歳・大学卒業のいつまでか―未成熟子と支払終期(AI作成)

第1 本記事の対象範囲
第2 養育費は「未成熟子」に対する義務である
第3 成年年齢引下げは,養育費の終期を当然に18歳とするものではない
第4 既存の合意(令和4年4月より前)の「成年」は20歳のまま
第5 これから取り決める場合の終期の定め方

1 特段の事情がなければ20歳が一つの目安
2 大学卒業まで支払う場合の注意点

第6 心身の障害等で就労できない場合
第7 いつまでに動くべきか

1 一方的に18歳で打ち切ることはできない
2 成年到達後にまとめて請求できる場合がある

出典

第1 本記事の対象範囲

本記事は,父母が離婚した子について,養育費をいつまで支払う(受け取る)ことができるかを扱う。
令和4年4月1日に民法の成年年齢が20歳から18歳に引き下げられたことにより,「養育費は18歳までなのか,20歳までなのか,大学卒業まで続くのか」という疑問を持つ読者が多いと考えられる。

対象とする論点は,①養育費の支払終期を決める基本的な考え方,②成年年齢引下げが既存の取決めに与える影響,③これから養育費を取り決める場合の終期の定め方,④心身の障害等により就労できない場合の扱い,⑤終期をめぐって動くべき時期の5つである。

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不貞・無断別居をした配偶者は婚姻費用を請求できるか-有責性と子の生活費(AI作成)

第1 この記事が扱う場面

1 対象とする問い
2 「有責配偶者からの離婚請求」とは別の問題である
3 婚姻費用がもらえないケースはどう確認するか

第2 婚姻費用分担義務は有責性を要件としていない
第3 破綻自体を減額事由とする考え方とこれに対する疑問
第4 現在の実務の到達点:信義則・権利濫用による制限
第5 「無断で家を出た」ことは当然に有責性を意味しない

1 同居義務と別居の「正当な理由」
2 別居原因の実質を検討した裁判例

第6 不貞が問題となった裁判例の類型
第7 有責性が認められた場合の制限の程度

1 請求者本人の生活費部分を全部否定した例
2 権利濫用とまでは言えないが減額にとどめた例

第8 夫婦双方に責任がある場合の割合的減額
第9 未成熟子の監護費用相当部分は原則として維持される
第10 有責性の主張立証と審理の程度
第11 請求する側・請求される側の確認順序
出典

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婚姻費用が支払われない場合-履行勧告・給与差押え・令和8年の先取特権(AI作成)

第1 本記事の対象と読み方

1 対象とする場面
2 本記事で扱わない事項

第2 取決めの形式によって利用できる制度が異なる
第3 履行勧告

1 要件と申出の方法
2 効果と限界

第4 履行命令

1 要件
2 効果と限界

第5 金額を決める段階の情報開示命令と,履行がない段階の対応は別の問題

1 家事事件手続法152条の2は審判・調停の手続の中で使う制度である
2 金額が決まった後,履行がない場合の財産調査

第6 通常の強制執行(債務名義に基づく差押え)

1 基本的な仕組み

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