第1 大阪家裁後見センターを利用するときの確認順序
大阪家庭裁判所の後見関係手続では,まず本人の現在の住所に対応する申立先を確認し,次に手続の種類と段階に合った最新の書式を選ぶ。
本記事は,大阪家裁の申立先・窓口,申立ての準備,選任後の報告及び状況別の実務記事への入口をまとめたものである。
窓口及び成年後見の手続案内の確認日は令和8年10月17日であり,過去の資料に記載された執務室の配置・期限・金額の目安を,現在の全事件に共通する取扱いとして用いない。
| 現在の状況 | 確認する内容 |
|---|---|
| 後見・保佐・補助を申し立てたい | 第2で申立先とチェック表を確認する。本人自身が申し立てる場合は,本人申立ての専門記事も参照する。 |
| 後見人等に選任された | 第3で初回報告,定期報告及び報酬付与申立ての案内を確認する。 |
| 総合支援型の監督人が付いた | 第4で通常の報告との違いと専門記事への案内を確認する。 |
| 後見人等の交代を検討している | 第5・第8で市民後見人へのリレー,辞任及び解任の説明先を確認する。 |
| 本人が亡くなった | 第6で裁判所への連絡と,死後事務・報告書類・相続人への引継ぎの説明先を確認する。 |
| 未成年後見を利用する | 未成年後見の要件・申立て・報告と18歳での終了を確認する。成年後見の書式と分けて準備する。 |
家庭裁判所全体の役割と利用方法は,家庭裁判所とはで説明している。
第2 申立先・窓口と必要書類
大阪家裁の公式案内は,後見等の申立先を,本人が現在住んでいる住所地によって確認するよう求めている。
入所施設・入院中の病院などが基準となる場合があり,住民票の住所だけで判断しない。
本庁・堺支部・岸和田支部のどこへ申し立てるかは,公式ページに掲載された「大阪家庭裁判所及び管内の支部」で確認する。
公式窓口案内に掲載された,成年後見・保佐・補助・未成年後見の申立ての窓口は次のとおりである。
進行中の事件に関する連絡は,通知に記載された担当係・担当者を確認する。
| 裁判所 | 申立ての窓口・階 | 電話番号 |
|---|---|---|
| 大阪家庭裁判所本庁 | 後見係・2階 | 06-6943-5872 |
| 堺支部 | 後見センター・5階 | 072-223-8949 |
| 岸和田支部 | 後見係・3階 | 072-441-6804 |
後見・保佐・補助の申立書類は,公式案内の「申立てに際してご用意いただく書類等(チェック表)」で確認する。
全国共通の書式だけでなく,鑑定についてのおたずね,本人の陳述書,候補者照会書など,申立ての形式や候補者に応じた大阪家裁の追加書式も確認する。
費用・必要部数・書式の版は申立ての都度確認し,過去に保存した書式だけで準備を完結させない。
成年後見の公式案内:https://www.courts.go.jp/osaka/saiban/seinenkouken/index.html
本庁・支部の公式窓口案内:https://www.courts.go.jp/osaka/saiban/madoguti_kasai/index.html
本人自身が申し立てる場合の手続行為能力,申立意思の確認及び説明状況報告書は,本人による後見等開始の申立てで説明している。
未成年後見の必要書類と就任後の報告は,未成年後見の専門記事で扱っている。
第3 選任後の初回報告・定期報告・報酬
選任された後見人等は,裁判所から交付されたハンドブックを読み,自分の権限,報告の期限及び提出先を確認する。
初回報告の準備と,その後の定期報告の作成は,段階を分けて進める。
監督人が選任されている場合は,監督人の指示も確認する。
就任直後の財産調査,財産目録・収支予定表の作り方及び期限は,大阪家裁への初回報告で説明している。
基本事件番号と,裁判所へ書面で連絡するときの連絡票・要回答・要急の使い方は,同記事の「基本事件番号と連絡票」を参照されたい。
大阪家裁の現在の案内は,定期報告について,本人の誕生日の属する月に毎年提出するよう求めている。
監督人が選任されている場合はその指示に従い,総合支援型の監督では専用書式の有無も確認する。
報告書各欄の記載方法と,報酬付与申立事情説明書・別紙の書き方は,全国統一書式の書き方で説明している。
報酬額の目安と申立手続は,成年後見人等の報酬額の目安で扱っている。
「報酬がいくらになるか」と「報告書や事情説明書をどう書くか」は,それぞれの記事で確認されたい。
第4 大阪独自の運用―総合支援型後見監督人
大阪家裁は,令和4年2月1日以降に申し立てられた後見開始事件について,初めて後見人となった親族後見人を支援する総合支援型後見監督人を選任する運用を案内している。
専門職の監督人が,監督だけでなく,親族後見人に対する指導・助言・相談対応を積極的に行う仕組みである。
対象,当初の支援期間,到達点,期間の延長及び支援終了後の取扱いは,大阪家裁の総合支援型後見監督人で詳しく説明している。
後見監督人一般の職務との違いを知りたい場合は,後見監督人の選任基準・職務・責任も参照されたい。
第5 大阪独自の運用―市民後見人へのリレー
専門職後見人から市民後見人へ引き継ぐリレーについては,対象事案の検討と,辞任・後任選任・引継ぎの手順を一緒に確認する。
大阪家裁の現在の案内は,専門職の成年後見人が定期報告をするときに,「市民後見人へのリレーについて(専門職後見人へのお尋ね)」を提出するよう求めている。
対象事案,支援機関,お尋ねの書き方,所属団体との調整及びリレーの手順は,成年後見人等の辞任と交代の「市民後見人へのリレー」で説明している。
預貯金額など一つの条件だけで判断せず,同記事で扱う本人・親族・支援者との関係及び財産管理・身上保護の課題も確認する。
市民後見人として自分が活動したい場合の養成講座,受講要件,バンク登録及び選任後の相談支援は,大阪で市民後見人になるにはで説明している。
第6 本人が亡くなったときの連絡と事務
大阪家裁の現在の公式案内は,本人が亡くなった場合,2週間以内に死亡診断書又は除籍謄本のコピーを添えて裁判所へ連絡するよう求めている。
その後に必要な書類があれば,追って事務連絡で案内するとされている。
実際の提出書類・期限は,担当裁判所からの事務連絡を確認する。
死亡後の対応は,次の三つに分けて確認すると分かりやすい。
| 確認したいこと | 詳しい説明 |
|---|---|
| 元後見人がどの事務を行えるか,許可が必要か | 死亡後に元後見人ができること―死後事務と事務管理 |
| 家庭裁判所へ何を報告するか | 死亡の連絡・死亡時3点セット・収支報告書・引継書と期限 |
| 相続人が財産を受け取らず,引継ぎが進まない | 相続人への引継ぎ・受領の催告・供託・相続財産管理人 |
過去の後見センターだより・書籍が示す死亡後の報告期限と,現在の公開案内で確認できる事項は区別する。
本人が死亡した場合と,後見人等自身が在職中に死亡した場合も別の問題であり,後者は後見人等が在職中に死亡したときの後任選任・引継ぎ・報酬付与申立てで説明している。
遺骨の引取りと大阪市立斎場での保管・合同埋蔵は,成年後見人の死後事務と遺骨の引取りで扱っている。
相続財産管理の手続を検討する場合は,相続財産管理人選任申立ての手引も参照されたい。
第7 任意後見と法定後見の優先関係を調べるとき
任意後見契約がある場合の法定後見の開始・継続は,大阪家裁の窓口や提出書式とは分けて検討すべき法律問題である。
判断の枠組みと裁判例の詳説は,任意後見と法定後見はどちらが優先するかでまとめている。
1 大阪高裁決定平成14年6月5日
同決定については,任意後見契約の存在と法定後見の開始が問題となった事案,原審判を取り消して差し戻した主文及び判断の内容を,前記の専門記事で説明している。
2 大阪高裁決定平成24年9月6日
同決定については,任意後見受任者の適格性をめぐる事情と,原審判の一部取消し・差戻しという結論を,前記の専門記事で説明している。
抗告審の判断内容と,抗告審自身が行った裁判の主文を区別して読む必要がある。
3 福岡高裁・高松高裁・水戸家裁の裁判例
福岡高裁平成29年3月17日決定,高松高裁令和元年12月13日決定及び水戸家裁令和2年3月9日審判についても,前記の専門記事で扱っている。
裁判例ごとの事案と結論を確認し,親族間に対立があるという一つの事情だけで結論を決めない。
第8 辞任・交代・解任と制度改正
後見人等の交代を検討するときは,後見人等の辞任と,家庭裁判所による解任を区別して確認する。
辞任の正当な事由,後任選任の同時申立て及び引継ぎは,成年後見人等の辞任と交代で説明している。
解任の理由・手続・効果は,成年後見人の解任理由で扱っている。
令和8年の成年後見制度改正の全体像と,現行制度・改正後の制度の適用関係は,令和8年成年後見制度改正と関係法律61本の整備を参照されたい。
改正法の説明を,現在の申立てや既存事件にそのまま当てはめず,施行日と経過措置を確認する。
第9 組織・沿革を調べるための資料と東京家裁との比較
大阪家裁後見センターの組織的位置付けや沿革を調べる資料として,大阪家庭裁判所家事第4部が執筆する「大阪家裁後見センターだより」がある。
平成29年5月号に第1回が掲載され,第1回から第41回までは,大阪家庭裁判所後見センター編『大阪家庭裁判所後見センターだより』(大阪弁護士協同組合,2025年)に再編・収録されている。
書籍は原則として初出当時の運用を記載し,書籍化の際に一部を修正・加筆したものである(同書1頁)。
連載各回の原資料とテーマ別索引は,大阪家裁後見センターだより―第1回から第51回のバックナンバーとテーマ別索引に掲載している。
同書3頁などに記載された過去の執務室・係の配置を,現在の来庁窓口の案内として使わず,第2の公式窓口案内と区別する。
東京家裁の申立て・書式・窓口案内と運用は,東京家庭裁判所後見センターで説明している。
報告書式が全国で統一されている場合でも,各家庭裁判所の追加書式や個別の指示まで同一とは限らないため,大阪の事件では大阪家裁の最新案内を確認する。
第10 日常の後見実務で迷ったときの関連記事
個別の支出や財産処分,意思決定支援などの詳しい検討は,問題に応じて次の記事を参照されたい。
手続をする人が必要な説明へ進めるよう,本記事では各論の入口を示している。
| 問題 | 詳しい説明 |
|---|---|
| 本人の財産から支出してよいか | 親族の交通費・祝い金・扶養・贈与と大阪家裁の考え方 |
| 古い借金の返済を求められた | 債務の確認・消滅時効・裁判所への連絡票 |
| 本人の自宅を売却・賃貸・解約したい | 居住用不動産処分許可 |
| 本人の意思をどう確認し支援するか | 大阪版ガイドラインによる意思決定支援の原則と手順 |
| 支援者とどう役割を分担するか | 身上保護事務・ケース会議・チーム支援 |
| 親族・相続人が事件記録を確認したい | 成年後見事件の記録の閲覧・謄写と非開示の申出 |
未成年後見の仕事,財産管理及び成年到達時の引継ぎは,未成年後見の専門記事で確認する。
成年後見と未成年後見では根拠となる制度が異なるため,報告期限や不動産処分の取扱いを一律に説明しない。
出典
法令
- 民法(846条,849条,851条,858条,859条の3,860条の2,864条,873条の2,876条の2,876条の3,876条の7,876条の8,897条の2,952条)
- 家事事件手続法(47条)
- 任意後見契約に関する法律(4条,8条,10条)
- 老人福祉法(32条,32条の2)
裁判例
- 最高裁判所第一小法廷決定令和4年6月20日(令和3年(許)第13号,閲覧謄写申立て却下決定に対する抗告却下審判に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件) 裁判所ウェブサイト
- 大阪高等裁判所決定平成14年6月5日(家庭裁判月報54巻11号54頁,原審:神戸家庭裁判所尼崎支部審判平成13年7月2日・同誌58頁) 裁判所HP未掲載,判例秘書INTERNETで確認(平成13年(ラ)第1076号)
- 大阪高等裁判所決定平成24年9月6日(家庭裁判月報65巻5号84頁,原審:神戸家庭裁判所尼崎支部審判平成24年6月8日・同誌96頁) 裁判所HP未掲載,判例秘書INTERNETで書誌確認
- 福岡高等裁判所決定平成29年3月17日(判例時報2372号47頁,原審:福岡家庭裁判所審判平成28年10月27日・同誌51頁) 裁判所HP未掲載,判例秘書INTERNETで書誌確認
- 高松高等裁判所決定令和元年12月13日(判例時報2478号70頁,原審:徳島家庭裁判所阿南支部) 裁判所HP未掲載,判例秘書INTERNETで書誌確認
- 水戸家庭裁判所審判令和2年3月9日(判例時報2490号44頁) 裁判所HP未掲載,判例秘書INTERNETで書誌確認
公文書
- 大阪家庭裁判所家事第4部(後見センター)「大阪家裁後見センターだより」第1回~第51回,月刊大阪弁護士会掲載(司法行政文書開示請求により取得)
- 大阪家庭裁判所家事第4部「本人死亡後の後見等監督に関する運用について」(平成30年7月13日),「財産管理人選任事件申立てQ&A」(令和元年7月,同年11月改訂)(司法行政文書開示請求により取得)
- 大阪家庭裁判所後見センター編『大阪家庭裁判所後見センターだより』(大阪弁護士協同組合,2025年)1頁,3頁,195頁,208頁,211頁,243頁,255頁,260頁,284頁,286頁~291頁,306頁~307頁
- 大阪家庭裁判所「成年後見」(令和8年9月19日閲覧)
- 大阪家庭裁判所「成年後見人・保佐人・補助人ハンドブック(Q&A付き)」(令和8年2月1日版)10頁,17頁,19頁,23頁~24頁,27頁,30頁,36頁,40頁~41頁,書式集No.4-1
統計
- 最高裁判所事務総局家庭局「成年後見関係事件の概況」各年版
- 最高裁判所ウェブサイト公表資料「後見人等による不正事例」
ウェブ資料
- 大阪意思決定支援研究会「意思決定支援を踏まえた成年後見人等の事務に関するガイドライン」(平成30年3月策定,令和2年3月及び令和6年12月補訂) 大阪弁護士会ウェブサイト(補訂のお知らせ)