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80期司法修習の希望地申告―希望順位・一任・家庭事情と旧資料の適用限界(AIリライト)

第1 第80期の案内と過年度資料を区別する

第80期司法修習の希望地申告では,当該期の案内と入力要領に従って,希望順位や家庭事情等を申告する必要がある。
令和8年8月30日現在,最高裁判所の司法修習生採用選考の案内には,令和8年度の申込方法や期限等を9月中旬頃に掲載する予定と記載されている。
本記事で確認できた公開資料からは,第80期の希望数,群の区分,「一任」の入力方法及び事情を説明する欄の仕様までは確認できていない。

過年度資料を読む際には,紙の調査書とオンラインの入力フォームを区別する必要がある。
第78期にも希望地事項のフォーム入力があり,第79期の採用選考申込フォームにも希望地事項が含まれていた。

対象期公開資料で確認できる申告方法資料を利用する際の注意
第72期紙の実務修習希望地調査書。選択規則と記載例が通知に掲載されている。以下で紹介する群の区分や「一任」の扱いは,この期の資料である。
第78期申込者情報入力フォームの項目に,実務修習希望地に関する事項がある。具体的な入力方法は,自動返信メールに添付される入力要領を参照する仕組みであった。
第79期採用選考申込フォームの9つの事項の一つに,実務修習希望地に関する事項がある。公開手引きと,メールに添付される入力要領を区別する必要がある。

表の根拠は,第72期の通知6頁~9頁第78期の通知5頁~7頁及び令和7年度の採用選考申込手続の手引き4頁~6頁である。
第78期・第79期のメール添付入力要領そのものは,本記事では確認していないため,過年度の希望数や理由コードがそのまま維持されたとは扱わない。
申込手順,締切,メール未着及び海外からの申込みは,司法修習生採用選考に関する提出書類と申込準備を参照されたい。

第2 希望順位と「一任」―第72期の記載要領

1 希望地の選択規則

平成30年8月1日付の「司法研修所からのお知らせ」6頁~8頁は,第72期の実務修習希望地を1群から3群に分け,次の選択規則を示していた。
これは第72期の紙様式の説明であり,第80期の入力規則を示すものではない。

希望順位第72期の選択規則
第1希望~第4希望1群~3群から記載する。ただし,1群から選択するのは2か所までである。
第5希望・第6希望3群から記載する。

当時の1群は,東京,立川,横浜,さいたま,千葉,宇都宮,静岡,甲府,大阪,京都,神戸,大津,名古屋,福岡,仙台及び札幌である。
例えば,この中から3か所を記載すれば,当時の選択規則に反することになる。
第80期の申告で使用する区分は,当該期の入力要領で改めて確認する必要がある。

2 「一任」「以下一任」と記載不備の取扱い

同通知9頁では,特に希望地がない場合は「一任」又は「以下一任」と記載し,理由を記載しなくてもよいとされていた。
希望地の記載がない場合又は選択規則に反した場合は「一任」,途中順位までしか記載していない場合は「以下一任」として取り扱うとの説明もある。
意図して一任する場合と,記載不備によって一任扱いになる場合を区別して読む必要がある。

同頁の表3には,次の三つの記載例が示されている。

書き方第72期の公式記載例
全部記載東京→さいたま→広島→和歌山→高知→松江
一部一任第1希望は大阪,第2希望は鳥取,第3希望の欄に「以下一任」
全部一任第1希望の欄に「一任」

これらは記載方法を説明する例であって,どの順位の希望が実現するかを予測する資料ではない。
この例から「鳥取に決まる可能性が極めて高い」「第4希望以下になる」とは判断できず,「以下一任」という記載だけで有利又は不利になるとも断定できない。

第3 家庭・健康・経済事情を具体的に説明する

1 旧資料が示した四つの記載例

第72期の通知6頁~8頁では,理由コードに該当する事情がある場合は,その番号と具体的な事情を記載するよう求めていた。
記載された事情や具体性の程度によっては,実務修習地を検討する際の参考としないことがある旨も明記されている。
8頁の四つの例を要約すると,次のとおりである。

事情の種類第72期の記載例の要点
① 配偶者・子との同居就労する配偶者及び子との同居を続けるため,現住所から通える地を希望する例である。配偶者には,内縁の配偶者及び修習終了までに婚姻する予定の婚約者を含むとされていた。
② 通院・病気病院の所在地,通院頻度及び専門的な治療を継続する必要性を説明する例である。
③ 親族の介護同居する親の状態,自分と他の家族の介護分担及び自分が離れると生じる支障を説明する例である。
④ 経済的事情奨学金の返済負担を具体的に示し,自宅から通える地を希望する例である。

この資料から分かるのは,当時,これらの事情を具体的に記載するよう案内されていたことである。
「介護なら優先される」「経済的事情が最も強い」といった事情間の優先順位や,第80期の理由コードまで示すものではない。

2 第80期の案内を読む前に整理できること

本記事では,上記の記載例を踏まえた準備として,生活上の事情と希望地との関係を整理しておくことを勧める。
具体的には,①誰とどこで生活しているか,②本人が担う育児・介護や通院の内容,③転居又は遠距離の配属によって生じる支障,④希望地であればその支障をどう軽減できるか,という順で整理すると説明しやすい。
これは申告内容を整理するための提案であり,第80期の公式な入力項目や採点基準を示すものではない。

子の養育であれば,同居の希望に加え,自分が担う送迎等の内容や,他の家族との分担との関係を,必要な範囲で説明することが考えられる。
第2希望以下についても,実際に通えるか,生活を維持できるかを検討し,その条件と希望順位の理由が食い違わないようにすることが望ましい。
近隣の地を並べること自体に配属上の効果があると考えたり,事情を誇張したりするべきではない。

事情を裏付ける資料は,当該期の入力要領や個別の指示で確認する必要がある。
採用申込み一般で求められる本人確認書類と,希望地に関する事情を説明するための資料は,用途を分けて確認すべきである。
内縁関係を記載する場合の住民票や,通院事情を記載する場合の診断書について,本記事は一律に提出必須とも提出不要とも案内しない。

第4 配属の予測と公文書の読み方

1 過去の運用説明や体験談から分かる範囲

平成29年3月22日の衆議院法務委員会会議録では,当時の最高裁判所事務総局人事局長が,本人の希望を基本とし,健康状態,家族状況,希望の切実度等の事情を考慮して実務修習地を決めていると説明している。
第1希望又は第2希望に配属される者は4分の3程度であるとの説明もあるが,これは当時の運用についての答弁である。
第80期の配属割合や,特定の申込者が希望地に配属される確率を示すものではない。

弁護士の希望理由と配属結果を紹介するアディーレ法律事務所の「修習地選択のポイント」も,具体的な体験を読む資料にはなる。
ただし,個人の体験から希望順位の付け方と結果との因果関係を判断することはできない。
過年度の倍率資料についても,現在の希望者数や個別の配属確率と区別する必要があり,資料の性質は実務修習地の決め方で説明している。

2 決定関係文書と希望地調査表を区別する

令和元年8月23日付の答申書(令和元年度(最情)答申第40号)2頁~4頁及び6頁~7頁は,第72期の個々の予定者と実務修習地を関連付ける文書等の開示申出について,名簿及びその決裁票を対象文書とした判断を妥当としている。
関連する原資料として,平成30年10月17日決裁の実務修習地・組・出席番号・修習班に関する文書がある。
答申の対象はこの開示申出と第72期の文書保有状況であり,あらゆる配属基準が存在しないことや,現在も同じ文書しか作成されないことを示すものではない。

また,令和8年3月18日付の不開示通知書は,第79期司法修習予定者の「実務修習希望地調査表」を作成又は取得していないと説明している。
一方,第79期の公開手引きには,希望地事項をフォームで入力する仕組みが示されている。
「調査表」という対象文書の不作成・不取得と,個々の申込者の希望を収集していないこととは別である。

第5 関連記事

司法試験合格後から司法修習開始まで―採用申込み,希望地,住居等の準備全体を確認する記事である。

司法修習生採用選考に関する提出書類と申込準備―申込手順や締切,メール未着,海外からの申込み等を確認する記事である。

実務修習地の決め方―配属の仕組み,人数・倍率資料の性質,住居及び引越しを扱う記事である。

第2希望の実務修習地の選び方―新63期から第69期までのデータを基礎とする過去の比較であり,第80期の配属確率を示すものではない。

実務修習地とクラスの対応関係―各期のクラス編成と原資料を確認する記事である。

新65期以降の白表紙発送実績―都道府県別の発送実績を扱う記事であり,希望地別の希望者数とは区別して利用する必要がある。

実務修習地の決定方法等に関する国会答弁―配属に関する過去の答弁をまとめた記事である。

第6 出典・参考資料

① 最高裁判所「司法修習生採用選考」(令和8年8月30日確認)。

② 司法研修所事務局長「司法研修所からのお知らせ」(平成30年8月1日,第72期)6頁~9頁。
掲載PDFは1頁に紙面2頁を収録しており,紙面6頁~9頁はPDFの3頁~5頁に当たる。

③ 司法研修所事務局長「司法研修所からのお知らせ」(令和6年10月23日,第78期)5頁~7頁。

④ 最高裁判所「令和7年度司法修習生採用選考申込手続の手引き」4頁~6頁。

⑤ 衆議院「第193回国会法務委員会第5号会議録」(平成29年3月22日)。

⑥ 最高裁判所情報公開・個人情報保護審査委員会「令和元年度(最情)答申第40号」(令和元年8月23日)及び第72期の実務修習地等に関する決裁文書(平成30年10月17日)。

⑦ 最高裁判所事務総長「司法行政文書不開示通知書」(令和8年3月18日,最高裁秘書第782号)。
対象文書は第79期司法修習予定者の実務修習希望地調査表である。

⑧ アディーレ法律事務所「修習地選択のポイント」(体験談として参照)。