第1 この記事の対象と既存記事との役割分担
1 令和元年7月1日以後に開始した相続を扱うこと
民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律(平成30年法律第72号)の附則第2条は「この法律の施行の日(以下「施行日」という。)前に開始した相続については、この附則に特別の定めがある場合を除き、なお従前の例による。」と定める。
遺留分に関する改正規定は同法附則第1条ただし書の各号に掲げられておらず、法務省が公表する原則的な施行期日である2019年7月1日から施行された。
したがって、被相続人の死亡日が令和元年7月1日以後であれば、金銭の支払を求める遺留分侵害額請求として処理する。
判定の基準は相続開始日であって、判決の年でも権利行使の年でもない。
逆に、判決が令和6年や令和7年であっても、相続開始が施行日より前であれば旧法の遺留分減殺請求として処理される。
2 旧法と変わった点と変わらなかった点
改正の中心は、権利の性質が物権的効果から金銭債権へ変わったことである。
民法1046条1項は「遺留分権利者及びその承継人は、受遺者…又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる」と定める。
その結果、旧法で最も誤りが生じやすかった減殺率の分母の選択という問題は、計算の手順から消えた。
もっとも、変わらなかった部分も多い。
基礎財産の算式(1043条1項)は旧1029条とほぼ同文であり、負担の順序(1047条1項各号)も旧1033条から1035条までと同じ構造である。
遺留分の放棄に関する1049条は旧1043条と同文で、第2項の「共同相続人の一人のした遺留分の放棄は、他の各共同相続人の遺留分に影響を及ぼさない」という規律も維持されている。
実質的に変わったのは、後述する贈与の加算期間、負担の限度の条文化、価額弁償に代わる期限の許与の4点に整理できる。
3 既存記事との役割分担
旧法の計算方法そのものは旧法の遺留分減殺請求の計算方法―基礎財産・侵害額・減殺率と判例タイムズ1345号の計算シートで扱っている。
減殺の順序は旧法の遺留分減殺請求の順序―遺贈・死因贈与・生前贈与と通知の先後、遺産の評価時点は旧法事案の遺留分減殺請求における遺産の評価基準時で扱っている。
この記事は新法の金額の算定過程に絞り、旧法との違いが実務にどう表れるかを併せて示す。
第2 遺留分を算定するための財産
1 条文と算式
民法1043条1項は「遺留分を算定するための財産の価額は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与した財産の価額を加えた額から債務の全額を控除した額とする」と定める。
条件付きの権利又は存続期間の不確定な権利は、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価による(同条2項)。
この段階の構造は旧法と同じであり、評価の基準時も相続開始時である。
評価の方法について、東京地方裁判所令和7年8月28日判決(令和5年(ワ)第6427号)は、株式に関し「遺留分算定の基礎となる財産は相続開始時の客観的な交換価値又は取引価格により評価すべきであるから(民法1043条1項参照)」として、相続税申告で用いられる評価方法を採らず、相続開始日の株価によった。
相続税の評価額をそのまま持ち込めない点は、旧法と共通である。
2 相続人に対する贈与が10年に限られたこと
基礎財産に加算する贈与の範囲は、改正で実質的に変わった。
1044条1項は相続開始前1年間の贈与に限って加算するとし、当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは1年前の日より前のものも加算するとする。
ここまでは旧1030条と同文である。
これに対し、1044条3項は相続人に対する贈与について「一年」を「十年」と読み替え、さらに「婚姻若しくは養子縁組のため又は生計の資本として受けた贈与の価額に限る」と限定した。
旧法では、最高裁判所第三小法廷平成10年3月24日判決(民集第52巻2号433頁)により、相続人に対する特別受益の贈与は期間の制限なく加算されていた。
新法では、相続開始の10年より前にされた贈与は、悪意が認められない限り基礎財産に入らない。
古い贈与を主張して基礎財産を膨らませる構成は、新法では通りにくくなった。
もっとも、相続人でない者に対する贈与を「実質的に相続人に対する贈与」として取り込めるかは別問題として残る。
前記東京地方裁判所令和7年8月28日判決は、被告の長女(被相続人の孫)に対する大学の授業料等について、「被告の長女は被相続人の相続人ではないことから、同人に対する贈与は、それが実質的にみて相続人に対する贈与に当たると評価するに足りる事情が認められない限りは、被告との関係で特別受益には当たらない」とし、あわせて祖母の孫に対する扶養義務の履行の一部ともみられるとして否定した。
3 負担付贈与と不相当な対価
負担付贈与がされた場合の贈与財産の価額は、目的の価額から負担の価額を控除した額である(1045条1項)。
不相当な対価をもってした有償行為は、当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知ってしたものに限り、当該対価を負担の価額とする負担付贈与とみなされる(同条2項)。
旧1038条・旧1039条を整理したもので、当事者双方の悪意を要件とする点は変わっていない。
第3 遺留分額
1 総体的遺留分に法定相続分を乗じること
1042条1項は、総体的な遺留分を直系尊属のみが相続人である場合は3分の1、それ以外の場合は2分の1とする。
同条2項は「相続人が数人ある場合には、前項各号に定める割合は、これらに第九百条及び第九百一条の規定により算定したその各自の相続分を乗じた割合とする」と定める。
旧1028条は「被相続人の財産の三分の一」「被相続人の財産の二分の一」という書き方で、個別化は旧1044条による900条・901条の準用から導いていた。
新法は基礎財産の価額に明示的に結び付け、個別的遺留分率も条文で示したため、条文だけで遺留分額を出せるようになった。
2 遺留分の放棄は他の相続人に影響しないこと
相続の開始前における遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を受けたときに限り効力を生ずる(1049条1項)。
共同相続人の一人がした遺留分の放棄は、他の各共同相続人の遺留分に影響を及ぼさない(同条2項)。
放棄によって他の相続人の遺留分が増えることはないという点は、相続放棄との違いとして押さえておく必要がある。
相続放棄をした者は初めから相続人でなかったものとされるため、遺留分権利者の頭数から外れ、他の権利者の個別的遺留分率は上がる。
第4 遺留分侵害額
1 民法1046条2項の算定式
1046条2項は、1042条による遺留分から次の①②を控除し、③を加算して遺留分侵害額を算定するとする。
①遺留分権利者が受けた遺贈又は903条1項に規定する贈与の価額
②900条から902条まで、903条及び904条の規定により算定した相続分に応じて遺留分権利者が取得すべき遺産の価額
③被相続人が相続開始の時において有した債務のうち、899条の規定により遺留分権利者が承継する債務の額
旧法では、この算定式は最高裁判所第三小法廷平成8年11月26日判決(民集第50巻10号2747頁)が判例として示していた。
新法はこれを条文に取り込んだものであり、算定の骨格自体は変わっていない。
前記東京地方裁判所令和7年8月28日判決は、相続人3名・各法定相続分3分の1・各個別的遺留分割合6分の1の事案で、基礎財産を5699万4508円と認定した上、「原告が受けた遺贈又は贈与、原告が被相続人の相続により取得した財産、原告が承継する相続債務はいずれもないから、遺留分侵害額は、上記遺留分算定の基礎となる財産の額の6分の1である949万9084円である」とした。
控除項目も加算項目もない最も単純な形であり、1円未満を切り捨てた結果と一致する。
2 寄与分が反映されないこと
1046条2項2号が引用するのは900条から902条まで、903条及び904条であって、904条の2は引用されていない。
904条の2は寄与分の規定であるから、寄与分は遺留分侵害額の算定に反映されない。
これは条文の文言から直接導かれる帰結であり、旧法下で通説とされていた結論と同じである。
被相続人の療養看護に努めた相続人が、その貢献を理由に遺留分侵害額を減らすことはできない。
3 承継債務を加算すること
③により、遺留分権利者が承継する相続債務は侵害額に加算される。
旧法では、財産全部を相続させる旨の遺言があった場合に、最高裁判所第三小法廷平成21年3月24日判決(民集第63巻3号427頁)により、遺留分権利者の法定相続分に応じた相続債務を加算することが許されないとされていた。
新法の下でも、そのような遺言により受益相続人が債務も全部承継すると解される場合には、遺留分権利者が「899条の規定により承継する債務」自体が存在しないことになるから、結論として加算されない場面はなお生じ得ると考えられる。
第5 受遺者・受贈者が負担する額
1 負担の限度
1047条1項柱書は、受遺者又は受贈者が遺贈又は贈与の目的の価額を限度として遺留分侵害額を負担するとした上で、括弧書きで「受遺者又は受贈者が相続人である場合にあっては、当該価額から第千四十二条の規定による遺留分として当該相続人が受けるべき額を控除した額」とする。
旧法では、相続人に対する遺贈について、当該相続人の遺留分額を超える部分のみが減殺の対象になるとされていた(最高裁判所第一小法廷平成10年2月26日判決・民集第52巻1号274頁)。
新法はこれを条文化したものである。
控除されるのは遺留分侵害額ではなく1042条の遺留分額であるから、受遺者側の代理人は自らの遺留分額を先に算出しておく必要がある。
2 負担の順序
1047条1項各号は、①受遺者と受贈者とがあるときは受遺者が先に負担し、②受遺者が複数あるとき又は受贈者が複数ある場合においてその贈与が同時にされたものであるときはその目的の価額の割合に応じて負担し(遺言者が別段の意思を表示したときはその意思に従う)、③受贈者が複数あるときは後の贈与に係る受贈者から順次前の贈与に係る受贈者が負担するとする。
旧1033条から旧1035条までと同じ順序であり、この点は改正されていない。
同条2項により、負担額の算定にも904条、1043条2項及び1045条が準用されるため、基礎財産の評価と同じルールで目的の価額を評価する。
3 承継債務の弁済と受遺者の無資力
1047条3項は、請求を受けた受遺者又は受贈者が遺留分権利者承継債務について弁済その他の債務を消滅させる行為をしたときは、「消滅した債務の額の限度において、遺留分権利者に対する意思表示によって第一項の規定により負担する債務を消滅させることができる」とし、その場合に取得した求償権も同額の限度で消滅するとする。
遺留分権利者が承継した債務を受遺者側が肩代わりしたときに、金銭債務と一括して清算する仕組みである。
消滅させるには意思表示が必要であるから、弁済しただけで自動的に減るわけではない。
受遺者又は受贈者の無資力によって生じた損失は、遺留分権利者の負担に帰する(同条4項)。
回収不能のリスクを負うのは遺留分権利者であり、複数の負担者がいる場合でも、無資力者の分を他の負担者へ回すことはできない。
4 裁判所による期限の許与
1047条5項は「裁判所は、受遺者又は受贈者の請求により、第一項の規定により負担する債務の全部又は一部の支払につき相当の期限を許与することができる」と定める。
旧法の価額弁償に代わる受遺者側の防御手段であり、請求がなければ裁判所が職権で許与することはできない。
国会審議では、この規定の趣旨について法務省から答弁がされている。
遺留分権利者から金銭請求を受けた受遺者等が直ちに金銭を準備できない場合の不都合を解消することを目的とするものであり、遺贈等の目的財産が直ちには換価することが難しい財産であって受遺者等に十分な資力がない場合には適用があり得る、許与される期限も受遺者等の資力や目的財産を売却して資金を調達するのに要する通常の期間などを考慮して定められることになる、という内容である。
分割払を認める趣旨かを問われた点についても答弁がある。
法務省は、明示的に分割払を許容する規定にはなっていないとしつつ、一部の支払について相当の期限を許与できることから、1,000万円の金銭債務のうち500万円については一定の期日まで、残りの500万円についてはさらに後の期日まで期限を許与するという裁判も規定上否定されておらず、こうした手法により事実上分割払と異ならない支払を命ずる余地があるという趣旨を述べている。
受遺者側は、全額について一つの期限を求めるだけでなく、金額を区切って複数の期限を求める構成を検討する余地がある。
第6 遅延損害金と期間制限
1 遅延損害金の起算点と利率
遺留分侵害額請求権は期限の定めのない金銭債権であるから、民法412条3項の「債務の履行について期限を定めなかったときは、債務者は、履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負う」との規定により、履行の請求を受けた時から遅滞に陥ると考えられる。
利率は419条1項により「債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率」で固定される。
法定利率は404条2項により年3パーセントとされ、同条3項及び4項により3年ごとに変動する。
法務省は令和7年法務省告示第73号により基準割合を年0.4パーセントと告示し、第1期の基準割合0.7パーセントからの変動が1パーセント未満であるため、令和8年4月1日から令和11年3月31日までの期における法定利率は年3パーセントで据え置かれた。
ここに見落としやすい分岐がある。
民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号)の附則第17条第3項は「施行日前に債務者が遅滞の責任を負った場合における遅延損害金を生ずべき債権に係る法定利率については、新法第四百十九条第一項の規定にかかわらず、なお従前の例による」と定める。
同法の施行日は2020年4月1日であるから、新法の遺留分侵害額請求でありながら、履行の請求が2020年3月31日以前であれば遅延損害金は改正前の年5パーセントになる。
相続開始が2019年7月1日以後という条件と重なるのは約9か月間に限られるが、該当する事案では金額の差が生じる。
起算日は請求の趣旨に拘束される。
前記東京地方裁判所令和7年8月28日判決は、令和2年8月15日に遺留分侵害額請求の意思表示がされた事案で、主文において訴状送達の日の翌日である令和5年3月30日からの年3パーセントの遅延損害金を認めている。
意思表示の日から請求できる余地があった期間を落とさないよう、請求の趣旨を立てる段階で起算日を選ぶ必要がある。
2 民法1048条の1年の起算点
1048条は「遺留分侵害額の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から十年を経過したときも、同様とする」と定める。
旧1042条は「減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時」であり、文言が改められたが構造は同じである。
この点について、東京地方裁判所令和7年12月26日判決(令和6年(ワ)第31327号)は、「民法1048条は、旧民法1042条の体裁を変えておらず、相続関係の法律関係の早期確定の要請は変わらないから、遺留分侵害額請求の消滅時効の起算点についても、昭和13年判決、昭和57年判決の考え方が妥当する」として、旧法下の判例法理がそのまま新法にも及ぶとした。
そのうえで、「知った時」とは単に贈与又は遺贈の事実を知っただけでなく、それが遺留分を侵害するものであることを知った時と解し、一見して遺留分侵害が分かる遺言書を検認期日に提示された日を起算点として、1年経過後の権利行使を時効消滅とした。
ここでいう昭和57年判決は、最高裁判所第二小法廷昭和57年11月12日判決(民集第36巻11号2193頁)である。
同判決は、旧1042条にいう減殺すべき贈与があったことを知った時とは「贈与の事実及びこれが減殺できるものであることを知つた時」をいうとした上で、遺留分権利者が贈与の無効を訴訟上主張していても、被相続人の財産のほとんど全部が贈与されたことを認識していたときは、無効を信じていたため権利を行使しなかったことにもっともと認められる特段の事情のない限り、減殺できるものであることを知っていたと推認するのが相当であるとした。
遺言の効力を争う意向があっても、それだけで時効の進行が止まるわけではない。
なお、権利を行使して発生した金銭債権は、その後は166条1項の消滅時効に服する。
1048条の1年と、発生した金銭債権の時効とを混同しないよう区別しておく必要がある。
第7 現物で解決する場合の課税
1 代物弁済と譲渡所得
金銭の支払に代えて不動産等を移転すると代物弁済に当たり、譲渡所得課税が生じる。
所得税基本通達33-1の6は、民法1046条1項の請求があった場合において金銭の支払に代えて資産の移転があったときは「その履行をした者は、原則として、その履行があった時においてその履行により消滅した債務の額に相当する価額により当該資産を譲渡したこととなる」とする。
移転を受けた側は、消滅した債権の額に相当する価額でその資産を取得したことになる(同通達38-7の2)。
旧法との差は大きい。
旧法では減殺請求により物権的効果が生じ、遺留分権利者は遺贈の失効によって財産を取得したから、譲渡所得課税は生じなかった。
国税庁は、新法の下では受遺者が「遺留分侵害額に相当する金銭を支払うために…遺贈により取得した…宅地を譲渡(代物弁済)したもの」と考えられ、遺留分権利者は相続又は遺贈により取得したわけではないから小規模宅地等の特例の適用を受けられないとしている。
現物で解決すると、譲渡所得課税と特例の不適用という二つの不利益が生じ得る。
登記の面でも扱いが変わった。
法務省民二第68号(令和元年6月27日)は、改正により「従前の遺留分減殺を登記原因とする所有権の移転の登記の申請は、受理することができないこととなる」としている。
2 相続税の更正の請求と修正申告
相続税法32条1項3号は、更正の請求ができる事由として「遺留分侵害額の請求に基づき支払うべき金銭の額が確定したこと」を掲げる。
同項柱書は「当該各号に規定する事由が生じたことを知つた日の翌日から四月以内に限り」と定めており、期限は4か月である。
旧法の同号は「遺留分による減殺の請求に基づき返還すべき、又は弁償すべき額が確定したこと」であり、現物返還と価額弁償を書き分けていたが、4か月という期限は変わっていない。
方向を取り違えないよう注意を要する。
更正の請求をするのは金銭を支払った側であり、受け取った側は31条1項の修正申告又は30条1項の期限後申告による。
いずれも「することができる」と定められた規定である。
第8 新法の解釈を示した裁判例がほとんどないこと
新法の適用事案について、裁判所ウェブサイトに掲載された裁判例は極めて少ない。
同サイトの裁判例検索で「遺留分」を検索すると130件が該当するが、裁判年月日が令和元年7月1日以後のものは16件にとどまり、そのうち改正後の民法が適用された事案は最高裁判所第一小法廷令和5年10月26日決定(民集第77巻7号1911頁)の1件だけである。
しかも同決定の判断対象は特別寄与料であり、「遺言により相続分がないものと指定された相続人は、遺留分侵害額請求権を行使したとしても、特別寄与料を負担しない」とするものである。
1046条2項の算定式、1044条3項の10年、1047条の負担の限度・順序及び同条5項の期限の許与について、判断を示した裁判例は確認できなかった。
これは裁判例が存在しないことを意味しない。
裁判所ウェブサイトの掲載区分は最高裁判所判例集、高等裁判所判例集、下級裁判所裁判例速報、行政事件、労働事件及び知的財産事件であり、遺留分侵害額請求訴訟のような通常の地方裁判所の民事判決は、ごく一部しか採録されない。
本記事で引用した東京地方裁判所の2件も、いずれも裁判所ウェブサイトには掲載されておらず、判例秘書で全文を確認したものである。
新法の運用を調べるには、商用データベースや判例雑誌に当たる必要がある。
第9 出典・参考資料
1 法令
①民法(明治29年法律第89号)166条,404条,412条,419条,899条,900条から904条まで,1042条から1049条まで(e-Gov法令検索)
②民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律(平成30年法律第72号)附則1条・2条(民法の附則としてe-Gov法令検索に収録)
③民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号)附則17条3項(同上)
④平成30年法律第72号による改正前の民法1028条から1044条まで(e-Gov法令検索の令和元年6月30日時点の版)
⑤相続税法(昭和25年法律第73号)30条1項,31条1項,32条1項(e-Gov法令検索)
2 裁判例
①最高裁判所第一小法廷令和5年10月26日決定(令和4年(許)第14号,民集第77巻7号1911頁,裁判所ウェブサイト)
②最高裁判所第三小法廷平成8年11月26日判決(平成5年(オ)第947号,民集第50巻10号2747頁,裁判所ウェブサイト)
③最高裁判所第一小法廷平成10年2月26日判決(平成9年(オ)第802号,民集第52巻1号274頁,裁判所ウェブサイト)
④最高裁判所第三小法廷平成10年3月24日判決(平成9年(オ)第2117号,民集第52巻2号433頁,裁判所ウェブサイト)
⑤最高裁判所第三小法廷平成21年3月24日判決(平成19年(受)第1548号,民集第63巻3号427頁,裁判所ウェブサイト)
⑥最高裁判所第二小法廷昭和57年11月12日判決(昭和54年(オ)第907号,民集第36巻11号2193頁,裁判所ウェブサイト)
⑦東京地方裁判所令和7年8月28日判決(令和5年(ワ)第6427号。裁判所HP未掲載。判例秘書により全文確認)
⑧東京地方裁判所令和7年12月26日判決(令和6年(ワ)第31327号。裁判所HP未掲載。判例秘書により全文確認)
⑨大審院昭和13年2月26日判決(民集17巻275頁。東京地方裁判所令和7年12月26日判決が引用するもの)
3 公的資料
①法務省「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律について(相続法の改正)」(原則的な施行期日を2019年7月1日とする記載を参照)
②法務省「令和8年4月1日以降の法定利率について」(令和7年法務省告示第73号。基準割合年0.4パーセント)
③国税庁「遺留分侵害額の請求に基づく金銭の支払に代えて土地を移転した場合の課税関係」(質疑応答事例)
④国税庁「遺留分侵害額の請求に伴い取得した宅地に係る小規模宅地等の特例の適用の可否(令和元年7月1日以後に開始した相続)」(質疑応答事例)
⑤所得税基本通達33-1の6及び同38-7の2(国税庁)
⑥法務省民二第68号(令和元年6月27日)法務省民事局長通達(民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて)
⑦第196回国会参議院法務委員会会議録第21号1頁~3頁(平成30年7月5日。遺留分減殺請求権の金銭債権化の理由及び期限の許与に関する答弁)
4 文献
①参議院常任委員会調査室・特別調査室「約40年ぶりの相続法の大改正」立法と調査2018年11月No.40619頁~34頁