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法定相続情報一覧図は何に使える?使えない場面と戸籍・遺産分割協議書との違い(AI作成)

第1 法定相続情報一覧図は何の代わりになるのか

法定相続情報一覧図の認証文付きの写しは,対応する相続手続で,亡くなった人と相続人との関係を示す戸除籍謄本等の束に代えて利用できる書面である。
ただし,遺産分割協議書,遺言書,印鑑証明書など,別の事実を示す書類まで一括して不要にするものではない。

利用するのは,相続人側が作った図そのものではなく,登記官が戸籍等と照合し,認証文を付して交付した写しである(不動産登記規則247条5項)。
本記事は,令和8年10月13日に確認した法令・公表資料に基づき,取得前に利用先と必要書類を判断するための説明を行う。

1 複数の相続手続を進めるときに利用を検討する

複数の金融機関や登記所へ戸籍の束を順番に提出すると,返却を待ってから次の手続へ進むことがある。
必要な通数の一覧図の写しを取得し,各提出先の必要書類を別にそろえる方法なら,同時に進めやすくなる(法務局の令和8年3月改訂の手続案内)。

一方,一覧図の取得のためにも,原則として出生から死亡までの戸籍等を収集する必要がある。
本記事では,提出先が少ない場合には,戸籍の束で手続をする方法と,一覧図を取得する方法を,準備の手間と各提出先の受付条件で比較することを勧める。

2 「写し」と「コピー」の意味を区別する

法務局が交付する「法定相続情報一覧図の写し」は,登記官の認証が付いた証明書である。
これを家庭やコンビニのコピー機で複写した紙が,すべての提出先で同じように使えるわけではない。

例えば,三菱UFJ銀行は,必要書類案内で法務局発行の認証文付きの書類原本を示している一方,国税庁の令和8年分の手引73頁は,一定の一覧図の写しをコピー機で複写したものも掲げている。
「コピーでよいか」「原本が返却されるか」は,提出先ごとに確認する。

第2 使える手続と,なお必要になる書類

1 相続登記では相続関係を証する情報に代えられる

登記名義人等の相続人が登記を申請する場合,一覧図の写し,又は登記官が内容を確認できる法定相続情報番号の提供によって,相続があったことを証する公務員作成の情報の提供に代えられる(不動産登記規則37条の3第1項)。
番号だけを提供する方法には,登記官が法定相続情報を確認できるという条件がある。

相続による権利移転の登記等では,相続人の住所が記載された一覧図の写し又は番号を,登記名義人となる人の住所を証する情報に代えることもできる(同条2項)。
ただし,交付後に住所が変わった場合や,別の添付情報が必要となる場合は,現在の申請に合う資料を別に点検する。

2 銀行では戸籍以外の書類も必要になる

三菱UFJ銀行の必要書類案内では,認証文付きの一覧図の写しを提出すると,戸籍謄本の提出は原則不要となる。
しかし,遺産分割協議書がある場合の手続では,協議書や相続届,印鑑証明書なども案内されている。

したがって,「一覧図を取得したから銀行の書類はすべてそろった」とは判断できない。
他の銀行・証券会社・保険会社の取扱いまで同じとは限らず,口座や契約の種類,遺言の有無等に応じた案内を利用先から受ける必要がある。

3 相続税申告では図形式と続柄が重要である

国税庁の「相続税の申告のしかた(令和8年分用)」73頁は,相続人を明らかにする書類の一つとして,図形式の一覧図の写しを掲げている。
子の続柄は,実子又は養子のいずれであるかが分かる記載である必要があり,被相続人に養子がいる場合は,その養子の戸籍の謄本又は抄本の提出も必要である。

法務局では続柄を「子」とする選択もできるが,税申告への利用を予定しているなら,実子・養子の区別が分かる戸籍上の続柄を確認して作成する。
列挙形式で認証を受けられることと,相続税申告の添付書類として使えることは別の問題である。

同じ手引は,遺言書又は遺産分割協議書の写しの提出も案内し,配偶者の税額軽減等ではさらに必要書類を掲げている。
一覧図の写しが使える場合でも,適用する特例に必要な資料を省略しない。

4 年金等の死亡に起因する手続でも利用先の条件を確認する

法務局は,一覧図の写しを,被相続人の死亡に起因する相続手続及び年金等手続に利用できると案内している。
しかし,現行の申出書の利用目的欄は,年金等手続の給付対象者は法定相続人に限られないことにも注意を促している。

一覧図に名前があるというだけで,給付の受給資格や生計関係まで証明できるわけではない。
年金等の個別手続については,提出先の担当窓口で,一覧図で代えられる書類と別途必要な資料を確認する。

5 太陽光発電の名義変更では設備の取得資料も必要になる

JP-ACの相続案内では,被相続人の戸除籍謄本等と法定相続人全員の戸籍謄本に代えて,法務局発行の法定相続情報を使える旨が示されている。
ただし,法定相続人全員の印鑑証明書,遺産分割協議書又は相続人全員の同意書,土地・建物の取得等を示す資料まで,一覧図だけで全て代用できるわけではない。

設備が承継対象に含まれることを確認できる記載も必要となる。
家を取得する人が一覧図に載っていることと,その人が太陽光発電設備を取得することを示す資料がそろっていることを区別する。

具体的な書類,相続放棄者がいる場合と公正証書遺言による場合は,太陽光発電の相続による名義変更を参照されたい。
出典はJP-AC「相続における名義変更の必要書類」(令和8年10月16日確認)である。
https://fitfip-daikou-shinsei.go.jp/inheritance/

第3 一覧図だけでは証明できないこと

確認したいこと一覧図で分かる範囲別に確認するもの
戸籍に基づく相続関係被相続人と同順位の相続人の氏名・生年月日・続柄等図の対象となる被相続人と相続開始時点
誰が預金や不動産を取得するか遺産分割の合意内容までは分からない遺産分割協議書,遺言書等
相続放棄が受理されているか放棄した人も記載されるため,名前の有無では判断できない相続放棄を証する資料と手続の状況
本人の現在の住所記載されていれば,作成時の資料に基づく住所を確認できる交付後に転居した場合の現在の住所証明
年金等を受け取れる人か戸籍上の関係の資料として使える範囲がある個別の給付要件に必要な資料

この表は,不動産登記規則247条,法務局の手続案内の留意事項,同様式ページの注意事項及び各利用先の案内から,確認の目的ごとに整理したものである。
一覧図は財産目録でもなく,預金残高や不動産の所在・評価額を調べる作業は別に行う。

第4 利用できない場面と,追加資料で進められる場面

1 制度の利用自体ができない場合

法務局は,被相続人や相続人が日本国籍を有しないなど,戸除籍謄抄本を提出できない場合には,本制度を利用できないと案内している。
海外の証明書等を集めれば必ず同じ制度で認証を受けられると考えず,必要となる相続関係の証明方法を利用先へ確認する。

2 提出先の用途に合わない場合

相続税申告を予定しているのに列挙形式にした場合や,実子・養子が区別できない続柄にした場合は,そのままでは手引に示された条件を満たさない。
また,自分で作った未認証の図や,原本を求める提出先に出す単なるコピーも,必要な書類の代わりにはならない。

一方,住所証明書や遺産分割協議書等を追加すれば手続を進められる場合には,一覧図全体が無意味になるわけではない。
どの事実の証明が不足しているかを切り分け,追加すべき資料を確認する。

第5 取得前に提出先へ確認する事項

本記事では,取得前に次の事項を確認して,必要な通数と記載内容を決める方法を勧める。
①今回の手続で一覧図の写しを使えるか。
②認証文付きの原本が必要か,コピー又は法定相続情報番号で足りるか。
③住所や子の続柄について,必要な記載条件があるか。
④遺産分割協議書,遺言書,印鑑証明書等が別に必要か。
⑤発行日についての受付条件と,原本の返却の可否はどうなっているか。

戸籍の収集・読解と一覧図の作成は,法定相続情報一覧図の作成方法,申出書・郵送・受取は,申出書の書き方と窓口持参を参照されたい。
銀行の相続手続を弁護士へ依頼する場合については,銀行口座の相続手続を弁護士が代理する方法で説明している。

第6 出典・参考資料

①不動産登記規則37条の3・247条・248条(令和8年10月13日,e-Govの条文を確認)。
②法務局「法定相続情報証明制度の具体的な手続について」の留意事項・制度の利用者,及び「主な法定相続情報一覧図の様式及び記載例」の注意事項(同日確認)。
③法務局「あなたの相続手続を応援します!」令和8年3月1日改訂,PDF1頁~4頁,及び現行申出書の利用目的欄。
④国税庁「相続税の申告のしかた(令和8年分用)」,参考「相続税の申告の際に提出していただく主な書類」73頁~75頁(分冊PDF1頁~3頁)。
⑤三菱UFJ銀行「ご用意いただく書類」PDF2頁~5頁(同日確認。この銀行の案内として参照し,全金融機関共通の条件とはしていない)。