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親族・相続

経営者の離婚と自社株式の財産分与――対象性,評価,分与方法及び課税(AI作成)

第1 本記事の対象と令和6年民法改正による前提の変化

1 対象及び射程

2 民法768条の改正――寄与の程度の推定と請求期間

3 民法754条の削除

第2 自社株式は財産分与の対象となるか

1 名義と特有財産――民法762条の構造

2 会社の設立時期による区別

第3 会社名義の財産に及ぶ場合――裁判例が示す三つの段階

1 原則――法人格が別である以上,会社財産は対象とならない

2 資産収益関係を考慮に入れる

3 個人営業と同視する

4 資産及び負債を通算する

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公正証書遺言に関する遺言無効確認請求訴訟の要件事実――請求原因,抗弁及び再抗弁の分配(AI作成)

第1 この記事が扱う対象

1 検討の対象と時点
2 主張立証責任の三層構造

第2 請求原因は訴訟要件を基礎付ける事実である

1 訴訟物と請求の趣旨
2 請求原因の4つの要件事実
3 遺言者の生存中は訴えを提起できない

第3 抗弁は遺言の成立要件である

1 立証責任が遺言の有効を主張する側にある
2 令和7年9月30日以前に作成された公正証書遺言
3 令和7年10月1日以後に作成された公正証書遺言
4 証人の立会い
5 口授
6 筆記,読み聞かせ及び署名押印
7 公正証書遺言が有効であるという抗弁の記載例

第4 再抗弁は遺言の無効事由である

1 遺言能力の欠如
2 民法総則の規定による無効及び取消し

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被相続人の財産を調べる方法―相続人が被相続人の死亡後に行う財産・債務調査(AI作成)

◯山中弁護士への事件のご相談・ご依頼は「遺言・相続のお問い合わせ」から可能です。

第1 相続財産調査の目的と最初に管理する期限

1 全国一括検索だけでは調査は完結しない
2 3か月の熟慮期間を調査より先に管理する

第2 最初にそろえる権限資料と手掛かり

1 相続人と遺言を確定する
2 自宅,郵便物及び税務資料から候補表を作る

第3 財産・債務の種類ごとの調査方法

1 預貯金,貸金庫及び銀行取引

(1) 相続時預貯金口座照会で所在候補を探す
(2) 判明した金融機関へ残高と取引履歴を個別照会する

2 不動産

(1) 所有不動産記録証明で全国の登記記録を検索する
(2) 名寄帳と固定資産税資料を併用する

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アルツハイマー型認知症と公正証書遺言の無効主張-診断名と重症度の区別(AI作成)

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目次

第1 本記事の対象と結論の要点

1 アルツハイマー型の診断だけでは無効にならない
2 既存記事との役割分担
3 争点は作成時点の程度に絞り込まれる

第2 診断名と重症度を区別する

1 診断名は重症度を語らない
2 処方薬の適応範囲から重症度の上限を検討する
3 バイオマーカーは重症度の判定に用いない
4 生物学的な診断基準への移行がもたらす影響

第3 進行性を前提とした立証と反論

1 進行速度から作成時点の程度を推認する
2 「作成当日は状態が良かった」との反論への対応
3 入院中の出来事は重症度の裏付けとして弱い

第4 認知機能検査及び認定資料の限界

1 カットオフ値だけでは判断されない
2 合計点よりも遂行機能と言語性記憶に着目する

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死後事務委任契約の効力,内容及び作成時の注意点(AI作成)

第1 死後事務委任契約の役割
1 死後の事務を生前に委ねる契約であること
2 契約が特に有用となる場面

第2 本人の死亡後も契約が存続するための法的根拠
1 民法653条は当事者の別段の合意を妨げないこと
2 相続人による解除には限界があり得ること
3 契約の有効性と対外的な実行可能性は異なること

第3 委任できる事務と権限上の限界
1 典型的な死後事務
2 死亡届,火葬及び埋葬
(1) 死亡届を提出できる者
(2) 火葬及び埋葬の手続

3 賃貸住宅の解約及び残置物の処理
(1) 解除事務と残置物処理事務を分ける
(2) 指定残置物と非指定残置物を区別する
(3) 換価代金,費用及び残額を精算する
(4) モデル条項の対象外となる場面

4 相続財産,税務,預貯金及びデジタル遺品
(1) 相続財産の処分
(2) 税務及び預貯金
(3) デジタル遺品

第4 遺言,任意後見及び祭祀承継との使い分け

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遺品整理業者の許可・選び方と相続放棄・残置物処理の注意点(AI作成)

第1 遺品整理業者に一つの包括免許はない
1 名称ではなく実際の作業で規制が決まる
2 許可・権限の早見表
3 民間資格は法令上の許可を代替しない

第2 家庭ごみの運搬には市町村の一般廃棄物許可が必要である
1 家庭の遺品は通常,一般廃棄物となる
2 依頼者と許可業者の直接契約を確認する
3 「全部買取」でも実態が不要物なら廃棄物になり得る
4 家電と内装撤去は別工程として扱う

第3 買取と訪問契約には別の消費者保護規制がある
1 買取には古物商許可と処分権限の確認が必要である
2 自宅での買取は訪問購入となり得る
3 見積りのための訪問と契約締結の依頼は同じではない
4 免責条項と解約料にも限界がある

第4 遺品を処分できる者と相続放棄のリスク
1 共同相続人の一人だけで全部を処分できるとは限らない
2 相続放棄を考える者は売却・持帰り・費用充当を止める
3 裁判例は物の価値と行為の範囲を個別に見ている
4 緊急時は保存と記録を優先する

第5 賃貸住宅の残置物を家主が直ちに処分することはできない
1 残置物条項があっても自力救済は許されない
2 モデル契約は入居者の生前の委任を前提とする

第6 特殊清掃は免許名より安全管理の実質を見る

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令和8年成年後見制度改正と関係法律61本の整備(AI作成)

目次

第1 令和8年改正の対象と現在の適用関係

1 二つの法律を分けて読む必要がある
2 公布済みであるが成年後見部分は未施行である
3 改革の出発点は包括的な権利制限の縮小である

第2 法定後見を補助へ一元化する仕組み

1 判断能力の三類型から必要な権限の選択へ移る
2 三つの権限は効果が異なる
3 必要性がなくなれば能力回復前でも終了できる
4 意思尊重と任意後見の位置付けも変わる

第3 関係法律整備法が行う五つの接続

1 身分名称の削除と接続先の選択
2 民事訴訟は身分から訴訟能力の個別判断へ移る
3 会社法,信託法及び消費者契約法への影響
4 福祉,医療及び行政手続は一般的な医療同意権を設けない

第4 法律第46号が整備する61法律
第5 旧後見,旧保佐及び旧補助の経過措置

1 旧後見及び旧保佐は一律に新制度へ移らない

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移行型の任意後見契約―通常委任からの移行,濫用防止及び令和8年改正(AI作成)

目次

第1 移行型の任意後見契約とは何か

1 本記事の対象

2 二つの委任契約を組み合わせる仕組み

3 将来型及び即効型との違い

第2 現行法下での開始と終了

1 通常委任の開始

2 任意後見を開始する条件と申立て

3 任意後見監督人の選任後

4 通常委任をいつ終了させるか

第3 移行型に固有の危険

1 公的監督へ移らない移行不全

2 包括的代理権と事後検証の困難

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レビー小体型認知症患者の公正証書遺言の無効主張方法(AI作成)

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目次

第1 本記事の対象と結論の骨格

1 問われるのは診断名ではなく,遺言の内容と結果を弁識する能力である
2 公正証書であることは遺言能力を保証しない
3 令和5年改正後の条文構造
4 総論記事との役割分担

第2 レビー小体型認知症の医学的特徴

1 診断基準の構造
2 中核的特徴としての認知の変動
3 変動の実測値は秒単位から分単位である
4 変動するのは注意と覚醒であり,遺言能力の中身ではない
5 視空間認知障害と読み聞かせ・閲覧の限界
6 抗精神病薬に対する重篤な過敏性
7 せん妄との重畳
8 診断バイオマーカーとその精度
9 改訂長谷川式及びMMSEは本症の障害を過小評価する

第3 遺言能力に関する裁判例の判断枠組み

1 医学的判断と法的判断の二層構造
2 認知機能検査の点数の扱い

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家族信託(民事信託)が難しい4つの理由-設計・税務・実務インフラ・制度選択(AI作成)

AIで作成した本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり,特定の個別事案に対する法的助言ではありません。実際の設計・受任に当たっては,個別の事実関係と最新の法令・裁判例を確認してください。

目次

第1 本記事の対象と射程

1 本記事が扱う「4つの難所」と,現実化した具体的リスク
2 用語の整理――民事信託・家族信託・商事信託

第2 難所その1――設計を誤ると,信託の一部無効や終了制限条項の効力が問題となる

1 任意規定を基調とする制度構造
2 遺留分潜脱と公序良俗による一部無効――東京地方裁判所平成30年9月12日判決
3 「防御的」設計がかえって潜脱と評価されるリスク
4 信託の終了を制限する条項――最高裁令和8年6月17日決定

第3 難所その2――税務が私法とは別に動き,想定外の税負担が生じる

1 受益者等課税の原則と,他益信託化による課税
2 受益者連続型のフル評価課税と相続税額の加算
3 信託した収益不動産の損失は損益通算も繰越しもできない
4 非課税措置・特例の適用可否は制度ごとに異なる

第4 難所その3――口座を開けず信託が機能せず,専門職が責任を負う

1 民事信託には商事信託と同じ行政監督がない

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相続放棄と生前贈与スキームの限界(AI作成)

目次

第1 本記事の対象と結論の要旨

1 問題の所在
2 結論の要旨——「相続放棄の脚」と「生前贈与の脚」
3 前提となる制度の骨格

第2 相続放棄それ自体は債権者に覆されにくい

1 相続放棄は詐害行為取消権の対象とならない
2 相続放棄の効力は登記なくして生ずる
3 遺産分割協議との違い

第3 攻撃はもっぱら生前贈与に向かう

1 詐害行為取消権
2 破産手続における否認権
3 国税徴収法39条の第二次納税義務
4 贈与が完成していないという問題(名義預金)

第4 負担からの解放という目的の限界

1 占有する相続放棄者には保存義務が残る
2 相続人不存在後の清算と費用

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国庫帰属した不動産のその後──相続土地国庫帰属法と民法959条による帰属後の管理・処分の実務(AI作成)

相続又は遺贈により取得した不要な土地を国に引き取ってもらう相続土地国庫帰属制度が令和5年4月27日に施行され,制度の利用は年々増えている。もっとも,弁護士が依頼者に助言する際に見落とされがちなのは,土地が国庫に帰属した「その後」に何が起きるのか,という点である。本記事は,不動産が国庫に帰属した後の管理・処分の法的枠組みと実際を整理し,弁護士が手続の選択及び依頼者への説明を行う際の検討事項を示すものである。個別の事案では,土地の物理的状況及び権利関係により結論が異なる。

目次

第1 国庫帰属した不動産をめぐる二つの系統と本記事の射程

1 相続土地国庫帰属法による帰属と民法959条による帰属の区別
2 帰属後はいずれも「普通財産」として管理・処分される

第2 相続土地国庫帰属法により帰属した不動産のその後

1 帰属の時期と管理機関
2 帰属後に残る法的リスク──承認の取消しと損害賠償責任
3 帰属した不動産の管理・処分の実際と評価方法

(1) 売却実績と帰属地の性質
(2) 簡易な評価手法と段階的な価格の見直し

第3 普通財産としての管理・処分の法的枠組み

1 処分の手段と貸付・交換・譲与・信託
2 適正な対価の原則と競争入札・随意契約

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旧民法が適用される相続の相続人の特定 ― 家督相続・遺産相続の区別と新民法附則の経過措置(AI作成)

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目次

第1 旧民法が適用される相続と本記事の射程

1 相続人の特定に適用する法は相続開始時の法である
2 旧民法・応急措置法・新民法の時代区分

第2 旧民法における相続の二本立て

1 家督相続
2 遺産相続
3 二本立ての区別が相続登記に与える影響

第3 昭和22年5月3日以後の相続と現行法附則の経過措置

1 応急措置法期の相続の位置づけ
2 家督相続人が選定されなかった場合の処理
3 応急措置法施行中に開始した相続と分配請求権

第4 家附の継子の相続権

1 嫡出子と同一の権利義務を有するための要件
2 分配請求権と適用除外

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相続放棄でしてはいけないこと―法定単純承認となる行為と判断基準(AI作成)

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目次

第1 法定単純承認の意義と本記事の検討範囲

1 3類型と単純承認の効果
2 実務上の意味と本記事の範囲

第2 相続財産の処分(921条1号)

1 処分に当たるための主観的要件
2 「処分」の範囲と保存行為・短期賃貸借の除外
3 実務上問題となる支出・行為

(1) 葬儀費用・墓石・仏壇の負担
(2) 預貯金の払戻しと相続債務の弁済
(3) 遺産分割協議への関与

第3 熟慮期間の徒過(921条2号)

1 熟慮期間の起算点と繰下げ
2 再転相続における起算点
3 徒過後の錯誤による救済

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負動産としての別荘地―管理費請求・固定資産税・手放す手続の実務(AI作成)

第1 別荘地が「負動産」となる仕組みと本記事の対象
第2 別荘地の管理費をめぐる法律関係
1 管理費を請求する法律構成
ア 管理契約に基づく請求
イ 不当利得に基づく請求
ウ 区分所有法に基づく請求

2 最高裁令和7年6月30日判決
3 リゾートマンションの管理費・修繕積立金
4 更地の別荘地と区分所有法の「団地」規定

第3 別荘の保有に伴う固定資産税
1 別荘は住宅用地特例の対象外である
2 別荘とセカンドハウスの区別
3 別荘等所有税(法定外普通税)

第4 別荘地を手放す手続の選択
1 相続放棄と放棄後の管理責任
2 相続土地国庫帰属制度
3 売却・寄付・有料の引取り
4 譲渡及び相続税務上の留意点

第5 管理不全と空家等対策特別措置法
第6 事情聴取・立証・相手方の反論と判断手順
1 依頼者からの事情聴取事項
2 管理費請求事件の主張・立証と想定される反論
3 手続選択と追加確認を要する事項

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成年後見人の医療行為の同意(AI作成)

目次第1 問題の所在と結論1 本記事が扱う問題2 結論の要旨第2 現行法における後見人の権限と医療同意1 民法が定める後見人の権限の範囲2 医的侵襲への同意が代理になじまないとされる理由3 実務書が紹介する限定的肯定説4 受診の付添いと後見事務の区別第3 行政ガイドラインが示す実務の到達点1 身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定のガイドライン2 意思決定支援を踏まえた後見事務のガイドライン3 人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスのガイドライン4 看取り介護の同意書を求められたとき第4 個別の特別法における関与規定1 精神保健福祉法の医療保護入院2 予防接種法の「保護者」と同意の取得3 母体保護法・臓器移植法・感染症法・医療観察法第5 本人の同意能力と緊急時の対応1 医療同意能力は行為能力とは別に判断されること2 緊急時に本人の同意を得られない場合3 身元保証人・身元引受人の問題との区別第6 立法の動向と令和8年改正が残した課題1 利用促進法と基本計画による対応2 法制審部会における検討と立法の見送り3 令和8年改正後に残る課題第7 弁護士が相談を受けたときの実務的検討1 相談類型に応じた手続の選択2 依頼者・関係者から聴取すべき事項3 同意書要求への対応と関連する場面第8 出典・参考資料1 法令2 裁判例3 公的資料4 文献
第1 問題の所在と結論
1 本記事が扱う問題

認知症,知的障害又は精神障害により判断能力が低下した本人について,手術,輸血,内視鏡検査その他の身体への侵襲を伴う医療(以下「医的侵襲」という。)が必要になる場面は多い。
このとき,医療機関が成年後見人に対して同意書への署名を求めることがあり,後見人が対応に迷って弁護士に相談する例は少なくない。

本記事は,後見人自身,病院を顧問する立場又は本人の家族から相談を受ける弁護士を念頭に,成年後見人の医療同意に関する現行法の枠組み,行政ガイドラインが示す実務の到達点,個別の特別法における関与規定,本人の同意能力及び緊急時の扱い,並びに令和8年の法改正を含む立法の動向を,条文及び公的資料に即して整理するものである。
基準日は令和8年9月19日であり,法令は同日現在のe-Gov法令検索で確認した条文による。

2 結論の要旨

現行の民法は,成年後見人に対し,本人に代わって医的侵襲に同意する権限(医療同意権)を与える明文を置いていない。
厚生労働省及び最高裁判所等が関与して作成された複数の行政ガイドラインも,医療同意は成年後見人等の業務に含まれないという立場を明示している。

もっとも,精神保健福祉法の医療保護入院や予防接種法など,個別の特別法が特定の場面で後見人・保佐人又は「保護者」を関与主体として定めている例があり,これらは一般的な医療同意権を認めたものではない。
両者を区別して考える必要がある。
予防接種については,令和6年度から高齢者の新型コロナワクチンがB類疾病の定期接種になり,令和8年9月1日には予防接種実施規則の同意の方法が改正されたため,成年後見人の関与の仕方を改めて確認する必要がある。
後見・保佐を廃止して補助に一元化する令和8年の民法改正でも,医療同意権は創設されなかった。

第2 現行法における後見人の権限と医療同意
1 民法が定める後見人の権限の範囲

成年後見人の代理権について,民法859条1項は,後見人が「被後見人の財産を管理し,かつ,その財産に関する法律行為について被後見人を代表する」と定めている。
民法858条は,後見人が生活,療養看護及び財産の管理に関する事務を行うに当たり,本人の意思を尊重し,その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならないと定めるが,これは一般的な義務を定める規定であり,特定の権限を積極的に付与する規定ではない。

後見人の権限が明文で拡張されている例外は,成年被後見人の死亡後の事務に関する民法873条の2である。
同条は,必要があるときに,相続財産の保存に必要な行為,弁済期の到来した債務の弁済及び死体の火葬又は埋葬に関する契約の締結(火葬・埋葬の契約は家庭裁判所の許可を要する。)をすることができると定める。
このように死後事務については明文の手当てがされているのに対し,生前の医的侵襲への同意については,これに対応する規定が置かれていない。

療養看護に関する事務の代理として,診療契約(医療契約)や入院契約の締結,医療費の支払,診療情報の受領やカルテの開示請求を行うことは,財産に関する法律行為又はその付随事務として後見人の権限に含まれると考えられる。
しかし,契約を締結することと,その履行として実施される個々の医的侵襲に同意することは別の問題である。
本記事では,前者は後見人の事務に含まれるが,後者は含まれないと整理する。

受診に必要な保険資格の確認に関し,電子証明書の期限切れや資格確認書の取扱いについては,別稿「成年後見人のマイナンバーカード管理」で整理している。

2 医的侵襲への同意が代理になじまないとされる理由

医的侵襲への同意は,本人の身体という一身専属的な法益の処分であり,日本国憲法13条に由来する自己決定権の行使としての性質を持つ。
財産に関する法律行為の代理を予定した民法859条1項の枠組みには,このような判断は含まれないと解される。

この自己決定権の性質は,裁判例にもあらわれている。
最高裁平成12年2月29日判決・民集54巻2号582頁は,宗教上の信念から輸血を拒否する固い意思を有する患者について,医師が他に救命手段がない場合には輸血する方針を採っていることを説明せず手術・輸血をした事案において,「意思決定をする権利」を奪われたことによる精神的苦痛について不法行為責任を認めた。

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成年後見人の解任理由(AI作成)

目次第1 成年後見人の解任とは1 この記事の対象と基準日2 解任・辞任・欠格の区別3 誰が解任を求めることができるか(請求権者と職権)第2 解任事由――民法846条の3類型1 条文の構造2 不正な行為3 著しい不行跡4 その他後見の任務に適しない事由5 なぜ解任事由は限定されているか第3 保佐人・補助人・任意後見人などへの広がり第4 解任の手続1 別表第一の審判事件2 後見人の陳述聴取3 審判前の保全処分(職務執行停止・職務代行者)4 不服申立て(即時抗告)第5 解任の効果第6 数字で見る後見人の不正(最高裁の実情調査)第7 令和8年改正による解任事由の見直し1 見直しの背景2 改正の内容3 既存の成年後見人への適用第8 出典・参考資料1 法令2 裁判例3 公的資料4 文献5 関連記事
第1 成年後見人の解任とは
1 この記事の対象と基準日

成年後見人が法律上その職を離れるのは,本人(成年被後見人)の判断能力の回復による後見開始の審判の取消し等のほかは,辞任又は解任による。
もっとも,大阪家庭裁判所後見センターは,第二期成年後見制度利用促進基本計画の下で,専門職が関与すべき課題が解決した後に親族や市民後見人へ交代することや,専門職の追加選任を積極的に検討しており(大阪家庭裁判所後見センター編『大阪家庭裁判所後見センターだより』(大阪弁護士協同組合,2025年)169頁~180頁),交代は例外的な出来事ではなくなっている。
後見人に一定の事由があるときは,家庭裁判所が後見人を「解任」してその職を解くことができる。
本記事は,成年後見人の解任について,根拠となる民法846条の解任事由(3類型),解任を求めることができる者,家庭裁判所での手続,解任の効果,実務上の不正の実情,そして令和8年に成立した改正法による見直しまでを,条文と公的資料に即して整理するものである。
保佐人・補助人・任意後見人にも同じ枠組みが及ぶ点は第3で扱う。
基準日は令和8年9月19日であり,法令は同日現在のe-Gov法令検索で確認した条文による。

2 解任・辞任・欠格の区別

成年後見人が交代する場面は,「辞任」「解任」「欠けた場合の選任」の3つの規定の組合せで整理できる。
いずれも家庭裁判所が関与し,後見人が自由に辞めたり,本人や親族が自由に交代させたりできる仕組みにはなっていない。

①辞任(民法844条)は,後見人の側から離脱する場合である。
「正当な事由があるとき」に,家庭裁判所の許可を得て任務を辞することができる。
後見人が職業上の必要から遠隔地に転居して事務に支障が生じた場合,老齢・疾病で事務に支障が生じた場合,本人やその親族との間に不和が生じた場合などが,正当な事由の例として想定されている。
ただし,前記の書籍170頁は,後見人等が本人やその親族と適切に信頼関係を構築できていない場合について,安易な辞任は認められない一方,その後見人等に事務を続けさせることが本人の利益に適うともいい難いとして,本人の意向,後見人等と本人・親族との関係,事務遂行上の課題の有無と内容,後任候補者の適格性などを総合的に考慮して判断するとしている。
同書171頁は,専門職が関与すべき課題が解決又は消滅し,事務を引き継げる親族等や市民後見人がいる場合にも,一般に正当な事由が認められるとしている。
辞任の手続,後任の選任及び市民後見人へのリレーは,成年後見人等の辞任と交代――正当な事由,後任選任の同時申立て,市民後見人へのリレーで扱っている。
大阪弁護士会高齢者・障害者総合支援センター編『【全訂版】成年後見人の実務2023』(大阪弁護士協同組合,2023年)124頁は,弁護士後見人の場合には,弁護士登録の抹消のほか,任官や期限付き公務員となった場合なども正当な事由として考えられるとしている。
②解任(民法846条)は,後見人の意思に反してでも,家庭裁判所がその職を解く処分である。
本記事の中心で,一定の解任事由が必要である。
③欠けた場合の選任(民法843条2項)は,解任や辞任などで後見人が欠けたときに,家庭裁判所が職権又は請求によって新たな後見人を選任するものである。

辞任と解任は,「後見人自身の意思に沿うかどうか」で区別される。
後見人は本人保護のために家庭裁判所から選ばれた者であり,自由な辞任も一方的な交代も認めると本人の利益を害するおそれがあるため,辞任には「正当な事由」,解任には後述の「解任事由」がそれぞれ要求されている。

3 誰が解任を求めることができるか(請求権者と職権)

民法846条は,解任を求めることができる者を,後見監督人,被後見人本人,その親族,検察官に限定している。
これに加えて,家庭裁判所が職権で(請求を待たずに)解任することもできる。
後見人の事務は家庭裁判所や後見監督人が監督しており(民法863条),監督の過程で問題が把握された場合に職権発動につながる。

市区町村長は,条文上,解任そのものの請求権者としては挙げられていない。
もっとも,成年後見の申立て自体は市区町村長申立ての事案が多く,実務では,本人・親族からの情報や監督を通じて家庭裁判所の職権解任が働くことになる。

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成年後見人による横領──親族後見人と第三者後見人の比較を中心に(AI作成)

目次第1 後見人の財産管理義務と横領の責任構造1 この記事の対象と基準日2 善管注意義務と家庭裁判所の監督3 横領が生じさせる責任の全体像第2 刑事責任──業務上横領罪と親族相盗例の不準用1 罪名と適用条文2 親族相盗例の準用を否定する最高裁決定3 準用否定の射程と未確定の領域第3 民事責任と被害の回復1 損害賠償・不当利得と使い込みの利息2 相続人による追及と回収の限界3 弁護士後見人の横領に備える二つの仕組み第4 監督者の責任──後見監督人と家庭裁判所1 後見監督人の職務と責任2 家庭裁判所の監督と国家賠償第5 統計から見た親族後見人と第三者後見人1 選任統計と不正事例統計の分類・対象の違い2 家庭裁判所管内別の親族比率3 統計を用いる際の留保第6 不正防止の制度と令和8年改正1 後見制度支援信託・後見制度支援預貯金2 利用促進法と後見人交代の柔軟化第7 弁護士の実務対応1 手続選択──解任・監督人選任・財産調査2 依頼者からの事情聴取と証拠の収集3 想定される相手方の主張と対応第8 出典1 法令2 裁判例3 統計・公的資料4 文献5 関連記事
第1 後見人の財産管理義務と横領の責任構造
1 この記事の対象と基準日

本記事は,家庭裁判所から選任された成年後見人が被後見人の財産を横領した場合の刑事・民事の責任及び監督者の責任と,その予防・是正・回復のための実務対応を,親族後見人と第三者後見人の違いに着目して整理するものである。
本記事の「第三者後見人」は親族以外の後見人を指し,弁護士,司法書士,社会福祉士等の専門職だけに限られない。
基準日は令和8年9月19日であり,法令は同日現在のe-Gov法令検索で確認した条文による。
信用保証制度の加入案内は,令和8年10月18日時点の公式情報を第3の3に補足した。

2 善管注意義務と家庭裁判所の監督

成年後見人は,被後見人の財産を管理し,その財産に関する法律行為について被後見人を代表する(民法859条1項)。
その権限行使に当たっては,民法869条が委任に関する644条を準用しており,後見人は善良な管理者の注意をもって事務を処理する義務を負う。
この義務は,後見人が被後見人と親族関係にあるか否かによって区別されない。

横領の予防・発見・是正を支える手続的な仕組みも,民法に置かれている。
後見人は,就職後遅滞なく財産の調査に着手し,1箇月以内に財産目録を作成しなければならず,後見監督人があるときはその立会いがなければ効力を生じない(民法853条)。
後見監督人又は家庭裁判所は,いつでも後見人に事務の報告若しくは財産目録の提出を求め,又は事務若しくは財産の状況を調査することができ,家庭裁判所は必要な処分を命ずることができる(民法863条)。
居住用不動産の売却,賃貸,抵当権設定その他これらに準ずる処分には,家庭裁判所の許可を要する(民法859条の3)。
この許可の対象と審理は,居住用不動産処分の許可で扱っている。

これらの規定は,後見人による財産の私的流用を制度的に抑止し,発覚後の是正を可能にするための基礎である。
横領の局面では,これらの規定が事後的な責任追及の前提事実(義務違反の有無,監督の履践状況)としても機能する。

3 横領が生じさせる責任の全体像

後見人による横領は,3つの責任を生じさせる。
第一に,後見人自身の刑事責任(業務上横領罪)である。
第二に,後見人自身の民事責任(損害賠償及び不当利得返還)である。
第三に,監督にあたる後見監督人又は家庭裁判所の責任(善管注意義務違反又は国家賠償)である。

親族後見人と第三者後見人とで結論が分かれ得る局面は,主として次の点にある。
刑事における親族相盗例の準用の可否,民事における被害回復の実効性(横領者の資力及び被害弁償の仕組みの有無),そして選任の母数と不正発生の統計的な分布である。
以下,この順序で検討する。

第2 刑事責任──業務上横領罪と親族相盗例の不準用
1 罪名と適用条文

後見人は,被後見人の財産を継続的に管理する立場で金銭その他の財物を占有する。
そのため,これを不法に領得する行為は,原則として業務上横領罪に当たる。

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法定養育費と養育費債権の先取特権の違い―子1人当たり月額2万円・8万円と使い分け(AI作成)

目次

第1 法定養育費と先取特権は別の制度である1 月額2万円・8万円は国から支払われるのか第2 どの記事を確認すべきか1 養育費を決めずに離婚した場合2 養育費の取決めはあるが支払われない場合3 これから養育費を取り決める場合第3 手続選択の早見表第4 令和8年4月1日を基準に適用を分ける第5 関連記事第6 出典

法定養育費は,養育費を取り決めずに離婚した場合の暫定的な請求権であり,子1人当たり月額2万円である。
養育費債権の先取特権は,成立した養育費等の回収を強化する優先権であり,子1人当たり月額8万円まで及ぶ。
本記事は,二つの制度の違いと,取決め・債務名義の有無に応じて最初に確認すべき手続を整理する。

第1 法定養育費と先取特権は別の制度である

法定養育費と養育費債権の先取特権は,同じ民法改正によって新設され,令和8年4月1日に施行された別の制度である。
両制度は併存し得るため,法定養育費にも先取特権が及ぶ場合がある。

両制度の金額も異なる。
法定養育費は子1人当たり月額2万円であり,先取特権が及ぶ上限は子1人当たり月額8万円である。
2万円は通常の養育費の標準額又は最低額ではなく,8万円は養育費の認定額又は支払額そのものではない。

比較事項
法定養育費
子の監護費用の先取特権

根拠
民法766条の3
民法306条3号・308条の2

役割
取決めがない間の請求権を発生させる
発生済みの定期金債権の回収を強化する

主な場面
令和8年4月1日以後に養育費を決めずに離婚した場合
養育費等に確定した支払期限があり,未払となった場合

省令上の額

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日本の証券会社で米国株式を保有する人の相続と米国連邦遺産税――課税範囲・条約による軽減・配偶者と生前対策(AI作成)

◯山中弁護士への事件のご相談・ご依頼は「遺言・相続のお問い合わせ」から可能です。
◯「日本の証券会社経由で米国株式を保有していた場合の相続手続(AI作成)」も参照してください。
◯日本に居住する個人が,国内の証券会社の外国株式取引口座を通じて米国株式を保有したまま死亡した場合,日本の相続税だけでなく,米国連邦遺産税(federal estate tax)の適用が問題となる。
米国連邦遺産税は,米国の市民でも居住者でもない者(nonresident alien。以下「NRA」という。)については,米国に所在する財産に限って課される。
そこで,同じ「米国株式に関係する資産」であっても,個別株式,米国籍の上場投資信託(ETF),米国外を設立地とするファンド,米国債,現金のいずれであるかによって,課税範囲が分かれることになる。

本稿は,この課税範囲の判定,日米相続税条約による軽減の内容と限界,並びに配偶者が承継する場合及び生前における対応という,資産設計に関わる論点を扱う。
これに対し,相続人の確定,日本の相続税の納税義務者の判定と「住所」の認定,国外財産の評価と邦貨換算,証券会社における名義書換えの手続,及びIRS移転証明書(Transfer Certificate)制度の具体的な構造については,別稿「日本の証券会社経由で米国株式を保有していた場合の相続手続」で扱っており,本稿ではこれらの手続面には立ち入らない。
検討の対象は,被相続人及び相続人がいずれも日本に住所を有する日本人が,国内の証券会社を通じて米国法人が発行する株式等を保有していた場合とし,米国の証券会社に直接口座がある場合,米国不動産を保有する場合,及び米国の市民権又は居住歴を有する者に固有の論点は扱わない。

目次

第1 米国連邦遺産税の課税範囲

1 課税の基本構造
2 米国株式・ETF・投資信託の所在

(1) 個別株式の所在
(2) ETF・投資信託の所在——米国籍と外国籍の分岐

3 米国所在とされない財産

第2 基礎控除・税率と日米相続税条約による軽減

1 条約を用いない場合の控除と税率
2 条約による統一控除の按分と計算例

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葬儀・火葬の実施(AI作成)

本記事は,人の死亡後に行われる葬儀・火葬・埋葬・改葬をめぐって弁護士が扱う法律問題を,行政法(墓地埋葬法),民法(祭祀財産の承継・費用),社会保障法(生活保護の葬祭扶助)及び公衆衛生(感染症法)の各領域にわたって整理するものである。火葬・埋葬の許可手続,遺骨の帰属と引渡し,葬儀費用の負担,引き取り手のない遺体への対応,散骨などの新しい弔い方を対象とする。個別の宗教的作法や葬祭サービスの内容そのものは扱わないが,葬儀社との契約の当事者,クーリング・オフの可否及び契約をめぐる裁判例は第4の5で扱う。

目次

第1 本記事の対象と火葬・葬儀をめぐる紛争の全体像
第2 火葬・埋葬・改葬の手続と行政上の許可

1 「埋葬」「火葬」「改葬」の定義と火葬までの流れ
2 24時間以内の火葬禁止とその例外
3 改葬の許可と墓地・火葬場の管理者

第3 遺骨と祭祀財産の帰属

1 祭祀財産承継の枠組み(民法897条)
2 遺骨の帰属
3 祭祀承継者の決定基準と家庭裁判所の審判
4 遺骨引渡請求における主張立証と証拠

第4 葬儀費用の負担

1 負担者に関する明文の不存在と考え方の対立
2 名古屋高裁平成24年3月29日判決の考え方
3 香典・葬式費用の先取特権・相続税との関係
4 求償の法律構成と立証・相手方の反論
5 葬儀社との契約の当事者と契約トラブル

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NISAを相続するとどうなる?死亡届・課税口座への移管・相続税(AI作成)

目次

第1 制度の骨格――NISA口座は名義人の死亡でどうなるか

1 NISAが非課税とするのは所得税等であり,相続税は非課税とならないこと
2 名義人の死亡によるNISA口座の廃止と,相続人のNISA口座への引継ぎ不可

第2 所得税の取扱い――みなし譲渡・非課税・取得価額

1 死亡は「払出し事由」であり,死亡日の価額で譲渡があったものとみなされること
2 死亡日までの含み益は非課税,含み損は切り捨てられること
3 相続人の取得価額は死亡日の終値となること――所得税法60条の例外

第3 相続税の取扱い――相続財産としての評価

1 相続財産としての評価方法
2 相続税評価額と所得税の取得価額との相違
3 取得費加算の特例と準確定申告の要否

第4 相続人が複数いる場合――遺産分割の要否と移管

1 上場株式・投資信託受益権は当然分割されないこと
2 移管先口座の選択と現物移管の実務

第5 手続と依頼者からの聴取事項

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証券口座の相続と遺産分割-株式・投資信託の準共有,移管及び税務(AI作成)

◯山中弁護士への事件のご相談・ご依頼は「遺言・相続のお問い合わせ」から可能です。

目次

第1 証券口座内の資産の法的性質――当然分割か準共有か

1 可分債権の当然分割という原則
2 株式・投資信託受益権・個人向け国債は当然分割されない

(1) 株式
(2) 委託者指図型投資信託受益権及び外国投資信託受益権
(3) 個人向け国債

3 相続開始後に生じた元本償還金・収益分配金
4 共同相続された株式から生じた配当金支払請求権
5 預貯金に関する判例変更と到達点

第2 遺産分割前の権利行使・管理と手続選択

1 準共有物の管理・保存・変更
2 共有株式の議決権行使と権利行使者の指定
3 遺産分割前の単独払戻し(民法909条の2)の射程
4 手続選択の分岐

第3 証券会社における相続手続の実務

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日本の証券会社経由で米国株式を保有していた場合の相続手続(AI作成)

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目次

第1 はじめに

1 問題の所在――四つの法分野が交錯すること
2 本記事の対象と留保

第2 相続人の確定と相続税の納税義務者の判定

1 相続の準拠法
2 相続税の納税義務者の区分と「住所」の認定

(1) 無制限納税義務者と制限納税義務者の分岐
(2) 「住所」の認定が争われた最高裁判決とその考慮要素

第3 米国株式は相続税法上「国外財産」であること

1 財産の所在に関する規定
2 評価と邦貨換算の実務

第4 米国連邦遺産税(非居住外国人課税)の構造

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iDeCo死亡一時金の民法上・税法上の取扱い(AI作成)

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目次

第1 iDeCo死亡一時金の基本構造

1 死亡一時金が支給される仕組み
2 受給権者の範囲及び順位
3 請求期限と相続財産への転化

第2 民法上の取扱い

1 受取人固有の権利という性質
2 遺贈及び遺産分割との関係
3 遺留分及び特別受益との関係
4 相続放棄との関係

第3 税法上の取扱い

1 支給が確定した時期による3区分

(1) 死亡後3年以内に確定した場合
(2) 死亡後3年を経過して確定した場合
(3) 5年の経過により相続財産となった場合

2 退職手当金等の非課税枠
3 相続人以外の受取人及び相続放棄者の課税

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信託銀行と弁護士のどちらを遺言執行者にするか―費用・紛争対応・継続性の比較(AI作成)

目次

第1 本記事の対象と結論の要旨

1 対象と射程
2 結論の要旨——必要な機能と総費用で比較する
3 用語——「遺言信託」は信託法上の信託ではない

第2 信託銀行が遺言執行を担える法的根拠とその限界

1 兼営法1条1項4号による併営業務
2 弁護士法72条による限界——紛争になれば扱えない
3 就職辞退・辞任という帰結と依頼者の負担

第3 遺言執行者の職務・報酬・費用の枠組み

1 職務の内容と権限
2 報酬の決まり方(民法1018条)
3 費用の負担(民法1021条)と復任(民法1016条)

第4 「遺言信託」の手数料構造

1 署名時・保管中・執行時の三層と別途実費
2 最低報酬額と算定基礎
3 中途解約・辞退時の費用

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弁護士のための死亡診断書の実務―交付義務,死因・死亡時刻の記載,異状死体の届出及び証拠収集(AI作成)

第1 死亡診断書が弁護士実務で問題となる場面1 この記事の対象と基準時2 死亡診断書が関わる四つの場面第2 交付義務,記載事項及び死体検案書との使い分け1 医師法19条2項の交付義務と罰則の不存在2 記載事項及び様式3 死亡診断書と死体検案書の使い分け4 医師法20条ただし書の「24時間」の意味第3 死亡届,火葬許可証及び記載事項証明書1 届出期限,届出義務者及び届出地2 診断書又は検案書を得られないとき3 原本の確保と届書の内容を証明する書類4 死亡届の住所・配偶者・職業・届出人の欄第4 記載事項が紛争で持つ意味1 死亡時刻の記載と同時死亡の推定2 死因の記載構造3 死因の種類の区分4 保険金請求における主張立証責任5 証拠力と反証の方法6 手術・解剖・追加事項・署名欄の読み方第5 医師法21条の異状死体届出義務1 「検案」の意義と届出義務者の範囲2 自己負罪拒否特権との関係3 医療事故調査制度との関係第6 訂正,死因等の変更及び虚偽記載1 誤記の訂正と死因等の確定・変更報告2 虚偽記載の刑事責任3 情報通信機器を用いた死亡診断と電子的作成第7 依頼者からの聴取事項と資料収集出典・参考資料1 法令2 裁判例3 行政資料4 文献

死亡診断書・死体検案書と死亡届からは,死因,死亡時刻,死亡場所,届出人などを読み取ることができる。
ただし,記載された時刻や場所には推定・確認・発見に基づく場合があり,書類だけでは分からない事実もある。
本記事では,各欄の読み方を,交付義務,戸籍手続,保険金請求及び証拠収集の実務と併せて説明する。

第1 死亡診断書が弁護士実務で問題となる場面
1 この記事の対象と基準時

この記事は,弁護士が死亡診断書又は死体検案書に接する場面を想定し,交付義務,記載事項の意味,死亡届及び火葬許可との関係,医師法21条の届出義務並びに資料収集の方法を整理するものである。
医学的な死因判定の当否そのものではなく,法令上の枠組みと,事案の見通しを立てるために確認すべき事項に主眼を置く。
記載は,令和8年8月30日現在のe-Gov法令検索の条文,裁判所ウェブサイトに掲載された裁判例及び厚生労働省が公表している令和8年度版の記入マニュアルによる。

死亡診断書及び死亡届の各欄の読み方並びに証明書の取得方法については,令和8年9月4日現在の公表資料を反映している。

2 死亡診断書が関わる四つの場面

第1に,戸籍手続である。
戸籍法86条2項は,死亡の届書に死亡の年月日時分及び場所等を記載し,診断書又は検案書を添付しなければならないと定めている。
死亡診断書は死亡届の添付書類として戸籍への死亡の記載と火葬許可の前提になり,民法882条により相続が開始する時点を示す資料としても機能する。

第2に,相続である。
死亡時刻の記載は,複数人が死亡した事案において相続の先後を決する場面で意味を持つ。

第3に,給付請求である。
死因及び死因の種類の記載は,生命保険金の請求,労働者災害補償保険の業務起因性の判断,交通事故における損害賠償の各場面で,当事者の主張の出発点になる。

第4に,医師又は医療機関の責任である。
死体に異状があると認めたときの警察署への届出義務(医師法21条)と,死亡診断書の記載の当否は,医療事故の刑事責任と直接に結び付く。

【死亡診断書から、どこまで分かるか】

死亡診断書は重要な資料であるが、記載された死因から、個々の診療行為の適否や薬剤の影響まで一度に判断しようとしない。
疑問がある場合は、記載の意味と根拠を確かめ、診療録、看護記録、検査結果等と照合する。

記載事項追加して確認すること死亡の原因記載の根拠となった所見・検査と、死亡までの診療経過死因の種類この分類の記載と、具体的な治療行為の適否・死亡への影響を区別して検討する発病から死亡までの期間どの傷病についての期間か、どの資料に基づいて記載したか死亡したとき記載時刻の根拠、推定等の注記、死亡確認・発見・連絡に関する記録との関係

厚生労働省の令和8年度版記入マニュアルは、「死亡したとき」について、原則として死亡確認時刻ではなく死亡時刻を記載する扱いを示し、推定・不詳等の記載や救急搬送中の死亡の場合の取扱いも説明している。
時刻が分単位で記載されていることだけから、誰がその場にいたか、何時に家族へ連絡したかまで認定しない。

文書の読み方と資料の集め方は、カルテの読み方及び遺族のカルテ取得で説明している。

第2 交付義務,記載事項及び死体検案書との使い分け
1 医師法19条2項の交付義務と罰則の不存在

医師法19条2項は,「診察若しくは検案をし,又は出産に立ち会つた医師は,診断書若しくは検案書又は出生証明書若しくは死産証書の交付の求があつた場合には,正当の事由がなければ,これを拒んではならない」と定めている。
死亡診断書の交付は,この規定に基づく医師の義務である。

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火葬許可証(AI作成)

火葬許可証(AI作成)

本記事は,人の死亡後に火葬を行うために必要となる火葬許可証について,その根拠となる法令と手続の流れ,24時間規制とその例外,死産児の取扱い,身寄りのない方が死亡した場合の処理などを,弁護士が実務で用いることを想定して整理するものである。
火葬許可証は,日々の相続・成年後見・死後事務・葬送をめぐる相談の入口に位置するが,その法的な枠組みが正面から論じられる機会は多くない。本記事は,火葬という行為の許可がどのような要件と手続の下で与えられるのかを条文に即して確認し,紛争が生じ得る場面での確認事項を示す。

本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり,個別の事案に対する法的助言ではない。具体的事件の処理に当たっては,最新の法令及び当該事案の事実関係に基づく個別の検討を要する。

目次

第1 火葬許可証をめぐる法的枠組みの全体像

1 本記事の対象と射程
2 「埋葬許可証」と「火葬許可証」——用語の混同に注意

第2 火葬許可証の根拠規定と交付の仕組み

1 許可制の趣旨(墓地埋葬法5条・8条)
2 交付権限を持つ市町村長(5条2項)
3 申請書の記載事項(施行規則1条)
4 火葬場・墓地・納骨堂における受理義務と火葬後の裏書

第3 24時間規制とその例外

1 24時間規制の趣旨(3条)
2 例外1——感染症に汚染された死体(感染症法30条)
3 例外2——妊娠7月未満の死産,船舶内の死亡
4 許可証の交付時期と火葬の実施時期は別である

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民間救急車(患者等搬送事業)の法務——許可・認定の二重構造と搬送をめぐる責任(AI作成)

◯本記事は,緊急性のない患者等の搬送を担う「民間救急車」(患者等搬送事業)について,事業を規律する法令及び行政上の基準,搬送中に行い得る行為の限界,並びに搬送に関する事故が生じた場合の責任と主張立証を,弁護士が実務で検討する順序に沿って整理するものである。個別の事案に対する法的助言ではなく,一般的な情報提供を目的とする。

目次

第1 民間救急車の位置づけ——「救急業務」との区別と二重の規制構造

1 「救急業務」は消防機関の役務であること
2 有償搬送を適法化する許可と品質を担保する認定の二重構造
3 民間救急車は緊急自動車になれないこと

第2 適用される法令と事業開始の要件

1 道路運送法上の許可——一般乗用旅客自動車運送事業と福祉輸送事業限定
2 自家用有償旅客運送(福祉有償運送)との区別
3 消防機関による患者等搬送事業者認定の基準
4 運賃及び料金の規制

第3 搬送中に実施し得る行為の範囲

1 無資格の乗務員による行為と医師法17条
2 救急救命士が同乗する場合
3 医師又は看護師が同乗する場合
4 感染症の患者の移送

第4 搬送をめぐる事故と主張立証

1 旅客運送契約に基づく責任と立証責任の転換

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死亡届の届出人(AI作成)

◯山中弁護士への事件のご相談・ご依頼は「遺言・相続のお問い合わせ」から可能です。

目次

第1 死亡届の届出人の基本構造

1 届出義務者の順位(戸籍法87条1項)
2 届出資格者の拡大とその沿革(戸籍法87条2項)
3 添付書類・届出地・届出期間
4 高齢者等終身サポート事業者等が家屋管理人となる場合

第2 弁護士が関与する場面――手続選択の分岐

1 届出人が存在しない場合の対応
2 届出の誤りの是正――追完届と戸籍訂正の振り分け

第3 死亡届出資格と死後事務の権限との乖離

1 民法873条の2――成年後見人に限定された死後事務権限
2 任意後見人・任意後見受任者・保佐人・補助人の限界

第4 主張立証及び証拠収集

1 同居の事実及び後見人等の資格の立証
2 死後事務許可の要件の立証と収集すべき証拠

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遺言信託(AI作成)

◯「日弁連と信託協会の協議会合意書(平成6年2月22日付)」も参照してください。

目次

第1 最初に区別すべき3つの制度

1 銀行サービスとしての「遺言信託」
2 信託法上の遺言による信託
3 遺言代用信託
4 制度選択の基準

第2 銀行サービスとしての遺言信託

1 法的根拠と提供業務
2 平成6年合意書が定めた紛争対応の限界

(1) 遺言書作成の相談
(2) 遺産整理業務
(3) 遺言執行者への就任

3 合意書の法的性質
4 契約と費用の確認

第3 信託法上の遺言による信託

1 設定方法と効力発生

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自筆証書遺言特有の無効主張方法(AIリライト)

◯山中弁護士への事件のご相談・ご依頼は「遺言・相続のお問い合わせ」から可能です。

第1 自筆証書遺言に固有の無効事由と主張の交通整理

1 三つの無効事由と,その責任構造の違い
2 自書性と遺言能力は前提が逆である
3 作成時期による適用条文の確定

第2 方式違反に関する最高裁判例の射程

1 日付――「吉日」と誤記の分水嶺
2 押印――指印と花押の分水嶺
3 数葉にわたる遺言と契印
4 加除変更の方式違背
5 方式違反の実務上の位置付け

第3 自書性(偽造)に関する裁判例の到達点

1 自書性は五つの事情の総合考慮による
2 署名の酷似は透写の証明にならない
3 自書性が認められれば押印も本人と推認される
4 添え手に関する最高裁判例の正確な読み方
5 自書性を否定した事例

第4 筆跡鑑定の有効性をどう評価するか

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形式不備の遺言は死因贈与として有効か―成立要件・裁判例・主張立証(AIリライト)

目次

第1 結論―遺言が無効でも死因贈与が成立する場合がある

1 「転換」と呼ぶ場合でも契約成立の認定が必要である

2 死因贈与としても救えない無効原因がある

3 遺贈と死因贈与の違い

第2 死因贈与の成立と撤回に関する法的枠組み

1 申込み,承諾及び目的物の特定が必要である

2 遺言の方式は死因贈与に準用されない

3 書面化と撤回の問題

4 先行する遺言との抵触

第3 形式不備の遺言と死因贈与に関する裁判例

1 日付を欠く自筆証書遺言について成立を認めた例

2 明示又は黙示の承諾を認めた広島高裁判決

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遺言無効確認請求訴訟に関するリンク集

第1 公正証書遺言が有効であるという抗弁の記載例
第2 必要的共同訴訟かどうか
第3 遺言執行者の当事者適格
第4 確認の利益
第5 平均審理期間と併合事件
第6 遺言無効確認請求訴訟における主張立証の組立て
第7 遺言無効に関する関連記事

1 訴訟手続・要件事実
2 公正証書遺言の方式と証拠取得
3 遺言能力と認知症
4 自筆証書遺言・秘密証書遺言・偽造
5 無効後の処理及び周辺論点

第8 出典

本記事は、山中弁護士ブログにある遺言無効確認請求訴訟及び遺言の無効主張に関する記事のリンク集である。

訴訟要件、当事者、審理期間、要件事実、証拠収集及び遺言書の種類ごとの論点は、それぞれの関連記事で詳しく説明している。
第1 公正証書遺言が有効であるという抗弁の記載例
公正証書遺言の有効を主張する側は、遺言作成時に適用される民法及び公証人法に従って成立要件を具体的に主張する必要がある。

令和7年9月30日までに作成された遺言と、同年10月1日以後に電磁的記録で作成された遺言の抗弁の記載例は、公正証書遺言に関する遺言無効確認請求訴訟の要件事実にまとめている。
第2 必要的共同訴訟かどうか
相続分及び遺産分割方法を指定した遺言の無効確認の訴えは、相続人全員を必ず当事者にしなければならない固有必要的共同訴訟ではない。

もっとも、誰との間で遺言の有効性を確定すれば紛争を一回的に解決できるかは別に検討する必要がある。

(続きを読む...)遺言無効確認請求訴訟に関するリンク集

予備的遺言とは―受益者の先死亡,同時死亡,相続放棄及び遺贈放棄への備え(AIリライト)

目次

第1 予備的遺言の意味と結論1 予備的遺言とは2 結論第2 受益者が先に死亡しても代襲相続になるとは限らない1 最高裁平成23年2月22日判決2 遺贈の場合第3 予備的遺言で想定する事由1 先死亡と同時死亡2 相続放棄3 遺贈放棄4 相続欠格と廃除第4 予備的受益者と財産の範囲を特定する1 相続人には「相続させる」,相続人以外には「遺贈する」と書く2 複数の予備的受益者の割合を定める3 目的財産と残余財産条項を対応させる第5 条項を作るときの確認事項1 発動条件を列挙する2 主位的受益者と予備的受益者の双方について次順位を考える3 遺言執行者と権限を定める第6 遺言執行時の確認第7 関連記事第8 出典1 法令及び公的資料2 裁判例及び文献
第1 予備的遺言の意味と結論
1 予備的遺言とは

予備的遺言とは,主として財産を取得する予定の者が先に死亡するなど,主位的な条項を実現できない事態に備え,次に財産を取得させる者と発動条件をあらかじめ定めておく遺言である。

例えば,「長男に自宅を相続させる」と定めるだけでなく,「長男が遺言者より先に,又は遺言者と同時に死亡したときは,長男の子に相続させる」と定める方法がある。
後の条項が予備的遺言である。

2 結論

①受益者が遺言者より先に死亡しても,その子が当然に遺言の利益を引き継ぐとは限らない。
②先死亡と同時死亡は予備的遺言で明記する必要性が高い。
③相続放棄,遺贈放棄,相続欠格及び廃除は先死亡と法的効果が異なるため,一つの短い条項で一律に処理しない方がよい。
④予備的な受益者が相続人でなければ,「相続させる」ではなく「遺贈する」と書く。
⑤主位的条項と予備的条項で,財産の範囲,代替財産,受益者の範囲及び割合を対応させる。

第2 受益者が先に死亡しても代襲相続になるとは限らない
1 最高裁平成23年2月22日判決

最高裁平成23年2月22日第三小法廷判決(平成21年(受)第1260号,民集65巻2号699頁)は,「相続させる」旨の遺言により財産を取得する予定であった推定相続人が遺言者より先に死亡した場合を扱った。

同判決は,遺言書の他の記載,作成当時の事情及び遺言者の置かれていた状況等から,その場合には代襲者その他の者に財産を相続させる意思を認めるべき特段の事情がない限り,その条項は効力を生じないとした。
法律上の代襲相続人が存在するというだけで,その者が遺言による受益者の地位を当然に承継するわけではない。

2 遺贈の場合

受遺者が遺言者より先に死亡したときは,遺贈は原則として効力を生じない(民法994条1項)。
停止条件付き遺贈について,条件成就前に受遺者が死亡した場合も,遺言に別段の意思が表示されていない限り同様である(同条2項)。

効力を生じなかった遺贈の目的財産は,遺言に別段の意思が表示されていない限り相続人に帰属する(民法995条)。
誰に帰属させたいかが明確であれば,別段の意思を予備的遺言として書いておく必要がある。

第3 予備的遺言で想定する事由
1 先死亡と同時死亡

先死亡は,主位的な受益者が遺言者より先に死亡する場合である。
同時死亡では,民法32条の2により互いに相続人とならないため,先死亡の場合と同様に主位的条項を実現できないことがある。

日本公証人連合会の説明も,長男が遺言者に先立って,又は同時に死亡したときは長男の子に相続させるという形の予備的遺言を紹介している。
先後不明の事故もあり得るため,「先に死亡したとき」だけでなく「同時に死亡したとき」も書くのが安全である。

2 相続放棄

相続放棄をした者は,その相続に関して初めから相続人とならなかったものとみなされる(民法939条)。

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遺言無効確認請求訴訟における公証人の証言の取扱い及び公証人の補助参加(AI作成)

目次

第1 遺言無効確認請求訴訟における公証人の証言

1 公証人の証言の信用性
2 公証人の証言拒絶権
3 公証人に具体的な記憶がない場合の証拠評価

第2 遺言無効確認請求訴訟における公証人の補助参加

1 補助参加の要件及び手続
2 公証人による補助参加の申出を却下した裁判例
3 国家賠償請求及び国から公証人に対する求償
4 公証人の身元保証金

第3 既判力と補助参加の効力を区別する
第4 出典
第5 関連記事

第1 遺言無効確認請求訴訟における公証人の証言
1 公証人の証言の信用性
遺言無効確認請求訴訟では、公正証書遺言を作成した公証人の証言又は回答書が、口授の有無、作成時の遺言者の状態及び作成手順を認定するための重要な証拠となることがある。

石田明彦ほか「遺言無効確認請求事件の研究(上)」(判例タイムズ1194号44頁、54頁~55頁)は、平成7年以降に大阪地裁民事部が受理し、判決に至った遺言無効確認請求事件等40件を検討している。

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改正前の遺留分減殺請求によって共有となった不動産の解消方法(AI作成)

第1 この記事の対象と最初に確認する三つの分岐

1 相続開始が令和元年7月1日より前か
2 減殺された処分が特定財産型か割合型か
3 現物を取得したい者と資金を準備できる者は誰か

第2 改正前の遺留分減殺請求の効果

1 意思表示によって持分が当然に帰属する
2 減殺請求の1年と10年の期間
3 旧法の減殺順序と現行法の負担順序は同一ではない

第3 共有物分割と遺産分割の振分け

1 処分類型ごとの原則
2 特定財産承継遺言と共同相続人への減殺
3 相続分指定の減殺は遺産分割で処理する
4 遺産共有持分と物権共有持分が併存する場合

第4 共有物分割へ進む前の確認と証拠

1 協議,調停及び訴訟
2 不分割契約と権利濫用
3 低負担の資料から分割方法を絞る

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公正証書遺言の効果的な無効主張方法―証拠収集の優先順位と訴訟設計(AIリライト)

◯山中弁護士への事件のご相談・ご依頼は「遺言・相続のお問い合わせ」から可能です。

第1 受任直後に判断する事項

1 先に期限と経済的利益を確認する
2 証拠収集を4段階に分ける

第2 無効原因を証拠から選別する

1 遺言能力
2 口授及び作成方式
3 証人の資格及び立会い
4 署名代行は直ちに偽造ではない
5 後の遺言又は生前処分

第3 低負担の資料から収集する

1 依頼者側の既存資料
2 診療記録
3 介護記録及び要介護認定資料
4 公証人への限定照会

第4 強制的又は高負担の収集手段

1 弁護士会照会

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遺産分割における寄与分の主張方法―費用対効果・証拠・申立時期(AIリライト)

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目次

第1 寄与分を主張する前に確認すべきこと

1 寄与分は努力に対する一般的な報酬ではない
2 最初に5項目で採算を確認する
3 寄与分の額と実際に増える取得額は一致しない

第2 寄与分の要件と5類型

1 主張できる者
2 特別の寄与
3 財産の維持又は増加との因果関係
4 無償性と対価の控除
5 実務上の5類型

第3 資料収集を段階化する方法

1 第1段階は入手しやすい資料だけで足りる
2 時系列は生活段階又は病状段階で区切る
3 類型別に優先すべき証拠

(1) 金銭等出資型
(2) 療養看護型

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特別受益を効率よく主張・立証する方法―遺産分割の10年ルールと証拠収集(AIリライト)

目次

第1 特別受益の調査は見込効果の確認から始める

1 特別受益が変えるのは具体的相続分である
2 調査費用と見込増加額を先に比べる

第2 遺産分割と遺留分の期限を混同しない

1 特別受益だけを独立訴訟で確定することはできない
2 遺産分割には相続開始から10年の制限がある
3 遺留分には別の1年及び10年がある

第3 調査する特別受益候補を絞る

1 優先順位が高い候補
2 慎重に扱う候補
3 共同相続人間の無償の相続分譲渡
4 生前贈与と預金の無断払戻しを分ける

第4 証拠収集は負担の軽い順に進める

1 第1段階は手元資料と公開資料である
2 被相続人名義口座は相続人から直接請求する
3 取引金融機関が不明なときは口座照会の限界を理解する
4 受贈者名義口座の取得は対象を絞ってから検討する

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遺留分侵害額請求の基礎財産から控除される「被相続人の債務」の効果的な主張立証方法(AI作成)

目次

第1 本稿の狙いと全体像

1 本稿が扱う問題
2 最大のポイント-債務は「二つの段階」で逆向きに効く

(1) 段階① 基礎財産からの控除
(2) 段階② 侵害額算定における承継債務の加算
(3) 二段階の混同が最も多い誤り

第2 段階①-基礎財産から控除される「被相続人の債務」

1 条文の枠組み(民法1043条1項)
2 控除される債務・されない債務

(1) 控除される債務
(2) 控除されない債務
(3) 葬式費用と「相続税の債務控除」との違い

3 控除の基準時(最判平成8年11月26日)
4 債務超過の場合の帰結

第3 最大の争点-保証債務・連帯保証債務

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遺産相続における非上場株式の評価方法(AI作成)

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目次

第1 本稿の視点――「評価」は1つではない

1 なぜ非上場株式の評価は難しいのか
2 場面ごとに異なる「時価」の見取図

(1) 4つの時価
(2) 私法上の時価は税務上の時価より高くなりやすい

第2 相続税評価(財産評価基本通達)の基礎

1 4段階の判定手順

(1) 株主区分の判定
(2) 会社規模の判定
(3) 特定の評価会社の判定
(4) 評価方式の適用

2 相続税評価と遺産分割では評価目的が異なる
3 評価方式の見直しの動き

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遺産相続における共有状態の解消方法(AI作成)

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目次

第1 はじめに――「とりあえず共有」という先送り

1 本記事の狙い
2 共有状態が生む実務上の問題

第2 遺産共有の基礎――通常共有との異同

1 遺産共有の法的性質
2 各相続人の共有持分の割合
3 準共有となる財産(株式・投資信託・国債)
4 二つの解消ルート

(1) 遺産分割と共有物分割の役割分担
(2) 遺産共有は共有物分割訴訟によれないという原則

第3 遺産分割による解消――4つの分割方法

1 現物分割
2 代償分割

(1) 意義と要件

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遺産相続の使途不明金―裁判例から見た請求の組立てと立証(AI作成)

第1 この記事が扱う「使途不明金」と三つの事実問題
第2 生前の払戻しと死亡後の払戻しは,請求の組立てが異なる

1 生前の払戻し―被相続人に生じた請求権を相続分に応じて承継する
2 死亡後の払戻し―最判平成16年4月20日
3 遺産分割審判では確定できない―大阪高決平成22年8月26日

第3 誰が払い戻したか

1 間接事実の組合せ方と,その限界
2 入院中・危篤期の払戻し―東京地判平成30年3月28日

第4 被相続人の承諾又は管理の委託があったか

1 「法律上の原因がないこと」の主張立証責任
2 管理者性からの事実上の推認―東京地判令和2年10月22日
3 夫婦間の包括的同意という壁―東京地判平成29年6月21日
4 「通常の支出の範囲」という物差し

第5 払戻金の使途と領得

1 葬儀費用と香典―東京地判令和4年4月21日ほか
2 現金の保有と領得は区別される
3 贈与の主張への対応

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公正証書遺言の証人及び立会人(AI作成)

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目次

第1 はじめに

1 公正証書遺言における「証人」の重み
2 本稿の視点――令和7年のデジタル化を踏まえて

第2 証人の意義と職責

1 なぜ2人以上の証人が必要なのか
2 証人が担う3つの確認

(1) 人違いでないことの確認
(2) 真意に基づく口授等の確認
(3) 筆記・記録の正確性の確認

3 立会いによる職権濫用の防止

第3 令和7年改正(公証制度のデジタル化)と証人

1 民法969条の方式――改正前後の対比

(1) 改正前の5号方式

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遺言能力の判断・立証実務―土井文美「遺言能力」(判例タイムズ1423号)の医学・法律両面からの論評(AI作成)

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目次

第1 はじめに

1 本稿が取り上げる論文
2 論評の結論の要旨
3 前提となる3つの視点

(1) 死後鑑定の宿命
(2) 立証責任の所在
(3) 「状態」と「能力」は別の層であること

第2 論文の意義と評価できる点

1 論文の全体像
2 医学的に的確な指摘

(1) 認知症の経過に関する記述
(2) 中核症状と周辺症状の峻別
(3) 評価スケールの限界の明示

3 法的分析として優れた点

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遺言者の遺言能力に疑問がある場合に公証人が取るべき具体的対応(AI作成)

◯山中弁護士への事件のご相談・ご依頼は「遺言・相続のお問い合わせ」から可能です。

目次

第1 本稿の狙いと基本認識

1 本稿が扱う場面
2 「公正証書だから安全」という理解の限界

(1) 統計的な傾向
(2) 公証人に求められる役割

第2 遺言能力の意義と判断の枠組み

1 遺言能力とは何か

(1) 条文の建付け
(2) 求められる能力の程度

2 裁判所が用いる考慮要素

(1) 心身の状況

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非典型財産の相続実務(AI作成)

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目次

第1 はじめに──「非典型財産」という視点

1 なぜ「非典型」を意識するのか
2 相続の一般原則と「当然分割」の可否

第2 金融商品の相続

1 可分債権の原則と預貯金の例外
2 投資信託と個人向け国債

(1) 委託者指図型投資信託の受益権
(2) 個人向け国債
(3) 未分割期間中の管理と権利行使

3 上場株式・非上場株式
4 生命保険金

(1) 受取人固有の財産という原則
(2) 特別受益の持戻しが問題となる場合
(3) 団体信用生命保険
(4) 受取人の変更と遺留分

5 強制決済型のポジション

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長田雅之「被相続人の生前に払い戻された預貯金を対象とする訴訟についての一試論――最近の第一審裁判例の分析」(判例タイムズ1500号・2022年11月)のAIによる論評(AI作成)

◯山中弁護士への事件のご相談・ご依頼は「遺言・相続のお問い合わせ」から可能です。

目次

第1 本記事の位置づけと読み方

1 本記事が扱う対象と結論の要旨
2 用語の整理
3 対象論文の基本情報と分析対象

第2 論文の中核——「訴訟物論」から「委任・善管注意義務・委託の趣旨」への再定位

1 従来の枠組みとその難点
2 準委任を基礎に置くという発想(民法644条・646条)
3 請求原因の一元化と「委託の趣旨」
4 「被相続人による贈与」を抗弁に置く意味

第3 関与形態の3類型と意思能力——認知症法務の視点を交えて

1 委託型・侵奪型・能力欠如型という3分類
2 意思能力は「一点」でなく「変動」で捉える
3 行為の種類ごとに必要な判断能力は異なる
4 証拠としての医学情報の限界

第4 「委託の趣旨」の認定と争点整理の実務

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選択的夫婦別姓(夫婦別氏)と戸籍情報システム―公表仕様で分かる改修範囲と未確定事項(AIリライト)

目次

第1 現行制度と本記事の検討範囲

1 現行法では婚姻時に夫又は妻の氏を選ぶ

2 最高裁判例と立法政策の区別

3 技術的実現可能性と改修規模は別の問題である

4 統計数値は調査方法と集計単位を併記する

第2 公表仕様から確認できる戸籍データの構造

1 戸籍の主キーは筆頭者氏名ではない

2 各個人の氏を保持する項目がある

3 公表仕様では分からない事項

第3 制度設計が確定しなければ仕様を確定できない事項

1 戸籍の編製と表示

2 子の氏と身分変動

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