第1 結論と本記事の対象
1 就任前は辞退の申入れ,就任後は家庭裁判所の許可が問題となること
結論として,信託銀行が遺言執行者への就職をまだ承諾していない段階では,相続人等が事情と後任案を示し,信託銀行に就任辞退を申し入れる余地がある。
これに対し,就職承諾後は,信託銀行自身が正当な事由を示して家庭裁判所の許可を得なければ辞任できず,相続人全員の希望だけで当然に交代させられるわけではない(民法1019条2項)。
したがって,最初に確認すべき事項は,①信託銀行が就職を承諾したか,②承諾した場合はその日及び通知,③未了事務,④辞退又は辞任時の費用,⑤後任の要否及び候補者である。
相続人からの死亡連絡,遺言書の開示又は財産資料の提出だけで,就職承諾の有無を推測してはならない。
2 調査基準日及び対象範囲
本記事は,令和8年9月4日現在の民法,信託法,裁判所の手続案内,信託協会の説明及び金融機関の公表資料を基礎とする。
個別案件では,遺言書,遺言執行者指定・保管に関する契約,約款,重要事項説明書,最新の料金表及び相続開始後の通知を読み合わせる必要がある。
3 銀行サービスとしての「遺言信託」と信託法上の信託を区別すること
信託銀行の商品名である「遺言信託」は,一般に,遺言書作成の相談,保管及び遺言執行を組み合わせたサービスを指す。
これとは別に,信託法3条2号は,遺言によって財産を受託者へ移し,一定の目的に従って管理・処分させる信託を定めており,両者の法的構造は同一ではない。
本記事が扱うのは,信託銀行が公正証書遺言で遺言執行者に指定され,銀行サービスとして遺言執行を予定している場面である。
遺言に信託設定条項がある場合は,遺言執行者の就任とは別に,受託者による信託の引受け及び後継受託者の問題を検討する必要があり,制度全体の区別は「遺言信託(AI作成)」で説明している。
第2 辞退,辞任及び解任の違い
1 就職承諾前の「辞退」
公正証書遺言に信託銀行が遺言執行者として記載されていても,指定だけで当然に就任するわけではない。
指定された者が就職を承諾するかどうかはその者の判断に委ねられており,承諾前に引受けを断ることを,本記事では「就任辞退」と呼ぶ。
民法1007条1項は,遺言執行者が就職を承諾したときは直ちに任務を行うと定め,同条2項は,任務を開始したときは遅滞なく遺言の内容を相続人に通知すると定める。
信託銀行の就職通知の有無だけでなく,承諾を示す書面,送付日,銀行の回答及び既に行われた事務を確認すべきである。
2 就職承諾後の「辞任」
信託銀行が就職を承諾した後は,自由な辞退ではなく,遺言執行者の辞任が問題となる。
民法1019条2項により,遺言執行者は,正当な事由があるときに限り,家庭裁判所の許可を得て任務を辞することができる。
辞任許可を申し立てる主体は,辞任しようとする遺言執行者である。
相続人等は,信託銀行へ辞任を求め,申立てに必要な事情,後任候補及び引継計画を提供できるが,信託銀行に代わって同項の辞任許可を申し立てることはできない。
3 利害関係人による「解任」
信託銀行が辞任に応じない場合,相続人等の利害関係人が利用し得る裁判上の制度は,民法1019条1項の解任請求である。
同項は,遺言執行者が任務を怠ったときその他正当な事由があるときを要件としているため,単に費用を節約したいこと又は相続人全員が別の者を希望することだけで,当然に解任できるとはいえない。
辞任と解任は,申立人も要件も異なる。
任務懈怠等を示す資料がないのに,交渉上の希望を解任事由へ置き換えるべきではない。
4 遺言執行契約の精算と遺言上の指定は別問題であること
銀行サービスの契約を解約又は精算することと,公正証書遺言に基づく遺言執行者への就職を辞退し,又は就任後に辞任することは,別の法的問題である。
契約上の精算だけで遺言上の指定が消えると決め付けず,信託銀行の就任意思を示す書面と契約終了の書面をそれぞれ取得すべきである。
第3 信託銀行に辞退又は辞任してもらうメリット
1 未発生の遺言執行報酬を減らせる可能性があること
最大の利点は,信託銀行の遺言執行報酬のうち,まだ発生していない部分を回避し,後任の報酬を含む総費用を下げられる可能性があることである。
もっとも,当初手数料,保管料,精算費,辞任時までの執行報酬又は実費が残る契約もあるため,銀行の報酬全額がなくなると考えてはならない。
2 残る事務に適した担い手を選べること
相続財産の種類,受遺者の有無,紛争性及び未了事務に応じて,必要な業務だけを引き受ける後任候補を選べることがある。
報酬額だけでなく,利益相反の有無,連絡方法,換価方針,税理士・司法書士との連携及び紛争が生じた場合の対応範囲を比較すべきである。
3 既に大半の手続が終わっている場合に役割を絞れること
相続開始後の財産状況が遺言作成時と変わり,遺言執行の対象又は必要な事務が少なくなっている場合,従来の包括的なサービスが現在の作業量に見合わないことがある。
ただし,作業量が減ったことが契約上の報酬減額,法定の辞任事由又は解任事由になるかは別問題であり,料金条項と進行段階を確認する必要がある。
第4 信託銀行に辞退又は辞任してもらうデメリットとその限界
1 信託銀行でなければできない遺言執行は限られること
「日弁連と信託協会の協議会合意書(平成6年2月22日付)」は,信託銀行が取り扱う相続関連業務について,①遺言書作成に関する相談業務,②遺産整理業務及び③遺言執行業務に分け,それぞれの取扱範囲と留意点を具体的に区切っている(自由と正義1994年5月号86頁~88頁)。
同合意書によれば,遺言書作成に関する相談業務は,遺言による信託の引受け又は遺言執行者への就任の可能性がある事案について,遺言書の作成に通常必要とされる事項の相談に応じるものである。
本人と推定相続人等との間に現に法的紛争がある場合又は法的紛争が生じる蓋然性が極めて高い場合には,相談に応じないものとされている。
遺産整理業務についても,相続人が遺産整理及び分割協議を進めるための判断材料や参考案を提供し,相続人全員の意見が一致した場合に分割協議の文書化へ協力する範囲にとどまる。
分割協議がまとまらないときは業務を打ち切り,信託銀行が遺産分割案を作成・提示したり,調停工作に関与・助力したりすることを避け,相続債権・債務について示談交渉を伴う取立て又は履行を行わないものとされている。
遺言執行業務について,同合意書が信託銀行の業務として確認しているのは「財産に関する遺言」の執行である。
同じ遺言書に身分行為に関する事項が併記されている場合には両者を分離できる段階で財産に関する事項を執行し,就任前に既に法的紛争が生じていて執行が著しく困難な場合には就任しないものとされている。
このように,同合意書は,信託銀行が相続人間の紛争解決,遺産分割の調整又は身分行為まで包括的に引き受けることを予定していない。
通常の遺言執行で行う財産調査,財産目録の作成,財産の管理・処分,名義変更及び引渡しは相応の事務量を伴うものの,信託銀行だけが実施できる特殊な内容ではない。
したがって,対象財産と遺言条項が単純であり,紛争がなく,適切な後任を確保できる事案では,信託銀行が外れることの不利益を過大に評価する必要はない。
もっとも,多数の金融資産,換価の難しい財産,広範な名義変更又は長期の管理を要する事案では,組織として記録と事務を引き継ぐ継続性が有用な場合がある。
信託銀行を外す不利益は,銀行という肩書だけで判断せず,実際に残っている事務の内容と代替可能性によって判断すべきである。
2 手続の遅延と二重費用は就職承諾後に問題となること
手続の遅延と二重費用が現実に問題となるのは,主として,就職承諾後に信託銀行が辞任する場合である。
就職承諾後の辞任には家庭裁判所の許可が必要となり,後任選任,記録の引継ぎ及び金融機関等への再度の資格提示にも時間を要する。
既に行われた財産調査等の費用に加えて,後任報酬,裁判手続費用及び引継費用が生じれば,当初の想定より総費用が増えることもある。
これに対し,いわゆる「就職前の辞任」は,本記事の用語では就職承諾前の「就任辞退」に当たる。
信託銀行が就職を承諾せず,財産調査,財産目録の作成その他の執行事務にも着手しておらず,後任を速やかに確保できる場合には,家庭裁判所の辞任許可,着手済み事務のやり直し及び記録の引継ぎはいずれも必要とならない。
そのため,この段階での就任辞退では,手続の遅延と二重費用は通常問題とならない。
ただし,就職承諾前でも,契約上の精算費,死亡後の事前調査費又は実費が発生していることがあり,後任が決まらなければ民法1010条の選任申立てを要する場合もある。
実際の影響は,就職承諾の有無,着手済み事務,費用条項及び後任の確保状況を確認して判断すべきである。
3 遺言の内容そのものは変わらないこと
遺言執行者が交代しても,遺言による財産の帰属,遺贈その他の実体的な内容が当然に変更されるわけではない。
誰が執行するかという問題と,遺言と異なる財産分配が可能かという問題を混同してはならず,後者は相続人,受遺者,遺言執行者の権限及び個別の遺言条項を別に検討する必要がある。
4 銀行の辞退又は裁判所の許可を確実に得られるわけではないこと
就職承諾前であっても,相続人等が一方的に信託銀行へ辞退を命じることはできない。
就職承諾後は,信託銀行が辞任申立てに協力するかに加え,家庭裁判所が正当な事由を認めるかという不確実性がある。
第5 就職承諾前に辞退を求める具体的方法
1 最初に就職判断の保留と現在の状態を確認すること
相続開始を信託銀行へ連絡した後,辞退を検討する場合は,担当部署へ速やかに「就職の判断前に協議したい」旨を伝え,書面又は電子メールでも残すことが考えられる。
その際は,死亡連絡日,遺言書開示日,就職通知の発送予定,既に着手した事務及び費用発生の基準時を確認する。
三菱UFJ信託銀行が公表する手続の流れでは,死亡の通知,遺言書の開示,相続人及び財産変動等による実現可能性の調査・確認を経て,遺言執行者へ就職するとされている。
この公表例からも,死亡連絡と就職承諾を同じ時点と扱わず,実際の銀行の通知と約款を確かめる必要がある。
あわせて,遺言執行者の指定及び遺言書の保管に関する契約書並びに約款に,就職辞退に関する条項が置かれていないかを確認する。
契約書が手元にない場合でも,相続人は,信託銀行に対して契約書の写し及び適用される約款の交付を求めることが考えられる。
辞退に関する条項が置かれている場合,信託銀行へ伝えるべきなのは辞退の希望そのものではなく,その条項が定める事由に当たる客観的な事情である。
第4の1でみたとおり,日弁連と信託協会の協議会合意書は,就任前に既に法的紛争が生じていて執行が著しく困難な場合には就任しないものとしているから,遺言作成後に対象財産の種類,数量又は権利関係が変わったこと及び相続人又は受遺者の間に現に意見の相違があることは,いずれも整理して伝える価値がある。
もっとも,これらの事情を伝えることは,紛争を作り出して辞退を迫ることを意味しない。事実と資料を対応させ,評価を加えずに示すべきである。
2 最初の照会を民法1008条の催告と混同させないこと
民法1008条は,相続人その他の利害関係人が相当の期間を定めて就職承諾の確答を催告できるとし,期間内に確答がないときは承諾したものとみなす。
したがって,辞退の可能性を協議したい段階で,同条の催告として一定期間内の確答を求めると,沈黙による承諾という目的と逆の効果を生じ得る。
実務上は,最初の文書を就任状況と契約条件の「照会」にとどめ,「本書は民法1008条に基づく就職承諾の催告ではない」旨を記載することが考えられる。
もっとも,文書の法的性質は表題だけで決まるものではないため,確答期限を設けるか,何を回答対象とするかを含めて内容を点検すべきである。
3 辞退の申入れには理由と後任案を一緒に示すこと
辞退の申入書には,①就職辞退を求める理由,②相続人及び受遺者の意向,③未了の遺言執行事務,④後任候補者の氏名・資格・就任意思,⑤費用見積り,⑥引継方法,⑦期限のある手続への対応を記載することが考えられる。
相続人全員の同意は民法が定める就任辞退の要件ではないが,意向が分かれている場合は後任の執行が停滞する可能性があるため,各人の意向を正確に示す実務上の意味がある。
4 辞退と精算の結果を書面化すること
信託銀行が辞退する場合は,①就職を承諾しない旨,②決定日及び通知先,③既に行った事務,④請求する手数料・実費と根拠条項,⑤預かった遺言書・戸籍・財産資料等の返還先,⑥関係機関への連絡,⑦後任への引継範囲を書面で確認すべきである。
辞退の口頭回答だけで手続を終えず,遺言執行者がいない状態となった日と,契約上の精算が終わった日を区別して記録する。
第6 就職承諾後に辞任を求める具体的方法
1 信託銀行へ辞任許可申立てを求めること
就職承諾後は,信託銀行に対し,辞任を求める理由,関係者の意向,現在までの執行状況,後任候補及び引継計画を文書で示し,民法1019条2項に基づく辞任許可申立てを検討するよう求める。
相続人等の同意書は協議経過を示す資料にはなるが,家庭裁判所の許可に代わるものではない。
2 正当な事由と事務の空白を生じさせない事情を整理すること
信託銀行が申立てを行う場合は,辞任を必要とする事情だけでなく,財産目録の交付状況,換価・名義変更の進行状況,保管中の財産及び書類,期限のある手続並びに後任への引継可能性を整理する必要がある。
辞任許可前に信託銀行が任務を終えたものと扱わず,許可の効力発生時点と引継完了時点を確認すべきである。
三菱UFJ信託銀行の公表料金ページは,就職通知発送後に家庭裁判所が辞任を認めた場合の報酬を,財産目録交付前,交付後及び全財産の名義変更・換金後という進行段階別に定めている。
この例は,辞任時の費用が執行の進行度により大きく異なり得ることを示すが,他の銀行又は別の契約へそのまま当てはめることはできない。
3 信託銀行が辞任申立てに応じない場合
信託銀行が辞任に応じないときは,まず,約款,報酬計算,未了事務及び辞任を求める理由について回答を求め,交渉で解決できる余地を確認する。
交渉がまとまらない場合でも,相続人等が任意に遺言執行者を交代させることはできず,解任を求めるのであれば民法1019条1項の任務懈怠その他の正当な事由を具体的資料で示す必要がある。
解任手続を選ぶ前に,予想される期間と費用,現遺言執行者による執行を継続した場合の費用及び遅延による不利益を比較すべきである。
費用節約のために解任を争った結果,かえって総費用と処理期間が増える可能性も考慮する必要がある。
第7 辞退又は辞任後の後任を確保する方法
1 遺言書に予備的な遺言執行者の指定があるかを確認すること
最初に,公正証書遺言の全文を読み,信託銀行が就任しない場合の予備的な遺言執行者,遺言執行者を指定すべき者又は複数の遺言執行者に関する条項があるかを確認する。
予備的指定がある場合でも,その候補者の就任意思,欠格事由,報酬,利益相反及び実際に処理できる事務を確認する必要がある。
2 家庭裁判所へ遺言執行者選任を申し立てること
遺言執行者がいないとき,又はいなくなったときは,民法1010条により,家庭裁判所は利害関係人の請求によって遺言執行者を選任できる。
裁判所の案内によれば,申立人は相続人,遺言者の債権者,受遺者等の利害関係人であり,申立先は遺言者の最後の住所地の家庭裁判所である。
申立費用は,執行対象となる遺言書1通につき収入印紙800円分と,裁判所ごとに異なる連絡用郵便料である。
標準的な添付書類は,遺言者の死亡記載のある戸籍,候補者の住民票又は戸籍附票,遺言書写し及び利害関係を示す資料であり,審理に応じて追加資料を求められることがある。
候補者を示しても,家庭裁判所が必ずその候補者を選任するとは限らない。
候補者の経歴,就任承諾,報酬案,利益相反の有無,執行計画及び信託銀行からの引継可能性を準備することが考えられる。
3 後任選任が必要かを遺言条項ごとに確認すること
遺言執行者が不在となった後に新たな遺言執行者が必要かは,遺言が命じる行為,遺贈の有無,財産の名義及び関係者の状況によって異なる。
民法1012条は遺言執行者に遺言実現のための管理その他必要な一切の行為をする権利義務を与え,同法1013条は遺言執行を妨げる相続人の行為を制限しているため,後任を置くかどうかを費用だけで決めるべきではない。
第8 費用を比較する方法
1 既払額ではなく今後の総費用を比較すること
本記事では,辞退又は辞任による経済的効果を,「回避できる銀行の未発生報酬」から「銀行への精算費・辞任時報酬,後任報酬,裁判・引継費用及び遅延リスク」を差し引いて比較する。
既に返還されない手数料は別欄に置き,将来どちらの選択をしても戻らない金額を,交代案だけの追加費用として二重計上しない。
2 公開料金は契約確認の着眼点として使うこと
りそな銀行の公表ページは,執行基本コースについて,途中解約又は同行が執行を辞退する場合の精算費を16万5000円とし,取扱手数料は返金しないとしている。
また,三菱UFJ信託銀行の公表ページは,表示上の基準日を2019年10月1日とし,就職通知発送後に家庭裁判所が辞任を認めた場合の報酬を進行段階別に掲げている。
これらは,各契約で確認すべき費目と基準時を示す公表例であり,特定の契約の金額を証明するものではない。
実際の負担額は,契約締結時及び相続開始時に適用される契約書,約款,商品概要説明書,料金表並びに銀行の計算書で確認すべきである。
3 費用条項の確認項目
確認項目は,①取扱手数料・保管料の返金,②就任辞退時の精算費,③就任承諾時点,④財産目録交付前後の報酬,⑤途中辞任時の報酬計算,⑥不動産処分・多数財産等の特別報酬,⑦税理士・司法書士等の別費用,⑧後任への引継費用,⑨消極財産を控除するか,⑩銀行グループ預かり資産の料率である。
口頭の概算だけで比較せず,計算対象財産と基準日を明示した書面の見積りを取得することが考えられる。
第9 相談時に作る確認資料
1 最初に集める資料
最初に集める資料は,①公正証書遺言の全文,②遺言執行者指定・遺言書保管に関する契約及び約款,③重要事項説明書,④契約時及び現在の料金表,⑤死亡通知・遺言開示・就職通知に関する書面,⑥財産目録・進捗報告,⑦相続財産と受遺者の一覧,⑧後任候補の就任承諾及び見積りである。
文書名だけで内容を推測せず,適用される版,別紙及び改定条項まで確認する。
2 時系列表と費用比較表を分けること
時系列表には,死亡連絡,遺言開示,就職承諾,財産調査,目録交付,換価・名義変更,辞退又は辞任の協議及び裁判所の許可を並べる。
費用比較表には,銀行を継続する場合と交代する場合について,確定額,見積額,発生条件,返金の有無及び負担者を分けて記載する。
3 交代手続を進める前の停止基準
就職承諾の有無,辞退・辞任時の費用又は後任の就任意思が確認できない間は,交代によって費用が下がると結論付けるべきではない。
また,財産保全,換価,税務又は登記に期限がある場合は,辞退・辞任の協議と並行して,誰がどの権限で期限管理を行うかを明確にする必要がある。
第10 関連記事
「遺言信託(AI作成)」では,銀行サービスとしての遺言信託,信託法上の遺言による信託及び遺言代用信託の違い,銀行の業務範囲並びに一般的な費用確認を説明している。
「公正証書遺言の原本・正本・謄本-電子化後の違いと請求できる人」では,相続開始後に遺言書の正本等又は謄本等を取得する場合の区別を説明している。
第11 出典・参考資料
1 法令
① e-Gov法令検索「民法」1007条,1008条,1010条~1013条,1018条~1021条-就職承諾,催告,選任,権限,報酬,辞任・解任及び費用
② e-Gov法令検索「信託法」3条~6条-遺言による信託,効力発生,受託者への催告及び受託者選任
2 裁判所の手続案内
① 最高裁判所「遺言執行者の選任」-申立人,管轄,費用及び標準的な添付書類
3 職能団体による解説
① 一般社団法人信託協会「よくあるご相談-遺言・相続関連業務」-信託銀行等の遺言執行業務及び就任辞退
② 一般社団法人信託協会「遺言信託」-銀行サービスの内容及び費用の一般的説明
③ 「日弁連と信託協会の協議会合意書(平成6年2月22日付)」(自由と正義1994年5月号86頁~88頁)-信託銀行が取り扱う遺言書作成相談,遺産整理及び遺言執行の範囲
4 金融機関の公式商品資料
① 三菱UFJ信託銀行「遺言信託[遺心伝心]-お手続きの流れ」-死亡通知から就職,財産目録作成及び執行までの公表手順
② 三菱UFJ信託銀行「遺言信託[遺心伝心]-費用」(ページ表示上は2019年10月1日現在)-辞任時を含む公表料金例
③ りそな銀行・埼玉りそな銀行「遺言信託の手数料」-就任辞退時の精算費及び公表料金例